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波 - 潮流 - 構造物の相互作用を考慮した有脚式海洋構造物の不規則応答解析

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土 木 学 会 論 文 集No. 661/1-53, 14-50, 2000. 10

波-潮 流-構 造物の相互作用を考慮 した

有脚式海洋構造物の不規則応答解析

谷 口朋 代1・ 河 野 健 二2 1正会員 博士(工学)川 崎重工業 株式会社 装置技術部(〒675-0155兵 庫県加古 郡播磨 町新 島8番 地) 2正会員 工博 鹿 児島大 学工学部海洋土木工学科 教授(〒890-0065鹿 冠島市郡元1-21-40) 波力と潮流力を同時に受ける海洋構造物の動的応答解析法について検討を行った. まず, 外力に波と潮流の速度 に関する非線形抗力を考慮した波力と潮流力を受ける海洋構造物の運動方程式を導いた. そ して、潮流の流速を一 定とし, 水粒子の運動と海洋構造物の動的応答にはエルゴード性があり, 平均値0の 正規分布に従うと仮定 して, 非線形抗力を等価線形化抗力に置換し, 線形化した運動方程式を導いた. また, 付加減衰を含む減衰のモー ド間の 連成が無視できることを示し, 不規則振動論の手法に則って海洋構造物の動的応答値が求められることを示した. 等価線形化抗力や慣性力に及ぼす潮流力の影響を明らかにし, 海洋構造物の動的応答に及ぼす影響について検討を 加えた.

Key Words: offshore structure, wave-current-structure interaction, random vibration analysis, equivalent linearized drag force, root mean square optimization

1. は じめ に 海洋構造物 は, 波とともに潮汐や地球 自転 に起因する 潮流の影響 を受けるので, 海洋構造物 を適切 に設計する ためには, 潮流が海洋構造物の動的応答 に及ぼす影響を 明らかにす る必要がある. Huangら は1), 海面上昇量の 変動 がパ ワースペ ク トル密度 関数 で表わ され る波を対 象 に, 潮流が波高の分布に及ぼす影響 につ いて検討を行 い, 潮流 による波 の変形を表わす修正パ ワースペク トル 密度関数 を示 した. 一方, 波 と潮流 を受ける海洋構造物 の動的応答解析についてはKawan0ら の研究が あるが2), 波 と潮流 による非線形抗力の取扱いや, 波一潮流 一構造 物の動的相互作用 についての検 討が, 十分になされてい ない. 本研究では, 波力 と潮流力を受 ける海洋構造物の動的 応答解 析を行 うために必要な基礎理論の構築 を行 った. 波力 と潮流 力が作用 する海洋構造物 の運動 方程式を導 き, 波力 と潮流 力か ら成 る外力が, 慣性 力と抗力の和で 表わ される ことを示 した. そ して, 潮流の流速が, 波高, 水粒子の速度や加速度 のパ ワースペク トル 密度関数や, 等価線形抗力と慣性力に及ぼす影響を明 らかにした. ま た, 抗力は潮流の流速, 波によ る水粒子 の速度 と構造物 の応 答の速度が連成す る非線形 な力で あるこ とを示 し た. そ こで, 潮流 の流速 を一定値と し, 潮流 による波 の 変形効 果 を反 映 した波 による水粒子 の運動 とそれ に伴 う力を受 ける海 洋構造物 の動的応答 はエル ゴー ド性 を 示 し, そ の出現確率が平均値0の 正規分布 に従 うと仮定 して, Mhoaら が示 した等価線形化手法を参考 に3), 線形化 した運動方程式を導いた. ここでは, 非線形抗力 を等価線 形化抗 力に置換す る際に生 じる誤差 の二乗 平 均値が最 小 にな るよ うに等価線 形化抗力 に付す る係 数 を定めた また, モーダル アナ リシスによって応答解析 を行 う場 合, 一般化座標上では等価線形化付加減衰を含 む減衰項 のモー ド間の連成が無視できることを示 し, 一 般化座標変 換によ って得 られ る独 立 した線形微分方程 式を用 いて, 不規 則振動論の手法に従 って海洋構造物 の 動的応答値が求め られ ることを示 した. 最後 に, 潮流 の流速が海洋構造物の動的応答に及ぼす 影響 につ いて検 討を加 えた. 2. 運 動 方 程式 波 力と潮 流力 を同時 に受 ける海洋構造物 の運動方程 式は節 点の変位ベ ク トル{X}を 用 いて 次のように表わ す ことができる.

(2)

[M]tx+[c]x+[K}{x={d}

(1) ここで[M], [C], [K]は それぞれ質量マ トリックス, 減衰マ トリックス, 剛性マ トリックスであ り, {1}は 波 と潮流による外力を表わすベク トルで ある. モ リソン式 に従えば{P}は 波による水粒子の速 度ベク トル{d} 加蔽 ベ ク トルVyJと 潮 流による水粒子の速度ベ ク ト ルV1を 用 いて次のように表わす ことがで きる. ただ し, 本研究 では, 付加質量 と排水質量 を区別 して扱 う.

{P}=fcl{v}+fcMl(JU1+Icol{(v+v)v+vll

(2) こ こで[CA]=fρ(KM-1)1[CM]=VP1 [CD]=PKDA1で あ り, ρ: 海 水 の 密度, KM: 質 量係数, V: 水粒子 の運動方 向に投影 した構造物の体積, KD: 抗力係数A: 水粒子の運動方向に投 影 した構造 物 の面積である. 式(2)の右辺第3項 は, 水粒子速度に 関す る非線形な項を含 んでお り, 直ちに応答計算 を行 う ことができな い. そ こで, 以後 に示す操作 によ り本項を 等価線形化 し, 応答計算 を行 うことにした. 柔な構造物の変 形の速度や加速 度は, 波や潮流 による 水粒子 の速度 や加速度 と同程度 で あると仮 定 して, 式 (2)を式(1)に代入 して, 波, 潮流 と構造物の相互作用 を 考慮 した運 動方 程式 を得る

[M]+[c]x+[K]{x}=[CA]VUX

+[cM]{f}+[cD](v+Y-4+

(3) ここで, 小さな波数 κ を有す る波では, 水粒子 の速 度や 加速 度は, 構造物の変形の速度や加速 度とは無関係 に, 潮流 によ る波の変形 を含んだ海面運 動の上昇量 を用 い て, 海中の水粒子の位置 に応 じて十分な精度 で求 められ るとす る. これよ り, 外力の周期的成分である水粒子の 速 度と加速度は, 波数 κの関数 と して与え られ るもの と す る.

i1=1(K)111=pV0(K)1

(4) また, 潮流の速 度は, 粘性底層の影響 がある海底付近 を 除けば1一 様な流れ と見なせ ることか ら, 水深 や構造物 の応答 とは無関係な時間的変動 のな い一定値 であ ると する.

{vc}=Cnst

(5) 式(4)を式(3)に代入 して, 構造物の変位 と波による水粒 子の位置 との相対変位ベク トル{r}={d}-{X}を 用 い て整理する.

[uc]{d}{c}tr)+[K]{r}fColl(rcpl

=[M-CM]{r}+[C]{r}+[K}{v)

(6) 式(6)の減衰 に関する項 をまとめて, 次式を得る.

[M+CA]{1}+C]{r}+[K]fr}+{E}

=[MCM]tV4+[c]vJ+[icJ{v}

(7) {E}は 次式で表 わされ る誤差ベク トルである.

{E}=1fCl-ICII{r}+Fcn1Ur):+r}Ir+rI

(s) ここで, 構造物 に作用する波 と潮流による力の性質よ り, 誤差ベ ク トル{E}の 第 ノ成分は相対速度 弓成分にのみ 依存する. 誤差ベ ク トル{E}の 二乗平均値 を最小化す る ことで[e]に 含まれる抗力 に付する係数の最適値を求 めることができる. よ り,

Z(f-r4i(C1i-C4r+CDJ(Vc+iV+r)=O

(9) <>は 時間平均で あり, 式(9)よりC成 分が次のよう に求め られ る. (10) ここで, qcの 定義 か ら, 最適化 された減 衰マ トリック スの一般項は次 のようになる. Cij=Cij (i≠jの と き) Cjj (i=jの と き) (11) また, 前述のように最適化 されたcを 用 いれば, 誤差 ベク トル{E}の 影響 を無視できると考え, 式(6)を次の

(3)

よ うに表わす ことにした

IM+CAIPI+IcIii1+IKIII

=[M-CMjj+[C]+[KjJ

(12) 一方, 潮流 による波の変形の影響 を含んだ水粒子の運 動に伴 って発 生す る力の出現確率が, 平均値0の 正規分 布に従 うと仮定すれば 構造物の応答 を含 む相対変位ベ ク トル{7}の 出現確率 も平均値oの 正規分布 に従 う こ の性質よ り, 式(10)に含 まれる時間平均に関す る項が, 次のように計算で きる <rj(vcj+rj)vcj+rj>=4σrj{σMvcj)+vcjzvcj} (13a) (r)=σrj (13b) (13c) (13d) (13e) こ こで, 式(13a)の 導 出 過程 につ い て は, 付録 に示 す 式(13c)を 用 い て, 式(10)を 次 の よ う に書 換 え る

Ci=Ci+4C1izi)+Z=i

(J'=1, 2…N) (14) 式(14)を 式(12)に 代 入 し, 再 び{r}={Vo}-{X}の 関 係 を用 いて運動方程式を整理 して次式 を得る

rM+cl(X)+fcl(X)+rxl(x1

=[c]tv0J+FCDItVOI

(16a) CDR=0

(ixi)

=4CDJz(VCJ)+IVZ(VCJf

(i=j)

(16b) ここで, cm=pkmvで あ る. 式(16b)よ り等 価 線 形 化 抗 力 を求 め る ため に は, 反 復 計算 が 必 要 にな る こ と が分 か る また, 式(16a)の 右 辺 は, Tungら が 示 した 剛 な杭 に作 用 す る波 と潮 流 に よ る 力 と同 様 の 表 記 で あ り4), 潮 流 の流 速 を0に す れ ば、B0rgmanが 示 した 波 に よ る力 の表 記 に一致 す る5)そ して, 潮 流 の流 速 が0の 場 合には, 式(16a)はMa1hotraら が示 した波 力を受け る海洋構造物 の運動方程 式 と同様 の表 記にな ることか ら の, 本研究で示 した潮流と波 による力 と潮流 と波を同 時に受 ける海洋構 造物の運動方程式は、潮流の有無に関 らず一般 的に成立つ ことが分かる また, 抗力項を等価線形化する際に, 外 力{P}の うち 潮流 力に相 当す る時間的 に変動 のな い力の成 分が除去 されている 式(1)は線形同次方程式であるか ら, 式(2) の波 と潮流 による力の うち, 時間的変動のない潮流 力と それ以外 の力とは分離 して計算する ことができる これ よ り, 対象 となる海洋構 造物の全 応答値は式(16a)の 運 動方程式か ら得 られる動的応答値に, 時間的変動 のない 潮流力によ る静的応答値{Xs}を 加 えた ものになる

[KItX4=[CDBrc(VCI

(17) 3. 動 的応 答解 析 不規則 振動解析 によ って式(16a)の 動的応答値 を求 める 本研究で は, 付加減衰 を含む減衰項のモー ド問の 連 成が無視できることを示し、一般 化座標変換によって 式(16a)が 独 立な線形微分 方程式 に分解 で きる ことか ら, 不規則振動論の手法 に則 って式(16a)の 動的応答解 が求め られ ることを示す 変位ベク トル{X}を, 式(20)に示す規準化 したモーダ ルマ トリックス[Ψ]と式(19)の関係 を用いて-般 化座 標{φ}へ変換すると 式(16a)は 式(18)のようになる 1φ+2ζoJlφ1+1ω21{φ}=1Ψ11{d} (18) {x}=d{φ} (19) [ΨrIM+iΨ]=[1] (20) 「 ω2」=rΨ1「IK1「 Ψ1 (21) [1]は単位マ トリックス, ζは減衰係数 ω は固有振動 数であり, {P}は 潮流の効果 を含む等価線形化 された波 力を表わ している 一方, 減衰マ トリックスは, 以後 に示す検討 により対 角化マ トリックス として扱 うことに した 式(16a)に お ける減衰マ トリックスは, 一般化座標変換によ り, 次の ようになる

[co]=[d][c][d]

(22) 一 般 化 座 標 上 の 減 衰 マ ト リッ ク ス[C o]は 対 称 マ ト リ ッ

(4)

クスではあるが, 対角マ トリックスではな いのでモー ド 間の連成が生 じる 一般に, 減衰が連成す る場 合は, 複 素モー ド解 析によ り解 を求 めることができる しか し, 本研究では, モー ド減衰を対角化す る際 に生 じる誤差 の 二乗平均値を最小化 し, モー ド減衰係数の最適値 を定 め る ことで, 減衰マ トリックス を非連成化す る これよ り, 一般化座標上の減衰項は, 各モー ド毎 に次のよ うに表わ す ことができる

1CoBcbIUc+a}

(23) 1U1: 最適化 された対角減衰マ トリックス {a}: 対角化 に伴な う誤差ベク トル 一般項C(j=1,2…N)め の最適値 を決定す るた めに, 誤差の2乗 平均値α2の最小値 を検討する (24) 式(24)を 解 い て, Cが 次 のよ うに 求 め られ る (25) 式(25)よ り, 最適化の過程で 誤差ベ ク トル{α}に関す る項が除去 されていることが分かる これ よ り, 次の近 似関係 を得る rc1{φHc{φ} (26) このことは, 波と潮流が同時 に作用す る場合で も, 減衰 がモー ド間で連成する ことの影響 は小 さく, 一般化座標 上の減 衰マ トリックスを対角マ トリックス と して扱 っ てもよい ことを示 している これ は, Yamadaら が示 し た6), 波力が作用す る海洋構造物の場合に, 波 によ る付 加減衰 を含 む減衰マ トリックス を対角 マ トリックス と して扱っても, 海洋構造物の動的応答値 に及 ぼす影響 は 少ないという結果 と一致する また, [c]は, モー マ トリックス図 を用いて 次式のように変換できるとした

[d1][s][d]=[2sw]

(27) これ までの検討 によ り, 潮流と波 を受ける海洋構造物 の運動方程式が, 一般化座標変換によって, 自由度の数 に相当す る独立 した線 形微分方程 式に分解 で きること が分かったので, 海洋構造物の動的応答値を, 不規 則振 動論の手法 に則 って求め ることがで きる これよ り, 海 洋構造物の変位 の共分散マ トリックスEl{X}{X}が, 次のように求め られ る

EI{x}{x}t=

r1Ψ1H(ω)rΨr(ω)1rΨ17H(ω)11Ψ174ω (28.a) rH(w)i=1-ω+21swwi, rHw=H(-ω) (28.b) 式(28a)の 右辺 中 の[SPP]は, 潮 流 の効 果 を含 む等 価 線形化 された波 力によ る外 力のパ ワースペ ク トル マ ト リックスであ り, 左辺の対角項の正 の平方根 がrms応 答 変位である 外力のパワースペク トル マ トリックスは次 のように求めた SPP(ω)1=RPP(τ)1θ-1wTdz (29) -RDA(τ)H{Pω}{(t+τ) (30) ここで, RPP(τ)は 相関マ トリックスであり、相関マ ト リックスの一般 項 は, 潮流の効果を含む等価線形化 され た波力を用いて次のよ うに表わす ことができる

P(t)=CMiVoi(t)+CDiVai(t)

(31)

R(r)=CMiCMJRV

o(r)+VoCDiCDIRVoVoi(Z)

+CMiCDiRv(z)+CDiCMiRVRv(Z)

(32) 本研究では, 水粒子 の速度 と加速 度を微小振幅波理論 を 用いて表わす 微小振幅波理論 によれば 任意 の水深y にお ける水粒子の速度 と加速度 を, 潮流による波の変形 を考慮 した海面上昇量ntを 用いて次 のように表わす ことができる 座標系の定義 は, 図一6に示す (33a) (33b) (33c) (33d)

(5)

ここで, x/xは, 添字Zで 識別され るの水粒子 の速度ベ ク トルの方向がx軸 に平行である ことを示 し, hは 対象 海域の水深である また, 微小振幅波理論で表 した水粒子の速 度と加速度 の相関係数 には次のような関係が ある6)

R

(-z)=(r)

(34) これ らよ り, 波力 と潮流力による外 力のパワースペク トル マ トックスの一般項 を, 次のように表わす ことがで きる.

s(w)CMiCMiSVniVni)+CDiCDiSVniVni

(35a) こ こで, (35b) (35c) (35d) (35e) Svoivoj(w)=wsvovoj(w) (35f) 8nn(ω): 潮流 による波の変形 を考慮 した海面上昇量 の変動を表すパワースペク トル密度関数 (以下, 波の修正パ ワースペク トル密度 関数) これ らの ことか ら, 波力 と潮流 力によるパ ワースペク トル密度関数 は, 慣 性力のパ ワースペク トル密度関数 と 等価 線形化 された抗 力のパ ワースペ ク トル 密度関数の 和で与え られ ることが分かる また, 波 の修正パワース ペ ク トル 密度関数は潮流 による波の変形効果 を表わす 関数 と海面 上昇量の変動を示すパ ワースペ ク トル密度 関数 との積 として与え られ る1)

S(w)=C(w)Snn(w)

(36a) (36b) 3bb(ω): 海面上昇量の変動 を示すパワー スペ ク トル 密度関数 ただ し, 1+4ω/g<0と なる領域では波が砕 けて存在 しな くな ることを表わすカ ッ トオフ振動数が存在する また 潮流の流速vc=0の ときにm snn(ω)=snn(ω)と な ることか ら, 式(36)の波 の修正パ ワースペク トル密度 関数 は潮 流の有無 に関 らず成立 つ一般的 な表 示方法で ある 4解 析 結 果 と考 察 (1)パ ワ-ス ペク トル密度 関数 に及ぼす潮流 の影響 海面上昇量の変動, 水粒子の速 度と加速 度のパワース ペ ク トル 密度関数 と潮 流の流速 との関係 を示 した もの が図一1∼図一3である 本研究で用いた波 のパ ワー スペク トル密度関数は, 式(37)で表わ され るBretschneider型 である7). 波浪条 件を表わすパ ラメータで ある平均 波 高: H(m), 平均周期: 7(s)の 組合せ を(sf)=(70, 117)と し, 潮流の流速 の範囲を-3彫s∼30sと した (37a) (37b) また, 水 粒子の速度 と加速度 のパ ワースペク トル密度 関数 は, 次式に基づ いて海面位置で求めた 速 度: s(ω)=ω2(ω) (38) 加速 度: 8aw=ω4w(ω) (39) 図-1よ り, 潮流の流速が負値の場 合, パ ワースペク ト ルのピー ク値が上が り, 高い振動数 を有する波 を多 く含 むようになる ことが分かる これ は, 負の流速 によって 波の形状が鋭 くなる ことを高 い振動数 を有す る波を重 ね合せて表わ して いるためである 一方, 潮流の流速が 正値の場合 には, パ ワースペク トルの ピーク値が下が り, 高 い振動 数を有す る波が少な くなって いることが分 か る これ は, 正の流速 によ って波の形状が緩やか になる ことを表わ しているためである 図一2より, 水粒子の流速のパ ワースペク トル密度関数 は, 波の修正パ ワースペク トル密度関数が示す性質をほ ぼそ のまま受け継 いで いる ことが分かる 潮流の流速が 負値の場 合, パ ワースペク トル のピーク値 が上が り, 高 い振動数を有す る速度成分 を多 く含むようにな り, 流速 が正値の場合 には, パ ワースペク トル のピーク値が下が り, 高い振動数を有す る速度成分が少な くなっている こ とが分かる しか し, 負の流速が大 きくな ると, パ ワー スペク トル に明確 な ピー クが現れ なくな り, 高 い振動数 の速度成分をよ り多 く重ね合 せようとする途 中で, カッ トオフ振動数を迎 え, パワースペ ク トルが途切れた形状

(6)

とな ることが分かる. 図一3より, 水粒子の加速 度のパ ワースペク トル密度 関 数は, 水粒子の速度のパワースペ ク トル密度関数が示す 傾向 と同 じ傾向にあることが分か る. ただ し, 潮流の流 速が負値の場合には, 高い振動数を有す る加速度成分が 多 く含 まれてい く傾向が更に強 まり, その影響が低 い流 速 か ら発現 していることが分かる. (2)等 価線形化抗力と慣性 力に及ぼす潮流の影響 式(31)に示す等価線 形化 抗 力と慣性 力に及 ぼす潮 流 の流速の影響 を, それぞれの力のrms値 を用 いて検 討 し た結果を図-4∼図-5に 示す. また, 波浪条件 の違いに対 す る 潮 流 の 影 響 も 調 べ る た め に, 波 浪 条 件 を (H, T)=(3. 0, 7. 6), (5. 0, 9. 9), (7. 0, 11. 7)の3種 類 とし, 潮流の流速の範囲を一3. (d/s∼3. 0/sと した. ただ し, 波浪条件毎の潮流 の流速の影響の違いを明 らか にするために, 次 に示す 指標 を定義 して検討を行 った. 等価線形化抗力の場合: (40.a) 6v 0=sω2η(ω)∂ ω (40.b)

61v=1zCO'Snn(cv)dw

(40.c) 慣性力の場合: (41.a) σ3rω48(cv)dw (41. b) 26 Va=fω43η η(CV)dw (41. c) 7drag{H,T,t)は, 平均波高H, 平均周期T, 潮流 の 流速 玩 の場 合 の等 価線 形 化 抗 力のrms値 で あ り, Frae(H,T,o)は, 同 じ波 浪 条 件 で潮 流 が な い場 合の 等 価 線 形化 抗 力 のrms値 で あ る. また, rmstia(H,T,V), Fmsln(H,T,0)は 同 じく慣 性 力 のrms値 で あ る. ただ し, これ らの値 は海面位置で求めた. 図-4と 図-5 の横軸 は, 潮流 の流速であ り, 縦軸 はそれぞれ式(40), 式(41)で定義 した指標である. 図-4よ り, 等価線形化抗力は, 波浪条件 とは無関係に, 潮流の流速の変化に対 して, ほぼ同じ傾向を示す ことが 分かる. ただ し, δ が ピークとなる時の負の流速の値 は, 平均波高が低 い波ほ ど小さいことが分かる. この こ とは, 負の流速の場合には, 水粒子の速度のパ ワースペ ク トル密度関数 の全体が大 きくな り, 平均パワーを上げ る効果があるが, 平均波高 の低い波では, カッ トオフ振 動数の影響が小 さな流速か ら発現す るために, 等価線形 化抗力全体 のパ ワーが 小さな流速か ら下が り始 める と 考えられ る. また, 平均波高が低 い波ほどδ のピー 図-1 波高のパ ワースペク トル 図一2 水粒子速度 のパ ワースペ ク トル 図-3 水粒子加速 度のパ ワースペク トル

(7)

クの前後の曲線の勾配が急であることか ら, 等価線形化 抗 力に及ぼす潮流の影響は, 平均波高が低 い波ほ ど大 き いことが分かる. 一方, 図一5より, 慣性 力についても, 潮流 の流速が 及ぼす影響 は, 波浪条件に関わ らず, ほぼ同 じ傾向であ ることが分かる. また, δhが 波浪条件に関わ らず1 潮流の流速が-0.7s付 近で ピー ク値を示す ことか ら, 潮流の流速が負値の場合 に, 水粒子加速度のパ ワースペ ク トル密度関数の平均パ ワーを押上 げる効果 は, 波浪条 件に関わ らずほぼ一定で ある ことが分かる. これは, 負 の潮 流が高 い振動数の水粒子 の加速度成分 を増加 させ る影響 と, カ ッ トオフ振動数が平均パ ワーの減少に及ぼ す影響が, 波の状態 に関わ らず, 潮流の流速毎にほぼ一 定 になっているか らと考え られる. また実際 には, 負値 の流速を有する潮流の影響 によ り, 波高が高 くな り波は 砕けてい くが, その中に慣性力に影響を及ぼす振動数を 有す る波が含まれ ることが, 流速-0. 7/sを 境 に顕著 に な る と考 え られる. そ して, 平均 波高 が低 い波 ほ ど δdrの ピークの前後の曲線 の勾配が急 である ことか ら, 慣性力 に及 ぼす潮流 の影響 は平均波高 が低 い波ほ ど大 きいことが分かる. (3)海 洋構造物の動的応 答に及 ぼす潮流 の影響 図一6に示す海洋構 造物の解析 モデル を用いて, 潮流 の 流速が海洋構 造物の動 的応答 に及ぼす 影響 について検 討を行 った. 対象 にした海洋構 造物 は鋼製で, 柱, 横 梁, 斜材 は円形断面であ り, 直径はそれぞれ, 3m, 3m, 1. 5m, 板厚 はそれぞれ, 3m, 3m, 15mで あ り, 海面上のデ ッキ部分に相 当す る横梁の剛性 は十分に高 く, かつデ ッ キの質量と して2000tを 均等に見込んでいる. 解 析モデ ルの一次 の固有周期は1. 82秒 であ り, 検討 に用 いた波 の平均周期 とは十分に離れて いる. 解析 に用いた質量係 数KMと 抗力係数KDは, それぞれ2. 0, 1. 0で ある. 波浪条件を(H, T)=(3. 0, 7. 6), 潮流の流速の範囲 を-3.0/s∼3.0sと した場 合の, 解析モデルの左柱上 端の節点Aの 応答変位スペク トル を図-7に 示す. 図一7 よ り, 潮流の流速が負値 の場 合には, 応答変位スペク ト ルの ピーク値 は大き くなるが, 流速毎 のピー ク値の差 は 波高 のパ ワースペ ク トルのそれ よ りもかな り大 きい こ とが分か る. これは, 水粒子の速 度 加速度のパ ワース ペク トル が鋭 く立上 っている ことに起 因す ると考 え ら れる. 一方, 潮流 の流速が正値の場合 には, 応答変位ス ペク トルの ピーク値は小 さくなるが, 波高のパ ワースペ ク トルのように流速毎に小さ くな るのではなく, 順序が 逆転 しているものがある ことが分かる. これ は, 波 力と 付加減衰 力の釣 合いによるものと考え られる. この様に, 潮流の流速 は, 海洋構造物の応答 スペク トルに大 きな影 響を与えることが分か る. また, 波浪条件を(H, T)=(3. 0, 7. 6), (5. 0, 9. 9), (7. 0, 11. 7), 潮流の流速 の範囲 を-3. 0/S∼3. 0/sと し て, 解析モデルの左柱上端の節点Aの 応答変位のrms値 に着 目し, 4. 2節 での検討 と同様の指標 を次のように定 義 して, 潮流 の流速の影響 につ いて検 討 した 尚, 首藤 によれば8), 本研究で用 いた水深 と波浪条件は, 微小振 幅波理論が適用可能な範 囲である. (42) Xr(H,T,V)は, 平均波高G, 平均周期T, 潮流の 流速 玩 の場合の着 目点の応答 変位 のrms値 で あ り, Xrms(H,7,0)は, 同 じ波浪条件で潮流がない場合の着 目 点の応答変位のrms値 である. 結果 を図一8に示す. 図-8よ り, 潮流の流速が正値の場 合には, 潮流の流速 の変化 に対 して, 海洋構造物の応答値は, 波浪条件に関 わ らず ほぼ同 じ傾 向を示す ことが分かる. これは等価線 形抗力や慣性 力のrms値 が示す傾向 と同じであ る. また, 潮 流 の 流 速 が+0.7s付 近 で δ が ピー ク を 示 す 図 一4 rms等 価線形 化抗力と潮流 の流 速 との関係 図-5 rms慣 性力 と潮流の流速 との関係

(8)

ことは, 慣性 力めrmS値 が示す傾向 と一致す る. これは, この付近の潮流の流速 の範囲では, 慣性力が海洋構造物 の応答 に及ぼす影 響が大 き く, (2)節に示 したよ うに, 流速-0. 7sを 境 に慣性力に影響 を及ぼす振動数 を有す る波が砕 けてい くため, このような ピークが生 じると考 えられる. 一方, 平均波高の高い波では, 負の流速が大 きくなるほど応答が大 きくなるが, これは、平均波高の 高い波ほ ど水粒子の速 度 と加速度 のパ ワース ペク トル が, 低振動数領 域で鋭 く立ち上がることに起因 して いる と考え られ る. また, 平均波高が低い波ほどδDの ピー クの前後 の曲線の勾配 が急で ある ことか ら, 動的応答値 に及 ぼす潮流 の影 響 は平均波高が低 い波ほ ど大 きい こ とが分かる. また, 潮流の流速が負値の場合 の応答が, 流速が0の 場合の応答の1. 5倍 以 上とな る場 合もあり, 構造設計時 には潮流 の影響 を十分 に考 慮 しな けれ ばな らない と考 えられる. 以上の ことよ り, 潮流の存在 は, 海洋構造物の動的応 答値に大きな影響 を及ぼすので, 海洋構造物の動的応答 解析に潮流の影響 を考慮 する ことが, 不可欠であること が分かる. 6. おわ りに 本研究で得 られた結果 を次に要約する. 1)潮 流と波を同時 に受 ける海洋構 造物の運動方程式 を 導 き, 外力が潮流の流速, 波 によ る水粒子速度 と構造 物の応答速 度が連成す る非線形な抗力と, 波 による水 粒子加速 度によ る慣性 力か ら成る ことを示 した 2)潮流の流速 を一定値 とし, 水粒子の運動 と海洋構造物 の動的応答 にはエルゴー ド性があ り, そ の出現確率が 平均値0の 正規分布 に従 うと仮定 して, 非線形抗力の 等価線形化を行い, 線形化 した運 動方程式を示 した. 本研究で示 した潮流 の効果 を含 む等価線形化 された 波力と運動方程式 は, 潮流の有無に関わ らず成立つ一 般的な表示方 法であることを示 した. 3)潮 流の流速が負値 の場合には, 水粒子速度, 加速度の パワースペク トル密度関数は鋭 く立ち上が り, カ ット オ フ振動数の影響で パワースペ ク トル密度関数が途 切れたよ うな形 にな ること, 平均波高が低 い波ほど, 等価線 形化 抗力や慣性 力に及ぼす潮流の影響が大 き い ことを示 した. 4)潮流の存在 は, 海洋構造物の動的応答値 に大 きな影 響 を及ぼすので, 海洋構造物の動的応答解析に潮流 の影響を考慮 することが不可欠であることを示 した. 付 録 式(13. a)の時間平均 に関す る計算は, 積分範囲を工夫 して絶対値記号 をはずす ことによ り, 次のように計算で きる. 図-6 解 析モデル図(寸 法 の単位: m) 図-7 応 答変 位スペク トル と潮 流の流 速との関係 図-8 rms応 答変位 と潮 流の流速 との関係

(9)

cj(Vcj+rf}cj+A)

1I-O+1)2z(i1)d1t+f(r+rilZZ(ti)di1

(A.1) ここで, 弓の出現確率か 平均値0の 正規分布 に従 うこ とか ら, 関数zを 次のように与える. (A.z) これ よ り, 式(A. 1)中 の 弓 の1次, 2次, 3次 モー メ ン トに 関す る項 が, 次 のよ うに計 算 で き る.

Jz(i4diir=-6z(-fr)

(A.3a) ∫svrjz(rj)drj=drz(-vcj) (A.3b)

NJr1zf)dr=1oz(-Vj+ozf)dr

(A.4a)

Jrf2zf)dr=-V6z(-V)+oJz(r)dr

(A.4b) J-rzrdryr=-V6z(-V)+oJ=2zf)dr=-V6z (A.5a)

vrzrdry=2zf)dr=-V6z(-V)+oJz(r)

(A.5b) 式(A.1)に 式(A3)∼(A5)を 代 入 して 次 式 を得 る.

(V+4vr+d)

=462J6zzVf+IVIZV

(A.6) こ こで, z(-t)=z(t)で あ り,

z(v)=fvz(t)dt

(A.7) である. また, 式(A. 6)の右 辺第2項 の潮流 の流速の項の絶対 値は, 等価線形化 され た抗 力の大きさは, 潮流 の流れの 方向とは無関係に, その醸 にのみ依存 する ことを示 し ている. 参考文献

1) Huang, N. E., Chen, D. T., Tung, C. C. and Smith, J. R.: Interactions between steady non-uniform currents and gravity waves with applications for current measurements,

Journal of Physical Oceanography, Vol. 2, pp. 420-431, 1972.

2) Kawano, K., Venkataramana, K., Hashimoto, T. and Taniguchi, T.: Dynamic response analysis of semi float type offshore platform, Proceedings of 7th (1997) International Offshore and Polar Engineering Conference, pp. 485-492, 1997.

3) Malhotra, A. K. and Penzien, J.: Nondeterministic analysis of offshore structures, Journal of the Engineering Mechanics Division, Proceedings of ASCE, EM6, pp. 985-1003, 1970.

4) lung, C. C. and Huang, N. E.: Combined effects of current and waves on fluid force, Ocean Engineering, Vol. 2, pp.

183-193, 1973.

5) Borgman, L. E.: Spectral analysis of ocean wave forces on piling, Journal of the Waterways and Harbors Division, Proceedings of ASCE, WW2, pp. 129-156, 1967. 6) Yamada, Y. and Kawano, K.: Seismic response analysis of

non proportional damping system due to response spectrum method, Journal of Structural Engineering/ Earthquake

Engineering, JSCE, Vol. 4, pp. 213-222, 1987. 7) Bretschneider, C. L.: Sea motion and wave forecasting,

Handbook of Ocean and Underwater Engineering, Hill, 1969.

8)首 藤伸夫: 非線 形長波 の変形, 水 路 幅, 水深 の変 化 す る 場 合, 第21回 海 岸 工学 講 演 会 論 文 集, pp. 57-64, 1974.

(10)

NONDETERMINISTIC ANALYSIS OF FIXED-TYPE OFFSHORE STRUCTURES

WITH WAVE-CURRENT-STRUCTURE

INTERACTION

Tomoyo TANIGUCHI and Kenji KAWANO

This paper provides general theory of non etemunis is analysis of offshore stnrctures subjected to the wave and the current

simultaneously. The equations of motion are derived and nonlinear drag force in hydrodynamic force is presented The dynamic

wave forces and the structural response to them are assumed to have zero-mean, Gaussian characteristics when suitably linearized

The linearization an the drag force with current velocity is amed out using the least square method The damping on the

generalized coordinate is diagonalized and the structural responses are calculated by the random vibration approach It is suggested

that the current velocity has significant contributions on the wave force evaluation and the dynamic response of the offshore

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