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クロマツの生長物質および抑制物質について(第II報) : インドール酢酸の存在

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Academic year: 2021

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(1)

(102)

クロマツの生長物質および抑制物質について

       (第H報)

インドール酢酸の存在

小笠原隆三・近藤芳五郎 (烏取大学農学部林学科造林学教宝)

Studies on auxins and inhibitors in P‘2zzzs Tん〃z6εノ冨花 (口)

Existence of hdoleacetic acid

    Ryuz60GAsAwARA and Yoshigor6 KoNDO

(Labora加ry of Silvicu至ture, Faculty of Agricul知re, Tottori University}

       1961勾三12力20臼うと理

緒 言  植物体内で生成される生長物質のうちインドール酎簸 (IAA)は最も広く植物界に存在し,オーキシン作用プ」 決定の基準にされている物質である。  前報7)においてクロマソに3種類の生長物質と2種類 の抑制物質が存在することを認あたが,生長物質のうち

一っはΣAAであると考えた。しかし,本物質は枯に認

められるとはかぎらず,IAAの存在についてはさらに

検討を要するものとした。

 IAAは酵素の作用により「rryptophane(TTP)から

作られるとされているから,もしクロマソでIAAの生

成が行われているとすればTTP→IAA酵素系が存在

しており,人為的にTTPを与えた場合本酵素系によつ

てIAAが生成されなければならない。

 今回,IAAの前駆物質であるTTPを与えてIAA

の存在について検討してみた。  本研究はその一部を文部省科挙研究費をもつておこな つた。 実 験 方 法

 1961年6月に鳥取大挙農学部苗畑に植歳されている6

年生クロマソの芽および葉を供試材料として用いた。  生長物質および抑制物質はエ_テルで抽出し,これを 酸性区分,中性区分に分けて,それぞれペーパー・クロ マトグラフィーで分離後,アベナ伸長試験で測定する方 法を用いた。  生長物質および抑制物質の定刊三,定縫,呈色反応等の具 体的な方法は既報4’7・8)とほぼ1言1様であるので省略する。 結 果  6月}Lクロマソの芽および菓の生長物質および抑制物 質をエーテルて抽出し,ペーパー・クロマトグラフィー とアベナ伸長試験で定性,定量した結果は恒g.1・3に 示す如くである。  i芽についてみれば酸性区分でRfO、0∼0.5に生長促進 帯がみられ,RfO、5∼1.0に生長抑制帯がみられた。

EqRLICH試薬による呈色反応をみれば生長促進帯で

RfO.25, RfO.32 RfO.38に,抑肺欝ではRfO,81に陽注 を示す物質がみられた。

 IAA位置にも生長促進がみられたが試薬により陽性

を示さなかつた。中性区分ではRfO.5∼1.0に担珊;}}ξが

みられたがERLICH試薬等による呈色反応は不明瞭で

あった。  葉についても芽の場合と大体同じで,酸性区分の生長 促進帯(RfO.1∼0.5)}こE}’R」CH試薬で陽性を示す 3つの物質と抑制帯(RfO.3∼1.0)に一つの物質がみと

められた。IAA位じの生長物質はi芽の場合と同様陽性

を示さなかった。

 TTP 1000ppm溶液で48時19拠理した芽および葉の生

長物質,抑制物質を調べた結果はFig 2.4に示すタ目く である。大体の傾向は無処理の場合とあまりかわらない

がIAA位置の生長物質の増加していることが認められ

る。E甑LICH試薬による呈色反応は無処理の場合にみ

られた4つの物質のほかにIAA位置に1っと,また抑

制帯に1っとそれぞれ新しく認められた。

 これらの物質の各試薬による反応をみた結果は

Table 1に示すごとくである。

鳥農学報,X∬

1962

(2)

クロマツの生長物質および抑制物質について(第∬報)

UO5)

Acid fraction Neut玄al fractior玉 嘉   で 七

g   o・o

§ 1

呂 亙

§ 塁

a 120

8

8 110

雲 婁 100 < り 0  90 田 芦 ◎  80 い ○

Rf

(戊,5

10

1 』 120

HO

100 90 80 G.0

Rf

0.5 1 }

脚一 

Fig.1Chromatograms of ether extracts obta三ned f主om the buds      of Pηzz‘∫Tど〃め6;冨だ, developed in isoproρ頗ol−ammonia−water      (8:1:11,assayed by Avena straight growth test、 1:Reactions of chr◎maξograms of ether extracts by EHRLIρH reagent. LReactions・f guide chromtograms of adding synthesized lAA to    ether extracts by EHRLICH reag飽t. Acid f∫action Neutτal fraction 夢 ◎ 蒼 8 百 ) ω 廷 ◎ ’二 〇 Φ ◎力 o = り 合 o ① らo o 9 プ く お 日 ≧ 雲

o

0.0

Rf

0.5 1.0 蜴

1麹::一

パエ:亘亟匿:亙:工き

0.0

Rf

0.5 1.0

パエ::=::==工き

∬ ]20 110 100 9◎ 80 120 110 100 90 80 Fig・2Ch・・m・t・g・・m・・{・th・・ext・・ct・・bt・in・d f・・m th・bud・      were treated with 1000ppm solution of Tryptophane for 48 hours      at 25℃, assayed by Avena straight growth test. 1:Reactions of chromatograms of ether extracts by ELIRI,ICH reagent. ∬:Reactions of guide ch壬omatograms of adding synthesized IAA to    ether extracts by EHRLICH yeagent.

(3)

臼04)

小笠原隆三・近藤芳五郎

Acid fraction Neutral fract輌on 二8 甘 8 ち ) uo o ’工 o Φ ◎力 Φ = ぺ 臼 む ヱ 8 胃 巴 く ぢ 田 ら e

o

1 1 ユ20 11◎ 100 90 80 0、0

Rf

0.5 〕.0 1 ∬ 120 110 100 90 80 0.0

Rf

O.5 1.0 Fig.3 Chromatograms of ether extracts obtained from the leaves      of丑アz欝了’μπみθ㎎呼だ, developed in isopropano1−ammonla.water      (8:1:1),assayed by Avena straight gpowth test. 1 :Reactions of chrolnato,grams o《ether extacts by E□RLIcH reagent. 』:Reactions of guide chro、natograms of adding synthesized IAA to      ether extracts Dy E賠LICH reagent. Acid fraction Neutral fτaction 二 巳 芸

8

℃ ) ㊤ o ,肖 一〇 Φ oo Φ コ

w

o Φ  o ⇔ Φ < 甘 壱 ら ε

o

0.0

Rf

0,5 1.0 0.0

Rf

0.5 1.0 1

Ii工::::===区

120 110 100 90 80 120 110 100 90 80 Fig.4 Chromatogrsms of ether extracts obtaincd from the leaves      were treated with 1000 PPm solution of Tryptophane for 48      hours at 25°C, assayed by Avena straight growth test. I Reactions o壬ch㌃omatograms of ether extracts by EIIRUcH reagent. 遭:Reactions of guide chromatograms of adding synthesized lAA t。      ether extτacts by EHRLIcHτeagent,

(4)

齢. 毒 ● クロマソの生長物質および担1制物質につし・て(第』報)

WO5)

Table 1 Color reactions of auxins and in hibitors in the acid fraction of ether extracts. Color react輌o頁s 、vit Substance

EHRしICH

reage就 τ…へ’

f6亘爾工

l W芭眺N

lエeag・nt

MITGEHLL&

BRUNS訂’EτTI三N reagent

ARfaroundO.25

        _        _i ]3    Rf around O.32

Green

Pink

1一舐亙

lY。]1。w

_1

Blue

1

          へ じ ぽ   

   竺

red

C:Rfar田nd O.38

Purple 2

 「1∴…−d・.・8…}……

Z’sh

F

Rf around O.52

Yellow

F

Rf arOUIId O.81

Red

Syntnesize(11AA

1}

S茄るr

red

Pink

_  デ “  窃;ミ’難’

Pink

Yelbw

Red

Red

 RfO.48の生長物質は合成のIAAの呈色反応および

Rf値と全く同じであり,本物質がIAAであることが纏

認された。 察

 マツ煩の生長物質については CZAJA2),

ZIMMERMAN沖1)FR、、SSON3),上因等9)の報告があるが, IAAの存在にっいては知られていない。  MIROV等5)は]設近多くの主長初買および前駆物質が 発見されていることから,従来のマツ頴の生七物質の研 究は再検註を要するものとしている。  小笠原7)はクロマツの酸性区分に3種の生長物質を認

めたが,その一つほIAAであると考えた。 IAAと思

われる生長物質はアベナ仲長試験で認められても,呈包 反応で認めることのできたのは一度のみであつた。  本実験でも芽および蘂の綾]生区分にE:諏LICH畝薬で

陽性を承す3っの生長物質とともにIAA位置にも生長

物質がみられたが,EヨRLICH試采で湯性を示さずIAA

であることが確認できなかつた。  呈色反応で陽{生を示すに要するこぶまアベナ伸長試験で

反応を示す量よりかなり小さいことから・クロマツに

王AAが存在していても,抽山された退が小さいため呈

色反応で陽雛を示さないことが考えられる。

 IAAは酵素の作用により纏物体内でTTPから作ら

れるとされている。この反応に関係するのはTTP−IAA

転換酵素系とされている。

 BONNE 1)は垣物組識でTTP→1AA能力を調べた

が,ホウレンソウ,fマトの菓その他でTTP→IAA転

換酵素系の右在することを述べている。村上等6)は:1こ熟

な水稲の殻紋の搾汁はTTPから王AAを生成しうるこ

とを報告している。小笠原8)はストローブマツの芽で,

近藤等4)はアカマツの芽でTTPを与えた場合IAAの

生成が行われることを報告した。

 もし,クロマツにIAAの生成が行われているならば

TTP−IAAの反応に関係する酵素系が存在しているこ

とになり,人為的にTTPを与えるとIAAが増加しな

ければならない。芽および葉をDL−Tryptophane 1000 PPm溶液で25℃暗所において48時1}]]処理するとIAA

位置の生長物質が増加し,呈色反応およびRf値から

IAAであることが確認できた。

 クロマツのi芽および葉はTTPを王AAに変化させる

能力をもつていることはTTP一工AA転換酵※系を持つ

ていることを示しており,また,人為的にTTPを与え

ない場合でもIAAと同じRfのところに,わずかでは

あるが生長物質がみられること等を考えて,クロマソの

芽およじ文においてIAAの生成が行われているものと

考える。 RfO.38の生長物質は前報ηで認められなかったもので ある。これはどのような性質のものか明らかでない、尚 抑綱勿質についての詳細なことは次回に報告したい。 要 約  クロマツの芽および文にEヨRLICH試薬で陽日三を示す 3つの生長物質と1つの抑制物質が認められた。

 IAA位置にもわずかであるが生長物質はみとめられ

たがE汲LICH試薬等で芦別…を示さずIAAであること

を纏認できなかつた。

 才および葉にIAAの前鋸物質であるTryptorhane

を与えるとIAA位置の生長物質が増加したむ本生長為

質のEHRLICH試菜,GORDON&WEBER試薬等による

(5)

clo6)

小笠原騒三・近藤芳五郎

呈色反応およびRf値が合成のIAAのそれと∼致する

ことからIAAであることが碓認された。

  このことはクロマツの芽および葉にTTP−IAA転換

酵京系の在在していることを示し,無処理でもIAA位

垣に生長物質のみられることから,人為的iこTTPを与

えない場合でもクロマツにIAA生成が行われているも

のと考える。 献 1. B」NNER .J.:1)lant Biochemistry 1952 (LLI田,       丸尾訳,朝倉書店) 2. OAJA,A.:Ber,d.deut, Bot.Ges.32:267∼       2711934 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9、 10. 11. F.’ANssoll,P.:Physiologia Plantarum 6544          ∼550 1953 近藤う}五鄭,小笠原隆三:北大演報(投稿中) M.Rov,N、T. and STANLEY, R、G:Ann Rev          I)lant Physio1 10 223∼238 1959

村上浩,林武:農化誌31468∼4701957

」、笠原‘釜三三、・・日ポ{ミi、志 43 50∼54 1961 .r]、さ6島〔隆三三:1三1桝く《,志 43 307∼310 1961 上}斐弘一閃5:斎∬秦達ソく:日材こ限1西支剖≦{墾}」ゴ大・会 、溝          多{ミ 13∼14 1953 ULR王cH,J.M.:Physiologia plantarum 13429∼          4431960 Z脇4ERMANN,W.AIZeitsc1ユr.,Bot.30209∼          2521937        Summary    Auxins and inhibitors of方♂zzz∫Tん∼〃めβノgZハη’ere investigated、     On chromatographing in i∫opropanol−ammonia−water(8:1:1),three allx垣s (Rf O.25, Rf O.32, Rf O38)and one inh三bitor(Rf O.81)showing positive reactions by EHRLIcH reage蹴“’ere found in acid f玄actlon、    Chromatography reveals a growth promoting substance which corresponds in Rf with IAA, wh輌le no color was observed upon apPlicatim of EHRIJoHτeagent etc. to the chromatogram、    The buds and leaves were treated with 1000ppm solution of Tryptophane for 48 hours at 25℃in tlユe dark, After the treatment, auxins and inhibitors were measured.    Four auxins and two inhibitors showed posltive reactions by EHRLICHτeage由in the acid fractio1ユ.    Among them, auxin of Rf around O.48 was{dentified as indoleacetic acid (IAA), comparing it with Rf value and coloτreactions in three reagents of synthes三zed IAA controls.    Fτom these results,it may be considered that Tryptopbane−IAA converting elスzyme systems, existing in the buds and leaves, pmduce IAA麦τom Tryptophane even without the addition of Tryptophane.

参照

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