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期間損益計算における期間原価の意義-香川大学学術情報リポジトリ

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期間損益計算における期間原価の意義

田 中 嘉 穂 ■1パ はじめに・仙問題提起 われわれは先に1),およそ1950年代に漕及したと思われる直接原価計算が, それまでの長い歴史を経過した財務会計紅対して何か寄与しうる点があるのか どうか,あるとすればそれはどのような点か紅ついて理論的な考察を試みた。 結局,直接原価計算と財務会計との関わりについて述べることば,管理会計お よび財務会計という,成立基盤を異紅する二つの会計の相互交渉の問題である とする見方を逃れられないであろう。それだけに.即座に.問題の解消を期待サーる ことは難しいように.思われる。歴史的・社会的紅同番された基礎的概念のうえ

に成り虎つといわれる財務会計が,果たして直接原価計顛の提唱する新たな費

用。収益の対応の認識に対してどのように対処しうるのかを確認することは, ・−∴面において歴史的・社会的な適応過程の問題であるといえよう。 しかし,そ・のような問題の解消を追究する立場からほ,そのような歴史的過 程を離れたところからいつも傍観していることは許されず,そのような歴史の 進行と内在的に関わることが必要である。しかしながら,これまでのその種の 多大な努力に.もかかわらず,事実ほ,財務会計における対応の思考と実務に実 質的に影野するはど直接原価引算の影響ほ大きくなか■二たといえる。しかしな がら,それでほ.財務会計が,簡接原価計算の対応思考をはっきり否定するはど 明解であったかというと,必ずしもそうではないように思われる。われわれの 見方によれば,むしろ伝統的な合意である財務会計の基礎的概念は,現状にお いて必ずしも一儀的な対応思考を含むものでほなぐて,別の見方を許容しうる ほど弾力的であるようにさえ恩われる。小論はこのような財務会計の現状を考 察しようとした試論である。 1)拙稿,「第4部原価計界,§6直接原価酎界の期間損益計算への琵献」,神戸■大学会計 学研究室編,『項代管理会討論』,昭和56年,399∼409ぺ−ジ。

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香川大学経済学部 研究年報 20 ー340− J9β0 日本会計研究学会の原価引算基準特別委員会の昭和54年の報告に.よると,次 のような見解が見られる。ト…現行の会計制度においては,複数の会討処理手 続が容認されており,その選択ほ,企業の自主的判断軋委ねられて:いる。例え ば減価償却方法,棚卸資産の評価方法,試験研究費の処理方法等をあげること ができる。その選択によって製品原価の水準も期間原価の大きさも異なってく る。換言すれば,全部原価計算と直接原価計算との間の選択も,これらの問題 と同一・線上にあるといってよい。長期的に見れば一・企業における生産盛と販売 鼠とほ−・致するので,全部原価計算庭よる営業利益を直接原価計算による営業 利益とは長期的にほ一・致するほずである。それならば外部報告日的に.とって, なぜ全部原価計算のみが認められ,直接原価計算が認められないかは,企業会 計の歴史的経緯と慣行に拠る以外,理論的に説明することは困難であろう。一」2) この帝告によると,全部原価計算による利益と直接原価計算紅よる利益の正 否に.決着をつけることは,当面ほ難しいと思われるから,事態の成り行きを静 観し,やがて直接原価計算による利益が選択的方法の1つとして認容される慣 行が成り立つのを期待しているように思われる。蓋し,そこでほ,取得原価主 義会計を逸脱しない限り,いずれの利益も近似的な成果計算であると考え, 両者の金額的な違いはさはど大きくはないと考えているからであろう。そのた め,これまでの一腰会計における利益と密接原価計算による利益の概念的な関 わりを吟味することは重視されない。しかし,われわれは,期間損益計算の経

営的・実践的な意義を理解するととも紅,全部原価計算北よる期間利益と直接

原価計算による期間利益がいつも近似的であることほ保証できないから,堺 然として両者の概念的な関連を追求することは避けられないものと考えてい る。 2.A。A.A」委員会報告書,「対応概念−iについて 1940年前後の米国において,会計に対する主要な関心は,−・般に.認められた 何か秩序のある会計として,「会計原則」を設定することに向けられ,会討人は 多かれ少なかれそれまでの会計全体を反省する必要があった。その当時の会計 2)原価計鉢基準特別委員会,「原価計罫基準の研究」,日本会計研究学会編,『特別委員 会,スタディ・グループ報告.』,昭和54年,3ぺ・−予。

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期間損益計界における期間原価の意義 ーβ4J− 原則の生成過程におけ■る1つの成果として,費用・収益対応の概念もその重要 性が意識され,次第に具体化され,定着していったといえる。

それより以前の1930年代当時においてすでに.,費用と収益とほある由連をも

つものとして漠然とした理解が普及していたように思われる。そのような理解 の背具にあったコンペン1ンヨナルな思考を表現するとすれば,次のようなもの であるとい.え.よう。経営ほ.一・定の社会経済的機能を遂行する主体であって,その ような機能を遂行する痛動は計画的・合理的に営まれ,単なる投機的・無作為 的な活動でほない。つまりその活動においてほ一日定の合理化作用が働き,活動 において「投入と産出」またほ「■努力と成果」との好ましい関連の樹立が意図 されている。費用と収益が会剖で用いられるのほ,実ほ∴それらが投入用役と産 出用役の経営活動における因果的な関係を反映し,両者の比較が精勤における 合理化作用の結果たる経営の効率を測定するものとして有用である,と考えら れるからに外ならない。かくして,「■・・…、原価と収益の適切な報告においては, 努力と成果(accomplishments)との関連を最も鮮明に表わす方法で,原価が 収益と関連づけられるべきである。」3)ということになる。 かかる概念に.おいてほ,費用と収益は,経営活動の効率の指標として意味の あるものとなることが暗紅期待され,そのための費用と収益ほ,少なくとも努 力と成果との間にある一一・定の意味のある説明可能な関係を反映すべきことが指 摘されている。このような期待を一・般的なこ背景としながら,伝統的な期間引算 で展開される費用と収益の対応形式には,今日よく知られているよう紅2つの 形式,つまり個別的対応形式と期間的対応形式とがある。 個別的対応形式の期間損益計算における意義は,今日広く承認されているよ

うにり思われる。A.A.A.の1964年概念および基準調査研究委員会の報告による

と,次のような論述がなされている。 「収益という形態で示される成果を特定期間へ配分するのに.ほ,実現の時点 について適切な解釈が必要である。‖…・ト関連原価の形態をとる努力(effor・ts) が,かかる成果と対応されるべきである。その場合理想的には,原価を実現収 益と対応させる基準として,因果関係(CauSe and effect relationship)が識別

3)1964ConceptsandStandardsStudyCommitteeⅣ−−TheMatchingConcept,=The

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香川大学経済学部 研究年報 20 J.9β0 −342− されるべきである。かぐて,収益認識の時点が,費消原価と繰延原価とを区別 する最初の決定因子となる。しかし実際的な観点からは,若干の特定の原価と 関連収益とを因果的な意味で結び付けることは,実質的に不可能であり,おそ らく必要もないであるう。したがって,当委員会ほ次のように・提唱したい。つ まり原価(放出される生産物および用役の諸要素であると定義される)は,か かる原価と認識された収益とのある識別可能な前向きの相関関係(some dis・ cerniblepositive correlation)にもとづいて,特定期間内の実現収益と関連づ けられるべきである。」4) つまり理想的には,費用と収益ほ,貨用項目と収益項目との個別的な因果関 係の認識上の識別を介して,個別的対応形式が適用されるべきであると理解さ れている。それによって−・定期間中の売上品または用役の産出に関わる経営活 動の襲用と収益が確定され,しかもその費用と収益ほその活動において個別的 な意味で相互に関連するとされている。私見によれば,そのような特定の活動 を介して関連のある糞用と収益とを比較すれば,その経営活動の効率測定と評 価が適切になされるものと期待できるであろう。 しかし,委員会の報告でほ,このような個別的対応関係がいか紅意味のある ものであっても,かかる対応関係の確認が事実上難しい原価が若干あると表明

4)1964=Concepts andStandards ResearchStudyCommitteeM・M一一TheMatchingCon. Cept,Op。Cit巾,p.369. なお委員会は,対応概念の問題を2つに分けて考えている。1つは引月ヨ箇所と関連す る,「対応の基準」に関する問題である。対応概念においては,「成果とそれの開運する 努力とが期間をべ−?として愚的に対応されるぺきである。」(Ibid・,p・369”)から,そ こでは「原価を現在および将来の期間と結びつける基準(basis)としてどのような 規則(criteIia)が用いられるのか。」(Ibidりp.369.)が問題紅なる。もう1つの問題 ほ原価の測定の問題である。委員会は,「対応概念を適切に適用するためにほ,収 益と対応すべき生産物および用役諸要素は,それを測定する技法という観点から(fⅠ・om thetechniqueof measuring them)別個に考察することができる。」と結論づけてい

る。この場合は,「生産物および用役諸要素の消蟄がいかに測定されるか。」が問題にな る。委員会は,原価が「…期間収益と前向きに相関関連される時点での取替価値 (z・eplacement value)で測定される」(IbidりP.371l)ことを提唱している。それま での対応思考に.おいては,取得原価主義会計を前提にして議論されることが多く,こ の報告轟で委眉会が,対応概念に含めて評価の問題を明示的に区分したことほユニ− クである。しかし拙論において−ほ,悪用・収益対応の基準の問題にのみ注目すること としたい。

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期間損益計界に・おける期間原価の意義 −β4β− されている。それにもかかわらず,委員会ほ,すべての費用と収益とを対応概 念匿よって理解しようとしている。そのため,その場合の対応概念ほ,個別的 対応関係のように厳格なものではなく,もっとゆるやかな「■ぁる識別可能な前 向きの相関関係」に.もとづく対応関係であると言い換えている。そこで,委員 会が提唱するかかる「前向きの相関関係」とほ何か,さらに詳述しているとこ ろを検討してみたい。 「期間収益と関連する原価は,三つの範疇のいずれかに入るものと判断され る。第1のグル−・プは,それが特定の成果と直接的紅結び付けられるという点 で,直接原価(directcosts)と特色づけられるような生産物および用役諸要素 を含んでいる。直接材料費や直接労務費がそのような原価の例である。これら の諸項目ほ,因果関係を観察することができる(Observable)ためその成果と 比較的相互関連させやすい。このような原価であれば,販売時点が利益(in− COme)の認識される瞬間であると判断される場合,実体から雇客への財またほ. 用役の流れが,実現収益に対して原価を配分する適切な根拠になる。このよう な諸項目の取得原価を放出された財またほ用役に付与するために,様々な手法 (後入先出法,先入先出法など)が採用された。放出された特定の財とそれから 実現した収益とを関連させるという観点からは,先入先出接が,計画的な購入 ・販売関係を最も近似的に表わしていると思われる。…もう一・つの支出グル・− プほ.間接原価(indirect costs)と呼ばれている。それは,特定の収益認識とい うよりほ,グル−プとしての成果と関連している。それは,事実上,特定区分 の収益との確認できる因果関係(anidentifiablecausalrelationship)という点 でほほとんど得るところのない結合原価である。若干の間接費項目(伐工’也in

overheaditems)と事業の一・般営業活動費(the generaloperating costsof

business)の多くがこの範疇に入る。この繹の用役要素を配分する紅当たり, 過去の経験や将来の合理的な期待にもとづいて将来の収益を生む客観的に識別

可能な能力(Objectively discernibleability toproduce futurerevenue)がそ

れと結びついていない場合にほ,当期の期間収益と前向きの相関関係が在ると 推定することができる,と委員会は考えている。上記のテストによって将来の 収益を生むと容易に認められる能力(anaparentability)がある場合K.ほ.,原 価ほ繰越され,次期以降の期間の収益と対応される。

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ーー344− 香川大学経済学部 研究年報 20 J9β0 弟3のグル−−プの原価は,損失として−特色づけられる。それほ,−・定期間中 に将来の収益を産出する能力を失うが,その期間中の収益の産出と直接的にも 間接的にも関連しない生産物および用役諸要素である。間接原価に示唆された ものと同じ前向きの相関関係のテストがこの項目に.も適用されるぺきである。 したがって,製品または用役諸要素が将来の収益を生む識別可能な能力を失う 時点が,期間収益紅課される時点紅なるであろう。このような思考の枠内での 損失ほ.,事業上の冒険と関わるリスクの結果として,ゼロの収益と引き換えに 放出される生産物または用役要素であるとも認識されよう。」5) 上記の引用では,いわゆる製造間接費がどのグル−プに属すると見なされて いるかが必ずしも明白でない。しかし舞1のグル−プは因果関係を「観察する ことができる」原価であるとしているから,おそらく製造間接費をこのグル− プに所属させてはいないであろう。第2のグループは,将来の収益を生む能力 をもっていることが識別できず,間接的に当期の収益と関連することが推巌さ れる原価であるとし,それほ.過去の経験や将来の合理的期待紅より判断される としている。このような解説からは販売糞,−・般管理費がこ.のグループ紅入る であろうと想像できるが,おそらく製造間接費も,「 ̄若干の間接費項目」と述 べているところに多少の疑問も残るが,このグループに.含められているであろ う。拙論でほ,このような解釈をもと紅論述を進めたい。 第1グループの直接原価が,期間収益にイ国別的対応される期間計算上の意義 は,既述したところから首肯できるであろう。貨2グル−プのうち製造間接費 についても,たとえ個別的関係を値接に観察できるものでほなくても,経験や 合理的予測にもとづいて,社会的鱒容認できる程度の正確さで個別的対応関係 を追求することができるのであれば,製造間接費の製品原価処理は,第1グル ・−プと同様,その意味を了解することができるであろう。 しかしわれわれはここで,伝統的な期間損益計算が,販売費,一・般管理費, 損失の期間原価処理をいかなる根拠で‡E当性を与えているのか,その実状を検 討してみたい。たとえば上記の引用においてほ.,間接原価および損失と当期収 益との間にはある「対応関係」があるととが認められているけれども,それは.

5)1964Concepts and StandardsResearchStudyCommittee一山−−TheMatchingCon−

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期間損益計静における期間原価の意義 −β45− 非常にゆるやか紅考えたものであると推察できる。つまり間接原価および損失 の各項目の費消ほ,「将来の収益を生む客観的軋識別可能な能力」を備えている かどうかがまず問われ,そのような明白な能力を備えていないものが,間接的 に「当期の期間収益と前向きの相関関係が在る」と推盈されている。その場合 損失ほ,当期のゼロの収益と「前向きの相関関係」があると理解されている。 しかしその場合,費用・収益の対応関係を説明しようとする「■前向きの相関 関係」とほいかなる関係か,その内容を具体的に理解することができるであろ うか。たとえば販売費,−・般管理費ほ,その全額が将来の収益を生む能力を客 観的に識別できないに.もかかわらず,当期の収益とほ.「相関関係」があると推 恩されるといっても,それほいかなる種類の「関係」を指しているのであろうか。 われわれの推察によると,おそらく直接原価と同様な,経営活動における個別 的な因果関係のことであろうと思われる。直接原価のように,あるいぼ.製造間 接琴のように比較的厳格な意味でほないが,販売費,−・般管理費の期間原価処 理も,おおむね収益との個別的「対応関係」を維持していると見看されるので あろう。また損失の期間原価処理についても同様のことがいえる。損失ほ,実 質的紅「その期廟中の収益の産出と直接的に・も間接的にも閑適しない.」原価で あるとしながらも,なお「前向きの相関関係」によって一也失の期間原価処理を 理解するために.,「ゼロの収益」と関連する原価であると説明される。つまり, そこでも,ゼロの収益との「個別的関連」が暗黙のうちに想定さオしているので あろう。 しかしながら販売費,−・般管理費ほいうまでもなく損失までも,暗紅個別的 因果関係としての「対応関係」の中に位眉.づける見方は,「期間的対応」形式の 必然性を客観的に.解明するものであろうか。それらは,むしろ実態の事後的な いしほ主観的な解釈に近いといえるのでほなかろうか。たとえば販売費,−・般 管理資の期間計上が,個別的対応関係を近似的に.達成する代替的手段であると 見なしても,実際には期間的対応形式が唯一・の代替的方法に・なるという必然性 ほ明らかでない。おそらく現実に.ほ様々な代替的方法がありうるといえるので はなかろうか。また損失の期間計上は.,個別的対応思考を損失という特殊な項 目把適用した特殊な適用形態であるといっても,実終に,「ゼロの収益」との必 然的な個別的対応関係というのほどのような内容を指すかが問題である。様々

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香川大学経済学部 研究年報 20 −・346− ヱ9β0 な経営活動のいかんに.よって,ゼロの収益は結果としてどのような損失額とも 結びつきうるのであって,ゼロの収益と損失との客観的な機能的関係ほ確定し えないのでほなかろうか。損失はむしろ収益との機能的な対応関係の途切れた ものであるとするのが実態のより客観的な見方ではなかろうか。 つまり,委員会の報告書に.よる限り,中でも期間原価の「対応」の必然性は, 必ずしもその内容が明確であるとほいい難い。 5= 期間原価の「対応」 そこでわれわれほ,特に・期間原価の「対瓜」思考が,これまでの財務会計に おいてどのよう紅理解されて−いるか,あらためてそれを概観してみることにし たい。 原価を期間原価処理することを支持する理由をこはいくつかのものがある。わ れわれの知る限りでほ,内部給付の仮説,アイデンティフィケ−シ ョン説,費 用効果説,固定費説,全部処理の便宜税,早期回収説,期間計算の優位性説な どがあり,通常はこ.れらのうちいくつかを継合せて,期間原価処理を支持して いるように思われる。の小論でほ,これら諸説を1つ1つ検討するととほ避け たいが,期間原価の対応関係思考との閑適で,その全体的な特長をうかがうこ ととしたい。 まず内部給付の仮説ほ,製造原価が製品原価として処理され,販売費,・−・般 管理費が期間原価処理される慣行が確立した歴史的経緯を指摘するものであ る。つまり,産業紅おける主流が次第に商業経営から工業経営へと変遷すると ともに.,工業経営に.も商業経営をモデルとした期間損益計算が導入されるにい たった。その場合,商品と内部給付たる製品とのアナロ汐一−から,商品の売上 原価が仕入原価を個別に・確認しながら算定されたことにならって,製,鼠原価を

製造原価の個別的配分手続濫よって算定する慣行が藤立し,他方販売軋一腰

管理費はそれまでの期間原価処理が踏襲されたというのである。これは,直接 6)諸説の内容は,次の文献を参照されたい。黒沢滑・他,座談会「ピ.リオド・コストの 理論」,産業経理,舘16巻第9号,昭和31年9月,98∼113ぺ・−ジ。なお,拙稿,「販売

糞・・−・般管理費のピ.リオ■ド・コスト性についで一−一諸説の再検討」,香川大学経済論叢 ,

発44巻,第2号,昭和46年6月は,諸説に対する私見を述べたものである。

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期間損益計静における期間原価の意義 −−3J7− 的には製造原価がプロダクト・コストとして,販売費,一・般管理費がピリオド ・コストとして処理される慣行ができ上った長い歴史的な経過を説明するに・過 ぎないものであるが,同時にこの見解は,製品原価処理と期間原価処理のいず れであっても,当初は明白な根拠を意識しながら展開したものでほないことを 示唆するものであろう。そのような根拠を忠言執するようになったのほ,会計を 社会制度として:自覚し,秩序のある体系を確立する必要性を感じた現代におい でである。このような見方に従えは,かかる原価の処理形式の理解ほもともと 確固としたものでほなかったといえるであろう。ともかくこのような−・般的経 過を背景としながら,ピリオド・コスト性について様々な現代的諸説が展開さ れたといえるであろう。 費用・収益の対応「関係」そのものを説明するものとしては,当時製造原価 のプロダクト的対応がはとんど唯∴のものであったから,ビリカード的対応が正 当化される理由は,まず基本的な底流として,個別的対応を共通の実務として 確立することが困難であるとの事情にあったと思われる。つまり−・部の原価は 適切な配賦基準が得られないために.あえて個別的配分計算をすると慈恵的とな らざるをえず,そのような慈恵的な配賦計算を回避する意味で,費用計上は期 間原価処理紅とどめるというのである。しかしながらこ.の説は,個別的対応を l巨Ⅰ適する理由ほ説明していても,期間的対応それ自体を正当化する理由ほ.明記 していない。そこ.でかかるアイデンティフィケ」−レヨン説ほ,単独で期間原価 を正当化するのに.ほあいまいであり,他の説と結んで理解する必要があるもの と思われる。 われわれの見方によれば、1つは費用効果説,固定費説との結びつきであり, 他は会計処理の便宜説,早期回収税との結びつきであるといえよう。まず費用 効果説では,製ふ−∫を通じてその生産的効果を次期以降に持越す部分のある原価 ほ,そのまま当期萬用とすべきでほなく,その必要がない原価のみを当期の費 用とすべきであるという。一一般管理費が無視しがたいウェイトを占める今日と なっては,こ.の説が山・般管理蟄の期間原イ阻処理を適切に説明しうるかどうか疑 問である。また当期収益と損失との対応関係を積極的に.解明するものでもな い。さらに固定費謝でほ,販売資,一・般管理費は,毎期反復的に一・定額の発生 する費用が多いから,個別的な煉価配分でも期間原価処野でも結果として計上

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香川大学経済学部 研究年報 20 ヱ.9βク ー34β− される費用額に大差ほない。その場合には簡略な期間原価処理が好ましいとさ れる。しかしこれは,期間発生額が毎期はぼ安定し七いること∴常紅生産鼻と 販売盛がだいたい釣り合って心ることが前提になっていることに留意すべきで ある。いずれの説も,経営規模が拡大し,経営環境の流動的な今日となっては, 期間原価処理の必ずしも首尾一層した説明としてほ成り立ちにくいように思わ れる。ただ,アイデソティフィグー・レヨン組,費用効果説,固定費説の結びつ きにおいては,期間原価処理ほ,慈恵的な配賦計算を回避しながらも,なお製 品原価処理と大体において近似した結果を得るための代替的方便であると理解 する傾向がうかがえる。そのような理解が必ずしも首尾血賞したものとなって いない点紅問題が残っているが,期間原価と収益との「対応関係」に注目しよ うとしている点が特色である。 これと対照的な理解がなされるのが,アイデソティフィケ−レヨン説と会 計処理の便宜説,早期回収説の結びつきである。会計処理の便宜説では,た\と え.ば販売費,一・般管理費も本来ほプロダクト的処理がなされるぺきであるが, ピリオド的処理の方が作業の軽減,計算処理の迅速化など,計算の経済性に適 うとされる。しかし,計算の経済性ほ実務を誘導する力が大きいとしても,そ れ自体,費用・収益の対応関係の在り方,あるいほ逆に対応関係をもつ必要が ないことを解説するものでなく,他の説との結びつきで扱われるペき点に留意 すべきである。また早期回収説では,製品への原価の帰属関係が不明確ないし ほその関係を樹立することが事実上不可能な原価ほ,保守主義思考碇.もとづい て,その発生額をできるだけ早期に収益より回収すべきであるという。この説 は,費用と収益の対応関係の視点から離れ,経営の安全性といった別の視点か ら期間原価を正当化しようとするところ紅特色がある。かくして,総じてアイ ヂソティフィグーーレヨン説,会計処理の便宜説,早期回収説の結びつきを緊密 なものとして理解するとすれば,それは,むしろ費用と収益との対応関係でほ なくて,別の視点から原価の期間原価処理を説明する傾向がうかがえる。われ われの見解紅よると,財務会計におけるこのような見方は,販売費,一・般管理 費もさることながら,損失の期間原価処理を正当化するものとしてもその意義 が認められるように思われる。既述のように,損失ほ収益との械能的な対応関 係を失った原価であるといえる。損失といえども,当初は収益との有効な対応

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期間損益討界紅おける期間原価の憩義 −∂49− 関係を結ぶために.投入された原価であるといえるが,結果としてほ鯨故になっ た原価である。かかる原価は,対応関係というよりは,そのような視点を離れ た別の視点との閑適で,その期間原価性を理解することができるのではなかろ うか。 最後に期間計算の優位性説では,期間損益計算紅おける費用・収益の期間限 定は,必ずしも個別的な製品原価処理にもとづく必要性がなく,簿1義的に.は, 期間収益に対して原価を期間計上することの方が優先されるという。この説 は,期間計算における費用と収益の期間限定という基本的側面に言及するもの であるが,期間原価と収益との「対応関係」を明示的虹示すものとはいえない であろう。ただ,収益と期間原価との関係を適切な「対応関係」であると説明 する見方が別に成立するのであれば,期間損益計算がそれを拒む理由はないこ とを示唆するものであるといえよう。その意味で,期間計算の優位性説は,ど ちらかといえほ販売費,−・般管理費,損失の期間計上を正当化するものとして よりほ,これまでにほ見られなかった収益と期間原価との「対応関係」の新し い解釈の可能性をめざそうとするものであるように思われる。 4.むすび−−−−一不明朗な期間原価性 これまでの論述において.,われわれほ蟄月]。収益の対応概念を,「費用と収益 ほ.,明確常その意義を説明することのできる一・定の相互関係を基調として対応 されるべきである。」とする見方に立って「議論をすすめてきた。さもないと,利 益の経営活動の効率指標としての忠義が損われると考えたからである。 これまでの議論を要約すると,伝統的な期間損益封算における原価の期間計 上ほ,次のような全体的状況ないしほ.論拠に支えられているといえるであろ う。 (1)製造原仙の製.!】−−】尉曲処理および販売費,−・般管理資,損失の期間原価処 理は,当初そうすべき根拠を意識しながら体系化したことによる結果ではな いと見看されている。このような処理形式は,むしろ自然発生的な慣行に.よ るものであるから,あとで様々な解釈をする必要があったといえよう。その ことを逆にいうと,このような処理形式ほ本来それを絶対視しうるはど確固 としたものではなかったといえよう。

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香川大学経済学部 研究年報 20 ー35クー J9β0 (2)これまでのところ,財務会計において期間原価と収益との「対応関係」 の適確な解釈ほ必ずしも見られらないように.思われる。期間凍価を,費用と 収益との対応関係の一・環として見る見方ほ,それがあるとして−も,せいぜい 販売費,−・般管理費の期間計上を個別的対応関係に対する近似的方法である とゆるやかに見る見方があるに過ぎない。つまり,そこでは本来の個別的対 応に対する代替的方法であると見著されている。また損失の期間計上ほ,そ れを「対応関係」に.おいて理解することは不成功に終わっているといえよう。 期間的対応を代替的対応であるとする見方においても,様々な諸説のあいま いな離合せ紅おいて儲解されることが多く,しかも期間的対応が唯一・の代替 的方法であるという保証ほない。換言すると,伝統的財務会計における期間 原価の対応関係の理解は,叫元的に説明できるほど明白なものではなくて, 原価の期間計上がそれとなくゆるやかに㌧是認されているにすぎないといえよ う。 (3)販売費,−・般管理費,損失の期間計上を,費用・収益の「対応関係」と しででほなく,むしろ「対応関係」の設定を断念するものとして理解する解 釈が見られる。アイデソティフィグーレヨン説,会計処嘩の便宜説,早期回 収説の結びつき紅おいて期間原価処理を理由づける見方がそれである。特に 損失の潮間計上に.そのような見方が適用されるであろうが,たとえそのよう な期間計上が認められるとしても,それほあくまでも収益との「対応関係」 の解釈を示すものでないこ.とに留意すべきであろう。 睦)結局以上のような考察によれば,これまでの伝統的な会計においては期 間的対応の対応関係そのものを明確に説明する根拠は見当たらないよう紅思 われる。したがってまた,仮にそのような対応関係を正当化する新らたな 「対応」の見方(たとえば,収益に対する「固定費」の期間的対応)が提唱 された場合,少くとも理論的にそれを拒む根拠も見当たらないように思われ る。

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