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地域差による和三盆糖成分の比較-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学腰学部学術報告 第28巻第60号143∼147,1977 143

地域差による和三盆糖成分の比較*

松 井 年 行

COMPARISON OF THE COMPOSITION OF WASANBON−TO

SUGARS MANUFACTUREDIN TWO DIFFERENT PLACES

ToshiyukiMATSUI

Theshiroshita−tOandwasanbon−tOSugarSmanufacturedfiOmthesamevarietyofsugarCane,

Var・N:Co310,inHiketa,KagaWa Pref二,andinTaneg’aShima,Kagoshima Pr・ef」,WereCOm−

Paredinthecontentofaminoacids,Organicacids,Carbohydrates,anddegradationproductsof

Carbohydratesincludingreductones”TheHiketashiroshita−tOandwasanbon−tOSugarCOntained

less丘eeamido−fbrmaminoacidsandsucrosebutmoreorganicacids,3−deoxyglucosone,hydro−

ⅩymethylfurfuralandreductonesthantheTanegashimaprOduct・TheTanegashimawasanbon−

tosugarisdiscoloredbrownishduringtheTogi,Oshiandcentrifugationprocesses,andfiOmthe

abovefindingthatthedegr・adationproductsofcarbohydratearecontainedlessinthebrownish

TanegaShimasugarthanintheless−COloredHiketasugar,itissuggestedthatsomefactorsother

thanthesubstanccsrelatedtothebrownlngreaCtionareresponsibleforthebrownishdiscolora−

tionoftheTanegashimawasanbon−tOSugar

引田産(香川県)と種子島産(鹿児島県)のさとうきび品種,N:Co310(以下N:Coと略記)から製造された自 F■糖と和三盆糖のアミノ酸,有機酸,糖,レダクトンを含む糖の分解生成物の比較がなされた.引H産自下糖,和三 盆糖は種子島魔の自【F糖,和三盆聴と比較するとアマイド塑アミノ酸,ショ糖は少なく,有機酸,3−デオキシグルコ ソン(以下3DGと略記),ヒドロキシメチル■フルフラール(以下HMFと略記)とレダクトン含盈は高かった.

と 種子島和三盆糖は「研ぎ.,「押し.,遠心分蜜で褐変物質が減少する.糖の分解産物は淡色の引田産よりも種子島

産に少ない1従って褐変反応に関係する物質とは別の因子が種子島産和三盆糖にあることを示唆した. 緒 日 和三盆糖は生産地周辺で収穫されたさとうきびを原料として作られるが,同一・品種であってもさとうきびの作柄が 和三盆糖の歩止り,着色を左右する場合が多い..香川県下のさとうきびは“大きび”と称するもの,すをわち,高貴 種(助αゐαrW∽q押立乃αrα∽エ,)のうち,N:Coを使用して和三盆糖を製造している(1)“またさとうきびは日照盈に よってショ糖の収盈を左右するので,有利な栽培地域は年平均200C以上の低緯度地方にその生産地が多い(2).南種 子島と引田町を比較した場合,前者は日本の代表的な黒糖産地で,主にN:Coが栽培されている.しかも引田町よ りも低緯度に位置するため栽培条件もよく作付面積も多い∩ 従って種子島産さとうきびを使用して自下楓 和三盆糖 が製造できれば,原料の得やすさ,コストの面でも利点が多いい しかし実際に種子島産のさとうきびで白下糖,和三 盆糖を製造すると,白下糖が緑褐色とをる.これを原料とした和三盆糖は,従来の「押し.と「研ぎ.だけの精製方 法では製品に薄暗さを残し(明度が下がる),良い和三盆糖とをらない.この原因を明らかにするために以下の項目 について検討を加えた. 従来,砂糖の着色原因はメラノイジン系色素(アミノ・−カルポニル反応によって生成される),カラメル系色素(糖 *和三盆糖に関する研究(第4報)

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松 井 年 行 香川大学農学部学術報告 144 の熱によるカラメル化),ポリ■7ユノーリレ系色素(さとうきびの生の材質から加工までの間に引き起こされ,ポリフ .ェノ・−ルの酸化による)の複合系からなると考えられている.本報告でほ種子島凰 引田産のさとうきびから作られ た白F■楓 和三盆糖の成分分析と,メラノイジン系,カラメル系色素の着色中間生成物と考えられる3DG,HMF,レ ダクトンの定量を行なった‖ ■また種子島産のさとうきびを原料にして和三盆糖を製造するとき,従来の精製法の上に さらに遠心分蜜を行なわないと引田産の和三盈糖に似た包皮を示さないことから判断してガム賀の定羞を行なった. 試料および実験方法 1.試料 香川児大川郡引田町(讃岐和三盆糖産地)と鹿児島倶熊毛郡南種子町(黒糖産地)で共に1973年12月に 収粧されたN:Coで作られた自下糖と和三盆糖を使用した. 2√.−・般分析 前報(8)と同様に行なったい 3自動分析計によるアミノ酸の定鼠 前報(3)と同様に試料を調製し,日吏.KLA−5型アミノ酸自動分析計によって分析を行なった. 4.ガスクロマトグラフィーによる糖の走塁 前報(3)同様,Sweeleyらの方法に従ってTMS化し,日立063型 スクロマトグラフィーによって分析した. 5.ガスクロマトグラ・フィーによる有機酸の定最 前報(8)同様,溶出液をメチルエステル誘導体とし,日立063型 ガスクロマトグラフィ1一によって分析を行なった‖ 6、包皮の測定 各試料の色度を測定するため,カラ・−マシン株式会社製カラ・−マシンCM−20型を用り,自タイル (L,9132,a,006,b,224)を基準にして各試料の反射光を求め,L,a,b色度によって示した.. 7.3DGの定盈 各試料に水10mlを加えて供試試料とした試料0.5mlに水5ml,2N塩酸酸性0.2%2.4−ジ ニトロフユニーリレヒドラジン溶液1mlを加え300C30分間反応させ,30分後0.3N苛性ソーダ溶液10mlを加えて 室温で30分間静置する.放置後,530nmで測色する岩野ら(4)の方法により定見した. 8HMFの定蛍 各試料1gに水20mlを加えて供試試料を作り,このうち5mlを採り,40%トリクロル酢酸5ml, チオパルピッ・−ル敢005M水溶液2mlを加え380Cで40分間放置後,妥温まで冷却し443nmで測色する加藤ら(5) の方法により定量したリ 9小 レダクトンの定量 各試料1gに水20mlを加えて供試試料を作り,このうち5mlを採り,3%−インドフェ ノ・−ル,ブタノ・−・ル溶液を使用する満田ら(6〉の方法に従って定孟を行なった‖ 10.ガム貿分の定見 各試料10gに同量の水で溶解しl吸引ろ過する.ろ液に濃塩酸11nl,95%エタノ・−リレ100ml を加えた後,グー≠リレツボでろ過する小1050Cでグ・−チルツボの恒袋を求めた後,8000Cで灰化しその重量を差引く 精製糖工場工程管理法(7)に従ってガム貿分を定親した. 実験結果および考察 Tablelに一・般分析借を示した引田産,種子島産とも和三盈糖で大きを差は見られなかった.遊離アミノ酸含盈 をTable2に示した.引田産,種子島産の白下楓 和三盆糖を比較した時,アスパラギン,ダルクミンのアミドが種 子島産に多いことがわかる小 楯舎監をTable3に示した.種子島産,引田産を比較した時,種子島産にショ糖盈が高 かった.有機酸含盈をTable4に示した.引田産に有機酸含量が高かった.Figl1に種子島産,引田産の自下糖,和 三盆糖をL,a,b色皮で測定した結果を示した.種子島と引田産の明度(Lightness)を比較すると,引田産の方がよ くさらされていて,種子島産に薄暗さを残す様であるTable5に塘のカラメル化,アミノーカルポ・=・ル反応の褐変 中間生成物としての3DG,HMF,をらびにレダクトンを示した.、3DG合皮は和三盆糖製品の場合,引田産と種子島 産を比べると引田産は種子島産の約2倍で,HMF,レダクトン含量も引田産の方が高かったTable4で引田産と種 子島産とを比較すると,淡黄色が引田産に強かった.淡黄化及色もどりの原因は前報(8)で明らかにしたように,着色 中間生成物の3DGによるものと考えられる1. ガム質分の定量倦を見ると,種子島産は引田産の約19倍含有されていたぃ ガム貿は原料糖結晶に包含されて原料 ろ過皮を悪くする成分であると定義(7)・(9)されている従って種子島産自下糖で和三盆糖を製造した場合,従来の精製 法の他にガム質分の影響を除くために遠心分蜜しをければなら凌い理由の1つである.以上の分析結果から判断する

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地域差による和三盆糖成分の比較

第28巷第60弓(1977) 145

Tablel‖ ApproximatecompositionofWasanbon−tOSugarSfiOmTanegashimaandHiketa (%onwetbasis)

Tanegashima

Shiroshita−tO Wasanbon−tO Shiroshita−tO Wasanbon−tO Sugal ‖01 0、78 0.18 0。05 Moisture Cnldefat 13 13 0.71 0.04 0い21 95‖46 1い60 0.60 0”10 O l▲・l ﹁/ 1 0 8 14 Crudeprotein O小95 0…16 *SucrOSe 82.70 97い52 *Reducings喝af 5.64 1・62 Ash 2い59 0.8L7 **Ti亡ほtabkacidity O・19 0−08 7 9 0 6 0 1 7 3 7 ﹂T *Calculatedasglucose

** Calculated as acetic acid

Table2.ContentsofFreeaminoacidsinWasanbon−tOSugarSfkomTanegaShimaandHiketa (mg%onwetbasis) Tanegashima Shiroshita_tO Wasanbon.to Sugar Hiketa Shizoshita・.tO Wasanbon−tO Sugar 7 6 5 2 9 2 7 1 6 2 5 6 5 0U 3 9 6 9 .1〇5437う 卜逐一8.94.32﹂.9294

00〇6 r40 ■ 01〇〇〇〇〇〇213

4 6 Lys His NH8

Asp

Tllr SeI Glu Pro

Gly

Ala Val Ileu L(、tl

Tyr

Phe 7−ABA Asp−NH2* Glu−NH2* Total OU 2 0 1 1 5 7 7 1 7 00 9 6 3 6 3 2 6 ﹂547716 87078340690 11〇.8.a4.5.+乱L乳5.432.2∵軋ハい鼠 1 2 4 1 2 1 1 7 −・6 6 9 仁J 1 4 9 0 4 00 2 4 EJ 6 4 4 0 4 4 2 6

24う〇23〇 386

. 9 3 1 1 8 3 1 1 1 2 8 ﹂T ⋮㍑ほ摘憫⋮+臓摘L27摘⋮柑0・2。摘6・22膵膵 2

*Caユculated fiom the di恥renceoLtheamountsofasparticacid orglutamicacid befbre and acid hydrolysis

afteI・

Table3ContentsofCarbohydratesinWasanbon−tOSugarSf土OrnTanegaShimaandHiketa (%onwetbasis)

Tanegashima Hiketa

Shiroshita−tO Wasanbon−tO Shiroshita.to Wasanbon−tO

Sugar sugar 6 3 8 7 ハU り心 5 8 3 4 8 8 nO 6 ■hJ 9 −︶ ■1 5 2 2 3 2 0U OU 8 7 7 0 4 5 0U 2 6 0 人U 7 ハ0 9 9 7386朋99 0 0 且:a 9 9

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桧 井 年 行 香川大学農学部学術報告 146 Table4.ContentsofOrganicacidsofWasanbon−tOSugarSfkomTanegashimaandHiketa (mg%onwetbasis) Tanegashima Shi10Shita−tO Wasanbon−tO Sugaf Hiketa Shiroshita_tO Wasanbon..to Sugar Lactic acid Glycoiic acid Oxalic acid Malonic acid Succinic acid Malic acid cis_Aconitic acid Citric acid Pyroglutamic acid Total 368 」一 ート イュ 3 4 nO 4 3 一+”‖⋮二“椚“ 2 1 2 5 9 4 9 9 9 q‘ 0 8 6 一.+ L 219.& 乳”7 1 1 5 6 9 4 4 996712 一+0・7M鋸∽銅川 1 8 4 0U 4 5 仁U 6 −▲ 6 7 8 .﹁ 3 8 5 0 4 2 2 4 1 3 2 Calculatedbyexcludingunidentifiedcomponents さIlow 四 ′ト

10

‖ 5 ※ 0 5 Re

Figll,L,a,b chomaticvalue diagram ofWasanbon−tOSugarS

duringrefiningprocess.

Tanegashima −−− Hiketa ※Re丘nedo工dinarysugar,COmmerCiallyavailable X ShirOShita−tO ズ Wasanbon−tOSugar と,種子島産のN:Coから作られた白下船は引田魔のそれと比較した場合,ショ糖盈は多い.しかし,イオン交換 樹脂,活性炭処理等による工業的楷製法でなく「押し.と「研ぎ.による従来の精製方法で和三盆糖を作る場合には, 脱色,分密の度合,最終製品の色度から考えて従来の引田産N:Coが良いと考えられる. 和三盆糖製品の色について考えた場合,3DG,HMF,レダクトン含盈は引田産に多いのに明度は引田産が高い. 3DGは淡黄色色素の主な成分で明度をさげる重要を因子である(醤油,みそ等で色の濃いものに3DG食塩が高い(10)。 和三盆地の場合でも「研ぎ.段階の早い程3DG含意が高い(巧))のに3DG舎監の少ない種子島産の明度が低い.以 上を考え合わせるとメラノイジン系,カラメル系以外の色素によるものと推定される。.ポリフェノ・−ル系色素につい ての検討を加えていをいので明確ではないが,ポリフェノール系物質の中でUnknownfactorが色に影響を与えてい

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第28巻第60号(1977) 地域差による和三盆糖成分の比較 147 Table5Contents of3−dcoxyglucosone,5−hydroxymethylih血ral,reductone and guIn Substances

inWasanbon−tOSugarSfiOmTanegashimaandHiketa

(mg%onwetbasis)

Tanegashima Hiketa

Shiroshita_tO Wasanbon_tO Shiroshita_tO Wasanbon”tO

3−DG HMIJ Reductone 210 75 0 220.0 1700 222 07 280 O 410 84 02 170.0 Gum substances 530,0 るものと推定される.今後,ポリフ,エノ1−リレ系色素の色に与える影響について検討を加える予定である. 要 約 和三盆糖は同一・のさとうきび品種(N:Co)を使用した場合でも気候条件,環境によって非常に影響を受ける場合 が多い.今回は種子島産と引田産のさとうきびから製造された白下糖と和三盆糖について検討を加え,合せて成分分 析を行ない次のことを明らかにした.、 1)種子島産,引田産の自下糖,和三盆糖の遊離アミノ酸含量を比較すると,種子島産が高かった. 2)種子島産ではショ糖含盈が高かったが,有機酸では引田産の含盈が高かった“ 3)ガム貿分含有塵は種子島産に多く,引田産の約1.9倍であった‖ 4)3DG,HMF,レダクトン含量の高い引田産が明度において高いことから判断すると褐変反応中間生成物以外に 何らかの包皮に影響する因子・の存在が考えられるい この因子が種子島産さとうきびに多く含有されると推察される. 本研究を行なうに当り,試料の提供を願った引田の三谷友義民,種子島さとうきび品種について調査頻った九州虚 業試験場,温暖地作物研究室長,福永公平氏,また御指導賜った故楕崎丁冊数授,大阪府立大学農学部,北岡正三郎 教授に感謝します.なお本報告は1975年5月日本栄養と食楓 第29回総会(京都)にて講演発表を行をった. 文 (1)松井年行:食品工菜,17(24),31(1974). (2)大内山茂樹,細川定治,吉武哲夫:作物大系,第 8編,糖料,1(東京)養賢堂(1963). (3)松井年行,山田勝治:栄養と食糧,28,371(1975)小 (4)岩野君夫,釆間健次,衣山陽三,中村元彦:醸造 協会詰,65,59(1970)小 (5)加藤博通,桜井芳人:日農化誌,38,536(1964). (6)満田久輝,鹿内健彦:ビタミン,13,394(1957).. 献 (7)精糖技術研究会編:製糖便覧,15(束京)朝倉書 店(1962)‖ (8)松井年行:日食工誌,23,339(1976). (9)山根嶽雄:甘薦糖製造法,74(束京)光琳蕃院 (1966).. (10)加藤博通,山田端乱 井坂健一・,桜井芸人:日農 化誌,38,536(1964). (1976年9月30日 受理)

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