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目指せ! 世界のトップ 日本の闘い (1) 成果 1 U-19 U-18 年代の融合昨年 12 月に F I FA U-17 ワールドカップが終わり U-17 年代と U-18 年代を合わせて 3 日間の短期キャンプを行った 今回は約 3カ月ぶりに招集して 2 週間の長い期間 キャンプお

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3月22日〜4月6日/アメリカ・テキサス州ダラス  到着当初は気温が低く、強風が冷たく寒かった。しかし日が経つに つれて徐々に気温は上がり、日中は20 度から25 度くらいまで上昇し て、半袖で十分行える気候であった。また、ダラスは 360度見渡して も山が見えない広大な平原であるため、風が強い日が多く、今回の大 会もほとんどのゲームが強風の中で行われた。  ダラスカップは1980 年に始まり、今回が 31回目となる歴史のある 大会であった。U-13 から U-17 までは 1年ごとのカテゴリーに分かれ、 U-19 年代は U-18 と U-19 年代を合わせたカテゴリーで行われている。 約20カ国50チームが国外チームであり、全カテゴリーで合計174チー ムが参加する大規模な大会であった。

 U-19のカテゴリーは U-19スーパーグループと U-19グループの 2 つ に分かれており、日本は U-19スーパーグループに参加した。参加資格 は1990年 8月1日以降生まれであり、日本より 5 カ月生まれの早い 選手が入れる条件であった。16 チームを 4 ブロックに分けて予選リー グを行い、グループ 1 位が準決勝に進出する大会形式で、試合時間 は 90分、選手交代は 6人まで認められていた。  大会の会場は 2カ所に分かれており、1カ所はメイン会場のピザハッ トスタジアムと周辺に 17 面のサッカー場(天然芝・人工芝)を有する ピザハットパークで行われ、ピッチ状況はすばらしかった。もう1カ所 は、リッチランドという大学構内のサッカー場を使用した。ここも広 大な敷地に天然芝 13 面を有していた。しかし、芝の状態はピザハット スタジアムと比べると良くなかった。両会場ともホテルから 30 分程度 の移動時間であり問題はなかったが、広大な敷地に風よけがないので、 毎試合強風の中でのゲームとなった。 (1)予選リーグ ※下表参照 (2)決勝トーナメント 準決勝 クルゼイロ(ブラジル) 3 -1 トットナム(イングランド) 準決勝 モンテレー(メキシコ) 3 -1 U-19 メキシコ代表 決 勝 クルゼイロ(ブラジル) 4-2 モンテレー(メキシコ)

U-19 日本代表

第31回ダラスカップ

【報告者】布啓一郎(U-19日本代表監督)

■予選リーグ (日本のグループのみ記載) グループ C トットナム 日本 ティグレス ダラス テキサンズ 順位 トットナム ホットスパー FC(イングランド) △ 1-1 ○ 2-0 ○ 2-1 1 U-19 日本代表(日本) △ 1-1 ○ 3-2 ● 2-3 2 ティグレス(メキシコ) ● 0-2 ● 2-3 ○ 4-1 3 ダラス テキサンズ U18(アメリカ) ● 1-2 ○ 3-2 ● 1-4 4

1. 日時・場所

2. 気候

3. 大会概要

4. 大会結果

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U-19日本代表 第31回ダラスカップより

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5. 日本の闘い

(1)成果

① U-19、U-18 年代の融合

 昨年12月にFIFA U-17 ワールドカップが終わり、U-17年代とU-18 年代を合わせて、3日間の短期キャンプを行った。今回は約 3カ月ぶ りに招集して2 週間の長い期間、キャンプおよび海外での大会参加が できたことで、選手のコミュニケーションもスムーズになり、チームと しての一体感が出てきた有意義な遠征となった。  また、スタッフとしては、ゲーム、トレーニング、ミーティングを効果 的に繰り返していく中で、チームコンセプトの共通理解を深め、チーム としてのやるべきことが選手に落とし込めた。また、大会を通して選手 の力量も掌握することができ、今後の方向性が明確になった。 ②人とボールが動くサッカー  強風下でのロングフィードの質には問題もあったが、ショートパスを 中心に相手守備ブロックの中でボールを動かして組み立てることがで きた場面が多かった。自陣深くのスローインから、シンプルなボール の動かしと、人とボールを越えて行く活動性で得点する場面もつくれ た。また、相手のバイタルエリアで複数の選手がシンプルに関わり、 得点場面や決定機をつくることもできていた。体格やパワーに勝る相 手に対しての日本の闘い方が明確になり、今後は技術の精度と動き の量と質を高めていき、チーム全体で攻守に 関わり続ける時間を増 やしていきたい。 (2)課題 ①攻撃 ・相手の背後へのアクション  相手の守備ブロック内でボールを動かすことは成果として挙げられ るが、サッカーの目的であるゴールに向かうプレーはまだ少なく、改善 していくことが必要だと思われる。ファーストストライカーがタイミング 良く早く動き出す中で、複数の選手が呼応していくことを高めていく必 要がある。 ・ボールを動かしながら有効にスペースを使う  相手陣内でボールを動かしていく中で、ピッチを自分たちで狭くして いる場面が多く、ゴール前を固めた相手に対して崩しきれない原因に もなっていた。バイタルエリアに縦パスを入れる中で、サイドの幅を意 図的に使うことが必要だと思われる。そのためにはボールホルダーが 隣の選手ではなく、人を飛ばした味方を観ることができることと、ボー ル後方の選手のサポートの質の向上を求めていく必要がある。 ・キックの質  局面的には早いパス交換で崩すことができたが、自陣での組み立て におけるパススピードとロングフィードの精度に違いがあった。強風下 や芝の状態などのコンディションが悪い中で、日本チームは海外チーム に比べて明らかにパスがぶれてしまっていた。海外チームは状況によっ て低い弾道のパスや、ボールが流れないために逆回転をかけるなど、 多彩なキックを行うことができていた。しかし日本は抑えて蹴ることが できずに、風にあおられてコントロールを失うようなキックが多かった。  ボールをとらえる技術の不足は、ボールを蹴る回数の不足と連動し ていると思われる。相手ブロック内でパスをつなぐことは日本の狙いで あるが、DF 背後への走り込みを可能にするロングフィードがなければ、 相手を崩すことは難しい。ロングキックの質を高めるために、回数を 蹴り込んでいくことが重要だと感じられた。 ②守備 ・個でボールを奪う力  オンの 1 対 1 の対応では相手の近くで取れないため、身体の軸を 相手に寄せることができずにボールを奪えない場面が多かった。また 身体の軸を寄せられないことは、安易に手を掛けて奪いに行くことに もつながり、手のファウルの回数も多かった。守備の連続性を出せる 選手もまだ少なく、相手にボールを動かされるとポジションが不明確 になり、ボールプレスが甘くなる場面が多かった。ヘディングの競り合 いでも、不用意に相手の背中に手を掛けてしまう場面も多く、トレー ニングの必要性を感じた。 ・縦ボールの対応  すべてのカテゴリーで課題と言える、縦方向のロングフィードに対し てポジションがとれずに、簡単にディフェンスラインの背後を取られて しまう場面が今回も多かった。守備ブロックをつくることに慣れてしま い、相手が縦にフィードする状況でも相手 FWと並んでいることが多 い。日本国内では正確なロングフィードで、シンプルに DF の背後を 狙われるケースが少ないため、正しいポジションの習慣がついていな いことがうかがえる。攻撃のところで述べたが、優先順位を考えた質 の高い攻撃が、守備の質を向上させることにつながるので、国内のゲー ムで攻撃側が DF の背後を突く質を上げ、守備側が正しいポジション をとり続けることを習慣化する必要があると思われる。 ・守備の連動  前方に対してはチームとして守備意識を持って対応する場面が多 かったが、自分のラインをボールが越えると、背後に対しての守備意 識は低かった。相手に制限を加えながら、縦パスを出させて前後で挟 み込んで奪うことを狙っている選手が少ないと言える。今後は守備ブ ロックを形成しながら、いつどこで奪えるかの精度をチームとして上げ ていく必要があると思われた。

6. 総括

 状況に応じたゲーム運びは、日本のウイークポイントと思われる。 その状況とは、ゲームの時間帯や得点差などもあるが、今回は強風と いう自然条件を経験したことが大きかった。大会当初は追い風と向か い風にかかわらず、同じようなゲーム運びをしていたが、ゲームを重ね ていく中で、追い風を利用してシンプルにゴールを狙う意識が出てきた。 レベルの低い話のようであるが、これも現状である。また、ピッチ状況 の悪い中や向かい風に対してはキックの質が問われた。ビデオで見る と海外チームは風の影響を受けないキックができるが、日本選手はボー ルをとらえることに苦労する場面もあり、キックの文化の違いを考えさ せられた。  しかし成果も確認できた。U-18、U-19 年代が融合したことにより

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1. チームの目指す方向性

 昨年10月フィリピン・バコロド島の AFC U-16 選手権予選後から受 験期を迎え、5カ月後の活動となった。この間の「成長の証」を示す 招集と位置づけた。高校受験でトレーニング不足の状態ではあるが、 サニックス組から4人の選手を10日後のモンテギュー組へ合流させる ためのサバイバルキャンプであることも認識させ、キャンプをスタート した。 Dream(夢):「世界に打って出る」(世界に舞う)  ⇒ Goal(目標):「ファイナリストになる」(決定機をつくる⇒ゴール を決める、ゴールを守る、インターセプトする)  ⇒ Style(方法・やり方):「全員攻撃・全員守備」〜いつでもどこで も数的優位〜  ⇒ Concept(方向性・あり方):共鳴(誰々が〜したから、自分は〜 するという…3人以上で響き合う)  という方向性の中で、共鳴するためには ⇒ ①自立・自律すること、 ②感性を磨くこと、③役割分担を演じること ⇒ そして(ⅰ)コミュニ ケーション力、(ⅱ)実行力、(ⅲ)整った生活習慣、が必要であり、こ れらすべてが「日常」にある。これらすべてを含め追求することに取り 組んだ。

2.2010年 第1回 U-16活動

 「サニックス杯国際ユース大会の狙い」

テーマ: ①熟れる…初めて招集する選手が 8人いることもあり、すべての環境 に適応し熟達する! ②発揮・アピールする…モンテギューへのサバイバルキャンプでもあ り、自分の特長を発揮し、アクションを起こしアピールする! ③狙いを持つ…好機と危機を感じる感性を持つ! ※中国、韓国、オーストアラリアチームとの対戦もあり、最終予戦を踏ま え、アジアのチームと戦うシミュレーションとしての狙いも意識づけた。

3. 内容とトピック

〔トレーニングマッチ〕  サニックス杯に入る前に、東海大学付属第五高校と 2 試合行った。 94ジャパンのコンセプトを選手に落とし込むのに大変有効で、M-T-M で課題克服に取り組めた。中でもセットプレーの守備について、責任 を持ってしっかりマークするという基本的な課題が残った。 〔トレーニング 〕  毎回の内容を「アップ系⇒シュート系⇒ポゼッション&突破系⇒セッ トプレー系⇒ゲーム⇒クールダウン」という流れで行った。どれも相手 (DF)を付け、グループで勝敗にこだわらせた。また、1 回のプレー後、 マーカーまで戻ることも素早くすることを促し、休んでいる時間をでき るだけ少なくした。守備では自分の背後へのコースを切ってからチャレ ンジ&カバーを繰り返すことを強調した。 〔ゲーム〕  中国チーム(U-16)、韓国チーム(長薫高校)、南オーストラリアチー ム(州ユース)、アビスパ福岡 U-18、東海大学付属第五高校、山梨 学院大学附属高校とさまざまな特徴のあるチームとの対戦は、経験 値を上げる上で、またそれぞれのチームの勝負へのこだわりを感じる上 で、大変有意義であった。 〔その他〕 ・問題解決をチームで行うことを意識づけた。大会中に自チームから レッドカードを 2 度出してしまったが、ベンチを見ることなくピッチ上 の選手たちでシステムや配置を変更し対応した。最終予選でのレフェ リーの問題を考えると、良いシミュレーションとなった。また、試合 前のミーティングをわざと長くし、十分なアップ時間を取れない状態 でゲームに臨ませた。自分たちでスタメン組とサブ組の役割分担をし、 慌てることなく取り組めた。最終予選の緊張感のある中でも平常心 で取り組めると信じたい。 ・腕立て伏せと足首の柔軟性をチェックし、5カ月間の成長度を調べ た。おおむね満足のいく結果が出て、意識の高さと継続を再認識で 選手層は厚くなり、日本の目指す、人とボールがシンプルに動くサッカー を行える時間が増えてきた。まだ十分とは言えないが、チームコンセプ トも理解が深まり、攻守に関わり続ける場面も多くなってきている。 今後は毎月1 回のペースでキャンプを重ねることで、さらに質を高めて いき、10月のAFC U-19選手権に向けてのチームづくりを行っていきた いと思う。

U-16 日本代表

2010 サニックス杯国際ユースサッカー大会

第38回モンテギュー国際大会

【報告者】吉武博文(U-16日本代表監督)

2010 サニックス杯国際ユースサッカー大会

3月16日〜22日/

グローバルアリーナ(福岡県宗像市)

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きた。 ・イチロー選手を題材に、「成功とは自分で決めた目標を達成すること」 「ライバルは自分自身であること」「自分と語ること」など、意志を持つ ことや継続することの重要性を確認した。

4. 成果と課題

 初招集の選手もいる中で、94ジャパンコンセプトである「共鳴する こと」を念頭に置いて取り組んだ。初日はどうなることかと思ったが、 2日目から徐々に共鳴し、3日目にはある程度の形ができた。94ジャ パンはリーグ戦を 2 位抜けした。最終予選では、決勝トーナメント1 回戦が世界への決定戦となる。今回は、東海大学付属第五高校と対 戦しPK方式の末に敗れた。結果は、最終予選に向けての教訓となった。 7〜 8 位決定戦でもPK方式となったが辛勝し、結果的には課題克服 という形で活動を終えたことは成果と言える。 ≪成果≫ ①ボールを失った瞬間からアグレッシブに守備に転じる切り替えの速さ。 ②ゴール前のディフェンスにおいて、身体を寄せて粘り強く対応するこ とや身体を投げ出してシュートブロックすることができた(簡単に シュートをうたせない守備ができた)。 ③意図的にボールを進めながら決定機を数多く演出できた。 ≪課題≫ ①ゴール前に凝縮される質、「ほんの 30cmのズレ、ほんの 0.01 秒の タイミング、ほんの10 度のアングル」にこだわる気持ちが足りない。 ② 1 点の重みを感じ、2-0や1-1の場面ですんなりと何もなかったか のようにフェードアウトしゲームを終結させることができない。 ③チャレンジ&カバーを怠らずに繰り返し行うことや 2人3人で縦と横、 蓋をする人と奪う人など、状況に応じて役割を遂行することにブレが ある。 ≪宿題≫ それぞれがイメージしたプレーを実行するのに必要な個々の技術 ⇒自分がゴールへ向かうための、①コントロールの質、②ターンの習得、 ③ミドルキックの種類と精度  を各自が日常で取り組む課題として持たせた。

5. まとめ

 サニックス杯国際ユースサッカー大会は、4日で 6 試合、2歳年上の チームとの対戦、10日後のモンテギュー遠征(フランス)へのサバイバル という、精神的にも肉体的にも過酷な状況の中での一週間であった。 その点では「夢とは達成までの過程が夢なのである」「今を闘えない者 に夢を語る資格はない」という2つのスローガンそのものであった。  選手たちは、「仲好し小好しだけの関係」ではなく、本気で勝利を目 指す中で激論を交わしながら同じ方向に向かって取り組む過程(プロ セス)を真摯に楽しんだ。「うまくいくときもあれば最悪の内容のとき もある」「できるときもあれば、できないときもある」「 昨日できたのに今 日はできない」「良いときもあれば悪いときもある」中で、選手たちは 徐々に熟れ、できないときもやろうとする姿を随所に見せてくれた。 2010年最初の活動にあたり、選手たちの「成長の証」に手応えを感 じた一週間であった。  最後に年度末でさまざまなチーム活動のある中、選手を派遣してい ただき、各チーム関係者には心より感謝しています。

第38 回モンテギュー国際大会

3月27日〜4月7日/フランス・モンテギュー

1. 大会概要

①大会全体  モンテギュー国際大会は、今年で 38 回目を迎える大会である。そ の雰囲気は、世界各国のユース年代の選手を温かく見守りながら育て ていこうという大会関係者の思いが強く感じられた。試合会場は街ク ラブのピッチを使用し、音楽が流れる中、緊張感のある練習試合のよ うな雰囲気であった。各チームにロッカールームが準備され、チーム 帯同ボランティアや会場ボランティアの大人もいて、ゲームをする上に おいては何の不自由も感じなかった。観客は近郊の人々の年に一度の 楽しみといったアットホームなムードがあった。決勝戦では 1 万人近い 観客が静かに見守りながら「良いプレーは賞賛」し、大きな拍手を送り、 ゲームの演出にも一役買って観戦を楽しんでいた。 ②日程  1日目はリーグ第 1 戦、2日目はリーグ第 2 戦、3日目は開会式(パ レード)、4日目はリーグ第 3 戦、5日目は休息、6日目は順位決定戦と いうゆったりしたものであった。 ③開会式(パレード)  地元小学生と一緒に街を歩く予定だったが、雨のため体育館で関 係者の軽いあいさつ、各チームの紹介と、いたってシンプルで街をあ げてのお祭りムード的なものであった。小学生が各チームをサポート しながら式を盛り上げていた。 ④大会  代表グループ 8チームとクラブグループ 8チームをそれぞれで順位 決定する。グループをそれぞれ A・B2グループに分け、1〜 4 位を決 めて 1 位同士、2 位同士…と順位決定戦を行う。試合は40分ハーフ、 交代 5人。得点王、ベストGK、MVP等を表彰する。リーグの順位決 定方法は、①勝点( 勝 3・分1・負0)②当該チーム③全チーム得失 点④総得点⑤若平均年齢の順で決定。

2. チームの目指す方向性

 2011年のFIFA U-17ワールドカップを目指す日本代表を「94ジャ パン」と名づけた。1994年以降に生まれたすべての者のチームとい う意味を込めて名づけた 94ジャパン。U-16 代表の活動に参加する・ しないではなく、世界中にいる 94 年以降に生まれたすべての日本 人でつながっている活動である。みんなで闘っていく心を持つという

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発足当初の初心を思い起こしながら、2010 年もスタートした。 Dream(夢):「世界に打って出る」(世界に舞う)  ⇒Goal(目標):「ファイナリストになる」(決定機をつくる⇒ゴールを 決める、ゴールを守る、インターセプトする)  ⇒ Style(方法・やり方):「全員攻撃・全員守備」〜いつでもどこで も数的優位〜  ⇒ Concept(方向性・あり方):共鳴(誰々が〜したから、自分は〜 するという… 3人以上で響き合う)  という方向性の中で、攻撃では GK とディフェンスラインの間のス ペースを狙って決定機をつくる。それをDF 側が阻止しようとGKとディ フェンスラインの間のスペースを埋めてくる。するとバイタルエリアにで きたスペースを使って、ボールを動かしながら人数をかけて崩す。そして、 DFがバイタルエリアを埋めれば、サイドのスペースを2 対1で攻めたり、 後ろからオーバーラップしてサイドを崩す。ディフェンスラインの背後の スペース・バイタルエリア・サイドとDF側が人数をかければ、ミドルシュー トレンジに DF がいなくなる。そこでミドルシュートを狙う。すると DF 陣が守備のブロックから出てくる。GK の前にスペースができる。今度 はまたそこを狙う…。  いわゆる「プレーの原則」にしたがって真のサッカーを徹底・追求 すると攻撃のバリエーションが増える。  そんな「多彩」というキーワードを持ちながら、世界との差が何なの かを体験し、今後の道しるべとすることを目指した。

3.2010年第2回U-16活動

 「モンテギュー遠征の狙い」

 AFC U-16 選手権予選を戦ったコアな11人のメンバーにサニックス 杯から5人、新しく2人加えるというメンバー構成での活動となった。 一週間前のサニックス杯の活動から類似はするものの一歩進めた形の テーマで臨んだ。 テーマ: ①熟(な)れる⇒ 生(な)れる⇒成(な)れる…適応し熟達する ⇒  新しいものを生み出し ⇒ 目標を達成する! ②自分がやる…共鳴のベースをもとに自分自身がアクションを起 こす! ③狙いを持つ… 危険なスペース、チャンスとなるスペースを狙 う、今、自分ができることをやる! ※ 4 試合目に最高のパフォーマンスで結果を残す…10月 23日から行 われる AFC U-16 選手権(アジア最終予選)では、4 チームリーグ 戦の後(上位2 チームが決勝トーナメント進出)、8チームによる 準々決勝を行いベスト 4 進出の 4 チームが世界大会の切符を得る。 したがって、予選リーグを突破し、4 試合目に勝利することが目的で ある。

4. 試合内容とトピック

①予選リーグ第 1 試合 対ガボン ○ 3 - 0  相手選手の思いもよらぬスタンスの長さや予期せぬところから出てく る足に手こずりながらも、3人以上で共鳴しながら得点を重ねることが できた。しかし、柔らかいピッチや軽いボールに慣れないまま、イー ジーなミスも多々あった。ただし、スタメンではない選手たちも意欲を 失うことなく、途中出場でゲームの流れを変えたりゲームを決めたりと 貢献できた。 ②予選リーグ第 2 試合 対ウクライナ ● 0-4  帰陣の速い守備と大柄な選手が 8人でゴール前のスペースを埋める ブロックに目を丸くするプレーが続出した。前半は 0-0であったが、後 半に入り自滅して失点を重ねた。攻撃時における素早い 3 人目の選手 をつくることができれば、ゲームの印象はかなり違って見えたであろう。  選手たちは固い守備に対して「人ごとではなく、私ごととして」ど うやって崩そうかと頭を悩ませていた。その試行錯誤を楽しいと感じ る選手が数人いたことは収穫であった。 ③予選リーグ第 3 試合 対 イングランド ● 1-2  第 2 試合の教訓を生かし、相手の堅い守備に対して日本も堅い守 備で応戦できる時間帯があった。少ないチャンスから先制点を挙げた のも評価できる。しかし、ゲームでの留意点である得点直後の時間帯 で失点するというもろさも見せた。2点目の失点もリズムが悪く、失点 の予兆をチームで感じてもよい時間帯に起きたのは残念であった。し かし、80分間戦ったという印象が持てたのは成果である。 ④ 5〜6 位決定戦 対 UAE ○ 2-0  4 試合目に最高のパフォーマンスで結果を残すという目標の半分は 達成した。前半は決定機も多く、シュート場面を演出でき、楽勝ムード を漂わせたが、後半に入り守備が長い時間帯もあった。最終予選で 対戦の可能性があるチームだけに、冷静さを失いゲーム終盤で相手 の得意なノーガードの打ち合いに持ち込まれたのは、本番で接戦にな ることを予感させられた。しかし、1-1の引き分けや1- 2の負けという 可能性もあった中で、結果を残したのは成果と言える。 ⑤生活での挑戦  選手の生活はいつもゆったりしたものであるが、これまでの海外遠 征ではホテルでじっとしていることが多かった。リスク管理をしながら も、ここでしかできないことにも挑戦しようという 94ジャパンの合言 葉があるが、今回は自由時間を使い、現地の床屋に散髪に行った選 手がいたのは頼もしい限りである。 ⑥各種座席  食事やミーティング、バスでの移動やロッカールームでの着替え等、 選手はいつも同じ座席で特定の選手との対話を楽しむものであるが、 徐々に定位置からシャッフルをはじめ、不特定の選手同士の会話も増 えつつある。ピッチだけでなく選手の性格や行動パターンを知る上で は良い傾向であろう。 ⑦ 観客のサッカー観  土曜日の試合ということもあり、たくさんの声援を受けた。日本がう まくボールをつなぎ攻撃開始状態をつくった。次の瞬間、ボール保持 者はスルーパスをせずにバックパスをした。ベンチでわれわれコーチ

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陣が「縦パスでしょう?」と言ったと同時に、観客席から「オー」や「ブー」 の罵声…。おばさんやおじいさんの方が日本の選手たちよりサッカー を知っている。数万人のモンテギュー市民のサッカー観を垣間見るこ とができた。 ⑧日本の位置  試合会場近くの市役所で、イングランドチームとともにわれわれも 歓迎を受けた。その際、それぞれの国紹介では、「ワールドカップやク ラブの世界大会で活躍する選手を輩出しているイングランドのサッ カーの歴史には敬意を表します…」。  一方、日本チームの紹介は「最近のワールドカップに出られるよう になった躍進はすばらしい。でもまだサッカーにおいては若い国だか ら…」。日本はヨーロッパの人々にとってそんな位置づけだった。

5. 成果と課題

 今回の遠征では、アフリカの新興国、アジアの常連、ヨーロッパ の雄というさまざまなチームと対戦することができた。それぞれ日本の 選手の現状で通用することとしないことがはっきりした。 ≪攻撃≫  攻撃ではピッチ全体を使ってパスコースをつくれば、ボールをハーフ ウェイライン付近まで進めることができた。中盤で、前向きでフリー な選手をつくることはヨーロッパの雄にもそこそこ通用した。「コンパク トな攻撃にワイドな守備」(守備と攻撃が反対)から少しは進化した 光が見えた。しかし、相手ゴール前で数多くの決定機をつくることは、 世界基準のチームには「撃沈」という言葉がぴったりの散々たる結果で あった。中盤までは進入を許されるが、ゴール前をコンパクトにした堅 い守りを崩すことはできなかった。自分たちのリズムをつくり、3人以 上で共鳴して「パンパンパン」と崩すことができなかった。ということ は、「ゴール前」でも「中盤」でも「序盤」でもプレッシャーがかかれば、 パフォーマンスが著しく落ちるということであり、技術的な成熟度は世 界基準と比べればまだまだ低いということである。  また、AFC U-16 選手権予選での課題であった、4人が一挙にオフ サイドになるというフラット 3DFならぬフラット4 攻撃から、一歩進歩 したがフラット 3 攻撃(ギャップができない)の場面も見られた(それ ぞれがボールと自分の関係でしかプレーしない)。ただし日本ばかりで なく、3 位決定戦、決勝戦とヨーロッパの強豪国同士の対戦でも決定 機は生まれず、崩すような場面は見られなかった。それでも、跳ね返さ れても我慢強く自分たちのサッカーを繰り返す姿や、DF 陣が焦れるこ となく最後まで集中を切らさず僅差のゲームを演出できる個には、日 本の選手との間にある埋まりそうもない差も感じた。  今後の課題としては、判断スピード・パススピード・走るスピードを 上げることはもちろんのこと、相手 DFの寄せの速さと数的なプレッ シャーを受けても正確にボールをコントロールして保持できる技術の質 を上げること、中盤で攻撃を組み立てて時間をつくって人数をそろえ、 3ラインと選手同士の程よい距離を保つこと、ゲーム中に具体的なプ レーのイメージを持ち、自分がゴールへ向かってパワーのあるアクショ ンを起こすこと、そして時間いっぱい走り抜く持久力とアップダウンを 繰り返すスプリント力の向上など…数えたらきりがない。  サッカー選手としてすべてのアイテムをひと回りもふた回りもレベル アップを図らなければならない。しかし、丁寧に、そして確実に無理を しない場面とチャンスを感じて攻撃をしかける場面を使い分けられる サッカー観をチームで共有できれば、全体の課題も一気に半減するこ とも間違いない。 ≪守備≫  守備面では、昨年は一度も見られなかったゴール前で身体を投げ出 してでもゴールを死守する姿が、今回は見られたのは成果と言える。し かし、我慢すべき場面で飛び込んでしまう場合もあった。また、日本 では対戦することがないほどスピードのある選手と対面し、個人でも チームでも問題解決しようとする主体性が見られなかったのは残念で あった。「おれにマークを代わらせろ」など、挑戦心を持った選手がいて ほしかった。その日本選手が一度も意図的に止めることができなかっ たイングランドの選手を、決勝戦で対戦したポルトガルの DF がイン ターセプトを連発して完封した。サッカーをゲーム(遊び )と考え、駆 け引きを繰り返す世界のサッカーとの差も歴然であった。  朗報としては、世界基準のサッカーに触れ、慣れてくれば徐々に対 応もするし、気後れもなく自分たちのプレーで主導権を握れる時間帯 もあった。ただし、時間いっぱい僅差のサッカーを演出する精神的な 我慢強さには世界との差を感じた。

6. まとめ

 「スーツケースでは持ち帰れないものがそこにある…」「君は何を持ち 帰りますか?」という呼びかけでモンテギュー遠征を始めた。  昨年10月に行われた AFC U-16 選手権予選での課題の一つに、 「ゴール前の質」というものを挙げた。しかし、イングランドやウクライ ナという「日常が世界」である国々との対戦ではゴール前までボールを 進めることができず、「ゴール前の前の質」が課題となった。言葉で聞 く「世界」を肌で感じ、経験値を上げることはできた。そして、世界と 戦うために必要なものは特別なことではなく、どんな状況でも意のま まに「止める・蹴ることができる質」を上げることやボールを受ける前 の「主導権を握るポジションどり」、状況の変化に応じて「ポジション 修正を繰り返す」こと、「パスしたら動く」という基本的なことに世界 との差があることも実感できた。  このモンテギュー遠征から得た感性をチャンス(Chance)とし、日 常をチェンジ(Change)できるかが明日からの課題である。さらに 16 歳になった今、サッカーを楽しむという大前提の基に「〜したい」とい う希望から「〜する」という意志にシフトアップ(チェンジ)しなければ 世界との差は縮まらない。世界で戦うためにトレーニングや食事、休 養やメンタル強化、身体づくりや生活習慣の改善など取り組まなけ ればならないことは無数にある。それらを「改善しなければならない (Must)という心」を持って取り組んで、はじめて「できる(Can)」にな ると気づいたモンテギュー遠征であったと信じたい。また、94ジャパ ンみんながつながっているためには、われわれスタッフ(大人)も「環 境づくり」に取り組まなければならないと強く感じた。  最後に、年度末と年度初めで多忙なチーム活動のある中、選手を 派遣していただき、各チーム関係者には心より感謝しています。

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