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Academic year: 2021

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近未来への招待状

世界初の宇宙ヨット「イカロス」で挑む

太陽系大航海時代

近未来への招待状

世界初の宇宙ヨット「イカロス」で挑む

太陽系大航海時代

宇宙航空研究開発機構(JAXA)

IKAROSデモンストレーションチーム 森 治

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宇宙ヨットとは?

ソーラーセイル ユニークな形状! ソーラーセイル=帆で風を受けて海を進むヨットのように, 帆で太陽からの光の粒子を反射して宇宙空間を推進する. →燃料を使わない究極のエンジン,夢の宇宙船 ※アイデア自体は100年前からあり,SFにもよく登場する. 世界中で研究開発が行われているが,実現されていなかった・・

(3)

太陽光から受ける力はどのくらい?

200m2(14m×14m)の帆が太陽光から受ける力約0.1g(1円玉0.1個分の重さ) 一辺14m 3 ・太陽の光の力は弱いが常時受け続けることができる. ・宇宙空間には空気抵抗がないため,加速分が蓄積される. ※宇宙で最も速い乗り物になる!

(4)

ソーラー電力セイル

ソーラーセイル 薄膜太陽電池 ソーラー電力セイル 1AU 5AU ソーラーセイルによる推進と帆に貼り付けた薄膜太陽電池による 発電を組み合わせた日本オリジナルのコンセプト. ※燃料と電力の課題を同時に解決できる.

(5)

帆 本体 一辺14m 高さ 0.8m 直径1.6m 全体重量:310kg (帆:15kg) -2 108 -1.5 108 -1 108 -5 107 0 5 107 1 108 1.5 108 -1.5 108 -1 108 -5 107 0 5 107 1 108 1.5 108 2 108 Venus in '10 xsc Sun Venus Earth E Departure 6/14/'10 Venus Arrival 12/12/'10

イカロスの諸元

地球 金星 イカロス 太陽 2010年5月21日にH2Aロケットによって 金星探査機「あかつき」と一緒に打ち上げ られた.

.

.

.

.

5 差し渡し 20m

(6)

イカロスの帆

膜面:一辺14m,厚さ7.5μm(髪の毛の1/10の薄さ)のポリイミド樹脂 光を反射するようにアルミニウムを蒸着してある. 亀裂進展防止用に補強処理を施してある. 液晶デバイス 薄膜太陽電池 テザー・ハーネス 先端マス 亀裂進展防止用補強処理 一辺14m

(7)

イカロスの帆の写真

表面(太陽面) 裏面(反太陽面)

1/4の帆

薄膜太陽電池(25

μ

m) ポリイミド膜(7.5

μ

m) 7 アルミ蒸着

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(9)

先端マス分離機構を駆動し, 先端マスを4個同時に分離する 相対回転機構(モータ駆動)で膜を保持して いる回転ガイドを動かし一次展開を実施する 先端マス 回転ガイド 一次展開終了 回転ガイドを展開し, 二次展開を開始する 膜の拘束が解かれるため 動的に展開する 先端マス分離 相対回転機構を動かすと 遠心力によって膜面が ゆっくりと伸展していく 一次展開(準静的) 二次展開(動的) 二次展開終了

膜面展開手順・機構

マスト(支柱)タイプに比べ,展開機構が軽量化でき, 膜面の大型化が可能. 9

(10)

膜面の形状・折り方をどうするか?

複合らせん折り 扇子型 らせん折り 回転二重折り 四角型 実際に検討した膜面形状・折り方(ほんの一部) ・「折り紙」を折って,実際に回転させて広げてみる. ・うまく広がった膜面形状・折り方に対し,膜面のサイズを大型化して実験する. ・実験結果を踏まえ,膜の折り方を改良していく. 日本の伝統文化の「折り紙」が非常に役に立った!

(11)

地上実験の様子(真空槽落下実験)

11 扇子型(直径0.8m)

(12)

地上実験の様子(スケートリンク実験)

四角型(差し渡し10m)

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イカロスのカメラ

モニタカメラ(4台)

分離カメラ(2台)

(14)

ソーラーセイル 太陽光 元の軌道 ソーラーセイルが太陽光により受ける力 太陽から遠ざかる場合 太陽に近づく場合 軌道制御の原理 変化した軌道

太陽光による軌道制御

ガスジェットスラスタ 液晶デバイス 太陽光圧トルク 姿勢制御の方策 ソーラーセイルの向き(太陽角)を制御すれば軌道制御が可能となる.

(15)

液晶デバイス

電源ON 電源OFF 光圧 F1 光圧 F2 (< F1 ) 光圧のアンバランス作り出す ⇒ 姿勢制御トルクを発生 入射光 出射光 (鏡面反射) 入射光 出射光 (拡散反射) (太陽光) (発生トルク方向) 15 ON OFF

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① 打ち上げ ③ ソーラーセイルの展開 薄膜太陽電池による太陽光発電 分離カメラによる撮影 ④ ソーラーセイルによる 加速実証 ⑤ ソーラーセイルによる 航行技術の獲得 ② 先端マス分離 ミニマムサクセス達成 (数週間) フルサクセス達成 (半年間) ミニマムサクセス:大型膜面の展開,薄膜太陽電池による発電 フルサクセス:ソーラーセイルによる加速実証・航行技術の獲得 いずれも成功すれば,世界初の快挙となる. 地球 金星

イカロスのミッション

太陽 ⑥ 金星通過

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H2Aロケット17号機 イカロス搭載 2010年5月21日(金)6時58分22秒(日本標準時), H2Aロケット17号機により金星探査機「あかつき」と相乗りで 種子島宇宙センターから打上げられた. 打ち上げ

イカロスの搭載・打ち上げ

17

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イカロスの運用実績

5月21日 打ち上げ 5月26日 先端マス分離 6月2日~8日 一次展開 6月9日 二次展開 6月10日 薄膜太陽電池による発電の確認 6月14日 分離カメラの撮像実験(1回目) 6月19日 分離カメラの撮像実験(2回目) 6月21日~25日 オプション機器の立ち上げ,観測・実験開始 7月9日 光子加速の確認 7月13日 液晶デバイスによる姿勢制御の成功 9月14日~17日 通信不可帯通過 12月8日 金星通過 12月31日 運用終了→運用延長 19

(20)

先端マス分離後のモニタカメラ画像

モニタカメラ1 モニタカメラ2

モニタカメラ3 モニタカメラ4

先端マス

(21)

先端マス分離時の姿勢

21 ワイヤーテンション保持開放機構を駆動することによって,ワイヤーが緩み, 先端マスを把持している機構が動作.先端マス4つを同時に本体から初速度0 で分離. 3900 4000 4100 11.5 11.6 11.7 11.8 11.9 12 -0.2 0 0.2 0.4 Time , [sec] Z S p in Ra te , [d e g /s ] X, Y Spi n R a te , [ d e g /s ] Z axis X axis Y axis スピンレート( z 軸) 角速度( x , y 軸) 先端マス分離 x y z

(22)

一次展開中のモニタカメラ画像(初期)

(23)

一次展開中のモニタカメラ画像(中期)

23 モニタカメラ3 モニタカメラ4

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一次展開後のモニタカメラ画像

モニタカメラ1 モニタカメラ2

モニタカメラ3 モニタカメラ4 6月8日に一次展開を終了

(25)

二次展開後のモニタカメラ画像

モニタカメラ1 モニタカメラ2 モニタカメラ3 モニタカメラ4 回転ガイド テザー ハーネス 25 6月9日に二次展開を実施

(26)

-1 -0.5 0 0.5 1 2010/06/09 09:36:00 2010/06/09 09:37:00 2010/06/09 09:38:00 2010/06/09 09:39:00 2010/06/09 09:40:00 2010/06/09 09:41:00 2010/06/09 09:42:00 10 15 20 25 30

Rate(X, Y) [deg/s] Rate(Z) [deg/s] RGL2_OMGX RGL2_OMGY RGL2_OMGZ

二次展開時の姿勢

二次展開開始 スピンレート( z 軸) 角速度( x , y 軸) 回転ガイド展開機構を駆動することによって4本の回転ガイドが ほぼ同時に110deg展開され,十字の状態から動的に展開される x y z

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二次展開後の振動減衰

10000 20000 10 20 30 -1 0 1 Time , [sec] Z S p in Ra te , [d e g /s ] X ,Y S p in Ra te , [d e g /s ] 約280分 スピンレート( z 軸) 角速度( x , y 軸) 二次展開開始 x y z 27

(28)
(29)

分離カメラ実験(1回目)

機体の姿勢変動により分離カメラ2の分離速度は64.5cm/secと推定(約40cm/secで設計)

初めの2枚は3秒間隔(分離3秒後から撮像開始),54枚目まで1秒毎,以下2秒毎に80枚まで撮像

29 6月14日に分離カメラによる撮像実験(1回目)を実施

(30)

分離カメラ実験(1回目)の画像

機体の姿勢変動により分離カメラ2の分離速度は64.5cm/secと推定(約40cm/secで設計)

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速度変化による光圧確認

実測値と計算値の 速度差 [mm/s] 6月9日にイカロスの速度変化からソーラーセイルによる加速を確認. 速度変化から算出される太陽光圧による推力=0.1g 31

世界初のソーラーセイルの誕生!

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液晶デバイスの動作確認

33 ON OFF OFF ON (拡散反射) (鏡面反射) ON OFF

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液晶デバイスによる姿勢制御

本実験実施時の実証機のスピンレート、太陽距離、太陽角等を加味した初期評価により, 想定する姿勢制御角の90%以上の制御性能を達成していることを確認 15.1 15.2 15.3 15.4 15.5 15.6 15.7 15.8 7/12 12:00 7/13 0:00 7/13 12:00 7/14 0:00 7/14 12:00 時刻(世界標準時) 太陽角 [deg] 制御開始前 制御中 制御なし状態(外挿) 制御開始 液晶デバイスによる 姿勢制御角

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金星通過

金星

12月8日に,金星からおよそ8万kmの距離を接近通過(フライバイ).

ソーラーセイルによって減速した結果,あかつきより1日遅く最接近した.

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ソーラー電力セイル探査機

薄膜太陽電池 ソーラーセイル 10倍の面積のソーラーセイルに薄膜太陽電池を貼り付け大電力を 確保する.高性能のイオンエンジンも駆動し,ハイブリッド推進を行う. 燃料:ソーラーセイル(燃料なし)+イオンエンジン(燃料節約) 電力:薄膜太陽電池で発電 イオンエンジン

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木星圏探査計画

木星探査 トロヤ群小惑星探査 太陽 小惑星帯 ~ 3AU 木星 ~ 5AU 地球 1AU ① - ④ トロヤ群 ⑤ ⑥

2019年ごろ打上げ> 木星到達 +4.5年 トロヤ群到達 +9年 37

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まとめ

・イカロスは,2010年5月21日に打ち上げられ,世界初のソーラー電力セイル の実証に成功した. ・2010年12月8日に金星を通過し,当初のミッションをすべて達成した. ・現在,延長ミッションを実施中. ・これらの実績も踏まえ,ソーラー電力セイル探査機による木星圏探査計画を 検討中. http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_channel/index.html IKAROSホームページ: (ブログ,twitter) イカロスによって太陽系大航海時代がはじまった!

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メッセージ 「Bon Voyage !」

「夢を持って挑戦し続ける!」 ・成功・失敗にこだわりすぎるのではなく, 技術・リスクを認識したうえで,果敢に挑戦することが大事! ・たとえ目標がすべて実現されなかったとしても・・ 夢中になって頑張っているコト自体にも意義があり, きっと新しい道が開けると思う. ・夢のスイッチが入ればだれでも頑張れる. ・どうやって夢を見つけるか? 興味があることに挑戦しているうちに夢がきっと見つかるはず! 39 「君も太陽系をヨットに乗って旅しよう!」 皆さんがそれぞれの夢を見つけ素敵な旅に出かけますように・・

参照

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