入省案内 2018
https://www.mof.go.jp/about_mof/recruit/mof/index.htm TEL.03-3581-4111(内線5464) [採用に関するお問い合わせ] 国会前庭 洋式庭園 皇 居 外務省 桜田通り 首都高都心環状線 財務省 南門 正門 農林水産省 千代田線 国会議事堂前 丸の内線 国会議事堂前 丸の内線 霞ヶ関 日比谷線 霞ヶ関 千代田線 霞ヶ関 銀座線 虎ノ門 有楽町線 桜田門 日比谷公園 日本郵政 国会議事堂 経済産業省 金融庁 文部科学省 〒100-8940 東京都千代田区霞ケ関3-1-1 大 臣 官 房 秘 書 課財務省大臣官房秘書課調整室長
松本 圭介
[平成10年入省]∼採用担当者からのメッセージ∼
は じ め に
01 02目 次
予算編成 税制企画 マクロ経済政策 財政投融資 P.05 P.07 P.09 P.10 為替政策 国債管理政策 P.11 P.13 関税政策 国際金融政策 途上国開発政策 P.14 P.15 P.16 留 学 課長補佐 P.20 P.21 企画官 課 長 P.23 P.25 係長×係員 国税局/財務局 P.17 P.19 特集1 経済産業省予算対談 P.27 特集2 女性職員からのメッセージ P.29 特集3 若手職員インタビュー P.31 特集4 特別寄稿 ∼財務官から∼ P.33 地方出向 他省庁出向 P.36 P.37 国際金融機関 在外公館 P.38 P.39 P.04【第一部】財務省の活動
【第二部】財務省職員のキャリアパス
P.17 【特 集】 P.27 【第三部】財務省職員の活躍するフィールド
P.35採用に関するQ&A
P.40 はじめに、財務省において不祥事が相次いでいることは、大変申し訳ないことであり、お詫びを申し 上げます。就職活動に際して財務省に関心を持っていただいた皆さんにも、大変なご心配をおかけして いるのではないかと思います。問題行為については真摯に反省した上で、再発防止に取り組み、信頼 を回復できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 国家公務員は国民全体の奉仕者であり、財務省の職員も、日本の経済社会が直面している諸課題 に対応すべく、それぞれの立場で精一杯取り組んでいます。個々の職員が取り組んでいる仕事の重要 性が変わるものではなく、引き続き、やるべき仕事をしっかりとやっていくことが大切だと考えています。 私自身のことを言えば、入省以来20年が経過したところであり、今は人事関係ということで、組織の 内部管理を担当しています。過去には、金融商品取引法令の整備、リーマン危機時の金融機関監督、 年金国庫負担の引上げ、特例公債法の多年度化、福島第一原発事故を受けた資金支援、法人実効 税率の引下げ、酒税・たばこ税の見直しなど、日本がそれぞれの時期に直面した様々な政策課題に関 与する機会がありました。苦しい時もありましたが、振り返れば、充実した日々を過ごしてこられたと感じ ています。 今の仕事は昨年7月から担当しており、皆さんの1つ先輩に当たる平成30年入省者の採用プロセス にも関わりました。たくさんの学生さんとお目にかかり、「なぜ財務省を志望したのか」「ご自身の長所と 短所を教えて欲しい」等々をお伺いしていきました。私なりに様々な印象を抱きましたが、多様な方々を 採用できたと思っています。採用面接に模範解答はありませんし、どのタイプが有利だとか不利だとか いうこともありませんので、皆さんの思うところを、ストレートにぶつけていただければと思います。 他の進路と迷っている方もおられました。私からは、財務省で働くことの雰囲気を感じ取って欲しいと 思い、上記のような私自身のこれまでの経験もお話をしました。このパンフレットにも、皆さんとかなり近 い若手職員から、私から見ても頭が上がらないような大先輩まで、幅広い職員が文章を寄せています ので、是非とも、目を通していただければと思います。その上で、採用面接は先輩職員と直接話をできる 絶好の機会でもありますので、いろいろな話を聞いてみてください。 皆さんとお目にかかれますことを、楽しみにしております。内閣府 警察庁 金融庁 消費者庁 復興庁 総務省
財政政策
不動産市場 株式市場 債券市場 為替市場 金融システムマーケット関連政策
G20、G7 発展途上国 WTO・WCO ASEAN諸国 中国、韓国、インド IMF 国際開発金融機関国際関連政策
P.05
P.07
P.09
P.10
P.11
P.13
P.14
P.15
P.16
文部科学省 厚生労働省 農林水産省 経済産業省 国土交通省 環境省 防衛省 日本銀行 法務省 外務省予算編成
税制企画
マクロ経済政策
財政投融資
為替政策
国債管理政策
関税政策
国際金融政策
途上国開発政策
国税庁
財 務 省 の 組 織
主計局 主税局 関税局本 省
財務省
外 局
地方支分部局 施設等機関 理財局 国際局 財務総合政策 研究所 会計 センター 税関 研修所 関税 中央 分析所 財務局 税関 内部部局 地方支分部局 国税局 本庁 税務署 財務大臣 副大臣 (2) 大臣政務官 事務次官 財務官 秘書官 (2) 局長 次長 (2) 財政投融資 総括課 国有財産 企画課 国有財産 調整課 国有財産 業務課 総務課 国庫課 管理課 計画官 (2) 国債企画課 国債業務課 官房長 総括審議官 参事官 (10) 審議官 (11) サイバー セキュリティ・ 情報化審議官 政策評価 審議官 秘書課 厚生管理官 文書課 会計課 地方課 総合政策課 政策金融課 局長 次長 (3) 総務課 司計課 法規課 給与共済課 調査課 主計官 (11) 総務課 調査課 税制第一課 税制第二課 税制第三課 主計監査官 局長 参事官 総務課 管理課 関税課 監視課 業務課 調査課 局長 信用機構課 局長 税関支署 税関出張所 税関監視署 次長 総務課 調査課 国際機構課 地域協力課 為替市場課 開発政策課 開発機関課 財務事務所 出張所 大臣官房 内部部局[財務省の使命]
納税者としての国民の視点に立ち、効率的かつ透明性の高い行政を行い、国
の財務を総合的に管理運営することにより、健全で活力ある経済及び安心で
豊かな社会を実現するとともに、世界経済の安定的発展に貢献すること。
財務省の活動
財務省は、国の資金の流れという観点から、国家のあらゆる分野について重要な動きに関わっています。
担当する多岐に渡る活動について、政策立案の最前線で活躍する職員から紹介します。
第一部
予算編成とは 予算は、その時々に日本が直面する 課題と、それらを克服するための処方箋 が凝縮された政策の集合体です。急速な 少子高齢化、地方消滅、相次ぐ自然災害、 厳しさを増す安全保障環境、そして過去 最悪の財政状況。課題を挙げればきりが ありません。 こうした中での予算編成は、国のかたち をまもることに直結すると言えます。 日本の優れた社会保障システムや地方 の美しい田園風景などを守り、未来に引き 継ぎたい。自分を含めた国民一人ひと り、予算担当者、相手省庁、全ての関係者 の思いを予算に刻み込む、これが予算 の編成です。 責任重く、困難な仕事 ただ、単にみんなの「やりたいこと」を 予算に載せればいいわけではありません。 財政規律を堅持しつつ、限られた予算を 配分する。予算の選択と集中、優先度の 高いものへの重点配分が必要になります。 しかし、「言うは易く、行うは難し」です。 要求側はみんな「これが最優先」「これが 最適な解決策」と考えます。何が本当の 防衛予算の編成 財政と安全保障は、古来より共に国家 を支える屋台骨。しかし、両者の関係は 時に緊張し、大蔵大臣が軍部に暗殺され ることもありました。そして現代、防衛予算 の編成は1人の主計官を含め14人の チームが担当します。 概算要求 8月末に防衛省から平成30年度の予算 要求、その額5兆2,551億円。過去最高 額の要求だとの報道の中で、北朝鮮が核 実験。防衛予算の編成はそうした緊迫感 の中で始まりました。 議論の本格化 日本の防衛力は5年計画の「中期防 衛力整備計画(中期防)」に従って整備 されます。平成30年度は今の中期防の 最終年度。調達すべき装備品の数は中期防 に規定されているので、争点は、数量とい うよりむしろ価格。必要な防衛力を整備 するために、同じ性能でいかに安く装備 品を確保するかを追求します。 民生品の活用や、まとめ買いなどで調達 手法を工夫します。装備品の原価を分析 し、過剰なスペックや不要な価格上乗せ を指摘することもあります。財務省の審議 会でも、調達原価の計算方式の課題を 指摘しました。ただ、本来必要な性能や 部品まで削るのは本末転倒。必要な部品 がなく維持整備が不十分だと、事故の原因 にもなりますし、何より日本の防衛力に 支障をきたします。 また、装備品の製造工場を視察して 「こうすれば工数を減らせるのでは」と 提案することもあります。防衛の最前線 を実際に見ることも不可欠。大きな装備 Takuya ODAWARA [平成14年入省] 平成 14 年 大臣官房総合政策課 平成 15 年 大臣官房政策金融課 平成 16 年 福岡国税局 平成 17 年 留学(米・イエール大) 平成 18 年 在ニューヨーク日本国総領事館 副領事 平成 20 年 大臣政務官秘書官 平成 21 年 国税庁調査査察部査察課 課長補佐 平成 22 年 沼田税務署長 平成 23 年 関税局業務課 課長補佐 平成 24 年 大臣官房政策金融課 課長補佐 平成 25 年 青森県農林水産部団体経営改善課長 平成 27 年 青森県総務部財政課長 平成 28 年 主計局法規課 課長補佐 主計局主計官補佐(防衛係担当主査)
小 田 原 卓 也
05 財務省の活動 06 課題で、国が予算を使って解決すべき ものなのか。政策金融や規制など予算 以外の手法の有効性、自治体や民間主体 を巻き込めるかどうかも検討します。素朴 な疑問をぶつけ、謙虚に学び、関係者の 納得を得るまで議論して、ゴールを目指 します。 事業者や業界団体の方との意見交換 や、現場の課題を見て、はじめて実感が 持てることも多いです。そうした「生」の 情報を背景に、相手省庁が考えもしな かったような建設的な提案もしていき ます。学界や立法府との率直な議論や調 整も欠かせません。 予算編成の仕事は、このように責任が の導入を優先するあまり、修理や補給が 疎かになるなど現場にしわ寄せが行って いないか。防衛予算は現場抜きには語れ ません。日本の防衛という大きな責任を 胸に抱きながら、必要な防衛力を現場か ら形作っていくのです。 予算の概算決定、そして来年度へ 11月末、弾道ミサイルが飛び、議論の 緊迫感も増していきます。政府・与党の プロセス、財務大臣・防衛大臣の折衝を 経て、最終的に防衛予算は5兆1,911億円。 6年連続の増額となる一方で、調達手法 の工夫などを通じて調達改革を進めた 結果、装備品の製造期間にわたる複数年 の財政負担を2,000億円圧縮できました。 限られた財源を有効に活用し、必要な 防衛力の質と量を確保する「筋肉質」な 予算になったと言えます。 平成30年末には次の中期防が策定 されます。今度は、装備品の量も議論の 対象。しかし、安全保障環境が厳しくなる 中でも、防衛予算を青天井にはできま せん。現実の制約の中で日本の防衛を まもることが、防衛予算担当者の責任です。 調達の効率化の取り組みは次の中期防 の議論でも活きてくると思います。 おわりに 予算編成にあたっては、専門性の高い プロの論理や現場の事情をよく理解し、 地道な作業を粘り強く進める必要があり ます。それでいて、未来への視点を持って、 木も森も見ることが求められます。チャ レンジングな仕事ですが、経験ある先輩、 優秀な仲間とともにゴールを目指す予算 編成の仕事は、圧倒的な成長機会を与え てくれます。 重く、簡単ではないですが、政策の企画 立案を担当する者の総合力が問われる もの。やり遂げた後の「成長した感」は何 にも勝ります。 次の予算の編成に向けて 予算に関連する業務は編成後も続き ます。予算の編成(Plan)後、予算が適切 に執行(Do)されているか、実態を調査・ 検証(Check)し、次の予算編成に活かし ます(Action)。予算執行の結果としての 決算も後々の予算編成に反映していき ます。PDCAの取り組みや決算が、次の 予算編成を支えます。現 在 、私 が 携 わ っ て い る 業 務 に つ い て
政 策 分 野 に 関 す る 総 論
業務の主なカウンターパート 概 要 予算編成は、この国のかたちをまもり、そこ に生きる人たちに希望ある未来を引き継ぐ ため、課題解決の処方箋を創り上げる仕事。 現場の課題を把握し、解決策を描き、関係 者に働きかけ、説明し、実行する。頭から足 まで政策の企画立案担当者に必要な全て の能力が求められるレベルの高い仕事で すが、早く追いつきたいと思える先輩、尊敬 すべき同僚に日々刺激を受けながら、成長 を実感しつつ励んでいます。 各省庁 国会議員 各業界団体 地方公共団体 経済界 学界 マスコミ 各国財政当局 国際機関予 算 編 成
財 政 政 策
予算をつくり、
国のかたちをまもる
黒 野 瑠 夏
Ruka KURONO [平成29年入省] 主計局総務課 主計局総務課企画係は、毎年度の予算編成全体を統括し、長期的な経済・ 財政運営目標と整合的になるよう取り組んでおり、私は主に過年度予算の 分析と、各予算の編成状況の整理を担当しています。 自分が各係とやりとりしながら作成した資料をもとに来年度予算の道筋 がつけられるため、プレッシャーは大きなものですが、限られた枠の中で予 算の「質」を向上させる工夫を垣間見て刺激を受けるとともに、予算の姿が 眼前で定まっていくダイナミズムを感じています。 係 員 の 業 務Koichi ITO [平成16年入省] 平成 16 年 理財局総務課 平成 17 年 理財局国債企画課 平成 18 年 理財局国有財産企画課 平成 18 年 広島国税局 平成 19 年 関税局関税課 平成 20 年 関税局総務課 平成 21 年 留学(米・コロンビア大、ニューヨーク市立大) 平成 23 年 大臣政務官秘書官 平成 25 年 在アメリカ合衆国日本国大使館 二等書記官 平成 26 年 在アメリカ合衆国日本国大使館 一等書記官 平成 28 年 大臣官房文書課 課長補佐 主税局税制第二課 課長補佐
伊 藤 孝 一
掛 林 美 智
Michi KAKEBAYASHI [平成28年入省] 主税局税制第三課 主税局税制第三課にて法人税(特に租税特別措置法)の税制改正に携わっ ています。平成30年度税制改正で目玉となった賃上げや生産性向上に着目 した税制をはじめとする諸制度について、夏から秋にかけて各省庁と連日協 議し、公平性、政策目標、それを実現するためにふさわしい制度のあり方、政 策の先にあるこの国の姿等について検討を重ね、冬から春にかけては法令 の作成作業に関わりました。若手職員であっても、あらゆる政策の本質を考 え、議論し、形にすることができるこの仕事に日々やりがいを感じています。 係 員 の 業 務 国家の運営には租税が不可欠です。財務 省主税局では、局長以下200名弱の職員 が租税制度の企画立案等を行っています。 所得税、法人税等の各税目に加え、国際租 税、税収の見積り、税務手続の整備、外国 調査といった担当に分かれますが、一丸と なって毎年の税制改正に取り組み、租税制 度をより良いものにすることが使命です。 業務の主なカウンターパート 概 要 国税庁 総務省(地方税担当部局) 各省庁 産業界 学者 エコノミスト 国会 マスコミ 国際機関 外国税務当局 千年変わらない役割 私たちが日本で安心して生活するに は、外交や国防はもとより、警察や消防、 学校教育といった公共サービス、年金や 医療の給付、道路整備や災害対策、公債 の返済まで、様々な経費がかかります。こ れを賄うために課されるのが租税です。 古今東西、租税は国家運営の要であり、 千年前も今も、そして千年後も、その基 本的役割が変わることはないでしょう。 毎年の税制改正 税制は普遍的な役割を持つ一方で、経 済活動に大きな影響を与えることから、 不断の見直しが求められます。例えば、 最近では働き方の多様化を踏まえた所 得税の見直しを行っています。また、企業 にインセンティブを与える法人税制や環 境性能の優れた車に対するエコカー減 税等は期限を区切り、都度見直していま す。経済社会の変化や国際情勢を踏まえ てどのような見直しが必要か、毎年秋か ら冬にかけて集中的に検討を行い、翌年 の通常国会での税制改正法案の成立を 目指します。 予算と税制は一体不可分ですが、予算 は単年度のお金の配分、税制は継続的な 「観光財源」の担当 7月、主税局に異動し、「観光財源」の 担当を命じられました。成長戦略の柱で ある観光の充実を図るため、観光庁が財 源の確保策を検討しているものです。財 源を確保した上で重要政策を進めたい、 という提案を財務省が応援しない理由 はありません。9月には観光庁で検討会 が立ち上がりました。 制度創設の使命感、躍動感、達成感 11月、検討会が新税の導入を提言し ました。主税局でも並行して制度設計を 進めます。出国に課税するにあたり、ま ず、出国の大半を占める航空会社の定期 便については空港使用料と同様、航空券 を通じて徴収することとしました。さら に、国交省の担当局や国税庁、関税局と 何度も検討した結果、既存の徴収方法が ないプライベートジェットや船も含め出 国全般に公平に課税する制度にすること ができました。また、税収の使い道につ いて観光庁や主計局と連日議論し、観光 政策にも詳しくなりました。 「どうすれば望ましい制度ができるか」 と頭を絞る過程で、国の重要政策に携わ る使命感、省内外の仲間と日々課題を乗 り越える躍動感、絵空事ではなく実社会 で機能する制度を創り上げる達成感を 味わえたのは、役人冥利に尽きます。 12月に与党及び政府の税制改正大綱 で新税創設が決定された後も、内閣法制 局等と法制面や実務面の詰めを行い、2 月に「国際観光旅客税法案」として国会 お金の徴収、という点で異なります。税制 は常に、「なぜ私がこの税を納めないと いけないのか」から「時代に合わないの ではないか」まで、様々な声に向き合わ なければなりません。このことが、税制企 画という仕事を困難でやり甲斐のあるも のにしています。 議論し続け、見直し続ける責任 私たちは消費税を払っていますが、皆 さんは消費税法が成立した昭和63年に は生まれていなかったのではないでしょ うか(私は小学生でした)。当時、国会や 政府内では大変な議論をしたに違いあり ませんが、その後も30年間、消費税を巡 る議論は尽きることがなく、また、日本を に提出、審議いただくことになりました。 もし機会があれば(?)、長くないので読 んでみてください。極力シンプルな仕組 みにしたつもりですが、読みづらい部分 も含め、条文全体に検討の苦労と工夫が 詰まっています。 難しい仕事も一所懸命、前向きに 主税局一年生の私にとって、8つの間 接税(!)を担当しながら新税を創設する のは楽な仕事ではありません。でも、国 税局や関税局での実務経験、留学や大 使館での外国経験、秘書官や文書課で の国会対応の経験、その他学生時代の 経験も含め全身でぶつかって、一所懸 命、前向きに役目を果たすしかありませ ん。財務省は難しい課題に直面していま すが、国内外で研鑽を積みながら、国民 全体のため前向きに仕事をする仲間とし て、将来一緒に働くことを心待ちにして います。 取り巻く状況の変化に応じ大きな改正を 経験しました。主税局の仕事は、この世に 生を受けていない世代も含め人々に税 を課す責任を負い、将来を見据えた制度 を創るだけでなく、議論し続け、見直し続 け、次代に託すことだと、4歳になる愛娘 の父親としても強く実感しています。現 在 、私 が 携 わ っ て い る 業 務 に つ い て
政 策 分 野 に 関 す る 総 論
変わりゆく社会と、
変わらない役割
税 制 企 画
財 政 政 策
経済・財政政策の総合調整
財務省は、予算や税制、財政投融資な ど、マクロ経済政策に関する多くの政策 ツールを所管しています。マクロ経済政策 が適切に運営されるためには、これらの ツールが、日本銀行による金融政策や政府 が進める構造改革と最も効果的な組合せ のもとで実施される必要があります。総合 政策課は、省内外の機関・部署と連携しつ つ、その要の役割を果たしています。 経済情勢の把握・分析
時宜にかなった適切な経済政策を実施 するためには、的確な情勢分析が大前提に なります。各種機関が集計している経済指 標等の情報を幅広く収集するほか、エコノ ミストや学者との意見交換などを通じて、 日本経済を取り巻く構造的・循環的な動向 を客観的に把握し、正確かつバランスが取 れた分析を行うよう努めています。 経済政策の検討
人口減少や高齢化、労働需給の逼迫や物 価上昇率の低迷などへの対応が経済の重 要課題となる中、財政政策や金融政策、構 09 財務省の活動 10 造改革を適切かつ効果的に講じる不断の努 力が求められています。その際、政策案の理 論的根拠を十分に理解しつつ、短期的及び 長期的視点の双方に立った検討が必要で す。また、経済的な結び付きがグローバルに 深化する中で、何が世界共通の現象で何が 日本固有の問題かも考えなければなりませ ん。検討すべき論点は多岐にわたりますが、 課内で丁寧に議論を重ねながら、あるべき 経済政策を追求し続けています。 持続的な経済成長に向けて 総合政策課では、経済財政諮問会議等の 政府の各種会議や日本銀行の金融政策決 定会合など省外の政策検討の場と、省内の 関係部局との結節点として、日々、必要な政 策調整や情報収集等を行っています。 平成29年12月に、政府は、少子高齢化と いう最大の壁に立ち向かい、持続的な経済 成長を実現するため、「新しい経済政策パッ ケージ」を閣議決定しました。その中で、消 費税率10%への引上げによる増収分の一 部等を財源として活用しつつ、社会保障や 教育に係る重要施策を実施することが決め られています。本施策の政府全体の取りま とめは内閣官房(「人生100年時代構想推 進室」(37ページ参照))ですが、総合政策
内外経済情勢の
分析と政策の
総合調整を通じ、
最適な経済政策を追求
末 光 大 毅
Daiki SUEMITSU [平成11年入省] 大臣官房総合政策課 企画室長 課も財務省の前線に立って、国民負担に由 来する財源が真に効果的に用いられるよ う、知恵を絞りました。 市場変動への対応 内外の金融資本市場の動きは時々刻々 と変化していますが、必要に応じて適時適 切な対応をとるためには、関係当局が緊密 に連携することが求められます。このため、 金融庁や日本銀行とともに、「国際金融資 本市場に係る情報交換会合」を開催し、最 新情報の交換を行っています。 歴史に耐え得る仕事を マクロ経済政策は人々に及ぼす効果・影 響が直ちに見えにくいものですが、そうで あるからこそ、その業務に携わる者は、将来 世代をはじめ直接知り合うことがない人々 の生活に思いを馳せる洞察力や責任感が 求められると思います。目の前の経済現象 の本質を見極めながら、より良い未来を作 り上げるとの気概を持って業務にあたるこ とで、歴史に耐え得る経済政策運営が可能 になると考えています。同じ思いを深く共 有する皆さんとともに仕事ができる日を楽 しみにしています。 財政投融資ってなんだろう財政投融資とは、国債(財投債)を発行し て調達した資金などを元手に、政府が行う 投融資活動です。供給した資金を後に回収 する点で、補助金などとは異なっています。 財政投融資の具体的な資金供給方法は、 以下の3類型があります。 ・主に財投債の発行で調達した資金を元手に、 長期・固定・低利の融資を行う「財政融資」 ・政府保有株式の配当金などを元手に、政策 的必要性が高いがリスクが高く民間だけで は十分に資金が供給されない事業に対して 出資を行う「産業投資」 ・政府関係機関などが発行する債券などの元 利払いに対して保証を行う「政府保証」 財政投融資は、社会の様々な分野で活用 されています。例えば、政策金融機関への 融資によって、中小企業等の資金繰りのほ か、創業・事業再生といった地域活性化に 資する取り組みを支援しています。また、独 立行政法人への融資を通じて、児童福祉施 設や病院などの整備を推進しています。民 間企業の海外投資やインフラ展開を支援し ている国際協力銀行や、災害復旧事業や教 育施設、上下水道などの整備を行う地方公 共団体の資金調達も支援します。 民間資金が行き渡りにくい分野に対し て、政府の立場を活かして的確にファイナ ンスを行います。財務省は、財政投融資と いう形で、マーケットにおいてユニークな役 割を果たしており、近年の各年度の規模は 10兆円台半ば、残高は150兆円規模に及 んでいます。 財政投融資計画編成業務 財政投融資は、毎年度、どの機関に、どれ くらいの資金を供給していくのかについて 「財政投融資計画」という形でとりまとめら れます。私は計画編成全体の進捗管理・内 容調整を行っています。 計画の編成過程では、関係機関・主務省 との間で、 ・施策の必要性、重要性 ・国がやるべきことか、民業圧迫とならないか ・確実に返済されるか といった視点で個別の出融資について1つ ひとつ具体的に議論を積み重ねていきま す。 並行して、計画全体として、どのような特 徴を持たせるのか、野放図な計画となって いないかなど、全体を俯瞰した議論も重ね ていきます。 私が担当した平成30年度の計画は、我 が国の生産性向上に向け、設備投資に前向 きな事業者支援のための投融資を拡大、日 欧EPAやTPPの進捗を受け農業者向けの 資金を倍増させるほか、インフラ面で大都 市環状道路等の整備に資するよう1.5兆円 の資金を供給することとし、総額14.5兆円 になりました。 編成においては、どのような分野に注力 すべきかといった財政の視点と、確実に返 済がなされるかといった金融の視点の双方 のバランスが求められます。この点が財政 投融資の難しさでもあり、おもしろさでも あります。各年度の編成に予め決まった正 解はありません。現在の経済金融情勢を踏 まえ、翌年度の計画がどうあるべきかにつ いて、幹部のみならず、共に働く係長や1年 生も巻き込んで議論を行い、みんなの知恵 を総動員します。 将来、入省される若いみなさんと一緒に 仕事ができることを楽しみにしています。
財政投融資
∼財政の視点と金融の
視点の双方を
大切にする仕事∼
理財局財政投融資総括課 企画調整室長 経済情勢に適切に対応し、財政政策を含む経済政策が最も効果を発揮で きるよう、総合政策課は省内外の結節点として必要な政策調整を行って います。経済情勢に係る各種情報の収集と分析を幅広く丁寧に行った上 で、短期的・長期的視点や理論的根拠を踏まえながら、最適な経済政策 の実現を日々追求しています。 業務の主なカウンターパート 概 要 財政投融資とは、税財源によらず、財投債(国債の一種)の発行に よって調達した資金などを財源とする、政府による投融資活動で す。リスクが高く、民間では十分に対応できないものの、政策的必 要性から資金供給を行うべき分野に対して、長期・固定・低利の融 資やリスクマネーの供給を行っています。 業務の主なカウンターパート 概 要 内閣官房 内閣府 日本銀行 経団連等の民間団体 民間エコノミスト 大学・シンクタンク 格付機関 外国人投資家 政策金融機関(日本政策金融公庫、国際協力銀行など) 独立行政法人(JICAなど) 各省庁 国債発行当局 官民ファンド 地方公共団体 平成 11 年 大臣官房文書課 平成 13 年 留学(米・カリフォルニア大) 平成 15 年 主計局総務課 平成 17 年 関税局関税課 課長補佐 平成 19 年 在インド日本国大使館 二等書記官 平成 21 年 在インド日本国大使館 一等書記官 平成 23 年 主税局総務課 課長補佐 平成 24 年 主税局調査課 税制調査室長 平成 26 年 主計局主計官補佐(厚生労働係担当主査) 平成 27 年 主計局主計官補佐(地方財政係担当主査) 平成 28 年 大臣官房総合政策課 政策調整室長高 橋 太 朗
Taro TAKAHASHI [平成13年入省] 平成 13 年 理財局総務課 平成 14 年 理財局国債課 平成 15 年 仙台国税局 平成 16 年 金融庁総務企画局企業開示参事官室 平成 17 年 金融庁総務企画局企画課 平成 18 年 留学(中・北京大) 平成 20 年 大臣政務官秘書官 平成 21 年 大臣官房総合政策課 課長補佐 平成 22 年 主計局主計企画官補佐(財政分析係担当) 平成 23 年 主計局調査課 課長補佐 平成 24 年 主計局総務課 課長補佐(歳入・国債係担当) 平成 24 年 新潟県総務管理部地域政策課長 平成 26 年 新潟県総務管理部財政課長 平成 28 年 主計局主計官補佐(厚生労働係担当主査) 民間金融機関 マーケット関係者財 政 投 融 資
財 政 政 策
マクロ経済政策
財 政 政 策
「為替」といえば何を思い浮かべます か? 海外旅行で両替、円高還元セールで 買物、FX取引で一喜一憂…。個人レベル でも様々でしょう。企業活動にも大きな 影響があるのはご存知のとおり。為替 レートの乱高下があれば、先行きが不透 明になり、新たな投資や賃金アップに慎 重になるかもしれません。 為替相場は、国民生活にとって身近で あり、日本経済に大きな影響を与える存 在です。為替レートの過度な変動や無秩 序な動きは、経済・金融の安定に対して 悪影響を与えうるものであり、為替レー トは経済のファンダメンタルズを反映し て安定的に推移することが望ましいと言 えます。 2016年日本時間6月24日、英EU離 脱国民投票の開票が始まります。大方 は、英国のEU離脱は否決されるとの見 方でしたが、予想を覆す結果に。ドル円 は、1日で107円近辺から99円まで8円 も急落…。 そして、6月28日に着任。市場では神 経質な動きが続きます。着任当初から、 日々市場動向の情報収集を行いながら、 市場とのコミュニケーションに頭を悩ま せ、実務担当として何があっても対応で きるよう準備するなど、目まぐるしい 日々。市場は待ってはくれません。こうし た状況は、米大統領選まで続きます。 2016年11月8日、米大統領選挙。大 方の予想は、女性初の大統領誕生。英 EU離脱国民投票時の経験を踏まえ、逆 の結果になれば急激な円高進行の可能 性が高いことを想定し、担当者として万 全の準備を整えました。 そして、結果は大方の予想を裏切るト ランプ大統領の誕生。ドル円は、105円 台半ばから急激に円高になり、あっとい う間に102円台に突入。 そのような状況の中、準備していた対 応を開始しました。まずは、財務省、金融 庁、日銀による三者会合の緊急開催。す ると、101円台で下げ止まり、相場は反 為替の安定に向けて対応していくこと が財務省の役割です。 為替市場は24時間休むことなく、世の 中の森羅万象を反映して、目まぐるしく 様相を変えます。 各国の要人発言、経済指標、選挙、貿 易交渉、安全保障環境の変化など政治・ 経済・外交面の要因だけでなく、クリスマ ス休暇など社会イベントも値動きを左右 します(市場のプレイヤーの多寡が影響 します)。また、国際金融市場において、 為替市場の動向は、各国の株式・債券市 場、原油などの商品市場の動向から影響 を受け、また、逆に影響を与えます。「Buy the rumor, Sell the fact(噂で買って、 事実で売る)」。実需筋(輸出入企業や年 転、2016年年初来の急激な円高を巻き 戻す展開につながっていきます。 その後、市場は落ち着きを見せるよう になったものの、トランプ大統領は、就任 前後から、ドル安を望むような発言、日本 の金融政策に対する円安誘導批判など を展開しました。こういった要人の発言 は市場の動揺を招きます。 我が国は、様々な機会を捉えて日本の 立場や事実関係を説明。そして、為替に ついては、専門家たる財務省間でコミュ ニケーションを継続することとなり、これ までのG7・G20の合意内容を踏襲する ことができました。 そして、2017年の為替市場は、総じて 安定的に推移しました。 2018年の相場展開は、2017年とは 全く異なる様相を見せています。株の乱 高下、米国の長期金利の上昇、ドル安…。 今後も、どのように市場が動いていくの か、予断を許しません。 市場は様々な顔を見せます。過去と全 く同じ局面はありません。日々目まぐるし く変わる市場にどう対応するのか、そし て、市場が日本経済・世界経済にとって 望ましくない動きを見せた場合、どのよ うな対応をすべきか。 自ら必要な知識を見つけ吸収し、その 対応を自分の頭で考え抜き、同僚や関係 者との議論の中で磨いていくことが何よ りも大事です。 そんなことを楽しめる新しい仲間をお 待ちしています。 金・生保など)の動向だけでなく、投機筋 (ヘッジファンドなど)の思惑でも市場は 動きます。 為替市場課では、外貨準備の運用を 含め、様々な業務を行っています。例え ば、為替市場のモニタリング、市場との コミュニケーション、各国通貨当局との 意思疎通です。 市場に影響を与えうる当面のイベン ト、各国の経済状況や経済政策の方向性 といった点を頭に入れつつ、日々の市場 動向を把握します。その上で、必要なと きは、市場へのメッセージを検討します。 さらに、為替介入を実施するとなれば、 その最前線で実務を担当します。 また、グローバル化した国際金融市場 では、日本発でなくとも、為替の乱高下が 起こりえます。そのため、各国通貨当局と の間で意思疎通を図ることも重要です。 為替政策には、高度な専門知識を必要 としつつ、迅速かつ的確な対応を要求す る仕事が数多くあります。簡単ではない ですが、「国家」の立場から市場と対峙 し、時には敢然と立ち向かう、極めてエキ サイティングな仕事と言えます。
現 在 、私 が 携 わ っ て い る 業 務 に つ い て
政 策 分 野 に 関 す る 総 論
業務の主なカウンターパート 概 要 為替の安定は、日本経済・世界経済の健全 な発展にとって極めて重要です。財務省 は、為替市場の動向を常に注視し、為替の 安定に向けて様々な対応を行っています。市場と国家の結節点に立つ
∼「通貨マフィア」の世界
為 替 政 策
マーケット関連政策
Koki HARADA [平成13年入省] 平成 13 年 理財局財政投融資総括課 平成 15 年 福岡国税局 平成 16 年 内閣官房郵政民営化準備室 平成 17 年 厚生労働省職業安定局 平成 18 年 留学(英・LBS) 平成 19 年 IMF(国際通貨基金)理事補 平成 21 年 主税局参事官室補佐(国際租税) 平成 23 年 内閣官房副長官補室 参事官補佐 平成 25 年 主計局給与共済課 課長補佐 平成 26 年 主計局法規課 課長補佐 平成 27 年 主計局主計官補佐(厚生労働係担当主査) 国際局為替市場課 総括課長補佐原 田 浩 気
日本銀行 各国通貨当局(財務省・中央銀行) IMF 金融機関 関係省庁(外務省、金融庁など) 為替レートの国民生活への影響と 財務省の役割 為替市場はどのように動くか 為替政策の実務 何が起こったか 私が経験した出来事の一部を 簡単に紹介します。 Episode1: 為替市場課への異動∼ 英EU離脱国民投票直後 Episode2: 米大統領選挙 Episode3: 米新政権への対応 政策対応に当たって大事なこと 投資家 (輸出入企業、年金・生保、ヘッジファンドなど)13 財務省の活動 14
日本国債の
セールスマンとして
歴史の
1ページを紡ぐ
中 対 剛
Go NAKATSUI [平成19年入省] 理財局国債企画課 課長補佐 関税政策とは関税とは輸入品に課される税であり、輸 入品に課す関税率の上げ下げ等を行うこと で、国内産業保護や消費者利益の増大を通 じた貿易促進を図ることが関税政策の基本 的な役割です。関税局では、国内産業界や 消費者への影響だけでなく、これまでの国 際交渉の経緯や今後の日本の通商政策も 踏まえ、適切な税率水準の設定、輸入急増 時のセーフガードの制度設計等、物資所管 省庁や業界等と議論をしながら関税政策の 企画立案を行っています。また実態把握の ため生産現場等に行くことも、Ministry of Financeの中では珍しく「モノ」に着目した 政策立案を行う関税局の特徴と言えます。 広がる政策課題 こうした伝統的な役割に加え、近年関税 政策は急速にその政策課題が拡大していま す。経済活動のグローバル化やEC(電子商 取引)の普及により、貨物量の増大に加えて 流通の質の向上(より早く、より確実に)も 益々求められる中、通関における手続きの 円滑化も重要な政策課題となっています。 国境を超えて動くのはモノだけではあり ません。10年前には年間800万人程度だっ た訪日外国人旅行客は今や2800万人を超 えており、こうしたヒトの流れは今後も拡大 が見込まれます。経済の観点からも文化交 流の観点からもこうした流れは歓迎される べきものですが、残念ながら歓迎せざるも の ̶ テロ関係者、不正薬物、知的財産侵害品 等も日本にやってきます。これらを水際で取り 締まりそのための効果的な制度を構築する のも、関税政策が直面する大きな課題です。 歴史の1ページを紡ぐ 関税政策を実行するために必要な法制度 の企画立案が私の業務の一つです。具体的に は、所管省庁からの関税改正要望を踏まえ、 他の法令と齟齬はないか、実証研究結果や経 済連携協定等の国際的な動きとの整合性は、 等々の論点を一つひとつクリアしながら、関 税関連法の改正作業を進めていきます。 大変根気のいる作業ですが、明治時代以 来、経済活動のグローバル化等、時代に合 わせて改正を重ねてきた関税関連法の歴 史に、新たなページを紡ぐ緊張感と充実感 が背中を後押ししてくれます。 大局的な観点に立って 昨年、ある農産品の輸入量が短期的に急 増したことで、数十年ぶりにセーフガードが 発動し関税率が引き上げられました。「良好 な外交関係に影響が出るので即刻撤回す べきだ」との意見が出る一方で、「国内農家 保護のためセーフガードは堅持すべき」と の声も聞こえます。「高まる外圧」「庶民の家 計を直撃か」との刺激的なヘッドラインも報 道されました。 それぞれの立場から見ればもっともな主 張です。外交的観点から、国内産業の観点 から、国民生活の観点から。では財務省が依 るべき観点は何か。それは大局的な観点で はないかと思います。外交も、国内産業も、 国民生活も、それぞれの立場を大局的な観 点からバランスを図れる唯一の組織、それ が財務省だと言えます。 今回の発動の一要因として制度設計時と 現在の国際環境の相違を明らかにしつつ、 セーフガード発動による国内産業・消費者 への影響を検証した上で制度見直しを検討 する道筋を敷くこととなりました。それが、 私が紡いだ新たな歴史の1ページです。そ して今後も、財務省が大局的な観点から議 論をリードすることを確信しています。 次の歴史の1ページを紡ぐのは、貴方か もしれません。
藤 中 康 生
Yasuo FUJINAKA [平成14年入省] 関税局関税課 関税企画調整室長 国が公共サービスを提供していくためには、その裏付けとなる資金が欠 かせません。しかし、税収ではその6割程度しか賄えておらず、残りはほぼ 国債を発行することで資金調達しています。そのような中、如何に確実か つ円滑に、調達コストが最小限になるよう国債を発行し、必要な資金を調 達していくかが国債管理政策です。 業務の主なカウンターパート 概 要 証券会社 外国債務管理当局 日本銀行 国内外の投資家 (銀行、生命保険会社 投資運用会社、 海外中央銀行など) 平成 19 年 主計局総務課 平成 20 年 主計局調整第一係 平成 21 年 熊本国税局 平成 22 年 金融庁監督局銀行第一課 平成 24 年 留学(英・LSE、LBS) 平成 26 年 国税庁長官官房人事課 課長補佐 平成 27 年 横浜市財政局財政部財政課 財政担当課長 平成 14 年 国際局総務課 平成 15 年 国際局開発政策課 平成 16 年 仙台国税局 平成 17 年 留学(英・ノッティンガム大) 平成 18 年 大臣官房秘書課財務官室 平成 20 年 英国財務省 平成 22 年 大臣官房総合政策課 課長補佐 平成 24 年 関税局業務課 課長補佐 平成 25 年 内閣官房副長官補室 参事官補佐 平成 27 年 主計局給与共済課 課長補佐 平成 28 年 主計局主計官補佐(総務係担当主査)国債管理政策
マーケット関連政策
国際関連政策
関 税 政 策
関税制度の企画立案を通じて国内産業保護や貿易促進等を図ることが 関税政策であり、モノやヒトのクロスボーダーの移動が活発化する近年 においては、通関の円滑化や効率的な取り締まりも重要な課題となって います。また財務省は、EPA(経済連携協定)交渉や途上国税関への技術 協力といった国際的な業務も担っています。 業務の主なカウンターパート 概 要 各省庁 内閣法制局 国会議員 学者・エコノミスト 産業界 どの国債を売るか国は、国債という商品を投資家に売る(=発行す る)ことで資金調達を行います。約1,000兆円にま で国債残高が積みあがる中で、平成30年度は、国 債の借換え等を含め、約150兆円もの国債を売り、 資金を調達しなければなりません。 一口に「国債」といっても、1年から40年までの 償還期限が異なる国債、物価連動国債、個人向け 国債など、その種類は多様です。一方で、投資家層 も様々で、投資家によって国債へのニーズは異な ります。 ニーズにあわないものを売ろうとすれば、安く売 らざるを得ません。つまり、高いコストで資金調達せ ざるを得ません。そこで、需要や市場動向を見極め ながら、最小限のコストで調達できるよう、どの国債 をいくら発行するかを国債発行計画で決定していま す。国の資金ファイナンスを背負い、マーケットに参 加する。財務省にしかない醍醐味がここにあります。 どう国債を売るか
発行計画に基づき、日々の入札を通じて、円滑に 市場で国債を売ることも我々の使命です。国内外の 金融政策や経済動向等、市場に影響を与える要因 に目配せしながら、投資家からの声を聞き、市場環 境や投資ニーズを的確に把握していくことが欠か せません。また、市場のインフラ整備・改善等を行 い、国債市場を魅力的なものにすることも重要で す。マーケットにおいて長期的な国の信用力を確保 すること。これもまた財務省が担う仕事の一つです。 国債を買ってもらうために
近年、海外投資家は、日本国債を積極的に売買 し、市場でのプレゼンスを高めています。そのた め、私は、NY・ロンドン・香港など世界中を飛び回 り、海外投資家に対して、日本の財政や経済状況等 について正確かつタイムリーな情報提供を行い、 日本国債の販売促進・長期保有を促す取り組みを 担当しています。 「少子高齢化社会の中で日本は成長できるのか」 「厳しい財政状況だが格下げの恐れはないか」…面 談では、経済・財政・金融政策等あらゆる面から厳し い質問が飛んできます。これらに対して、どのような 説明だと相手の心に響き、きちんと日本を理解して もらえるか。日本国債のセールスマンとして、常に 日本の行く先を考え、自分のプレゼン能力を駆使し ながら、日本をPRするよう心がけています。 また、海外の国債管理政策についての調査も私 のミッションの一つです。OECDやIMF等が主催す る債務管理当局が集う会議に出席し、現下の低金 利環境下における発行戦略や市場の流動性低下と いう課題への対応等について熱い意見交換を行 い、日本の国債管理政策に活かしています。 七転八起 今は良くともこのままの政策でよいのか。日本 の将来のために今できることは何なのか。国内外 の知見を集めて自分の頭で考え、仲間と議論し、困 難を乗り越えていく。乗り越えた先に新たな景色が あり、新しい挑戦を続ける、非常に充実した毎日で す。是非そんな財務省を訪れてみてください。
片 岡 真 理 華
Marika KATAOKA [平成29年入省] 理財局国債企画課 「コクサイキカクカ」配属と知った時、「国際企画 課」と勘違いした程、国債はなじみの薄い存在で した(薬学部出身なのでなおさらです)。しかし 今では、国債発行を円滑に進めるために、買い手 のニーズに合わせ、どの種類の国債をいくら発 行するか、戦略を練っています。国の資金調達手 段の具体的な道筋を決めることで財政運営に貢 献していることに、大きな責任を感じています。 係 員 の 業 務世界経済の
最前線を舞台に
情けは
人のためならず、
めぐりめぐって
己がため
「コクサイカイハツ」?「コクサイカイハツ」という言葉を聞いて、そ れが何を意味しているか知っているそこのアナ タ。残念ながら多分アナタは少数派です。私も 官庁訪問が終わって当時の大蔵省から内定を 頂いた時でさえ、大蔵省が「コクサイカイハツ」 政策を所管していることは全く知りませんでし た。「大蔵省っていえば、予算でしょ、税金でしょ、 あとは円相場かな、てへっ(^_^)」という感じの フツ―の大学生でした。あれから二十有余年。今 私は財務省国際局で「カイハツ」企画官として、 財務省の「コクサイカイハツ」政策の一翼を担っ ております。では、「コクサイカイハツ」政策って 何のことでしょう? 途上国の経済発展の支援 「コクサイカイハツ」政策を漢字で書くと、国 際開発政策となります。これは、ひらたく言えば、 途上国の経済発展のための努力を支援するこ とです。財務省は、国際協力銀行による投融資 活動や国際協力機構による円借款の提供と いった二国間での途上国支援に加えて、途上国 の経済発展を支援することを主な業務とする世 界銀行等の国際機関を通じた支援を提供する ことにより、途上国の経済発展に深く関与して います。貿易や金融取引を通じて世界経済と密 接なつながりを持つ我が国にとって、途上国を 含む世界経済全体の持続的な発展を促進する ことは、我が国経済の発展にも資するものです。 また経済協力の推進は、我が国企業が有する優 れた技術や商品・サービスを国際社会に売り込 む機会も提供し、ひいては我が国企業の海外進 出を促す環境整備にもつながります。「情けは人 のためならず、めぐりめぐって己がため」。みんな 子供のころよく親に言われたこの言葉を日々実 感させられる仕事。それが国際開発政策です。 現在の業務について 私は現在、途上国が実施する気候変動対策や 砂漠化防止といった環境問題対策を支援する ために設立された国際的な資金提供メカニズ ムである、地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)や緑の気候基金 (Green Climate Fund)の理事会メンバーを 務めています。PM2.5による大気汚染、地球温 暖化による海面の上昇やゲリラ豪雨の多発、砂 漠化の進展による黄砂の到来など、最近は環境 問題に関するニュースを聞かない日はありませ ん。こうした環境問題への取り組みは、一国にお ける取り組みの成果がめぐりめぐって国境を越 え、他の多くの国にも利益をもたらすものです。 従って、途上国の環境問題への取り組みを支援 していくことは、支援対象国だけでなく、我が国 を含めて広く国際社会に利益をもたらすことと なります。これは、「めぐりめぐって己がため」と いう国際開発政策の特徴を最も分かりやすく示 す分野の一つと言えるでしょう。 理事会においては、途上国で実施される個別 の環境対策事業に対する資金提供要求につい て、審査が行われます。要求に無駄な経費が積 み込まれていないか、きちんと環境対策として の効果が得られる内容なのか、日本にどの程度 のメリットをもたらすのか、提供された資金が散 逸することなく適切に管理・支出される体制が 整っているのか、などなど。様々な視点から要求 内容を精査し、事務局や各国間の協議を経て理 事会としての結論を出していくこととなります。 各国の利害がぶつかる理事会において日本の 国益に沿った結論が得られるよう議論を導いて いくためには、事前の入念な準備が欠かせませ ん。理事会の前はいつも、国内関係省庁との調 整に加え、並行して他の国とも個別に協議を行 い、理事会本番での議論に備えます。理事会準 備は英語での作業が中心ですし、時差があるた め理事会の前は連日深夜までの準備作業が続 き、全精力を傾けることになります。その分、無 事日本の方針に沿った結論が得られた時の安 堵感と達成感は格別です。こうした仕事をして いく上では、かつて主計局で主査をした経験 や、国際通貨基金(IMF)の日本理事室の職員 として世界各国のカウンターパートと交渉した 経験、アジア版IMFと言われる東南アジア諸 国連合+3マクロ経済調査事務局(AMRO)の スタッフとして逆に要求側の立場で理事会対応 を行った経験がおおいに役立っています。多様 な経験を積ませつつ、そうした経験を活かして 新たな課題に取り組む機会が提供される職場。 それが財務省の大きな魅力の一つです。みなさ んも是非財務省の職員と会って話を聞き、その 魅力を実感してみて下さい。 グローバル化が進展する中、世界経済の持続可能な成長を確保するため には、各国間の政策協調が一層と重要となっています。財務省は、G7(7 か国財務大臣・中央銀行総裁会議)やG20などの国際会議・IMF(国際通 貨基金)などの国際機関における議論への参加を通じて、日本のプレゼ ンス向上に向けた対外発信を担っています。 業務の主なカウンターパート 概 要 G7・G20各国の財務省 IMF(国際通貨基金) 外務省 金融庁 日銀など
冨 永 剛 晴
Takeharu TOMINAGA [平成19年入省] 国際局国際機構課 課長補佐 平成 19 年 国際局国際機構課 平成 21 年 留学(英・LBS) 平成 22 年 IDB(米州開発銀行)職員 平成 25 年 金融庁総務企画局総務課 国際連携・協力室 室長補佐 平成 26 年 金融庁総務企画局企画課 課長補佐 (信用制度参事官室) 平成 28 年 金融庁総務企画局市場課 課長補佐野 村 宗 成
Munenari NOMURA [平成8年入省] 国際局開発機関課 開発企画官 平成 8 年 国際金融局国際機構課 平成 10 年 国際局国際機構課 平成 10 年 留学(米・ハーバード大) 平成 12 年 財務総合政策研究所研究部 平成 14 年 国際局総務課 課長補佐 平成 15 年 下関市総合政策部長 平成 18 年 主計局主計官補佐(総務・地方財政係担当主査) 平成 19 年 主計局司計課 課長補佐 平成 20 年 主計局給与共済課 課長補佐 平成 21 年 IMF(国際通貨基金)審議役 平成 25 年 AMRO(ASEAN+3マクロ経済調査事務局)職員 平成 28 年 国際局総務課 国際企画調整室長途上国開発政策
国際関連政策
海外支援を通じた国益 の実現 業務の主なカウンターパート 概 要 GEF、GCF等の国際環境関連基金 各国財務省、外務省、環境省など 国内関係省庁(外務省、環境省など) 世界銀行 JICA G20等を通じた政策協調 かつてないほどに高まっている貿易・投資・金 融面での世界各国の結びつきは、世界経済の成 長にプラスの影響を与えていますが、同時に各国 の経済活動・政策が、相互に大きな影響(スピル オーバー)を与えるようにもなっています。 国際金融関係の主な業務は、世界経済のキー プレーヤーが一同に会するG20やG7などの国際 会議を通じて、こうしたスピルオーバーに対応する ための政策協調を実現していくことにあります。 例えば、2008年9月のリーマン・ショックに端を 発する国際金融危機は、世界経済に大きな影響を 与えました。こうした中、世界各国が協力して対応 策を協議し、実行に移していくことの重要性が改 めて認識され、同年11月には、第一回目G20サ ミットが開催されました。当時から10年ほどが経 ちましたが、G20における政策協調は、国際金融 改革や国際租税などの分野で大きな成果を生ん でいます。この10年間、日本は国際協調をリードし 続けています(浅川財務官の寄稿(33∼34ペー ジ)をご参照)。 2019年には、日本はG20の議長国となり、首 脳会合のほか財務大臣会合を含めた関連会合が 日本各地で開催されます。財務省は、外務省をは じめとする関係省庁とも協力しつつ、G20の成功 に向けて、リーダーシップを発揮していきます。 IMF こうした国際会議のほか、国際金融の分野で は、IMFが大きな役割を果たしています。欧州債 務危機に直面したギリシャなどへのIMFの資金支 援が、世界経済の安定に大きく貢献しました。 IMFの業務には、こうした加盟国への資金支援 のほか、途上国の能力開発(技術支援)、加盟国に 対する経済審査(サーベイランス)と、大きく分けて 3つの柱がありますが、日本は、米国に次ぐ出資国 として、IMFの業務運営への大きな関与を通じ、世 界に常に貢献しています。実際、IMFの意思決定が 行われる理事会での日本の発言を準備すること は、国際金融分野における大事な業務の一つです。 世界を舞台に 世界経済情勢の変化に伴い、国際金融分野の 優先事項もダイナミックに変わっていきます。こう した変化に対応しつつ、世界中の優秀な同僚たち (主に、各国の財務省や中央銀行、IMFなどの国際 機関)との議論において日本がプレゼンスを発揮 していくためには、様々なルートを活用した日々 の情報収集や学問的な研究結果の吸収、また、国 内外の様々な制度やその背景等の理解が欠かせ ません。こうした、ある意味地味な基礎体力づくり の上に、はじめて国益の実現や 世界経済の持続可能な成長に 向けた戦略の立案が可能となり ます。最終的には、各国との交渉 等を経て合意が形成されたも のが実行に移されていくことと なりますが、こうしたダイナミズ ムを当事者として肌で感じられ るのも、国際金融業務に携わる 醍醐味の一つです。茂 木 真 弓
Mayumi MOTEKI [平成29年入省] 国際局国際機構課 国際機構課は、G7やG20、IMFやOECDといった国際的な枠組み に関する業務を担当しています。私はG7やG20を担当しており、 日々、国内外のカウンターパートと連絡を取り合いながら、日本の 経済外交の一端を担っています。議論される内容は、世界経済やイ ンフラ、金融規制等と幅広く、国際的なテーマでも国内経済につな がっているので、情報のインプットもアウトプットも多く、他国の動 きによっては迅速な作業が求められるため大変な時もありますが、 若手でも国際交渉の議論に加われる刺激的な毎日です。国際金融政策
国際関連政策
係 員 の 業 務17 財務省職員のキャリアパス 18