埋学
療
法学
第26
巻 第3
,丿.
85
−
89L
‘q999
年:1
第
一
分 科 会 「
理 学 療 法
の た め の
筋
組
織
研
究
の
進
歩」
筋
の
か た ち
と
ス
ト
レ
ッチ
ン
グ
*河
上
敬
介
* * は じ め に医 師 が
r一
術や投 薬の対.
象と な る 器官を 充 分 に 理 解 し たうえ で 最 善の治 療 を行 うの と同 様に,
fli
“’
f:療
法L
も,
業
務の 対象
!:な る 器 官 を 充 分 に 理解したうえで治 療を行うべ きであ る 我々 の 業務の対’
象となる器官は 多1
岐にわ た る が,
筋 ノ丿増 強 訓 練,
関 節 叫動 域 訓 練,
ストレッチ ング おk
びマ ツff
一
ジ は も ち ろ ん、
中 枢神経 疾 患に対 す るフ ァ シ リテー
ショ ン テ クニ /ク の場 合で も,
刺 激 を 人 力 す る直接的 な対 象は,
筋 あるい は筋 中に存 在す る感 覚 神経で あること が 多い.
よ・
て,
我々は筋の構 造を充 分 に 理解す る 必 要 が あ る・
万,
西 欧 解 剖 羊の基礎 となっ
たべ サリウ ス解 剖 El]1が 出 版 さ れて約四 世紀噛
トガ圃 過し.
その問.
多 くの解』ll裔二によ り,
ヒ ト の体 をできる限 り譜 細に,
そ して L:t二体 的に表現し よ う と勞力 が な さ れてき た,
し か し.
こと 筋 に 関 し て は,
L
述 し た多 様な訓 練 や 治 療 お よ び そ れ に 必 要 な 評価を満足 させ る た め の,
充分な 情 報 がfj・
えられてい るとは言い 難い 状 況である そこ で.
三次 元的視野で の筋の位 置や詳細 な構造 を 観 磨 し た とこ ろ,
筋 と 腱 の 位 置関 係,
筋 線 維のALI
Tt
1
∫llij
なL
’
.
我 々理 学 療 法1
:が 必 要で あると考え ら れ る筋の構造 が 明 らか に な・
丿て き たノ
Nt
.
ilは.
そ の中で,
ス トレッ
チ ン グに関連す る筋の 構 造 学的特長 と し て,
行η線 縄iの走 行 万1
的L筋と腱のf・
lt
:世耐對係〕と
,
筋線糸佳のtlflま り や 終わ りの位 置 嚇 連結1 の2
点 につ い て 紹 介 す る 筋線
維 の 走 行 方 向(
筋 と腱の位 置 関係 )
とス トレ ッ チング
筋 線維の 走 行 方 向 は
,
その 筋の輪 郭 や ?([hi
ぴ)構 造 から推 祭さ れ る 形 状 と は 異 な る 場 合 が あ る 例 え ば,
筋の輪 郭から紡 錘 状 の 筋の 典 型 的 な 例として 挙げ.
ら れ る長 掌 筋に は,
筋の 長面 か ら観察
できない停
止 腱が腹 筋の中 央 付 近の 高」さ まで 存 在す る.
よっ
て 筋 線維の 走行 方 向からA
ると放 射.
状の筋である[.
z.
この 様な構 造は長 掌 筋 特 有の もの で はな く
,
前腕や1
・
.
腿に存 在す る 多 くの 筋 もそ うである11.
また.
ひら め筋の 筋 線 維は,
頭 尾方 向に走 行するもの以外に,
外顕方か ら 内 ドノ∫に 走 行 す る もの、
走て」:
丿∫liJi
の筋線 維は.
筋の長 軸丿iliil
と同じ 走行ノ∫向の筋 線 維 に 比べて.
伸 艮され に くい こ と が考え ら れ る 嘔12
} この こ と が,
足 関 節 を他 動 的に11
学屈さ せ るこ と に よ り 行 う 関 節 運 動 を 利 用 したストレッチング で,
ひ ら め筋
全体が充 分に伸
長 さ れ た感 じを得るこ とが でき ない理 由かも しれない こ の様な筋の筋線 維 を伸長 する場 合,
マ イ オ セ ラピー
や指 圧のよ うに,
仲 長 した い 筋 線 維へII
’
〔接 機 械 的 牽1亅激を加え るJJ
’
が 効 果 的であ ろう1図
3
、
.
も ちろ ん こ の場 合,
筋 線 維の 走 行 方 向 にhil
え て 筋 線 維の 長 さ も 甬:要 な 因 ∫・
と な る と考 え ら れ る が,
個々 の筋 を譜 細に調べ た苧[乏占はなく,
今 後検 討が 必 要 な 因r
一
で あ る、
筋 線 維
の始
ま り や 終 わ り の 位 置(
筋連
結)
とス トレ ッ チ ング1
.
筋 連 結 とは・
般に筋は 腱 を介して骨に付 着 するとい わ れ る.
,
し か し,
筋 線 維の始 ま りや終 わ り を詳細 に観 察 すると、
隣接 する他の筋の 筋 膜に付 看 し てい た り,
他の筋 と 共 通の 腱 を 有 する場 合が 多 い 目こ の 様 に
.
隣接する :つ の筋に お い て,
それぞ れの筋 線 維の光 端1
司i
・
が,
「隍,
奇種の 筋 膜,
筋 間liI隔,
骨 問 膜,
閲 節 包,
靱 帯 を 介して接 続 する こ と を筋連 結と1
呼んで い る 〔図41
匚{
.
.
こ の筋 連 結は’
t/・
常や破 幡で はな く.
ご く・
般 的 な構造の ようである1.
.
こ の筋連 桔 は.
ヒ肢 帯 か ら 前 腕 に か け てD.
殿 部か ら ド腿に か けて1s
t
’
.
など たくさんの 筋の 問に存 在す る2
.
運 動}1
、
rにおけ る筋 連 結の観 察のII「能
’
性
近年,
磁気 比鳴 画像 法や超口』
波 検企法の発 達に伴い,
筋 線 維 の長さや走行ノ∫向な どの構造や、
その構 造の 収縮 に よ る変化 に つ い て の観 察が行わ れて きてい る が61,
筋 連 結の 運 動 時の観 察につ い てのtEt
7
;は ない「
そこ で.
ん 殿筋と外 側 広筋と の聞の 筋 連 結 〔図 弔 に着目 し,
被験 者に腹 臥 位で左 膝 関 節9
〔ジ 屈 曲 位 を と らせ,
最 大 努 ノJ
での 大 殿 筋の等尺性 収縮 運動 を 行わ せ,
その 運 動の前 後に おけ る筋 連 結の位 置を殿 筋 粗llll
の位 置を 基準 に観 察し たt.
超1
’
.
波 彡断 装 聞は東 芝メ デ’
fカ ル製SSA
.
340A
を用い,
プロー
ブ 1アニュ
プ ア レイプ ロー
ブ,
SMA
−
73
〔’
9A
,
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physloal Therapy Assoolatlon86
理学 療 法 学 第26
巻 第3
号.
薯 受 hド
3 図1
ひb
め 筋の筋線 維の走行 方同 〔与 真の⊥ か頭 方 文 献3
より引 用 )4
は右の ひbめ筋と踵 骨の 部の外面 〔皮膚側啣 のう真て あ るB
は内面 情 側 面〕 の写 真てあるC
は4
の筋 腹の 剖)を 内側1
かり みた 与 真てある (写 真の右か後 却D
はA
の筋 腹の 部 を 外 側 方かbみ た与貞てあ る 〔写真の左 か 後 方 )ひりめ筋 を 後 方 力 b 観 察 すると 内側 縁 と外 側 縁の筋 線 維は内 外 側 力回L
走行 する CA ) これbの筋線 維を内 側 ゐまた は外 側 方かり観 察 すると 前 後 方回 に走 行 する 〔しD
, 内 面L
は 筋 腹のほ ぼ 令 長L
お よA
左 右の起 始 腱 と 中 央部を 縦 走 す る停止 腱 〔アキ レス腱 力b 分岐 し た腱) か存 在しll
状の筋 腹が観 寧て きるIB
) N工 工一
Eleotronlo Llbrary筋のか た ち とス トレ ッチン グ
87
A
鯉
11111
川
L1
↓
1
弔B
11
>
12
Lt↓
Ll
↓
°12
図2
筋線 維の走行 方 向とス ト レッチン グ.
A は紐 状,
B
は 羽 状 の筋の 筋線維 の走行方 向に着 目した模 式 図で ある.
A
,
B
ともに,
ス ト レッチ ン グを行 う前 (左 上 ),
Ll
の方 向にL
,
の長 さだ けス トレッチング行っ
た後 〔右上),
ス ト レッチ ン グ に より伸 長 さ れ た 筋 線 維の長 さCl1
,
12} を示 す 〔下).
羽 状 の筋の筋 線 維が一
般 的 なス ト レッチング に より伸 長さ れ る 長 さ (12
) は,
筋 線 維の走 行 方 向がθ だけ 移 動 するので,
紐状 の筋の筋 線維 が伸 長さ れ る長さ {1
,)に比べ て短い。
る 圧 力の違い に より観 察で きる形 状が異な るので,
定 量 的 な 評 価を行
うためには,
硬い胸 郭に開ま れてい る 心 臓 な ど と は 異 な る測 定 条件が必要と なる。
ま た.
心 臓の よ う にプロー
ブ を あて る方 向の違いに よ る画像の見え方
の違い が,
充分に検 討さ れて い ない ま までの安 易 な 使 用は避 けるべ きであ り,
現在
検 討 中で ある。
おわり に「肉 眼 解 剖 学 的 な 研 究 はも う終 了し た。 解 剖 学の研 究室でも 今はミクロや ナ ノの世界に 目を 向 けてい る では ないか 」とい
う
意 見も あ る。
しか し,
ご存じのように.
医学の基 礎は解 剖 学か ら始 まっ た。
解 剖 学 的 研 究で形が わ かっ た構 造 物の,
機能 を 知 りたい とい う願望が生 理 学に,
その メカニ ズムを 知 りたい とい う願 望が 生化 学や薬理学な ど に 枝 分 か れ し て き た。
そ れ に 対 し て,
我
々理学 療 法 士の学 会 で 基礎 分 野の中核
を なし てい るのは,
生 理学
や 運動 学であ り,
歴 史 を さかのぼっ ても解 剖 学が中心 と なっ た 時 期 は ない。
もちろ ん,
日進 月 歩の現 代 医 学の 中 で,
ま ず 解 剖 学 的 な研 究だけをや るべ きであ る な ど と主 張 するつ も り はない。
現代 医 学に 大 きく遅 れを とっ てい る理 学 療 法 を,
学 問 として構 築し てい くた め の基 礎 分野の研 究 とし て,
生 理 学 的,
生 化 学 的 もしくは 運動 学的 な 研 究 は 必 要 不 可 欠 で あ り,
お おい に進めて い くべ き で あ る。
た だ,
解剖学的 な研 究が充 分に行わ れてい ない ま ま,
機 能 やメ カニ ズム の研 究 を進め て い くことに 危 機 感を 持っ
てい るの は私だけであろ うか。
文
献
1
> 河 上 敬介,
柴田 恵・
他 ヒ ト骨 格 筋の肉 眼 解剖 学 的 研 究.
理学療 法学23
幽
424
−
429
,
1996
2
)河上 敬 介,
辻 井 洋一
郎・
他.
マニ ュア ル セ ラ ピー
に 必 要 な 筋 の 構 造,
季1
・
1]マニ
ピュ レー
ショ ン1130
−
35
,
1996
.
3
) 河上敬 介,
磯 員 香:骨 格筋の形 と観 察 法,
河 ヒ敬 介,
小 林 邦 彦 (編 冫,
大 峰 閣,
熊 本,
1998
,
4
)Vteem
!ng A,
Poot・
Goudzwaard
AL
.
et α1
.
The
posterlortayer
ofthe theracoiumbar
fascla
、
Spme
20
』
753
−
758
.
1995
5
)Vteemmg
A
.
PooL
・
Goudzwaard
AL
,
et al :The
functmn
of theL〔}ng
dorsal
sacrD 山acligament
Splne
21
556
−
562
,
1996
6 )NancL
MV
,
Bmzonr
T
,
et at.
ln
vtvohuman
gastrocnetnius
archi−
tecture wLth chungmg
joint
ang且e at rest and dunng graded Lrffmetric contractaon
.
J
Physiol
496
:287−
297,
1996
7
) FukunagaT
,
Ichinose
Y
,
etα1
.
・
Determination
effascicle
length
and pennatlon m a contractinghuman
muscle tn vlvo.
J
APPl
Physiol
82
,
354
−
358
,
1997
図
3
ひ ら め筋のス トレッチング
,
A
,
B
は ひ ら め筋のス ト レッチ ン グ の方 法 を示 す.
A
は 臨 床で一
段 的 に用い ら れ ている関 節 運 動 を利 用 したス トレ ソチングの方 法.
B
はマイ オ セ ラピー
や指 圧 を 用い た 直 接 的 な 機 械 刺 激 に よ るス トレノチ ン グ の方 法を示す.
筋 線 維の走行h
’
向 を 考 慮 す る と,
ひ らめ筋の外側 縁や内側縁 の筋 線 維 は,
B
のよ うに直 接 筋 線 維 を圧 迫 する ス ト レ ノチング の方が効.
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physloal Therapy Assoolatlon理 学療 法 デ 第
26
巻 第3
号図
4
大 殿 筋 と外 側 広 筋の筋 連 鈷 〔与真
の6
か頭 方乂献
3
より引用 )4
B
は右の大 腿 部 を 後 内 側 力りみた与真てあ り 人殿筋は筋腹 の 中 央部 付 近て切 断 して外 側 乃し争引 してある また 大腿 四 頭筋の外側 広筋はヒ /セ ノトC 外 側 方にrl 迫し てある人腿
頭筋の 長 頭 と十腱様 筋は内 側
hk
移 動 してあるB
は 大 腿 鄙の 迩L
乙部 を拡 人し て あ る人殿 筋の
1
部の筋 線 維と外 側 広 筋の間 に は筋連 結 か あ るな お
人 腿
_
頭 筋の短 頭と外 側 広 筋 人 腿 頭筋の短頭と中間広筋 入内軌筋と外 側 広 筋の問の筋 崖結 も観祭 てきる N工 工一
Eleotronlo Llbrary['si,・'')h'r':
C']
・'./
X1-
L・・v
-)'
.'・
/'.'8Fl
mu5
liee.{."ff.t,,・fiEli,lg*t/ic].)I'fi.ljlf,
・X,
T",th
I{an!.
'ei,
"1・.eec,t,
thSV{EII
[M'1,:
v'u--・.'
6,
・/h
Y/,.ftigE'b'
l/l
";lt;・t'e;),i)/lt[1・wt-H,.i',
'E
t・.t.ic.ElimL・'Nl'lt'iMiS{'・f・za','M'-.o
.
,・X v,",・1. e-'l{,r・tt・4'"
S.WIT',//
c,/・"lr,wa
e.・,S'
',''.
.J{Wt,e/・'.'-tH,"1/lr
,,/,:,
,'.'
L・・lt.
t・i
£-n//.,-Il-t,,Sl[M'/l'li:
tri・parttifL
.E[-Iill,JZ
,,cM・ L:
Vl・
i"'[I
,r:,
g''//i
,i.'I,' e)AfiIM.,r,.i'fi')axtsf:'
,t'Al
t.
ifny,?.lt-
[.
t:ea
1'W'it
tdaiiM''('
/E)4.
4
.
{n
ft,tin・pt.・
ts .,K-t. ::s.tixTgt・,*F:
]Hi/
e'.-.
b
.:.eith f.'va
Ei,;・
///'1'M9,l,rf.
',.hli
o
hSig-
S,E/
;Lss
,7}
,・F
,]["r,X'"
i.V
c]/,b1・Il・L・../.I.t/・
t1./g-th
L
-CL,
/:,.]
,:・,-)5
lj,ri- t...A
h'-B
pa6
tsX/・pt.
$.t'i
.J:
.x
'i--]・・
・,,
-・