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地域在住高齢者における主観的年齢と運動機能,フレイルおよび個人レベルのソーシャル・キャピタル強度との関係

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 45 巻第 5 号 297主観的年齢と身体機能およびソーシャル・キャピタル強度との関係 ∼ 303 頁(2018 年). 297. 研究論文(原著). 地域在住高齢者における主観的年齢と運動機能,フレイルおよび 個人レベルのソーシャル・キャピタル強度との関係* 高 取 克 彦 1)# 松 本 大 輔 1). 要旨 【目的】地域在住高齢者の主観的年齢と身体機能および個人レベルのソーシャル・キャピタル(以下,SC) 強度との関連性を明らかにすること。 【方法】対象は地域在住高齢者 294 名である。主観的年齢は対象者 が主観的に感じる年齢とし,標準化した値を年齢ギャップスコアとして定義した。その他の評価として, Timed Up and Go Test(以下,TUG) ,30 秒立ち上がり,椅座位体前屈を測定した。また基本チェックリ ストおよび SC 強度を評価し,主観的健康感についても聴取した。 【結果】主観的年齢は実年齢よりも有意 に若く(p < 0.01) ,年齢ギャップスコアの平均は ‒ 0.14 であった。重回帰分析の結果,年齢ギャップスコア ,個人レベルの SC 強度(β = ‒ 0.19, p < 0.01)が関連していた。 【結論】主観 には TUG(β = 0.18, p = 0.01) 的年齢の若さは良好な運動機能と関連し,地域とのつながりの豊かさからも影響を受ける可能性がある。 キーワード 主観的年齢,ソーシャル・キャピタル,地域在住高齢者. と. はじめに. 13). ,また全身性炎症の程度が低いこと 6)なども報告. されている。本邦における地域在住高齢者を対象とした.  高齢者にとって気持ちを若く保つことは身体機能や心. 横断研究においては主観的年齢の若さと握力や立位バラ. 理状態に良好な影響を及ぼす可能性がある。気持ちの年. ンスおよび遂行機能. 齢の若さは先行研究においていくつかの用語が用いられ.  一方,主観的年齢が実年齢より高齢であることは認知. ており,代表的なものとしては主観的年齢(subjective. 機能の低下や不活発な生活スタイルなど. age)が多く用いられており. 1‒7). ,その他の表現として 8). 10). との関連が示唆されている。 4). ,様々な健康. 関連指標にネガティブに関連するとされている。主観的. は,自覚的年齢(self-perceived age) ,気持ち年齢(felt. 年齢と死亡リスクとの関連を調査した縦断的研究におい. 9) 10) age) ,認知的年齢(cognitive age) などが用いら. て Rippon ら. れている。主観的年齢を扱う研究の多くでは対象者の年. 高齢者は実年齢より若い主観的年齢を有するものと比較. 代学的年齢(chronological age)との不一致の大きさを. して心臓関連疾患による死亡リスクが高かったと報告し. ひとつの指標として用いており,様々な健康関連指標と. ている。これらのように,多くの研究において主観的年. の関係性が調査されている。具体的には,若い主観的年. 齢の評価は主観的健康感と同様に高齢者の健康状態を反. 齢を有するものは身体活動性が高いことや が速い. 4). ,歩行速度. 11). ,ことが観察研究において示されている。さ. 8). は実年齢より高齢の主観的年齢を有する. 映する簡便な代理指標となることを示している。また, 主観的年齢に関連する因子として,身体活動性の高 14). ,心理的ストレスが低いこと 15),主観的健康感が. らに主観的年齢の若さは上記の身体機能面だけでなく,. さ. 4) 記憶力 ,などの認知機能が良好であることや,大きな. 良好であることや性格傾向が「外向性」および「開放性」. 幸福感. 12). や生活満足度. 1). ,抑うつ症状が少ないこ. であること. 2). が報告されており,縦断的研究では自己. マスタリーが高いこと *. Relationships between Subjective Age, Physical Function, Frailty and Intensity of Personal Level Social Capital in Communitydwelling Older Adults 1)畿央大学 (〒 635‒0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中 4‒2‒2) Katsuhiko Takatori, PhD, Daisuke Matsumoto, MS: Kio University # E-mail: [email protected] (受付日 2018 年 2 月 28 日/受理日 2018 年 5 月 31 日) [J-STAGE での早期公開日 2018 年 7 月 19 日]. 16). などが,より若い主観的年齢. に関係するとされている。さらに社会活動,高次生活機 能と主観的年齢との関係における縦断的研究では,孤独 感の減少が主観的年齢の若さに関連する一方,抑鬱症状 の悪化が主観的年齢を実年齢よりも高齢化させる要因で あることを報告している. 17). 。しかし,本邦において主.

(2) 298. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 観的年齢を指標とした研究はほとんど行われておらず,. 2.方法. 主観的年齢の若さや高齢化に関する因子についても十分.  主観的年齢は「あなたの気持ちの年齢は実際の年齢よ. に調査されていない。また,先行研究では上述した歩行. り若いですか」との設問に対して対象者が主観的に感じ. 機能や遂行機能などの運動・認知面との関連性は報告さ. る年齢を数値にて記載するようにし,実年齢との差を年. れているが. 10). ,社会的活動の多さと主観的年齢との関. 齢ギャップとした。先行研究. 23). と同様に本研究では. 係性については調査されていない。. データの標準化のため,参加者が自覚している年齢から.  近年,地域在住高齢者の健康関連指標に有益な変化を. 実年齢を減じたものを実年齢により除したものを年齢. もたらす概念としてソーシャルキャピタル(社会関係資. ギャップスコアと定義した。したがって,実年齢に比較. 本)が注目されている Putnam. 19). 18). 。代表的なものとしては. により提唱されたものが有名であり,これ. して主観的年齢がより若い者は低値を示すこととなる。 その他の評価として,身体機能面では複合動作能力の指 24). ,脚力の指標には 30 秒立ち上がりテ. は社会関係を構成する多様な要素の中でも,構造的な要. 標として TUG. 素である「ネットワーク」と,認知的な要素である「信. スト(以下,CS-30). 頼」「互酬性の規範」の 3 要素に焦点をあてた概念であ. 椅座位体前屈距離. る。またこれらは「地域力」や「ご近所のつながりや信. きの椅子座位の状態から立ち上がりできるだけ早く 3 m. 頼から生まれる力」など,より平易な表現が用いられる. 先の目印を回って,再び椅子に座るまでの時間をストッ. 場合もある。つまりソーシャルキャピタルとは個人およ. プウォッチにて計測した。CS-30 は椅子座位の状態から. び集団がお互いのつながりからなんらかの資源や利益を. 30 秒間で立ち上がれる最大回数をカウントした。椅座. 得ることができるという考え方であり,こうしたつなが. 位体前屈は椅子座位で一方の膝を伸ばした姿勢から両手. りから得られた資源や利得はある種の成果をつくりだす. を重ね合わせた状態で中指先端を足尖に届かせるように. 20). 25). 26). を用い,身体柔軟性の評価には. を測定した。TUG は背もたれつ. 。ソー. 体前屈動作を行わせ,足尖部から中指先端までの距離を. シャルキャピタルを定量的に把握するにあたっては,こ. メジャーで測定した。中指が足尖まで届かない場合はマ. れを「個人レベルの特徴」とする考え方と,「集団レベ. イナス表記とし,足尖を超える場合をプラス表記とし. ルの特徴」とする考えの 2 つの流れが存在し,ソーシャ. た。また質問紙票にて個人レベルのソーシャルキャピタ. ルキャピタルと健康の関連について,個人レベルと集団. ル強度を内閣府によるソーシャル・キャピタル調査. ために用いることができるとされるものである. 21). 27). 。近隣住. で用いられた 3 分野である「近隣住民への信頼の強さ」 ,. 民とのつながりや社会参加の多さなどは高齢者の健康寿. 「近隣住民との交流」,「社会参加の多さ」から評価した。. レベルの両方で多くの研究がなされている. 22). ,身. 設問は上記調査にて用いられた質問紙票の「個人レベル. 体機能や認知機能に加えて,心理的側面である主観的年. のソーシャルキャピタルに係る設問群」を基に一部表現. 齢にも良好な影響を与える可能性がある。. を修正して使用した(表 1) 。各項目の評価には 4 件法.  上記のことから,主観的年齢と運動機能および社会的. または 5 件法を用いて点数化し,社会参加に関しては,. 活動との関係性を明らかにすることは高齢者の健康増. 地縁的な活動(自治会,老人会など)への参加,趣味活. 命を延伸させるものとして重要視されているが. 進・介護予防において,運動機能向上へのアプローチの. 動(俳句,カラオケなど) ,ボランティア・NPO・市民. みならず健康行動を促す心理的アプローチや社会参加へ. 活動への参加,運動教室などへの参加について該当個数. と導く行動変容アプローチを行ううえで重要と考えられ. を得点として記録した。本研究では上記のソーシャル・. る。そこで本研究の目的は身辺動作の自立している地域. キャピタルを構成する 3 要素の合計点数を個人レベルの. 在住高齢者を対象に,基本属性や背景因子を含む主観的. ソーシャル・キャピタル強度として定義した。. 年齢への影響因子を運動機能および地域とのつながりの.  また同時に介護予防事業対象者選定のために市町村で. 豊かさを表す個人レベルのソーシャル・キャピタル強度. 用いられている 25 項目の基本チェックリスト. の視点からも明らかにすることである。 対象および方法. 施し,Satake ら. 28). を実. 29). による総合判定法にしたがって,フ. レイル判定を行い,該当個数 8 個以上をフレイル,プレ フレイルおよび健常を合わせて 4 個以下を非フレイルと. 1.対象. 判定した。さらに主観的健康感,転倒後症候群につなが.  対象は奈良県 A 市在住の地域在住高齢者 309 名であ. り心理的影響が強いと思われる転倒歴についても過去 1. る。この中から,要介護認定者および主観的年齢が平均. 年の有無で聴取した。主観的健康感. 値から 2 標準偏差以上の場合を外れ値として除いた 294. から「よくない = 1 点」の 5 段階 Likert scale で評価した。. 30). は「よい = 5 点」. 名(女性 227 名,平均年齢 76.3 ± 6.6 歳)を本研究の分 析対象とした。. 3.統計解析  解析はまず年齢ギャップスコアの特性把握のため,性.

(3) 主観的年齢と身体機能およびソーシャル・キャピタル強度との関係. 299. 表 1 本研究で用いた個人レベルソーシャルキャピタル強度定量化のための設問 ・近隣住民への信頼の強さ  「日常生活において近隣の人々との信頼関係はどの程度重要だと思いますか?」以下の中からあてはまるものを 1 つ選んでください。 (1)重要ではない,(2)あまり重要ではない,(3)どちらともいえない,(4)ある程度重要,(5)非常に重要 ・近隣住民との交流  「ご近所の方とどのようなおつきあいをしていますか?」以下の中からあてはまるものを 1 つ選んでください。 (1)つきあいはまったくしていない,(2)あいさつ程度のつきあいしかしていない, (3)日常的に立ち話をする程度のつきあいはしている,(4)互いに相談したり,生活面で協力しあっている ・社会参加  「あなたは現在,地域で下のような活動をされていますか?」あてはまるものすべてに○をつけてください。 (1)地縁的な活動(自治会,老人会,サロンなど),(2)運動(体操教室,グランドゴルフなど), (3)趣味(俳句,絵画,カラオケなど),(4)ボランティア,NPO,市民活動, (5)参加していない. 表 2 対象者の特性(n=294). 別,年代(前期高齢者および後期高齢者)にて比較を行 い,次に運動機能評価,主観的健康感,個人レベルの. 項目. ソーシャルキャピタル強度との関連について相関分析を. 平均年齢(歳). 行った。運動機能評価項目およびソーシャルキャピタル. 性別:女性 ( 人). 強度との相関にはピアソンの積率相関係数を算出し,主. 主観的年齢(歳). 値 76.3 ± 6.6 227 67.9 ± 9.2 ‒ 0.14 ± 0.12. 観的健康感との相関にはスピアマンの順位相関係数を求. 年齢ギャップスコア. めた。また,性別,年代,フレイルの有無,転倒歴の有. TUG(秒). 6.5 ± 1.4. 無による年齢ギャップスコアの比較には Student の t 検. CS-30(回). 20.7 ± 6.1. 定を用いた。さらに,年齢ギャップスコアへの関連因子. 椅座位体前屈(cm). 10.1 ± 9.2. 主観的健康感(点). 3.6 ± 1.0. を抽出するため,年齢ギャップスコアを目的変数,運動. 個人レベルのソーシャル キャピタル強度. 機能評価項目,主観的健康感,転倒歴,個人レベルの ソーシャルキャピタル強度を説明変数としたステップワ. 10.8 ± 1.5. 値:平均±標準偏差 年齢ギャップスコア =(主観的年齢−実年齢)/ 実 年齢× 100 TUG: Timed Up and Go test, CS-30: 30 秒立ち上がりテスト. イズ重回帰分析(変数増加法)を行った。解析ソフト ウェアには JMP 13(SAS Institute Inc.)を用い,有意 水準は 5% とした。  本研究はヘルシンキ宣言に則り,研究参加者には本研 究の目的および個人情報の取り扱い等についての十分な 説明を口頭で実施し,自由意志にて研究参加の同意を得. 表 3 年齢ギャップスコアと各評価項目との相関. た。また本研究は本学研究倫理委員会の承認を得て実施. 項目. された(承認番号 H27-02) 。. TUG(秒) CS-30(回). 結   果  対象者の特性を表 2 に示す。対象者の主観的年齢は 67.9 ± 9.2 歳であり実年齢(平均年齢 76.3 ± 6.6 歳)よ りも有意に若く(p < 0.01) ,年齢ギャップスコアの平均 は ‒ 0.14 ± 0.12 であった。年齢ギャップには性差は認め. 椅座位体前屈(cm). 相関係数. p値. 0.28. <0.001. ‒ 0.17. 0.007. 0.11. 0.07. 主観的健康感(点). ‒ 0.28. <0.001. 個人レベルのソーシャル キャピタル強度. ‒ 0.24. <0.001. TUG: Timed Up and Go test, CS-30: 30 秒立ち上がりテスト. られず,前期および後期高齢者に分類した比較において も差は認められなかった。年齢ギャップの大きさと運動 機能との単純相関分析では TUG(r = 0.28, p < 0.01)と. 判定の結果,該当者は 45 名(15.3%)であり,転倒経験. 正の相関および CS-30(r = ‒ 0.17, p < 0.01)と有意な負. 者は 61 名(20.7%)であった。フレイルおよび転倒経験. の相関を示した(表 3) 。年齢ギャップスコアと椅座位. の有無による比較においては,フレイル判定者は年齢. 体前屈距離には有意な相関は認められなかった。また年. ギャップスコアが有意に高かった(フレイル判定あり:. 齢ギャップは個人レベルのソーシャル・キャピタル強度. ‒ 0.08 ± 0.10, フ レ イ ル 判 定 な し:‒ 0.14 ± 0.12, p <. (r = ‒ 0.24, p < 0.01)および主観的健康感(ρ = ‒ 0.28, p. 0.01) 。転倒経験の有無では統計学的な差は検出されな. < 0.01)とも有意な負の相関を示した(表 3) 。フレイル. かった(転倒あり:‒ 0.16 ± 0.14,転倒なし:‒ 0.13 ±.

(4) 300. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 表 4 年齢ギャップスコアを目的変数とした重回帰分析の結果 項目. 推定値. 標準化 β. 95% 信頼区間. p値. 年齢. 0.001. 0.07. ‒ 0.001 ∼ 0.004. 0.28. 性別. ‒ 0.008. ‒ 0.05. ‒ 0.027 ∼ 0.010. 0.37. TUG. 0.017. 0.18. 0.003 ∼ 0.030. 0.01. ‒ 0.015. ‒ 0.19. ‒ 0.02 ∼ ‒ 0.19. 0.003. 個人レベルのソーシャル キャピタル強度. TUG: Timed Up and Go test, R2 = 0.12. 0.11) 。年齢,性別を調整したステップワイズ重回帰分. 行速度との関係性や握力との関連を示した先行研. 析の結果では TUG(標準化 β = 0.18, p = 0.01)と個人. 究. レ ベ ル の ソ ー シ ャ ル・ キ ャ ピ タ ル 強 度( 標 準 化 β =. ルの有無で分類した場合,フレイル判定者は非フレイル. ‒ 0.19, p < 0.01)が年齢ギャップスコアの有意な関連因. 群に比較して,年齢ギャップスコアが有意に高い値を示. 子として採択された(表 4) 。なお,重回帰モデルの決. した。これに関しては,対象者が自身の年齢を実年より. 定係数は 0.12 であり,独立変数感の多重共線性は認め. も若く感じる程度が小さいか,実年齢よりも高く感じて. られなかった。. いる者が,そうでない者に比較して身体的に虚弱である. 10)11). を支持する結果となった。また対象者をフレイ. ことを示している。フレイル判定に関しては本邦におい. 考   察. て未だ統一した基準が確立されていないが,代表的な基.  心理的な加齢プロセスについて考察するためには,ま. 準として J-CHS 基準. 34). ず加齢現象を生物学的年齢(biological age) ,機能的な. た総合判定法がある. 29). 年齢(functional age)および年代学的年齢(chronological. ルの 5 つの発現型(易疲労性,握力低下,低活動,体重. 31). と基本チェックリストを活用し. 。Fried ら 35)が提唱したフレイ. 。加齢現象に対し. 減少,歩行速度低下)をそれぞれ判定にあてはめた. てもっとも一般的に用いられる指標は誕生からの時間的. J-CHS 基準に比較して,総合判定法は介護予防事業対象. 経過を示す年代学的年齢である。生物学的な加齢はプラ. 者の選定に用いられる基本チェックリストを活用してい. イマリ・エイジングとしても知られており,一般的な. るため, 「生活機能」 「運動機能」 「栄養」 「物忘れ」 「うつ」. 人々における標準的な生物学的加齢の指標と比較され. などのより広範囲な領域を含む。したがって,年齢. る。加齢のプロセスは様々な身体適応性の低下を引き起. ギャップスコアの高さは,身体機能のみならず,これら. こし,疾病の発症から機能障害,活動制限,死へと進行. 複合的な領域における身体機能の虚弱化を反映している. age)を区別して考える必要がある. する. 32). 。機能的年齢は同世代,同性の他者と比較した. 個人の健康状態と定義される. 31). 。一般に高齢者は疾病. 可能性がある。  心理的側面では主観的健康感と年齢ギャップスコアに. に対する耐性が低く,新しい環境への適応能力も低い。. 有意な負の相関を認めた。主観的健康感は高齢者の健康. また易疲労性であり歩行能力や動作および思考の機敏性. 状態を反映する簡便な代理指標として広く用いられてい. の低下,知覚能力や記銘力の減少などが表れてくる。こ. るが,先行研究. れらに加えて,主観的年齢の増加もまた同様に加齢に伴. 告されており,抑うつ状態とともに主観的年齢の重要な. うプロセスのひとつであると考えられるが,実年齢を超. 予測因子とされている。本研究においてもこれらの先行. える主観的年齢の増加は認知症リスクや心疾患リスクと. 研究を支持する結果となった。. 8). の関係性が報告されている 。  主観的年齢は一般的に実年齢に比較して若く. 12)16). において主観的年齢との関連も報.  また本研究では社会的側面から,ソーシャル・キャピ 33). ,本. タル強度と主観的年齢との関連性についても分析した。. 研究の対象者においても実年齢との平均差は約 ‒ 9 歳で. 本研究で用いた個人レベルのソーシャル・キャピタル強. あり,年齢ギャップスコアは ‒ 0.14 であった。これは一. 度は内閣府の調査. 般高齢者を対象とした先行研究においても近似した値を. 活動」の 3 分野を点数化したものであり,この点数が高. 示していることから,本研究対象者が年齢に対する知覚. いほど地域に根ざした生活を送っていることを示してい. に関しては類似した特性を有する集団であるといえる。. る。結果として,ソーシャル・キャピタル強度のスコア.  本研究の結果,運動機能面において TUG,CS-30 と. は年齢ギャップスコアと有意な相関を示した。このこと. 年齢ギャップスコアとの間には有意な相関が認められ. は自身の生活する地域への信頼や,近隣住民とのつなが. た。これは主観的な年齢が若いと感じている高齢者ほど. り,また地縁活動への参加が豊かなほど主観的年齢が若. 複合動作能力や脚力が良好であることを示しており,歩. くなることを表している。さらに年齢ギャップスコアに. 27). を基に「信頼」「つながり」「社会.

(5) 主観的年齢と身体機能およびソーシャル・キャピタル強度との関係. 対して身体的・心理的・社会的要因を含めた関連因子を 抽出するために,年齢ギャップスコアを目的変数とした ステップワイズ重回帰分析を実施した。その結果,有意 な関連因子として TUG とソーシャル・キャピタル強度 が採択された。これらのことから,主観的な年齢の若さ は身体機能面では複合動作能力の高さと関連し,社会的 活動の側面では地域とのつながりの大きさと関連するこ とが示された。したがって,理学療法士などリハビリ テーション専門職が健康増進・介護予防領域で地域にか かわるにあたり,主観的年齢および年齢ギャップの評価 は,運動機能を部分的に反映していることから,主観的 健康感などと同様に身体機能を表す簡便な代理指標のひ とつとして活用できる可能性や,社会的活動との関係に ついても,その活動レベルを一部反映する評価として使 用できる可能性がある。  本研究の限界としては,研究デザインが横断研究のた め,年齢ギャップスコアと身体機能など各関連要因との 間における因果関係は明らかでないことが挙げられる。 つまり,主観的年齢の若さが良好な身体機能に起因して いるのか身体機能へ良好な影響を与えているかについて は,本研究では言及できないということである。しかし, 我々は仮説として,年齢ギャップと身体機能等との関連 性は一方向性ではなく,互いに影響する相互作用を有し ているのではと考えている。現在,我々は縦断的にも データを蓄積しており,今後これらの課題を明らかにし ていくためには,ベースライン時の主観的年齢による年 齢ギャップの経年的変化の比較やその他の要因の影響な どを追跡する必要がある。 結   論  地域在住高齢者において実年齢より若いと感じる大き さは身体機能および個人レベルのソーシャルキャピタル 強度と関連し,またフレイルの有無によりその大きさは 有意に異なっていた。これらのことから,実年齢と主観 的年齢のギャップの大きさの評価は高齢者の健康度を反 映している可能性がある。今後は,高齢者が気持ちを若 く保つことが運動機能予後に関連するか,また健康増 進・介護予防領域における行動変容アプローチへの一助 となるかについてさらなる研究が必要とされる。 利益相反  本研究に関して,開示すべき利益相反関係にある企 業・組織・団体はない。 文  献 1)Stephan Y, Caudroit J, et al.: Subjective health and memory self-efficacy as mediators in the relation between subjective age and life satisfaction among older adults. Aging Ment Health. 2011; 15: 428‒436.. 301. 2)Stephan Y, Demulier V, et al.: Personality, self-rated health, and subjective age in a life-span sample: the moderating role of chronological age. Psychol Aging. 2012; 27: 875‒880. 3)Stephan Y, Chalabaev A, et al.: “Feeling younger, being stronger”: an experimental study of subjective age and physical functioning among older adults. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci. 2013; 68: 1‒7. 4)Stephan Y, Caudroit J, et al.: Subjective age and cognitive functioning: a 10-year prospective study. Am J Geriatr Psychiatry. 2014; 22: 1180‒1187. 5)Stephan Y, Sutin AR, et al.: Subjective age and personality development: a 10-year study. J Pers. 2015; 83: 142‒154. 6)Stephan Y, Sutin AR, et al.: Younger subjective age is associated with lower C-reactive protein among older adults. Brain Behav Immun. 2015; 43: 33‒36. 7)Stephan Y, Sutin AR, et al.: Subjective age and sleep in middle-aged and older adults. Psychol Health. 2017: 1‒12. 8)Rippon I, Steptoe A: Feeling old vs being old: associations between self-perceived age and mortality. JAMA Intern Med. 2015; 175(2): 307‒309. 9)Choi NG, DiNitto DM, et al.: Discrepancy between chronological age and felt age: age group difference in objective and subjective health as correlates. J Aging Health. 2014; 26(3): 458‒473. 10)Ihira H, Furuna T, et al.: Subjective physical and cognitive age among community-dwelling older people aged 75 years and older: differences with chronological age and its associated factors. Aging Ment Health. 2015; 19(8): 756‒761. 11)Stephan Y, Sutin AR, et al.: “Feeling younger, walking faster”: subjective age and walking speed in older adults. Age (Dordr). 2015; 37(5): 86‒98. 12)Infurna FJ, Gerstorf D, et al.: The nature and crossdomain correlates of subjective age in the oldest old: Evidence from the OCTO Study. Psychol Aging. 2010; 25(2): 470‒476. 13)Keyes CL, Westerhof GJ: Chronological and subjective age differences in flourishing mental health and major depressive episode. Aging Ment Health. 2012; 16: 67‒74. 14)Caudroit J, Stephan Y, et al.: Subjective age and socialcognitive determinants of physical activity in active older adults. J Aging Phys Act. 2012; 20: 484‒496. 15)Shrira A, Bodner E, et al.: The interactive effect of subjective age and subjective distance-to-death on psychological distress of older adults. Aging Ment Health. 2014; 18: 1066‒1070. 16)Bergland A, Nicolaisen M, et al.: Predictors of subjective age in people aged 40-79 years: a five-year follow-up study. The impact of mastery, mental and physical health. Aging Ment Health. 2014; 18: 653‒661. 17)Ayalon L, Palgi Y, et al.: Accelerated increase and decrease in subjective age as a function of changes in loneliness and objective social indicators over a four-year period: results from the health and retirement study. Aging Ment Health. 2016; 20(7): 743‒751. 18)相田 潤,近藤克則:ソーシャル・キャピタルと健康格 差.医療と社会.2014; 24: 57‒74. 19)Putnam RD: Making Democracy Work: Civic Traditions in Modern Italy. Princeton University Press, 1993. 20)藤澤 由,濱野 強,他:ソーシャル ・キャピタルと健 康の関連性に関する予備的研究.新潟医福誌.2005; 4(2): 82‒89. 21)太田ひろみ:個人レべルのソーシャル・キャピタルと高齢.

(6) 302. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 者の主観的健康感・抑うつとの関連.日本公衛誌.2014; 61: 71‒85. 22)Hikichi H, Kondo N, et al.: Effect of a community intervention programme promoting social interactions on functional disability prevention for older adults: propensity score matching and instrumental variable analyses, JAGES Taketoyo study. J Epidemiol Community Health. 2015; 69: 905‒910. 23)Stephan Y, Sutin AR, et al.: Feeling Older and the Development of Cognitive Impairment and Dementia. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci. 2016. Epub 2016/07/19. doi: 10.1093/geronb/gbw085. PubMed PMID: 27436103. 24)Rockwood K, Awalt E, et al.: Feasibility and measurement properties of the functional reach and the timed up and go tests in the Canadian study of health and aging. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2000; 55: 70‒73. 25)Nakazono T, Kamide N, et al.: Reference Values for the Chair Stand Test in Healthy Japanese Older People: Determination by Meta-analysis. J Phys Ther Sci. 2014; 26(11): 1729‒1731. 26)Shephard RJ, Berridge M, et al.: On the generality of the “sit and reach” test: an analysis of flexibility data for an aging population. Res Q Exerc Sport. 1990; 61: 326‒330. 27)内 閣 府 ホ ー ム ペ ー ジ  平 成 14 年 度 ソ ー シ ャ ル・ キ ャ ピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて 2003.https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/2009izenchousa/2009izen-sonota/2002social-capital.(2018 年 2 月. 18 日引用) 28)厚 生 労 働 省 ホ ー ム ペ ー ジ  介 護 予 防 マ ニ ュ ア ル( 改 訂 版:平成 24 年 3 月)について.http://www.mhlw.go.jp/ topics/2009/05/tp0501-1.html.(2018 年 2 月 18 日引用) 29)Satake S, Shimokata H, et al.: Validity of Total Kihon Checklist Score for Predicting the Incidence of 3-Year Dependency and Mortality in a Community-Dwelling Older Population. J Am Med Dir Assoc. 2017; 18: 552. e1‒552.e6. 30)Kaplan GA, Camacho T: Perceived health and mortality: a nine-year follow-up of the human population laboratory cohort. Am J Epidemiol. 1983; 117: 292‒304. 31)Garriga MG: Functional Performance in Physically Frail Community Dwelling Older Adults. Liverpool Hope University, Barcelona, 2010. 32)Hayflick L: The future of ageing. Nature. 2000; 408(6809): 267‒269. 33)Westerhof GJ, Barrett AE: Age identity and subjective well-being: a comparison of the United States and Germany. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci. 2005; 60: 129‒ 136. 34)佐竹昭介:長寿医療研究開発費 平成 27 年度総括研究 報告:フレイルの進行に関わる要因に関する研究(25 − 11).2016. 35)Fried LP, Tangen CM, et al.: Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001; 56: 146‒156..

(7) 主観的年齢と身体機能およびソーシャル・キャピタル強度との関係. 〈Abstract〉. Relationships between Subjective Age, Physical Function, Frailty and Intensity of Personal Level Social Capital in Community-dwelling Older Adults. Katsuhiko TAKATORI, PhD, Daisuke MATSUMOTO, MS Kio University. Purpose: The purpose of this study was to clarify relationships between self-perceived age, physical function and personal level social-capital intensity in community-dwelling older adults. Methods: A cohort of 294 community-dwelling older adults (mean age 76.3 years) participated in this study. We defined the age felt subjectively by participants using the term “felt age”, and defined the magnitude of the discrepancy with chronological age using the term “age gap score”. The discrepancy between the chronological age and felt age was calculated as the gap score by subtracting a participant’s chronological age from the felt age. These calculated scores derived from the difference were then divided by the chronological age. Other assessments included the timed up and go test (TUGT), 30 seconds chair standing test (CS-30), sit and reach test, a questionnaire comprising 25 items on a basic checklist, and intensity of personal level social capital (comprising “trust for neighbors”, “interaction” and “social participation”). Data on the relationship between age gap score and each evaluation index were analyzed. Results: The participants’ mean felt age was 67.8 ± 9.3 years and their mean age gap score was ‒ 0.14 ± 0.12. The mean felt age was significantly lower than the chronological age (p < 0.01). Multiple regression analysis-adjusted age and sex, TUGT (standardized β = 0.18, p = 0.01) and intensity of personal level social capital (standardized β = ‒ 0.19, p < 0.01) were significantly correlated. Conclusion: Young subjective age is related to good motor function and may be influenced by richness of connection with the community. Key Words: Subjective age, Social capital, Community-dwelling older adults. 303.

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参照

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