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幼児版運動イメージ評価尺度の開発

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 44 巻第 3 号 213 ∼ 218 頁(2017幼児版運動イメージ評価尺度の開発 年). 213. 短  報. 幼児版運動イメージ評価尺度の開発* ─信頼性・妥当性の検討─. 松 田 雅 弘 1)# 新 田   收 2) 古 谷 槙 子 3) 池 田 由 美 2) 楠 本 泰 士 4). 要旨 【目的】発達障害児の運動イメージの未熟さが指摘されるが,幼児の運動イメージを評価する方法はな い。幼児版運動イメージ評価尺度を開発し,評価の信頼性・妥当性を定型発達児で検討した。 【方法】対 象は 42 名,そのうち 13 名に再度同じ評価を実施した。評価は対象児に 5 種類の基本肢位から 1 ∼ 2 段階 の姿勢変化をイメージさせ,その姿勢の絵カードを回答させた。同一評価者が 36 点満点で評価した。分 析は年齢との関連性を Spearman の相関係数,評価結果の信頼性を級内相関係数 ICC,内的整合性には 【結果】運動イメージ評価指標と年齢との相関は rs = 0.72 と強い関連性 Cronbach’s の α 係数を求めた。 を示した。ICC (1,1)は 0.859 と高い信頼性があった。Cronbach’s の α 係数は 0.829 で高い内的整合性を 示した。【結論】今回の運動イメージの評価の妥当性と信頼性が確認でき,今後発達障害児の評価指標に なりえると示唆された。 キーワード 運動イメージ,幼児,評価,信頼性・妥当性. 動制御の障害が日常生活を困難にしている. はじめに. 3). 。また,微. 細な運動制御の障害以外にも,発達障害児が遊具などを.  近年,医療の進歩により NICU(Neonatal Intensive. くぐり抜けるときに身体の一部分が接触して,外傷や骨. Care Unit)で誕生する低出生体重児の生存率が急激に. 折などの怪我や転倒事故につながることもある. 向上. 1). しており,低出生体重児が発達障害を呈する可. 能性は高く,発達障害児の増加が報告. 2). されている。. 4). 。発達. 障害によって日常生活や微細運動のみならず,転倒など 生活上に困難性もあると考えられる。. 発達障害児は運動や認知の発育の遅延により,乳幼児期.  これは,運動経験不足などにより運動イメージが適切. からリハビリテーションの対象となるが,運動に関して. に構築できないことや,そのイメージの発達に脳機能の. 多くの児童が歩行可能となるため,理学療法の対象とな. 発達が原因として指摘. らない傾向がある。しかし,発達障害児は歩行などの粗. 力の報告. 6). 大運動が可能になったとしても,鉛筆で線を引く,図形. 間が健常成人より発達障害成人で遅い傾向にあった。運. を模写する,ハサミを使用して紙を切るなどの微細な運. 動イメージの発達過程において,特に遊びを通じて身体. *. Developing Criteria for Motor Imagery in Children: Validity and Reliability 1)城西国際大学 (〒 283‒8555 千葉県東金市求名 1 番地) Tadamitsu Matsuda, PT, PhD: Josai International University 2)首都大学東京大学院 Osamu Nitta, PT, PhD, Yumi Ikeda, PT, PhD: Tokyo Metropolitan University 3)東京医療学院大学 Makiko Furuya, PT, PhD: University of Tokyo Health Sciences 4)東京工科大学 Yasuaki Kusumoto, PT, PhD: Tokyo University of Technology # E-mail: funwavesurfgogo@yahoo.co.jp (受付日 2016 年 1 月 14 日/受理日 2016 年 12 月 28 日) [J-STAGE での早期公開日 2017 年 2 月 27 日]. 5). されている。運動イメージ能. で,メンタルローテーション課題の反応時. 図式を脳内で形成するが,発達障害児は自発的な動きや 気づきが少ないため,身体図式の形成が未熟である. 7). 。. 運動イメージは運動を伴わず,視覚の助けを得ない視覚 イメージを利用することで成立する. 8). 。特に,運動遂行. 時の運動イメージの関与は運動企画に重要である。これ は,幼児から 9 ∼ 10 歳にかけて運動イメージが成熟す る発達過程を反映した結果である。そのため,発達障害 児の運動イメージの乏しいことや,運動のぎこちなさ (協調性の低下)がその成熟過程に関係すると考えられ る。幼児期は運動イメージの発達段階であり,運動イ.

(2) 214. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 表 1 3 種類の基本肢位から 1 ∼ 2 動作変化の指示内容(全 6 問) No.. 1 段階目の変化の指示. 基本肢位. 左足を左に小さく開きなさい. 2 段階目の変化の指示. No. 1. 足を閉じて気をつけの姿 勢を取りなさい. 両腕を前にまっすぐあげ なさい. No. 2. 足を閉じて気をつけの姿 勢を取りなさい. 体を前に小さく倒しなさい (お辞儀をしなさい). 両腕を横にまっすぐあげ なさい. No. 3. 足を閉じて気をつけの姿 勢を取りなさい. 左足を後ろにあげなさい. 左腕を前にまっすぐあげ なさい. No. 4. 足を閉じて気をつけの姿 勢を取りなさい. 右腕を横にまっすぐあげなさい. 顔を右に向けなさい. No. 5. 床に横になりなさい. 頭を左に小さく傾けなさい. 両足を天井に向けて持ち 上げなさい. No. 6. 前に足を伸ばして座りな さい. 両膝をつけたまま,体育座りの 姿勢になりなさい. 上体を左にねじりなさい.. 今回作成した CMI の評価方法(6 種類).イメージの複雑性に応じて基本肢位→ 1 動作変化→ 2 動作変 化で口頭指示を対象者に実施した.. メージの構築される過程を把握するのに重要だと考えら. 選択させる姿勢カードの方針. れる。.  ・カードは全部で 5 種類用意する.   運 動 イ メ ー ジ の 評 価 法 と し て,Ayres は 学 習 障 害.   1 枚目)正答. (Learning Disorder;LD)児の運動面での問題を「発 9).   2 枚目)行う方向が異なる  (例:左→前). し,その中核に運動企.   3 枚目)行う側が異なる   (例:左足→右足). 画力という認知的な要因を据え,イメージ機能の関与を.   4 枚目)行う程度が異なる  (例:少し→多い). 示唆しており,Sensory Integration and Praxis Test(以.   5 枚目)行う部位が異なる  (例:左足→左手). 達性行為障害」として概念化. 9). 下,SIPT) を開発した。その他の評価法として,人 物描画テストや身体像境界テスト,Richardson. 10). に代. 表される質問紙法(Test of Visual Imagery Control; 以下,TVIC) ,西田ら. 11). 図 1 提示するカードの種類 各質問に 5 種類のカードを,左右,部位(上肢または下肢), 程度(大きい,小さい)などの違いで準備した.. によるカードを使用した再認. 法 な ど 多 く の 手 法 が あ る。 西 田 ら の 再 認 法(Controllability of motor imagery test;以下,CMI-T)は,. 対象および方法. イメージを手がかりに身体部位を言語指示で順次変化さ.  対象は 42 名(男児 18 名,女児 24 名) ,平均年齢 4.7. せ,最終的な姿勢ポーズについて 5 枚のカードから 1 枚. 歳(4 ∼ 6 歳)とした。すべての対象は保育園に通って. のカードを選択するもので,質問紙法に比べより客観的. おり,日常生活および,通園生活において言語理解およ. 12). 。この CMI-T は,提示する動. び言語表出について問題の指摘がなく,医師による遅れ. 作が複雑であり健常の成人でも困難なため,運動イメー. の報告がないことを条件とした。検査者は理学療法士 1. ジが未熟な幼児期に適応するのに十分でない。そのう. 名(経験年数 28 年)とし,対面式で実施した。そのう. え,発達障害児は,絵画での評価が困難であることや,. ち 13 名(男児 5 名,女児 8 名,平均年齢 4.5 歳;4 ∼ 6 歳). 質問紙法は被験者の主観に依存するので,児童が適切に. には同様の評価を 2 回実施し,信頼性の検討を実施した。. 反応するのは難しいと予想される。. 1 回目と 2 回目評価の期間は 1 ヵ月とした。全対象者と.  運動イメージの統御可能性について,西田らは,「描. 親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究. かれた運動パターンのイメージを,指示にしたがって付. 協力の同意を得た。本研究は首都大学東京荒川キャンパ. 評価が可能と思われる. 加変換,再構成する能力」と定義. 11). した。運動イメー. ス倫理審査委員会の承認(承認番号:14015)を得て実. ジが明瞭でなく,統御可能性が困難な場合は,イメージ. 施した。. トレーニングが十分に行えず,運動学習の効果が期待で.  評価尺度は,対象児に 3 つの基本肢位(立位,座位,. きない。そのためにも運動イメージを把握することが重. 長座位)から 2 段階の姿勢変化をイメージさせるよう口. 要である。そこで我々は,西田らの運動イメージの統御. 頭で指示する。この指示に対し,自らの身体を変化させ. 可能性を応用し,幼児版の運動イメージ評価尺度を開発. ることなく,最終的な姿勢の絵カードを選択させた(表. し,その評価尺度の信頼性と妥当性を定型発達児で検証. 1,図 1,2)。最終的に,下記の採点方法で算出した総. した。. 得点から対象児の運動イメージの成熟度を評価した。.

(3) 幼児版運動イメージ評価尺度の開発. 基本姿勢. No. 1. No. 2. No. 3. 215. No. 4. No. 5. 図 2 対象者に提示するカード例(表 1 の No. 1 の 1 段階目の変化の例). 図 3 年齢と評価総合点の関係 Spearman の順位相関係数 rs = 0.72(p<0.01).  具体的な評価方法は,まず机上にはなにも示さず,①. 点した。問題の正誤では,1 段階で正答すれば 3 点,2. 口頭で基本肢位のひとつを告げ,頭の中で姿勢を想像す. 段階で正答すればさらに 3 点とした。もしも回答に評価. るように伝える,② 1 段階の姿勢変化を口頭で指示,③. 者からの助言が必要であれば正答しても ‒ 1 点とし,ま. 机上に示した 5 枚の写真から変化後の姿勢を選択させ. たは 1 段階不正解で,2 段階で偶然に正解した場合も,. た。④その後,1 段階からもう 1 段階増やした 2 段階目. テストの性格上 3 点とし,備考欄にどのような助言や回. の姿勢変化を口頭で指示,⑤ 1 段階の姿勢変化と同様で,. 答を行ったかを記載した。. 机上に示した 5 枚の写真から変化後の姿勢を選択させ.  分析は SPSS ver. 21 を利用し,年齢を外的基準として. た。姿勢変化の要素は,四肢・体幹の 1 つの運動性の変. 年齢による変化の妥当性を検討するために,年齢と開発. 化とし,たとえば変化要素 1「両脚を前後に開く」と要. した評価尺度の関連性を Spearman の順位相関係数にて. 素 2「両手を真横にあげる」とした。身体の変化する部. 算出した。また,4 ∼ 6 歳を年齢毎に 3 群とし,各年齢. 位は表 1 に示し,変化する程度は「真横」や「小さく」. に差があるかを確認するため,一元配置分散分析後に. などで知らせ,具体的な角度や数値では指示しなかっ. Scheffe 法にて多重比較を実施した。同一検査者が計測し. た。カードの種類は 5 種類とし,正解は 1 枚のみで,①. た評価結果の信頼性を級内相関係数 ICC (1,1)にて算. 正解カード,②要素 2 のみ不正解,③要素 1,2 不正解,. 出し,開発した評価尺度 6 つ設問の内的整合性について. ④要素 1 のみ不正解,⑤かく乱課題(要素 1,2 とは関. Cronbach’s の α 係数を求めた。有意水準を 5%とした。. 係ない)とした。  問題の正誤に関して評価者が 36 点満点で評価した。 問題は全 6 問であり,出題する順は No. 1 ∼ No. 6(表 1). 結   果  図 3 に示すように,今回開発した運動イメージの評価. をランダムに出題した。評価項目の採点は,①回答まで. 尺度と年齢との相関は rs = 0.72 と強い関連性を示した. の時間(制限時間)と,②問題の正誤を評価した。2 段. (p<0.01)。評価の総合点は 4 歳で 19.4 ± 3.3 点,5 歳で. 階の変化を短時間で回答できれば,最高点の 6 点とした。. 25.7 ± 4.5 点,6 歳で 29.6 ± 4.6 点となり,一元配置分. 助言が必要だった場合は順次減点した。回答時間は 30. 散分析の結果,F = 21.53(df = 2)で有意差がみられ,. 秒とし,30 秒以上かかる場合は正答であっても 1 点減. 多重比較の結果,4 歳と 5,6 歳には有意差があるが,5.

(4) 216. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 歳と 6 歳の間に有意差はなかった。信頼性の検討を実施. いて,①他者を認識し自らの身体に移入する,②自己の. し た 結 果,ICC (1,1) は 0.859(95% CI = 0.84 ‒ 0.98). 視覚だけではなく他者から得た情報を自己の身体に置き. と高い信頼性があった。1 回目のテストは平均 24.5 ± 5.9. 換えながら認知する,③視覚とマッチングすることで自. 点,2 回目のテストは 22.7 ± 6.3 点であり,1 回目と 2. 己の身体を感じ認識する,④情報を取捨選択することで. 回目の点数に変化がない児童と低下する児童に分かれ,. 身体意識が高まる。つまり,児童は社会的なつながりが. 点数が増加する児童はいなかった。1 回目と 2 回目の変. 多くなる時期で,他者とのかかわりのなか運動イメージ. 化 し た 点 数 の 平 均 は 1.8 ± 1.0 点 で あ っ た。 ま た,. の能力を高めている。そのため,今回の結果からもこの. Cronbach’s の α 係数は 0.829 であり,高い内的整合性. 時期における児童の運動イメージが年齢に応じて向上し. を示した。. たものと考えられる。幼児期の身体運動が感覚処理,感 覚の統合を活性化させ,さらにその時期の社会生活が運. 考   察. 動イメージ能力の向上や,四肢の運動機能の向上に関与.  我々は発達障害児にも応用できるように今回幼児版の. することが示唆された。. 運動イメージの評価尺度を開発した。本研究の結果,開.  運動イメージの評価方法に SIPT や TVIC などが挙げ. 発した評価尺度と年齢に強い相関があり,年齢とともに. ら れ, 本 邦 で は CMI-T, ボ デ ィ・ イ メ ー ジ に Body-. 運動イメージ能力が向上した(図 3)。年齢に応じた運. Cathexis Scale などの評価方法. 動イメージの成熟が,正確な運動の遂行には重要とさ. 開発した評価と同様の方法はない。定型児との比較で,. れ,運動課題における運動イメージの明瞭性,統御可能. 自動的・他動的な身体意識が言語発達と関連し,精神発. 性といった要因に関して,定型発達児の年齢における変. 達遅滞児では低下していた. 化を敏感に捉えられたものと考えられる。. 問紙の検査で,精神発達が遅延することで身体概念が低.  4 歳と 5,6 歳の間では総合点の結果から有意差があっ. 下. た。幼児期に身体図式が遊びを通じて確立するが,今回. 唆している。このように,身体意識や身体概念は定型発. の総合点の結果より 4 歳では基本肢位から 1 動作の変化. 達児よりも発達遅滞児で低下しており,運動や言語発達. をイメージできる過程から,5,6 歳では 2 動作の変化. に深く関与しているため,この評価尺度を使用していく. までイメージできるようになった。幼児期の遊びや身体. なかで運動イメージに関しても今後さらに検討していき. 運動が運動イメージを構築するために重要な時期だと考. たい。. えられる。江原. 13). は 5 歳児に身体の満足度,理想体型,. 16). 15). もみられるが,今回. 14). 。身体概念に関しても質. しており,それが運動発達とも関連していると示.  今回,定型発達児を対象として今までの評価尺度をも. 身体感覚について調査した結果,5 歳児は自己の身体イ. とに幼児で使用可能な指標を開発した。しかし,その他. メージを客観的に捉えると示唆している。幼児の自分表. の評価尺度との比較した妥当性や,その正確性に関して. 現の描写は頭から足が生えた「頭足人型」を示し,これ. 十分な検討が対象者の数としても不足している。また,. は四つ. 言語指示の適切さに関しても,幼児にわかりやすい表現. い移動から歩行の確立の時期に過渡的に現れ,. そのうち体幹の描写が増えてくる。つまり,幼児初期に. にするよう検討する必要性がある。さらに、将来的な目. 体幹の概念は少なく,それに加えて手足があることの認. 標である発達障害児と比較することで,この評価尺度の. 識も低下している。また,学童期以前に著しい運動技術. 使用の可能性について検討する必要がある。そのなか. の発達がみられ,そのときに運動イメージを活用する教. で,発達障害における運動障害の要因を分析し,適切な. 育は欧米でも実践されている. 14). 。このように,5 歳児. までに自己の身体イメージの向上とともに,運動イメー ジが向上していると考えられる。  身体図式は一般に生後 18 ヵ月以降に成立して,上下. 運動指導が発達を促進する方法のなかで運動イメージを 正しく捉え,アプローチする一助にしていきたい。 結   論. の概念は 3 歳頃,左右に関する意識は 6 歳頃に獲得され,.  今回開発した運動イメージの評価方法に高い信頼性が. 8 歳頃に利き側が定着する。行為の発達には身体知覚. 確認された。内的整合性も高く,幼児の運動イメージの. (body percept)や身体図式(body scheme)の発達基. 評価尺度の手法として有用性があると示唆された。今回. 盤があり,その基盤をつくるために感覚を統合し処理す. 開発した評価尺度が年齢に応じた感度がよく,かつ信頼. る能力が必要となる。触覚系・固有感覚系・前庭感覚系. 性があることが確認された。. などを統合し処理する能力が必要であり,その感覚系が.  幼児の運動イメージの程度を把握するための評価尺度. 統合されることで身体知覚・身体図式が確立され,体幹. として有効性が示されたため,今後発達障害児の運動イ. の安定性の基に実行機能で使われる四肢を巧みに動かす. メージの発達レベルの把握に使用していき,開発された. 7). 。児童は母や他人の動作や姿勢を模. 評価尺度との関連性を明らかにしていきたい。運動イ. 倣するなかで,運動イメージを構築していく。模倣にお. メージ能力を把握し,適切な運動療法を実施すること. ことが可能となる.

(5) 幼児版運動イメージ評価尺度の開発. で,発達障害児の運動機能向上,また運動のみならず認 知機能・社会機能の向上に寄与できると考えられる。 謝辞:本研究の実施にあたり,測定にご協力いただきま した植草学園大学の植草一世氏,植草学園大学附属幼稚 園の鈴木朱美氏ならびにご参加いただきました対象者の 皆様に深謝いたします。 文  献 1)文部科学省ホームページ 通常の学級に在籍する発達障 害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生 徒に関する調査結果について(平成 24 年 12 月).http:// www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__ icsFiles/afieldfile/(2015 年 3 月 3 日引用) 2)宮本信也:発達障害.小児科診療.2008; 71(9): 1517‒1526. 3)Sugama K,Sengoku Y,et al.: A new device for measuring motor control ability by a visual stimulus: Toward the analysis of clumsiness for eye-hand coordination task corresponding to a visual target. Sapporo Medical University Bulletin of School of Health Sciences. 2007; 6: 59‒67. 4)伊藤秀志:遊びの相手や内容が幼児の体力・運動能力に及 ぼす影響について─子どもの体力・運動能力の変化,発 育・発達の特性等からの考察─.(財)静岡総合研究機構 情報誌.2008; 92: 51‒62. 5)新井信隆:脳の微小形成不全と発達障害.医学のあゆみ.. 217. 2011; 239: 621‒626. 6)車谷 洋,深津玲子,他:発達障害を有する成人の運動イ メージ能力評価の試み.日本作業療法研究学会雑誌.2013; 16: 46. 7)福田恵美子:感覚統合障害としての発達障害:みかたと対 応,ADHD・LD・高機能 PDD のみかたと対応.宮尾益知 (編),医学書院,東京,2007,pp. 167‒196. 8)新田 收:発達障害の運動療法.三輪書店,東京,2015, pp. 2‒88. 9)Ayres A, Mailloux Z, et al.: Developmental dyspraxia: Is it a unitary function? Occupational Therapy Journal of Research. 1989; 29: 29‒53. 10)Richardson A: The meaning and measurement of memory imagery. Br J Psychol. 1977; 68: 29‒43. 11)西田 保,勝部篤美,他:運動イメージの統御可能性テス ト作成の試み.体育学研究.1987; 31: 13‒22. 12)瀧澤 聡:学習障害児(LD 児)と健常児における運動イ メージ機能の比較.発育発達研究.2008; 38: 1‒9. 13)江原千恵:幼児におけるボディ・イメージの評価的側面に 関する検討─身体満足度・理想体型・身体感覚との関連か ら─.小児保健研究.2011; 70(1): 60‒67. 14)Desmurget M, Reilly KT, et al.: Movement intention after parietal cortex stimulation in humans. Science. 2009; 324: 811‒813. 15)瀬 川 昌 也: 小 児 の 歩 行 機 能 異 常.BRAIN and NERVE. 2010; 62: 1211‒1220. 16)松田雅弘:自閉症に対する理学療法介入,知りたかった! PT・OT のための発達障害ガイド.新田 收,他(編) , 金原出版,東京,2012,pp. 169‒172..

(6) 218. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 〈Abstract〉. Developing Criteria for Motor Imagery in Children: Validity and Reliability. Tadamitsu MATSUDA, PT, PhD Josai International University Osamu NITTA, PT, PhD, Yumi IKEDA, PT, PhD Tokyo Metropolitan University Makiko FURUYA, PT, PhD University of Tokyo Health Sciences Yasuaki KUSUMOTO, PT, PhD Tokyo University of Technology Introduction/Background: Children with developmental disabilities show immature motor imagery, yet there is no agreed method of evaluating motor imagery in children. Accordingly, we developed criteria for motor imagery (CMI) in children. Criteria validity was assessed in children with typical development, who were used as external criteria. Methods: The subjects were 42 typically developing children of whom 13 were retested. Informed subjects’ and parents’ consent was obtained. Subjects were instructed orally to adopt a standard posture, and then to change the posture in 1~2 stages. The postural changes included positional changes of the extremities. Finally, subjects were instructed to identify images of the postures among 5 photos on a desk. Their selections were rated on a scale of maximum 36 points. Internal consistency was determined by Cronbach’s alpha. To quantify test-retest reliability, the intraclass correlation coefficient (ICC) (1,1) with a 95% confidence interval (CI) was determined for the 13 subjects retested. The relationship between CMI for children and age was determined using Spearman correlation coefficient. Results: A significant correlation coefficient of 0.72 between age and score was confirmed. Testretest reliability was found among the 13 subjects retested at 1-month follow-up. The ICC was 0.859. Cronbach’s alpha for the CMI for children was 0.829. Discussion: These results suggest the possibility of using these criteria to evaluate the degree of maturity of motor imagery in children with developmental disabilities. Key Words: Motor imagery, Children, Assessment, Validity and Reliability.

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