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子どもたちの持続的な未来をつくる

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Academic year: 2021

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(1)60. 特集:なぜ、子どものためのデザインに取り組むのか. 林 秀紀 Hayashi Hideki 桜美林大学. J.F. Oberlin University. 子どもたちの持続的な未来をつくる 子どもの健やかな成長を促す木の教育玩具 To create sustainable future for young children Educational Wooden Toys for young children to encourage healthy growth.. 1.はじめに 我が国の豊富な森林資源を活かした教育の一つに「木育」がある。木育と は、幼児期から原体験としての木材の関わりを深め、豊かなくらしづくり、 社会づくり、森づくりに貢献する市民の育成を目指す教育活動のことである [注1]。近年は、住宅の内装材に人工的な木質部材が使われることが多くな り、人々が日常生活の中で天然の木材に直接触れる機会が減少している。木 製遊具や家具を製造販売する企業によると、実物の木製品と人工物との区別 ができず、天然の木の香りを認識できない子どもや大人が増えているという 問題を指摘した。林野庁より木育の事業を受託した認定 NPO 法人芸術と遊. び創造協会の「ウッドスタート」活動は、「誕生祝い品事業」、「木育インス. トラクター」、「子育てサロンの設立」他、6つの事業があり、「木育玩具」 がその中心的な役割を担っている[注2]。木育玩具とは素材に木材を使い こどもの知育や成長を促す効果のある玩具のことを言う。 幼児教育における木製玩具の歴史は、明治時代にフレーベル(Friedrich. Wilhelm August Fröbel,1782−1852)の「恩物」という積み木によって伝え. られたと言われ[注3]、戦後は量産が可能なプラスチック製玩具が登場し 木製玩具の利用が縮小していったと見られる[注4]。しかし近年はウッド スタート事業が認知され変化が見え始めている。 子どもの遊びと玩具の関係について東京おもちゃ美術館館長の多田千尋 は、「子どもにとってのおもちゃ選びは心の栄養補給を考えて選ぶことが大 事である[注5]。」と述べているように、玩具は心や体の成長に密接な関わ りがあり、子どもの成長を促すツールと言える。東京おもちゃ美術館では親 子が遊べる木育広場を設けるなど木育玩具での遊びを積極的に推奨してい る。 木育玩具の使用実態を調べるため、2017年7月に保育士(2名)、幼児の 1)特定非営利活動法人 活木活木(いきいき)森ネット ワーク:木育インストラクターテキスト,5.2010.. 2)認定 NPO 法人芸術と遊び創造協会:ウッドスタート活. 保護者(2名)に対し個別にヒアリング調査を実施したところ、木の知育玩 具へのニーズはあるものの、購入の際に子どもの発達に合わせて玩具を選ぶ. 動.http://goodtoy.org/act/4.html(最終アクセス 2020. ための明確な指標がない。せっかく高価な玩具を購入しても直ぐに飽きてし. 3)国立民族学博物館:子ども/おもちゃの博覧会特別展. まうことが心配で購入を躊躇する、などと言った意見が寄せられていた。そ. 年1月12日). 図録,46.2019 4)金井正雄鍛冶美行: 「おもちゃ」と人の関わり第一部 おもちゃの歴史.2018.http://jsmcwm.or.jp/edit/kurashi/. こで教育効果のある玩具として両親が安心して選び購入できるガイドの必要 性を感じた。それに加え、製造側にとっても、子どもの発達段階の理解を踏. 04/014kanai.pdf(最終アクセス 2020年1月12日). まえた玩具の指標があれば、的確に創作ができ長く愛用できるような玩具を. NET,2012.. 製造できるのではないかと考えるに至った。. 5)多田千尋:おもちゃと子どもの発達.CHILD RESEARCH.

(2) デザイン学研究特集号  Vol.28-1 No.103. 2.木の玩具の教育効果 木の玩具に関する先行研究と本研究の目的について以下に述べる。 奥野ら(2015)による「雑木・間伐材を用いた幼児用玩具の製作と評価」 [注6]ではワークベンチを製作し幼児が実際に遊んでいる様子を幼児保護 者が観察、評価している。それによると、天然木材の玩具は害がなく温もり があり、想像力、達成感、遊ぼうとする意欲が感じられ、手先指先を細やか によく使って遊ぶことにより脳の発達に良い、などという肯定的な意見が多 く見られた。. 図1 グッドトイ 2016 選定おもちゃ. 西本(2012)は、玩具は子どもの情緒的・認知発達において重要な役割を 担っていると述べ、循環社会において子どもが玩具に関わる時期に物の大切 さやリサイクルの必要性を伝えることが有効であり、間伐材の木製品などを 用いたおもちゃ作品づくりなども教育効果が大きいとした[注7]。 また、宮野によるとヨーロッパの木製玩具は先に述べたフレーベルの恩 物、モンテッソーリ(Maria Montessori, 1870−1952)の教具、シュタイナー. (Rudolf Steiner, 1861−1925)思想の影響を受けていると述べている[注8]。 ヨーロッパでは豊富な森林資源を背景に産業としての木製玩具づくりや文化. 図2 数量化理論Ⅲ類とクラスター分析に よる積み木の分類 表1 知能や身体能力に関する6用語の分 析結果(因子分析:直交回転後) 因子負荷量. 因子 1. 因子2. 1 手先の発達に役立つ. 0.262. 0.891. 2 創造力がつく. 0.700. 0.327. 3 集中力がつく. 0.600. 0.644. 4 空間を認識する力がつく. 0.439. 0.595. 5 パターンを認識する力がつく. 0.543. 0.193. 6 考える力がつく. 0.928. 0.427. が発達し子どもへの教育玩具として用いられてきた。そういう環境で育つ子 どもは、心と体が健やかに発達し、自然環境を大切に思う意識も芽生えて行 くのではないかと考えられる。 この他、木製玩具の先行研究は多く見られないが、木育は環境教育や情操 教育としての効果が見られることや、健康,安全への貢献度が高いことが個 別に推察された。しかしながら、教育玩具としての機能性や心と体の成長を 促す効果について、体系的に整理された事例や研究視点が未だ十分ではない と考えられ、木製玩具の教育効果体系を構築する必要性を感じた。 以上の背景を踏まえ、子どもの発達に効果のある「教育的な木の玩具」に ついて焦点を絞り研究を進めた。その目的は、第1に、子どもの知育や成長 を促す効果について調査・分析を通じてその特性を明らかにすること。次 に、幼児をもつ保護者が玩具を購入する際の参考となるような資料づくり、 および、幼児玩具の製造側が新製品の企画段階において参照できるようなデ ザインガイドを作成すること。最後に、創造的で教育効果のある環境にやさ. 図3 知能や身体能力に関する6用語と購 買意欲の分析結果(重回帰分析の標 準偏回帰係数). 6)奥野信一,畑田耕佑,岳野公人:雑木・間伐材を用い た幼児用玩具の制作と評価.福井大学教育地域科学部 紀要(応用科学技術編),6.2015. 7)西本望:おもちゃ(玩具)の循環社会での意義 ─ こ どもの発達と玩具での遊び廃棄物資源循環学会誌,. Vol. 23,No. 3,180-189,2012. 8)宮野亮:ドイツ木製おもちゃ(知育玩具)にみるヨー ロッパの教育思想.http://www.hapetoys.co.jp/2018/12/ 1191/,(最終アクセス 2020年1月13日). 9)林秀紀,櫛勝彦,井上勝雄:木育玩具の分類とその教 育的効果の調査分析.日本感性工学研究論文誌,17, 4,489-497.2018.. 10)川喜田二郎:発想法.第65版,中公新書.1992. 11)林知己夫:数量化の方法,東洋経済新報社.1974 12)田中豊,垂水共之:統計解析ハンドブック.多変量解 析.1995 13)井上勝雄:エクセルによる調査分析入門.海文堂. 2010.. しい木育玩具を広く普及させ国産材の利用を促すこととした。. 3.研究の方法 3.1. 木育玩具の分類とその教育効果の調査分析. 本調査では、2003年∼2017年にグッドトイ賞(図1)を受賞した代表的な. 玩具164点の調査分析を実施し、その結果より評価指標を作成した[注9]。 研究プロセスは以下の通りである。 (1)木育玩具164点の選定と分類(うち,積み木が58点) (2)積み木の再分類を行い14点に集約(KJ 法,数量化理論Ⅲ類,クラス ター分析)[注10]、[注11]. (3)代表的な木育玩具14種類,58点を抽出(図2) (4)アンケート調査(5段階評定尺度,心理測定法) (5)調査結果からの分析(因子分析,重回帰分析,クラスター分析,5段 階評価グラフ分析)(図3)、[注12]、[注13] (6)木育玩具による遊びと教育効果の関係指標の作成. 61.

(3) 62. 特集:なぜ、子どものためのデザインに取り組むのか. 0. 積み木. ごっご遊び. くるま ころがす遊び ボール遊び けん玉遊び. 音で遊ぶ. バランス遊び 文字・お話遊び ゲーム. コマ パズル 迷路 その他. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 1 19 13 37 16 27 24 44 41 23 40 132 96 94 58 59 62 63 64 67 71 77 84 87 92 97 100 102 104 105 110 113 115 118 121 124 126 128 130 133 55 57 134 136 137 138 140 142 144 146 148 149 153 155 106 159 160 163. 0. 積み木. ごっご遊び. くるま ころがす遊び ボール遊び けん玉遊び. 音で遊ぶ. バランス遊び 文字・お話遊び ゲーム. コマ パズル 迷路 その他. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 1 19 13 37 16 27 24 44 41 23 40 132 96 94 58 59 62 63 64 67 71 77 84 87 92 97 100 102 104 105 110 113 115 118 121 124 126 128 130 133 55 57 134 136 137 138 140 142 144 146 148 149 153 155 106 159 160 163. 手先の発達に役立つ 創造力がつく 集中力がつく 空間を認識する力がつく パターンを認識する力がつく 考える力が付く. 図4は、全ての玩具サンプル(58個)に対し、知能や身体能力、遊び方の. 評価用語に対する20代男女30名を対象としたアンケート結果の得点平均値を プロットし、それぞれ直線で結び視覚化したものである。この結果による と,全体評価の高かった積み木はデザインや遊び方が多彩であるが、双方い ずれの評価項目に対しても、折れ線グラフの振幅が小さく安定した評価を得 られており、知能や身体能力への教育効果と遊びの発展性や継続性のバラン スの取れた玩具であるということが分かる。パズルや迷路も、考える力、集 中力、創造力など知能の発達や一緒に遊べるといった遊びの発展性について 全体的に高い評価を得られた。続いて図4から、玩具による遊びの各種類の 平均値を出し、得点ごとに5つのレベルを基に表2を作成した。この表から は、玩具の種類ごとの評価ポイントと改良ポイントについて示唆された。例. 遊びが広がる 一緒に遊べる 長期間遊べる 遊び方が直ぐ分かる. を挙げると、「くるま」は,遊びと購買要因の「遊び方が直ぐ分かる」で4. 図4 知能や身体能力に関する評価用語の 回答結果(左表)    遊びに関する評価用語の回答結果 (右表) 表2 遊びの種類と各評価に対する得点表. 遊びの種類. 遊びの種類 ○. ○. ○. 積み木. △. △. △. △. ごっこ遊び. △. ○. ▼. ●. ▼. △. ごっこ遊び. ▼. △. △. ○. くるま. ●. ●. ●. ●. ▼. ●. くるま. ●. ●. ●. ○. ころがす遊び. ▼. ▼. ●. △. ▼. ころがす遊び. ●. ▼. ●. △. ボール遊び. ▼. ▼. ▼. △. △. ▼. ボール遊び. ●. ●. ▼. ○. けん玉遊び. ○. ●. ○. ▼. ▼. △. けん玉遊び. ●. ●. △. ○. 音で遊ぶ. ○. 積み木. ○. ●. △. ▼. ▼. ▼. ●. △. ▼. 音で遊ぶ. ●. ●. ▼. ○. バランス遊び. ○. ▼. ○. ▼. △. ○. バランス遊び. ▼. ◎. △. ○. 文字・お話あそび. ▼. ○. △. ▼. △. ○. 文字・お話あそび. △. △. △. △. △. ゲーム. △. ▼. ○. ○. ゲーム. ●. △. ○. ▼. コマ. △. ●. ▼. ▼. ▼. コマ. ●. ▼. ▼. ○. パズル. ○. ○. ○. △. ○. ○. パズル. ▼. △. △. ○. 迷路. △. △. ▼. ◎. ○. △. 迷路. ▼. ○. △. △. その他. △. ▼. ▼. ▼. ▼. ▼. その他. ●. ●. ▼. △. ◎. 4.5以上. △. 3.5~4.0. ●. 3未満. ○. 4~4.5. ▼. 3.5~3.5. △ ●. 点以上の評価を得たものの、知能や身体能力に関する評価用語の得点が殆ん ど3点未満であった。「ころがす遊び」も「遊び方が直ぐ分かる」、「パター ンを認識する力がある」は、3.5点以上であるが、その他の項目は、すべて. 3.5点以下で、3未満は4項目に及んだ。ころがす遊びは単純な玩具として 認識された結果である。こういった弱点を改良すれば全体の平均値も向上す ると思われる。表3は,図4、表2の結果を全て統合し、木育玩具による遊. 教育効果. 教育効果. 3.1.1. 調査の総合評価と考察. 表3 木育玩具による遊びの種類と教育効 果の関係指標 遊びの種類と教育効果の関係指標. びの種類と教育効果についての関係を述べたものである。この表により、子 どもの発達に必要と思われる遊びを考えながら玩具の選択や作品の制作が容 易になる。. 3.2. 教育効果のある木製玩具のデザイン開発 3.2.1. プロトタイプ−1の制作と検証. 表3の指標を基にプロトタイプを制作しその有効性を検証した[注14]。. なお予備調査として市販の木育玩具による子どもの観察調査を実施しビデオ 映像を確認しながら要求仕様を分析した。その後、仮説のデザインコンセプ. 積み木. 限定した使い方 (遊び方) よりは、組立てたものを何かに「見立て」たり自由に遊べるもの の方が創造力や考える力を伸ばす効果が期待できる。組立て方は凹凸やねじ式、穴にさ す行為を入れると手首の発達に役立つ。 他の玩具との組み合わせも効果的である。. ト構築、アイディア展開から、 「積み木」「音で遊ぶ」「ままごと(ごっこ遊. ごっこ遊び. ごっこ遊びによる 「見立て」 や物語をつくる遊びは創造力や考える力を伸ばす効果がある。 子ども同士や大人と一緒に遊ぶことができるような玩具はコミュニケーション力や社会性を 養成できるとともに、 遊びが広がり楽しさを増幅させる効果がある。. び)」「バランス遊び」「ゲーム」「くるま(乗り物)」の6種類に含まれる9. くるま. ごっこ遊びによる 「見立て」 や物語をつくる遊びは創造力や考える力を伸ばす効果がある。 子ども同士や大人と一緒に遊ぶことができるような玩具はコミュニケーション力や社会性を 養成できるとともに、 遊びが広がり楽しさを増幅させる効果がある。. ころがす遊び. くるま遊びと同様に、 他の遊び (積み木、 ごっこ遊び、 音で遊ぶ) と複合させるとさらに良い 効果が生まれる。 ボールを転がす遊びと同様に、 コースをつくって上から下に転がったり回 転する動きを加えると創造力、考える力、 空間認識力に対しても教育効果が発揮される。. ボール遊び. ものを口にいれて確かめる時期には誤飲の恐れがありボール遊びは注意する必要がある。 積み木でコースを作ってボールを転がす遊びは創造力、 考える力、 空間認識などの教育効 果が高まると予想される。. けん玉遊び. 手先がある程度発達してくると、けん玉遊びは飽きずに集中力を養成するのに効果的で ある。けん玉を自分で工夫して組み立てるような遊びを提供すると、新たな楽しみや教育 効果がプラスされる。. 音で遊ぶ. 手先の発達には効果が期待でき、玩具として遊びが分かりやすい半面、一人遊びになり やすいことが推察される。 他人と一緒に遊べるような要素が加わると、 マイナス面を改善で きる。. バランス遊び. 手先、集中力、パターン認識の発達に効果があると認められている。長期間遊べることに 加え、 他人とのコミュニケーションにも効果的な玩具である。モチーフを工夫すれば、どん な年齢層にも対応が可能である。. 文字・ お話あそび. 昔話やおとぎ話を取り入れた玩具はごっこ遊びにも使用できるため、創造力、考える力の 発達に役立つと考えられる。 複数で遊べるような仕掛けを加えると、 さらに遊びが広がりコ ミュニケーション力が養成される。. ゲーム. ゲームは遊び方が限定される傾向があるが、将棋や知恵の輪などの日本の伝統玩具は 知育にも効果が高い。 様々なデザインやルールのアレンジより、 飽きずに長く遊べるような 玩具を提案できる可能性がある。. コマ パズル 迷路. 紐をつかったり指で回したりすることで手先の発達に役立つ。 回す行為に何か別の要素を 加える工夫があると新しさが表現できそうである。 手先の発達、創造力、集中力、パターン認識力、 知育効果が高い遊びを提供できる。 空間認識力を向上させるには、立体的なパズルも有効であると考えられる。 パズルと同様の効果が期待できる。 他人と一緒に遊べるとさらに遊びが広がる効果が期 待できる。. 点のデザイン案のプロトタイプを制作した。プロトタイプは子どもの創造力 を育むため抽象的な基本造形で表現し、安全性を考え大きなコーナーR を採. 用した。なお、教育効果の評価用語は、筆者らの予備研究で用いた6用語、. 「手先の発達に役立つ」「創造力がつく」「集中力がつく」「空間を認識する力 がつく」「パターンを認識する力がつく」「考える力が付く」に、「コミュニ ケーション力がつく」を加えた7用語を用いた。詳細について以下に述べる。 (1)ままごとセット(ごっこ遊び)(図5・玩具1)。 子どもが興味を引く食べ物を抽象化した造形である。見立てと音の遊びを 複合させ子どもの創造力を高める工夫を施した。 (2)リンゴの木(ゲーム)(図5・玩具2) リンゴのシルエットボードの扉を指で押すとマグネットにより開閉する仕 組みである。他人と遊びコミュニケーション力を促進する効果を期待した。 (3)立体パズル(図5・玩具3) 7種類の大きさの箱がすべて1つの箱に収納され入れ子構造になってい. 14)林秀紀.櫛勝彦:教育効果のある木育玩具のデザイン 開発.デザイン学研究作品集,24巻1号 1_24-1_29. 2019. る。パズルのように遊びながら立体的な空間認識力を育てる。.

(4) デザイン学研究特集号  Vol.28-1 No.103. (4)創造の木(バランス)(図5・玩具4) 樹木の幹である本体部品と枝葉を抽象化した複数の円盤部品で構成され る。円盤を部品の溝に差し込みながら様々な形に組み上げ1本の大きな木の 玩具1ままごとセット 玩具2リンゴの木. ようにもなる。創造力や手先の器用さが身につく効果を期待した。 (5)魚釣りゲーム(ゲーム)(図5・玩具5) 岩を模した積み木の下側に空間があり、積み木越しに釣り竿で魚を釣り上 げるゲームである。創造力とコミュニケーション力を養う玩具である。 (6)回転パズル(図5・玩具6). 玩具3立体パズル. 玩具4創造の木. 穴の開いた大小の円柱を重ねて回転させ穴の位置が一致すると中からビー 玉が飛び出す仕組み。集中力とパターン認識力を養う。 (7)乗り物−1、乗り物−2、どうぶつ乗り物(ごっこ遊び・くるま) (図5・ 玩具7、玩具8、玩具9). 玩具5魚釣りゲーム. 玩具6回転パズル. 昆虫や動物をイメージさせる乗り物である。子ども同士で揺らしたり引っ 張ったりしながら手先の発達やコミュニケーション力を養う。乗り物の安全 性に関しては、大きな脚や4つキャスターにより安定し転倒する危険性が少 ないことや2、3人で激しく動かしても部品の破損事故が起こる可能性が低. 玩具7乗り物−1. 玩具8乗り物−2. いことが確認できた。この他、各玩具とも子どもの身体の年齢別平均体系 データ集[注15]や誤飲を予防する誤飲防止ルーラー[注16]を参照して各 部寸法を決定して設計されている。 以上の9点を、2017年12月に保育園(図6)および木育イベント(図7) で実証評価し個別評価について表4のように一覧にまとめた。問題点が明ら. 玩具9どうぶつ乗り物. かになった2点の玩具(魚釣りゲーム、回転パズル)について更に改良制作. 図5 プロトタイプ−1. を行い、実証評価を再度実施した結果、安全性と手先の発達、バランス感 覚、創造力などへの教育的効果が確認された。しかしながら、子どもの成長 段階と玩具デザインとの対応関係が不明確であり今後の課題として残った。 表4 プロトタイプの評価表. 図6 保育園でのデザイン評価(保育園) (左図). 手先の発達に役立つ. (4). (5). 15)独立行政法人産業技術総合研究所デジタルヒューマン 工学研究センター.公益財団法人.日本インダストリ. 集中力がつく. 空間を認識する力. 2歳児以上では具体的な 食物に見立てたり料理を するふりをするなど、創 造しながら遊んでいる. 一人遊びが長く続かない. 空間認識力には効果が見 られない. 食物の形状を認識できる。 具体的なデザインのため 木の色であるため、リア 考える力つけるには効果 ルな印象は持たれない 的ではない. グループで会話をしなが ら遊んでいる。コミュニ ケーション力の促進効果 がある. ふたの木をはめたり外し たりして遊ぶことで、手 先の器用さが養われる. 窓から飛び出す指を虫に 見立てたり、他のおもちゃ と組合せたりして創造力 を生かして遊んでいる. 一人遊びが長く続かない. 窓が開いた位置を確認す ることで空間認識力を養 う. リンゴの形状や窓の大き さを認識できる. 窓の数を数えたりしなが ら考える力がつく. 友達同士や保護者と会話 を楽しみながら遊ぶこと ができる. 箱を出したり入れたりし ながら遊ぶが、2 歳まで は箱が重くて出し入れが 難しい. 箱の出し入れの遊びの単 純さのため、創造性の発 達には関係がない. 一人遊びが長く続かない. 立体的な感覚を養う効果 はある. 大小の箱の繰り返しのた め多少のパターン認識が できる. 考えながら遊ぶ玩具では ない. 他人と一緒に遊ぶという よりも一人遊びで完結す る玩具である. 小さな円盤を差し込んだ りバランスよく重ねたり する行為が手先の発達に 役立つ. 生茂った大木を育てるよ うに創造性を生かして葉 のような円盤を使って遊 ぶことができる. 一人でも複数でも長い時 間遊びが継続する. 3次元的に広がってゆく 形状のため、空間認識力、 立体感を養うことができ る. 形状の種類が少ない。パ ターン認識力のために、 サイズの大小や形状の種 類を増やすと効果増. 直観的な遊びのため、考 える力にはあまり影響を 与えない. 複数人でバランスを考え ながら大きな木を作って いた。どの年齢にも関心 度が高い. 魚を釣上げる微妙なバラ ンスや力加減で手先や手 首の発達に役立つ. 積み木を岩場に見立て魚 釣りをするように創造性 を生かした遊びができる. 根気よく遊んでいる子供 が多かった。集中力をつ けるのには効果がある。 2歳児以下には難しい. 上下の奥行を利用して空 間を意識しながら魚釣り をするため効果が大きい. 魚の形状や穴の形状に変 化をつけると多様なパ ターンが生まれる. どこに魚がいるか微妙な 感触をたよりに考えなが ら遊ぶ様子が見られた. 常に3~4人で遊ぶ様子 が見られコミュニケー ションを促進する効果が ある. 音を立てて振る動作によ る手先の発達や握力をつ けるのに効果がある. 重なった穴から玉を取り 出す単純さのため創造力 をつける効果は少ない. 遊び方が理解されなかっ た. 空間認識力には効果が見 られない. 内外の円柱を回しながら 形状を合わせる遊びが理 解されなかった. 具体的なデザインのため 考える力には影響を与え ない. 他人と一緒に遊ぶという よりも一人遊びで完結す る玩具である. 体重をかけて前後に揺ら すことで手や腕、足の筋 力発達に効果があると思 われる. 具体的な玩具のため、創 造力をつける効果は少な い. 少し乗ったら飽きるよう に見られた. 空間認識力にはあまり効 果が見られない. パターン認識にはあまり 効果は見られない. 具体的なデザインのため 考える力には影響を与え ない. 二人一組になって、揺ら して楽しく遊んでいる様 子が見られた. 押すことで手首の力がつ くと思われるが手先の発 達にはあまり影響はない. 具体的な玩具のため、創 造力をつける効果は少な い. 一人で独占してずっと 乗って遊んでいる子供が いた. 空間認識力にはあまり効 果が見られない. パターン認識にはあまり 効果は見られない. 具体的なデザインのため 考える力には影響を与え ない. 二人一組になって、二人 乗りしたり、押し合って 楽しく遊んでいる様子が 見られた. 押すことで手首の力がつ くと思われるが手先の発 達にはあまり影響はない. 動物の背中に乗って遊ん でいるように感じられた. 一人で独占してずっと 乗って遊んでいる子供が いた. 空間認識力にはあまり効 果が見られない. パターン認識にはあまり 効果は見られない. 具体的なデザインのため 考える力には影響を与え ない. 二人一組になって、二人 乗りしたり、押し合って 楽しく遊んでいる様子が 見られた. がつく. 図7 木育イベントデザイン評価(西粟倉 村)(右図). 図8 木のおもちゃレンタルサービス「もくレン」. 創造力がつく. 片手で持ったり音を立て て振る動作による手先の 発達や握力をつけるのに 効果がある. パターンを認識する. 考える力がつく. 力がつく. コミュニケーション力 がつく. 3.3. 木製玩具による遊びとこどもの発達の対応分析. 本稿ではプロトタイプ−1の調査分析で不十分であった玩具による遊びと. アルデザイナー協会.特定非営利活動法人(内閣府認. 成長段階との対応関係についての明示を目的とした。方法は木のおもちゃの. 証 NPO)キッズデザイン協議:子どものからだ図鑑. レンタル事業「もくレン(図8)」を2008年より展開している有限会社レイ. 社.ワークスコーポレーション.2013.. ンディア(鳥取県米子市)の協力により資料の調査を行った。「もくレン」. キッズデザイン実践のためのデータブック.株式会 16)一般社団法人日本家族計画協会:誤飲防止ルーラー誤 飲・窒息防止用スケール https://hsmk.jp/products/detail.. (最終アクセス 2020年1月13日) php?product_id=3305.. は、子どもの成長段階に合わせて適切なおもちゃを3か月に3個∼5個レン タルするサービスである。これまで2,000件以上の契約実績がある。(有)レ. 63.

(5) 64. 特集:なぜ、子どものためのデザインに取り組むのか. インディアは、保護者への「成長確認アンケート(図9)」で、子どもの成 長とおもちゃによる遊びに関する相談事項を把握し、それを基に子どもの成 長に最適なおもちゃを選定し、遊びの解説書「おもちゃファイル(図10)」 を一緒に送付するサービスを通じて、子ども一人ひとりのカルテをデータ ベース化している。これにより3ヶ月ごとという短期間でおもちゃと幼児と の適合性を実証的に確認ができ、そのアンケート結果の内容が年齢ごとにお もちゃファイルに反映されている。よって、本研究の年齢ごとの分析資料と. 図9 成長確認アンケート(左図). しては十分に適切であると判断し、このおもちゃファイル154点のデータ. 図10 おもちゃファイル(右図) 表5 カテゴリースコアとクラスター分析 の結果(数量化理論Ⅲ類). ベースを、6か月∼、1歳∼、1.5歳∼、2歳∼、3歳∼の5段階で解析し、 子どもの身体的発達、遊びの種類、教育効果と、デザイン的なアイディア、 玩具との対応関係を一覧表に整理し体系化を試みた[注17]。. 3.3.1. 幼児向け玩具専門家への調査及び資料分析. おもちゃファイルの記述内容から、表5のように数量化理論Ⅲ類、クラス. ター分析を用いて対象年齢と遊びの種類の分類を行い図11のように5つの成 長段階毎に適合する玩具の傾向について把握した。次におもちゃファイル154 点全ての文章をテキストマイニング分析した[注18] 。文章中の単語の出現頻 度、共出現の相関、出現傾向など有用な情報を抽出し、玩具による遊びの教 育効果と子どもの発達段階との対応関係について考察を行った。図12、図13 は、1歳∼の分析結果である。以上の調査分析から得られた結果を軸として、 文章データの詳細内容でさらに補足し、子どもの成長に効果的な遊びと木製 玩具の年齢別対応表(表7)を作成した。この資料は乳幼児が発達段階で獲 得できる能力と遊びとの関係性、具体的なデザインアイディア例について明 示されておりデザインガイドとしての役割を有する。保護者が玩具購入時の 図11 玩具の対象年齢と遊びの種類の分析 結果 名詞. スコア. 出現頻度. 動詞. スコア. 117.51. 25. 動かす. 42.12. 34. 色. 105.45. 23. 遊ぶ. 33.37. 63. 積み木. 99.52. 22. 養う. 24.45. 11. 1歳. 44.41. 12. 遊べる. 5.52. 9. おもちゃ. 42.89. 37. 鳴る. 4.29. 9. 上. 39.43. 11. 褒める. 3.32. 10. 遊び方. 37.15. 16. あげる. 2.60. 22. 子ども. 15.83. 31. 引く. 2.10. 12. 成長. 8.30. 20. 繰り返す. 1.81. 9. 始める. 1.12. 14. 色々. 5.43 形容詞. 11 スコア. 出現頻度. 0.92. 12. 楽しい. 0.31. 9. 良い. 0.17. 10. 面白い. 0.17. 5. 少ない. 0.17. 4. 難しい. 0.15. 4. かわいい. 0.13. 2. いい. 0.11. 13. 無い. 0.10. 5. 弱い. 0.08. 2. ナー、学生などがデザインの根拠として有効活用されることを想定している。. 出現頻度. 音. やすい. ガイドとして具体的な内容を参照できる他、メーカー、木工作家、デザイ. 図12 単語出現頻度(1歳∼:スコア上位10語). 3.4. こどもの発達を促す木製玩具のデザイン開発. 前節の表7の具体的な目的(教育効果)を反映させたプロトタイプ−2に. よりその検証とデザイン評価を実施した。本稿では、6か月∼2歳、3歳∼ 6歳を対象とした2種類の玩具の事例を紹介する[注19]。 (1)COROCCO コロッコ(対象年齢:6か月∼2歳). 乳児は生後6か月より視力が弱くぼんやりした状態で物を見ており、目前. 30㎝の距離で左右に動くものは目で追うことができる。物を両手で持ち替え ることができ、何でも口に入れて確かめる習性がある。1歳より色と形の識 別、音で空間を認知、音の種類も理解ができる。2歳からは聴力がさらに発 達し木と金属音の違いが分かる。形を認識し組合せながら立体物を理解し始 める。これらのことから、「視力」「動くものへの興味」「聴力」「握力」「手 先の動き」の発達を促す積み木を基本に発展させた。本体はヒノキの木目を 生かし丸みのある樽型にした。手に優しい肌触りになるよう番手の細かい紙. 17)林秀紀.櫛勝彦.井上勝雄:木育玩具による遊びと子 どもの発達の対応分析.日本感性工学会論文誌,18 巻,4号,321-329.2019.. 18)ユーザーローカル:テキストマイニングツール.. https://textmining.userlocal.jp/.(最終アクセス 2020年. 1月13日). 19)林秀紀.櫛勝彦.志水瞭斗:子どもの発達を促す木製 玩具のデザイン開発.デザイン学研究作品集,25巻. 2020.. やすりで仕上げ、舐めた場合の安全性に配慮し生地色のままとした。振ると ヒノキとカラフルな色柄のガラス玉の当たる柔らかい音が聞こえる。表7よ り、1歳未満の乳児は聴覚が未発達のため木のやさしい音が適している。上 下面は傾斜しており積み重ねてバランス遊びもできる。握力の弱い0歳児で も手に持てる大きさで誤飲の恐れがないサイズを考え、幅、高さとも約55㎜ とした(図14)。.

(6) デザイン学研究特集号  Vol.28-1 No.103. (2)TWISTICK ツイスティック(対象年齢:3歳∼6歳). 3歳からの遊びは目的意識を持ったものに変化する。複雑な部品構造を理. 解して組合せ、何かに見立て完成形を目指す遊びが始まる。見たことがある 物や場面を想像し回想することで脳が刺激され記憶力や想像力が発達する。 手持ちの玩具と組合せて創造的な遊びにも発展する。この時期からより高度 図13 テキストマイニング、ワードクラウド (1歳∼). なパズルや迷路といった玩具が有効である。そこでゴム紐を交差させながら ひねって接続する仕組みを考案し、創造的に立体物を組立てる玩具を考え、 「手先の動き」「形状認識」「立体把握」「想像力」「集中力」「遊びの発展」に 対し有効なデザイン案に決定した。1本のスティックは大小の部品がゴム紐 によって繋がりスティック同士はゴム紐を引っかけて軽くひねるだけで連結 できる。長さは5種類用意し、接続部に取り付けるカラフルな毛糸玉も加え た。長い部品を組み合わせて大きな構造物を組立てたり、短い部品だけで動 物を作ったり、見立てて立体を作り上げられるなど遊びの自由度を広げ、立 体構成力や創造性が鍛えられるような工夫を施した(図14)。 これらの作品の木材は西粟倉村森林のヒノキ材を用いた。ヒノキは特殊な. 図14 COROCCO(コロッコ). 香気があり耐久性や耐虫害性に優れており幼児用の積み木など玩具や家具な どに用いられている。西粟倉村では2009年より「百年の森林事業」を開始 し、森林の経営管理を進め地域材の積極利用を推進している。. 3.5. プロトタイプ−2の検証. 2点のプロトタイプは保育園の4クラス(0歳児、1歳児、2歳児、3歳. 児∼6歳児)を対象にデザインと指標の有効性を評価した(図15、図16) (2018年11月)。その結果のまとめが表6である。COROCCO による遊びの. 検証では、6か月∼2歳の子どもへの、「動体視力」「形状認識」「理解力」. 図14 TWISTICK による立体物. 「聴力」「握力」「手先の動き」「バランス感覚」「視力」「興味・関心」の教育 効果が確認できデザインの適合性が実証された。6か月の子どもは両手に持 ち舐めながら形を確認する様子が見られ、1歳∼2歳の子どもは振ってみた り、転がせてみたりしながら音を楽しんでいた。ガラス玉の色を透かせて見 る様子から色の違いも理解できると見られ、積み木に音と色の要素を加えた アイディアが効果的であったと思われた。バランスを考えて高く積み、倒れ る音を楽しむ遊びも見られた。殆どの子どもが穴に指を差し込み、ガラス玉 を触ろうとしていることから、今後の発展として穴の形状に変化をつけるこ とも有効かつ関心を高める効果があると予想される。. 図15 COROCCO で遊んでいる様子 (1歳クラス). TWISTICK は、「手先の動き」「立体把握」「理解力」「創造力」「集中力」. 「遊びの発展」の教育効果が考えられた。3歳∼6歳の子どもへの検証の結 果、予め組立てられた立体物を何かに見立てて遊んだり、部品の接続方法を. 教えたりすると理解し自分で試す子どもが現れ、理解力と集中力を促した。 しかし、引っかけるだけで簡単に接続できると見られたが、5歳未満の子ど もは手先の動きや握力が未発達のためスティックを繋げるのが容易ではな かった。また5歳の子どもでも完成形を創造しながら少し複雑な立体物を組 上げることが難しい様子であった。このことから接続方法の解説動画や完成 された立体物の組立見本として写真入りの図解書(図17)を追加する改善案 を検討し再検証の結果、立体物の完成形を目標として集中して遊ぶ子どもが 図16 TWISTICK で遊んでいる様子 (3∼6歳クラス). 増加した。. 65.

(7) 66. 特集:なぜ、子どものためのデザインに取り組むのか. 表6 COROCCOとTWISTICK の検証結果 対象年齢. 遊びの様子 転がった積み木を追いかける. 6か月~. 1歳~. 2歳~. 対象年齢. 教育効果 動体視力 動くものへの興味. 口で形状を確かめる. 形状認識. 振って中のビー玉の音を確かめる. 聴力. 振ってビー玉の音を聞く. 握力. 箱の中に入れたり出したり. 手先の動き. 穴に指を入れてビー玉を触って確かめる. 聴力. 高く積み重ねてバランス遊びができる. 手先の動き. ビー玉を光に当ててガラスの色を楽しむ. 視力 興味・関心. 教育効果. 遊びの様子 あらかじめ立体に組まれた状態で遊ぶ. 2歳~. 3歳~5歳. 4.まとめと今後の展望 本研究では、子どもの健やかな成長を促す木の教育玩具をテーマに、乳幼 児を対象とした玩具を制作し教育効果について述べてきた。 3.1. 木育玩具の分類とその教育効果の調査分析では、2003年∼2017年に. グッドトイ賞を受賞した代表的な木育玩具58点のアンケート調査結果より、 木育玩具による遊びの種類と教育効果の関係指標(表3)」を作成した。次 に、3.2. 教育効果のある木製玩具のデザイン開発では、表3を参照し、9点. 大人が遊ぶ様子を見てまねる. ものまね. 部品の組み立て、取り外しができない. 手先の動き. の玩具プロトタイプ−1より指標の有効性について検証した。その結果、幼. 部品をつなげる方法を見て試してみる. 集中力、理解力. 児の成長を促す効果が確認できたものの発達段階との対応関係が不十分であ. 窓枠のように平面に組立て、見立て遊びをする. 見立て、形状認識、想像力. 簡単な立体を組立て、動物に見立て遊びをする. 見立て、立体把握、創造力. 複雑な立体は見本がないため、組み立て方が 分からない. 理解力. ることが分かった。そして、3.3. 木製玩具による遊びとこどもの発達の対応 分析では、木のおもちゃのレンタル事業者と保護者との子どもの保育に関す る情報データベースを解析し、「子どもの成長に効果的な遊びと木製玩具の 年齢別対応表(表7)」を作成し体系化した。さらに、3.4. こどもの発達を. 促す木製玩具のデザイン開発において、表7を踏まえ、再びプロトタイプ− 2によりデザイン評価とガイドの検証を実施した。0歳∼2歳、3歳∼6歳 を対象にした2種類の作品の検証結果では子どもの年齢(発達段階)に適合 し成長を促す効果が示唆された(表6)。 以上のように、木製玩具や子どもの遊びに関する定量・定性調査結果よ 図17 TWISTICK の組立見本(写真図解書). り、デザイン評価指標を構築しそれをプロトタイプにより検証するというプ ロセスで研究を進め、研究の段階ごとに子どもの発達段階を踏まえた玩具の デザイン開発の精度が向上していることが実証された。 また、木製玩具の調査分析の過程を通じ熱心に遊ぶ子どもたちを観察する 中で、天然の樹木のもつ、やさしさ、ぬくもり、香り、手触りは人間の感性 を刺激し、自然の恵みや生命の営みを間接的に伝えられる力を持つことを再 認識した。自分の周りの世界を理解して行く大切な認知発達時期に木の玩具 を用いて遊ぶことは、子どもの発育にとって極めて大きな効果が得られ環境 意識を芽生えさせる。なお、これまで述べてきたように、木の玩具にはこど もの知育や身体の成長を促す効果のほか環境教育としての効果も確認でき、 持続可能な社会づくりに貢献する人材育成に貢献できる可能性も考えられ る。このように木育というサステナブルな教育活動は子どもの五感を刺激 し、感性豊かな子どもを育む効果が確認できた。 本研究の目的を振り返ると、第1は、子どもの知育や成長を促す効果につ いて調査、分析を通じて特性を明らかにすることであった。そこで、グッド トイを調査分析し、「木育玩具による遊びの種類と教育効果の関係指標」に より木製玩具の教育効果を明示した。第2は、乳幼児の保護者のために選択 の参考となる資料や、玩具の製造側が新製品の企画段階において参照できる デザインガイドを作成することであった。それに対し、前述した教育効果の 指標に加え、子どもの成長に効果的な遊びと木育玩具の年齢別対応表を作成 し、ガイドを新たに作成した。第3は、創造的で教育効果のある木の玩具を 広く普及させ、国産材の利用を促すことも目的としていた。本研究を通じて 提案されたデザインガイドは、木の玩具を子どもの成長への教材としてとら え、具体的な効果を一般の人に分かりやすく伝えることを目的として考えら れたものである。このガイドをさらにブラッシュアップして教育効果のある 木製玩具や国産材の利用促進、持続的な社会を担う環境意識の高い人材育成 に役立てたいと考える。.

(8) デザイン学研究特集号  Vol.28-1 No.103. 表7 子どもの成長に効果的な遊びと木製玩具の年齢別対応表 年齢. 内容. 発達段階ごとの能力. 座る 運動 視力 視力+色認識 動体視力 形状認識 6か月 ~ 聴力 握力 動くものへの興味 認知 言葉 神経. 1歳 ~. 色認識 手と目の協調 +形状認識 動体視力 聴力 動くものへの興味 手先の動き 手先の動き 手先の動き 運動能力 物まね 興味・関心 興味・関心 興味・関心 創造力 集中力. 3歳 ~. 色の識別が1才前から育ってくる.色と形の識別能力が養われる 穴の形に合せてはめ込む事で手と目の協調が養われる. デザイン的な対応アイデア 転がす遊び、円柱、ボール 濃淡のはっきりとした構成 原色でカラフルに色分けする 振り子、くるまなど、動きが見える 基本的な幾何形体や簡単な抽象形態のパズル やや小さめのやさしい音が鳴る 赤ちゃんの手に持ちやすいかたち 自分で振りながら音を鳴らす 無害な塗料、無垢の木、無塗装 表面の手触り感に変化をつける 明確に判別できる色と形 大小様々な穴の開いた箱と中に入れる積み木や 棒を通す ボールなどが音をたてジグザグに転がり落ちる 人形が音を鳴らして降りる たたく場所によって音の高さや響きが違う 細い棒をつかってものを動かす 押す、引く、回す、などさまざまな動きの複合 細かく小さい部品を組み立てる 微妙な力加減が必要が必要とされるもの 大人が日常に使用する製品の模型. 代表的な木の玩具. 遊びの種類. 音を楽しむ:7 パズル:2 くるま、引っ張る:1 ころがす:1 パズル、ソーティングトイ (※数字は ラトル(がらがら)シロフォン レインディアの おもちゃファイル オルゴール で確認された リングラトル(がらがら) 遊びの種類数を 歯固め 表す) ラトル(がらがら). 積み木 形合わせパズル ボールトイ シロフォン(木製) カタカタ遊び、ボールトイ もぐらたたき ルーピング パズル、ソーティングトイ 木のブロック. 動きを目で追う事で視力を鍛え動きを推測する能力が養われる 音を出す事で空間認知力、聴覚の発達が養われる.音の違いを認識できる 動く物を目で捉えて手で捕まえようとする 手や指先、手首の動きを活発にし、字や絵を描く時に必要な力を鍛える 指を動かして大脳を刺激する 創造力を育み手先を動かす.脳の発育を促す 丁寧におもちゃを動かす事が出来ない時期 大人が遊ぶ姿を見て同じ事をしたいと思い始める.大人のする事を真似する 1才後半頃から性別の差も見え始める 男の子は車に興味が出てくる.男の子の脳は構造物に興味を示す特徴 構造体に興味のある男の子、想像力旺盛な女の子 女の子は他のおもちゃと組み合わたりして様々なストーリーを考える 組み立てたりばらしたりの繰り返しで集中力を養う. タイヤが回る、動く構造を見せる. ままごとセット、くるま、電車 着せ替えセット くるま. 日常のできごとをおもちゃにする 抽象形態のブロック遊び、積み木に磁石. お医者さんセットなど マグネット積み木. 車の動きをしっかりと目で追う事で視覚の発達を促す 聴覚が育ち、音の違いを認識できる様に成長してくる時期 細いヒモを持つことヒモを握りながら歩くことの複合の動きを練習する 指先の動きは大脳を刺激し成長を促す 見て行動する動作を繰返し集中力や腕・指先のコントロール力を育む 指先の感覚でつみ木の形状を理解する能力が養われる 目と指先で確かめ穴に合せてはめ込む、手と目の協調、推測力がつく 一本の棒に通す練習は両目でモノを立体的に捉えて位置を考えながら、手を動かす 能力が養われる 身体を動かしたいという欲求が出てくる 跳ねる動きによる驚きが脳への刺激になる 様々な応用や構造に対する理解が深まる 男の子は構造に好奇心が膨らむ.女の子は、想像力豊かな遊び 大人の行動の観察も鋭くなり物まねも上手になる 他人と一緒に遊ぶ事で少しずつ社会性も育っていく 記憶力の回路構築を促す 見立て遊びや複数の形を応用して作る中で「考える力」を養う事が大切. カラフルな色や、動く速度に変化をつける 木の素材を変える(広葉樹、針葉樹) 紐を引っ張って転がす 鍵穴に鍵を入れて、回し、ドアを開ける ピースにつまみを付ける 様々な形態が入った積み木 組立てて様々な角度に可動する 木を紐で結ぶ 棒に積み木を指していく遊び ハンマーで力づよくたたく ばねの力を利用して飛び出す タイヤやプロペラが回転する スプーンで食事、靴を履く生活動作の訓練 ごっこ遊び、家事の物まねができる いっしょに遊ぶゲーム 実際の乗り物とパズルの絵を繋げる 複雑な形の積み木. 聴力 聴力 手と目の協調 +遠近感+色認識 運動能力 立体把握 形状認識 好奇心 物まね 達成感+創造力 +記憶力+集中力 理解力+記憶力 創造力 創造力 読解力 社会性. 聴覚や音を理解する脳が育つ.金属の高音等の情報量が多い楽器でも遊べる 音の大小が理解出来る様になる.力加減で音の大きさや音質の変化を体験 棒に通すために目で遠近感を意識し位置を考えながら手を動かす 色と形の識別能力などが養われる 身体全体を使って表現が始まる 形を認識し組合わせる中で立体的なモノの形を理解する 形を理解し構造を考える基本的なモノの捉え方を学ぶ.数の概念を学ぶ 動きを知りたいという気持ちが繰り返し動作につながる 音楽を耳で聞いた事やテレビで見た動きをすぐ真似する事が出来る様になる ものごとを完成させる達成感、想像力、記憶力、集中力が育つ 「調べる」「理解する」「覚える」と段階を経た遊びを自然に取入れる 家にあるおもちゃと組み合わせて遊びながら創造力を鍛える ストーリーを考え遊び方は成長と共に発展 数字(10種類)、アルファベット(26種類)を読める様になる ごっこ遊びの内容もより複雑に社会性をもった遊びに変わって行く. 木と金属を組み合わせて音を聞き分ける 叩く場所によって音が違う 細い棒をさしたり、穴に引っかけたりする 色と形の微妙な違いを認識できる 全身をつかって遊べる遊具のようなもの 積み木を高く積み上げる 抽象的で幾何学的な形状の積み木 動きに変化やおどろきのあるおもちゃ 音とリズムを覚えて遊べるおもちゃ 基本形状を繰り返し重ねたり組み合わせたり して、目標となる大きな立体物をつくる 複雑で物語性のあるパズル 絵本を読みながら数と触れ合う遊び 日常生活の体験ができる 食器やまな板で料理と食事の体験 遊びの中で自分と他人の役割がある. 動体視力 目的意識 形状認識 形状認識 空間把握力+構成力 平衡感覚 想像力 記憶力 集中力+チャレンジ力 忍耐力+ 達成感+思考力 言語力+記憶力 意思疎通 社会性 遊びの発展. 動体視力、推測する能力の発達 複雑な形を認識して方向や全体を考えながら完成形を目差して組み立てる 3才の脳は左右の識別能力が育っていない.「さ」と「ち」をあべこべに書く 幾何学的積み木で複雑な形を認識し組み合わせて遊びながら創造力を育む 構造を理解して遊ぶ能力が鍛えられる バランスを推測する能力を発達させる 色々な場面を想像したり思い出したりする事で脳が活性化され社会性が育つ 何度も繰り返す事で記憶力を発達させる 集中できるおもちゃへの挑戦で精神的安定や忍耐力を強化 完成させて達成感。集中力を鍛えたり戦略を練ったり思考力が育つ 手で数字の形を確認しながら「数字」を自然と頭に入れる 数字は指で数えながら声で出しながら覚える コミュニケーション能力が育つ より複雑に社会性をもった遊びに変わる 道具を使い分けたり順番を考えたりひとつの目的から次の動作を考える遊びへ発展. 車が走る動きを目で追うような仕組み 目標とする形をつくって遊ぶ 数字やアルファベットの外形のパズル パズルのような積み木 複雑な凹凸形状の積み木を合体して 不安定な状態を創り出せる ストーリー性のある要素を加える 失敗を繰返しながら成功する 脳トレができるパズル ピースの数が多い平面、立体パズル そろばん、電卓のような数えられるもの 他人と会話を楽しみながら遊ぶ たくさんの人と遊べるゲーム性のあるもの 家事の工程を見て覚える遊び 手持ちの玩具と混ぜて遊べる. 動体視力 聴力 握力 手先の動き +集中力 +形状認識 手と目の協調 +推測力 +立体把握 1.5歳 運動能力 ~ 運動能力 興味・関心 興味・関心 物まね 協調性 記憶力 見立て+思考力. 2歳 ~. 発達段階ごとの特徴的な行動や遊び お座りが安定しだす ハイハイが始まれば転がして追っかける 生後5ヶ月頃の赤ちゃんはまだ視力が弱く白黒のぼんやりとした世界 原色や黒などハッキリと分かる色に興味を示す 目の前30cm位の距離で左右に振ってスムーズに目で追うことができる 〇△□を認識する 生後8ヶ月未満はまだ聴覚も育っていない 左右の手で持ち替えて遊べる.左右の手でリングを持って引っ張る 音や動くものに興味を示す 歯も少しずつ生えてきて何でも口に入れられる 言葉がすこしづつ出始める 赤ちゃんの肌は敏感だが神経が末端まで育っていない. ドラム 動物のプルトイ 鍵まわし 形合わせパズル、絵柄パズル 木のねじ込みやはめ込み ルーピング+ソーティング 知恵の輪 棒にさして重ねる積み木 スタッキングトイ ハンマートイ タワートイ ままごとセット. 音を楽しむ:9 ころがす遊び:9 積み木:7 パズル:4 ルーピング:2 ごっこ遊び:1. パズル:15 くるま、引張る:14 積み木:11 ごっこ遊び:10 音を楽しむ:9 ゲーム:5 ルーピング:5 文字・お話遊び:4. カメラ、家電、キッチン用品 ゲーム くるま、かたちパズル 鉄琴+木琴 樹種が違う木琴 木のねじ込みやフック 数字、文字積み木 玩具と遊具の組合せ スタッキング積み木 歯車、からくり、構造玩具 木の楽器 パズル30ピース パズル50ピース、立体パズル 絵本と積み木など他の玩具 とのセット 本格お仕事セット 調理セット カータワー、玉落とし 裏表面パズル 数字パズルなど 幾何学形状パズル 立体パズル シーソー、棒倒し 絵本と積み木のセット メモリーゲーム、迷路 アルファベットパズル レジスター. レールセット キッチンセット、パンセット. パズル:11 積み木:11 ごっこ遊び: 音を楽しむ:6 くるま、引張る:4 ゲーム:3 ころがす遊び:2 ボール遊び:1 迷路:1. 文字・お話遊び:14 パズル:11 積み木:8 ごっこ遊び:8 ゲーム:8 音を楽しむ:4 くるま、引っ張る:5 ルーピング:5. 67.

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参照

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