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メディア文化研究の射程 : 英米ファッション研究の概観と日本における展開の可能性(<特集>ファッション・デザインとメディア)

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(1)

NII-Electronic Library Service

メ デ

ィ

ア

文化研 究

の

射程

一

英 米

ファ ッ

シ

ョン

研 究

の

概

観

と

日 本 に お け る 展 開 の 可

能 性

一

The

 

Scope

 

of

 

Media

 

and

 

Cultural

 

Studies

−

How

 

can

 

the

 

works

 

of

 

fashion

 

studies

 

in

 

UK

,

 

US

 

and

 

Australia

 

be

 

applied

 

to

 

Japan

?

一

成 実

弘

至

京 都 造形 芸 術 大学

Hiroshi

 

Narumi

Kyoto

 

University

 ot 

Art

 and  

Design

●は じ め に

 

こ の

十 数 年

間

、

英 米 圏

にお ける ファ ッ ション

研 究

の

盛

り上 が り に は注 目に値 する も のがあ る。

 

それは

毎 年

コ ンス

タ

ン トに

研 究 書

が 上

梓

さ れて い る こ とや

、

ファ ッショ ンを テ

ー

マにした 展 覧 会がつね にどこかの美 術 館

・

博 物 館で開 催 さ れていること か らも うかが え る

。

この傾 向 は 学 術 研 究 誌

“

Fashion

 

Theory

’

が 創 刊 さ れ た

1997

年ごろ か ら 目 立 つ もの になっ て き た

。

 

ま た 研 究 書 だ け に と ど ま ら

ず

、

初 学 者 向 けの入 門 書 や 論 文 集 も 続 々と出 版 さ れてい る

。

2007 年にはマル コム

・

パ

ー

ナ

ー

ドが 編 集 し た

”

Fashion

 

The

α

y

:

A

 

Reader

”

と リンダ

・

ウエ ル タ

ー

ズ とアビ

ー ・

リリサム に よ る 共 編 L

‘

The

 Fashion  

Reader

”

、

二 冊 の リ

ー

ダ

ー

が 登 場 し て い る

。

こ う し た リ

ー

ダ

ー

は大 学の授

業

のため に

編 纂

さ れ る もの であ り

、

出版 社

が ある

程度

の

読 者 数

を見 込ん で い る こ と を

意味

す る

。

こ れ ま で 周

縁

の領 域で あっ た フ ァ ッショ ン研

究

に とっ て

、

この

活況

ぶ りは

驚

くべ ぎこ とだろ う

。

 

これ らの研 究 成 果 を 見て いる と

、

メ デ ィ ア研 究の問 題

意

識 や 方 法 論 か ら影 響 を 受 けて いる ものが 少 な く ない こと に

気

づ く

。

その大 き な 特 徴 は テ キス ト分 析 やフ ィ

ー

ル ドワ

ー

クによっ て 文 化 に お け る権 力 作 用 を 解 明 し よう とする と こ ろ にあ る。 これは

70

年 代 イ

ギ

リス に 誕 生 し

、

80

〜

90

年

代 に 英 米 圏に おい て 発 展 し た カ ル チュ ラ ル

・

スタ ディ

ー

ズ

に よっ て推 進 さ れ た 方 向 性 と 大い に重 なっ ている

。

カ ル チュ ラル

・

スタ ディ

ー

ズは ポピュ ラ

ー

カ ル チ ャ

ー

やメ ディ ア の領 域

(

新 聞

、

雑 誌

、

音 楽

、

テ レビ

、

ネ

ッ トな ど

)

を主 な

舞 台

とし てお り

、

ファ ッシ ョ ンも 分

析

と し て積 極 的に取り 上 げてき た の で あ る

。

 

それに

比

べ て

、

日

本

の ファ ッシ ョン

研 究

は

活 発

におこな わ れ て い る と は いいが たい

。

ファ ッ ショ ン は 研究の伝 統 が ない う え に

、

さまざ ま な 領

域

に

広

くまた がる

現 象

で もあ り

、

大

学

での

専

門 分 野と して成立 し に くい と い う

事 情

も あ る。これま で も

美 学

、

美 術 史

、

服 飾 史

、

社 会 学

、

心 理

学

、

文 化

人 類

学

、

経 済学

、

家 政

学 な どの分 野で取 り 組 ま れて き た が

、

そ れ ら の 試 み も 多 くは 単 発 的 な ものに と ど ま り

、

ひ とつ の組 織 化 さ れ た 研 究 領 域 に は な りえて いない。 ま た

、

英 米のよ う に カ ル チュ ラル

・

スタデ ィ

ー

ズ がア カ デ ミズム に

根付

か なか っ た こともあ り

、

メ デ ィア 研究 の分野 で は ファ ッ ショ ン に た いする関 心 がほ とんど 見られ ない のが

相

も

変

らぬ わ が

国

の

状

況である

。

 本 稿

で は主に

英米

圏

(

イギリ ス

、

ア メ リカ

、

オ

ー

ス ト ラ リ ア な ど

)

で の メ デ ィア

研

究やカル チ ュ ラ ル

・

スタディ

ー

ズの アブ ロ

ー

チによ るフ ァ ッ シ ョ ン研 究 を

概観

し

、

わが国に お い て成 果 を ど のよ う に

応

用でぎ るのか

、

その可 能 性につ い て

考

察 して み たい

。

現 在の停 滞 状 況 を 打 破 し

、

ファ ッショ ン研 究 を建 設 的 な 方 向 に 進 め る た め に も

、

こう し たメディ ア研 究の問 題 意 識

・

方 法 論

・

成 果 に 学 ぶこと は き わ めて重 要 な 示 唆 を 得 ること に な る だ ろう

。

1

 

英 米

圏

に お け るファ ッション研 究 ●ファ ッシ ョン の表 象 分 析

 

こ こ では

英 米 圏

の ファ ッシ ョン研 究 を「表 象 分 析」「文 化 実 践」 「

消 費

文 化」

、

3

つ の分野 か ら見て いきた い

。

こ れ はおも に分 析 する

対 象

によっ て

分類

さ れるカ テ ゴ リ

ー

である。

 

ま

ず第

一

に あ げ ら れ る の は メ ディ ア に お け る ファ ッシ ョ ン

・

イ メ

ー

ジの分

析

を

中心

と し た研

究

だろ う

。

 7Q 年 代 後 半 以 降

、

英 米で は ソシュ

ー

ルやバ ル トによ る 記 号 論が メ デ ィ ア研 究に導 入 さ れ

、

文 化に お け る表 象 分 析に取り組 ん できた。 もと も と英

米

の メ デ ィ ア研

究

に は フェ ミニ ズムや ジ ェ ン

ダ

ー

研 究の立 場に たっ研

究 者

が

少

な くない

。

彼

ら

・

彼 女

ら の関 心 は 広 告

、

映 画

、

テ レ ビなど の コンテンツ に お いて女

性

や 男 性 がどの よ うに表 象 さ れて い るか

、

そのなか にいかにジェ ン ダ

ー

の ス テ レオ タ イ プ が 埋 め 込 ま れてい る のか を 批 判 的 に 解 読 すること に 向 け ら れてき た。 そ の代 表 的 な ものと して広 告 に お け る女 性 像を 分

析

し たジュ デ ィス

・

ウィリ ア ム ソ ン (

1978

)や

、

ス レ ンダ

ー

な 身 体の女

性

イ メ

ー

ジの背

後

に ある

消 費

社

会

の イ デ オロギ

ー

を明 らかに しよう と したス

ー

ザン

・

ボル ド

ー

(

1993

)

の

仕 事

な ど が ある。

 

こ の問

題意 識

は

広 告

や

雑誌

な ど 大 衆 文

化

が 女

性

に

及

ぼ す 影

響

を

疑

問

視

するフ ェ ミニ ズム の

論 者

にとっ て は

共 感

しやす く

、

ま たフ ァ ッショ ン

・

イ メ

ー

ジ の 分 析 に も 応 用 し や すいも のであっ た

。

これ まで編 纂 さ れた ファ ッ ショ ン論 集は ジェ ンダ

ー ・

メデ ィア研 究の問 題 意 識 を 重 視 す る ものが 少 な く ない

。

こ の時 期の メ ディア研 究におい て ファ ッ ションとい う主 題 が 議 論の俎 上に

2

デザイ ン学研究特 集号

sPecial Iss

コ

e ot亅aPan  s  ie吐ytorthescience  otdesign vol

 

16

.

1 ∩o

.

61 2008

(2)

NII-Electronic Library Service

乗

せ ら れ

、

重要 な 研 究 対 象と なっ て いっ た こ と の

背

景に は フェ ミニ ズムが

大

き な

役 割

を

果

たし て いたの で

あ

る。

 

フェ ミニ ズムがフ ァ ッ ショ ン を男

性 中

心

社会

に お け る抑圧

装

置

とし て否

定

的にとらえる

一

方

、

カル チュ ラ ル

・

スタディ

ー

ズ は大 衆 文 化に お け る主

体 性

に注 目し た ので

、

ファッ ショ ンに対 する理 解 も 両

義 的

な もの となっ た。   イ ギ リスの フェ ミニ ズ ム

・

メディア研 究 者アン ジェ ラ

・

マク ロ ビ

ー

(

1991

)はイ

ギ

リ ス の労 働 者 階 級の女 性 と 大 衆 文 化 との

結

びつきに

注

目

、

当

時 人 気のあっ た 大

衆

女

性 雑

誌 「ジャ ッキ

ー

」 を記 号 論的 に読 解し

、

こ の雑 誌 が 「ロ マ ン ス 」 「

個

人 生活」「フ ァ ッシ ョ ンと 美 容」 「ポ ピュ ラ

ー

音 楽」 の

4

つ の コ

ー

ド に よっ て成 立し てい る と分 析 し た

。

マクロビ

ー

は 英 国 力ルチュ ラ ル

・

スタ ディ

ー

ズ を 揺 籃 したバ

ー

ミンガ ム 現 代 文 化 研 究 センタ

ー

出 身で

、

ファ ッ ショ ン

、

雑 誌

、

ダンスな どの大 衆 文 化 研 究で知 ら れている

。

 ファ ッショ ン の表 象 分 析 に 本 格 的 に 取 り組んだの はジェ ニフ ァ

ー ・

ク レイ ク (

1994

)だろ う

。

それ までも 多 くの研 究 者 に よ っ て

単 発

的 な 論 文 は 書 か れて いた が

、

ク レ イ ク は

雑

誌

、

広 告

、

写

真

、

イ ラ ス ト

、

デザイ ンな ど

、

服

飾

をま と う身

体

に か か わ る 言

説

を

横 断

しな がら

、

女 性

ら しさ

、

男

性

ら しさ

、

エ スニ シ テ ィ が どの よう に構 築さ れて い る か を総 合 的に検 証し た ので あ る

。

そ れ はメディ ア研

究 や

カルチュ ラ ル

・

ス

タ

ディ

ー

ズの

文 脈

に お いて フ ァ ッショ ンの全 体

像

をつか み だ そ うとした 試 みとして興 味 深い

。

も ちろ ん彼 女 以 前 に もフ ァ ッ ショ ン に 注 目 し た 社 会 学 者 は お り

、

エ リ

ザ

ベ ス

・

ウィル ソンは

1985

年

に ファ ッ ショ ン を女 性 文 化の重 要な

一

部

と し て取り 上 げ た先 駆 的な著

書

を

書

い ている。

 

フ ァ ッ ショ ンが い か に男

性

ら し さ を構

築

す るかを 分 析し た の はシ ョ

ー

ン

・

ニ クソ ン (1996 )で ある。 こ こ で ニ クソ ン は 90 年 代にイ

ギ

リ ス に 登場し た 「ニ ュ

ー

マ ン」 とい う男 性 像

(

フ ァッ シ ョ ンや

文化

に

敏 感

で

、

育 児

・

家事

もこな す

新

しい男

性 )

が

、

社 会 的 につ く ら れてい っ た プロセス を 細 か く検 証 している

。

こ の研 究のユ ニ

ー

ク な とこ ろは

、

フ ァ ッ ション雑 誌

、

広 告 やマ

ー

ケティ ング

、

アパ レ ル や 小 売 店 な ど

、

ひ とつの分 野 に 閉 じこも らず

複 数

の産

業

を

横

断し ながら表

象

の成 立を追い か け た こ と

、

しかも イメ

ー

ジの

記 号 論 的

な

分 析

に と ど まら

ず

、

デザイ ナ

ー、

編

集 者

、

ス

タ

イ リ ス トな どの

文 化媒 介者

に聞 き 取り調

査

をする な ど

、

文 化の 生 成 過程にフ ィ

ー

ル ドワ

ー

ク を か けて いた ところ である。 ニ クソ ン は

表 象

の

発

生メカニ ズムを

社 会 的

なコ ン テキ ス トの な か で調 査 する こ と で

、

表 象の意 味 を よ り立 体 的に 明 ら かに しよう とし た

。

 

ジェ ンダ

ー・

メ ディ ア研 究による イ メ

ー

ジの分 析は

、

男

性

中

心

主

義 的

なイ デオロギ

ー

であ れ

資本

主

義

による

搾 取

であ れ

、

結

論が

一

義 的に導か れ る よ う な

枠

組み を持つせ い か

、

現

在

は あ ま り 注 目さ れて い る と はい いが たい

。

かつ て フェ ミニ ズ ム的な表

象 分 析

をお こなっ て い たキャ ロラ イン

・

エ

ヴ

ァ ンス

(

2003

)

も 近

著

で は

、

90

年

代 以

降

のフ ァ ッ シ ョ ン

・

デ ザ イン

、

ファ ッ シ ョ ン

・

ショ

ー、

写

真

な どの イ メ

ー

ジに 「不

安

」 「

苦 悩

」 と いっ た時 代 精

神

を解 読しよう とす る 試 みに移 行して い る

。

こ れはフ ァ ッシ ョ ン と理 論 を 接 合 す る 企て として注 目 さ れるが

、

ジェ ン ダ

ー ・

メ ディア研 究 が

新

しい方 向 を 求 めて

試 行錯 誤

す る 状 況 を 反映し て い ると もい えよう

。

●

文 化 実践

と して の ス

タ

イル

  第

二 に

、

実

際

に 衣服を か ら だ に ま と う

、

あ るい は ス タ イ ル を つ く り だ す という 文

化

的 な

実 践

とし て の ファ ッ ショ ンに

着 目

し た 研 究 が ある

。

イ メ

ー

ジ とし て で はなく

、

実 際の 服装 が どのよ う に ま と わ れている か

、

そこに おい てメディアが どのよ う な 役 割 を

果

た している か を

考

え る

研

究 が 主 と なる。

 

この分 野で の先 駆 的 な 研 究 者は デ ィ ック

・

ヘ ブディジ (

1979

) で あ る

。

ヘブ ディ ジ が 学 んでい たバ

ー

ミンガ ム

現 代

文

化

研 究セ ンタ

ー

では

、

戦 後 イ

ギ

リ ス にお ける若 者 文 化 と

階 級

文

化

の関 係 を

再考

するプロジェ ク トが おこな わ れて いた。

彼

ら は

若 者

文

化

を

資 本

主

義

や ア メ リ カ ナ イゼ

ー

ショ ンの産

物

と して で は な く

、

       ,

イ

ギ

1丿 ス の

労働 者 階級 文 化

を

批判 的

に

継

承 す る

生

き 生 きし た

文

化 実 践と して と ら えよう と し たの であっ た

。

ヘブ ディジ は当 時

出

現 して いたパ ンクの

若 者

た ち をスタ イ ル に よ る 表 現 という

観

点 か ら 記 号 論 的 に 分 析 した

。

服 装 や 化 粧 は 分 析 対 象 と して中 心 的 な 位 置 を 占 めてい た が

、

こ こで いうスタイ ル のな かには 音 楽 聴 取

、

ダ

ンス

、

ミニ コミ 制 作 な ど の 活 動 も 含 ま れていた

。

そ の 定 義は人 間が生 きる環 境 そのもの を 文 化とす る 文 化 人 類 学 的 な 関 心 に き わ めて 近い もの であっ た

。

 

ヘ

ブ

ディ ジ ら の仕 事 は 英 米 に おいてサ ブ カ ル チャ

ー

研 究とい う新 しい領 野 を 開 拓 し た

。

こ こ で い う サ ブカ ル チ ャ

ー

と はおも に音 楽

、

フ ァ ッ ショ ン

、

ネッ トなどの メ ディアを 介 して つ なが る

若 者 グ

ル

ー

プの こ とを 指 して いる

。

若い研 究 者 た ち にとっ て は 年 の 近い若 者 た ち は 調 査 対 象 と しや す かっ たこと も あっ て

、

サ ブ カ ル チャ

ー

研 究 はひとつの流 れ と なっ て

現 在

に至っ て い る

。

そ のな かに はクラブ カル チャ

ー

を 研

究

したサ ラ

・

ソ

ー

ン ト ン

(

1995

)

や い わ ゆ る 「ゴス」 を調査 し た

ポ

ー

ル

・

ホド キンソ ン

(

2002

)

の

仕事 な

ど が

あ

る

。

 

近

年

のサ

ブ

カ ルチャ

ー

研 究 は

、

バ

ー

ミン

ガ

ム 学 派 お よ びヘ

ブ

デ ィ ジ を批 判 的に継 承 する

、

ないし徹 底 的に批 判 する とこ ろに

特 徴

が ある。 現

在

の サ

ブ

カ ルチャ

ー

はヘ

ブ

ディジ ら がい う よ う な

、

シ ンボル を と お し た 反抗と して

、

あ る い は文 化に よ る

階

級 闘 争の形 態と し て 理

解

す る こ と は で き な い。 ま た

方法 論

と し て も

、

ヘ ブディ ジ が

依 拠

し た よ う な記 号

論

は そ の

有 効性

が

疑

問

視

さ

れ

て いる。

若 者

た ちの

世

界

観

や

価 値

観 を 的

確

に 把 握 す るた め に は

、

ス タ イ ル を テキス ト と して 「読 む 」 だけでは 不 十 分であ

欝

饗∴∴

訓

∵

(3)

NII-Electronic Library Service

り

、

実 際 にス ト リ

ー

トや クラ

ブ

に 出 か けてい っ て フィ

ー

ル ド調 査 を すること が 不 可

欠

と なる。 文

化

が ど うつ くられるか

、

ど う 消

費

さ れて い るか とい う問 題 意 識 からす れ ば

、

フィ

ー

ル ド ワ

ー

クへ の

接

近 は

当

然の

帰 結

だっ た といえ よ う。

 

そ の意

味

で 興

味

深い の は ア ンジェ ラ

・

マ ク ロビ

ー

(

1998

)

に よる イ

ギ

リ ス

・

フ ァ ッ ショ ン産

業

の研

究

である。

本 書

で マ クロ ビ

ー

は 以前し た よ う に 女性が ファ ッ シ ョ ンや メ デ ィ ア を ど う

消 費

す るか

、

メディア

が女 性

イメ

ー

ジ

を ど

う

表

現 す る かでは

な

く

、

フ ァ ッショ ンが どのよ う に 生 産 さ れてい る か

、

つ く り手 に 光 を 当てた 分 析 を おこなっている

。

  彼 女 はフ ァ ッ ション産 業 が お か れてい る 状 況 を 実 証 的 に 分 析 するた め

、

多 くの ファ ッショ ン

・

デザ イ ナ

ー

た ち に 聞 き 取 り 調 査 を おこない

、

彼 ら が 直 面 している 問 題 を 明 ら か に し よ う と する。 た と え ばファ ッ シ ョ ン

・

デザ インはア

ー

トなのか ビ ジ ネ ス な の か

、

デザイ ナ

ー

と し て どう生 計 を 立て て い く か

、

どう い う

教 育

や

技 術

が 必 要な の か

……

な どで ある。 ファ ッ ショ ン

・

ジ ャ

ー

ナ リズム などの メ デ ィ ア も

含

め て

、

フ ァッション を ひ とつ の

創造 産 業

と し て と ら え

、

こ の

産 業

におい て

働

くと い う こ と は ど ういうこと な の か を明ら か に し た ので あっ た

。

これは メ デ ィ ア研 究の方

法 論

がイメ

ー

ジの 分

析

か ら

政

治 経

済

学 的 な 分

析

へ と移 行して い く局 面 を 表して い た の か も しれ ない

。

 

フ ァ ッショ ン は そ れ を まとう

身体

に

ど

の よ う な 影

響

を

与

え るの か

。

ジョアン

・

エ ン ト ウィッスル

(

2000

)

は あ る ス タ イ ル を ま とう ことで着る人の 自 己 意 識 が 明 確に変 容 する と 主 張 し て いる

。

彼 女 は

80

〜

90

年 代 の 働 く 女 性の間で流 行 し た 「パ ワ

ー ・

ドレッ シ ン グ」 を事 例として

、

女 性 が 制 服 を まとっ た り 職 場の ド レス コ

ー

ドに 従 うこと が

、

キャリアウ

ー

マ ンと して の

自

己イ メ

ー

ジ を 表

現

する こと

、

ま た

新

しい

消費

生

活

を も た ら し て いっ た こ と に注 意を

喚

起す る

。

エ ン ト ウィ ッス ル も ま た イ メ

ー

ジ や 言

説

の

分 析

で は

、

フ ァ ッ シ ョンをま と う と い う

生

き ら

れ

た経

験

を 理

解

す る た め に は不

十 分

である こ と

、

現

象 学

的 なアブ ロ

ー

チによる

身 体 性

への分

析

に取 り

組

む べ きこ と を

提

言し て いる

(

もっ と も

前掲 書

を

読

む限りでは

、

現

象学

的な アプロ

ー

チ が 具 体 的に どの ような 方 法

論

なの か は明ら かではない

)

。 ● 衣 服 と 消 費 文 化

 

第 三 に あ げてお き たいのは

消 費

文

化

研 究であ る

。

こ こに は

社

会 学 や 文 化 史のほ か

、

「マテ リ ア ル カ ル チャ

ー

」 という 観 点 か ら デザイ ンやメ デ ィアを 研 究 する文 化 人 類 学 的 研 究 も 含 めて よいだろう。 これ はモ ノ

、

デザ イン

、

情

報

な ど が さ ま ざ ま な

国

に お い て どう 用 い ら れ て い るか をフ ィ

ー

ル ドワ

ー

ク 調 査 を す る もので

あ

る

。

 

そ の 調

査対 象

に は 服

飾 史

も

含

ま れ る。

服 飾 史

研

究

と いう と 歴 史 衣 裳の保 存

・

修 復 などをお こなうス タ テ ィ ック な印 象が あ る が

、

近 年 は カ ル チュ ラ ル

・

スタ ディ

ー

ズ

の問 題 意 識 に 触 発 さ れ

、

4

デザイン学 研究 特集 号

sPeclal  issueofiaPan soGietytor ±hescience efdesign vel

.

16

−

1

 

ne

.

61200S 歴 史 を メ ディアや 都 市 と 結 びつ い た

ダ

イ ナ ミック な プロセ ス の な かで見てい く研 究 が

増

えてい る

。

 

ク1丿 ス トフ ァ

ー ・

ブリュ ワ

ー

ド (

1999

)

は

19

世

紀 後 半 から

第

一

次 大 戦 まで の近

代

に おい て

、

男

性

た ち がファ ッシ ョ ンをいか に享 受し た かをロ ン ド ン の消

費

文 化の成 立と と も に

検

証 し て い る。 19

世 紀

ヴィク ト リ ア

時 代 中

流

階 級

といえば

、

女 性

がコ ル セ ッ ト

・

ク リ ノ リン

・

バ ッス ル を身につけ る

一

方

、

男性は地 味

な

ス

ー

ツ

を 着

る

よ

う に

な

っ た

時代

との

通 念 があ

る

が

、

ブ

リュ ワ

ー

ドに よ る と

、

ロ ン ドンの イ

ー

ス トエ ン ドは 男 性 向 け の 既 製 服 業 者 や その小 売 店 な ど が 立 ち 並 ぶ 消 費 都 市であっ た

。

彼 は 男 性 ファ ッショ ンとい う 隠 さ れ た 消 費 文 化 を 歴 史 的 な 資 料のな か か ら再 構 築 していく

。

歴 史 衣 裳 を メ ディアや 消 費 空 間 に 媒 介 さ れ た 都 市 文 化 と して論 じ るこ の試 み に は カ ル チュ ラ ル

・

スタ ディ

ー

ズの影

響

が 垣 間

見

ら れ る

。

  近 年 ブリュ ワ

ー

ド は フ ァ ッ ショ ンと 都 市 文 化の関 係にま すま す 光 を あて るよ うになっ てお り

、

近 著

(

2004

)

において も

、

20

世 紀

ロ ン ドン の

都 市 文 化

と い う

視 点

から

新

し い ファ ッショ ン

文

化

の

側

面 を

浮

き

彫

りに し て い る。

彼

は さ ら に パ リ

、

ニ ュ

ー

ヨ

ー

ク

、

ミ ラ ノ

、

東

京

、

上海な ど の

都

市とフ ァ ッ ショ ンと の関 係を

考 察

し た

論 文 集 (

2006

)

をデ ビッ ド

・

ギ

ル バ

ー

トと と も に編 集して い る

。

  近 年 グ

ロ

ー

バ 1丿ゼ

ー

ショ ンが

新

しい

研 究領 域

として

台

頭 して きている が

、

フ ァッショ ン研 究 にお い ても 世 界 経 済 や 流 通のネ ッ トワ

ー

クの なか で服 をとら え る よ う な 研 究 が 目 だっ てきて い る

。

パ

ー

ミン

ダ

ー ・

バ

ー

チュ

(

2004

)

は イ

ギ

リ ス の イン ド

系

移 民の女 性た ち が民 族 衣 装の影 響を う け たファ ッ ショ ン をつ く り

、

ロ

ー

カ ル 経 済 に おい て重 要 な 役 割 を 果 た していること を

、

エ スノ グ ラフィ

ー

調

査 に よっ て明 ら か に している。 イン ド系

移

民 の女 性 た ち は 結 婚 式 な どの儀 礼 用に伝 統 的 な民族 衣 装 を 制

作

し

、

あるいは 民 族

衣 装

を

自分

な りに デザイ ン したフ ァ ッショ ン とし て発 表し てお り

、

な かに は メ デ ィア に

取

り 上 げられて脚 光 を あ び た ものも

少

なくない。 バ

ー

チュ はグロ

ー

バ ル

経 済

が

大 手

を

振

っ て い る

現状

に お い て

、

周

縁

に い る

移

民

女 性

たち がファ ッ ショ ン を

自分

た ちの た め に

流

用して いる

様

子を

鮮

や か に

描

き

出

し た

。

同

様

に サ ン ド ラ

・

ニ

ー

セ ン

、

ア ン

・

マ リ

ー ・

レ シュ コ ウ ィ ッ

ク

、

カ

ー

ラ

・

ジ

ョ

ー

ンズ ら

(

2003

)

は

、

ベ トナ ム

、

イン ド ネ シ ア

、

タ イ

、

韓

国

、

香 港 な ど ア

ジ

ア のフ ァ ッ ショ ン が グ ロ

ー

バ ル 経 済のな かでどう普 及 し変 容 してい く か を 論 じている

。

 

ま たマ

ー

ガ レット

・

メ イ ナ

ー

ド (

2004

)

は

、

グロ

ー

バ ル 化の な かで

、

いわ ゆる発 展 途 上 国の人 々 と 先 進 国の人 々 が どのよう に

服 装

を 選 んで い るか に 注

目

する

。

グロ

ー

バル なフ ァ ッショ ン

文 化

が

普 及

して い

く

一

方

で

、

独 自

の ス

タ

イルを

発 信

し て いくロ

ー

カ ル なフ ァ ッシ ョ ンも根 強く活 動 して い る の だ

。

メ イ ナ

ー

ド に よ れ

ば

、

グ

ロ

ー

バル 化 が 進ん で いる とい っ ても

、

ファ ッシ ョ _

峠

(4)

NII-Electronic Library Service

ンは た だロ

ー

カ ル な人々 の身 体を標 準 化

・

均 質 化して い る わ け では な く

、

ケ

ー

ス

・

パイ

・

ケ

ー

スで

多

様 な 受 容 が な さ れている ので あ る

。

ニュ

ー

ヨ

ー

クと ケニ アで は同 じ

T

シ ャ ツ

・

ジ

ー

ンズ 姿 を してい ても

、

人々が そこに 込 めて い る

意

味 は

複 雑

に 錯

綜

し

、

一

義 的 に は 決 め られ ない

。

  グロ

ー

バル 化 ということでは

、

世 界の ファ ッ ショ ンを 主 導 し て いる ブ ラン ドの研 究 も 進 め ら れてきている

。

た と え ば シ リ ア

・

ル

ー

リ

ー

(

2004

)

は 企 業 と 人 々 をつな ぐコミュ ニケ

ー

シ ョ ンと してブラ ンドにつ い て議 論 して いる

。

彼 女 は ブ ラン ドがコ ミュ ニ ケ

ー

ショ ン

手 段

となっ て い る こ と

、

同

時

に

新

し いグロ

ー

バ ル

経 済

に おける

企 業

と

人

々 の関

係

を再

編

し て い る こ とを

分 析

し て い る

。

彼 女によ れ ば

、

ブ

ラン ド は 「も の」 で ありかつ コ ミ ュ ニ ケ

ー

シ ョ ン で もあ るとい う新しいメ デ ィ ア の様 態な のであ る。

ブ

ラン ドは かなら

ず

し も服 だ けに限 るも の で はないが

、

別

の角 度か ら 見 れば

、

現代 社 会に お い て はあらゆる文 化は も はや フ ァ ッショ ン

(

流

行)

と なっ てい る の である

。

そ の意 味で フ ァ ッション はグロ

ー

バ ル経 済の渦に人 々 を 巻 き 込 む 強 力 なメ デ ィ ァと して

作

用 して い る のだ

。

 

こ こ で は フ ァッション研

究

を 「

表 象 分析

」 「

文 化 実 践

」 「

消費

文 化1 の 三つの

ジ

ャンル か ら

検

討 してみ た

。

研

究

によって は ひ とつ に 収 ま ら ず 複 数 の 領 域 に ま た が ること も あ る し

、

ま た 上の カテゴ リ

ー

に 入 ら ない場 合 も あ る が

、

現 在 英 米 圏の ファ ッ ショ ン研 究 が き わ めて広い射 程 を もっ た 領 域 と して成 立 して いるこ と は

十 分

に

確

認でき よう。

2

 

フ ァ ッ シ ョ ンを め

ぐ

る

問 題

●メ デ ィ ア の

影 響

  英 米

の

研 究 状

況 を ふ ま えて

、

現 在

の

日本

ファ ッション の

研

究 にどのよ うに適 用 する こと がで きるだろう か

。

  その前 に メデ ィア研 究 はファ ッ ショ ンに ど ん なアプロ

ー

チ が できる のか

、

解 き ほ ぐ してお き たい

。

ファ ッ ションという言 葉 も あ ま りにも 恣

意

的に用いら れて い る の で

、

指

示 対

象

が 曖

昧

に なっ て いる きら いが あ る。

 

フ ァ ッ シ ョ ン と は ま

ず

第

一

に 「流 行」 の こ と で あ る

。

現 代は あ ら ゆ る も の に 流 行 が 見 ら れ る が

、

と く に 近 代 以

降

の服 装 や 髪 型 は 変 化のサ イ ク ル が 早いた め

、

消 費 社 会の発 展と深 く結 びつ き

、

流 行の代 名 詞 と なっ てい る

。

そのよ う な 服 飾 流 行 の 普 及 に は

雑 誌

、

広

告

、

テ レビ な どの メ デ ィアが 大 き な

役 割

を

果

た して い る。 それ ゆえ

、

流

行

を

社 会

に

伝

達 する

媒 体

とい う意

味

で の メ デ ィア

(

雑誌

、

新 聞

、

テ レビ

、

映

画

、

ネッ ト

、

広

告

な ど

)

を 研 究す る

視

点 がひ とつ あ る

。

こ れ は狭 義の意

味

におけ る ファ ッシ ョ ン の メ デ ィア

研

究 といえ よ う

。

 そ の

一

方

、

ファ ッションは 身につ ける人の 「個 性 」 を 表 現 す るため の

媒 体

でも ある

。

洋

服

、

化 粧

、

ヘ ア ス タ イル

、

バ ッグ

、

ケ

ー

タ イ

……、

これ ら を身につけ

、

デ ザ インを 選 ん だ り

、

自作 し た り

、

組 み 合 わせた り

、

カスタマ イ ズ す ることに よっ て

、

私 た ち は

自

分ら し さ を探

求

し

、

見られた い

自

己 像を他 人に ア ピ

ー

ルす る

。

その

意味

で服

装

や

外

見 その ものが

自

己

表

現の ためのメ ディア といえ る

。

広 義 に おいてはファ ッションそ の も の が メ デ ィ アとい うこ と に な る

。

 こう考 え る と

、

前 章で述べ た ジャンル を 想 定 しつ つ

、

三つの 問いを 立て ることがで き よ う

。

  第

一

は メ ディアが 人 々 を ど う 消 費 文 化 に 巻 きこみ

、

そのな か で ど ん な

自

己

像

を

構 築

させ る のか とい う

問

いである。 ファ ッシ ョ ン

雑誌

や

広 告

は

商 品

を

身

につけた 「理想の 男

性 /女 性 像

」 を

提

示し

、

読 者

に そ の イ メ

ー

ジと の同

一

化

を は か ら せ て

商

品の

購

買 意 欲を か き たてよ う とする

。

そ の よ う な身 体の表 象は そ の時

代

に

特 定

の ジェ ン

ダ

ー

イ メ

ー

ジ を 反

映

し て い る こ とが

多

く

、

特

定の人 物 像 が だ れにとっても正 し いもの であるかのよう に 見 る 者 を 誘 導 する こと に なる

。

  最 近の例でい え ば

、

2000

年 代ご ろよ り

、

フ ァ ッション誌『

Can

Cam

』 は 蛯 原 友 里 や 押 切 も え な どの モ デル を カ リス マ的 な 存

在

に成 長 させ

、

女

子 大 生 や

OL

に

絶

大 な 人

気

を

誇

っ て い る。

彼

女

た ちが

誌

面で

着

た服は ショップに

読 者

か ら問い

合

わせ が殺 到 す ると いう。 雑

誌

の物 語 風 特

集

記

事

では 蛯 原 た ち は 私 生 活では 素 敵 な 恋 人

、

職 場で は異 性の 上 司 や 同 僚 に 支 え ら れて適 度 に ク リエ イ ティ

ブ

な 仕 事 を す る 女 性 を 演 じている

。

そこ では働 く女

性

が

直 面

する

深

刻 な

悩

みや

職

場の トラブルな ど は

一

切

捨 象

さ れ

、

異

性

から愛 さ れる こと が 最 大の関 心 事であるような 女

性

ら し さ が

顕

揚 さ れている

。

 

フ ァ ッ ション雑 誌の表

象

分

析

は す で に こ れ ま で も お こなわ れ て きて いる

。

落 合 恵 美 子 (

1995

)

は

、

女

性 雑

誌 に お け る 身

体 技

法が当 時の 女 性 観 をどう 反 映 して いる かを 分 析 して いる

。

  し か し

、

現 在

、

ファ ッション の影 響 力 を 分 析 す る に は 雑 誌 な どひとつ のメディアに 限 定 するだ けで は 十 分では な く な りつ つある

。

た と え ば

、

2005

年

よ り 「東 京 ガ

ー

ル ズコ レクシ ョ ン」 と い う ファ ッシ ョ ン イベ ン トが

話

題に

な

っ て い る。 これは

大 会

場を

貸

し 切 り

、

多

く のブラン ドが

参

加す る ファ ッショ ンショ

ー

の形 式で お こな わ れ る 販

売

促 進 イベ ン トであ る

。

『

Can

 

Cam

』 など の カ リスマ モデルや 有 名 タ レン ト を 起 用 して観 客 を 動 員 し

、

ショ

ー

に 出てく る 服 を 携 帯 や インタ

ー

ネッ ト上 の サ イ トで 販 売 すること が 目 的 だ

。

こ こではショ

ー

とい う

現

実の空 間 と と もに

雑

誌

、

携帯

電

話

、

ネッ トな どの メ ディア空

間

がファ ッショ ン消

費

を 促 進 する場 所 と なっ てい る

。

い ま やファ ッ ショ ン

・

イ メ

ー

ジはよ り錯 綜した 複 雑 なメ ディア

・

シ ス テ ム か ら う みださ れて くる の であ る

。

●ス ト リ

ー

トと メ ディ ア環 境

 

二

番

目に人 々 がメ デ ィアか らの

情 報

を どう受

容

し

、

どのよう

1韈

∴

劃

∵

. 。

(5)

NII-Electronic Library Service

な文 化

実

践を お こ な う の か と い う問い が

考

え ら れ る

。

先

の アブ ロ

ー

チが メディ アの

権 力作

用を

扱

うとした ら

、

こち ら は

受

け

手

の

主

体 的 な 文 化 実 践に目を

向

けて い る

。

 

フ ァ ッ ショ ン

雑 誌

・

広 告

の発

信

す る

身体 表 象

を

受

け

手

は

無条

件 に 受 け 入 れるわ けでは ない

。

実 際 に 消 費 すると き に 情 報 は 取 捨 選 択 さ れるもの であ り

、

さ ら に 身 につ けると き に は 送 り 手 が 想 定 し ない独 自の組 合 せ やアレンジ が おこな わ れ ること に な る

。

ディ ック

・

ヘ ブディ ッ ジ がイギリ ス の サ ブ カル チャ

ー

を 記 号

論 的

に

分 析

し た と き

、

そ れ は

若 者

た ち に よる文

化

の

解 釈 行

為

、

すなわち

産 業

の発

信

する元

来

の

意 味

を

読

み か え て

、

服

、

音

楽

、

ふ る ま い な どの

様

式 を

創

造 して き た こ と に

着

目し た の であ っ た。 服を

身

に ま と う こ と も主

体 的

な

自

己

表

現であ り

、

時

と し て

社

会 規 範を挑 発 する よ う な下

位

文 化を生む こ と が あ る の だ

。

 

ス ト リ

ー

トファ ッションは

若 者

が メ ディア や

都 市

か ら 影

響

を 受 け な がら

、

自 分た ち の身 体を表 現の媒 体とす る 文 化 実 践と見 な すこと がで きる

。

欧 米の パ ンク やヒップ ホップ

、

日 本でも 都 市の

路

上 を

舞

台 に し た 若 者 グ ル

ー

プ が 服 装 や 遊 び に 独 自のスタ イルを 作 り

、

時 と して問 題 視 さ れて き た

。

しか し 彼らは 商 業 資 本 からある

程 度 距 離

を

置

い て活 動 する とは い うもの の

、

メ ディ アや 市 場 からまっ た く 自 由 な わ けで はな く

、

両 者 は 互い に影 響 し あう

関係

にある。

 

2000

年 前

後 く ら い にガングロ

、

ヤ マ ン バ と い う少 女 文 化 が 登

場

して

話

題になっ た

。

これ は からだ を

黒

く

焼

いた りファン デ

ー

シ ョ ン を使い

、

ア イシ ャド

ー

や 唇 を 臼 く塗 りたく り

、

髪の毛 は金 髪 や 白 髪 など に染め

、

さ ら に ミニス カ

ー

トを は い た り

、

厚

底 ブ

ー

ツ を はいた りす る 女

性

た ち のグル

ー

プ の こ と であ る。 そ の身 体のイメ

ー

ジ はあま り に も女 性ら し さの規 範か ら か け離 れ てい て

、

な に か 異 界 の 生 き

物

を

想

起 さ せ る よ う な 奇 妙 な

存 在

に 見え た もの で あっ た

。

  彼 女 た ちの外 見 は あ ま り に も 特 異であ り

、一

見 す る とアメ リ カの ヒッ ピ

ー

や イ ギ リス のパンクのよ う な サ

ブ

カル チャ

ー

と同 じ く

、

対 抗 文 化 や下位 文 化のメッセ

ー

ジ が ある よ う に も 見 え る

。

し か しよ く

調

べると

、

彼

女 た ちに

特

定の メ デ ィアが 大 き な 影

響

を与え て い る ことが わ かる

(

成 実

(

2007

)

)

。

それは 「egg 」 「

popteen

」 のようなス ト1丿

一

ト

雑誌

で あっ た

。

 これら の雑 誌はも と も と 読 者の投 稿 雑 誌 と して創 刊 さ れ

、

ラ イフ スタイ ル

雑

誌へ と

変 容

して いっ た もの である

。

ほ かの ファ ッ ション

雑誌

と同

様

に

読 者

モ デ ル を

提

示 するが

、

大

きな

違

い は 街の ご く普 通の少 女た ち を

積極 的

に紙 面に起 用す る こ と で

、

読

者

同 士の価 値 観 を 媒

介

し て い る と こ ろ であ る。 こ う し た

雑 誌

は 読 者 同 士の コ ミュ ニケ

ー

ショ ンツ

ー

ル と して機 能 する

。

 ス ト リ

ー

ト雑 誌 は 少 女 た ち に メ ディ ア に 登 場 す る 機 会 も 提 供 する。

雑

誌の

記

者 や 写 真 家 は 渋 谷

・

池 袋 な どのエ リアで撮 影 を する た め に

、

休日 に注目さ れ や すい ファ ッシ ョ ン で街 を 歩 く と

6

デ ザ イン学 研 究特集号

sPeelal

口

ssue

 

ef]aPan

 

soGiety 「orthe

 

scLence

 

ot

 

design vd

.

16

−

1

 

no

.

612008 雑 誌に 取 り上 げら れ る 可

能 性

が

高

く な る

。

 

ま た

渋 谷

109 な どに入っ て い るシ ョ ップも ま た

少

女 た ち に さ まざま な ファ ッション情 報を提 示 する

。

こ う し た

都

市の メ デ ィ ア環

境

が ガン

グ

ロ

・

スタ イルを

生

んだ

。

 ス ト リ

ー

トファ ッ ションは 若 者 が 街 中で衣 服 を 表 現 や メッセ

ー

ジ と して着 ることで生 ま れる

。

そ れ は 都 市 空 間のな かで

、

お な じテ イス トの若 者

、

ショ ップの店 員

、

雑 誌 や テ レ ビの記 者

、

カメ ラ マ ンな ど

、

さ ま ざ ま な 人 々 が 相 互に コ ミュ ニ ケ

ー

ション を おこな う な かで形 成 さ れて い く

。

その意 味で は

、

都

市

空

間

と い う の は

、

ひ とつ のビ ジュ ア ル

・

コ ミュ ニ ケ

ー

ション の

舞台

な のだ

。

ま た

、

こ う した ま な ざし のな かで

、

衣 服 を まとっ た り

、

外

見 を 整えた り する ことで

、

若 者

た ちは

自

ら の ア イ デ ン テ ィ テ ィ にっい て問い か け た り

、

構

築

し た り す る

。

都 市

と い う の はフ ァ ッ ションやス

タ

イル と いう 記 号 に よっ て

、

人

々 がメッセ

ー

ジ を伝え合う公 共 空 間

、

スタ イル による公 共 圏と

考

え るこ と がで ぎる の では ない だろう か

。

しか しこう し た 公 共 圏でか わ さ れる 視 覚 言 語 につ い ては

、

これ までの メディア 論で は 取 り上 げ られ てこな かっ た

。

  近 年では

、

携 帯 電 話 や インタ

ー

ネッ トの コミュ ニ ケ

ー

ショ ン が 発 達 し た せいも あっ て

、

雑 誌 文 化の影 響 力 が 低 下 して い ると の

指 摘

が ある

。

街 に 出て

刺

激 を 求 める こと が

少

な く なっ て い る と も い わ れ

、

最 近で は若 者の ス ト リ

ー

ト フ ァ ッション は 目立っ た ものが な く なっ てきて い る

。

そ う いう 意

味

でもファ ッショ ン に

対

す るメ デ ィ ア の

影 響

は

重

層

的

に

作

用 する の で あ る。 ●

身体

の フ ァ ッ ション

化

 

最

後

に

考

え た い の は

身

体の ファ ッ ション

化

・

情 報 化

と で も い うべ き状 況で あ る

。

 

現

在

の

消費 社 会

にお いて は

、

身 体

は

加

工や

修

正 が 可 能 な もの と な り

、

そ の

物 質 性

は ま す ま す強 調さ れ る状況 が あ る

。

た と え

ばダ

イエ ッ ト

、

エ ス テ

、

脂 肪 吸 引

、

豊

胸

、

プ チ

整

形 な ど

、

身 体 は可 塑 的 なマテ リ ア ル として

、

自 由 自 在に形を変え られ る よ う に なっ ている

。

これ は

身

体の情 報 化 に たいす る 不 安から

、

逆 に そ の

物

質 性 を 確 認 し たい という 欲 求の表 れ なのか も し れ ない

。

すっ か り 定 着 し た タ トゥや ピア スな ど も ま た 自 己 確 認の実 践 と 考 え ら れる

。

自 分の外 見の輪 郭 を 変 えるというのは

、

自 己のな か に 他 者 を 導 き 入 れ る ということでも ある

。

そ れ は 身 体の外 見 をファ ッショ ン のよ う に改 造 す る 事 態であ る

。

 

そ の

一

方

で

、

身

体

の

情 報 化

も ま た 進

行

し ている。

多

く の

人

々 が

指 摘

す る よ う に

、

私

た ち の

身 体

は遺

伝

子

情 報

、

医

療 情 報

、

個

人 情 報

と し て

断 片 化

さ れ

、

情 報 ネ

ッ ト ワ

ー

クのな かに

流

通 し

、

監 視や管理 の対

象

と な っ て い る

。

かつ て マ ク ル

ー

八ンは 「メ デ ィ ア は

身 体

の

拡

張であ る」 と主 張 し た が

、

これ は

逆

にい う と

、

メディ ア によっ て身 体の諸 機 能が代 替 さ れ ることで もあ る

。

パ ソ コ ンや 携 帯 電 話 が 登 場 する ことで

、

知 識 や 情 報 を 暗 記 する能 _ ._

謳

(6)

NII-Electronic Library Service

力は大 幅に低 下し た

。

現 在のネッ ト や携 帯 電 話の発達 は身 体の 現

前 性

をかなら

ず

し も

必

要とし な く な る

一

方

で

、

た と え

ば絵 文

字 をつか う な ど別の形での 「

身

体」 を 強 調 す る よ うにも 働い て い る

。

身 体の重 みが低 減 す ると ともに

、

物質 性

への

欲 求

が逆

流

して い く とい う 奇 妙 な 局

面

が 到 来 している

。

 

鷲

田

清

一

(

2003

)

によれば

、

身

体

の

情 報 化

とい う事 態は

、

も と も と

人

間

存 在

のもっ て い る

宿 命

であっ た。

自

分の身

体

はつね に断 片 的な情 報と して し か 与 え ら れ ない。

自

分 の

顔

さ え も

鏡

の

像 や

写

真

な どの

視 覚

イ メ

ー

ジで しか

確

認で きず

、

それは想

像

の

中

で し か統

一

像を与え る こ とがで き る に す ぎな い のだ

。

私 た ち が

服

を

着

る のは

、

身

体

をつ ね に 全 体 的 な もの と して把 握 し たい という根 源 的 な 願 望にかられているか ら なのか も し れ ない

。

  しか し

、

どのよ う な 身 体 像 が 理 想 か とい う規 範 は 社 会 的 に 形 成 さ れる。 かつ てな ら

共 同体

や

家

族 が

中

心 と なっ て

伝

えて いた 身 体につ い て の規 範 を 形 成す る の は い まやメ デ ィア である

。

現

在

の

身体

にか か わる

言 説

は

錯 綜

し

矛盾

し

絶

えず

変 化

しつづ けて いる。 メ デ ィ ア は

若

く

美

し い か らだの イ メ

ー

ジを

大

量に

流

通さ せ る

一

方

で

、

ひと はそ れ ぞ れ

美

し い のだか ら

他 人

の

美

し さ に

合

わせる 必 要 は ないというメ ッセ

ー

ジも 忘 れ ない

。

 

フ

ー

コ

ー

に よると

、

近 代 社 会 に お け る 権 力 は 規 律 訓 練 す る

身

体

、

健 康 な 身 体

、

強い身 体 を 生 み 出 し たとい う が

、

現 在の 消 費 社 会 は

、

む しろ ファ ッ ショ ン化 する身 体

、

断 片 化 す る 身 体

、

美 しい身 体 を 生 み 出 して いる

。

近 代 以 降の生 権

i

力 に 大 き な 変 容 が おこっ ている証 し か も し れ ない

。

  カ ル チュ ラ ル

・

スタ ディ

ー

ズ や メ ディア研 究 か ら 身 体

・

ファ ッションを 考 えるこ と は

、

消 費 社 会 に おいて私 た ち に どのよ う な

権

力 が

作

用 して い る のか

、

それ をメ デ ィアはいか に 媒 介 して いる のか を 考 え るこ とでも あ る

。

  本 稿で は英 米 圏の研 究 を 概 観 し

、

それ が日本の ファ ッ ショ ン 状 況 を ど う 照 ら し 出 すのか を 検 討 してき た

。

日 本の ファ ッ ショ ン

・

消

費

文 化は

新

しいメ ディア

環

境によっ て大 き な 変 容 を と げ てお り

、

英 米

の

研 究

から

学

ぶ ことは

少

な く ない。 こ う した

問

題

意

識に よっ て 日

本

のファ ッ ショ ンを分

析

す る

有 効

な

枠 組

をどう 具

体

的に組 み立て て いくの か が

、

今 後

の課 題とな ることだろ う。 参 考 文 献 落 合 恵 美 子 (

1995

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ー

ジ と して の女」 井 上

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子 他 編 『表 現 と メデ ィ ア』岩 波 書 店 成 実弘 至 (

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讐

参照

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