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Investment Insight Series 2013年10月

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2013年10月

サマリー

立証された考え方に基づいており、ファンダメンタルズの有効性如何

FTSE EDHEC リスク効率性インデックスは最先端の金融理論により

にかかわらず、株価の動きによるリターンの追求を目的として設計さ

れている。

筆者がこの市場インデックスを推奨する理由は、以下の3つである。

Ⅰ: “低ボラティリティ効果”は、信頼性が低下傾向にある Ⅱ:ファンダメンタルズ系市場インデックスとは異なるリターンの源泉を もっているため、ファンダメンタルズが効かない市場環境下でも高リ ターンを獲得するとなる可能性があり、分散効果が期待できる Ⅲ:「ボラティリティリスクの最小化/抑制」はリターンの下支え・改善には直 接的には寄与せず、最小ボラティリティ戦略への投資は、投資効率上 最適ではない 「日興アセットマネジメント:資産運用シリーズ」では、「効率性」をキーワード に、多角的な視点からインデックスを用いた新たな運用も含め、新しい資産運 用について複数回にわたって考察している。 第6回は、「FTSE EDHEC リスク効率性インデックスの推奨理由」について 具体的に考えてみる。

星 貴博

日興アセットマネジメント クライアント・サービス部 シニア プロダクト マネージャー

FTSE EDHEC リスク効率性インデックスの推奨理由

~日興アセットマネジメント:資産運用シリーズ(6)~

(2)

FTSE EDHEC リスク効率性インデックスに関する3つの質問

これまでに、時価加重インデックスの問題点、非・時価加重インデックスの説 明、FTSE EDHECリスク効率性インデックス(以下、EDHECインデックス)の 説明をした。 ここでは、EDHECインデックスの有効性に関する3つの質問について回答を 試みる。

【Q】

Q1“低ボラティリティ効果”とは矛盾するのではないのか?

Q2すでに他の非・時価加重インデックス(FTSE RAFI、FTSE GWA)を

採用しているが、あらたに導入すべきか、あるいはどのような非・時価 加重インデックスの組み合わせが良いのか? Q3株式市場のボラティリティを見る限り、リターンの追求よりもボラティリ ティの抑制を第一に考えるほうが望ましいのではないか?

“ 低 ボ ラ テ ィ リ テ ィ 効 果 ” と 矛 盾 し な い

Q1“低ボラティリティ効果”とは矛盾するのではないのか? いわゆる“低ボラティリティ効果”というアノマリーが数年前に議論されたこと があった。“低ボラティリティ効果”、あるいは“ボラティリティ・パズル”と呼ば れているのは、「ボラティリティの高い株式ほどリターンが低い」とされる現象 のことである。 山田・上崎(2009)の研究では、過去のボラティリティの高低で分位ポートフォ リオを作成し、その後のリターンが計測されている。その結果、ほとんどのユ ニバースにおいて、“低ボラティリティの分位ポートフォリオは高ボラティリティ の分位ポートフォリオに比べて統計的に有意にシャープレシオが高い”ことが 裏付けられた。そして“低ボラティリティ運用は長期的時価加重ポートフォリオ よりも低いリスクで同程度以上のリターンが期待できる”と結論付けられてい る。

(3)

“低ボラティリティ効果” とは、「ボラティリティの 高い銘柄/ポートフォリ オのほうが、低リターン になる」とされるアノマ リーのこと。 2009年から2010年に かけて、国内で“低ボラ ティリティ効果”を支持 する議論が展開された。 このアノマリーに後押し され、最小分散インデッ クス戦略、最小分散運 用などが次々と各社か ら提案された。

“低ボラティリティ効果”と矛盾しない(続き)

同様に、石部他(2009)の研究でも分散分位別ポートフォリオによるボラティリティ効果の検証が行なわれ、その結果“リスクとリターンのトレードオフは成 立せず、その傾向は高リスクになるほど顕著である”という結果が観察され、 さらに最小分散ポートフォリオで推計したベータに基づく分位ポートフォリオに よる検証では、“最小分散ベータを用いるとリスクとリターンのトレードオフ関 係がかなり回復する”という結果が得られたと結論付けられている。 そして山田・永渡(2010)では、分散分位別ポートフォリオではなく、個別銘柄 でのボラティリティに着目した研究が行なわれ、投資家の投資行動からの分 析が行なわれている。すなわち、“株価ボラティリティの高い企業は、将来の 業績を強気に予想され、株価は割高に評価される傾向がある”としながらも、 その期待は平均的に過大であり、相対的に低い株式リターンが実現され”、さ らに、“偶発的な非常に大きなリターンを期待する投資家・投資行動の存在も その原因となり得る”と言及している。ゆえに、同論文では“低ボラティリティ効 果を実際の投資へと応用する簡単な方法は、株価ボラティリティの高い銘柄 への投資配分を下げ、低い銘柄への配分を上げる”ことであると結論付けら れている。 いずれも、「ボラティリティの高い銘柄はリスク・リターンの効率性が劣る」、「も しくはボラティリティの高いポートフォリオのリスク・リターンは効率性が劣る」、 という結論であり、「低ボラティリティ運用戦略」あるいは「最小ボラティリティ株 式運用」の推奨根拠となっている。

低 ボ ラ テ ィ リ テ ィ 効 果 に 対 す る 懐 疑

しかし、その後研究が進むに伴ない、このような議論に対してその後強力な 反論が行なわれた。 前述の研究ではいずれも過去実績の株価を基にシミュレーションが行なわ れていたが、石部他(2011)では、そのボラティリティを全体ボラティリティ、 下方リスク、上方リスクという3種類のリスクに分類し、将来のリターンの関 係を調べている。その結果、“下方リスクと事後リターンの関係ではトレード オフになり、上方リスクでは逆トレードオフとなった”ことが示されていた。つ まり、ひと口にボラティリティリスクといっても、下方ボラティリティリスクと上 方ボラティリティリスクが含まれており、さらに「下落頻度・下落幅が大きいよ うな下方リスク銘柄」ではその後高リターンとなる「リバーサルに近い効果」 が認められたことになる。 また、“高ボラティリティ銘柄ほど低リターンであるというボラティリティ効果は 上方リスクの特性を強く反映したものと考えられる”とし、「上方リスク銘柄さ え排除すればリターン改善が見込める可能性」を示唆している。

(4)

研究が進むに伴ない、 “低ボラティリティ効果” の信頼性は低下した。 時間経過を考慮すると、 必ずしも「過去高ボラ ティリティだった銘柄が 「足元でも高ボラティリ ティで、かつ低リターン である」とは限らな い。 長期リバーサル効果を 調整すると、“低ボラ ティリティ効果”は統計 的には有意でない程度 の効果でしかない

低ボラティリティ効果に対する懐疑(続き)

さらに、廣瀬・岩永(2011)では、過去実績を将来期待の代理変数とすること の危険に着目し、実績固有ボラティリティと期待固有ボラティリティに分けた 検証を行なっている。いわゆる低ボラティリティ効果(トータル・ボラティリティ 効果)は、固有ボラティリティの高い銘柄に投資すると低い将来リターンしか 得られない現象(固有ボラティリティ効果)にあることを示し、さらにその効果 が、“過去数年間のデータを利用計測した実績固有ボラティリティが高い銘柄 群には将来の固有ボラティリティが下がる銘柄を多く含むために低いリターン となる現象が一因であること”を明らかにしている。低リターンとなった銘柄は 「過去一定期間の実績では高いボラティリティだったが、足元では低い固有ボ ラティリティだった」ということだ。であれば、相対的には「足元で高い固有ボラ ティリティになった銘柄は高リターンになる」可能性がある。 山田・上崎(2009)、石部他(2009)、山田・永渡(2010)らの研究はいずれも 「過去一定期間中の実績でボラティリティが高かった銘柄(群)」のリターンを 計測しているが、時間経過とともに固有のボラティリティの高低が変化してい く点は一切考慮されていない。ゆえに廣瀬・岩永(2011)は、“固有ボラティリ ティ効果は、時間変動する実績固有ボラティリティを期待固有ボラティリティの 代理変数と仮定しているために観測される現象であり、理論と整合しないパ ズルではない可能性がある”として、『低ボラティリティ効果』というアノマリー に疑問を呈している。また、固有ボラティリティ効果には、長期リバーサル効 果に類似した効果が含まれていることにも言及し、“長期リバーサル効果を調 整した固有ボラティリティ効果は、統計的には有意でない程度の効果でしか ないようである”と結んでいる。 今後株価リターンとボラティリティの研究が進展するに伴ないどのような結論 が得られるのかは分からないが、少なくとも一昔前に流行した「低ボラティリ ティ効果(=ボラティリティの低い銘柄の方が投資効率が高い)」というアノマ リーの信頼性は低いと言わざるを得ない。確かに結果から、「過去実績でボ ラティリティの高かった銘柄の将来リターンは低い」というアノマリーが見られ たのかもしれないが、原因と結果が直接的に関係していない以上、過去の現 象は将来の再現性を確約していない。このように、いわゆる“低ボラティリティ 効果”そのものの説明力が低下しているのが足元の状況である。 さらに、ボラティリティに関する研究の中で重要なのは、「下落頻度・下落幅が 大きいような下方リスク銘柄」ではその後高リターンとなる「リバーサルに近い 効果」が明らかになったことだ。この下方リスクと事後リターンのトレードオフ 関係は、そのままEDHECインデックスにおける期待リターン推計であり、リス ク単位あたりリターンの最大化を追求するコンセプトの裏付けといえる。

(5)

最小ボラティリティイン デックスは標準偏差の 抑制には効果的である。 ディフェンシブ性が高く なるので、下落相場の 際には下落幅が抑制さ れる。

MSCI 最小ボラティリティインデックスのリターン

最小ボラティリティインデックスは、過去の株価推移を材料にして、ポートフォ リオの標準偏差を最小化を目指すインデックスポートフォリオである。MSCI Minimum Volatility Indexは、銘柄数にこだわらずにインデックスポートフォリ オの標準偏差最小化を目指している。そのため、例えば先進国ユニバースで は、MSCI Worldがおよそ1300銘柄であるのに対し、MSCI World Minimum Volatility インデックスはおよそ200銘柄程度の銘柄数となっており、“市場”イ ンデックスであるとは言い切れないかもしれない。 ポートフォリオの標準偏差を最小化するため、 ・過去の銘柄別標準偏差特性は将来も継続されることを前提にしている ・銘柄は生活必需品、公益などディフェンシブ銘柄に傾斜する 下のテーブルは両者(ともにドル建て、配当込)の年度別のリターン比較表で ある。標準偏差を最小化する、という目的はある程度達成されており、各年度 ごと、時価加重インデックスの標準偏差をおよそ2~3割程度減少させること に成功している。 (出所:MSCI.Inc) 【図表1】 MSCI 最小ボラティリティインデックスとMSCI World 年度別リターン比較 期間: 1988年5月末 ~ 2013年9月末 W o r ld M in Vo l (Gr s) ( 配当込) M SC I W o r ld (Gr s) ( 配当込) 対M SC Iアクテ ィブリターン (ドル建て) 年度収益率 標準偏差 リターン/リスク 年度収益率 標準偏差 リターン/リスク 超過収益率 実績T.E. インフォ・レシオ 指数開始以来年率 6 . 3 9 % 1 1 . 4 5 % 0 . 5 6 5 . 6 3 % 1 5 . 3 0 % 0 . 3 7 0 . 7 6 % 6 . 9 2 % 0 . 1 1 1988年度 10.67% 4.6% 2.33 14.39% 6.95% 2.07 -3.72% 4.45% -0.84 1989年度 13.16% 12.1% 1.09 -1.79% 16.38% -0.11 14.95% 6.54% 2.29 1990年度 -0.38% 20.6% -0.02 7.03% 22.54% 0.31 -7.41% 6.16% -1.20 1991年度 -3.90% 10.6% -0.37 -0.52% 13.28% -0.04 -3.39% 4.78% -0.71 1992年度 13.65% 7.3% 1.88 12.72% 8.60% 1.48 0.93% 5.69% 0.16 1993年度 13.45% 11.5% 1.17 14.07% 12.94% 1.09 -0.63% 2.51% -0.25 1994年度 7.56% 6.9% 1.09 9.86% 8.78% 1.12 -2.30% 3.72% -0.62 1995年度 17.83% 5.2% 3.40 20.60% 7.15% 2.88 -2.77% 3.79% -0.73 1996年度 6.73% 6.1% 1.10 9.85% 8.28% 1.19 -3.12% 3.41% -0.91 1997年度 32.93% 12.3% 2.68 32.47% 14.19% 2.29 0.46% 4.73% 0.10 1998年度 3.11% 14.6% 0.21 13.05% 18.53% 0.70 -9.94% 7.61% -1.31 1999年度 4.65% 10.7% 0.43 22.25% 13.99% 1.59 -17.60% 6.74% -2.61 2000年度 -5.52% 7.4% -0.75 -24.87% 13.42% -1.85 19.35% 10.58% 1.83 2001年度 2.81% 9.0% 0.31 -3.89% 15.38% -0.25 6.69% 8.21% 0.82 2002年度 -13.96% 11.1% -1.25 -23.85% 17.47% -1.37 9.88% 9.35% 1.06 2003年度 38.65% 6.4% 6.01 44.55% 9.47% 4.71 -5.89% 4.99% -1.18 2004年度 14.76% 8.1% 1.81 11.06% 9.04% 1.22 3.69% 2.06% 1.79 2005年度 13.17% 4.7% 2.82 18.61% 7.12% 2.61 -5.44% 3.78% -1.44 2006年度 18.55% 5.5% 3.39 16.00% 6.30% 2.54 2.55% 2.49% 1.02 2007年度 -2.25% 9.8% -0.23 -2.77% 11.96% -0.23 0.51% 3.65% 0.14 2008年度 -33.63% 19.9% -1.69 -42.19% 26.11% -1.62 8.56% 8.73% 0.98 2009年度 38.11% 11.2% 3.39 53.23% 15.31% 3.48 -15.13% 5.72% -2.65 2010年度 13.45% 11.0% 1.22 14.03% 18.50% 0.76 -0.58% 9.25% -0.06 2011年度 10.00% 7.7% 1.30 1.14% 17.76% 0.06 8.85% 11.71% 0.76 2012年度 17.15% 9.0% 1.90 12.53% 11.89% 1.05 4.62% 6.97% 0.66 2013年度 1.46% 7.8% 0.19 9.21% 8.19% 1.12 -7.75% 5.51% -1.41 ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

(6)

ITバブル崩壊、リーマ ンショック、ギリシャ ショックなどパニック売 りが発生する度に時価 加重インデックスを上 回った。 しかし、上昇相場の場 合には必ずしも時価加 重インデックスを上回る わけではない。 結局、将来のリターン は、ディフェンシブ銘柄 がどれだけ買われるか、 あるいは景気敏感銘柄 がどれだけ売られるか、 に影響される。

MSCI 最小ボラティリティインデックスのリターン(続き)

しかしボラティリティリスクの減少はリターンの改善には直結しておらず、リ ターンは必ずしも時価加重インデックスを上回るとはいえない。下のグラフは 1988年5月末から2000年3月末までを切り出したものである。最小ボラティリ ティインデックスが時価加重インデックスを上回るのは2000年のITバブル崩 壊以降のことであり、1988年度から1999年度までの11年間は下回っている。 換言すれば「バブル崩壊などの劇的な下落相場の際には時価加重インデッ クスを上回る」ことはそのディフェンシブ性ゆえに確かだが、必ずしも上昇相 場の際にも時価加重インデックスを上回るわけではない。 (出所:MSCI.Inc) 【図表2】 MSCI 最小ボラティリティインデックス累積収益率比較(1988~1999年度) もちろん、下落局面が多ければそのディフェンシブ性のために時価加重イン デックスを上回ることが想定できる。事実、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、 その後のギリシャ・ショックなど度々発生した下落相場においては優位であり、 2000~2013年度ではおよそ年率3.6%程度、時価加重インデックスを上回っ ている。 -5.00% -4.00% -3.00% -2.00% -1.00% -1.00% 2.00% 3.00% 4.00% 5.00% -400% -300% -200% -100% -100% 200% 300% 400% 88年6月 89年6月 90年6月 91年6月 92年6月 93年6月 94年6月 95年6月 96年6月 97年6月 98年6月 99年6月 累積超過収益率(左) 月次超過収益率(右) MSCI World MinVol (USD, Grs)(左) MSCI World (USD, Grs)(左)

-8.00% -6.00% -4.00% -2.00% -2.00% 4.00% 6.00% 8.00% -400% -300% -200% -100% -100% 200% 300% 400%

累積超過収益率(左) 月次超過収益率(右) MSCI World MinVol (USD, Grs)(左) MSCI World (USD, Grs)(左)

株価が上昇したり下落したりするのは市場参加者が「何らかの限定合理的な 判断」により売買するためであるが、「どのような投資判断」がなされているの かは時々刻々と変化している。たまたま「2000年以降では標準偏差の低い銘 柄が何らかの理由で選好された局面が多かった」わけだが、その市場局面が 将来も頻発されるとは限らない。 【図表3】 MSCI 最小ボラティリティインデックス累積収益率比較(2000~2013年度) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

(7)

ファンダメンタルズ系インデックスとの関係

Q2:すでに他の非・時価加重インデックス(FTSE RAFI、FTSE GWA)を

採用しているが、あらたに導入すべきか、あるいはどのような非・時価 加重インデックスの組み合わせが良いのか?

FTSE RAFI、FTSE GWA、MSCI Value Weighted Indexのように、財務諸 表から個別銘柄のウェイトを算出する市場インデックスがある。これらは個々 の企業の過去の、自己資本、売上高、純利益、キャッシュフロー、配当などの うち3~4つの過去業績を基にウェイトを決めていく。株価バリュエーションを ウェイト付けに反映させないため、期待先行でバリュエーションが拡大して上 昇しているような銘柄のファンダメンタルズ・ウェイトは時価加重インデックス に比べて小さくなり、先行き不安でバリュエーションが小さくなっているような 銘柄のファンダメンタルズ・ウェイトは時価加重ウェイトに比べて大きくなる。 【図表4】 インデックス構成イメージ さて、このようなファンダメンタルズ系インデックスが時価加重インデックスを 上回るリターンとなるのはどのような場合であろうか。端的にいえば、「市場参 加者がファンダメンタルズ価値を重視した投資行動をする」環境下で良いリ ターンになる。株式投資のキャピタルゲインは、株価が上昇しないと得られな い。そして株価の上昇は、「市場参加者が何らかの理由で買い上げる」場合 のみである。多くの市場参加者が、「ファンダメンタルズに基づけば魅力的だ から買い」、「ファンダメンタルズに基づけば魅力的ではないから売る」という 投資行動をした場合にのみ、ファンダメンタルズ重視のポートフォリオが好リ ターンとなると考えられる。 ファンダ メンタルズ ウェイト 時価加重 インデックス ウェイト 時価加重 インデックス ウェイト 割高な(≒企業価値ウェ イトより、時価ウェイトが 大きい) 銘柄はアンダーウェイト 割安な(≒企業価値ウェ イトより、時価ウェイトが 小さい) 銘柄はオーバーウェイト ※上記はイメージであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ファンダ メンタルズ ウェイト ファンダメンタルズ系市 場インデックスは、「市 場参加者がファンダメ ンタルを重視するような 市場環境下」で良いリ ターンが期待可能。

(8)

【図表5】 株価を決定する要因— 伝統的ファイナンス理論と行動ファイナンス理論

フ ァ ン ダ メ ン タ ル ズ 系 イ ン デ ッ ク ス と の 関 係 ( 続 き )

伝統的ファイナンス理論 行動ファイナンス理論 背景とな る仮説 合理的期待形成仮説 人間心理市場仮説 前提 合理的経済人の行動は、需要と供給の 関係で即座に価格を修正する。 情報や分析が正しいとは限らない。また、情 報や予想が正確でもファンダメンタルズ価値 の推定が正しいとは限らない。さらに、市場 も裁定を速やかに行なうとは限らない。 株価 決定 プロセス 人々が利用可能なあらゆる情報を利用 して合理的な予想を行おうとする限り、 ファンダメンタルズ価値と価格は一致す る。したがって、ファンダメンタルズによ る唯一の正しい株価に収斂される。 限定合理的な投資判断の下、人々の最大合 意(コンセンサス)が株価を形成する。しかし コンセンサスは不定であり、センチメントに よっても大きく影響を受ける。したがって、 ファンダメンタルズ価値には収斂しない。 株価の 動き方 新情報が発見されるたびに株価は即時 に修正される。ファンダメンタルズ情報 の更新がなければ、株価は動かない。 コンセンサスの動向、人間心理(投資家セン チメント)の動向により影響を受ける。 投資家の 超過収益 の源泉 ファンダメンタルズ価値と市場価格との 乖離を発見し、裁定取引を行なう。 ファンダメンタルズ価値の算出は不可能であ るが、コンセンサスがどこに向かうかは限定 的な範囲内で予想可能(ケインズの美人投 票理論)。 トップ ダウン/ ボトム アップ ボトムアップの銘柄選択で有効。株式市 場全体のあるべきファンダメンタルズ価 値をトップダウンで判断するのは流動性 の観点から難しい。 市場全体に対するトップダウン、および個別 銘柄選択におけるボトムアップのいずれにも 有効。 有効な時 間軸 長期で有効。ただし短期的には人間心 理や流動性などの影響を強く受ける。 短期で有効。ただし長期的には行動ファイナ ンス的なエラーは修正され、ファンダメンタル ズの影響を強く受けるようになる。 戦略例 簿価や利益に対して割安な銘柄への 投資 成長力や収益拡大ポテンシャルに対し て割安な銘柄への投資 キャッシュフロー創出力に対して割安 な銘柄への投資 コンセンサスの上方変化が期待できる銘柄 への投資 株価モメンタムが上方トレンドである銘柄 への投資 批判 市場参加者の判断は限定合理的であり、 完全情報も保証されていない。したがっ て、ファンダメンタルズ価値の算出は不 可能。 コンセンサスは合理的市場参加者によって 形成されるものであり、人間心理市場仮説は 合理的期待形成の裁定過程と位置付けら れる。 共通する 事柄 ファンダメンタルズ価値への収斂もしくはコンセンサスの変化、投資家センチメントの変化 により株価には必ずボラティリティが発生する。 ※上記は一般的な見解であり、上記に限定されるものではありません。

(9)

ファンダメンタルズ系インデックスとの関係 (続き)

実際の株式市場では、市場参加者が「何に基づいて投資行動を決めるか」が 時期に応じて変化する。伝統的ファイナンス理論では、“いつかはファンダメ ンタルズに基づくフェアバリューに株価は収斂する”と考えられているが、市 場参加者がどのタイミングでファンダメンタルズに基づく投資行動を取るかは 分からない。(図表7)1991~1994年度の月次ファクターリターン推移と2009 ~2011年度のそれを比較する限りでは、①ファンダメンタルズに基づく投資 行動が中心だった期間と、②ファンダメンタルズに基づかない投資行動が中 心だった期間の2種類があり、②の市場環境はファンダメンタルズが軽視さ れた市場展開だったといえる。市場参加者がファンダメンタルズを軽視するの であれば、例えフェアバリューより割安な銘柄(もしくはポートフォリオ)だった としても買い上げられないために、高リターンにはならない。 市場参加者全体が今後どういう投資基準で売買するのか、どのタイミングで 投資基準が変わるのかというのを当てるのは極めて困難である。 したがって筆者は、ファンダメンタルズ系市場インデックスは、市場参加者が ファンダメンタルズが有効な市場環境下で機能するものとして、一方のリスク 効率性インデックスはファンダメンタルズが効かない市場環境下での高リター ンを期待するものとして分散投資することが望ましいと考えている。 【図表6】 リターン源泉の分散(イメージ図) ※上記はイメージであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ファンダメンタルズが有効 長期志向の投資が主体 ファンダメンタルズが無効 短期志向の投資が主体 FTSE GWA FTSE RAFI MSCI バリューウェイト等 ファンダメンタルをリターン 源泉とする非時価加重 市場ベータ戦略 従来型ボトムアップ運用 FTSE EDHEC リスク効率性 インデックス INTECHグローバル・コア Investec 4ファクターグローバル株式運用 グローバル株式 集中投資型 安定成長戦略

市場

全体

銘柄

選択

非ファン ダメン タルズ ファン ダメン タルズ 銘 柄 数 多 投 資 家 セ ン チ メ ン ト の 影 響 大 銘 柄 数 少 銘 柄 固 有 リ ス ク の 影 響 大 市場参加者がファンダ メンタルズを重視しない ような売買を行なう市 場環境下では良いリ ターンは期待できない。 ファンダメンタルズに回 帰するかしないなか分 からないので、異なるリ ターン源泉にあらかじ め分散投資しておくこと が重要。

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【図表7】 株式市場を牽引したファクター ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ●金融危機前(1991~1993年度・MSCI Kokusai ) (出所)野村證券金融工学研究センター、月次ファクターリターンの絶対値に基づき、上位3種を記載 ●金融危機後(2009~2011年度・MSCI Kokusai ) 1位 2位 3位 1991/4 益利回り変化幅 +3.74%過去1カ月リターン -3.62%益利回り +2.70% 1991/5 出来高回転率 +6.32%時価総額 +4.50%ヒストリカルβ +3.15% 1991/6 自己資本比率 +4.46%EBITDA/EV +2.20%ヒストリカルβ -1.90% 1991/7 過去1年リターン +4.07%ROE +3.45%ディスパージョン -3.32% 1991/8 時価総額 +3.91%出来高回転率 +3.61%ディスパージョン -3.16% 1991/9 益利回り +5.29%今来期予想成長率 -4.59%出来高回転率 -3.76% 1991/10 出来高回転率 +3.91%EBITDA/EV -2.69%自己資本比率 +2.49% 1991/11 ヒストリカルβ -4.85%出来高回転率 -4.49%今来期予想成長率 -4.12% 1991/12 ディスパージョン -7.78%ROE +6.42%益利回り変化幅 +6.38% 1992/1 ディスパージョン +6.72%ヒストリカルβ +6.68%今来期予想成長率 +5.66% 1992/2 出来高回転率 +4.92%キャッシュフロー利回り +3.47%今来期予想成長率 +3.40% 1992/3 EBITDA/EV +2.36%益利回り +1.50%ROE +1.48% 1992/4 予想修正率 -7.67%配当利回り +6.83%今来期予想成長率 +6.15% 1992/5 出来高回転率 -2.63%キャッシュフロー利回り -2.55%予想修正率 +2.23% 1992/6 過去1年リターン +4.63%ヒストリカルβ -3.18%ディスパージョン -2.61% 1992/7 過去1年リターン +7.85%過去1カ月リターン +7.43%ディスパージョン -6.67% 1992/8 ディスパージョン -6.42%時価総額 +4.67%インタレストカバレッジ・レシオ +4.33% 1992/9 過去1年リターン +8.24%ディスパージョン -7.35%純資産利回り -6.86% 1992/10 予想修正率 +5.23%過去1カ月リターン -3.82%配当利回り +3.27% 1992/11 ヒストリカルβ +4.46%ディスパージョン -3.30%時価総額 +2.99% 1992/12 益利回り +3.90%ROE +3.54%キャッシュフロー利回り +2.89% 1993/1 出来高回転率 +4.66%ディスパージョン +4.45%純資産利回り +4.33% 1993/2 出来高回転率 -6.62%純資産利回り +3.60%過去1カ月リターン -3.21% 1993/3 出来高回転率 +3.11%キャッシュフロー利回り +2.25%売上高利益率 -2.23% 1993/4 純資産利回り +8.15%ディスパージョン +7.91%倒産確率 +7.26% 1993/5 出来高回転率 +8.11%倒産確率 +4.19%時価総額 -3.64% 1993/6 益利回り変化幅 +3.91%出来高回転率 -3.50%キャッシュフロー利回り +2.88% 1993/7 ディスパージョン +3.87%ROE -3.69%純資産利回り +2.95% 1993/8 倒産確率 +5.28%純資産利回り +4.07%配当利回り -3.79% 1993/9 出来高回転率 +5.98%売上高利益率 +4.47%過去1年リターン +4.43% 1993/10 ディスパージョン +4.82%EBITDA/EV -4.44%時価総額 -4.39% 1993/11 出来高回転率 +2.79%純資産利回り -1.84%自己資本比率 +1.84% 1993/12 倒産確率 +8.59%キャッシュフロー利回り -7.68%益利回り変化幅 -6.59% 1994/1 売上高利益率 -12.73%インタレストカバレッジ・レシオ -11.48%純資産利回り +10.10% 1994/2 時価総額 -5.75%倒産確率 +5.66%益利回り -4.52% 1994/3 売上高利回り +7.16%EBITDA/EV +7.14%キャッシュフロー利回り +6.04% 1990年代前半のMSCI Kokusaiは、バリュー系ファ クター、グロース系ファクターが市場を牽引するドラ イバーだった。 つまり、市場参加者はバリューとグロースのロー テーションによって銘柄を売買していた。 バリュー 益利回り 純資産利回り 配当利回り キャッシュフロー利回り 売上高利回り EBITDA/EV ファンダメンタルズ要因 益利回り変化幅 グロース 今来期予想成長率 ROE リビジョン 予想修正率 財務クオリティ 自己資本比率 売上高利益率 インタレストカバレッジ・レシオ サイズ 時価総額 流動性 出来高回転率 モメンタム 過去1カ月リターン 非ファンダメンタルズ要因 過去1年リターン 投資家センチメント ヒストリカルβ ボラティリティ 倒産確率 ディスパージョン 1位 2位 3位 2009/4 過去1年リターン -33.49%倒産確率 +29.42%ヒストリカルβ +28.29% 2009/5 過去1年リターン -13.18%ディスパージョン +9.02%純資産利回り +8.56% 2009/6 過去1カ月リターン -7.17%ディスパージョン -4.98%益利回り変化幅 +4.58% 2009/7 ディスパージョン +9.12%倒産確率 +8.85%ボラティリティ +8.79% 2009/8 インタレストカバレッジ・レシオ -8.44%倒産確率 +8.11%自己資本比率 -8.10% 2009/9 ボラティリティ +5.10%ディスパージョン +4.42%ヒストリカルβ +4.06% 2009/10 ボラティリティ -4.50%倒産確率 -4.36%ヒストリカルβ -3.81% 2009/11 出来高回転率 +2.91%今来期予想成長率 +2.52%純資産利回り -2.39% 2009/12 出来高回転率 +3.37%自己資本比率 +3.32%時価総額 -2.36% 2010/1 過去1年リターン -4.00%ヒストリカルβ -3.43%過去1カ月リターン -3.38% 2010/2 出来高回転率 +4.66%過去1年リターン +3.69%ディスパージョン -2.95% 2010/3 ヒストリカルβ +6.14%倒産確率 +4.57%ボラティリティ +4.49% 2010/4 益利回り -5.44%出来高回転率 +4.40%売上高利益率 -3.26% 2010/5 ディスパージョン -6.15%ボラティリティ -5.88%倒産確率 -5.64% 2010/6 出来高回転率 -7.29%ヒストリカルβ -6.88%ボラティリティ -5.15% 2010/7 倒産確率 +8.55%ボラティリティ +7.71%ディスパージョン +6.42% 2010/8 倒産確率 -5.74%ヒストリカルβ -4.83%ボラティリティ -4.46% 2010/9 ヒストリカルβ +6.25%ボラティリティ +5.60%益利回り変化幅 +5.19% 2010/10 EBITDA/EV +2.26%キャッシュフロー利回り +2.07%益利回り +1.58% 2010/11 出来高回転率 +6.74%自己資本比率 +6.73%過去1年リターン +6.20% 2010/12 ディスパージョン +4.59%今来期予想成長率 +4.34%ヒストリカルβ +4.28% 2011/1 過去1年リターン -5.61%倒産確率 +5.07%純資産利回り +4.16% 2011/2 出来高回転率 +2.86%今来期予想成長率 +1.34%売上高利益率 -1.06% 2011/3 ヒストリカルβ -2.41%インタレストカバレッジ・レシオ +2.19%益利回り変化幅 +2.09% 2011/4 出来高回転率 -2.29%配当利回り +1.83%ボラティリティ -1.59% 2011/5 ディスパージョン -4.98%倒産確率 -4.49%純資産利回り -3.96% 2011/6 過去1年リターン +4.10%ディスパージョン -3.37%時価総額 +3.05% 2011/7 売上高利回り -5.67%売上高利益率 +5.23%自己資本比率 +4.21% 2011/8 倒産確率 -10.23%ヒストリカルβ -9.55%ボラティリティ -9.45% 2011/9 ディスパージョン -10.38%ボラティリティ -10.19% ヒストリカルβ -9.40% 2011/10 過去1カ月リターン -11.61%ヒストリカルβ +11.27%益利回り変化幅 +10.76% 2011/11 過去1年リターン +8.24%ディスパージョン -7.17%倒産確率 -6.86% 2011/12 ボラティリティ -5.68%倒産確率 -4.12%ディスパージョン -3.79% 2012/1 ボラティリティ +12.63%過去1年リターン -11.44% 倒産確率 +10.98% 2012/2 ボラティリティ +4.24%ヒストリカルβ +4.20%過去1年リターン -3.22% 2012/3 ディスパージョン -5.30%過去1年リターン +3.73%ボラティリティ -3.64% 2009年度以降のMSCI Kokusaiではバリュー系 ファクター、グロース系ファクターが市場を牽引す る局面はほとんど見られず、ベータやボラティリ ティ、倒産確率など投資家センチメントにより牽引 された。 つまり、市場参加者はリスクオン・リスクオフの ローテーションによって銘柄を売買していた。

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ボラティリティの抑制を第一とすべきではない(続き)

Q3:株式市場のボラティリティを見る限り、リターンの追求よりもボラティ リティの抑制を第一に考えるほうが望ましいのではないか? ボラティリティの最小化という機能について考えてみる。最小分散、最小ボラ ティリティといった運用戦略は、リターンはさておき、ボラティリティリスクの最 小化は期待できるが、株式投資でそれは必要であろうか。 金融危機後の株式運用ではボラティリティリスク抑制型の運用商品が増えて きたが、筆者は「リスクの抑制は債券ウェイトの引き上げと株式ウェイトの引 き下げで行なう方が良い」と考え、株式戦略の中でリスク抑制型戦略を採用 する合理性は低いと考えている。 資産特性に応じた投資目的を考えるのであれば、 ■ 「資産の拡大」=収益の追求⇒キャピタルゲイン ■ 「資産の保全」=安定収益の獲得⇒インカムゲイン という役割がある。特にロングオンリーの株式投資は、リスクが高くともそれ に見合うリターン(キャピタルゲイン)を追求する資産であり、「リスク単位あた りのリターン最大化」が求められる資産だと考えられている。また、長期投資 においては、短期的な株価の騰落幅を抑制することではなく、長期リターンを 獲得できるかどうかがより重要である。その意味では、“リターンはさておき” 短期的ボラティリティリスクを抑制する、というのは一時の「気休め」に過ぎな いと考えている。 【図表8】 リスク抑制型株式運用の是非 資産の拡大 =収益の追求 =収益追求型戦略 による キャピタルゲイン 資産の保全 =安定収益の獲得 =安定収益型戦略 による インカムゲイン ※上記はイメージであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 リスク資産の中で リターンを犠牲にし てリスクを抑制する 資産の保全 =安定収益の獲得 =安定収益型戦略 による インカムゲイン 収益追求型 リスク資産 インカムゲイン目的の安定 的資産:国債、社債、バンク ローン、特許、インフラストラ クチャー、水利権、土地利用 権、等

減らす 資産全体の下落可能性の低減が可能 リスク資産を減らし、安定資産を増やせ ば資産全体でのボラティリティリスクは 大幅に抑制が可能 一時的な気休め

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ボラティリティの抑制を第一とすべきではない(続き)

最小ボラティリティインデックスを採用した場合、投資効率が悪化する可能性 がある。下記の図表のCAPMの効率的フロンティア上で、下記の2つのポー トフォリオがあった場合を考える。 A.リスク単位あたりリターンが最大化されている接点ポートフォリオ B.最小ボラティリティインデックス A点のボラティリティリスクをv1からv2へ引き下げる場合、 ①安全資産の割合を増やす(リスク・リターンは点Aから点Cへ移動) ②最小ボラティリティインデックスに入れ替える (リスク・リターンは点Bへ移動) という2つの方法がある。①のケースでは、安全資産の割合がいくらであろう と投資効率は接線fA上にあるため、シャープレシオは最大化されたままで変 わらない。しかし。②の場合は投資効率が直線fB上に移動してしまうため、 シャープレシオが小さくなる。そのため、①で得られたはずのリターンBよりも 低いリターンBしか得られないことになる。 このように考えると、最小ボラティリティインデックスはボラティリティリスクを最 小化する機能は一流でも、長期投資家において一時的な騰落幅の抑制に意 味はなく、長期リターンを悪化させる可能性すらあり、採用する積極的合理性 はないと考えられる。 【図表9】 CAPM効率的フロンティアと投資効率 ※上記はイメージであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 リスク単位あたりリターンが最大の市場ポートフォリオ リターン ボラテ ィリティリスク Bボラテ ィリ ティリスクが最小化された市場ポートフォリオ CAPM効率的フロンティア リスクフリーレート 安全資産とポートフォリ オAの組み合 わせによる投資効率 安全資産とポートフォリオBの組み合わせ による投資効率 A C 安全資産のウェイトを増やし、 リスク効率性インデックスの ウェイトを引き下げる 「リスク効率性インデックスの減額と 安全資産の増額」と「最小ボラティリ ティインデックスへの入替効果」の差 f v2 v1

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FTSE EDHECリ ス ク 効 率性 イ ン デ ッ ク ス を 推奨 す る 3 つの理由

①:低ボラティリティ効果の低下 このアノマリーでは「ボラティリティの高い銘柄やポートフォリオは低リターン になる」といわれており、一見するとFTSE EDHECの「下方リスクが高い銘柄 を厚めに保有する」というコンセプトと矛盾するのではないか、と思われる。し かし、その後の研究では、「下方リスクでは事後リターンとトレードオフが成立 している」、「時間変動によるボラティリティ水準の変化を考慮するとパズルで はない可能性がある」といった反論が提起され、アノマリーとしての信頼性は 低下している。 ②:ファンダメンタルズ系市場インデックスとリスク効率性インデックスの 分散投資は有効 市場参加者がファンダメンタルズを重視した売買をする限りにおいて、FTSE RAFIやMSCI Value Weightedなどは良いリターンになる可能性がある。し かし、市場参加者がファンダメンタルズに基づかない投資行動をする局面で は、パフォーマンスは劣後する可能性がある。事実、2009年度以降の市場 環境はファンダメンタルズ運用には逆風であった。FTSE EDHECリスク効率 性インデックスは、財務データを一切用いず株価推移をウェイト付けの材料 にしているが、このような非ファンダメンタルズ要因をリターン源泉とする運用 戦略へあらかじめ分散投資しておくことが重要だと筆者は考えている。 ③:資産全体のボラティリティリスクを抑制するのであれば、安全資産 ウェイトを引き上げ、リスク資産のウェイトを引き下げることが重要 昨今の株式市場の一時的な騰落幅の拡大に対して、ボラティリティリスクを抑 制するべきという見方もあるが、筆者は、投資効率の悪化の可能性や、長期 リターンの悪化の可能性を考慮し、積極的に採用する合理性はないと考えて いる。ボラティリティリスクの抑制はリターンの改善を意味しない 。また、 CAPMの考え方によっても、シャープレシオは低下する。資産全体のボラティ リティリスクを抑制するのであれば、安全資産ウェイトを引き上げ、リスク資産 のウェイトを引き下げることが重要であり、さらにその残ったリスク資産では投 資効率の最大化を追求することこそが投資家責任に資すると考えている。

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執筆者紹介

星 貴博 (ほし たかひろ) 日興アセットマネジメント株式会社 機関投資家事業本部 クライアント・サービス部 シニア プロダクト マネージャー 日系金融機関にて外国株式運用ファンドマネージャー、外資系金融機関にてプロダクトスペシャリスト を務め、2010年に日興アセットマネジメントに入社。 マンチェスター大学大学院経済学修士 京都大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得修了 日本証券アナリスト協会検定会員 資料は日興アセットマネジメントが市場環境等についてお伝えすること等を目的として作成した資料であり、特定商品の勧誘資料ではありませ ん。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。資料中において個別銘柄に言及する場合も ありますが、これは当該銘柄の組入れを約束するものでも売買を推奨するものでもありません。当資料の情報は信頼できると判断した情報に基 づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社が保証するものではありません。当資料に掲載されている数値、図表等は、特に 断りのない限り当資料作成日現在のものです。また、当資料に示す意見は、特に断りのない限り当資料作成日現在の見解を示すものです。当 資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。当資料中のいかなる内容も、将来の市場環 境の変動等を保証するものではありません。尚当資料の情報は信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全 性について弊社が保証するものではありません。

参考文献

山田徹・上崎勲[2009]「低ボラティリティ株式運用」、『証券アナリストジャーナル』47(6)) 山田徹・永渡学[2010]「投資家の期待とボラティリティ・パズル」、『証券アナリストジャーナル』48(12)) 石部真人・角田康夫・坂巻敏史[2009]「最小分散ポートフォリオとボラティリティ効果」、『証券アナリスト ジャーナル』47(12) 石部真人・角田康夫・坂巻敏史[2011]「下方リスクと上方リスクのリスクプレミアム-ボラティリティ効果の 構造分解-」、『証券アナリストジャーナル』49(6) 廣瀬勇秀・岩永安浩[2011] 「ボラタイルな実績固有ボラティリティ」、『証券アナリストジャーナル』、49(8)

参照

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