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感染予防から考える 排泄ケア

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Academic year: 2021

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(1)

感染予防から考える

排泄ケア

2012年9月8日 愛知医科大学病院 皮膚・排泄ケア外来 江上直美

(2)

本日の話の内容

 排泄ケアで考えるべき感染管理  尿路感染症  排尿障害のケア  下痢について  失禁と皮膚環境  オムツ使用時の排泄ケア (皮膚障害を起こさない対策)  排泄用具のいろいろ

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排泄ケアで考えるべき

感染管理

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排泄経路による環境 尿路は無菌状態 下部消化管は大腸菌蔓延 排出口が近接している 女性は尿道口と膣・肛門の位置が近い 医療行為による感染 抗菌剤長期使用による日和見感染 異物感染 ケアによる感染 看護・介護によって運ばれるリスク

(5)

排泄ケアによる感染

 医療者・介護者が複数の人に対して排泄 援助を行う場合、感染伝播が起こりうる  スタンダードプリコーシ ョンを行うことが重要  在宅でも、ケア時に手袋 とエプロンの着用を行う

(6)

 排泄物が付着した紙おむつは、排泄物が 外に露出しないようにまるめてビニール 袋に入れてすぐに口をしばる  排泄物に触れたグローブは、オムツを外 して袋に入れた時点で履き替える (グローブをしたままの手でベッド柵 や周りのものに触れない)

(7)
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上部尿路 特徴

腎臓でろ過され た尿は、尿管の 蠕動運動により 膀胱に押し出さ れて蓄尿される。 一度膀胱に尿が 排出されると、 尿管には戻らな い。 慶応義塾大学病院HPより引用

(9)

下部尿路

特徴

男性は尿道が15~ 20cmある。 前立腺・精巣上体な どに感染を起こすこ とがある。 女性は尿道口・膣・ 肛門が近いため、膀 胱炎を起こしやすい。 図)gooヘルスケア家庭の医学 図解 体のしくみ HPより 引用 2012年9月1日

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UTIの発症経路

逆行性感染 尿道口からの細菌侵入 (自然に感染・導尿・性感染など) 膀胱尿管逆流(VUR) 順行性感染 尿路結石・膀胱機能障害 血行性感染 細菌が血流から腎・前立腺などへ その他

(11)

 他の疾患や感染を起こす要因がないも のを単純性尿路感染、合併症や感染を 引き起こす要因のあるものを複雑性尿 路感染という  上部尿路感染では高熱、背部痛、血尿、 悪寒、嘔吐など急激な症状を起こす  下部尿路感染では頻尿・残尿感などの 症状 前立腺炎や精巣上体炎では高熱 が出る 性感染症(STD)もある

UTIの特徴

(12)

カテーテル留置による感染

 カテーテル自体が異物 である。バイオフィル ムを作りやすい  特に経尿道的留置カテーテル は1か月留置群でほぼ 100%の細菌繁殖がある。  湿潤した尿道粘膜とカ テーテルの浸透圧、カ テーテル位置移動で細 菌侵入する可能性が高 い 図)北海道大学感染制御部HP 感染対策マニュアルより引用

(13)

UTIの症状を見分けよう!

寝たきり高齢者 UTIの見分け方 オムツ内 尿の色・臭い 血尿の有無 尿臭 カテーテル 尿量・尿性状 蓄尿袋の色 発熱の有無 水分摂取量 紫色尿バッグ症候群

(14)

高齢者・要介護者の

UTI予防策

 日頃から水分摂取を細めにうながす  とろみやゼリー、スープ、お粥など使 用する  尿の性状を観察する (濃縮尿でないかチェック)  陰部洗浄かシャワー浴(入浴)を毎日 行い、陰部の清潔を保つ  留置カテーテル+オムツ内下痢の場合、 カテーテルに便が付着しないよう留意  高熱があればすぐに病院受診

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尿の排出障害のケア

1.間歇自己導尿(

CIC)

目的 定期的に膀胱内の尿を排出することにより 腎機能と膀胱の容量を守る カテーテルレスの生活を確保し、ADLと 生活の質を拡大する。 カテーテルの種類 サフィードネラトンカテーテル® セルフカテ® スピーディカテ® 注: ®は,商品名であることを示す。

(17)

CIC用カテーテルの種類

左上)テルモ 右上下)コロプラスト 左下)DIBインターナショナル 中下)富士システムズ ホームページより引用

(18)

CICの必要物品

図)図解でわかるセルフケア技術指導のコツ: 江上直美,泌尿器ケア 10(2)p144-145.2005.より引用

(19)

尿道口への挿入

男性 女性

図)図解でわかるセルフケア技術指導のコツ:江上直美,泌尿器ケア 10(2)p144-145.2005.より引用

(20)

CIC施行時の留意点

 施行前に手洗いをしっかり行う (ただし清潔に固執しすぎない)  感染予防のためには十分な水分摂取  出血や導尿困難時は受診する  1回導尿量500mlを超えないこと

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腎瘻・膀胱瘻のケア

 刺入部はシャワー浴で清潔を保つ。  蓄尿袋を膀胱より高い位置に上げない。  カテーテルが抜けないように幅広テープ で固定する。  自然に抜けた場合(腎瘻)、早急に受診 するよう指導する。  脇もれがある場合、皮膚保護剤の使用、 クロスガーゼを刺入部に巻く。

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(24)

便失禁の種類

腹圧性便失禁 肛門括約筋が弛緩し、腹圧がかかると便失禁が 起こる 切迫性便失禁 強い便意を感じ、トイレに行きたいと思うと 間に合わない 溢流性便失禁 腹筋・蠕動の低下により直腸に便塊が貯まり、 隙間をぬって便汁が肛門から出てくる状態 機能性便失禁 トイレに行けないために失禁する

(25)

同じような便性の失禁なので、鑑別が必要 本当に下痢なのか???

(26)

下痢か否かのアセスメント

 下腹部の触診(左下腹部中心に)

 肛門内に便塊がないか

 肛門括約筋の働き

(27)

腸炎の特徴

 感染性腸炎  0-157などの食中毒  病院では抗生物質の長期使用により、 腸内細菌群の菌交代現象が起こり真菌 感染、クロストリジウム感染が多く見 られる  非感染性腸炎としてきのこや貝などの 毒によるものがある

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下痢の場合の水分補給

 感染性下痢の急性期は絶食  それ以外はなるべく経口的に水分摂取 (冷たくないもの)  腸内細菌の補整には乳酸菌・整腸剤 (感染でなければ止痢剤・感染でも 整腸剤は可)  脱水症状が強い場合は病院で補液を行う

(29)
(30)

健康な皮膚表面 は弱酸 性(pHは5.0-5.5)の 皮脂膜に覆われ、自然 のバリア機能があって 細菌・異物の侵入を防 いでいる。

皮膚の特徴

図)独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターHPより引用

(31)

下痢便や感染尿はpH 7以上のアルカリ性 で水様性である。 長時間皮膚に接触し ていると、皮膚は浸 軟しバリア機能が破 綻する。アルカリ性 排泄物の刺激により 皮膚障害をきたす。

失禁による皮膚への影響

(32)

下痢便による化学的刺激への対処

 排泄物が皮膚に付着しない工夫をする。  下痢に対しては、亜鉛化軟膏を皮膚に 厚く塗る。  すでに皮膚がびらんしてしまった場合 リント布に軟膏を塗布したものを肛門 周囲皮膚に密着させる。  排泄物が広い範囲に広がらないように パッドで工夫する。  粉状皮膚保護剤や粘着式失禁用具の使 用も効果的である。

(33)

亜鉛華軟膏

アズノール軟膏

油性の硬い基剤で ワセリンにカミ 皮膚に乗せると ツレが混合 強力な撥水作用 抗炎症作用あり がある。亜鉛の 効果はあまり期待 できない

(34)

粉状皮膚保護剤

アルカリ性の腸液や便・尿を吸収し、 皮膚を弱酸性に保つ びらんした皮膚に膜を張る 細菌が繁殖しにくいpH環境にする 左より アルケア コンバテック ホリスター ホームページより引用

(35)

粉状皮膚保護剤散布後、リント布にZs軟

(36)

頻回に下痢がある

場合のスキンケア

1日1回、亜鉛華軟膏をオリーブオイルで 落とす。次に弱酸性洗浄剤で洗浄する。 乾いたタオルで押さえ拭きする。 新たに軟膏をつける。 2回目以降は、微温湯で軽く流すだけに する。

(37)

洗浄剤の種類と特徴

皮膚のpHに近い弱酸性洗浄剤の利用が有効。

(38)

肛門部パウチング法

 臥床安静中の人

 水様~泥状便が頻回に流出する

(39)
(40)

オムツ使用時のケア

(皮膚障害の予防)

(41)

オムツ内は体温と同じ

36-37℃で

過湿潤状態である。

尿は排出後、時間の経過とともに

細菌の繁殖が起こる。

オムツ内皮膚のケアは毎日の

清潔

保持

湿度の調整

が必要である。

紙オムツの特徴を知って使用する。

(42)

紙オムツの種類

パンツ式紙オムツ 立位可能・歩行可能の人に使用する。 テープ式紙オムツ 寝たきりか座位をとるが立位の保持が できない人に使用する。 テープパンツ両用タイプ パンツとして履きテープ で剥がせる 図)花王ホームページより引用

(43)

紙オムツの特徴

 防水と吸収性、通気性が考慮されたカ バーが開発されている  脇もれ予防として立体ギャザーが 側面、背部側についている  足回りギャザー自体が吸水 するものもある (図は花王リリーフ股もれ安心テープ)

(44)

紙オムツのサイズ選択

・ウェストサイズでサイズ選択をする。 ・るいそうによりソケイに隙間ができ側臥位 になると、わき漏れしやすくなる。 ・急激な浮腫が起きた場合、ゆとりのある サイズに変更しないとギャザー部分が皮膚 に食い込んで、潰瘍を作る場合がある。

(45)

尿とりパッド

・少量の失禁の場合、下着と併用できる。 ・寝たきりで多量の尿失禁がある場合には テープ式紙おむつと併用することが多い。 何枚も重ねると厚みによる圧迫で褥瘡の 発生や通気不良による陰部の真菌発生の リスクが高まるので吸水量と大きさで選択 する ・ネットパンツとの併用で脇漏れや皮膚の 過度な湿潤が低下する ・性別・失禁量・ADLに合わせて選択する

(46)

尿とりパッド

 厚さ、サイズ、吸水量、ギャザー形状、 固定テープの位置など様々である。  軟便用パッドもある  ビッグパッドは吸水880ml 左・右)TENA 中)エリエール ホームページより引用

(47)

特殊形状(ひょうたん型)や尿とりパッドを、 固定用のネットパンツと併用すると過度の湿

潤が防げる。

左)TENAコンフォート 右)TENAフィックス TENAホームページより引用

(48)

男性用のポケットタイプは横もれ予防が 行いやすい

(陰茎長さが3cm以上で使用可)

ライフリー お肌快適尿とりパッド夜用男性用

(49)

 紙オムツ使用時に鼠径部に皮膚障害が起 こる場合は、ギャザーの内側への折れ込 みがないか確認する。  1日の一定時間オムツをオープンにして ドライタイムを作る。  粉状皮膚保護剤を使用する

(50)

 オムツ着用中 男性で陰嚢と大腿の皮膚 が接触すると真菌発生しやすい。  写真は下痢便が陰嚢裏面まで付着し、鼠 径部全体が皮膚炎を起こしてる。  止痢剤の使用と局所は粉状皮膚保護剤、 抗真菌剤使用  鼠径部に筒状の クロスガーゼを はさんで通気を持たせた。

(51)

オムツ使用時の皮膚障害例

便失禁(下痢)で長時間オムツ交換をし ないでいると、皮膚炎にいたる。

(52)

肛門から少し離れた位置に皮膚障害を起 こすのは、肛門の位置が引っ込んでいる 場合と、尿パッドに便が長時間付着した 結果である。粉状皮膚保護剤・撥水性軟

(53)

 パッド・紙オムツともに、ギャザーの

部位は吸水性がないので注意。

浸軟にずれが加わると褥瘡が発生する。

保湿剤使用、ギャザーの接触部位の皮膚

(54)

 尿パッドに一致した皮膚障害  介護不足で定期交換していない  1日5~6回の交換で治癒する。

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陰茎固定器具

陰茎をはさんで尿失禁を止める。

尿意が起きたら、あるいは定時的に開放 して排尿する。

(57)

陰茎固定具使用上の注意点

同じ部位の圧迫で陰茎皮膚に潰瘍形成 する場合がある。24時間使用でなく、 夜間は使用しないなどの工夫を・・

(58)

コンドーム型集尿器

男性で失禁量が多い場合、コンドーム式 集尿器+蓄尿袋の使用ができる。 1日1回ははずしてスキンケアを行う。 インケア インビューカテ コンビーンセキュアワンピース 左)ホリスター 右)コロプラスト ホームページより引用

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コンドーム型集尿器の使用は、ADL を問わない。

陰茎の長さが3cm以上あれば安定して 装着できる(サイズを合わせる)。

(60)

ナイトバルーン

(間歇式バルーンカテーテル)

CICの手技が確立した人に使用できる

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男性用装着型収尿器

陰茎固定型 パンツ固定型

集尿シースを腰に ブリーフにラテックスの ベルト固定する 集尿器具が接続できる

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便失禁用管理装具

肛門括約筋機能低下・管理困難な下痢 の場合、肛門に挿入し定期開放する (ただし感染性下痢は使用を避ける) アナルプラグ:コロプラストHPより引用

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まとめ

 尿路感染や下痢の病態を理解しよう  皮膚への排泄物付着予防策・ スキンケア方法を理解しよう  様々な皮膚障害をアセスメントし 対策を考えられるようになろう  失禁用品・オムツの使い分けができる ようにしよう  感染予防対策を心がけてケアしよう

参照

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