9:00 9:30 9:40 コメンテーター 大阪医療福祉専門学校 千葉 一雄 コメンテーター 星ヶ丘医療センター 稲村 一浩 座 長 中村病院 山本 洋晃 座 長 四条畷学園大学 雨夜 勇作 11:30 コメンテーター 阪奈中央リハビリテーション専門学校 田中 貴広 コメンテーター 大阪電気通信大学 河野 奈美 コメンテーター 星ヶ丘医療センター 権藤 要 座 長 阪奈中央リハビリテーション専門学校 上原 眞一 座 長 牧リハビリテーション病院 小川 愛菜 座 長 わかくさ竜間リハビリテーション病院 大東 康宏 14:10 コメンテーター 四條畷学園大学 松木 明好 コメンテーター 星ヶ丘医療センター 松村 彩子 座 長 上山病院 古川 博隆 座 長 守口生野記念病院 山田 賢一 15:30 *口述発表10分、質疑応答10分 ㉕ 左被殻出血を呈した症例の歩行アプローチについて ~既往である両変形性膝関節症を考慮して~ 星ヶ丘医療センター 橋爪 稚乃 わかくさ竜間リハビリテーション病院 藤井 美郷 13:10~14:10 60分休憩 ㉔ 視床出血発症患者の歩行能力向上へのアプローチ ~股関節伸展制限、骨盤後傾を有する患者の立脚期に着目して~ 摂南総合病院 赤口 諒 佐藤病院 福原 昌幸 ⑪ 疼痛回避姿勢の改善により坐骨神経痛が軽減した一症例 〜荷重感覚に着目して〜 ⑫ 両変形性膝関節症を呈し左人工膝関節全置換術を施行した症例 〜歩行時痛の軽減を目指して〜 ⑭ 左大腿骨転子部骨折術後において立ち上がり動作に難渋した一症例 ~座位姿勢から臀部離床相に着目して~ ㉗ 脳梗塞後歩行時に左側へ不安定性を呈した一症例 ~方向転換時に着目して~ 守口生野記念病院 中原 健吾 野崎徳洲会病院 西前 拓馬 ⑬ 全荷重後も跛行が残存した第5中足骨骨折後の一症例 〜前足部の機能の着目して〜 ㉖ アテローム血栓性脳梗塞により左片麻痺を呈した一症例 〜横・後ろ歩きに着目して~ 摂南総合病院 山本 哲司 畷生会脳神経外科病院 世儀 卓也 閉会式 準備委員長:雨夜 勇作 四條畷学園大学 第3セッション 運動器系 第3セッション 神経系 牧リハビリテーション病院 柳 育実 摂南総合病院 佐藤 剛 佐藤病院 岡田 なつみ 野崎徳洲会病院 春日 勇磨 わかくさ竜間リハビリテーション病院 森 里絵菜 中村病院 津村 冬美 ㉓ 左片麻痺患者に対する認知運動療法の試み 〜骨盤と下肢の分離運動の獲得に着目して〜 ⑩ 大腿骨骨頭壊死に対する保存的理学療法 ~痛みのない歩行を目指して〜 ㉜ 左TKAを施行された一症例 ~左立脚初期に着目して~ 介護老人保健施設美杉 岡村 侑紀 摂南総合病院 藤井 笙子 上山病院 中井 良弥 ⑨ 外来リハビリで治療を継続した右踵骨骨折術後の一症例 〜荷重時の後足部の疼痛に着目して〜 ㉒ 右橋梗塞により左片麻痺を呈した一症例 ~体幹、左下肢の運動麻痺に着目して~ ㉛ 転倒により左膝蓋骨骨折、右橈骨遠位端骨折・尺骨骨折を呈した術後の一 症例 ~独歩でのゴールを目指して〜 大東中央病院 渡邊 まどか わかくさ竜間リハビリテーション病院 岡 修人 守口生野記念病院 向井 麻美 ⑧ 腰椎圧迫骨折受傷後トイレ動作を獲得した一症例 〜他職種との連携や生活リハビリに着目して〜 ㉑ 左片麻痺に右下肢失調様症状を併発した一症例 〜左下肢の身体イメージと失調様症状の関連に着目して〜 ㉚ 腰部脊柱管内腫瘍手術後に歩行障害を呈した一症例 ~疼痛と筋力が歩容に及ぼす影響~ 星ヶ丘医療センター 村上 達典 守口生野記念病院 小川 伊作 ⑦ 重度尖足患者に対し装具療法にてADL改善に至った一症例 ~タウメタル式装具を用いて~ ⑳ 脳卒中後、肺炎により低栄養状態を呈した一症例 ~全身状態に配慮した理学療法を経験して〜 佐藤医院 遠藤 勇人 わかくさ竜間リハビリテーション病院 小嶋 明希子 11:20~11:30 10分休憩 ⑥ 杖歩行実用性向上を目指した右大腿骨頸部骨折術後の一症例 〜既往の右片麻痺を考慮した立位アプローチ〜 ⑲ 半側空間無視と筋緊張の亢進を呈した左片麻痺の一症例 ~高次脳機能障害を考慮したアプローチ~ ㉘ 右足関節脱臼骨折術後の一症例 〜右立脚期に着目して〜 ㉙ 左TKA術後の両変形性膝関節症患者の一症例 〜左立脚後期が改善した結果、歩行速度の向上が見られた〜 第6回北河内ブロック新人症例発表大会プログラム 2015年1月25日 四條畷学園短大清風学舎会場 第1会場 第2会場 第3会場 6F 80周年記念ホール 4F 402教室 2F 202教室 ⑰ 被殻出血によりpusher現象を呈した右片麻痺患者の一症例 ~立位に着目して~ ① 疼痛の改善が得られたにも関わらず荷重困難であった一症例 ~運動知覚と関節制御の関係性に着目して〜 摂南総合病院 山口 伊三郎10:00 ブロック担当理事:千葉 一雄 大阪医療福祉専門学校 大会長:権藤 要 星ヶ丘医療センター 第1セッション 運動器系 第1セッション 神経系 寝屋川生野病院 岸 芽依 受付開始 開会式 第2セッション 運動器系 第2セッション 神経系 第2セッション 運動器系 畷生会脳神経外科病院 岡田 真梨子 ③ 歩行の獲得に難渋した大腿骨転子下骨折術後症例に対するアプローチ ~足部の機能に着目して~ 摂南総合病院 高代 千明 中村病院 北本 聡史 ② 左大腿骨転子部骨折術後の一症例 〜左立脚期における左股関節周囲筋の筋活動を中心に〜 ⑮ 水頭症シャント術後に理学療法が効果を示した一症例 ~体幹の立ち直りに着目して~ 守口生野記念病院 永井 花実 ⑤ 右大腿骨転子部骨折術後に跛行が改善した一症例 ~アンクルロッカー機能に着目して〜 ⑱ 右視床出血による左片麻痺患者の一症例 〜足関節背屈制限に着目して〜 牧リハビリテーション病院 北村 公実 ⑯ 正常圧水頭症にて脳室腹腔短絡術を施行した一症例 ~手術の効果が見られにくく治療が難渋した一症例〜 ④ 右大腿骨頸部骨折術後における脳梗塞後遺症患者の一症例 ~起き上がり動作に着目して〜 牧リハビリテーション病院 田中 のぞみ
① 疼痛の改善が得られたにも関わらず荷重困難であった一症例 ~運動知覚と関節制御の関係性に着目して~ ○山口伊三郎1),菅沼惇一1),大住倫弘2),奥埜博之1) 1) 摂南総合病院 2) 畿央大学 キーワード:疼痛,荷重,運動覚 【目的】 踵骨骨折は一般的に予後不良であり,疼痛が残存しやすいといわれている.今回,踵骨 骨折受傷後,疼痛の改善が得られたにも関わらず荷重困難であったため,認知神経リハ ビリテーションの観点から介入を行い,良好な結果を得たので報告する. 【症例紹介】 症例は,自己転倒により左腓骨外果・距骨滑車・踵骨隆起亀裂骨折を受傷した 80 歳代 女性である.受傷前 ADL は自立.屋内伝い歩きが可能なレベルであった.合併症として 両側変形性膝関節症・関節リウマチがあった. 【評価と問題点】 受傷後 23 日目より介入開始.初期評価では左足関節,踵部に疼痛を認めなかった(受傷 直後は NRS8/10 の疼痛があった).MMT(Rt/Lt)は膝伸展(3/2)であり左 extension lag(10°)を認めた.左足関節運動覚は 0/10 であり,「足首がない」との記述があった. 起立は右優位荷重が著明(Rt20kg,Lt10kg)であり,伸展相で左反張膝が生じていた.Berg Balance Scale(以下 BBS)は 26 点であった. 問題点として,①左足関節運動覚の低下,②左大腿四頭筋運動単位の減少を挙げ治療介 入を開始した. 【治療】 両側足関節運動覚左右比較,足関節背屈角度変化に伴う足底圧情報変化の識別訓練,足 圧中心と膝関節位置の関連付けの訓練を各 20 分/日,3 週間実施した. 【結果】 3 週間の治療介入の結果,左足関節運動覚の向上(10/10) を認め,MMT(Rt/Lt)は膝伸展 (3/3)となり,左 extension lag は消失した.起立時の非対称性は改善(Rt15kg,Lt15kg) し,反張膝の制御が可能となり,パフォーマンスの改善を認めた.また,記述において も「足首が動くのが解る」と変化し,BBS は 36 点に改善した. 【考察】 本症例の治療結果より,足関節運動覚向上によって背屈運動が知覚可能となり,随意的 に足圧中心を前足部へ移動させ,足圧中心と膝関節位置を関連付けることで反張膝の制 御が可能となったと推測される.これらによりパフォーマンスが改善し,下肢に対する 記述も変化したと考えられる.
② 左大腿骨転子部骨折術後の一症例 ~左立脚期における左股関節周囲筋の筋活動を中心に~ ○永井花実,大峠結夏,山田賢一,喜多孝昭 守口生野記念病院 キーワード:大腿骨転子部骨折,γネイル,歩行動作 【目的】 γネイル術施行後,炎症症状が改善したにも関わらず患側への荷重困難となった症例を 担当した.今回,左股関節周囲筋に着目し,問題点の中で手術侵襲による一次的なもの と代償運動による二次的なものそれぞれに対してアプローチすることで,良好な結果を 得たので報告する. 【症例紹介】 症例は 80 歳代女性,診断名は左大腿骨転子部骨折,経過はγネイル術後翌日からリハ ビリを開始し,術後 2 日目より立位開始,術後 22 日目より独歩開始となった. 【評価と問題点】 術後 22 日目で炎症症状は消失したが逃避性跛行がみられた.左立初脚から中期にかけ て,左股関節屈曲位のままで骨盤左側方移動,左股関節内転は生じず,左下肢荷重量の 減少,右上肢支持が強く見られた.触診では左中殿筋前部,左大殿筋上部,左多裂筋, 腸肋筋筋緊張亢進を認めた.筋力は左股関節外転筋 3,伸展筋筋力 2 であった.視診, 周径で腫脹は認められない. 初期評価時の問題点を考察する.左下肢荷重量の減少となる原因は,一次的な機能障害 として手術侵襲による左中殿筋の粘弾性低下,伸張性低下を挙げた.これを要因とした 代償により体幹左側屈位,骨盤左挙上位,左股関節屈曲位が続くことで左腰背筋筋緊張 亢進,左股関節周囲筋筋緊張亢進,筋力低下を助長したと考える. 【治療介入】 術創部皮膚と左中殿筋のダイレクトストレッチを行った後,臥位にて左股関節外転筋, 伸展筋の求心的な筋力強化を行った.次に代償動作を抑制したアライメントの中で座位 骨盤側方移動,立位,ステップ動作を行い左股関節周囲筋の活動を促した. 【結果】 左立脚初期から中期において左中殿筋の遠心的な収縮が獲得され逃避性跛行が改善し た.検査では左多裂筋筋緊張亢進を除いて各項目が正常域となった. 【考察】 本症例は一次的な問題点のみでなく代償的なアライメントで生じた二次的な問題点に もアプローチしていくことで跛行が改善したと考える.
③ 歩行の獲得に難渋した大腿骨転子下骨折術後症例に対するアプローチ 〜足部の機能に着目して〜 ○高代千明1) ,足立淳二1) ,藤橋亮介1) ,壹岐伸弥1) ,大住倫弘2) ,奥埜博之1) 1)摂南総合病院 2)畿央大学 キーワード:足部の機能,大腿骨転子下骨折,歩行 【目的】 今回,大腿骨転子下骨折により立脚終期 (以下;TSt)の股関節伸展が不十分であった症 例に対して,足部の機能に着目しアプローチを行ったことで良好な経過を得たので報告 する. 【症例紹介】 80 歳代の女性.歩行中に転倒し,大腿骨転子下骨折と診断され手術を施行.術後約 1 ヶ月で当院へリハビリ目的にて入院となる.転院当初の歩行は平行棒内見守りレベルで あった. 【評価と問題点】 歩行では右 TSt に股関節屈曲・外旋,過度な足関節底屈を認め,下腿三頭筋に過剰な求 心性収縮がみられ,「左足が右足よりも前に出ない」と経験していた.歩行解析では右 TSt で股関節が過度に屈曲しており,膝関節屈曲と足関節底屈の増加が認められた.MMT は右股関節周囲筋 3.筋緊張は右股関節内転筋,右梨状筋,右下腿三頭筋で亢進を認め た. 問題点として, 右 TSt の股関節伸展と内旋の減少により,足関節の底屈内反する代償 が起こったことで母趾側への荷重が不十分となり, 左下肢の遊脚困難感へ繋がってい るのではないかと考えた. 【治療介入】 硬度の異なるスポンジを使用し,端座位にて右足底の母趾側と小趾側で圧覚識別課題を 行った.次に立位にて右股関節の伸展に伴う右母趾側への圧移動を認識する課題を行っ た. 【結果】 歩行では右 TSt において過度な足関節底屈は減少し,それに伴い右母趾側への荷重の認 識が可能となり,「左足が出しやすくなった」と経験に変化を認めた.歩行解析でも右 TSt の股・膝関節屈曲,足関節底屈の減少が認められ,介入後約 1 ヶ月で T 字杖歩行が 見守りレベルで可能となった. 【考察】 TSt では,母趾側への足底圧移動により荷重が反対側の下肢に受け継がれるとされてい る(高橋 2008).今回,母趾側への圧覚の認識と,股関節伸展に伴う母趾側への圧移動 を関係付けたことが,TSt の股関節伸展の獲得に繋がったのではないかと考える.
④ 右大腿骨頸部骨折術後における脳梗塞後遺症患者の一症例 ~起き上がり動作に着目して~ ○岸芽依,佐藤栄子,赤阪吉昭 寝屋川生野病院 キーワード:起き上がり,左片麻痺,離床 【目的】 今回,している ADL とできる ADL に差があり,その差を埋めるためには,起き上がり動 作が必要であるが,右大腿骨頸部骨折術後のため術創部痛があるため,麻痺側からの起 き上がり動作の獲得が必要であった.そして,麻痺側からの起き上がり動作が可能とな り,ADL の向上が見られたので報告する. 【症例紹介】 80 歳代の女性であり,主病名は右大腿骨頸部骨折であった.その後,右人工骨頭挿入 術を施行.既往歴は 5~6 年前に脳梗塞を発症し左片麻痺.入院時 ADL はほぼ全介助レベ ル.自宅のベッドには柵はついておらず,起き上がりは左右どちらからでも可能. 【評価と問題点】
術後 12 日では,BRS は,上肢 stageⅤ 手指 stageⅤ 下肢 stageⅣ,ROM は胸腰部回 旋(右 35°左 25°),股関節屈曲(右 45°左 80°),股関節外転(右 15°左 20°),MMT は大腿四頭筋 2 レベル,自己での SLR は不可,左上下肢は感覚鈍麻,左手のしびれを強 く訴えられる,亜左上半身の筋緊張亢進. 【治療介入】 術後早期より介入しベッド上で ROM 訓練や自動介助での筋力強化を行った.術後 21 日 から背臥位から左側臥位,左側臥位から端座位と分けて起き上がり方法を介助して実施. また端座位での左 on elbow から on hand の練習を実施. 【結果】 術後 40 日では ROM は胸腰部回旋(右 40°左 35°),股関節屈曲(右 80°左 80°),股 関節外転(右 20°左 20°),MMT は大腿四頭筋 2+~3 レベル,自己での SLR 可能, 疼痛は術創部痛が軽減した.初回評価時から BRS,感覚機能,しびれ,筋緊張には変化 は見られず,起き上がり動作スピードが速くなり,介助なしでも可能になった. 【考察】 起き上がり動作を獲得するには,体幹機能と非麻痺側の機能が重要であると報告されて おり,本症例は,非麻痺側の機能が大腿骨頸部骨折により機能低下を及ぼしたため起き 上がり動作を効率良く行うことができなかった.治療介入したことで,している ADL が 向上し日中の離床にも繋げることができたと考えられる.
⑤ 右大腿骨転子部骨折術後に跛行が改善した症例 -アンクルロッカー機能に着目して- ○遠藤勇人,佐藤大輔,上村俊秀,橋本一平 佐藤医院 キーワード:アンクルロッカー機能,股関節伸展の分離,骨盤前傾の代償 【目的】 今回,右大腿骨転子部骨折術後の症例を担当した.荷重応答期から立脚中期にかけての 骨盤前傾の代償に対し,アンクルロッカー機能に着目した治療を行い跛行が改善したた め報告する. 【症例紹介】 78 歳女性.平成 26 年 4 月 9 日に転倒され右大腿骨転子部骨折を受傷.翌日,観血的骨 接合術を施行(r-nail)される.同年 6 月 18 日に退院,6 月 24 日より通所リハビリが開 始される.屋外を独歩で移動したいという NEEDS があり,目標は転倒リスク軽減による 活動範囲の向上とした. 【評価と問題点】 荷重応答期から立脚中期にかけて股関節伸展分離の消失,その代償として骨盤前傾が生 じる.下腿の前傾が減少,膝関節屈曲・足関節背屈は減少していた.ROM-T は股関節伸 展右 0°左 5°膝関節伸展右-5 左-5 足関節背屈右 10°左 15°.MMT は大殿筋右 4-左 4 ハムストリングス右 5 左 5 前脛骨筋右 4 左 4 ヒラメ筋右 3 左 4-であった. 【治療介入】 荷重応答期でハムストリングス・前脛骨筋の促通を行う.下腿の前傾が出現後,ヒラメ 筋の促通をしながらステップ動作を行い大殿筋の収縮を促した. 【結果】 荷重応答期での下腿の前傾は増加,アンクルロッカー機能が向上した.立脚中期にかけ て股関節伸展の分離が出現,骨盤前傾の代償は軽減した.ROM-T は股関節伸展右 5°左 5°.MMT は大殿筋右 4-(初期より向上)となった. 【考察】 本症例では下腿の前傾減少が股関節伸展分離低下の要因になっていると考えた.荷重応 答期での下腿の前傾増加に伴い,立脚中期ではヒラメ筋の遠心性収縮が向上する.その 結果,大殿筋との協調性が向上.大殿筋出力向上により股関節伸展分離が出現する.ア ンクルロッカー機能に対して治療介入を行った結果,股関節伸展分離の向上・骨盤前傾 の代償が軽減した.また転倒リスクが軽減したため「転倒せずに歩ける」という自信に つながり屋外での活動性向上,ADL の向上に至った.
⑥ 杖歩行実用性向上を目指した右大腿骨頸部骨折の一症例 ~既往の右片麻痺を考慮した立位アプローチ~ ○田中のぞみ,古川窓香,大薗優貴,芳本康司 牧リハビリテーション病院 キーワード:大腿骨頸部骨折,片麻痺,視覚的フィードバック 【目的】 右大腿骨頚部骨折受傷後の患者に既往歴を含めた障害像を立位姿勢から評価し,治療プ ログラムを立案した結果介助量軽減に至ったので報告する. 【症例紹介】 年齢:70 歳代 性別:男性 疾患名:右大腿骨頸部骨折(平成 26 年 5 月 11 日受傷) 既 往歴:脳梗塞(65 歳),脳幹出血(69 歳) 【評価と問題点】(H26.6.24~29)
Brunnstrom Recovery Stage-test(以下 BRSt):右下肢Ⅳ.感覚:(表在)中等度鈍麻,(深 部)重度鈍麻.筋緊張:右殿筋・腹筋群低下.Manual Muscle Testing(以下 MMT):右股 関節伸展・内外転 3,体幹屈曲 2,体幹回旋右 2 【治療介入】 鏡を使用し立位姿勢の自己修正,右片脚立位,kneeling を実施 【結果(H26.9.9~13)】 BRSt・感覚:変化なし.筋緊張:右殿筋・腹筋群向上.MMT:右股関節伸展・内外転 4, 体幹屈曲 4,体幹回旋右 3 【考察】 杖歩行において後方へのふらつきが生じ中等度介助を要していた.潮見らは「歩行には 立位姿勢の改善が重要である」「歩行開始姿勢がその後の姿勢制御を決定する」として いる.このことから立位姿勢に着目したところ体幹右回旋・右側屈,骨盤右回旋,右股 関節屈曲・外転・外旋が生じていた.この原因は右腹筋群,右下肢筋の筋出力低下であ ると考えた.また深部感覚障害により異常姿勢の修正が困難であると考えた.そこで治 療において鏡を使用し視覚的フィードバックを用いて立位姿勢の修正を行った.結果立 位において異常姿勢の改善が見られ,歩行においては後方へのふらつきが軽減し中等度 介助から軽介助となった.Hodges PW は「腹筋群の収縮は体幹-骨盤,下肢の安定性に関 連がある」としている.本症例も立位姿勢を修正することにより腹筋群の筋出力が増加 し右下肢の筋出力が増加したと考えられる.さらに潮見らは「歩行開始姿勢は他動的に 修正しても変化させることが困難で能動的な活動を通して変化させる必要がある」とし ている.本症例も能動的に異常姿勢を修正することにより立位・歩行中に異常姿勢の自 己修正が可能となったと考えられる.
⑦ 「重症尖足患者に対し装具療法にて ADL 改善に至った症例」 ~タウメル式装具を用いて~ ○渡邉まどか,望月弘己 大東中央病院 キーワード:尖足,タウメル式装具,装具療法 【目的】 事故により右下肢に外傷を負い治療過程において,重度の尖足が生じた症例に対し理学 療法・装具療法を用いた結果,足関節 ROM 改善,ADL・QOL 改善を認めたため報告する. 【症例紹介】 40 代,女性.平成 25 年 6 月 5 日事故にて受傷.右下腿デブロービング損傷となり,他 院にて 8 月両大腿部より植皮術を施行.11 月当院に理学療法目的にて外来通院となる. 【評価と問題点】 植皮部位は腫脹残存,周囲は柔軟性・伸張性低下していた.疼痛を強く認め,右足関節 周囲筋力 MMT3,右足関節背屈-40°であった.杖歩行可能であるが重度尖足のため左右 に脚長差が生じ,歩行時の右下肢支持性は乏しく安定性・持久性低下を認め,家事動作 や屋外への移動動作など ADL 動作が困難な状態であった. 【治療介入】 創部周囲の皮膚・筋の柔軟性低下による足関節可動域制限に対しては腓腹筋・アキレス 腱周囲に超音波療法,ストレッチ,リラクゼーションを行った.徒手療法ではストレッ チ効果を持続させる事が困難であったため,治療開始半年後より全足底での荷重訓練に よる可動域改善を目的としタウメル式装具を適応した. 【結果】 下腿後面の皮膚・筋の柔軟性向上に伴い,足関節背屈-30°まで改善を認めた.装具療 法では可動域拡大は認めなかったものの,両靴に補高を行い脚長差を改善した結果,右 下肢筋力向上・歩行能力向上を認め,屋内外での行動範囲拡大に繋がり,ADL の改善を 著明に認めた. 【考察】 植皮部位の軟部組織の柔軟性低下は著しく,創部の瘢痕化・癒着は重度であったため背 屈角度の更なる改善は困難であったと考える.しかし,装具着用により全足底荷重可 能・正常なアライメントでの歩行の獲得に至った事で,歩行時筋発揮向上に関与したと 考える.また症例自身が装具の機能に関心を持ちリハビリ時以外も着用した事によって, 歩行の実用性向上,立位安定性向上を認め,家事動作・屋外歩行の獲得等 ADL・QOL の 向上に大きく関与したと考える.
⑧ 腰椎圧迫骨折受傷後トイレ動作を獲得した症例 ~他職種との連携や生活リハビリに着目して~ ○岡村侑紀,下村浩司,大谷まゆか 介護老人保健施設 美杉 キーワード:できる ADL している ADL,生活リハビリ,トイレ動作 【はじめに】 本症例は腰椎圧迫骨折受傷後,身体機能は向上するもトイレ動作のできる ADL としてい る ADL に格差があった.他職種との連携を図り,生活リハビリを提供することで格差の 軽減を図れた症例について報告する.その中でもトイレまでの移動手段と下衣の上げ下 げに着目した. 【症例紹介】 80 代女性 疾患名:第三腰椎圧迫骨折 腰部脊柱管狭窄症 現病歴:H26 年に上記疾患を 受傷し,ジュエット型装具着用.独居であり在宅生活が困難な為入院し,リハビリ継続 目的で入所.経過:10 月 24 日コルセット脱. 【評価と問題点】(H26 年 9/20~10/24) ROM:膝関節伸展左右-10°,MMT:中殿筋右 2⁺→3 左 3,FIM:70/126 点→ 85/126 点, 疼痛:右大腿鼠径部,歩行:右立脚期の短縮の原因は腰部脊柱管狭窄症などの疼痛によ る筋出力低下や活動性低下による殿筋群の筋力低下が考えられた. 【治療介入】 座位・立位において右へ荷重を促す. 右下肢支持性が向上し,動作時の立位安定性向 上した事により,リハビリ訓練時下衣上げ下げ見守りで可能となった.その為できる ADL は向上したがしている ADL は著変なく格差がみられた.格差の要因は自発性の低下 があげられ,機能的問題よりも認知機能面へのアプローチを実施した.介護士に介助方 法を指導した他,動作時の声掛け,自宅の環境に合わせた移動手段の変更などの生活リ ハビリを実施. 【結果】 療養棟でのトイレ動作が見守りにて可能となり,している ADL が向上しできる ADL との 格差が軽減した. 【考察】 生活リハビリを他職種と連携し提供することで意識づけが可能となり,自発性が向上. また機能面の治療を継続する事で,より動作能力の安定性が向上し,できる ADL として いる ADL の格差の軽減が図れたのではないかと考えた.
⑨ 外来リハビリで治療を継続した右踵骨骨折の一症例 ~荷重時の後足部の疼痛に着目して~ ○春日勇磨,西川篤史,高嶋厚史,岡本律子 野崎徳洲会病院 キーワード:踵骨骨折,疼痛,外来 【はじめに】 右踵骨骨折を受傷し,後足部に荷重時痛が生じた為に,荷重量増加に難渋した症例をこ こに報告する. 【症例紹介】 右踵骨骨折・左橈骨頭骨折を受傷した 40 歳代の男性であり,右踵骨骨折は 2 本のピン 固定を行い,左橈骨頭骨折は保存療法となった. 【経過】 受傷後 4 日目に手術を施行され,5 日目より関節可動域(以下:ROM)訓練を開始し, 前足部を把持して行うように指示があった.受傷後 39 日目に抜釘を行い,1/3 荷重が 許可され,40 日目に退院となった.受傷後 44 日目に外来リハビリを開始し,51 日目に 1/2 荷重が許可され,68 日目に 2/3 荷重が許可された. 【評価と問題点】 外来リハビリ開始日に評価を行った.足関節 ROM は背屈 5°/10°,底屈 45°/55°,外 返し 5°/10°,leg heel alignment 5°/10°であった.MMT は右前脛骨筋 3,下腿三 頭筋 2+であった.疼痛はアキレス腱,右外果下方であり,背屈 5°,外返し 5°で再現 され,1/3 荷重は困難であった.歩行時は heel off で足部外転,股関節外旋が生じて いた.問題点は足関節背屈制限,距骨下関節回内制限であると考えた. 【治療介入】 足関節背屈と距骨下関節回内の可動域改善のために距腿関節,距骨下関節のモビライゼ ーションを行った.アキレス腱の柔軟性低下に対しては荷重位でのストレッチを行った. 【結果】 足関節背屈時のアキレス腱の伸張痛,外果下方の疼痛は軽減し, 1/2 荷重が可能とな った.しかし右外果下方の疼痛は残存した為,2/3 荷重の獲得には難渋し,距骨下関節 回外誘導の為に内側縦アーチパットを挿入すると,疼痛が軽減し 2/3 荷重が可能となっ た. 【考察】 足関節背屈・外返し,荷重時に外果下方に疼痛がみられたため,外側距踵関節の不適合 により疼痛が生じていると考えられた.距骨下関節のモビライゼーションを実施し,ア ーチパッドを挿入したことで外側距踵関節の適合性が改善し疼痛が軽減したと考えら れた.
⑩ 大腿骨頭壊死に対する保存的理学療法 ~痛みのない歩行を目指して~ ○柳 育実,高橋愛美,金沢 梓,芳本康司 牧リハビリテーション病院 キーワード:大腿骨頭壊死,骨頭負荷,疼痛 【目的】 今回,左大腿骨頭壊死のある症例に対し,保存的理学療法として疼痛軽減を図るため 骨盤アライメントと歩容に着目し治療を行うことがどのように影響するかを検討した. 【症例紹介】 症例は 74 歳の女性.診断名は右大腿骨頚部骨折で人工骨頭置換術を施行している.既 往に左大腿骨頚部骨折,左大腿骨頭壊死がある. 【評価と問題点】 受傷後 8 週では徒手筋力検査(以下 MMT)は両股関節外転 2 と今回受傷した右下肢に加 え左下肢の筋力低下も著明であった.また荷重時の Numeric Rating Scale(以下 NRS) は右 7/10 左 7/10,T 字杖での 10m 歩行は 38.9 秒,歩数 46 歩であり,ふらつきがみら れたため T 字杖歩行見守りであった.受傷後 17 週には両股関節外転 MMT4,10m 歩行 29.7 秒,歩数 41 歩と改善し T 字杖歩行自立となった.しかし NRS は右 2/10 左 10/10 と左股関節痛は増強し,リハ室 2 周で左股関節痛が原因で歩行困難となり,歩行の持 久性低下を認めた.入院生活において左股関節痛の影響から活動量を抑制する姿がみ られた.退院後,左股関節痛の影響により活動性は低下し,廃用に陥ることや ADL・ QOL の低下を懸念した.そのため左股関節痛を軽減する必要があった. 【治療介入】 骨盤前傾筋の筋力増強訓練,左股関節外転位での歩行訓練 【結果】 受傷後 21 週は MMT,NRS に変化はなかったが,T 字杖歩行でリハ室 2 周経過後も左股 関節痛の訴えは軽度で歩行は 3 周可能となり歩行の持久性向上を認めた.また 10m歩 行も 25.6 秒,歩数 36 歩と向上した. 【考察】 今回,左股関節痛軽減を目的に骨盤アライメントと歩容に着目し治療を行った.骨盤 の前傾を促したことで骨頭被覆率が高まり大腿骨頭の荷重圧が減少したことや,左股 関節外転位歩行の学習により左大腿骨頭への負荷が軽減したことで,左股関節痛は軽 減し歩行の持久性向上につながったと考えた.
⑪ 疼痛回避姿勢の改善により坐骨神経痛が軽減した症例 〜荷重感覚に着目して〜 ○赤口 諒1),安木大地1),大住倫弘2),小森健史1),奥埜博之1) 1)摂南総合病院 2)畿央大学 キーワード:腰部脊柱管狭窄症,坐骨神経痛,荷重感覚 【目的】 坐骨神経痛とは腰部神経根障害による下肢痛の通称である.今回,原因疾患である脊柱 管狭窄症に対し観血的治療が行われたにも関わらず,坐骨神経痛により疼痛回避姿勢を 呈していた症例に対し,荷重感覚に着目することで良好な結果を得たので報告する. 【症例紹介】 本症例は脊柱管狭窄症(L4/5)に対し観血的治療を行った 70 代女性である.術後も坐 骨神経痛が残存し,立ち上がり時に L4/5 の感覚神経支配である右殿部から下腿前面に かけて痛みが生じていた. 【評価と問題点】 座位は円背,骨盤左回旋・右挙上位をとっていた.右股関節深層外旋筋群の筋緊張亢進 が著明で,同部位に安静時痛があり,その程度は Numeric Rating Scale(以下 NRS)4 で あった.立ち上がりは伸展相にて骨盤右回旋・右挙上位となり強い痛み NRS6 があった. 荷重量(右 kg/左 kg)は座位で(11/19),立位で(8/ 25)の状態で左右均等と認識していた. 間歇性跛行により T 字杖歩行での連続歩行可能距離は約 10m であった. 【治療介入】 ①座位で荷重感覚に注意を向け左右の差異を認識する訓練②アライメントに伴う荷重 感覚の変化を認識する訓練を実施した.介入は週 5 回の頻度で 3 週間行った. 【結果】 座位のアライメント及び右股関節深層外旋筋群の筋緊張の亢進が改善した.荷重量は座 位で(14/16),立位で(15/18)となった.痛みは座位・立ち上がりともに NRS2 まで軽減 した.連続歩行距離は T 字杖歩行で約 50m まで改善した. 【考察】 常に筋緊張が亢進した状態は筋紡錘の感度を亢進させ荷重感覚の閾値が上がるため,左 右の荷重量の認識に異常が生じていたと考えられる.本症例を通して,荷重感覚の認識 に対する介入がアライメントの改善,痛みの軽減に繋がる可能性が示唆された.
⑫ 両変形性膝関節症を呈し左人工膝関節全置換術を施行した症例 ~歩行時痛の軽減を目指して~ ○橋爪稚乃,徳弘宙士 星ヶ丘医療センター キーワード:両変形性膝関節症,人工膝関節全置換術,歩行時痛 【目的】 本症例は人工膝関節全置換術を施行し,術後疼痛の訴えが歩行時に特に強く現れていた. 今回疼痛が出現している膝関節のみでなく,体幹,股関節にアプローチすることで,歩 行時の疼痛軽減につながったため報告する. 【症例紹介】 60 歳代の女性.10 年前より左膝に疼痛が出現し,疼痛により長距離歩行が困難であっ た.既往歴に脊椎すべり症があった. 【評価】 ROM(左)は股関節が伸展 0°,外旋 25°,膝関節伸展が-10°,体幹屈曲が 25°であっ た.安静時痛が膝創部周辺に出現(NRS:2/10)しており,内側ハムストリングスや内転筋 群に圧痛も認めた.また歩行時痛も出現しており,左立脚中期から後期にかけて大腿内 側部,膝内側部に出現(NRS:7/10)していた.立位アライメントは腰椎前弯,骨盤前傾し, 股関節内旋,膝関節屈曲位であった.歩行時,左立脚中期から後期にかけて股関節屈曲, 内転,内旋し体幹の左側屈がみられた. 【問題点】 本症例は体幹腰背部が過緊張であり骨盤前傾位,股関節内旋位であった.そして歩行時 左立脚期には,股関節内旋筋の過緊張により大腿に対して下腿外旋での荷重となり,膝 蓋骨が外側に引っ張られることで,膝内側創部の伸張ストレスによる疼痛が出現し,歩 行困難となっていたと考える. 【治療介入】 本症例の問題点である体幹腰背部,股関節内旋筋の筋緊張を調整し,骨盤の前後傾の動 きを促すとともに,歩行時立脚期の大腿骨と骨盤の分離した動きを促通した. 【結果】 ROM(左)は股関節伸展 5°,外旋 30°,膝関節伸展-5°であった.安静時痛,圧痛とも にみられず,左立脚期に出現していた歩行時痛も軽減した(NRS:1/10).立位アライメン トは腰椎前弯,骨盤前傾が軽減,股関節内外旋中間位となり,歩行時,左立脚期の股関 節内旋,体幹の左側屈も軽減した. 【考察】 今回,体幹,股関節周囲筋にアプローチすることで,立位アライメントの改善につなが り,また歩行立脚期に起こる膝内側部へのストレスが軽減することで,歩行時痛が軽減 したと考えられる.
⑬ 全荷重後も跛行が残存した第 5 中足骨骨折の一症例 ~前足部の機能に着目して~ ○山本 哲司1),森田 初美1),大住 倫弘2),奥埜 博之1) 1)摂南総合病院 2)畿央大学 キーワード:疼痛,前足部機能,歩行 【目的】 今回,第 5 中足骨骨折受傷後に跛行が残存した症例を担当し,前足部の機能に着目して治療介 入を行い,良好な結果を得たため報告する. 【症例紹介】 60歳代女性.右第5中足骨骨折後にギプス固定を1ヶ月間実施後,外来リハビリで介入を開始. 【評価・問題点】 ROM-t は右足関節背屈 10°,底屈 35°,外反 0°.右母趾中足趾節間関節伸展 30°.MMT(Rt/Lt) は右前脛骨筋 4/4,右足趾屈筋 3/4.右前脛骨筋の圧痛,及び右立脚後期での右長母趾屈筋の疼痛 は NRS4から 2 まで低下しており,歩行は T 字杖歩行を自立していたが,右小趾側の荷重に対し て疼痛の予期が強い状態であった.そのため,右股関節内旋させ立脚後期に小趾側の接触を減少 させた歩容を呈し,足部による前方への推進機能が低下していた.また,右前足部での触・圧覚 情報の認識の困難さと支持感の減少の訴えがあった. 【治療介入】 治療介入は座位にて前足部でのスポンジの硬度弁別課題を実施した.右小趾側と母趾側の認識 が向上した後,立位にて右立脚後期の前足部の接触感に注意を向け,前方への推進を想定した重 心移動訓練を実施した. 【結果】 右前脛骨筋の圧痛ならびに右立脚後期における右長母趾屈筋の疼痛が減少(NRS0~1)し,ROM-t は右足関節背屈 15°,底屈 40°,外反 5°,右母趾中足趾節間関節伸展 40°と改善した.また, 歩行は独歩で可能となり,前方への推進機能にも改善を認めた. 【考察】 全荷重後も右立脚後期の荷重に伴う疼痛の予期により推進機能に問題が生じていた症例に対 し,前足部の機能に着目した介入を行うことで跛行の改善に至った.本症例を通じて,前足部の 機能と疼痛,跛行の関係性を考慮した介入の重要性が示唆された.
⑭ 左大腿骨転子部骨折後,立ち上がり動作に難渋した一症例 ~座位姿勢から殿部離床相に着目して~ ○中原健吾,團野祐輔,喜多孝昭,山田賢一 守口生野記念病院 キーワード:立ち上がり,座位姿勢,大腿骨転子部骨折 【目的】 本症例は受傷前の起居移動動作が見守りにて可能であったが,受傷後は立ち上がりや移 乗動作などに重度介助を要した.ADL 向上・介助量軽減を目的に立ち上がり動作に着目 し,評価・治療を行なった結果,変化が見られたので報告する. 【症例紹介】 80 歳代女性,診断名は左大腿骨転子部骨折.経過は,入所されている特養にて転倒し受 傷.受傷 1 日後に観血的骨接合術(γネイル)施行,受傷 2 日後からリハビリ開始となる. 既往歴として認知症がある. 【評価と問題点】 立ち上がり動作は,まず座位姿勢において骨盤後傾・右回旋・左挙上位による右殿部後 方重心であり,屈曲相においては,骨盤の前傾と両足部への重心移動が乏しく,右上肢 の引き込みを用いている.殿部離床相では右上肢の引き込みと左上肢のプッシュアップ を用いるが,殿部離床出来ないという現象が見られた.これらの現象の問題点として評 価した結果,ROM-t は左股関節屈曲 85°,外旋-10°,MMT(R/L)は体幹伸展 2,股関節 外旋 3/2,屈曲 4/2,膝関節伸展 2/2 であった. 【治療介入】 関節可動域制限と筋力低下に対して,関節可動域練習,座位での骨盤前後傾運動やリー チ動作,立ち上がり,歩行練習を実施した. 【結果】 ROM-t は左股関節屈曲 100°,外旋 10°,MMT(R/L)は股関節屈曲 4/3 に改善した. 立ち上がり動作は,座位姿勢での骨盤後傾,右回旋,左挙上位が減少し,屈曲相では, 骨盤の前傾と両足部への重心移動が増加した.殿部離床相においては,殿部離床が可能 となり立ち上がり動作が見守りにて可能となった. 【考察】 左股関節屈曲,外旋の可動域拡大と左腸腰筋の筋力向上により,座位姿勢での右殿部後 方重心と屈曲相における骨盤の前傾,両足部への重心移動の減少が改善された.その結 果,座位姿勢から殿部離床相において,身体重心を支持基底面に近づける事ができ,膝 関節伸展筋群の負担が軽減した事で,殿部離床が可能となり立ち上がり動作の介助量軽 減に繋がったと考えられる.
⑮ 水頭症シャント術後に理学療法が効果を示した一例 ~体幹の立ち直りに着目して~ ○北村公実,水野紗也子,芳本康司 牧リハビリテーション病院 キーワード:水頭症シャント術後,体幹立ち直り,歩行 【目的】 今回,くも膜下出血発症後,交通性水頭症を呈しシャント術にて水頭症症状が改善され たが,歩行時のバランス能力の低下が残存し,体幹の立ち直りが見られず歩行の実用性 が低下した症例を担当した.そこで体幹機能に着目し体幹筋力へアプローチすることに よる理学療法の効果を検討したため報告する. 【症例紹介】 年齢:79 歳,性別:女性,疾患名:くも膜下出血(中大脳動脈瘤破裂),術後交通性水 頭症(LP シャント術施行) 既往歴:左外斜視,糖尿病 【初期評価(シャント術後 2 ヶ月)と問題点】
Brunnstrom Recovery Stage-test(以下 BRSt):右上下肢Ⅵ,感覚:正常範囲内,Manual Muscle Testing(以下 MMT):腹直筋・内外腹斜筋・脊柱起立筋 2,10m 歩行(独歩):26 秒 72(43 歩),Functional Reach Test(以下 FRT):12.5cm,側方リーチ:右 14.0cm 左 16.0cm(座位),右 10.0cm 左 12.0cm(立位),歩行:軽介助(小刻み歩行,突進様歩行等 なし) 理学療法評価より,体幹筋力の低下が問題点であると仮説立てた. 【治療介入】 体幹筋群の筋出力賦活を静的・動的バランス訓練にて行い,体幹立ち直りの促通を図っ た. 【結果(シャント術後 6 ヶ月)】 MMT:3,10m 歩行(独歩):13 秒 41(22 歩),FRT:24.5cm,側方リーチ:右 24.5cm 左 28.0cm(座 位),右 20.0cm 左 19.0cm(立位),歩行:監視. 【考察】 今回,水頭症に対してシャント術を施行され,すでに水頭症症状は認められないが歩行 時に体幹の立ち直りが低下した症例に対し,体幹筋群の筋出力を賦活した.筋活動性が 改善された結果,骨盤と体幹の結合性が高まり,歩行時の脊柱の直立位保持が可能とな ったことで体幹の立ち直りが出現し,歩行時の実用性の向上にも繋がったと考える.水 頭症に対するシャント術後に,理学療法が組み込まれ歩行機能が改善されたことから, 理学療法の必要性を再認識した.
⑯ 正常圧水頭症にて脳室腹腔短絡術を施行した症例 ~手術の効果が見られにくく治療が難渋した一例~ ○北本聡史,岩崎健太郎,山本洋晃 中村病院 キーワード:正常圧水頭症,脳室腹腔短絡術,歩行 【目的】
正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus,以下 NPH)は発病から長期間経過して しまうと,治療効果を期待することは難しいとされている.今回,歩行障害,認知症, 尿失禁などの NPH 症状が確認されたが,手術までに長期間を要した症例を担当した為, 術後の変化と理学療法効果について報告する. 【症例紹介】 70 歳代男性,約 5 年前から上記症状が現れるも,確定診断を受けないまま,歩行困難 にまで至った.今回 NPH 診断を受け,脳室腹腔短絡術施行. 【評価と問題点】 術前の画像所見では脳室拡大を認め,術後わずかに改善が見られたが,歩行障害・認知 症・尿失禁などの症状は残存.初期評価: MMT 左下肢 4 右下肢 3,体幹屈曲 3,両下肢 位置覚 2/5,Functional Balance Scale(以下,FBS)36/56 点.HDS-R20/30 点.歩行 は,歩行器歩行接触介助で約 40m 可能だが,小刻み・突進様歩行,すくみ足が認められ た.尿失禁については尿意曖昧で失禁を繰り返していた . 【治療介入】 長期間の活動性低下からの機能低下に対して,下肢・体幹筋トレーニングを行い筋力・ バランス機能向上を図った.次いで,実用性向上を目的に立位・歩行などの動作練習を 実施.小刻み・突進様歩行,すくみ足に対しては前後ステップ動作・跨ぎ動作などを取 り入れ,歩行場面での定着を図った. 【結果】 最終評価: MMT 左下肢 5,右下肢 4,体幹屈曲 5,両下肢位置覚 3/5 と軽度の改善を認め, FBS は 42 点,歩行は固定式歩行器歩行 50m 自立となったが,小刻み・突進様歩行,す くみ足は残存し,HDS-R は 20/30 点と変化はなかった.尿意は聞かれるようになり頻度 は減少したが,失禁は認められていた. 【考察】 今回,筋力,持久力,バランスが向上し,歩行距離の延長,歩行介助量の軽減を認めた が,NPH 症状については,改善は見られたものの残存していた.長期間の活動性低下に よる機能低下に対して一定の理学療法効果は認められたが,NPH 症状の残存が実用的な 歩行獲得まで至らなかった大きな原因ではないかと考えた.
⑰ 被殻出血により pusher 現象を呈した右片麻痺患者の一症例 ~立位に着目して~ ○岡田真梨子,米田吉寿,荒木茂樹,奥野博和 畷生会脳神経外科病院 キーワード:pusher 現象,体性感覚,高次脳機能障害 【はじめに】 今回,左被殻出血により起立や立位で pusher 現象を呈した症例を担当する機会を得た. 【症例紹介】 70 代女性,病前 ADL 自立.平成 X 年 4 月 7 日右片麻痺と構音障害が出現,左被殻出血, 保存的加療.4 月 9 日より理学療法開始. 【評価と問題点】
発症後 6 週,Brunnstrom Recovery Stage(以下 Brs)上肢Ⅱ・手指Ⅰ・下肢Ⅱ.筋緊張 は右股関節内転筋群と右足関節底屈筋群軽度亢進,その他の右上下肢筋や腹筋群は低下. 下肢の粗大筋力は,屈曲・伸展関節運動一部可能レベル.感覚は表在・深部感覚ともに 精査困難であったが感覚鈍麻が疑われた.高次脳機能障害は,注意障害,病識低下,軽 度 右 半 側 空 間 無 視 ( 線 分 二 等 分 テ ス ト 左 に 3 ~ 7cm) . Scale for Contraversive Pushing(以下 SCP)坐位 0.5 点,立位 3 点で,起立や立位で左上下肢の pusher 現象を認 め,立位保持や移乗に介助を要した.
【治療介入】
右上下肢の pusher 現象を抑制することと,感覚情報を介した姿勢定位の修正を目的に, 身体左側を壁面に接触させ起立,立位訓練を行った.初期は knee brace と Shoehorn brace を装着し介助歩行訓練等も行った. 【結果】 発症後 24 週では,Brs 下肢Ⅲ,左下肢の筋緊張低下軽減,右下肢粗大筋力は重力に抗 した運動一部可能レベルへ.SCP は坐位,立位ともに 0 点に改善. (線分二等分テスト 左に 0~1cm).立位で下衣操作が監視で可能だが時間を要し,注意障害,病識低下が残 存し自立に至らなかった. 【考察】 高次脳機能障害により感覚入力阻害と,情報統合が障害され,身体と環境との関連付け が障害されている状態である.視覚からの訓練では効果が得られず,体性感覚入力を強 調した訓練が効果的であった.最終評価時では右半側空間無視は改善され,注意障害, 病識低下は残存したが軽快しており,高次脳機能による空間の認識が得られやすくなり, 今回の体性感覚入力を強調した治療効果がみられたと考える.
⑱ 右視床出血による左片麻痺患者の一症例 ~足関節背屈制限に着目して~ ○小嶋明希子,桑原朋之,大東里江 わかくさ竜間リハビリテーション病院 キーワード:脳卒中,足関節背屈制限,荷重 【目的】 左片麻痺,足関節背屈制限を呈した症例を担当した.足関節アライメントに着目し立 位・歩行練習を実施することで右下肢・体幹筋の筋力向上し ADL 介助量軽減を認めたた め報告する. 【症例紹介】 右視床出血により左片麻痺を呈した 74 歳男性.2 病日に大動脈弁狭窄を認め,43 病日 に大動脈弁置換術施行,60 病日に当院へ転院.既往歴は認知症,高血圧,脳梗塞,発 症前 ADL 自立であった. 【評価と問題点】 61 病日 BRS-t左上肢,手指,下肢ともにⅡ,ROM-t(右/左)足関節背屈 5/-20 荷重位 -10,MMT-t(右/左)腹筋 2,中殿筋 2/1,大殿筋 2/1,表在・深部感覚ともに中等度鈍 麻. 立位姿勢は左運動麻痺,左足関節背屈制限,体幹・右下肢筋力低下のため,左下肢は足 尖しか接地せず,体幹屈曲・股関節屈曲位となり,移乗動作中等度,排泄動作重度介助 であった. 【治療介入】 61 病日から介入し,ホットパック,超音波,足関節背屈可動域運動,右下肢・体幹の 筋力増強運動,踵に補高をつけた金属支柱付長下肢装具を作成し足底が接地した正中位 で立位練習,歩行練習を実施し,120 病日に荷重位で背屈-5°,立位姿勢は体幹軽度屈 曲,股・膝関節屈曲,足関節底屈位となり軽介助と改善,下腿三頭筋に対してボトック ス施行し荷重位での訓練の割合を増やした. 【結果】 167 病日左足関節背屈可動域が荷重位で-5~0°と改善.BRS-t上肢,下肢がⅢへと改 善し,MMT-t(右/左)では腹筋 3,中殿筋 3/2,大殿筋 3/2 と向上した.立位姿勢が左 股・膝関節軽度屈曲,足関節底屈位,装具使用にて体幹伸展・股関節中間位となり監視 で保持可能,移乗・排泄動作が軽介助となった. 【考察】 ボトックス治療および装具で足底を接地させて訓練を実施することで,努力性が軽減し 左下腿三頭筋の筋緊張改善を認め,足底接地,膝伸展位にて正中位での立位姿勢となっ た.アライメントが修正されたことにより,腹筋,右下肢筋の収縮も促通され,筋力向 上を認め ADL 改善につながったと考える.
⑲ 半側空間無視と筋緊張の亢進を呈した左片麻痺の一症例 ~高次脳機能障害を考慮したアプローチ~ ○村上達典,辻内名央 星ヶ丘医療センター キーワード:半側空間無視,筋緊張,座位 【目的】 今回,半側空間無視と筋緊張の亢進を呈した重症左片麻痺患者を担当した.高次脳機能 障害を考慮したアプローチを行った結果,車いす座位の活動性が向上したので報告する. 【症例紹介】 80 歳代男性.右前頭葉,島皮質,被殻から放線冠の梗塞による左片麻痺. 【評価と問題点】 覚醒良好.運動麻痺は SIAS(1,1,1,1,1).表在・深部感覚は精査困難. 車いす座位では非麻痺側上肢でアームレストを握り込み離すことができなかった.高次 脳機能障害は重度な注意障害と左半側空間無視が認められ,課題に対する認知の不十分 さと,姿勢の崩れに気付く反応性の低下を認めた.MAS は上腕二頭筋,ハムストリング ス,下腿三頭筋が 3 レベル.触診では腹部の低緊張,腰背部の過緊張を認めた.そのた め肩甲帯や骨盤帯のアライメントの崩れが生じ,脊柱の分節的な可動性は低下し,抗重 力伸展活動は低下していた. 【治療介入】 治療姿勢は,右側身体を壁にもたれた端座位にて非麻痺側の支持基底面を拡げ,かつ左 側身体へ注意を向け易い環境に設定した.そこで骨盤や腰椎の分節的な動きを誘導する ことで,筋感覚を入力し身体図式の更新を図った. 次に,長下肢装具を着用した介助立位・歩行練習を行い,体幹の抗重力伸展活動を促し, 左下肢への荷重感覚を入力することで左下肢の認識を促した. 【結果】 SIAS,MAS,高次脳機能障害は著変無かった.腹部の低緊張と腰背部の過緊張は軽度改善 を認めた.車いす座位は,バックサポートから背中を離してのリーチやスプーン操作が 可能となった. 【考察】 本症例は注意障害や半側空間無視の影響により感覚入力に障害が生じていた.また,運 動麻痺や筋緊張の亢進のため,関節運動に伴う筋感覚の入力が減少していた.そこで, 感覚入力へと注意が向き易い環境設定の元,筋のアライメントを調整し,適切な感覚入 力を行うことで身体図式が更新され,車いす座位では非麻痺側上肢の過活動が減少し, ADL の拡大に繋がったと考える.
⑳ 脳卒中後,肺炎により低栄養状態を呈した一症例 ~全身状態に配慮した理学療法を経験して~ ○岡修人,玉村悠介 わかくさ竜間リハビリテーション病院 キーワード:脳卒中,低栄養,運動強度 【目的】 左被殻出血により右片麻痺,低栄養を認めた症例に対し,全身状態に着目し運動強度を 調節しながら安定した坐位保持,起居・移乗自立を目指した症例を経験したので報告す る. 【症例紹介】 75 歳男性,BMI17.5 やせ型.平成 25 年 12 月右上下肢脱力感と呂律困難出現.左被殻出 血,嚥下障害と診断.保存的加療後,24 病日後当院転入院. 【評価と問題点】 当院入院初期より,肺炎による熱発のため積極的な理学療法の介入が困難であり,50 病日後では,ALB2.5g/dl,CRP1.4mg/dl,BMI16.5 と低栄養を認めた.Brunnstrom Recovery Stage Test(以下 BRST)右上下肢Ⅱ,手指Ⅰ,関節可動域は頸部伸展 30°,屈曲-5°, 体幹伸展-45°,筋力は下肢 MMT 左 4-/右 1.基本動作は起居・移乗動作軽介助~中等 度介助,坐位保持見守り.摂取カロリーは 1200Kcal であった. 【治療介入】 まずは全身状態改善目的にベッド上のポジショニング,頸部・胸郭可動域運動,排痰介 助等呼吸理学療法を実施した.次に栄養状態,エネルギー消費量を考慮し坐位耐久性の 向上を目的に坐位ポジショニング,下肢エルゴメーターなど,低負荷で行えるプログラ ムを実施した.その後,摂取カロリーを増加させ,栄養状態・全身状態の改善に合わせ て立位・歩行練習を追加し,運動強度を増加させた. 【結果】 135 病日には BRST 右上下肢Ⅳ,手指Ⅲ.関節可動域は頸部伸展 40°,屈曲 10°,体幹 伸展-20°,筋力は下肢 MMT 左 4/右 3-となり,安定した坐位保持,起居・移乗動作自 立となった.また,ALB3.4 g/dl,CRP0.3 mg/dl,BMI17.3 と栄養状態にも改善がみら れた. 【考察】 低栄養状態での積極的な運動療法はさらなる栄養状態の悪化を招くことが考えられる. そのため,低負荷のプログラムから段階的に運動強度を向上させたことが呼吸・循環機 能改善および筋力増強に寄与し,移乗動作の獲得に繋がったと考える.よって,栄養状 態を考慮した理学療法の実施は身体機能の改善に効果的であると考える.
㉑ 左片麻痺に右下肢失調様症状を併発した一症例 ~左下肢の身体イメージと失調様症状の関連に着目して~ ○藤井笙子1) 久一佳愛1) 藤橋亮介1) 大住倫弘2) 奥埜博之1) 1)摂南総合病院 2)畿央大学 キーワード:身体イメージ,片麻痺,失調様症状 【目的】 脳梗塞により左片麻痺を呈し,下肢の運動麻痺が Br.stageⅥレベルであるにもかかわ らず,右下肢失調様症状を併発し歩行が著しく困難であった症例において,身体イメー ジの異常に対する介入を行ったところ,歩行能力の改善を認めたため報告する. 【症例紹介】 40 代男性.平成 26 年 6 月頃より歩行困難となりアテローム血栓性脳梗塞と診断される. 右前頭葉・頭頂葉に梗塞巣を認め,9 月よりリハビリ目的で当院に転院となった. 【評価と問題点】 深部感覚:左膝関節重度鈍麻.Br.stage:下肢Ⅵ.FIM90 点.歩行動作は左立脚期の骨 盤後退による荷重不足,終期での左股関節伸展の消失,右下肢の振り出しは失調様で過 大な振り出しとなっており,平行棒内軽介助レベルであった.立位姿勢は左膝関節屈曲 位となり左脚が長いと記述していた.そのような身体イメージの異常によって,左下肢 に十分な荷重を行うことができず,右下肢の失調様症状(過剰動員)が助長されている のではないかと考えた. 【治療介入】 背臥位で自己身体空間における左下肢各関節の位置関係を認識する課題を実施した. 【結果】 深部感覚:左膝関節正常.FIM110 点.立位での左膝関節伸展が可能となり,左右の脚 の長さは同じになったと記述した.歩行動作は左立脚期の骨盤の後退が減少し,終期で の左股関節の伸展の出現,右下肢の過大な振り出しの減少が認められ,歩行器歩行が監 視レベルで可能となった. 【考察】 左下肢の体性感覚(深部感覚)にアプローチすることによって,身体イメージに改善が 認められ,立位姿勢での左膝関節伸展が可能となったことで下肢の支持性が向上した. その結果,左下肢への十分な荷重が可能となり,右下肢の失調様症状が減少したことで 歩行能力が改善したと考えられる.本症例を通して,身体イメージ異常に着目した病態 解釈と介入の重要性が示唆された.
㉒ 右橋梗塞により左片麻痺を呈した症例 ~体幹・左下肢の運動麻痺に着目して~ ○森里絵菜,桑原朋之 わかくさ竜間リハビリテーション病院 キーワード:歩行,運動麻痺,収縮タイミング 【目的】 今回右橋梗塞により左片麻痺を呈した症例を担当した.体幹・左下肢の運動麻痺改善に 難渋するも治療内容を見直した結果,運動麻痺が改善し歩行能力改善を認めたので報告 する. 【症例紹介】 70 代女性,X年 2 月下旬に左上下肢の脱力と呂律困難認め現疾患と診断され,第 46 病 日に当院転院となる.病前は独居で ADL 自立していた.介入当初の BRS は左上肢Ⅱ-手 指Ⅳ-下肢Ⅲ~Ⅳで,杖歩行時に膝過伸展著明であった為 SHB を作製し,理学療法を実 施した. 【評価と問題点】 第 107 病日の BRS は左上肢Ⅱ-手指Ⅳ-下肢Ⅳ,表在・深部感覚は軽度鈍麻,協調性検査 は正常,MMT は前脛骨筋(2),大腿四頭筋(2),殿筋群(2),腹直筋・内外腹斜筋(4),腸 腰筋(3),TUG は 34 秒,10m 歩行 38 歩 25 秒.T 字杖歩行は SHB 装着下では見守りで, 装具無しでは左足底接地から始まり立脚中期で骨盤後方回旋による膝過伸展が生じて いた.問題点を左下肢の分離不十分と左下肢・体幹の筋収縮力低下と考察した. 【治療介入】 第 107 病日で歩行時の体幹・左下肢の筋収縮が不十分であった為,治療内容を見直し歩 行練習時に左立脚初期で大殿筋の収縮を促す介助を実施した.また歩行練習時間の延長 を図った. 【結果】 第 204 病日の BRS は左上肢Ⅲ-手指Ⅴ-下肢Ⅴ,表在・深部感覚は極軽度鈍麻,MMT は前 脛骨筋(3),大腿四頭筋(3),殿筋群(3),腸腰筋(4),腹直筋・内外腹斜筋(5)と向上認 め TUG18 秒,10m 歩行 26 歩 15 秒と短縮した.T 字杖歩行は装具無しで自立,左立脚初 期時の踵接地が見られ中期での骨盤後方回旋軽減し膝過伸展が軽減した. 【考察】 体幹・左下肢の運動麻痺に対し,OKC での筋収縮向上を図ることに加え CKC にて左立脚 期で大殿筋の収縮のタイミングを促し学習させたことが有効であったと考える.またこ れに伴いその他の筋も収縮を得やすくなり,体幹・左下肢運動麻痺の改善に合わせ歩容 が改善した.その結果 TUG・10m歩行が改善し転倒リスクの軽減を認め,歩行の実用性 が向上したと考える.
㉓ 左片麻痺患者に対する認知運動療法の試み 〜骨盤と下肢の分離運動の獲得に着目して〜 ○佐藤 剛1),髙木 恵1),大住倫弘2),奥埜博之1) 1)摂南総合病院 2)畿央大学 キーワード:認知運動療法,分離運動,歩行 【目的】 今回,脳梗塞後の歩行で右側への動揺を認める症例に対し,骨盤と下肢の分離運動獲得 を目的に認知運動療法の視点から介入し,良好な結果を得たので報告する. 【症例紹介】 症例は 70 歳代男性.診断名は右放線冠梗塞,入院 2 日目より介入を開始した. 【評価と問題点】 下肢 BRSⅣ~Ⅴレベル,左下肢粗大筋力は 4 レベルであった.歩行は見守りレベルであ り,10m 歩行は 17.15 秒,歩数 29 歩であった.座位にて左股関節屈曲を求めると,股 関節外転・外旋,体幹右側屈,骨盤後傾の代償運動が出現し,左大腿直筋起始部に NRS5 の疼痛を認めた.その際,右殿部荷重優位となり,体幹の非対称性には注意が向かず, 正中位と垂直位の保持が困難であった.歩行でも同様の代償運動が生じ,身体重心が右 後方に偏移するため動揺が生じていると考えた.その際,「左足が出しにくい」と経験 していた. 【治療介入】 殿部でのスポンジ硬度の識別課題を中心に実施した.まずは片側での識別課題から実施 し,次に硬度が同一のスポンジを挟み,自動的に股関節屈曲した際の殿部の圧覚を左右 比較させた.左右比較が困難な場合は,健側での運動を参照し問題点を自覚させ,患側 で運動を行う際,肩と骨盤の位置関係に注意を向けることで,殿部の圧覚と体幹の位置 関係を関係付けていった. 【結果】 左股関節屈曲時の疼痛は消失し,左遊脚期の骨盤と下肢の分離運動が可能となったこと で,歩行時の動揺も軽減した.10m 歩行は 9.8 秒,歩数 24 歩となり,「左足が出しやす い」と記述するようになった. 【考察】 Olney は,片麻痺患者が歩行を獲得するための課題として「股関節上で体幹や上肢と頭 部のバランスを保つこと」が必要と述べている.本症例においても,殿部の圧覚課題に おいて肩と骨盤の位置関係に注意を向けることで体幹機能が向上し,体幹右側屈などの 代償運動の改善,骨盤と下肢の分離運動の獲得が認められたのではないかと考える.こ れらにより歩行時の右側への動揺が軽減したと考える.
㉔ 視床出血患者の歩行能力向上へのアプローチ ~股関節伸展制限骨盤後傾を有する患者の立脚期に着目して~ ○福原雅幸,小西弘晃,垣本昇,足立知絵佳 佐藤病院 キーワード:視床出血,歩行,骨盤後傾 【目的】 今回,右視床出血により左運動麻痺,感覚障害を呈した症例を担当した.本症例は発症 以前より股関節伸展制限,骨盤後傾有している患者の立脚期に着目し,アプローチを行 ったのでここに報告する. 【症例紹介】 63 歳,男性,仕事中左上下肢の麻痺が出現し右視床脳出血と診断.発症 44 日に当院転 院となる. 【評価と問題点】
初期評価 Brunnstrom recovery stage 上肢Ⅳ,手指Ⅲ,下肢Ⅳであり,表在,深部感覚, 位置覚中等度鈍麻.股関節伸展-5°,屈曲 95°,膝関節-5°上腕二頭筋,膝蓋腱筋緊 張亢進,腹部緊張低下.坐位,立位姿勢共に左上下肢屈曲パターン,骨盤後傾,右重心 である.歩行では体幹前傾位,骨盤後傾,左立脚期では体幹左回旋,左遊脚期では分回 しが見られ,上肢の屈曲パターンとなる.体幹前傾,麻痺側の大殿筋,大腿四頭筋,Core の出力低下,ハムストリングスの短縮が問題と考えた. 【治療介入】 骨盤後傾から前傾に促すことで,Core の促通を行い,体幹の抗重力伸展活動を促した. 骨盤の前傾が可能となったところで,上肢の前方,前上方リーチを行うことで左下肢へ の荷重と体幹の伸展活動を促した.STEP 動作を裸足,鏡を見ながら行い足部からの荷 重感覚,視覚のフードバックを入れながら左大殿筋,大腿四頭筋の促通を行った.ハム ストリングスの短縮に対しては ROM,持続的な伸張を行った. 【結果】 股関節屈曲は 95°→100°に改善した.座位,立位では骨盤後傾位,左上下肢の屈曲パ ターンが軽減した.歩行では分回しは残存しているが,左立脚期の前方回旋,骨盤の後 傾は減少した.また歩幅も拡大し,右上肢の振りも見られる様になった. 【考察】 介入により骨盤,股関節の連続的な運動を学習し,Core が促通されることで座位,立 位での骨盤後傾が改善した為,体幹の抗重力伸展活動が可能となり,立位での大殿筋, 大腿四頭筋の出力が向上したと考える.その為左立脚期の左への荷重,上肢の屈曲パタ ーンが改善したので,左立脚期の体幹左回旋,体幹前傾が改善し,歩行能力の向上に繋 がったと考える.
㉕ 左被殻出血を呈した症例の歩行アプローチについて 〜既往である両変形性膝関節症を考慮して〜 ○藤井美郷,吉川創,酒井雄太 わかくさ竜間リハビリテーション病院 キーワード:左被殻出血,両変形性膝関節症,歩行練習 【目的】 今回,運動麻痺に変形性膝関節症を合併している症例を担当した.膝関節の疼痛を考慮 した上で,筋収縮向上のために歩行練習を行い,移乗自立の獲得に至ったため報告する. 【症例紹介】 症例は83歳の女性,診断名は左被殻出血.BMI24.1でやや肥満体型であり,既往歴は5 年前より両変形性膝関節症(内反変形)あり.病前ADLは自立しており夫と二人暮らし. 【評価と問題点】 初期評価21病日目,右BRS上肢Ⅱ−手指Ⅱ−下肢Ⅱ, ROM-T膝関節伸展(右−5°/左−10°), MMT大腿四頭筋(右2/左3),両膝関節に荷重時痛あり.両膝蓋骨の可動性低下・両大腿膝 蓋関節に変形・膝内側裂隙の狭小化が認められた.起居〜歩行全介助,移乗時には両膝 関節の疼痛・プッシャー症状あり全介助であった.FIM:35点であった. 【治療介入】 右大腿四頭筋の抗重力位での筋活動を促すために起立練習や歩行練習を中心に行った. その際,歩行練習ではKAFOを使用し,アライメントの修正・安定性を確保し,荷重時痛 の軽減を図りながら行った.その後AFOへと変更した.左下肢は膝蓋骨の動きを誘導し ながら膝装具を併用し,左大腿四頭筋の筋力増強運動を行った. 【結果】 143病日後,右BRS上肢Ⅲ−手指Ⅲ−下肢Ⅲ〜Ⅳ, ROM-T膝関節伸展(右−5°/左−10°), MMT 大腿四頭筋(右3/左4),荷重時痛は減少.起居〜物的支持下での立位自立,歩行はAFO 装着し四点杖にて見守りとなった.移乗時の荷重時痛は軽減し自立となった.FIM:75 点であった. 【考察】 神経筋再教育のための起立・歩行練習において膝関節の疼痛発生が問題となった.その ため膝装具・KAFOを併用する事で膝アライメントを修正し,疼痛を軽減させながら大腿 四頭筋の筋収縮向上を図る事が出来た.その結果立位・歩行練習量確保でき,膝関節の 安定性向上につながり,移乗自立を獲得に至ったと考える.
㉖ アテローム血栓性脳梗塞により左片麻痺を呈した症例 ~横・後ろ歩きに着目して~ ○世儀卓也,米田吉寿,荒木茂樹,大久保洋平 畷生会脳神経外科病院 キーワード:動作練習,横歩き,後ろ歩き 【目的】 今回、放線冠のアテローム血栓性脳梗塞により左片麻痺を呈した患者を担当した.家屋 調査で横・後ろ歩きが必要な場所がみられ,以降,横・後ろ歩きに着目し治療介入した. 【症例紹介】 性別:男性,年齢:74 歳,診断名:アテローム血栓性脳梗塞,性格:躁急 【評価と問題点】 BRST:上肢Ⅲ,下肢Ⅳ,筋緊張:肩甲帯周囲筋・殿筋群筋緊張低下,ハムストリングス 筋緊張亢進 筋出力:大腿四頭筋・大殿筋は重力に抗して一部運動可,中殿筋は重力に抗しての運動 困難⇒大腿四頭筋・大殿筋は軽度の徒手抵抗に抗して一部運動可,中殿筋は重力に抗し て一部運動可. 横歩き 麻痺側横歩きの1周期を閉脚両脚支持期 L1,麻痺側遊脚期 L2,開脚両脚支持期 L3,麻 痺側支持期 L4 とした.①L4 軽度膝折れ②L2 麻痺側股関節外旋の問題点がみられた. 後ろ歩き 1周期を両脚支持期 B1,麻痺側支持期 B2,両側支持期 B3,麻痺側遊脚期 B4 とした. ①B4 軽度膝折れ②B2 股関節伸展不足③歩幅の減少の問題点がみられた. 【治療介入】 神経筋再教育,反復練習,ステップ練習,スクワット,片脚立位,またぎ動作 【結果】 横歩き:①、②改善 反張膝,杖の接地位置不安定 後歩き:①~③改善 【考察】 初期と退院前で BRST に変化はみられなかった.横・後歩きの膝折れの要因を大殿筋, 中殿筋,大腿四頭筋筋出力低下と考え,スクワット・ステップ練習・片脚立位を実施し た.結果,初期と最終で大殿筋,中臀筋,大腿四頭筋の筋出力に改善が見られた.筋出 力の増加により横・後ろ歩きの膝折れが改善した.膝折れの改善により歩幅の減少も改 善した.L4 初期では膝折れがみられたが,退院前では反張膝がみられた.杖を正中を 越え麻痺側に接地することにより体幹が回旋し,それに伴い肩甲帯,殿部が後退し反張 膝が出現したと考える.また,躁急な性格も杖の位置が不安定となった要因の一つと考 える.安定した動作を行うために動作方法を徹底して行う必要があった.