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平成20年度温室効果ガス削減施策が機械産業に及ぼす影響調査報告書

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日機連20高度化-15

平成20年度

温室効果ガス削減施策が機械産業

に及ぼす影響調査報告書

平成21年3月

社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。 http://ringring-keirin.jp/

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我が国機械工業における技術開発は、戦後、既存技術の改良改善に注力することから 始まり、やがて独自の技術・製品開発へと進化し、近年では、科学分野にも多大な実績 をあげるまでになってきております。 しかしながら世界的なメガコンペティションの進展に伴い、中国を始めとするアジア 近隣諸国の工業化の進展と技術レベルの向上、さらにはロシア、インドなどBRICs 諸国の追い上げがめざましい中で、我が国機械工業は生産拠点の海外移転による空洞化 問題が進み、技術・ものづくり立国を標榜する我が国の産業技術力の弱体化など将来に 対する懸念が台頭してきております。 これらの国内外の動向に起因する諸課題に加え、環境問題、少子高齢化社会対策等、 今後解決を迫られる課題も山積しており、この課題の解決に向けて、従来にも増してま すます技術開発に対する期待は高まっており、機械業界をあげて取り組む必要に迫られ ております。 これからのグローバルな技術開発競争の中で、我が国が勝ち残ってゆくためにはこの 力をさらに発展させて、新しいコンセプトの提唱やブレークスルーにつながる独創的な 成果を挙げ、世界をリードする技術大国を目指してゆく必要があります。幸い機械工業 の各企業における研究開発、技術開発にかける意気込みにかげりはなく、方向を見極め、 ねらいを定めた開発により、今後大きな成果につながるものと確信いたしております。 こうした背景に鑑み、弊会では機械工業に係わる技術開発動向調査等のテーマの一つ として富士通株式会社に「温室効果ガス削減施策が機械産業に及ぼす影響調査」を調査 委託いたしました。本報告書は、この研究成果であり、関係各位のご参考に寄与すれば 幸甚です。 平成21年3月 社団法人 日本機械工業連合会 会 長 金 井 務

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はしがき

地球温暖化対策に関する国際枠組みである京都議定書は、ロシアの批准により発効した。 これに伴い、我が国をはじめ先進各国は京都議定書に定められた削減目標の遵守義務を負 うこととなった。 しかし、先進国で最大の排出国である米国及び急速な経済成長に伴う排出量の増加が見 込まれる中国、インドなどの途上国は削減義務を負わない状態での発効であり、京都議定 書の国際枠組みとしての温室効果ガス削減の効率性及び効果には大きな疑問が残る。特に 我が国経済は、二度のオイルショックを通じて世界でも冠たる省エネ大国であるが、京都 議定書では、この先行努力を正当に評価されていない。このような枠組みでは、単に削減 対象となる国・地域の割合が十分でないのみならず、削減義務の有る国から無い国へ生産 拠点が移転するなどによって生じる、いわゆる炭素リーケージが発生する。これにより、 削減義務を持つ国での削減努力が大きく損なわれる。 また同時に、削減義務を負う国における経済停滞が生じる可能性がある。昨今の金融危 機に端を発す経済状況の悪化の中、京都議定書により温室効果ガス削減が十分に行われな いのみならず、我が国経済の悪化を促進する可能性がある。 2007 年のバリで開催された COP13 において、2009 年コペンハーゲンで開催される COP15 での次期枠組みの決定を目指すいわゆるバリ行動計画が採択されたが、京都議定書 の有効性と問題点を正確に把握し、COP15 に向けた交渉を行う必要がある。 本研究は、上記の問題意識より、今後のCOP15 に向けた国際交渉に資することを目的と し実施した。 平成21 年 3 月 富士通株式会社 代表取締役社長 野副州旦

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目次

序 はしがき 1. はじめに... 1 2. シミュレーション... 3 2.1. 動学GTAP-Eモデル... 3 2.2. データベース... 7 2.3. 炭素リーケージとは... 7 2.4. シミュレーションデザイン... 9 2.5. シミュレーション結果... 9 2.6. 炭素リーケージ対策...16 3. まとめ ...18 参考文献 別添資料

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1. はじめに

2005 年 2 月 16 日、ロシアの京都議定書批准を受け、京都議定書がついに正式に発効し た。日本、EU、カナダなど京都議定書の批准を行った附属書国は議定書に定められた削減 量の達成が義務付けられたことを意味する。しかし、米国、中国といった世界有数の温室 効果ガス排出大国は削減活動に不参加であり、京都議定書自体の気候安定化への有効性に 関しては疑問が残る。 2007 年 2 月,国際連合の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 4 次報告書は、1906 年から2005 年の 100 年の間に、地球の平均温度が 0.74℃上昇していると指摘し、人間活 動により温暖化が起こっているとほぼ断定している。対策をとらなければ,20 世紀末比で 今世紀末には最大 6.4℃上昇すると警告している(IPCC 2007)。それを受け、2013 年以降 の温室効果ガス削減に関する国際枠組みであるポスト京都議定書に関する議論も活発化し つつある。2007 年 1 月には、EUは独自に、2020 年に向けて、温室効果ガスを 1990 年 比で少なくとも20%の削減をすると宣言している。2007 年 5 月には,日本国政府も 6 月 にドイツで開催されたG8 に向けて,安倍元首相が「美しい星 50」戦略を提案している。 その中で安倍元総理は、ポスト京都枠組みに関連して、2050 年までに全世界で 50%の削 減を達成する、米国、中国、インドなど主要排出国全てが参加する枠組み作りを目指すこ とを提案している。しかし、その具体的な中身は提示されておらず、京都議定書の約束期 間の終了した後、つまり2013 年以降の具体的な世界の枠組みの制度設計は五里霧中といっ てよい。 2007 年にインドネシアのバリ島で開催された COP13(気候変動枠組条約第 13 回締約国 会議)においては、2009 年を目処に 2013 年以降の枠組み(いわゆるポスト京都枠組み) の合意を目指すこととなっており、北海道洞爺湖サミットにおいてもこのバリ行動計画を 支持することとなった。しかし、現在の京都議定書のように、先進国には削減目標を課し、 途上国には自主的削減を促す枠組みでは、環境面では単に急速な経済成長による排出量の 増加が見込まれる途上国の削減が自主的なものに留まるのみならず、炭素リーケージが生 じ、その削減効率性を大きく損なう。また、経済側面では、削減目標を持つ先進国にのみ 過度なコスト負担を強いる危険性がある。 絶対量での削減を主張するEU、発展途上国抜きでの枠組みに反対する米国、ある一定の 経済成長に達するまで削減義務を負わないと主張する中国など主要国の意見は平行線のま まである。もし仮にこれまでのように国際的な場での温暖化枠組みに関する議論が EU 主 導で行われた場合、米国、発展途上国の参加無しでの温暖化対策が2013 年以降も続くこと となり、現在京都議定書を批准している日本、EU、カナダ等非常に限られた国・地域のみ での削減活動となる。したがって、これらの国・地域では京都議定書以上の厳しい削減目 標が課せられる可能性がある。特に我が国は、多くの研究者が指摘しているように、京都 議定書においては不平等なほどの過剰な削減目標が課せられており、これ以上の削減目標

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の負担は我が国経済の停滞を引き起こすこととなり、我が国自体の持続的成長を脅かすこ ととなる。 本研究では、以上の問題意識より、特に炭素リーケージに注目する。炭素リーケージと は、京都議定書において削減目標を持つ国において温室効果ガスの削減活動を行った結果、 削減目標を持たない国で排出量が増加することを指す。炭素リーケージが生じる原因とし ては次の二種類が考えられる。1)削減目標を持つ国では、企業は省エネルギー対策など 追加費用を負担する。その結果、エネルギー多消費型産業を中心に、削減目標の無い国へ 生産がシフトする。2)削減目標を持つ国において温室効果ガス削減活動を行うことによ り、世界全体でのエネルギー需要の低下が化石燃料価格を低下させ、削減目標を持たない 国での省エネルギー対策の停滞、エネルギー多消費型経済構造への移行が生じる。京都議 定書の温室効果ガス削減枠組みとしての問題点を明らかとし、次期枠組み交渉に資するも のとする。

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2. シミュレーション

2.1. 動学GTAP-Eモデル 本調査研究では、京都議定書の温室効果ガス削減策としての有効性及び問題点を明らか とすることを目的に動学一般均衡モデルを活用する。本研究で用いるモデルは、貿易自由 化の影響評価など国際的に幅広く用いられているGTAPモデルをベースに、温暖化問題を分 析するために拡張したモデルである。GTAP自体は、米国・パーデュー大学農業経済学部の Thomas W. Hertel教授を中心として、国際貿易問題を評価することを目的に設立された国 際貿易分析センター(The Center for Global Trade Analysis)において開発されている応 用一般均衡モデルである。GTAP-Eモデルは、GTAPデータベースにエネルギーデータを取 り入れたGTAP-Eデータベースを用いており1、中間投入財ではなく付加価値を形成する財 としてエネルギーを取り扱い、エネルギー間の代替関係が付け加えられている点が大きな 特徴である2 GTAP はもともと静学一般均衡モデルである。しかし、静学モデルでは、2012 年といっ た中期の評価の正確性に欠ける。そこで、本調査研究では、モデルのプログラムを修正し、 モデルの動学化を行う。さらに、トップダウン型モデルにボトムアップ型モデルの優位点 である詳細な技術情報を活用することを目指し、最大の温室効果ガス排出源である発電部 門において電源単位での技術バンドル導入を行う。 以下,より詳細にモデル作成に関して解説を行う。 本研究では、温暖化関連研究において広く使われている一般均衡モデルであるGTAP-Eを ベースに開発を行う。今回用いる一般均衡モデルの解説は、伴、濱崎、岡川(2004)3に詳 しい。 簡単にではあるが、以下モデル内における排出クレジットの扱いに関して説明を行う。 図表1は、GTAP-E モデル内での価格連関を示している。価格には、市場価格とエージェ ント価格があり、エージェント価格と市場価格は税によって結ばれる。

1 Burniaux, McDougall and Truong (2002)

2 GTAPモデルではエネルギーを中間投入財として扱っている。なおGTAP-Eモデルにおい

て資本・エネルギー合成財を生産要素として扱う生産構造は、OECDが開発した環境モデ ルであるGREENモデルに基づいている。

3 伴、濱崎、岡川(2004)、「経済モデルによる分析」、「エネルギー使用合理化取引市場関

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図表1 GTAP―E 内での価格連関 式で表すと以下のようになる。 r i r i r i

PM

TO

PS

,

,

, (1) r j i r j i r j i

PM

TF

PF

, ,

, ,

, , (2) r i r i r i

PM

TP

PP

,

,

, (3) r i r i r i

PM

TG

PG

,

,

, (4) r i

PS

, :地域r における財 i の供給価格 r j i

PF

, , :地域r における j 産業が購入する財 i の価格 r i

PP

, :地域r における財 i の家計購入価格 r i

PG

, :地域r における財 i の政府購入価格 r i

PM

, :地域r における財 i の市場価格 r i

TO

, :地域rにおける生産財iへの税力4 r j i

TF

, , :地域r における j 産業が購入する財 i への税力 4 税力(power of tax)は、税率に 1 を加えたものである。

(10)

r i

TP

, :地域r における財 i の家計購入への税力 r i

TG

, :地域r における財 i の政府購入への税力 式(1)~式(4)を変化で示すと以下のようになる。小文字は変化率を示している。 r i r i r i

pm

to

ps

,

,

, (5) r j i r j i r j i

pm

tf

pf

, ,

, ,

, , (6) r i r i r i

pm

tp

pp

,

,

, (7) r i r i r i

pm

tg

pg

,

,

, (8) GTAP-E 内では、企業、家計、政府が市場からエネルギーを購入する際に、排出クレジ ットを保有(つまりクレジット価格を負担)しなければならないとしている。負担する費 用は、購入するエネルギーの炭素含有量に比例する。よって、モデル内では、以下の式の ようにクレジット価格負担を盛り込む。 r i r j i

CTAX

A

tf

, ,

, (9) r i r i

CTAX

A

tp

,

, (10) r i r i

CATX

A

tg

,

, (11)

CTAX

:排出クレジット価格(US$/トン・炭素) r i

A

, :地域rにおけるエネルギーiの平均炭素含有量(トン・炭素/US$5 ただし、二酸化炭素排出の対象となる購入エネルギーは、原油(OIL)、石油製品(P_C)、 ガス(GAS)、石炭(COL)であり、電力(ELY)は対象とならない。発電に起因する二酸化炭素 排出による費用は発電部門(ELY)で費用負担を行う。ただし、GTAP-E 内では、生産投入財 5 エネルギー市場価格 1US$当たりに含まれる炭素含有量。物量ベースのエネルギーデー タは、IEA「エネルギーバランス表」等を用いて価格データに変換されている。

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の価格変化はそのまま生産財価格へ転嫁されるため、電力使用に関しては間接的ではある が、費用負担が生じる。また、原油産業(OIL)での原油(OIL)購入、石油製品部門(P_C)での 石油製品(P_C)、原油(OIL)の購入、ガス部門(GAS)でのガス(GAS)購入、石炭部門(COL) での石炭(COL)購入は、二酸化炭素排出量算出におけるダブルカウントを避けるために費用 負担の対象外としている。 本研究では、発電部門においてボトムアップ要素を導入6し、電源種別毎のエネルギー効 率の変更を可能なものとする(図表2)。 図表2 トップダウン型と技術バンドル型生産構造比較 一般的トップダウン型生産構造 技術バンドル型生産構造 本研究では、第1約束期間(2008~2012 年)を対象にシミュレーションを実施する。し かし、最新の世界データベースは GTAP データベース第 7 版であり、その基準年は 2004 年である。多くの研究においては、静学モデルを使用し、今後も2004 年のバランスが維持 されると仮定しシミュレーションを実施する。しかし、2012 年と 2004 年では、その経済 構造は大きく変化していると思われ、また中国、インドといった急速な経済成長を遂げて いる途上国の温室効果ガス排出への影響を考慮することが出来ない。そこで本研究では、 静学一般均衡モデルの動学化を行い、2012 年までの世界の姿を推計した。2012 年までの推 計には、IMF の World Economic Outlook Database (October 2008)のデータを利用する。

6 一般的には、これを技術バンドルアプローチ呼び、トップダウンモデルの利点である、経

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2.2. データベース 本研究では、GTAP データベース 7 版を用いて、図表 3 に示す国・地域区分及び産業区 分で分析を行う。 図表3 データベース(国・地域区分、産業区分) 国・地域 産業 ANZ 豪州・NZ AGR 農業 CAN カナダ COA 石炭 USA 米国 OIL 石油 EU15 EU GAS ガス RUS ロシア P_C 石油製品 JPN 日本 ELY 電力 CHN 中国 OMN その他製造業 IND インド PPP 紙・パルプ・出版 KTW 韓国・台湾 CRP 化学・ゴム・プラスティック ASA その他アジア NMM 鉱物製品 ROW その他 I_S 鉄鋼 NFM 非鉄金属 MVH 運輸機械 ELE 電機 OME その他機械 SER サービス TRP 運輸

(注)GTAP Database Version 7 をベースに作成

2.3. 炭素リーケージとは まず、炭素リーケージの生じやすさを示す炭素リーケージ率の定義を示す。炭素リーケ ージ率は、削減目標を持たない国・地域での温室効果ガス排出増加量を削減を行った国・ 地域での削減量で除したものである。たとえば、炭素リーケージ率が 10%で、削減目標を 持つ国・地域において 100 万トン・炭素の削減を行った場合、削減目標を持たない国・地 域において10 万トン・炭素の排出増加が行われることとなる。よって、世界規模で見た場 合の温室効果ガス削減量は90 万トン・炭素となる。よって、炭素リーケージ率は、温室効 果ガス削減の効率性を示す指標と考えられる。

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次に、炭素リーケージが生じるメカニズムに関して説明を行う。炭素リーケージの生じ るルートは大きく分けて以下の二つのルートに分類が出来る。 Path 1:削減目標を有する国に存在する企業は、化石燃料使用時にその炭素含有量に応じ て費用負担を行うことになり、生産財価格を上昇させる結果となる。特に、エネ ルギー多消費産業では生産財価格の上昇は激しく国際競争力を失うこととなる。 よって、削減目標を持つ国にあるエネルギー多消費企業は削減目標のない国へ生 産拠点を移すことなる。また、削減目標を持たない国にあるエネルギー多消費企 業はその生産を増加させることなる。 さらに、このPath には二つの考え方があり、短期的には、削減義務を持たない 国の産業に対して削減義務を持つ国の産業が国際競争力を失う、つまり国産対輸 入の対決である。しかし、中長期的には、新たに工場を建設するときに、削減義 務のない国に建設する。さらには、削減義務のある国の工場を閉鎖し、新たに削 減義務のない国で新工場を建設するといった生産拠点自体を移す可能性もある。 Path 2:全世界レベルで見た場合、エネルギー需要は下がるため、特に炭素含有率の高い エネルギーの世界価格が低下する。このため、温室効果ガス削減目標を持たない 国に存在する企業、特にエネルギー多消費企業の生産財は国際競争力をより一層 持つこととなりその生産量を増加させる。また、エネルギー価格の低下は、削減 義務を持たない国での省エネ活動等の遅れの原因となる。 京都議定書批准附属書I国における温室効果ガス削減が、削減目標のない国での温室効果 ガス排出増加を誘発するいわゆる炭素リーケージは、京都議定書自体の温室効果ガス削減 の効率性を検討するうえで重要な指標である。炭素リーケージ率(Carbon Leakage Rate)

7の計算は数多くのモデル分析により行われてきた。EMF(the Energy Modelling Forum)

(2000)によると、主要なモデルのリーケージ率は、8%(G-Cubed)、9%(GTEM)、11% (Gemini-E3)、14%(WorldScan)、26%(MS-MRT)、34%(MERGE4)であり、モデ ル間でばらつきがある。 これらの多くの研究は、全ての附属書I 国が京都議定書削減目標を達成することを仮定し ており、最大の温室効果ガス排出国であり京都議定書からの脱退を表明した米国を含んだ ものとなっている。しかし、現実的なシナリオとして、米国など実質的に京都議定書から 脱退した国を除く京都議定書批准附属書 I 国でのみ京都議定書削減目標を達成すると想定 7 カーボンリーケージ率は、温室効果ガス削減目標のない国・地域における温室効果ガス排 出増加量を温室効果ガス削減目標のある国・地域において削減された温室効果ガスを除し たものである。

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する必要がある。 2.4. シミュレーションデザイン 京都議定書においては附属書I 国が温室効果ガス削減目標を有しているが、米国は京都議 定書を脱退し、ロシア及び東欧諸国においては、1990 年初頭の経済停滞により削減努力を しなくとも削減目標の達成が可能であるといわれている。そこで、本研究で、日本、EU、 カナダ、豪州・ニュージーランドが京都議定書で定められた削減目標を第一約束期間(2008 ~2012 年)において達成すると仮定した。京都議定書では、クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism (CDM))、国際排出量取引(International Emission Trading (IET))が認められているが、ここでは、削減目標を持つ各国は自国内で削減を行うものと 仮定した。また、吸収源による削減は考慮しない。また、本研究では、エネルギー起源に よる二酸化炭素のみを対象とする。 2.5. シミュレーション結果 京都議定書削減目標を達成することによってどのような経済的影響が存在するであるが、 図表4 は主要国・地域 GDP への影響を示している。カナダがもっとも影響が大きく(-2.7% (2012 年))、EU(-2.6%(2012 年))、豪州・NZ(-1.4%(2012 年)、日本(-1.1%(2012 年))が続く。カナダのGDP への影響は、BAU から京都議定書削減目標達成のための削減 率が非常に高いためである。高い削減費用の負担により産業の国際競争力の低下、国内物 価上昇による実質消費の低下をまねく。我が国への影響が他の削減義務を負う国と比較し て低いのは、既に我が国はエネルギー効率の高い国であり、削減による費用負担による影 響が他国と比較すると軽微であるためである。

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図表4 主要国・地域 GDP 影響 (%) ‐3.0  ‐2.5  ‐2.0  ‐1.5  ‐1.0  ‐0.5  0.0  0.5  2007 2008 2009 2010 2011 2012 CAN EU15 JPN CHN IND ANZ (注)BAU からの乖離を示す。 しかし、GDP への影響のみでなく、産業単位で詳細な影響を検討する必要がある。我が 国への影響に関して、産業単位で評価を行う。図表 5 は、わが国の主要産業の生産への影 響を示している。鉄鋼、化学・ゴム・プラスティックといったエネルギー集約型産業への 影響が大きい。鉄鋼では、2012 年時点で BAU から 7.0%生産量が低減する。化学・ゴム・ プラスティックは、2012 年時点で 9.5%生産量が低下する。 運輸機械、その他機械に関しても、2012 年時点で BAU からそれぞれ 2.1%、2.0%生産量 が低下する。

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図表5 産業別生産量変化(日本) (%) ‐10 ‐9 ‐8 ‐7 ‐6 ‐5 ‐4 ‐3 ‐2 ‐1 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 紙・パルプ・出版 化学・ゴム・プラス ティック 鉱物製品 鉄鋼 非鉄金属 運輸機械 その他機械 運輸 (注)BAU からの乖離を示す。 さらに、鉄鋼産業を例に、削減目標を持つ国と待たない国との影響の差を見ていく。つ まり、生産量の減少には、1)国内需要停滞8及び2)国際競争力停滞による輸出減の二つ によって生じる。ここでは、特に輸出減に注目し、実際に削減目標を持つ国で生産量が減 少する一方、削減義務を持たない国で生産量が増加しているかに関して検討を行う。 図表6 は、主要国での鉄鋼業の生産量の差を示している。日本 EU では、2012 年時点で、 BAU シナリオからそれぞれ 7.0%、10.9%鉄鋼業の生産量が低下するのに対して、中国、イ ンド、米国、韓国・台湾では逆に1.3%、1.1%、1.5%、1.2%生産量が増加する。日本、EU では、削減活動を行うことにより生じる費用負担の結果、生産コストが跳ね上がることに よる国際競争力の低下と、国内市場の冷え込みによる影響と考えられる。逆に削減義務を 負わない国は削減義務を負う国に対して競争力を増す結果となり、輸出が増加することを 示唆している。昨今の経済停滞により、各国鉄鋼生産増の余裕が存在するため、実際の削 減義務を持たない国への生産移転は本シミュレーションより大きくなる可能性がある。 8削減義務のある国ではエネルギー使用に対して追加費用を支払う必要があり物価が上昇す る、経済が停滞することにより家計収入(労働及び資本収入)の落ち込みの両面で、実質 消費が減少する。

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図表6 鉄鋼業の各国地域生産量変化 (%) ‐12 ‐10 ‐8 ‐6 ‐4 ‐2 0 2 4 2007 2008 2009 2010 2011 2012 USA EU15 JPN CHN IND KTW (注)BAU からの乖離を示す。 先ほど述べたが、我が国の運輸機械及びその他機械は、2020 年時点で BAU からそれぞ れ 2.1%、2.0%低下する。我が国機械産業は、他の産業と比較して生産量に占める輸出の 割合が高い(図表7)。運輸機械に関しては輸出は生産の 32.0%、その他機械に関しては輸 出は生産の42.9%を占める。つまり、国際競争力の低下は直接生産量に影響を与える。 図表7 我が国機械産業の生産の国内向け輸出向け比率 国内 輸出 運輸機械 68.0% 32.0% その他機械 57.1% 42.9% (出典)GTAP データベース第 7 版をベースに作成 図表 8 は、我が国機械産業の輸出量変化を示している。京都議定書第一約束期間に入る と、徐々に輸出量が低下する。2012 年には、運輸機械で 2.9%、その他機械で 3.0%低下す る。生産量に占める輸出割合が高い我が国機械産業にとって、輸出の低下はその生産量に 大きな影響となる。

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図表8 機械産業輸出量変化(日本) (%) ‐3.5 ‐3 ‐2.5 ‐2 ‐1.5 ‐1 ‐0.5 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 運輸機械 その他機械 (注)BAU からの乖離を示す。 この輸出の低下であるが、我が国機械産業の国際競争力低下によるものと考えられる。 図表 9、10 はそれぞれ、我が国の運輸機械、その他機械の輸出価格、輸入価格、交易条件 を示している。交易条件は、輸出価格から輸入価格を減じることにより算出される。つま り、交易条件が正であると国際競争力を失っていることを示し、負である場合、国際競争 力が高まっていることを示す。両産業とも国際競争力が低下することを示している。以上 のことより、両産業の交易条件の悪化が輸出減少につながり、両産業とも輸出比率が高い ため、生産量減を招いたと言える。

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図表9 運輸機械交易条件変化(日本) (%) 0.0  0.2  0.4  0.6  0.8  1.0  1.2  1.4  1.6  1.8  2007 2008 2009 2010 2011 2012 輸出価格 輸入価格 Terms of Trade (注1)BAU からの乖離を示す。 (注2)Terms of Trade は、輸出価格と輸入価格の差。 図表10 その他機械交易条件変化(日本) (%) 0.0  0.2  0.4  0.6  0.8  1.0  1.2  1.4  1.6  1.8  2007 2008 2009 2010 2011 2012 輸出価格 輸入価格 Terms of Trade (注1)BAU からの乖離を示す。 (注2)Terms of Trade は、輸出価格と輸入価格の差。

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では、温室効果ガス削減策として、京都議定書の有効性を検討する。図表11 は、全世界 の温室効果ガス排出量のBAU シナリオと京都議定書シナリオを比較したものである。京都 議定書によって温室効果ガスはBAU シナリオから 7.0%低下する。 図表11 全世界温室効果ガス排出量変化 (100 万トン・炭素) 0  2,000  4,000  6,000  8,000  10,000  12,000  14,000  16,000  18,000  2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 BAU Kyoto (注)BAU:Business-as-usual、Kyoto:京都議定書削減目標達成シナリオ より詳細に検討を行うために、削減義務を持つ国と持たない国に排出量の変化を見てみ る。図表12 は、削減目標を持つ国と持たない国の BAU シナリオ及び京都議定書シナリオ を示している。実質的削減義務を負う国(日本、EU、カナダ、豪州・NZ)は、BAU から 大幅な削減を達成する一方、削減目標を持たない国は逆にBAU から増加している。削減目 標を持つ国で削減した量で削減目標を持たない国で増加した量を除したものを炭素リーケ ージ率と呼ぶが、本シミュレーションでは20.6%である。つまり、削減した量の 20.6%は、 削減目標を持たない国で増加しており、実際に削減できた量は削減目標を持つ国で削減し た量の79.4%に過ぎない。

(21)

図表12 削減目標を持つ国と持たない国の排出量変化 (100 万トン・炭素)

2,000 

4,000 

6,000 

8,000 

10,000 

12,000 

14,000 

16,000 

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

Japan+EU+Canada+ANZ  (Base)

Japan+EU+Canada+ANZ  (Policy)

Others (Base)

Others (Policy)

(注)赤は削減目標を持つ国(日本、EU、カナダ、豪州・NZ)、青は削減目標を持たない 国を示している。実線はBAU シナリオ、破線は京都議定書シナリオを示す。 京都議定書の温室効果ガス削減における有効性の問題は、ただ単に削減目標を持つ国・ 地域の範囲が狭くなったためではなく、削減目標を持つ国が削減努力を行うことによって 逆に削減目標の無い国・地域で温室効果ガスが増加するいわゆる炭素リーケージを考慮し たのもでなければいけない。エネルギー多消費産業ではなく、温暖化政策による影響が比 較的軽微であると思われていた機械産業においても生産量への影響は大きい。 2.6. 炭素リーケージ対策 このように、京都議定書のように、削減義務を持つ国と持たない国が存在している状況 では、1)削減義務を持つ国の範囲が非常に狭い(排出量の面から)、2)本研究の中心対 象である炭素リーケージが発生する、ことにより効率性と効果が非常に損なわれている。 昨今の金融危機に端を発する経済停滞の状況において、産業が国外へ移転するのは雇用の 面でも非常に深刻な問題である。さらに、経済停滞は、各国に余剰生産能力を産むことと なり、この経済状況下で、温室効果ガス排出削減義務を負う国が削減を行う場合には、本 シミュレーションで算出した(炭素リーケージ率 20.6%)以上の炭素リーケージが生じる 可能性は十分にある。

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そのため、炭素リーケージを抑えることが削減義務を負う国において、経済と環境を両 立させる上で重要な政策課題となっている。我が国では、炭素リーケージ対策に関しては、 それほど多くの議論はなされていないが、EU においては地球温暖化施策を考える上で重要 な課題となっている。EU は温暖化対策の手段として、欧州排出量取引制度(EU Emission Trading Scheme (EUETS))が導入されている。現在は、参加企業に対しては、グランドフ ァーザリング方式により無償で排出枠を提供しているが、今後無償から有償へ配分方法を 変更する予定である。これにより当然企業の費用負担は大きくなり、EU 域内から産業が逃 げ出す可能性がある。排出権配分方法の有償化への議論と同時に炭素リーケージ対策議論 も EU では活発化している訳である。炭素リーケージ対策であるが、さまざまな提案が存 在する。以下にいくつか例を挙げる。  排出権の無償配分

 国境調整税(Border Tax Adjustments)  国際セクター別協定 等

特に、国境調整税に関しては、欧州の学者の間では研究が活発化しているが、WTO への 抵触、対象となる財の選別方法など、その実行には多くの障害があることが分かっている。

これまでの議論は、京都議定書のように、削減義務を持つ国と持たない国が存在する制 度を前提とした議論であるが、逆に京都議定書に代わる枠組みを導入することにより、炭 素リーケージが生じない枠組みの検討が行われている。代表例では、LSE (London School of Economics and Political Science) のスターン教授(Nicholas Stern)は最近の論文で、世 界排出量取引制度を、1)排出量の管理が可能となる、2)削減コストが低下する、3) 途上国に対して低炭素開発のための資金フローを生み出すことが出来る、としその有効性 を認めている。

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3. まとめ

温室効果ガス削減策としての国際枠組みを議論する際に、「共通だが差異のある責任 (Common but Differentiated Responsibilities (CBDR))」の原則をどのように解釈するか が大きな論点となる。京都議定書を作成する段階においても、共通だが差異のある責任の 再現方法に関して幾つもの提案がなされてきた。しかし、結局は、先進国に対しては削減 目標を課し、途上国は自主的努力とすることでこの原則を再現した。 京都議定書のような、削減目標を持つ国と持たない国という制度では、削減目標を持つ 国の産業が削減目標を持たない国に対して国際競争力を失う結果、生産量の減少や削減目 標を持たない国への生産拠点の移転などが生じる。特にエネルギー集約型産業では顕著で ある。その結果、削減目標を持つ国で削減が進んだとしても削減目標を持たない国で温室 効果ガスが増加する結果となる。つまり、炭素リーケージが発生することとなり、温室効 果ガスの削減効率は大きく損なわれる。 炭素リーケージ対策として、削減目標を持たない国(例えば、中国)からの輸入に対し て輸入段階において生産によって発生した温室効果ガスに応じて課税を行う国境税調整 (Border Tax Adjustment)なども提案されているが、WTO の原則に抵触する可能性及び 輸入財の生産に要したエネルギー量や温室効果ガス排出量を正確に把握するのは困難であ り、その実効性には疑問がある。特に機械産業が提供する製品は非常に広範であり、また 各国からの中間投入財を利用するため、実際に生産時に発生した温室効果ガスの量を把握 するのは不可能である。 経済成長段階等各国の事情に応じた負担、いわゆる「共通だが差異のある責任」の原則 に則る必要はあるが、京都議定書のような、一部の国に対しいてのみある基準年からの削 減率の設定では、炭素リーケージが生じるのみならず、今までの削減努力(先行者努力) を評価しない枠組みとなってしまう。 次期枠組みでは、炭素リーケージの抑制、先行者努力を評価する枠組みの設定が望まれ る。

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参考文献

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東京工業品取引所 2004、「エネルギー使用合理化取引市場設計関連調査(排出削減量取引 市場効率化実証等調査)」、平成16 年 3 月

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別添資料 図表A1 GDP への影響 (%) 2008 2009 2010 2011 2012 豪州・NZ -1.0 -1.0 -1.1 -1.3 -1.4 カナダ -1.9 -2.0 -2.2 -2.5 -2.7 米国 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 EU -1.7 -1.8 -2.0 -2.3 -2.6 ロシア -0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 日本 -0.7 -0.8 -0.9 -1.0 -1.1 中国 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 インド 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 韓国・台 湾 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 その他ア ジア 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 その他 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離 図表A2 産業別生産量への影響(日本) (%) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 紙・パルプ・出版 0.0 -1.1 -1.1 -1.2 -1.4 -1.5 化学・ゴム・プラス ティック 0.0 -6.7 -7.0 -7.7 -8.6 -9.5 鉱物製品 0.0 -2.0 -2.1 -2.3 -2.6 -2.8 鉄鋼 0.0 -5.1 -5.4 -5.9 -6.5 -7.0 非鉄金属 0.0 -2.1 -2.4 -2.7 -3.0 -3.2 運輸機械 0.0 -1.7 -1.8 -1.9 -2.0 -2.1 その他機械 0.0 -1.7 -1.8 -1.9 -1.9 -2.0 運輸 0.0 -1.8 -1.9 -2.1 -2.4 -2.7 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離

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図表A3 国別鉄鋼業生産量変化 (%) 2008 2009 2010 2011 2012 豪州・NZ -2.6 -2.9 -3.2 -3.6 -4.0 カナダ -7.2 -7.4 -7.7 -8.1 -8.4 米国 1.2 1.2 1.3 1.4 1.5 EU -7.6 -8.3 -9.1 -10.0 -10.9 ロシア 4.4 3.9 3.6 3.4 3.1 日本 -5.1 -5.4 -5.9 -6.5 -7.0 中国 1.3 1.3 1.3 1.3 1.3 インド 1.2 1.1 1.1 1.1 1.1 韓国・台湾 1.2 1.1 1.1 1.2 1.2 その他 アジア 3.0 2.8 2.8 2.9 2.9 その他 4.5 4.2 4.2 4.2 4.2 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離 図表A4 主要産業別輸出量変化(日本) (%) 2008 2009 2010 2011 2012 その他製造業 -3.9 -4.0 -4.3 -4.6 -4.8 紙・パルプ・出版 -3.7 -3.9 -4.2 -4.6 -4.9 化学・ゴム・プラスティ ック -17.4 -18.4 -20.2 -22.6 -24.7 鉱物製品 -8.8 -9.5 -10.4 -11.5 -12.5 鉄鋼 -18.3 -19.6 -21.5 -23.8 -25.8 非鉄金属 -4.0 -4.8 -5.7 -6.6 -7.4 運輸機械 -2.6 -2.6 -2.7 -2.8 -2.9 電機 -2.6 -2.6 -2.6 -2.6 -2.6 その他機械 -2.7 -2.7 -2.9 -2.9 -3.0 運輸 -1.3 -1.3 -1.2 -1.3 -1.3 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離

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図表A5 運輸機械輸出価格及び輸入価格変化 (%) 2008 2009 2010 2011 2012 輸出価格 1.4 1.4 1.5 1.6 1.7 輸入価格 1.2 1.2 1.3 1.4 1.5 輸出価格-輸入価格 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離 図表A6 その他機械輸出価格及び輸入価格変化(日本) (%) 2008 2009 2010 2011 2012 輸出価格 1.4 1.4 1.4 1.5 1.6 輸入価格 1.2 1.2 1.3 1.4 1.5 輸出価格-輸入価格 0.2 0.2 0.2 0.1 0.1 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離 図表A7 運輸機械及びその他機械輸出量変化(日本) (%) 2008 2009 2010 2011 2012 運輸機械 -2.6 -2.6 -2.7 -2.8 -2.9 その他機械 -2.7 -2.7 -2.9 -2.9 -3.0 (注)BAU (Business-as-usual)からのかい離

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非 売 品 禁無断転載 平 成 2 0 年 度 温室効果ガス削減施策が機械産業に及ぼす影響調査報告書 発 行 平成21年3月 発行者 社団法人 日本機械工業連合会 〒105-0011 東京都港区芝公園三丁目5番8号 電 話 03-3434-5384 富士通 株式会社 〒211-8588 神奈川県川崎中原区上小田中四丁目1 番 1 号 電 話 047-777-1111

図表 4  主要国・地域 GDP 影響  (%)  ‐3.0 ‐2.5 ‐2.0 ‐1.5 ‐1.0 ‐0.5 0.0 0.5  2007 2008 2009 2010 2011 2012 CAN EU15JPNCHNINDANZ (注)BAU からの乖離を示す。    しかし、GDP への影響のみでなく、産業単位で詳細な影響を検討する必要がある。我が 国への影響に関して、産業単位で評価を行う。図表 5 は、わが国の主要産業の生産への影 響を示している。鉄鋼、化学・ゴム・プラスティックといったエネルギー集約
図表 5  産業別生産量変化(日本)  (%)  ‐10‐9‐8‐7‐6‐5‐4‐3‐2‐10 2007 2008 2009 2010 2011 2012 紙・パルプ・出版 化学・ゴム・プラスティック鉱物製品鉄鋼非鉄金属運輸機械その他機械運輸 (注)BAU からの乖離を示す。    さらに、鉄鋼産業を例に、削減目標を持つ国と待たない国との影響の差を見ていく。つ まり、生産量の減少には、1)国内需要停滞 8 及び2)国際競争力停滞による輸出減の二つ によって生じる。ここでは、特に輸出減に注目し、実際に削減目標
図表 6  鉄鋼業の各国地域生産量変化  (%)  ‐12‐10‐8‐6‐4‐2024 2007 2008 2009 2010 2011 2012 USA EU15JPNCHNINDKTW (注)BAU からの乖離を示す。    先ほど述べたが、我が国の運輸機械及びその他機械は、2020 年時点で BAU からそれぞ れ 2.1%、2.0%低下する。我が国機械産業は、他の産業と比較して生産量に占める輸出の 割合が高い(図表 7)。運輸機械に関しては輸出は生産の 32.0%、その他機械に関しては輸 出は生産の
図表 8  機械産業輸出量変化(日本)  (%)  ‐3.5 ‐3‐2.5‐2‐1.5‐1‐0.50 2007 2008 2009 2010 2011 2012運輸機械 その他機械 (注)BAU からの乖離を示す。    この輸出の低下であるが、我が国機械産業の国際競争力低下によるものと考えられる。 図表 9、10 はそれぞれ、我が国の運輸機械、その他機械の輸出価格、輸入価格、交易条件 を示している。交易条件は、輸出価格から輸入価格を減じることにより算出される。つま り、交易条件が正であると国際競争力を失っ
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