国 際 景 観 生 態 学 会 日 本 支 部 会 報8(3):53-62.2003.
原 著
大 阪市街地 の都市緑地の樹林を利用する鳥類 を決定す る要因
橋 本 啓 史1・ 夏 原 由 博2・ 森 本 幸 裕3
1
京 都 大 学 大 学 院農 学研 究 科606-8502京 都 市 左京 区北 白川 追 分 町 (hashi@kais. kyoto-u. ac. jp)
2
大 阪 府 立 大 学 大 学 院 農学 生命 科 学 研 究 科599-8531堺 市学 園 町1-1 (natuhala@envi. osakafu-u. ac. jp)
3
京 都 大 学 地 球 環 境 学 大学 院606-8502京 都 市 左 京 区 北 白川 追 分 町
(ymo@kais. kyoto-u. ac. jp)
The factors affecting land birds in urban parks of Osaka
Hiroshi Hashimoto 1 Yosihiro Natuhara 2 and Yukihiro Morimoto 3 1 Graduate School of Agriculture
, Kyoto University, Kitashirakawa Oiwake-cho, Sakyo-ku, Kyoto, 606-8502 Japan. 2 Graduate School of Agriculture and Biological Sciences, Osaka Prefecture University, 1-1 Gakuen-cho, Sakai, Osaka, 599-8531, Japan. 3 Graduate School of Global Environmental Studies, Kyoto University, Kitashirakawa Oiwake-cho, Sakyo-ku, Kyoto, 606-8502 Japan.
Abstract: Bird survey was conducted in 85 urban parks in the breeding season of 2000 in Osaka city, western Japan, to clarify the factors affecting bird species richness and bird community in urban small parks. Eleven species of land birds were observed. As the result of comparison of goodness of fit between a species-log area and a species-species-log tree area curve, the former fitted better. We made a multiple regression analysis to predict the number of species in the urban parks. Tree area of parks was a positive factor, whereas areas of streets, offices and commercial buildings were negative factors affecting species richness. But the obtained model fit less than that of an earlier study in Osaka Prefecture. The reason may be related to the small number of bird species in urban parks in the central area of Osaka city. Bird communities were classified using TWINSPAN. We recognized three types of bird species groups, such as, "urban birds", open habitat species and forest species. The result of a discriminant analysis showed that tree area positively affected bird communities in urban parks. Street coverage, and office and commercial building coverage had negative effects. Busy streets and tall buildings will interfere bird movement. We suggest the minimum area of tree stands required for creating adequate habitat for forest birds in an urban area may be about 5 ha.
Key Words: bird community, multivariate statistics, Osaka, species-area relationship, urban parks
は じめ に 都 市 に お い て 野 鳥 な ど の 多 様 な 生 物 が 生 息 す る こ と は,複 雑 な 食 物 網 が 形 成 さ れ,生 態 系 の バ ラ ン ス が 保 た れ る こ と に つ な が る.ま た,野 鳥 の 生 息 は 都 市 住 民 の 生 活 に う る お い を あ た え る. 都 市 緑 地 や 孤 立 林 の 面 積 な ど と鳥 類 の 種 数 や 種 組 成 と の 関 係 に つ い て は,こ れ ま で に も 国 内 外 で 多 く の 報 告 が あ る(樋 口 ら1982;Natuhara and Imai 1999; Fernan dez-Juricic and Jokimaki 2001).大 阪 の 都 市 緑 地 に つ い て もNatuhara and Imai(1999)や 和 田(1999) の 報 告 が あ る.し か し 標 準 面 積 が0.25haの 街 区 公 園 (児 童 公 園)規 模 の 都 市 緑 地 は,鳥 類 の 生 息 地 と し て あ ま り 重 要 視 さ れ て こ な か っ た た め,小 規 模 な 都 市 緑 地 の 鳥 類 相 を 規 定 す る 要 因 に つ い て は 充 分 に 明 ら か に さ れ て い る と は 言 え な い.し か し,新 た な 大 緑 地 を 創 出 す る こ と が 困 難 な 市 街 地 に お い て 生 物 相 を 豊 か に す る に は,街 区 公 園 や 近 隣 公 園(標 準 面 2.0ha)規 模 の 緑 地 の 整 備 が 中 心 的 な 役 割 を 果 た す こ と に な る.ま た,市 街 地 全 体 を 生 態 学 的 に 健 全 な 状 態 にす る た め に は 小 規 模 緑 地 の 活 用 が 必 要 と な る. 本 研 究 で は,大 阪 市 街 地 の0.1ha程 度 の 街 区 公 園 か135haの 大 規模 緑 地 まで を含 ん だ都 市 緑 地 にお い, て 鳥 類 相 を調 査 し,小 規 模 緑 地 を含 ん だ 市 街 地 の 都 市 緑 地 の 鳥類 種 数 お よ び種 組 成 を決定 す る要 因 を分 析 した.都 市緑 地 内 に 生 息す る 鳥 類 の 種 数 につ いて は,緑 地 面積 との 回 帰分 析 お よ び ス テ ツプ ワイ ズ 重 回 帰 分 析 によ る 環 境 要 因 の 探索 をお こな った.種 組 成 につ いて は,TWINSPANに よ って 鳥 類 群 集 を分 類 した の ち,判 別 分 析 によ って環 境 要 因 か ら鳥 類 相 を 予 測 す る式 を も とめ た.な お,貧 弱 な 鳥 類 相 の場 所 の評 価 に は個 体 数 は 適 当で は な く,種 数 や 種 組 成 を も ち い る ことが 望 ま し い こ とが,大 迫(1992)に よ っ て指 摘 され て い る. 分 析 対 象は 繁 殖 期 の樹 林 性 鳥 類 とし た.一 般 的 に 日本 め都 市 緑 地 で は,繁 殖 期 よ りも越 冬 期 の方 が 多 様 な野 鳥 が 観 察 され る.し か し,繁 殖 期 の樹 林 性 鳥 類 相 は年 変 動 が 少 な く,ま た 鳥 類 が 生 息す る こ とで 昆 虫 の発 生数 が 抑 え られ る な ど(Sanz 2001),都 市 生 態 系 の健 全 性 の指 標 とな って い る と考 え られ る. な お,冬 鳥や 渡 りの途 中 の種 と 明 らか に判 断 で き る 種 が 記録 され た場 合 は,分 析 対 象 か ら除 い た. 本研 究 をお こな うに あ た り,大 阪府 環 境 農 林 水 産
大 阪市街地 の都市 緑地 の樹 林を利用 する鳥 類 を決定 ずる要因 部 緑 整 備 室 に 空 中 写 真 閲 覧 の 許 可 を い た だ い た.大 阪 府 立 大 学 大 学 院 の 前 中 久 行 教 授 お よ び 中 村 彰 宏 助 手 に は 本 論 を ま と め る 際 に 助 言 を い た だ い た.ま た, 京 都 府 立 大 学 大 学 院 生(当 時)の 長 瀬 興 氏 に は 自作 の 『細 密 数 値 情 報 土 地 利 用 』 デ ー タ 変 換 プ ロ グ ラ ム を 提 供 い た だ い た.以 上 の 皆 様 に 感 謝 し ます. 調 査 地 お よ び 方 法 1. 調 査 地 研 究 対 象 地 は,大 阪 府 大 阪 市 の 淀 川 以 南 お よ び 堺 市 北 部 の85か 所 の 都 市 緑 地(公 園 ・社 寺)と し た. 緑 地 の 敷 地 面 積 は0.1-135ha,平 均5.5±17.67haで あ る.こ の 地 域 は か つ て 淀 川 の 氾 濫 原 で 低 湿 地 と な っ て い た た め,一 部 の 台 地 上 に は 森 林 が 存 在 し た が, 樹 林 の ほ と ん ど は 植 栽 さ れ た も の で あ る.現 在,緑 地 周 囲 の 土 地 利 用 は,オ フ イ ス ビ ル 街 や 低 層 密 集 住 宅 地,中 高 層 住 宅 地 な ど が 主 と な っ て い る.堺 市 内 の 中 高 層 住 宅 団 地 は,比 較 的 緑 が 多 い 住 宅 地 と な っ て い る. 2. 現 地 調 査 現 地 調 査 は,2000年4月29日 か ら7月20日 の 問 の 晴 天 日 の6時 か ら13時 の 問 に,各 調 査 地 に つ き2 回 ず つ お こな っ た.鳥 類 の 記 録 に は,緑 地 内 の ほ ぼ 全 域 を 時 速 約2kmで 歩 き な が ら出 現 種 を 記 録 す る ラ イ ン セ ン サ ス 法 を も ち い た が,観 察 距 離 が 遠 い 個 体 も 記 録 に 含 め た.ま た,上 空 通 過 個 体 や 緑 地 外 約50 m以 内 の 出 現 個 体 も,お も に そ の 緑 地 を 利 用 し て い る も の と み な し て 記 録 に 含 め た.観 察 に は10倍 の 双 眼 鏡 を 補 助 的 に も ち い た. 3. 環 境 要 因 緑 地 内 お よ び そ の 周 囲 の 樹 冠 投 影 図 は,1994年 撮 影 の 空 中 写 真(大 阪 府 緑 整 備 室 所 有)を イ メ ー ジ ス キ ャ ナ ー で 取 り 込 み,画 像 処 理 ソ フ トERDAS IMAGINE Ver.8.3(ERDAS社 製)で 簡 易 オ ル ソ 補 正 を し た の ち,GISソ フ トArcView3.1(ESRI社 製) 上 で ト レ ー ス し て 作 成 し た.樹 冠 直 径1m程 度 の 街 路 樹 や 個 人 住 宅 内 の 樹 木 も読 み 取 っ た.樹 冠 投 影 図 か らは,緑 地 内 樹 冠 面 積(G)(m2)を 計 測 し た.ま た, 緑 地 周 囲 の 樹 木 量 と して,緑 地 の 敷 地 境 界 か ら100m お よ び200mの バ ツ フ ァ を 発 生 させ,バ ツ フ ァ 内 の 樹 木 率%(G100,G200)を 算 出 し た.緑 地(公 園 ・社 寺)の 敷 地 面 積(A)(m2)や 周 囲 長(P)(m)も 同 様 に 空 中 写 真 を も と に 計 測 し た.緑 地 の 形 状 の 指 標 と し て,面 積 と 周 囲 長 か ら算 出 さ れ る 形 状 指 数K=P/2√ (Aπ)を もち い た.正 規 化 をす る た め,面 積 と周 囲 長 は 常 用 対 数 変換,樹 木 率 は 平方 根 変換 した の ち 逆 正 弦 変 換 をお こな った 値 を もち い た.な お,緑 地 の敷 地 面 積 と周 囲長 は,緑 地 内 樹 冠 面 積 と の問 で 高 い相 関 を もっ た た め,本 研 究 で は 樹 林 性 の鳥 類 を分 析 対 象 と して い る こ とか ら,重 回 帰 分 析 と判 別 分 析 に は 緑 地 内 樹 冠 面積 の み を変 数 と し,緑 地 の敷 地 面 積 と 周 囲 長 は変 数 として も ち い なか っ た. 緑 地 周 囲 の 土地 利 用 につ いて は,国 土 地 理 院 発 行 の 『近 畿 圏版 細 密数 値 情 報10mメ ツ シ ュ土 地 利 用 (1996)』 をGISに 取 り込 み,凡 例 を統 廃 合 して 利 用 した.緑 地 の敷 地 境 界 か ら100mお よび200mの バ ッ フ ァを発 生 させ,バ ッ フ ァ 内 の土 地 利 用 タイ プ ご との 面積 割 合(%)を 読 み 取 り,平 方 根 変 換 した の ち逆 正 弦 変 換 をお こな った 値 を も ち い た.分 析 に は,調 査 対 象 地 周 辺 に少 な い 土 地 利 用 タイ プや 多 様 な 土 地被 覆 を含 む凡 例(例 え ば 公 共 用 地)を 除 き, 低 層 住 宅地 率(LR),中 高 層住 宅 地 率(TR),商 業 ・ 業 務 用 地 率(CO),道 路 用 地 率(RO)を も ち い た. 一 般 低 層 住 宅地 と密集 低 層 住 宅 地 は ,庭 の有無な ど に違 いが あ る と考 え られ るが,庭 木 な どは 樹 冠 投 影 図か ら読 み 取 っ て い る の で,凡 例 を統 合 した.低 層 住 宅 地 と 中高 層 住 宅地 は,野 鳥 が 移 動 す る際 の見 通 しや 飛 行 高 度 に対 す る影 響 が 異 な る と考 え られ る た め,統 合 しな か った.商 業 ・業 務 用 地 に は,店 舗 の ほか に オ フ ィス ビル な ど も含 まれ て い る.道 路 用 地 に は,阪 神 高 速 道 路 な どの 高 架 上 の道 路 も含 まれ て い る. 樹 林 性 鳥類 の供 給 源 と考 え られ る 山地 の連 続 した 森 林 か らの 距 離(D)を,本 調 査 地 の 東 に位 置 す る 生 駒 山 地 の連 続 した 森 林 か らの距 離 と して,GISソ フ ト上 で細 密数 値 情 報 土 地 利 用 図か ら0.1km単 位 で 計 測 した.ま た,樹 冠 面 積10ha以 上 の 大 規模 緑 地(3 か 所;1か 所 は 調 査 対 象外 の 緑 地)か らの距 離(D10) も0.1km単 位 で 計 測 した.な お 大 規 模 緑 地 自身 の D10は0kmと した 。 緑 地 の 開 設 か らの 経 過 年 数(Y)は,文 献(大 阪 府 土 木 部 公 園 課2001)か ら読 み 取 り,10年 単 位 で0 -9年 ま で を10 ,90年 以上 を100と した. 4. 分 析 方 法 (1) 種 数 まず,樹 林 性 鳥 類 の 種数 と緑 地 の敷 地 面 積 お よび 緑 地 内樹 冠 面 積 との 回 帰 式 を も と めた.面 積 は常 用 対 数 変 換 を お こな って い る のでGleason(1922)の 片 対 数 モデ ル と同 じ形 の 式 で あ る.た だ し,面 積 の
樗 本啓史 ・夏 原由博 ・森 本幸裕 空 中写 真 を も とに 計測 した.緑 地 の 形 状 の指 標 と し 計測 単 位 は 平方 メー トル で あ るた め,多 く の研 究 で 示 さ れ て い る ヘ クタ ー ル 単 位 の面 積 を もち い た 回 帰 式 との係 数 の大 小 の 比較 に は注 意 が必 要 で あ る. 次 に,ス テ ツプ ワ イ ズ 重 回 帰 分 析 によ って,種 数 を決 定 す る環 境 要 因 を 明 らか に した.重 回 帰 式 は, 線 形重 回帰 モデ ル(た だ し樹 冠 面 積 は常 用 対 数),指 数 関数 モデ ル,ロ ジ ス テ ィ ック 回 帰 モデ ル の3種 類 を,そ れ ぞ れ 最 小 二 乗 法 を も ち いて 作 成 し,自 由度 調 整済 み 決定 係 数 が最 大 とな るモ デ ル を最 もあ て は ま りの よ い モデ ル と して 採用 した.指 数 関 数 モデ ル, ロ ジス テ ィ ック 回 帰 モ デ ル は,式 をそ れ ぞ れ 式2, 式3の よ うに変 形 して も とめ た. (式1;直 線 回 帰 モ デ ル) (式2;指 数 関 数 モ デ ル) (式3;ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 モ デ ル) (S;そ の 調 査 地 に お け る 分 析 対 象 種 数,k;分 析 対 象 全 調 査 地 内 の 分 析 対 象 種 数) 独 立 変 数 は 前 節 で 用 意 し た 環 境 要 因 を も ち い た が, 互 い に 相 関 の 高 い 変 数 が 同 じ 式 に 入 ら な い よ う,以 下 の 手 順 に よ っ て 重 回 帰 分 析 で も ち い る変 数 を 採 用 し た.ま ず 種 数 と の 間 の 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 高 い も の か ら順 に 変 数 と し て 採 用 す る.つ い で,採 用 さ れ た 変 数 間 で 相 関 係 数 の 絶 対 値 が0.5以 上 あ る採 用 順 位 が 低 い 変 数 は 除 外 す る.こ の 手 順 を 繰 り返 し,全 て の 変 数 に つ い て 採 用 の 可 否 を 検 討 し た.重 回 帰 式 の 説 明 変 数 の 選 択 はF-in=2.0,F-out=1.9と す る 前 進 ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 で お こ な っ た.樋 口 ら(1982)は, 面 積1.0ha未 満 の 森 林 で は 種 数 と 面 積 の 関 係 が 不 明 瞭 に な る こ と を 明 ら か に し て い る.そ こ で 重 回 帰 モ デ ル は,全 調 査 地 を分 析 対 象 と し た モ デ ル に 加 え, 1.0ha未 満 の 樹 冠 面 積 の 緑 地(n=61)を 対 象 と し た モ デ ル,お よ び1.Oha以 上 の 樹 冠 面 積 の 緑 地(n=24) を 対 象 と し た モ デ ル を そ れ ぞ れ 同 様 の 手 順 で 作 成 し, 3種 類 ず つ,計9個 の 回 帰 式 を 作 成 した. (2) 種 組 成 2回 の 調 査 に お け る そ れ ぞ れ の 種 の 出 現 頻 度(0,1 ま た は2)を も と に,TWlNSPAN(Hill, 1979)に よ っ て 第3分 割 ま で お こ な い,調 査 地 点 を4グ ル ー プ に 分 類 し た.つ い で 多 群 の 判 別 分 析 に よ っ て,鳥 類 相 を 決 定 す る 環 境 要 因 を 探 っ た.独 立 変 数 は,種 数 の 重 回 帰 式(3種)で 選 択 さ れ た 環 境 要 因 の う ち, 全 調 査 地 を 対 象 と し た 式,樹 冠 面 積1ha未 満 の 緑 地 を 対 象 と した 式,樹 冠 面 積1ha以 上 の 緑 地 を 対 象 と し た 式,の 優 先 順 位 で,相 関 係 数 の 絶 対 値 が0.5以 上 の 他 の 変 数 を 除 い た 変 数 を も ち い た.説 明 変 数 の 選 択 はF-in=2.0,F-out=1.9と す る ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 で お こ な っ た.選 択 さ れ た 環 境 要 因 に つ い て,そ れ ぞ れ の グ ル ー プ 内 の 値 を 比 較 し た. 結 果 1. 出 現 種 数 (1) 種 数 と 面 積 の 関 係 全 調 査 地(n=85)に お け る 全 出 現 種 数 は31種(平 均6.1±3.26種),分 析 対 象 と な る 樹 』林 性 鳥 類 種 数 は 11種(平 均5.3±2.03種)で あ っ た(表1).ま た, 樹 冠 面 積1ha未 満 の 緑 地 に お け る 分 析 対 象 種 数 は9 種 で あ っ た.な お,樋 口 ら(1982)は ドバ トColumba liviaを 樹 木 に依 存 し な い 種 と して 扱 っ て い る が,本 種 は 樹 木 に も 止 ま り,ま た 樹 上 で は な い が 他 種 と の 餌 の 競 合 関 係 か ら種 組 成 に影 響 を あ た え て い る と 考 え られ る た め,分 析 対 象 種 に含 め た. 種 数 と面 積 の 関 係 は,図2の よ う に な り,以 下 の 2式 が 得 ら れ た. (式4) (式5) ど ち ら も 有 意 な 式 と な っ た が,決 定 係 数 は 種 数 と 緑 地 の 敷 地 面 積 と の 間 の 回 帰 式 の 方 が 高 か っ た.緑 地 内 樹 冠 面 積 と 種 数 と の 関 係 を し め す 散 布 図(図1 b)を 見 る と,種 数 は 樹 冠 面 積5ha程 度 に お い て10 種 に 達 し,頭 打 ち と な っ て い た.ま た,樹 冠 面 積 が 小 さ い 緑 地 ほ ど,種 数 と 面 積 の 関 係 が 不 明 瞭 に な る 傾 向 が あ っ た. (2) 種 数 に 関 す る 重 回 帰 分 析 結 果 ス テ ッ プ ワ イ ズ 重 回 帰 分 析 の 結 果,表2に し め す 式 が 得 ら れ た.検 討 し た 変 数 は,全 調 査 地 を 対 象 と し た 式 で は,緑 地 内 樹 冠 面 積,100mバ ッ フ ァ 内 商 業 地 率,200mバ ッ フ ァ 内 道 路 用 地 率,形 状 指 数,10ha 以 上 の 樹 林 か ら の 距 離,100mバ ツ フ ァ 内 の 中 高 層 住 宅 地 率,100mバ ッ フ ァ 内 の 低 層 住 宅 地 率 で あ っ た. 樹 冠 面 積1ha未 満 の 緑 地 を 対 象 と し た 式 で は,100m バ ツ フ ア 内 の 樹 木 率,200mバ ツ プ ア 内 の 商 業 地 率, 緑 地 内 樹 冠 面 積,100mバ ツ フ ア 内 の 道 路 用 地 率, 100mバ ッ フ ァ 内 の 中 高 層 住 宅 地 率,200mバ ッ フ ァ 内 の 樹 木 率,形 状 指 数,開 設 後 経 過 年 数,10ha以 上 の 樹 林 か らの 距 離100mバ ッ フ ァ 内 の 低 層 住 宅 地 率 で あ っ た.樹 冠 面 積1ha以 上 の 緑 地 を 対 象 と し た 式
大 阪市街地 の都市緑地 の樹林 を利用する鳥 類 を決定 ずる要因 表1. 各 緑 地 にお い て記 録 され た鳥 類 の種 類 とそ の 頻度.
橋本 啓 史 ・夏原 由博 ・森本 幸裕 a) b) で は,100mバ ツ フ ァ 内 の 樹』木 率,200mバ ツ フ ァ 内 の 道 路 用 地 率10ha以 上 の 樹 林 か ら の 距 離100m バ ツ フ ア 内 の 商 業 地 率,200mバ ツ フ ア 内 の 低 層 住 宅 地 率,200mバ ッ フ ァ 内 樹 木 率,開 設 後 経 過 年 数,形 状 指 数 で あ っ た.自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 の 比 較 に よ り,全 調 査 地 を 対 象 と し た 式 で は 線 形 回 帰 式 が, 樹 冠 面 積1ha未 満 の 調 査 地 を 対 象 と し た 式 と樹 冠 面 積1ha以 上 の 調 査 地 を 対 象 と し た 式 で は ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 式 が,そ れ ぞ れ 採 用 さ れ た. 選 択 さ れ た 環 境 要 因(括 弧 内 に 係 数 の 正 負 を し め す)は,全 調 査 地 を 対 象 に し た 式 で は,緑 地 内 樹 冠 面 積(+),200mバ ッ フ ァ 内 の 道 路 用 地 率(-),100mバ ッ フ ァ 内 の 商 業 地 率(-),10ha以 上 の 樹 林 地 か ら の 距 離(+)で あ っ た.樹 冠 面 積1ha未 満 の 調 査 地 を対 象 に し た 式 で は,緑 地 内 樹 冠 面 積(+),200mバ ッ フ ァ 内 の 商 業 地 率(-),100mバ ッ フ ァ 内 の 低 層 住 宅 地 率(-), 100mバ ツ プ ア 内 の 道 路 用 地 率(-),10ha以 上 の 樹 林 か ら の 距 離(+)で あ っ た.樹 冠 面 積1ha以 上 を対 象 と し た 式 で は,100mバ ッ フ ァ 内 の 樹 木 率(-),200mバ ツ プ ア 内 の 道 路 用 地 率(-),200mバ ツ フ ァ 内 の 低 層 住 宅 地 率(+)で あ っ た. 2. 種 組 成 (1) TWlNSPANに よ る 群 集 分 類 結 果 1地 点 の み に 出 現 し た ハ シ ブ トガ ラ スCorvus macrorhynchosを 除 い た10種 の 出 現 頻 度 を も と に, TWINSPANに よ っ て 調 査 地 点 を4グ ル ー プ(A,B, C,D)に 分 割 し た(図2).平 均 種 数 はA,B,D, 図1. 樹 林 性 鳥 類 の種 数 と面 積 の関 係. 図2. TWINSPANに よ る 都 市 緑 地 の 分 類 結 果 と 各 種 の 出 現 率(%).分 岐 図 の 脇 の 種 名 は 分 割 の 際 の 指 標 種 を し め す. 表2. 得 られ た重 回 帰 式 の説 明 変 数 とそ の係 数 *S:線 形 重 回 帰 モ デ ル,lnS:指 数 関 数 モ デ ル,ln[S/(k-S)]:ロ ジ ス テ ィック 回 帰 モ デ ル **G:緑 地 内 樹 冠 面 積,G100:100mバ ッファ内 樹 木 率,G200:200mバ ッファ内 樹 木 率,K:形 状 指 数Y:開 設 後 経 過 年 数D10:10ha以 上 の 樹 林 か らの 距 離, RO100:100mバ ツプア 内 道 路 用 地 率,RO200:200mバ ツプア 内 道 路 用 地 率,CO100:100mバ ツプア内 商 業 地 率,CO200:200mバ ツプア内 商 業 地 率,
TR100:100mバ ツファ内 中 高 層 住 宅 地 率,TR200:200mバ ツプア内 中 高 層 住 宅 地 率,LR100=100mバ ツプア内 低 層 住 宅 地 率, LR200:200mバ ッファ内 低 層 住 宅 地 率,adjusted R2:自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数
大 阪 市街地 の都 市 緑地の樹林 を利用 する鳥 類 を決定 ずる要 因
Cの 順 に 多 か っ た.ヒ ヨ ド リHypsipetes mmaurotis, ド バ ト,ス ズ メPasser montanus,キ ジ バ トStreptopelia orientalisは 全 て の グ ル ー プ に 共 通 し て 高 頻 度 で 出 現 し た.ム ク ド リSturnus cineraceus,ハ シ ボ ソ ガ ラ スCorm3comε はAグ ル ー プ とBグ ル ー プ に お い て 高 頻 度 で 出 現 し た.メ ジ ロZosterops japonicus,シ
ジ ュ ウ カ ラParus major,コ ゲ ラ1)endrocoposkizuki, カ ワ ラ ヒ ワCarduelis sinicaはAグ ル ー プ に お い て 高 頻 度 で 出 現 し た.Dグ ル ー プ はCグ ル ー プ よ り も,ハ シ ボ ソ ガ ラ ス と ヒ ヨ ド リ の 出 現 頻 度 が 高 い 傾 向 が あ っ た. (2) 判 別 分 析 結 果 判 別 分 析 で 検 討 し た 変 数 は,緑 地 内 樹 冠 面 積, 200mバ ツ フ ァ 内 の 道 路 用 地 率,100mバ ツ フ ア 内 の 商 業 地 率,10ha以 上 の 樹 林 か ら の 距 離,100mバ ッ フ ァ 内 の 低 層 住 宅 地 率 で あ っ た.ス テ ッ プ ワ イ ズ 判 別 分 析 の 結 果,表3に し め す 判 別 関 数(P<0.001)が 得 ら れ た.選 択 さ れ た 環 境 要 因 は,緑 地 内 樹 冠 面 積, 200mバ ッ フ ァ 内 道 路 用 地 率 で あ り,判 別 関 数 の あ て は ま り の よ さ の 指 標 で あ るwilksのAは0.428で あ っ た.ま た,観 測 値 の 判 別 結 果 を 表4に し め し た. Dグ ル ー プ の 正 判 別 率 が35%と 低 い.緑 地 内 樹 冠 面 積 一200mバ ッ フ ァ 内 道 路 用 地 率 の 散 布 図(図3a) お よ び 緑 地 内 樹 冠 面 積-100mバ ツ フ ア 内 商 業 地 率 の 散 布 図(図3b)を し め し た.グ ル ー プA,B,D, Cの 順 で 緑 地 内 樹 冠 面 積 が 大 き い 傾 向 に あ っ た が, CとDグ ル ー プ は 似 た よ う な 値 を し め し た.CとD グ ル ー プ は200mバ ッ フ ァ 内 の 道 路 用 地 率,お よ び 100mバ ッ フ ァ 内 の 商 業 地 率 も 似 た 値 を し め し た.
a)
b)
表3. 鳥 類 相 に よ って 分 類 され た 都 市 緑 地 グ ル ー プ の判 別 関数 wilksの Λ=0.428,F値=8.918,自 由 度(9,192),P<0.001 表4. 得 られ た 判 別 関 数 の 正 判 別 率. 図3. 判 別 分 析 に お い て 選 択 さ れ た 環 境 要 因 の 値 の 分 布.a)一 緑 地 内 樹 冠 面 積(G),-200mバ ッ フ ァ 内 道 路 用 地 率(RO200)b)一 緑 地 内 樹 冠 面 積(G),-100mバ ツ フ ア 内 商 業 地 率(CO100).道 路 用 地 率 お よ び 商 業 地 率 は 逆 正 弦 変 換 後 の 値.橋 本啓 史 ・夏 原由博 ・森本 幸裕 考 察 1. 都 市 緑 地 の 鳥 類 種 数 を決 定 す る要 因 樹 林 性 鳥 類 の種 数 と面 積 の 相 関 は,樹 冠 面積 よ り も,緑 地 の敷 地 面 積 と種 数 との 間 で 高 か っ た.こ の 原 因 と し て は,樹 林 性 鳥 類 と して分 析 対 象 と した種 に,主 に 開 けた 環 境 で 採 餌 す る 種 が含 まれ て い た こ とが 考 え られ た.同 じ近 畿 地 方 の京 都 の都 市 孤 立 林 にお いて も森 林 内部 種 と言 え る よ うな鳥 類 はお らず (Kurosawa and Askins 1999),今 回 の分 析 対 象種 は疎 林 性 あ る いは 草 地 環 境 に も影 響 を受 け る種 で あ っ た. 例 えば,ド バ トや スズ メ は樹 木 が 皆 無 の場 所 にお い て も生 息 ・繁 殖 す る こ とが可 能 で あ る.キ ジバ トや ハ シボ ソガ ラス は樹 木 に営 巣 す る が,採 餌 環 境 は主 に開 けた 環 境 で あ る.ム ク ドリは都 市 で は 建物 の 隙 間 に営 巣 し,樹 上 の果 実 の少 な い 繁殖 期 の餌 は林 床 や 開 け た 地 面 の 昆 虫が 主 で あ る 。 した が っ て,樹 木 が まば らで も敷 地 面 積 の広 い緑 地 で,こ れ らの種 が 出 現 した た め,緑 地 の敷 地 面 積 と種 数 との 間 の相 関 が 高 くな った と考 え られ た. 重 回 帰 分 析 の 結 果,全 調 査 地,樹 冠 面積1ha未 満 の 緑 地,樹 冠 面 積1ha以 上 の緑 地 の いず れ にお いて も有 意 な 式(P<0.001)が 得 られ た が,自 由度 調 整 済 み 決 定 係 数 は0.4か ら0.64で あ り,大 阪郊 外 のや や 大 きい 緑 地 も対 象 に含 め たNatuhara and Imai(1999) の研 究 で 得 られ た 式 のそ れ が0.9以 上 で あ っ た の と 比 較 す る と,あ て は ま りは あ ま りよ くなか っ た.こ の 原 因 と して,大 阪市 街 地 の 繁殖 期 の樹 林 性 鳥 類 相 が11種 と非常 に 貧 弱 な た め,緑 地 問 の種 数 の差 が 少 な く,環 境 要 因 以 外 の 偶 然 に よ る1,2種 の 欠如 が 回 帰 式 の あ て は ま りに大 き な影 響 を 与 え た こ とが 考 え られ た. 全 調 査 地 を対 象 と した 式 と樹 冠 面 積1ha未 満 の緑 地 を対 象 とした 式 にお い て,そ れぞ れ正 の要 因 と し て 緑 地 内 樹 冠 面 積 が最 も 大 き な 要 因 と して選 択 さ れ た.樹 冠 面積1ha以 上 の 緑地 につ い て の分 析 にお い て,緑 地 内樹 冠 面 積 が 説 明変 数 と して 選択 され な か った 理 由は,100mバ ッ フ ァ内 の樹木 率 が最 も大 き な 負 の要 因 とな って お り,こ れ と緑地 内 樹冠 面積 の 問 の 相 関 係 数 が-0.5以 下 で あ っ た ため,緑 地 内樹 冠 面 積 は 変 数 と して 分 析 に も ち い な か っ た た め で あ る. 100mバ ツ フ ァ 内 の樹 木 率 は,全 調査 地 にお いて も緑 地 内樹 冠 面 積 と負 の相 関(R=-0.67)が あ り,種 数 に 対 して も負 の 相 関(R=-0.68)が あ っ た こ とか ら, 樹 冠 面積1ha以 上 の緑 地 を対 象 と した式 で 変 数 と し て 選 択 さ れ た.周 囲の 樹 木 率 が 低 い緑 地 にお いて 種 数 が 高 か っ た理 由 と して 鳥 類 が 緑 地 外 に採 餌 に行 く 頻 度 が 低 か っ た こ と が 考 え ら れ,周 囲 の 樹 木 率 が 高 い と こ ろ で は 緑 地 外 に 行 く 頻 度 の 高 い 種 を2回 の 調 査 で は 記 録 で き な か っ た 可 能 性 が 考 え られ た.し か し,1ha以 上 の 緑 地 に お け る100mバ ッ フ ァ 内 の 樹 木 率 と 緑 地 内 樹 冠 面 積 と の 問 で 強 い 負 の 相 関(R=-0.80)が あ っ た こ と が 示 す よ う に,単 に 大 き な 緑 地 周 辺 の 樹 木 率 が 低 か っ た た め と も 考 え ら れ る.1ha 以 上 の 緑 地 に お け100mバ ッ フ ァ 内 の 樹 木 率 と 種 数 の 相 関 係 数 は-0.67,1ha以 上 の 緑 地 に お け る 緑 地 内 樹 冠 面 積 と 種 数 の 相 関 係 数 は0.65で あ り,僅 か な 差 で 重 回 帰 分 析 の 際 に 検 討 す る 変 数 に 周 囲 の 樹 木 率 が 選 ば れ た だ け と考 え られ た.な お,200mバ ッ フ ァ 内 の 樹 木 率 は,種 数 と の 問 で 弱 い 正 の 相 関(R=0.34) が あ っ た.Natuhara and Imai(1999)が 得 た 重 回 帰 式 で は,そ の 緑 地 を 含 む5km四 方 の メ ッ シ ュ 内 の 樹 木 率 が 正 の 係 数 の 説 明 変 数 と し て 選 択 さ れ て い る.お そ ら く個 々 の 種 に よ っ て そ の 距 離 は 異 な る が,緑 地 か ら ど れ く ら い の 範 囲 の 樹 木 が 野 鳥 の 生 息 に 影 響 を 与 え る か を 明 ら か に す る こ と は,今 度 の 課 題 の 一 つ だ ろ う.い く つ か の 種 で は 生 態 観 察 に よ っ て 行 動 圏 が 報 告 さ れ て い る.た と え ば 繁 殖 期 の ス ズ メ の 行 動 半 径 は200m(佐 野1988)あ る い は 都 会 で は 巣 か ら 500mも 離 れ た 餌 場 に 通 う(唐 沢1989).定 着 個 体 の ヒ ヨ ド リの 冬 季 の 行 動 半 径 は270mか ら453mに な る(Fukui 1995).繁 殖 期 の カ ワ ラ ヒ ワ は,採 餌 の た め に 巣 か ら300m程 度 の 場 所 ま で 出 か け て い く こ と が あ る(羽 田 ・中 村1970).キ ジ バ トは 巣 か ら700m 以 上 離 れ た 場 所 ま で 採 餌 に 行 く(羽 田 ・野 沢1969). しか し,森 林 の シ ジ ュ ウ カ ラ の 行 動 圏 は 約3haと さ れ る が(中 村1975),樹 木 の ま ば ら な 都 市 に お け る シ ジ ュ ウ カ ラ の 行 動 圏 は 最 大 約10haに も な る(小 河 原1996)な ど と報 告 さ れ て い る よ う に,環 境 に よ っ て 行 動 範 囲 は 大 き く 異 な る こ と が あ り,都 市 に お け る 行 動 範 囲 を 知 る 必 要 が あ る.し か し 全 て の 種 に つ い て 環 境 別 の 行 動 圏 を個 体 追 跡 に よ っ て 明 らか に す る こ と は 非 常 に 大 変 な こ と で あ る た め,い く つ か の 種 に つ い て 橋 本 ・夏 原(2002)の よ う に 統 計 的 に 生 息 環 境 適 合 度 モ デ ル を 作 成 す る 際 に 複 数 の 距 離 の 環 境 要 因 を 検 討 す る こ と が 有 効 で あ る と考 え ら れ る. 10ha以 上 の 樹 林 か らの 距 離 が,全 調 査 地 を 対 象 と し た 式 と 樹 冠 面1ha未 満 の 緑 地 を 対 象 と し た 式 に お い て 正 の 要 因 と し て 選 択 さ れ た.正 の 要 因 と い う こ と は,す な わ ち 大 緑 地 に 近 い ほ ど 種 数 が 少 な い と い う こ と 意 味 し て い る.オ ラ ンダ の 孤 立 林 に お け る 鳥 類 相 を 調 べ たOpdamら(1984)は,種 数 の 重 回 帰 分 析 を お こ な っ た 結 果,孤 立 林 面 積 の ほ か,周 囲3km
大阪 市街地 の都市 緑地 の樹林 を利 用 する鳥類 を決定 ずる要 因 以 内 の 森 林 面 積 や 連 続 し た 森 林 か ら の 距 離 に 有 意 な 影 響 が 見 られ た と報 告 し て い る.ス ペ イ ン に お い て は,古 い 都 市 公 園 の 鳥 類 相 は 大 規 模 緑 地 か ら の 距 離 の 影 響 は な い が,新 し い 公 園 の 鳥 類 は 大 規 模 緑 地 か ら供 給 を 受 け て い る の で は な い か と い う報 告 も あ る (Fernandez-Juricic 2000b).し か し,今 回 の 結 果 は 逆 で あ っ た.こ の 理 由 は,樹 冠 面 積1ha以 上 の 緑 地 を 対 象 と し た 式 で は 選 択 さ れ て い な い こ と か ら,都 市 計 画 上 の 理 由 で 大 緑 地 の 近 く に は 小 さ い 緑 地 し か な い た め で は な い.種 の 供 給 源 と な る 大 緑 地 の 基 準 が,樹 冠 面 積10ha以 上 で 適 当 で あ る か,ま た は 今 回 分 析 対 象 と し た 種 に 大 緑 地 か ら供 給 さ れ る よ う な 樹 林 性 の 強 い 種 が ほ とん ど含 ま れ て い な か っ た た め か 再 検 討 す る 必 要 が あ る だ ろ う.樹 林 性 の シ ジ ュ ウ カ ラ,メ ジ ロ の 分 布 を 見 て み る と,両 種 が 出 現 し た 最 小 樹 冠 面 積 の 緑 地 は 表1で55番 の 金 岡 東 公 園 の 0.48haで あ り,大 規 模 緑 地 か らの 距 離 は 約300mと 非 常 に 近 か っ た.し か し これ よ り も樹 冠 面 積 の 小 さ い 緑 地 で も,こ の う ち の 片 方 の 種 だ け は 出 現 して い た 緑 地 が い くつ も あ り,10ha以 上 の 樹 冠 面 積 の 大 規 模 緑 地 と の 距 離 に は 依 存 し て い な い よ う に 見 え る. シ ジ ュ ウ カ ラ の 場 合,大 規 模 緑 地 で な くて も 生 息 地 が 複 数 近 く に あ る と,樹 冠 面 積 が 小 さ く て も シ ジ ュ ウ カ ラ が 生 息 し て い る こ と が あ っ た(橋 本 ・夏 原 2002). 欧 米 の 都 市 緑 地 に お け る鳥 類 種 数 に つ い て の 研 究 例 を 整 理 したClergeauら(2001)は,緑 地 内 の 鳥 類 の 種 数 は 隣 接 す る 景 観 の 影 響 を 受 け る こ と は 少 な い と 結 論 して い る が,今 回 の 例 で は,周 囲 の 道 路 用 地 率 と商 業 地 率 が,緑 地 内 の 樹 林 性 鳥 類 の 種 数 に 負 の 影 響 を お よ ぼ し て い る こ と が 明 ら か に な っ た.
Clergeauら(2001)の 例 で は,面 積 が4haか ら10ha
の 緑 地 を 対 象 と し て い る が,本 研 究 の よ う に1ha未 満 の 小 規 模 な 緑 地 も含 め た 場 合 は,1つ の 緑 地 で1 個 体 の 生 活 が 完 結 しな い た め,周 囲 の 土 地 利 用 も 影 響 す る だ ろ う.街 路 樹 の あ る 道 路 は 野 鳥 の 移 動 経 路 と な る こ と も あ る が,野 鳥 は 交 通 量 の 多 い 道 路 を あ ま り利 用 し な い(Fernandez-Juricic 2000a).大 阪 の 市 街 地 の 大 通 り は 交 通 量 が 多 く,ま た 高 架 式 の 自 動 車 専 用 道 路 も 道 路 用 地 率 に算 入 さ れ て い る.し た が っ て 道 路 は,野 鳥 に と っ て 都 市 緑 地 を 周 囲 か ら分 断 す る 要 素 と考 え ら れ る.一 方 の 商 業 地 率 が 負 の 要 因 と な っ た 理 由 は,高 層 建 築 物 の 多 さ や 人 や 自 動 車 の 通 行 量 の 多 さ と 関 係 が あ る と 考 え られ た.Clergeau ら(2001)は,市 街 化 が 都 市 緑 地 内 の 鳥 類 種 数 と負 の 相 関 が あ る こ と を 報 告 し て い る.200mバ ッ フ ァ 内 の 商 業 地 率 の高 さ は市 街 地 化 の進 んだ 地 区 で あ る こ と を意 味 して い る と考 え られ る ので,今 回 の結 果 は, 市 街 地 の 中心部 ほ ど野 鳥 の種 数 が 少 な くな る こ と を し め して い る と考 え られ た. 周 囲 の低 層 住 宅地 率 が,樹 冠 面積1ha未 満 の緑 を 対 象 と した 式 で は 負 の 要 因 と して,樹 冠 面 積1ha以 上 の緑 地 を対 象 と した 式 で は 正 の要 因 と して 選 択 さ れ,両 者 の間 で 逆 の結 果 とな った.ま た,樹 冠 面 積 1ha未 満 の緑 地 を対 象 と した 式 で は100mバ ッ フ ァ 内,樹 冠 面 積1ha以 上 の緑 地 を対 象 と した 式 で は 200mバ ッ フ ァ内 の変 数 が 選 択 さ れ た.フ ィ ン ラ ン ド で は,緑 地 の 周 囲が アパ ー ト街 よ りも個 別 住宅 地 で あ る ほ うが野 鳥 の種 数 が多 か っ た と報 告 され て い る (Clergeau et al.2001).小 規 模 緑 地 で は,そ の 場 所 をお もな 生 息 場 所 とす る個 体 も緑 地外 の 資 源 も利 用 して い る と考 え られ る が,広 い庭 の あ る こ とが 稀 な 大 阪 市 街 地 の低 層住 宅 地 は,野 鳥 の 生 息 に と って 好 ま し い もの で は な い よ うだ.一 方,樹 冠 面 積1ha以 上 の緑 地 を対 象 と した 式 に お い て,200mバ ッ フ ァ 内 の低 層 住 宅 地 率 が 正 の 要 因 とな った 理 由 と して は, 低 層 住 宅 地 が 多 い 地 域 が 市 街 地 の 中心 か ら離 れ た 郊 外 で あ る こ と と関係 して い る こ とが考 え られ た. 2. 都 市 緑 地 の 樹 林 性 鳥 類 の 種 組 成 と そ れ を決 定 す る要 因 TWINSPANに よ る群 集分 類 の 結 果,3タ イ プ の 出 現 傾 向 の異 な る鳥 類 グ ル ー プ が あ った ことが 明 らか に な っ た.ど の 都 市 緑 地 に も出 現 す る鳥 類 グ ル ー プ は,都 市 鳥 と呼 ば れ て い るよ うな,都 会 の生 活 に適 応 した種 か らな っ て い た.も うひ とつ のグ ル ー プ は, 開放 的 な環 境 を好 む ム ク ドリや ハ シボ ソガ ラス か ら な って いた.そ して残 りひ とつ の グ ル ー プ は,シ ジ ュ ウ カ ラや コゲ ラな どの 森 林 性 鳥 類 か らな って い た. 種 組 成 のパ タ ー ンは,多 くの 種 が 記 録 され た緑 地 で はそ れ 以 下 の種 数 の 緑 地 に出 現 した 種 の ほぼ 全 て を 含 む とい う入 れ 子 型 の構 造(夏 原2000)を して い た. 判 別 分 析 の結 果,種 数 の重 回 帰 分 析 の結 果 と 同様, 緑 地 内樹 冠 面 積 の増 加 が 鳥類 相 を豊 か にす る要 因, 周 辺 の道 路 用 地 率 と商 業 地 率 が 鳥 類 相 を貧 弱 にす る 要 因 とな って いた.し た が って,都 市 緑 地 の樹 林 性 鳥 類 相 を豊 か にす る方 策 と して は,樹 木 量 を増 加 さ せ る ほか,道 路 や 商 業 地 区 ・オ フ ィス ビル 群 に よ っ て 阻害 され て い る都 市 緑 地 へ の 鳥 類 の 自由 な 出入 り を可 能 にす るた め,街 路 樹 緑 化 や ビル の公 開空 地 の 緑 化 を推 進 す る こ と も有 効 で あ る と考 え られ る. 森 林 性 鳥 類 が 高頻 度 で 出 現 したAグ ル ー プ の緑 地
橋本 啓史 ・夏原 由博 ・森本 幸裕 は,大 阪 市 街 地 に お い て 野 鳥 に と っ て 良 好 な 緑 地 と い え,緑 地 内 樹 冠 面 積 が 大 き く,周 囲 に 商 業 地 が 少 な い 緑 地 で あ っ た(図3b).こ の よ う な 森 林 性 鳥 類 の 生 息 地 を 新 た に 市 街 地 内 に 創 出 す る に は,5ha前 後 の 樹 林 面 積 が 目 安 と い え る.し か し,同 じ 近 畿 地 方 の 京 都 市 街 地 の 社 寺 林 で は,樹 冠 面 積 が5haも あ れ ば,繁 殖 期 に エ ナ ガAegithalos caudatus,ヤ マ ガ ラ Parus variUS,イ カ ルEophona personata,ウ グ イ ス Cettia diphoneと い っ た 森 林 性 鳥 類 も 高 頻 度 で 生 息 し て い る(橋 本 未 発 表).し た が っ て,大 阪 市 街 地 の 鳥 類 相 は か な り貧 弱 で あ る と い え る.公 園 で は 下 層 植 生 が 貧 弱 で あ る こ と か ら,大 阪 市 街 地 で は,や ぶ を 住 処 と す る ウ グ イ ス が 全 く繁 殖 し て い な い.ま た,大 阪 の 公 園 で は 近 年,樹 林 内 に 野 宿 者 の テ ン ト が 数 多 く 見 ら れ,森 林 の 内 部 を お も な 生 活 場 所 と し て い る 鳥 類 に と っ て は 棲 み に く い 状 況 に あ る. 3. 今 後 の 課 題 鳥 類 相 は,環 境 の 変 化 だ け で な く,鳥 類 の 側 の 人 工 環 境 へ の 適 応 な ど に よ っ て も 変 化 す る.ヒ ヨ ド リ や キ ジ バ ト は か つ て 山 の 鳥 で あ っ た が,大 阪 で は 1970年 代 に 都 会 に 進 出 し た(高 田1991).ま た シ ジ ュ ウ カ ラ,メ ジ ロ,カ ワ ラ ヒ ワ,ハ シ ブ トガ ラ ス も 大 阪 で は1980年 以 降 に 繁 殖 を 始 め た 種 で あ る(和 田 1999).コ ゲ ラ も 近 年 に な っ て 都 市 域 に 進 出 して き た 種 で あ る.夏 原(2000)は 約10年 前 の 大 阪 で は コ ゲ ラ は10ha以 下 の 孤 立 林 で は 生 息 し て い な か っ た と 報 告 し て い る が,今 回 の 調 査 で は コ ゲ ラ は4地 点 で 記 録 さ れ,そ の 内 の2地 点 は10ha未 満 の 都 市 緑 地 で あ っ た.コ ゲ ラ は 今 後,さ ら に 小 さ な 緑 地 で も 生 息 す る よ う に な る 可 能 性 が あ る.ま た,2002年 繁 殖 期 に は ヤ マ ガ ラ が 大 阪 城 公 園 で 記 録 さ れ る な ど(和 田 岳 氏 私 信),大 阪 の 鳥 類 相 も 少 し ず つ 変 化 し て い る. 和 田(1999)も 指 摘 し て い る よ う に,ひ ょ っ とす る と 現 時 点 で は そ れ ぞ れ の 緑 地 に お け る 種 数 の 環 境 収 容 力 が 飽 和 して お らず,移 入 率 と 絶 滅 率 が 平 衡 に 達 し て い な い 可 能 性 も あ る.同 じ 地 域 に お け る 数 年 お き の 鳥 類 相 調 査 は,都 市 環 境 の 変 化 と 鳥 類 の 習 性 の 変 化 を 知 る 上 で,興 味 深 い 情 報 の 収 集 に な る と考 え られ る. 引 用 文 献
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