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国際協力ボランティアに関する二項対立についての考察 ~テキストマイニングによる学生感覚の分析~

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国際協力ボランティアに関する二項対立についての考察

~テキストマイニングによる学生感覚の分析~

Consideration of Conflicting Concept on

International Cooperation Volunteers

~Analysis of Student’s Sensibility by Text Mining~

宮 嶋

1)

Jun Miyajima

抄録: この研究では、視聴覚教材を活用して、学生が国際協力ボランティアに関する「共感」感覚に焦点をあて、 今後の教育のあり方について検討した。 学生たちに提示した視聴覚教材は、教材提供機関の意図を学生たちに的確に伝え、訴えかけ、理解されるものであ り、学生たちのボランティア感覚を向上させるために効果を上げるものであった。 テキストマイニングの結果から、国際協力ボランティアに関する学生の共感感覚が「ボランティア=善、変化・成 長、生き様、役立ちの継続」を軸としていた。 そうした学生の「共感」感覚を活かした、授業展開や教材の選択、開発を行うためには、明確な意図のもと、可視 化された教材を活用することが有効であろうことが示唆された。

Abstract:In this study, I considered on the future of university students education by examining how students feel about International Cooperation volunteers, through the use of audiovisual materials.

The teaching materials were accurately communicated, and students correctly understood the teaching materials provider’s intents. The teaching materials were effective in improving the perception of volunteers by students.

As a result of text mining, students’ empathy for International Cooperation volunteers was centered on concepts of volunteers being good; change and growth; way of life; and continued usefulness.

I considered that in order to ensure that class planning, selection and development of teaching materials make the best use of students’ sense of empathy, teaching materials with clearly defined and visualized intents should be used effectively.

キーワード:国際協力、ボランティア、テキストマイニング、共感感覚 Keywords:International Cooperation, Volunteer, Text mining, Empathy

Ⅰ.はじめに

NGO(= Non-governmental Organization の略。非政 府組織)という用語は、国連の経済社会理事会から生ま れ、開発途上国の貧困問題に取り組む国際協力 NGO や 地球環境問題に取り組む環境 NGO、平和協力や人権問 題に関わる NGO など、関わる問題ごとに役割区分がな されている。NGO が関わる諸問題は国境を越えた圏域 でその問題の解決に当たる必要があるケースが多く、活 動の舞台そのものが国際化しており、国際 NGO とは国 境を越えた活動を行なう NGO と定義される。 これまで筆者は、国際協力 NGO によるボランティア 活動の事例を検討し、国際理解と国際協力並びに国際連 携について論じた1 )。また、ソーシャルワーカーとして ドミニカ共和国に派遣された、青年海外協力隊の活動を 調査し、隊員の活動がファミリー・ソーシャルワークを 現地に根付かせる活動として有効であろうと報告し た2 )。さらに国際協力ボランティアを通じて、ボラン 1)中部学院大学人間福祉学部

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ティア自身が得た感覚を質的に研究し、国境を越えて体 験した良い経験は、悪い体験を昇華させ、人々とのコミュ ニケーションやつながりを媒介として、善い記憶として 長く保持されると報告した3 )。こうした知見を踏まえて 筆者は、大学における科目「ボランティア活動論」や科 目「地域福祉活動」で、“シンク・グローバル、アクト・ ローカル” をスローガンに、ボランティアや市民活動と 共に、国際協力に関して論じ、学生が国際協力ボランティ アに一歩踏み出すための教育を行ってきた。 この調査・研究では、独立行政法人国際協力機構(= Japan International Cooperation Agency;JICA)が 作 成した DVD を教材として、学生が国際協力ボランティ アに一歩踏み出すための「共感」感覚に焦点をあて、今 後の教育のあり方について検討した。

Ⅱ.国際協力ボランティアに係る知見

前記で示した先行研究1 )~ 3 )から得られた知見と国際協 力ボランティアの課題は、次の通りである。 (1) 適切な国際協力の理解と意図した協働 日本の国際 NGO の役割を萩原は、①組織の使命、 ②活動の対象、③活動の規模、④組織の規模、⑤組織の 体制の側面から分析した4 )。仲村は、わが国の社会福祉 の理論・方法・制度等が海外から積極的に情報を輸入し 発展してきた一方、国際的な検討の場にわが国の知見を 提供してこず、相互批判の機会を積極的に求めるという ことを怠り、国際的に極端な情報の「片貿易」に甘んじ、 国際的な孤立を形成してきたと述べた5 )。このように述 べられた1981年当時、仲村は東南アジアに視線を向け、 国際交流と国際協力、国際的な相互交流への対応を喫 急の課題としていた。この課題に応える動きとして、日 本のソーシャルワークの職能団体である日本社会福祉 士会は、国際ソーシャルワーカー連盟(= International Federation of Social Workers;IFSW)への加盟準備と 社会福祉士の海外研修事業とに対応するため、1996年に 国際委員会を発足させている。国際委員会は、英文資料 の邦訳及び邦文資料の英訳等恒常的な活動を行うと共 に、IFSW の国際声明の公表と歩調を合わせた取り組み を行い、国際協力の一翼を担っている6)。一方、JICA は、 長年にわたる国際協力 NGO としての底力を有し、2003 年から 5 年間にわたり、中南米地域にあるドミニカ共和 国におけるソーシャルワーカー研修と高等教育機関の立 ち上げに協力し、青年海外協力隊員がその任に就いた。 将来、ドミニカ共和国のソーシャルワーカー協会と日本 のソーシャルワーク職能団体との間で姉妹提携等を行 い、国際理解・国際協力による、ソーシャルワークの価 値である人権と社会正義が全うさせられる世界を実現す ることを目的とした。JICA の動きと日本のソーシャル ワークの職能団体の動きが連動する中、ソーシャルワー クの事例研究のグローバルな展開として、北島は、ソー シャルワークの事例研究の意義を「ソーシャルワークの 実践理論やアプローチを構築し、ソーシャルワーク理論 を汎用及び開発する」ことと述べている7 )。北島の主張 は、社会的文化的背景が異なる地域・国との間であって も、ソーシャルワーク実践の原理や価値を基盤に据え、 実践から抽出された理論は、ソーシャルワークの枠組み を活用し、国際的な交流と広がりを可能とするというこ とである。 わが国のソーシャルワークの課題は、実践と理論を結 びつける基礎研究並びに応用科学としてのエビデンスの 蓄積であるとされている。筆者が経験した国際協力とい う場面では、双方向的でインターナショナルな取り組み が必要である。各地、高等教育機関間で行われている交 流事業やダブル・ディグリー制度の確立など、留学生制 度を包含して、教育・研究者間交流も当然に視野におか れるべきである。その意味で、ドミニカ共和国等中進国 とわが国とが姉妹提携という手段を講じることは有効な 措置となる可能性がある。具体的に、わが国のソーシャ ルワーカー団体の協力を得て、一定の語学研修等を受け たドミニカのソーシャルワーカーにスカラーシップを提 供し、インターンとしてわが国のソーシャルワーク実践 現場で学び、わが国のソーシャルワークを体得する機会 を提供することプロジェクトを組むことなどが考えられ よう。 (2) 国際的な要請への対応システムの構築 先人が示した国際的な視座は、これからの世界福祉を 担う若者にこそ、引き継ぐべき知見であろう。日本社会 福祉士会が示した「ソーシャルワーカーの倫理綱領改訂 試案」においては、「国際社会への働きかけ」という倫 理基準が項目立てられている。その解説では「ソーシャ ルワーカーは、国際社会における人類の福祉推進のため に、世界のソーシャルワーカーと実践と英知の交流を進 め、互いに協力・連帯して、人権と社会正義に関する国 際的な問題を解決するよう努めなければなりません」と 述べられている8 )。このような倫理基準を具体的なソー シャルワーク実践と結びつけ、国際的な要請に応えたシ ステムを構築し、仲村が指摘している「片貿易」という 様相を払拭していくことは、今後の職能団体の役割の一 つであろう。その上で留意すべき点は、グローバリゼー ションという考え方についてである。ジム・アイフは、 グローバリゼーションは、基本的に経済的発展に焦点が あてられ、経済的利益が優位を占め、社会的環境的目標 が二義的に捉えられてきたため、不平等・貧困を撲滅で きなかったと指摘する9 )。ソーシャルワーカーにとって のグローバリゼーションの問題は、人間の生活環境がグ ローバルな性質を帯びようとも、人間のニーズは基本的 に地方的で個人的である点である。結論的には、「シン ク・グローバル/アクト・ローカル」を超えて、地方的 およびグローバルな双方のレベルで考え行動し、双方を 結合することが必要なのだ。グローバリゼーションや

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ソーシャルロール・バロリゼーションの考え方を支持す るとき、わが国のソーシャルワーク教育は、国際的なソー シャルワークの枠組みを理解し、普遍的な価値を踏まえ、 体系的でシステマチックな学びを提供し、10年先も輝け るソーシャルワークにかかる研究・教育・研修並びに実 践支援をトータルに提供できなければならないだろう。 (3) 訓練・実践・貢献の一体化 青年海外協力隊の使命からみて、派遣先に関する「継 続的な支援」が強調されなければならない。例えば、派 遣先が貧困問題の解決に向けて取り組みを強化し、コ ミュニティをベースとした密着型の取り組み展開する場 合、当該国におけるソーシャルワークを必要とする可能 性は、ますます拡大する10)。その意味でわが国の地域福 祉を学び、地域でソーシャルワークを展開できるシステ ムを教育された若いソーシャルワーカーが今後ますます 隊員として活躍する舞台は数多である。一方で、若い ソーシャルワーカーは、往々にして経験が浅く、技能的 に未熟な場合が多いだろう。したがって、赴任前におけ るソーシャルワークの補完的な専門教育を適切に行い、 少なくともソーシャルワークの視点を明確にもち、地域 アセスメントが行える力量が必要である。 隊員が派遣された現地において、 2 年間という短い期 間のメリットを有効に活用した実践をなすことが求めら れる。そのため、隊員には生活力・適応力・専門的力量 が期待されることになる。その意味において、JICA の トレーニング体系-国内研修・赴任地研修・ホームス ティ・着任地研修・定期レポート-は、ボランティア受 入側のニーズに合致していなければならない。ソーシャ ルワーク分野で派遣される協力隊のバックアップは、「隊 員-調整員」「シニア-調整員」の連絡体制と共に、「隊 員-シニア-調整員」の体系的な協働が求められる。 国際協力ボランティアとしての実践知を備えた若き隊 員が、帰国後、国内での有効活用についても提言したい。 2 年間の期限つきとはいえ、言葉も生活習慣も違う発展 途上国でのボランティア活動を志願したという事実だけ でも隊員は積極的な人物である。語学を習得するのも大 変な努力だが、短期間で現地に適応し、援助活動を通じ て信頼関係を構築した実績は、隊員の忍耐強さと協調性 を証明している。しかし、帰国後の就職には隊員の経歴 が必ずしも歓迎されていなかった。リピーター隊員の存 在は、ボランティア活動に対する隊員の熱意と同時に、 帰国後の不遇感からの逃避の側面も否定できない。 不遇感を払拭し、国際協力ボランティアの育成を促進 するためには、日常的に他国の言葉と文化に精通し、途 上国の生活を肌で感じて来た隊員たちを、国際感覚に乏 しい日本の教育分野や行政分野、とりわけ福祉分野での 活用システムを構築することが欠かせない。先進国の様 子を見聞し、学ぶばかりでは自国の姿を正しく認識する のは難しい。途上国の生活ぶりを知ることで、逆にわが 国の気候や風土や歴史や国際的な地位・位置、価値の偏 りについて理解が深まる。日本の子どもたちの視野を国 際社会にまで広げる役割を隊員たちに期待したい。また、 外国籍の人々への支援も彼らの活躍として期待できる。 少なくない公費を投じて醸成された、優れた能力を持つ 隊員たちの国際感覚を、自国のために活用する道を用意 するのは、彼らを送り出した JICA の責任でもあろう。 (4)「良い記憶」 + 「ギャップ体験」 =長期記憶の強化 国境を越えて体験した「良い経験」は、「悪い体験」 を昇華させるような人々とのコミュニケーション・つな がりを媒介として「善い記憶」として長く保持される。 この記憶化された体験は、その記憶を構成した体験を想 起できる状況(関係者とのコミュニケーション・つなが り)に人間を居続けさせられるならば、物理的距離や文 化差(ギャップ)とは関係なく、人間の志向を強化・維 持 し つ づ け ら れ る 可 能 性 が あ る11)。「良 い 記 憶」と 「ギャップ」体験との重層化は、人間の志向をより強化 するものとなり、生涯にわたる忘れがたい長期記憶とな り、同体験に向かう個人の志向性を強化させるとともに、 その体験で得たスキルは永続させられる可能性がある。 したがって、国際協力ボランティア活動への志向性は、 「良い記憶」と「ギャップ体験」の重層化により、持続 性を確保することが可能となると思われる。

Ⅲ.研究仮説

今回の視聴覚教材を活用した授業と受講学生に対する アンケート調査の回答データから、国際協力ボランティ アに関する学生の「共感」感覚から、「ボランティアを善」 として講義する筆者とは異なる、「共感」軸を抽出する ことができるのではないかと考える。そうした学生の 「共感」感覚を活かした、授業展開や教材の選択、開発 を行うことにより、学生の国際協力に関する認識が高ま り、国際協力への一歩を踏み出す、教育上の配慮を提示 することが出来るのではないかと考える、また、教育側 が留意すべき焦点を抽出することができるものと考える。

Ⅳ.調査の概要

1 .調査の対象 本調査の対象は、2019年度に四大並びに短大に所属し、 同年前期に開講された地域福祉活動あるいはボランティ ア活動に関わる授業を受講し、国際協力ボランティアに 関わる DVD 教材を鑑賞した後、講義室内で、配布した 調査票(自由記述式・A4= 1 枚):資料 1(巻末の内容) に、その場で記入し、回収に応じた学生である。 2 .調査の方法・分析手法 筆者が担当する授業において、調査の実施目的・方法 など十分な情報を与え、JICA が国際協力を啓発する目 的で制作協力した DVD を視聴させた。DVD は2015年 制作・公表され、上映時間は103分。そのストーリーは

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次の通りである12) カメラマンの助手になったものの、目標の見えない 日々を過ごしていた沢田樹(以下、「樹」)は、自分を 変えようと青年海外協力隊に飛び込む。しかし、訓練 所でもボランティア精神を地で行く羽村と対立した り、規則を破ったりと、何かと問題を起こしてしまう。 二人の仲を取り持とうとする同期の隊員で、助産師の 志保と共に、 3 人はフィリピンに派遣される。 樹は、「 1 枚の写真でも世界は変わる」「ボランティ アは偽善だ」という思いを抱え、観光省での仕事に就 くが、不満が募る。一方、羽村は失敗しながらも田舎 の村でドジョウの養殖を順調に進めていく。羽村は 「現地の人が自立できる世界をつくる」という優等生 タイプ。 羽村を樹が好きになれないのは、反発していた亡き 父(元 JICA 隊員)の面影をみるからだった。ある日、 多くの労働者が悪環境の中で貧しく働くバギオの街を 樹は野心的な写真を撮ろうと訪れた。そこで、少年ノ エルと姉のアンジェラと出会い、この国の現状に胸を 痛める。しかし、写真は採用されず、これといった成 果を上げられないまま、無力感のうちに帰国する。 それから 8 年、協力隊での体験を抱えた二人が再会 するのは、東日本大震災後の東北であった。そこで羽 村と樹は、互いに本音の声かけをし、握手をする。 調査は、授業 2 コマをかけて実施した。 1 コマ目の授 業内で「国際協力ボランティアとは何か」「『JICA』と は何か」を講義し、調査の趣旨を説明した上で、DVD を上映した。 2 コマ目の最後に調査票を記入させた。 2 コマ連続で出席していない学生には、その旨を記述させ、 有効回答から除外している。 「ボランティアは偽善なのか」「協力隊は赴任中に、現 地の役に立つ成果を出さなければならないのか」を問う 視聴覚教材を通じて、教材提供機関の意図が教育対象で ある学生の感覚にどのように訴えかけ、理解され、ボラ ンティア感覚向上のために効果を上げるのかをテキスト マイニングの手法で分析した。テキストマイニングは、 IBM SPSS Text Analytics for Surveys4.0 を用い、内山 ら13)の手法を参照して進めた。 3 .倫理的配慮 2019年 6 月 3 日付中部学院大学・中部学院大学短期 大学部倫理委員会(通知番号:E19-0009)の承認を得 て行った。

Ⅴ.結果

調査対象者数は230名であり、その内146名から有効な 回答があった(回答率=63.5%)。なお、ここでいう有 効回答とは、国際協力ボランティアにおける二項対立を 生じさせている、「樹」と「羽村」を軸とした。したがっ て、「樹」と「羽村」あるいは「両方」、のいずれに共感 するのかを明らかに選択しており、自由記述欄に「特に なし」「わからない」「(白紙)」など、明確な共感理由の 記述がない回答を除いた回答を有効回答とした。結果、 樹に共感すると答えた者=83人(56.8%)、羽村=50人 (34.2%)、両方=13人(8.9%)であった。 146人の自由記述を Excel に転記し、句点ごとに区切 る前処理を行ったところ、500のセンテンス・データが 得られた。得られた500センテンスに IDを付し、共感種 別:樹= 1 、羽村= 2 、両方= 3 を連結させ、テキスト マイニングを実施した。テキストマイニングによるカテ ゴ リ 分 類 に お い て は、IBM SPSS Text Analytics for Surveys4.0 に含まれている感性 81_Sentiments を用い、 タイプ「名詞」を指定し、キーワードを抽出し、かつ、 カテゴリ抽出上限30に指定し、感性分析によりカテゴリ を作成した。これにより得られた結果が表 1 である。表 1 で得られた結果をIBM SPSS Statistics 23にエクス ポートし、コンセプトが含まれるカテゴリ(27種)を従 属変数、共感種別( 3 種)を独立変数として、グループ の平均、一元配置分散分析を行った。その結果、共感種 別間の有意差は得られなかった14) 次いで、共感種別とカテゴリ間の関係を分析するため、 IBM SPSS Text Analytics for Surveys4.0 で、カテゴ リ Web をノード(回答数)= 5 に設定し、表示させた15) 得られた結果は図 1 - 1 ~ 4 である。 共感種別「樹」を選択し、感性分析「良い」に含まれ たセンテンスを列記すれば、次の通りである。 1 )樹は、生活が苦しい人々と同じ目線に立って考え ていて、そこも良いと思った。 2 ) 2 人が帰国後、ボランティアに対する考え方を変 化させたのを見て、樹に共感できた。 3 )樹は、何も出来なかったと言っていたが、ルナス (=樹らが派遣された現地の貧しい村)の人々の生 活は、樹のおかげで、変化したと思うし、樹自身の 考えも大きく変わっていて、自分では気づかないだ けで、とても成長していると感じた。 4 )樹が自分と戦いながら、成長していくところに、 すごく人間味を感じたし、共感するところが多く あった。 5 )樹が、ボランティアは結局、自分のためだといっ たことにも共感できる。 6 )協力隊に行き、貧しい姉弟と出会い、意識が少し ずつ変化していった樹もなかなかだと思う。 ここに抽出されたセンテンスと関連するカテゴリは 「生活」であり、コンセプトは「成長」と「変化」であっ た。なお、共感種別「羽村」を選択したセンテンスの中 に、感性分析「良い」が含まれるセンテンスはなかった。

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表 1 自 由 記 述 か ら 得 ら れ た カ テ ゴ リ と コ ン セ プ ト 㻵㻰 㡿䚷ᇦ 䜹䝔䝂䝸䞊 ྵ䜎䜜䜛 䝉䞁䝔䞁䝇ᩘ 䠂 ឤᛶ ศᯒ ᅇ⟅ ᩘ 䝁䚷䞁䚷䝉䚷䝥䚷䝖 㻝 ⩚ᮧ 㻝㻜㻟 㻞㻜㻚㻢 Ⰻ䛔 㻢 㹙ᡂ㛗ࡋ࡚࠸ࡿ㹛 㹙ඹឤ࡛ࡁࡓ㹛 㹙Ⰻ࠸࡜ᛮࡗࡓ㹛 㹙࡞࠿࡞࠿ࡔ࡜ᛮ࠺㹛 㹙ᙺ࡟❧ࡗ࡚㹛 㹙⾜ືࡋ࡚ḧࡋ࠸㹛 㹙ᨭ࠼࡟࡞ࡗ࡚㹛 㻟 ຓ䛡䛯䛔ே 㻝㻟 㻞㻚㻢 㹙ຓࡅࡓ࠸㸩ᅔࡗ࡚࠸ࡿ㹛 ࠉຓࡅࡓ࠸㸩ேࠎ㹛 㹙ຓࡅࡓ࠸㸩ே㹛 Ⰻ䛔 㻟 㹙ຊࢆᣢࡗ࡚࠸ࡿ㹛 㹙Ꮫࡪࡇ࡜㹛 㹙ຓࡅࡿ㸩ᅔࡗ࡚࠸ࡿ㹛 ᝏ䛔 㻡 㹙ࡁࢀ࠸஦㹛 㹙ࢃ࠿ࡾྜ࠼࡞࠸㹛 㹙㞴ࡋ࠸㹛 㹙࡞ࡌࡵ࡞࠸㹛 㹙⪃࠼ࡿே㹛 㹙ࡸࡿே㹛 㹙ཧຍ࡛ࡁࡿே㹛 㹙ຓ࠿ࡿே㹛 㹙㏦ࡿே㹛 㹙ࡑ࠺࠸࠺ே㹛 㹙ồࡵࡿே㹛 㹙ᙉ࠸ே㹛 㹙ேࠎ㹛 㹙㐪࠺ே㹛 㹙ᮧே㹛 㹙ఫࡴே㹛 㹙㈋ࡋ࠸ே㹛 㹙ࡑࢇ࡞ே㹛 㹙ே⏕㹛 㹙௚ே㹛 㻡 䝣 䜱䝸䝢䞁䛾ே 㻣 㻝㻚㻠 㹙ࣇ࢕ࣜࣆࣥࡢேࡓࡕ㹛 㹙ࣇ࢕ࣜࣆࣥࡢே㹛 㻢 䛔䜛ே 㻞㻥 㻡㻚㻤 㹙ࡋ࡚࠸ࡿே㹛 㹙ᛮࡗ࡚࠸ࡿே㹛 㹙ᅔࡗ࡚࠸ࡿே㹛 㹙ᣢࡗ࡚࠸ࡿே㹛 㹙❧ࡗ࡚࠸ࡿே㹛 㻣䝪 䝷 䞁 䝔 䜱 䜰 㻝㻡㻠 㻟㻜㻚㻤 Ⰻ䛔 㻠㻟 㹙ၿ㹛 ᝏ䛔 㻠㻡 㹙ᢲࡋࡘࡅ㹛 㹙ഇၿ⪅㹛 㹙ഇၿ⾜Ⅽ㹛 㻥 ᚰ ᚰ 㻝㻣 㻟㻚㻠 㹙⇕ᚰ㹛 㹙ᚰቃ㹛 㻝㻜 άື 㻟㻥 㻣㻚㻤 㹙άື㹛 㹙࣎ࣛࣥࢸ࢕࢔άື㹛 㻝㻝 䛩䜛䛣䛸 㻞㻝 㻠㻚㻞 㹙ᨵၿࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙⾜ືࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ᖾࡏ࡟ࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙⤒㦂ࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ᐇឤࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙࣎ࣛࣥࢸ࢕࢔ࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ᐇ⌧ࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ཧຍࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙⌮ゎࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙άືࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ᛂ᥼ࡍࡿࡇ࡜㹛 㹙ᣮᡓࡍࡿࡇ࡜㹛 㻝㻞 䛧䛯䛣䛸 㻢 㻝㻚㻞 㹙⤒㦂ࡋࡓࡇ࡜㹛 㹙࿴ゎࡋࡓࡇ࡜㹛 㹙ཧຍࡋࡓࡇ࡜㹛 㹙ኚ໬ࡋࡓࡇ࡜㹛 㻝㻟 ⤒㦂 㻞㻤 㻡㻚㻢 Ⰻ䛔 㻞 㹙ά࠿ࡍ㹛 㻝㻠 ⾜ື 㻟㻟 㻢㻚㻢 㻝㻡 ᐇ⌧ ᐇ⌧ 㻠 㻜㻚㻤 㹙ᐇ⌧࡛ࡁࡓࡇ࡜㹛 㹙⮬ᕫᐇ⌧㹛 㻝㻢 ⎔ቃ 㻥 㻝㻚㻤 㻝㻣 ୡ⏺ 㻝㻝 㻞㻚㻞 㻝㻤 ᅜ 㻣 㻝㻚㻠 㹙ᅜ㹛 㹙㏵ୖᅜ㹛 㻝㻥 ⌧ᆅ 㻟㻞 㻢㻚㻠 㻞㻜 ᮧ 㻞㻜 㻠 Ⰻ䛔 㻝㻣 㹙ᨵၿࡉࢀࡓ㹛 㹙⏕άྥୖ㹛 㹙኱Ꮫ⏕ά㹛 㹙⏕άྥୖ㹛 ᝏ䛔 㻝㻜 㹙ၥ㢟㹛 㹙ၥ㢟ࡣฟ࡚ࡃࡿ㹛 㹙ၥ㢟ゎỴ㹛 㹙ၥ㢟Ⅼ㹛 㹙㈋ᅔၥ㢟㹛 㹙⎔ቃၥ㢟㹛 㹙⾜ືࡋ࡚ḧࡋ࠸㸩ၥ㢟㹛 Ⰻ䛔 㻢 㹙ຊ࡟࡞ࡿ㹛 㹙ຊࢆᣢࡗ࡚࠸ࡿ㹛 㹙ຊᙉࡉ㹛 㹙ᛮ⪃ຊ㹛 㻞㻠 ⮬ศ 㻝㻜㻠 㻞㻜㻚㻤 㻞㻡 ⚾ 㻢㻤 㻝㻟㻚㻢 Ⰻ䛔 㻥 㹙⯆࿡ࡀ࠶ࡿ㸩⚾㹛 㹙Ⰻ࠸࡜ᛮ࠺㸩⚾㹛 㹙෭㟼࡞㸩⚾㹛 㹙Ꮫࡪࡇ࡜ࡀฟ᮶ࡓ㸩⚾㹛 㹙࣎ࣛࣥࢸ࢕࢔㸩⚾㹛 㹙ຊ࡟࡞ࡗࡓ㸩⚾㹛 㹙⯆࿡ࢆᣢࡗ࡚࠸ࡓ㸩⚾㹛 㹙ຓࡅࡿ㸩⚾㹛 㹙ࡸࡗ࡚ࡃࢀࡿ㸩⚾㹛 㻞㻢 ┠⥺ 㻝㻡 㻟 㻞㻣 ┠ⓗ 㻢 㻝㻚㻞 ே 㻞 ᶞ 㻝㻡㻤 㻟㻝㻚㻢 㻠 ே 㻝㻟㻞 㻞㻢㻚㻠 㻠㻚㻞 㻤 ၿ ഇၿ 㻥㻠 㻝㻤㻚㻤 ື䛝 ᆅᇦ 㻞㻝 ⏕ά ⏕ά 㻞㻝 㻝㻤 㻟㻚㻠 㻞㻟 ຊ ຊ 㻝㻤 㻟㻚㻢 ⮬ศ ᪉ྥ 㻞㻞 ၥ㢟 ၥ㢟

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図 1-1 「羽村」のグリッドレイアウト

図 1-2 「樹」のグリッドレイアウト

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図 1-4 「樹」のサークルレイアウト

Ⅵ.考察

本調査に協力した学生たちは、青年海外協力隊の二項 対立を醸し出す「樹」と「羽村」という二人の人物に対 し、統計学上の有意差は認められないものの、どちらに 対しても一定割合の「共感」感覚を持っていた(表 1 )。 表 1 に認められるように「樹」に対する共感感覚は、「変 化」と「成長」に代表される。この「変化」と「成長」 は、「樹」が関わりをもった村と姉弟の「変化」であり、 「樹」の「成長」をさしている。学びの過程にある学生 たちは、自らに引き寄せ、「変化」と「成長」を大切に している感覚が溢れ出した回答となっていた(図 1 - 2 及び図 1 - 4 )。 一方、「羽村」に対する共感感覚は「善」であり、「ボ ランティア」である(表 1、図 1 - 1 および図 1 - 3 )。 羽村が持つボランティアとしての一貫性が共感を呼んで いる。そして、学生たちの感覚として、「きれい事」や「分 かり合えない」「難しい」「なじめない」や「押しつけ」 「偽善」は、「悪」あるいはネガティブな感覚を醸し出さ せている。このことは、ボランティア活動に関する原則 とされる「関係性」や「公益性」、あるいは「クライエ ントのニーズの尊重」という点を学び、それに引き寄せ て回答がなされている可能性を感じさせる(図 1 - 1 お よび図 1 - 3 )。 本研究で明らかにしたい課題は、DVD 教材を用いて 学生に国際協力ボランティアのあり方を的確に伝え、国 際協力ボランティアの現状と課題を理解した上で、同活 動に一歩踏み出すための教育を提供することであった。 そして用意した尺度が、第一に「ボランティアは偽善な のか」であり、第二に「協力隊は赴任中に、現地の役に 立つ成果を出さなければならないのか」を二人の登場人 物から考えることであった。その結果、第一の課題につ いては、学生たちの感覚の中に、協力隊後の羽村の生き 様と重ねつつ、共感感覚が醸成されていた。また、「ボ ランティアは偽善だ」と述べていた樹については、ボラ ンティア先の現地の人々とのふれあいとその後の変化、 と人間としての成長いう経過をたどることで、学生たち から共感されていた。第二の課題については、センテン ス・データのテキストマイニングからは容易には読み取 れなかったが、細かく一文ずつ読み解いていくと、「役 立つ」とは、「その場で」「将来」「継続して」など、時 間と関係性を軸にした変化が良い方向に導かれることで 共感されていたことがわかる。 このように分析できる結果が得られた視聴覚教材は、 教材提供機関の意図が教育対象である学生の感覚に、的 確に伝わり、訴えかけ、理解され、ボランティア感覚向 上のために効果を上げるものであったと結論づけられる だろう。国際協力ボランティアに関する学生の「共感」 感覚は、「ボランティア=善」という軸のみでなく、「ボ ランティア=変化・成長、生き様、役立ちの継続」を抽 出することができた。 そうした学生の「共感」感覚を活かした、授業展開や 教材の選択、開発を行うためには、今回の意図的に制作 された DVD など、可視化された教材を活用することは 有効であり、 1 コマで完結する授業と共に、数コマ連続 した授業の在り方もアクティブラーニングには必要であ ると考えられた。

Ⅶ.おわりに

筆者の経験と学問上の知見から導いた、国際協力ボラ ンティアの課題-(1)適切な国際協力の理解と意図した 協働、(2)国際的な要請への対応システムの構築、(3)訓 練・実践・貢献の一体化、(4)「良い記憶+ギャップ体験」 =長期記憶の強化-については、本研究では明確な考察 を加えることが出来なかったので、今後の課題としたい。

(8)

そうした中、指摘しておきたいことは、国際協力 NGO や職能団体など、自力を持つ資源・人財を輩出し、育成・ 要請している組織は、組織利害を超えた協働により、学 生たちが共感した感覚を尊重し、ギャップを埋めること に近づけるだろう、ということである。 資料 1 「国際協力ボランティアに関する学生の認知」調査 Ⅰ.これから DVD「クロスロード」を上映します。気 づいたこと・気になること・疑問点など、裏面にメモ しておきましょう。 Ⅱ.二人の登場人物について、皆さんの意見をお聞かせ 下さい。 (1) あ な た は、沢 田 樹(い つ き):カ メ ラ マ ン と 羽村和也:ドジョウの養殖 のどちらにより強く 共感しますか。どちらかに〇をつけてください。 (2) どのような点(理由)で、あなたは「 」 を選んだのでしょうか。 Ⅲ.次の 1 )~ 5 )について、あてはまる選択肢に○を つけてください。 1 )学年: 1 年 2 年 3 年 4 年 2 )性別: 男性 ・ 女性 ・ その他 3 )年齢: 歳 4 )ボランティア経験: あり ・ なし ・ その他

引用文献

1 )宮嶋淳:国際協力・ボランティアに関する一考察. 社会福祉士、第 3 号36頁-45頁(1996) 2 )宮嶋淳:ドミニカ共和国におけるファミリー・ソー シャルワーク構築への取り組みと職能団体の役割. ソーシャルワークぎふ、第10号49頁-58頁(2004) 3 )宮嶋淳:国際NGO「サポートボランティア」に関 する考察.中部社会福祉学研究、第 7 号49頁-58頁 (2016) 4 )萩原康生:国際社会開発.明石書店、192頁(2001) 5 )仲村優一:日本社会福祉の国際的位置、世界と日本 の社会福祉.旬報社、39頁(2003) 6 )社団法人日本社会福祉士会:日本社会福祉士会十年 史.38頁-43頁(2003) 7 )北島英治:事例研究の意味と方法、新社会福祉援助 技術演習.中央法規、171頁(2001) 8 )社団法人日本社会福祉士会倫理委員会:「ソーシャ ルワーカーの倫理綱領」改訂試案詳細解説、19頁 (2003) 9 )ジム・アイフ:地方化したニーズとグローバル化し た経済、カナダソーシャルワーカー協会編日本ソー シャルワーカー協会国際委員会訳仲村優一監訳: ソーシャルワークとグローバリゼーション.相川書 房、50-65頁(2003) 10)磯村英一:都市問題の系譜.東海大学出版会.36 頁-37頁(1982) 11)前掲 3 ) 12)クロスロード制作委員会:クロスロード.東映ビデ オ(2015) 13)内山治ほか:SPSS によるテキストマイニング入門. オーム社、68頁-146頁(2012) 14)石村貞夫ほか:SPSS による分散分析と多重比較の 手順第 5 版.東京図書、 3 頁-30頁(2015) 15)牛澤賢二:やってみようテキストマイニング自由回 答アンケートの分析に挑戦!.朝倉書店、 1 頁-20 頁(2018)

図 1-1 「羽村」のグリッドレイアウト
図 1-4 「樹」のサークルレイアウト Ⅵ.考察 本調査に協力した学生たちは、青年海外協力隊の二項 対立を醸し出す「樹」と「羽村」という二人の人物に対 し、統計学上の有意差は認められないものの、どちらに 対しても一定割合の「共感」感覚を持っていた(表 1 )。 表 1 に認められるように「樹」に対する共感感覚は、「変 化」と「成長」に代表される。この「変化」と「成長」 は、「樹」が関わりをもった村と姉弟の「変化」であり、 「樹」の「成長」をさしている。学びの過程にある学生 たちは、自らに引き寄せ、「変化」と

参照

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