第31回 日本心身健康科学会学術集会 教育講演抄録・一般口演抄録
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(2) 心身健康科学. 17 巻 1 号. 2021 年. (Scheier & Carver,1985) .上田(2012)は,緊急事態に. と職業性ストレス調査票の疲労感,抑鬱感,不安感の得. おける行動特性には個人差があり,楽観性の高低差にお. 点および自覚的運動負荷量と同身体愁訴の得点に有意な. いて,緊急事態における作業方略に違いがある.課題に. 相関がみられた(p < 0.05).臨床上頻脈とみなされる. 対する所要時間は楽観性低群でより長いと述べている.. 心拍数 100 回 / 分以上が観察された群(A 群 n = 15)と. Charles(2010)は,楽観性の高い者は目標に向けてエネ. 観察されなかった群(B 群 n = 30)を比較したところ,. ルギッシュに取り組むことが述べられているが,外山. A 群は B 群に比して職業性ストレス調査票のストレス. (2017)は,楽観性の高い者は大きな目標をかなえるため. 反応得点合計の平均値が有意に高かった(平均値 A 群. には他の目標を抑制する傾向があると報告している.い. = 7.46 ± 1.58 B 群= 5.62 ± 1.29,t =-3.81 p < 0.05).. とう(2015)は,楽観性の高い者は重要な目標に関して. 【考察】職務中に自覚する緊張度,運動負荷量は実際の心. は時間と労力を集中させる一方で些細な目標には適度に. 拍数を必ずしも反映せず,臨床上頻脈とみなされる心拍. 取り組むため,その作業が重要であるかそうでないかに. 数が観察された群の職業性ストレス調査票のストレス反. よって,予測値が左右されることが考えられると述べて. 応得点が有意に高かったことから,当該得点が高い者の. いる.作業予測に関連して悲観性に言及している先行研. 中には,若年者であっても生理学的な機能を確認する必. 究が少ない.楽観性と悲観性を一次元上で捉えるか,二. 要がある者が含まれる可能性が示唆された.. 次元で捉えるかには未だ議論が残るが,近年後者が着目 されている.. 【結論】医療従事者の職業性ストレスの把握には,調査票 と生理指標の双方を活用することが有効と言える.. 【考察】日下(2015)が楽観性・悲観性は精神的健康を予 測する要因であると述べていることより,作業予測に関 する影響をふまえて検討することは心身の健康に通ずる ものであり今後の実験研究の意義が見いだせると考え. 【倫理審査申請承認機関】人間総合科学大学(R 第 601 号) ,京都民医連中央病院(第 109 号) 【キーワード】職業性ストレス,心拍数,自己認知,フォ ーカシング的態度. る. 【結論】楽観性・悲観性の両者が作業予測に及ぼす影響の 解明は不十分である.. メンタルローテーション能力に対する足底知覚トレー二. 【キーワード】作業予測,楽観性,悲観性,心身健康科学. ングの効果(博士学位申請) ○柴. ひとみ 1, 2),鍵谷. 方子 3),鈴木 はる江 3). 1) 人間総合科学大学大学院 職業性ストレスに対する自己認知と生理的反応の相違に 典裕 1),吉田. 浩子 2),藤原. 1) 人間総合科学大学大学院. 馬医療福祉大学リハビリテ−ション学部 3)人間総合科 学大学大学院. 関する研究(博士学位申請) ○四方. 人間総合科学研究科 2) 群. 宏子 2). 【目的】本研究は,身体認知に重要な役割をもつ体性感覚. 人間総合科学研究科 2) 人. とそれによるアクティブタッチに着目し,記憶情報に基. 間総合科学大学大学院. づき弁別を行う課題のトレーニング(足底知覚トレーニ. 【目的】本研究は職業性ストレス低減に資する新たな知. ング)が,認知的情報処理に関係するメンタルローテー. 見を得るために,医療従事者の勤務中のストレスに対す. ション(MR)能力の向上に繋がる可能性を検討するこ. る自己認知と心拍数及び諸要因の関連を実証的に示すこ. とを目的とした.. とを目的とした.. 【方法】健常男女 17 名(平均 20.7 ± 0.5 歳,トレーニン. 【方法】2019 年 11 月に調査協力同意が得られた A 病院. グ群 9 名,対照群 8 名)を対象とした.トレーニング群. に勤務する基礎心疾患のない新人もしくは非管理職の看. は,足底知覚トレーニングとして座位で異なる硬度のス. 護師(25 名),セラピスト(7 名) ,医師(10 名) ,臨床検. ポンジマット 5 種類の硬さを弁別する課題を,対照群は. 査技師(3 名)を対象に調査を実施した.任意の 1 日の. 座位で一定硬度のスポンジマットに足をのせることを. 出勤時から退勤時までホルター心電計を装着し,10 分毎. 10 日間実施した.トレーニング前後でマット硬度弁別. の自覚する緊張度と運動負荷量の評定(5 件法)と業務. 課題と MR 課題,および,二点識別覚,位置覚,振動覚,. 内容の記載,退勤前に属性,職業性ストレス調査票等に. 開閉眼立位バランス,注意機能(TMT-A/B)の検査を実. 関する自記式質問紙への回答を求めた.. 施した.. 【結果】対象者(N = 45)の平均年齢は 26.6 歳,40%が男. 【結果】トレーニング期間後,トレーニング群では対照群. 性,80%が職歴 3 年目以内だった.各対象者の 10 分毎. に比べ,マット硬度弁別課題において全問正答者数が有. の平均心拍数の最大・最小値と,その時の自覚的緊張度. 意に多かった.MR 課題の反応時間は,トレーニング群. および運動負荷量には有意な相関はなく,自覚的緊張度. でのみ有意に減少した.トレーニング群では,二点識別 (27)27.
(3) 心身健康科学. 17 巻 1 号. 2021 年. 覚の向上が認められたが,重心動揺に変化は見られなか. 唾液中コルチゾール濃度は 1 回目に 1 名上昇,3 名下. った.数字と平仮名を交互に線で結ぶ TMT-B の成績が. 降,2 回目は 1 名変化無く,3 名下降した.回避感情得点. 向上傾向であった.. は 1 回目に 2 名上昇,2 名下降,2 回目は 1 名上昇,1 名. 【考察】足底知覚トレーニングによる active touch は,パ. 変化無く,2 名下降した.. チニ小体やマイスナー小体等のメカノレセプターからの. 【考察】抱っこ 2 回目に対象者全員の唾液中オキシトシ. 情報処理能力を高め, 比較照合を生じさせることにより,. ン濃度が上昇し,唾液中コルチゾール濃度が 1 名変化無. active touch により転換性注意力の向上が図られ,MR. かったが,3 名下降したのは,乳児との“アイコンタクト”. 課題の成績が向上したのではないかと考える.. と,乳児の様子の“笑う・ぐずる・泣く・暴れる”が関連要. 【結論】足底知覚トレーニングは,MR 能力に影響を与え. 因として影響したからと考えられる. 【結論】乳児との触れ合いを重ねると,大学生の乳児への. ることが示唆された. 【倫理審査申請承認機関】人間総合科学大学(第 627 号),. 親愛感情が高まる可能性があり,今後対象数を増やして 検討していく.. 群馬医療福祉大学(第 19-A07 号) 【キーワード】心身健康科学,メンタルローテーション, 注意機能,二点識別覚,足底知覚トレーニング. 【倫理審査申請承認機関】神奈川工科大学(承認番号: 20181218-02)※本研究は予備実験である. 【キーワード】心身健康科学,乳児,触れ合い,親愛感情, 大学生. 乳児との触れ合いによる心身への影響と関連要因の検討 (博士学位申請) ○濵園. 環 1),庄子. 和夫 2),中山. 1) 人間総合科学大学大学院. 和久 2). 人間総合科学研究科 2) 人. 間総合科学大学大学院 【目的】乳児との触れ合いによる心身への影響と関連要 因について,大学生を対象として検討する. 【方法】 1.触れ合いの定義:乳児を抱っこする状態とする.. 瞑想がテロメア長に及ぼす影響ならびに幸福感との関連 (博士学位申請) ○佐藤 洋 1, 2),庄子 和夫 3),小岩 1) 人間総合科学大学大学院. 信義 3). 人間総合科学研究科 2) 独. 立行政法人国立病院機構東埼玉病院 3) 人間総合科学大 学大学院 【目的】マインドフルネス瞑想(以下,MM)とは,呼吸. 2.対象:出産・育児経験・小児看護学実習経験の無い看. などの内受容感覚に意識を集中させることで,今現在に. 護大学生男女 4 名.. 気付きをもたらす方法である.一般成人に対する 8 週間. 3.研究デザイン:4 名の前後比較とし,以下①〜⑥を 1. の MM に基づくプログラムの介入によって,統制群と. クールとするスケジュールを 1 週間空けて 2 回実施.. 比較した群は有意に幸福感が向上することが報告されて. ①ベビー人形で抱っこ練習 3 分,②安静 3 分,③唾液採. いる.また MM は,不安やストレスの軽減だけではな. 取・質問紙回答 15 分,④ 6 カ月児を抱っこ実施 3 分,⑤. くテロメラーゼ酵素の活性化についても報告されてい. 安静 3 分,⑥唾液採取・質問紙回答 10 分. る.テロメラーゼ酵素の活性化は,テロメアの伸長に関. 4.評価方法. 与することで知られる.そこで本研究では,MM の実践. (1)唾液中オキシトシン濃度と唾液中コルチゾール濃度. に伴うテロメアの長短と主観的幸福感およびストレス反. (いずれも競合 ELISA 法). 応の推移に着目し,心と身体の有機的関連性について検. (2)対児感情評定尺度 28 項目(花沢,1992)の接近感情. 証する.. 得点と回避感情得点の各々 14 項目の得点. 【方法】健康な成人 40 名を対象に MM の介入効果を検. (3)関連要因:①乳児との相互作用(アイコンタクト・. 討する.MM は,アプリケーションを用いて 1 日 1 回 5. 声掛け,②乳児の様子(笑う・ぐずる・泣く・暴れる・. 分を目安に 90 日間実施する.唾液試料は,唾液中のア. 眠る)とする.. ミラーゼ活性を測定することでストレスの推移を測定す. 【結果】1 回目・2 回目抱っこの前後変化. る.口腔粘膜細胞は,遺伝子発現解析により DNA の抽. (1)唾液中オキシトシン濃度と接近感情得点. 出とテロメア長の測定比較を行う.質問紙調査では,. 唾液中オキシトシン濃度が 1 回目は 1 名上昇,1 名変 化無く,2 名下降,2 回目は全員上昇した.接近感情得点 は 1 回目が 1 名下降,3 名変化無く,2 回目に 2 名上昇, 2 名下降した. (2)唾液中コルチゾール濃度と回避感情得点 28(28). WHO SUBI と SRS-18 を用いて幸福感とストレスを測定 する. 【結果】MM が,幸福感の向上を示唆する先行研究やテ ロメア長の伸長に関わる酵素の活性化を示唆する先行研 究の知見に基づけば,MM を介入方法として採用する本.
(4) 心身健康科学. 17 巻 1 号. 2021 年. 研究においても,同様に主観的な幸福感の向上やストレ. られる事例があった.ストレス耐性が高い群は泣き声も. スの軽減およびテロメアの伸長あるいは短縮遅延が期待. 笑い声も肯定的にとらえている.ストレス耐性によっ. される.. て,受け止めが異なっていることが考えられたが,生理. 【考察】MM による今この瞬間への気付きは,ストレス. 指標において有意差を確認することはできなかった.. の軽減と主観的な幸福感の向上につながると思われる.. 【結論】1.成人男性・女性は乳児の泣き声に対して,血. MM によってテロメラーゼ酵素が活性化されることに. 流量においてストレス反応を認めた.2.ストレス耐性. より,細胞組織の再生が頻繁に行われる口腔粘膜細胞に. の高群と低群では高群において,泣き声と笑い声を肯定. おけるテロメアの伸長に影響を及ぼすと考えられる.. 的にとらえることが認められた.. 【結論】MM を所定の方法で実施するとストレスの軽減. 【倫理審査申請承認機関】人間総合科学大学(第 581 号). と主観的幸福感の向上に効果があり,これらの効果が. 【キーワード】心身健康科学,乳児の声,精神的反応,生. MM と相乗的に影響し合うことでテロメラーゼ酵素の. 理的反応,育児参加. 活性化につがなりテロメアが伸長する.テロメア伸長に より,細胞老化の抑制と健康寿命の延長への寄与が示唆 される.. 触圧刺激時の心拍数の変動と自律神経機能・主観的健康. 【倫理審査申請承認機関】人間総合科学大学(第 608 号). 感の関連. 【キーワード】マインドフルネス瞑想,テロメア,主観的. ○川﨑 晃子 1),鍵谷. 幸福感,ストレス軽減,ポリメラーゼ連鎖反応. 久住. 武. 方子 2),矢島. 孔明 2),. 2). 1) 元人間総合科学大学大学院 人間総合科学研究科 2) 人間総合科学大学院 乳児の声に対する精神的反応と生理的反応の関連性と個 ○山田万希子. 1, 2). ,鍵谷. 3). 方子 ,久住. 1) 人間総合科学大学大学院. 【目的】本研究は触圧刺激(鍉鍼)による心拍数の変動と 自律神経機能の状態および健康関連 QOL との関連を調. 人特性の影響(博士学位申請) 武. 3). 人間総合科学研究科 2) 城. 西国際大学大学看護学部 3) 人間総合科学大学大学院. べることを目的とした. 【方法】健常学生男女 24 名を対象とし,実験 1 で左前額 眉毛中心,実験 2 で左前腕前面中央へ刺激を行う A 群. 【目的】育児に対する受け止め方の違いや個人的な特性・. と,実験 1,2 の順を入れ替えた B 群に無作為に割り付. 環境が育児に影響を及ぼしているかを検証し,育児に参. けクロスオーバー試験にて実験を行った.刺激にはバネ. 加しやすい効果的な保健指導の基礎データとする.また. 式鍉鍼(直径 2.5mm)を使用し,強度 150g,刺激頻度. 育児に直接関わらない青年期にあたる被験者を対象に調. 0.5Hzで触圧刺激を 2 分間行い心拍数の変化を観察した.. 査することによって,現代の若者の乳児に対する思いの. 健康関連 QOL 尺度および起立試験による自律神経機能. 傾向を知ることを目的とする.. 評価にて対象者の心身の状態を評価した.. 【方法】18 歳以上の成人女性と成人男性を対象とした.. 【結果】前額部,前腕部への断続的な触圧刺激中に心拍数. 個人情報アンケート(性別,年齢,家族構成,乳児に触. はともに有意に減少し,その減少の程度は前額部の方が. れる機会の有無,親子の関係性) ,ストレス耐性尺度,感. 大きい傾向にあった.刺激中と刺激後の HF 成分の変化. 情調査を得点化する.乳児の泣き声と笑い声を各 3 分間. の程度は,前額部と前腕部で異なった.前額部への刺激. 聴取する.対象を 2 群に分け,クロスオーバー試験にて. による心拍数減少反応の程度は,起立試験から算出され. 実施.聴取時の生理指標を分析,統計処理を行った.. た副交感神経関与度とやや弱い相関傾向を認めた.副交. 【結果】対象者は男性 7 名,女性 11 名.生理指標の血流. 感神経関与度と SF-8 の精神的サマリースコアは負の相. において,分散分析の結果,安静時(3 回) ・泣き声・笑. 関傾向が認められ,身体的サマリースコアとは相関は認. い声で有意差が認められた.性別,家族構成,乳児に触. められなかった.. れる機会の有無,親子の関係性,ストレス耐性において,. 【考察】触圧刺激による心拍数減少反応は,刺激部位によ. 生理指標との関連性は認められなかった.ストレス耐性. って程度が異なり,自律神経反応に違いがあることが考. を高群と低群でみた感情アンケートの関連性では,高群. えられた.また,前額部刺激による心拍数減少反応は,. において泣き声の肯定感情と笑い声の肯定感情で有意差. 副交感神経機能の状態により影響を受けること,副交感. が認められた.. 神経機能は精神的健康に影響を及ぼしていることが考え. 【考察】成人の男性・女性は乳児の泣き声に皮膚血流にお. られた.. いてストレスを感じている指標が得られた.笑い声に対. 【結論】本研究より,前額部と前腕部への断続的な触圧刺. してもストレスを感じていると考えられる生理指標がみ. 激は,前額部刺激の方が心拍数減少の程度は大きい傾向 (29)29.
(5) 心身健康科学. 17 巻 1 号. 2021 年. にあることがわかった.この反応は自律神経機能の影響. 【倫理審査申請承認機関】人間総合科学大学(第 598 号). を受けること,また,精神的健康にも影響する可能性が. 【キーワード】心身健康科学,触圧刺激,体性−自律神経. 示唆された.. 30(30). 反射,SF-8.
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