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「教職実践演習」の研究 教員養成を主たる目的とする学部学科における「教職実践演習」とカリキュラム全体との関係への試論

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要旨  「教職実践演習」は,教員養成課程を選択した学生が最後に学習する科目である。学生が 今までの学習において十分な学習成果が得られなかった部分を自覚させようとする目的を, この科目は持っている。そうしてこの弱点の克服を各学生がめざすものである。しかしこの 科目は,2010年から施行された新しい科目であるために,今まで十分にその位置づけが議論 されて来なかった。学生が教員養成課程で学んできて,十分に学習できなかった部分を知り, その学力不足の部分を補うために,どうしたらよいか。そこで,この科目が教員養成課程全 体の中でどのような意義を持ち,どのような教育方法をとるのが良いかを明らかにしようと, この研究で我々は試みた。我々の結論は次のとおりである。この授業で重要なのは,教育方 法をいくつか組み合わせて使用すること(トライアンギュレーション)である。我々はこの 方法を知識の三角測量と呼ぶことにしよう。あるいは,Claude Lévi-Strauss が使い始めた 術語に従って,我々はこの方法をブリコラージュと呼ぶことにしよう(これらを総合的に駆 使しながら,さらに教職実践演習と研究演習とが車軸の両輪のごとく連関し合う方法を探る のが効果的であろうと考える)。 キーワード 教職実践演習,トライアンギュレーション,ブリコラージュ,研究演習との連携 英文要旨

 The practical seminar for teachers is one of the final courses studied by students who have selected a teacher training course. Its purpose is to make students aware of areas in the teacher training course where their knowledge is lacking, while giving them the

「教職実践演習」の研究

― 教員養成を主たる目的とする学部学科における「教職実践演習」と

カリキュラム全体との関係への試論 ―

生野 金三・高木 史人・香田 健治・湯川 雅紀

Research on the Practical Seminar for Teachers

- To elucidate its relationship with the overall system of courses in faculties and departments whose main purpose is teacher education-

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opportunity to overcome these weak points. However, as it is a new course, first introduced in 2010, effective ways to make up for these deficiencies are yet to be sufficiently discussed. How should students go about filling these gaps in their knowledge? To address this issue, we attempted to clarify what significance this course has in the teacher training course as a whole, and what sort of educational methods should be used. We concluded that the use of multiple teaching methods in combination is key to the course’s success―specifically, we are referring to the concepts of triangulation and bricolage, the latter a theory of Claude Lévi-Strauss. (To maximize the potential of the course, then, it will be important to make use of both triangulation and bricolage, while also looking at ways to bring practical seminars and research seminars together.)

Keywords

 Practical seminar for teachers, triangulation, bricolage, link with research seminars

Ⅰ 課題の設定

 現在,教員養成課程を持つ教育機関では「教職実践演習」という必修科目が設けられてい る。当該科目は,2010(平成22)年度から設置されたが,その趣旨は2006(平成18)年7月 11日の中央教育審議会「今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)」1)に基づい ている。その中の「「教職実践演習(仮称)」について」1a) の「新設・必修化―教員として 必要な資質能力の最終的な形成と確認―」に, 今後,教職課程の履修を通じて,教員として最小限必要な資質能力の全体について,確 実に身に付けさせるとともに,その資質能力の全体を明示的に確認するため,教職課程 の中に,新たな必修科目(「教職実践演習(仮称)」を設定することが妥当である。 とある答申が具現化したものである。  さて,この答申では教職実践演習においては「教員として求められる4つの事項」として, 1.使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項 2.社会性や対人関係能力に関する事項 3.幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項 4.教科・保育内容等の指導力に関する事項 を含めることを適当だとしていた。  さらに「授業方法について」,

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役割演技(ロールプレーイング)やグループ討議,事例研究,現地調査,模擬授業等を 取り入れることが適当である。 とし,「指導教員」は, 教科に関する科目と教職に関する科目の担当教員が,共同して,科目の実施に責任を持 つ体制を構築することが重要である。 とし,「履修時期」(配当時期)を, すべての科目を履修済み,あるいは履修見込みの時期(通常は4年次の後期)に設定す ることが適当である。 とした。  つまり,「教職実践演習」の授業では教員養成課程の最終段階において,個々の学生に 「教員として最小限必要な資質能力を身に付けさせ」,個々の学生が自分の教員としての資質 能力の全体像を確りと認識する(「明示的に確認する」)ことが求められるわけである。  周知のように教員養成課程は,特に教員養成を専らとする教育系の学部学科に限らず,幅 広い学部においてそれぞれの専門課程とは別に教員免許を取得するために履修を可能として いる場合が中等教育等の科目免許取得を中心に多く見られる。しかし本研究では,特に教員 養成を主たる目的に据えている学部学科,とりわけA大学教育学部のような初等教育教員養 成課程をもつ学科において教職実践研究がどのように,授業体系全体の中に布置されること が望ましいかについて考察する。それというのも当該科目についてはそれ自体をどのように 教授するかという研究はあるものの,授業体系全体との関わり(これは教員養成に関する科 目だけでなく,共通科目やいわゆるゼミ科目等をも含んだ科目体系の中でどのように位置づ けられ,機能づけられるものなのかを考察した研究が管見の限り見受けられなかったことが, 研究の動機となっている。

Ⅱ 「教職実践演習」の進め方及びカリキュラムの例

 2011(平成23)年3月9日に行われた中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会で 配布された「教員養成部会(第62回)配布資料」の「資料8-2 教職実践演習の進め方及 びカリキュラムの例」1b)では,「授業の実施にあたっての準備事項例」として, ●教職実践演習の担当教員と,その他の教科に関する科目及び教職に関する科目の教員

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で教職実践演習の内容について協議 ●入学の段階からそれぞれの学生の学習内容,理解度等を把握(例えば,履修する学生 一人一人の「履修カルテ」を作成 と,教職実践演習においては,教員養成課程に係わる教員間の連携が欠かせない。とりわけ 教科及び教職に係わる教員間で充分な協議を行うことが求められている。その上で,個々の 学生の教員としての資質能力を把握するための方策として「履修カルテ」を作成することが 事例として挙げられている。  続いて,配布資料には,「授業で取り扱う内容・方法例」として, ●イントロダクション・これまでの学修の振り返りについての講義・グループ討論 ●教職の意義や教員の役割,職務内容,子どもに対する責任等についてのグループ討 論・ロールプレイング ●社会性や対人関係能力(組織の一員としての自覚,保護者や地域の関係者との人間関 係の構築等)についての講義・グループ討論 ●幼児児童生徒理解や学級経営についての講義・グループ討論 ●学級経営案の作成・グループ討論 ●学校現場の見学・調査 ●社会性,対人関係能力,幼児児童生徒理解,学級経営についてのグループ討論 ●教科・保育内容等の指導力についてのグループ討論 ●資質能力の確認,まとめ が示されている。これは現在各教員養成機関で行われている教職実践演習シラバスの素案と もなっているものである。ここでの授業形態としては,講義,グループ討論,学級経営案作成, 学校現場の見学・調査,資質能力の確認等,授業の方法が多岐に亘っていることが分かる。

Ⅲ 従来の研究状況及び近隣教育系学部での実施状況

1.本研究に関連する国内の研究動向  「教職実践演習」は,平成22年に教職課程に位置付けられ,短期大学では,平成23年より, 4年制大学では,平成25年よりそれぞれ実践されている。この「教職実践演習」の実践や研 究の動向を見てみる。  前者の実践の面では,「カルテについては,『教職実践演習』の授業の1回目に Web 上で 入力させており」(京都地区私立大学教職課程研究連絡協議会,会報第33号,2014年),「課 題を課すことによって対応」(同上書),「学生がなかなか入力しないということもあった」

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(京都地区私立大学教職課程研究連絡協議会会報第34号,2015年),「履修カルテの活用です。 ほとんど活用しないという大学も出てきました」(関東地区私立大学教職課程研究連絡協議 会会報第76号,2015年),「教職履修カルテを活用せず課題の設定」(日本保育学会,ポス ター発表,2016年5月)等の実践報告からも明らかなように,「教職実践演習」の本来のあ るべき姿とは,乖離した状況にある。  一方,後者の研究の面では,   ①「『教職実践演習(仮称)』の指導の在り方に関する研究」(福岡経大論集第39巻第1号, 2010年) ②「『教職実践演習』の施行に向けた試行的実践(1)」(千葉大学教育学部研究紀要第60巻, 2012年) ③『自己成長を目指す教職実践演習テキスト』(原田恵理子編著,北樹出版,2014年) ④「全学教職課程における教職実践演習への取組(3)」(岡山大学教師教育開発センター, 2015年) ⑤「『教職実践演習』のコース別演習として」(「きょう土をひらく」(小学校4年),「国会 のはたらき」(小学校6年生)等の模擬授業。日本教師教育学会第25回研究大会,2015年) ⑥「教員養成の質保証に向けた教職実践演習のモデル開発に関する研究(1)」(⑤書に同じ) 等が認められる。  上記の②と⑤は,課題を設定し,それを学習指導案の分析や模擬授業によって解決してい るところに特色が認められる。②の場合は,「教員採用前に,自分の課題を自覚し,不足を 補い,定着を図ることができるように設定されたものである。」とし,その課題を「教育実 習で自分が実施した授業や学習指導案等を再分析し,学級経営や授業の指導案を作成できる ように実践力を付けることを目指す」としている。そして,⑤の場合は,教師が「きょう土 をひらく」(小学校4年),「国会のはたらき」(小学校6年生)等の単元を設定し,その課題 を模擬授業によって解決するという授業展開である。いずれも課題を設定し,それを解決す ることを通して,教員に求められる資質能力,とりわけ実践的指導力を育成しようとする点 は共通している。しかし,ここで問題となるのは,教員に求められる資質能力,特に実践的 指導力を育成するための個々人の課題設定である。短期大学では,1年半,4年制大学では, 3年半それぞれ「教科に関する科目」や「教職に関する科目」履修してきている。その履修 状況は,それぞれの授業科目が終了する直前,つまり第13回から第15回の間に「教職履修カ ルテ」に受講者である学生に記入させることによって把握することが望ましいとされている。 この期は,到達目標に従って進められた授業も終盤に入り,受講者である学生は,授業内容 のほとんどを理解し,学習の成果や課題等を整理することができると考えるからである。ま

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た,自己啓発のためにカルテを記入するという目的に鑑みるとき,各年度の終わりに必要な 事項を記入する(教職課程認定申請の手引き)のである。このような作業によってこうして 受講者である学生の「教職実践演習」へのモチベーションを高めることができる。斯様な把 握の観点より,先に掲げた「教職実践演習」に関する研究に目を転じてみると,いずれも 「教職履修カルテ」を活用して,課題を設定し,それを解決するといった「教職実践演習」 の研究であるが,「教職履修カルテ」を活用して,それを解決するといった「教職実践演習」 の在り方とは異なる。  「教職実践演習」の実践と研究の動向を見てみると,「教職実践演習」において極めて重要 な位置を占める「教職履修カルテ」の記入,そしてそれを活用して受講者である学生自身が 自己の課題を設定するといった点とは異なっている。教員に求められる資質能力を身に付け るためには,四者の資質能力の具体的な指標(概ね30項目)を授業科目との関わりで,まず 個々の学生が,将来,教員になる上で,自己にとって何が課題であるかを明確にし,そして 必要に応じて不足している知識や技能を,役割演技,グループ討論,事例研究,模擬授業等 によって定着を図ることである。 2.近隣教員養成系学部での履修カルテ活用状況 (1)調査対象  ここでは,A大学教育学部教育学科の存する近畿地方にある教員養成系学部の履修カルテ の実施状況について,アンケート調査を実施した2) 。ここではその中の履修カルテ活用状況 に絞って分析を試みる。調査対象は,大阪府(16校),京都府(12校),兵庫県(13校),滋 賀県(2校),奈良県(5校),和歌山県(1校)の2府4県の49校である。アンケートの質 問項目は,以下の4点である。質問①は「『履修カルテ』の記入提出時期について」,質問② は「『履修カルテ』の整理時期について」,質問③は「『教職実践演習』における課題設定に ついて」,質問④は「『教職実践演習』における『履修カルテ』の活用に関する実践上の課題 について」である。質問①~③については,表1~3のように4件法あるいは5件法で回答 を求めている。「その他」については,自由記述である。そして,質問④は自由記述で回答 を求めている。回答の回収結果として24校から回答を得ることができた。 (2)アンケート調査の結果 表1 質問①「『履修カルテ』の記入提出時期について」の結果 項目 1.15回の授業 時間内に学生に 記入させ,提出 させている。 2.授業後に学 生が各自で記入 し,提出するよ うにしている。 3.記入させて いない。 4.その他 合計 回答数 7 6 3 8 24

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 質問 ①の結果として,学生に「履修カルテ」の提出を求めている大学は,54.2%であっ た。一方,提出を求めていない大学は,12.5%である。「その他」の回答している大学は 33.3%である。その記述の内容としては,「事前に Web で記入させる」「各学年の学期末の 成績通知後に,Web 上で学生が各自で入力する」「一定期間に Web で登録させている」「授 業前に学生が各自記入し,提出している」「回答1と2の両方(で提出)」「4月の全学オリ エンテーション時に記入,提出させている」「Navi 上で学生に学期終了後に入力させている。 1年生の前期分のみ後期授業の中で説明し,情報処理演習室で入力させている」である。つ まり,何らかの方法で提出を求めているといえる。したがって,学生に「履修カルテ」の提 出を求めている大学は,結果として87.5%である。また,その提出時期については,授業時 間内に提出を求めている大学は29.2%で,授業時間外に提出を求めている大学は58.3%である。 表2 質問②「『履修カルテ』の整理時期について」の結果 項目 1.学期ごとに学生に整理させ ている。 2.年度単位で 学生に整理させ ている。 3.整理してい ない。 4.その他 合計 回答数 8 9 1 6 24  質問 ②の結果として,「履修カルテ」の整理時期については,学期ごとあるいは年度単 位で整理させている大学が70.8%である。整理していない大学は4.2%で,その他と回答した 大学が25.0%である。その他の記述の内容としては,「学期ごとに教員・学生が整理,学年 によっては教務課」「3年生までは年度単位。4年生は授業の初回と終回」「大学がファイリ ング保管」「年度単位で教務課が整理している」「Web 利用中の学生は1。紙利用中の学生 は2」である。ほとんどの大学では,学期ごとあるいは年度ごとに整理されていることが分 かる。しかし,その担当者については。教員または教務課であることからこの点についても 今後調査が必要であるといえる。また,Web 上で整理する大学や紙面上で整理する大学など, その整理方法は多様である。    表3 質問③「『教職実践演習』における課題設定について」の結果 項目 1.「 履 修 カ ルテ」を活用 して,教員が 課題を設定し ている。 2.「 履 修 カ ルテ」を活用 して,学生が 課題を設定し ている。 3.「 履 修 カ ルテ」を活用 せず,教員が 課題を設定し ている。 4.「 履 修 カ ルテ」を活用 せず,学生が 課題を設定し ている。 5.その他 合計 回答数 5 9 4 2 4 24  質問 ③の結果として,「教職実践演習」における課題設定については,「履修カルテ」を 活用して学生が課題設定をしている大学が37.5%で最も多く,次に,「履修カルテ」を活用

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して,教員が課題を設定している大学が20.8%である。「履修カルテ」活用せず,課題を設 定している大学は25.0%である。そして,その他が17.7%である。その他の記述の内容は, 「1と2の両方」「学生と教員が面談を行った上で,課題を設定している」「カルテを活用し て授業内の一部のみ」「未開講,現在,2年生が最上級生である」である。この記述から, 8.3%は「履修カルテ」を活用しており,4.2%はその活用が不明であり,残りの4.2%は未開 講であることから,課題設定はされていないと判断できる。  なお,質問④「教職実践演習」における「履修カルテ」の活用に関する実践上の課題につ いては,回答がなかった。

Ⅳ A大学教育学部における教職実践演習

 それではA大学教育学部において「教職実践演習」のカリキュラムを具現化したシラバス はどのようになっているか,「保育教職実践演習(幼稚園)」「教職実践演習(小学校)」の15 回に亙る授業計画を見よう。  上段(表4)が「保育教職実践演習(幼稚園)」の授業計画,下段(表5)が「教職実践 演習(小学校)」の授業計画である3) 。  まず,両者とも第一回の導入において,「履修カルテの確認」をしている。これまでの自 己の教職を目指すものとしての達成について,自分から見た認識を意識化している。そうし て,この授業を序盤・中盤・終盤と大きく三つに分けた場合,「保育教職実践演習(幼稚園)」 「教職実践演習(小学校)」共に序盤では,自己の到達度の客観的把握と課題の設定に授業が 振り分けられている。先の中教審「資料8-2 教職実践演習の進め方及びカリキュラムの 例」におけるイントロダクションに関する授業が手厚く配慮されているということである。  そうして,授業の中盤に至って「保育教職実践演習(幼稚園)」では「模擬保育」として 5領域のそれぞれについての振り返りが行われているが,その中の領域人間関係に係わる授 業では「市教育委員会や幼稚園より意見を聴取」とあるように教育現場の調査が盛り込まれ ている。また,「教職実践演習(小学校)」では学級経営,授業設計に授業の多くが割かれて いるが,学級経営については「市教育委員会や小学校より意見を聴取」とあるように教育現 場の調査が盛り込まれている。さらに,授業設計については「細案の作成」→「授業計画」 →「模擬授業」→「授業記録」→「ティーム・ティーチング」等の振り返り,分析→目標到 達度の確認→改善案の作成と,授業についての一連の流れを行っている。 表4 「保育教職実践演習(幼稚園)」授業計画 授業計画 1 オリエンテーション(本科目の目標と趣旨について理解を深める。履修カルテの確認)

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2 保育者の役割や職務内容,子どもに対する責任について:グループ討論 3 履修カルテを基にこれまでの履修や活動を振り返り,自己課題を設定する。 4 自己課題を達成するための方策の検討と,計画の立案 5 模擬保育(1)健康で安全な生活を創り出す力を育む 6 模擬保育(2)人と関わる力を育む(市教育委員会や幼稚園等より意見を聴取) 7 模擬保育(3)身近な環境と関わる力を育む 8 模擬保育(4)言葉に対する感覚や表現する力を育む 9 模擬保育(5)豊かな感性や表現する力を育む 10 模擬保育の反省・評価と,実践力向上の確認:グループ討論 11 事例研究(1)学級経営について:グループ討論 12 三者連携について(市教育委員会や幼稚園等より意見を聴取) 13 事例研究(2)小学校との連携:グループ討論 14 保育職としての資質能力(使命感等)の確認 15 まとめ 授業形態 ①演習/②グループワーク 表5 「教職実践演習(小学校)」授業計画 授業計画 1 オリエンテーション(「教職実践演習」とは・授業の進め方),履修カルテの確認と課外設定 2 教職課程の履修履歴カルテを基に教員として求められる資質能力の確認 3 学校の役割,教員の職務,教師のあり方,自己の課題の明確化(教員になる上で) 4 学校経営,対人関係力,自己の課題の明確化(教員になる上で) 5 教科等の指導力,実践的な指導力,自己の課題の明確化(教員になる上で) 6 学級経営について(子どもの発達段階に応じた学級集団指導や個別指導のあり方について) 7 学級経営案の作成(市教育委員会や小学校等より意見を聴取) 8 授業設計①(細案の作成) 9 授業設計②(本時案の検討),模擬授業の準備 10 授業と評価①(授業を実施し,授業記録をとる)単独またはティーム・ティーチング 11 授業と評価②(授業を実施し,授業の見方の視点を整理する) 12 授業分析①(授業記録を基に目標達成度を確認する) 13 授業分析②(授業記録を基に,コミュニケーション分析を行う)

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14 授業改善案(目標・内容・指導法の各点について,改善案を作成する) 15 教師の実践的指導力や教師に求められる資質能力について整理する 授業形態 ①演習/②グループワーク,ディスカッション  授業の終盤は,「教職実践演習(幼稚園)」ではグループ討議という手法に多くが費やされ, 学生の個々の自己到達度に対する認識が他者の観点によって相対化され,より客観的に自己 の保育士としての資質能力が確認できるように設計されている。一方,「教職実践演習(小 学校)」では中盤から終盤にかけて,一貫して授業に焦点を絞って「教師の実践的指導力や 教師に求められる資質能力について整理する」ことを目途としている。  以上,大まかにA大学教育学部での「保育教職実践演習(幼稚園)」「教職実践演習(小学 校)」の授業の内容を見たが,中教審「資料8-2 教職実践演習の進め方及びカリキュラ ムの例」を概ね下敷きにしていることが了解される。  一方,教職実践演習の特色は,授業の内容(取り扱われる題材,「何を」)だけではなく, その授業の方法(題材の取り扱い方,「どのように」)に特に強く見られよう。たとえば,中 教審の「教職実践演習(仮称)」の「新設・必修化―教員として必要な資質能力の最終的な 形成と確認―」では「役割演技(ロールプレーイング)やグループ討議,事例研究,現地調 査,模擬授業等」が挙げられていた。これらから窺えるのは,従来,大学における授業方法 が概ね「講義科目」「演習科目」と大別されるような仕分けだったことに拠らず,「教職実践 演習」は講義と演習とを共に含む内容だということである。つまり,授業方法を一つに偏ら せず,幅広い授業方法を併せ行うことが教職実践演習では肝要なのである。したがって,そ の授業担当も中教審「指導教員」では,「教科に関する科目と教職に関する科目の担当教員 が,共同して,科目の実施に責任を持つ体制を構築することが重要である。」と明示される わけであり,A大学教育学部でも複数の教員によって授業が行われる体制を整えている(「保 育教職実践演習(幼稚園)」は教員3名で担当,「教職実践演習(小学校)」は教員2名で担 当)。以上,A大学の教職実践演習のシラバスをもとにして,教職実践演習の特色を紹介し たが,このような講義科目とも演習科目ともいえない授業の在り方を,ここでは教育上では なく研究上の背景の問題を考えてみたい。

Ⅴ 社会学におけるトライアンギュレーションと教職実習演習の授業方法

 社会学者の佐藤郁哉は社会調査の技法を大きく4つに分類して紹介している(表6)。社 会調査の4つの技法とは,フィールドワーク,サーベイ,実験,非干渉的技法である4) フィールドワークは参与観察や聴き書きなど対象の一員と化してその中で観察をしたり,イ ンタビューを通して個々の人間との繋がりの中からデータを得たりする技法である。サーベ イはアンケートに代表されるデータ獲得の技法である。実験はある一定の環境を整えた状態

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において調べようとするできごとと対象とする人との関係のデータを得る技法である。非干 渉的技法は文庫調査に代表される既存のデータなどを扱った資料から集積する技法である。  ここで注意をしなければならないのは,これらの技法がそれぞれ「フィールドワーカー」 とか「サーベイ屋」などと自らを呼ぶようにそれぞれ専門化されて独立しやすい傾向である。 佐藤はこれらの技法には,それぞれ特長と陥穽とがあると説いている。たとえば,フィール ドワークはある特定の人物や集団について長時間係わることで深くデータを得ることができ るが社会全体を広くフィールドワークすることはできない。サーベイは多くの人々から大量 のデータを集積することができるが集積されたデータの深みに欠ける。実験は一定の条件に 整えられた人工的な環境下で因果関係を求めることはできるが自然の不特定な条件下での因 果関係は求められない。非干渉的技法は調べるデータを時間的に遡り得ることができるが調 査者の調べたいデータそのものを調べたい技法で集めたものでない場合があり,また最新の データを獲得しにくい(表6参照)。  これらから佐藤は,それぞれの技法を唯一無二として他を斥けることはできないとした。 そうして,必要に応じて臨機応変に技法を組み合わせるトライアンギュレーションの重要性 を説く。  さて,教職実践演習という科目の授業方法,すなわち「役割演技(ロールプレーイング) やグループ討議,事例研究,現地調査,模擬授業等を取り入れることが適当である」という 方法は,佐藤郁哉が説くトライアンギュレーションの発想にまことによく似ている。すなわ ち講義あるいは演習というそれぞれ単一の大括りの授業法だけで行うのでなく,学生が教員 としての資質・能力を個々に確認し,その個々のさらなる学修を促すには,佐藤の説くトラ イアンギュレーションと同類の発想を用いていたといえよう。  いまここで仮に佐藤の4つの技法と「教職実践演習」で例示された授業方法との対応とを 対照させるならば,私見ではおそらく次のように整理されよう。   フィールドワーク →  現地調査   サーベイ     →  (グループ討議)   実験       →  役割演技,模擬授業   非干渉的技法   →  事例研究,(講義) 表6 (佐藤郁哉『フィールドワーク 書を持って街へ出よう』p.116 より引用) フィールドワーク (特に参与観察) サーベイ 実験 非干渉的技法 現実の複雑性に対する配慮 ◎ × × △

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現実の社会生活に対する 調査者の近さ ◎ × × × 調べられる事例の数 × ◎ × ○ 明確な因果関係の把握 △ × ◎ × 調べられる時間の幅 △ △ × ◎ 調査活動にともなう 干渉のバイアスの排除 × △ × ◎ 調査デザインの柔軟性 ◎ × × × ◎…特に優れている ○…優れている △…問題がある ×かなり問題がある  ちなみに,佐藤のトライアンギュレーションは社会調査方法における方法の複合を論じた ものであるけれども,教職実践演習におけるトライアンギュレーションは授業方法の複合を 試みたものであろう。いずれも一個の方法を最善とするのを戒めようとするものであろう。 このような試みは他にもいろいろと指摘できよう。たとえば,文化人類学の川田順造は,日 本,フランス,西アフリカ(モシ族)でのフィールドワークを相互に比較・対照して分析し, 論じることで個々の文化の特質が浮かび上がるとして,これを「知の三角測量」と名づけ た5) 。このような知の三角測量(トライアンギュレーション)の試みは,個別に対象を追究 していくと一つのことがらには深い理解が得られるように見えるけれども,その個々の対象 の特質は他との比較対照によってしか明らかにならないことを踏まえての試みである。これ は,現在の蛸壺ともしばしば揶揄される教育・研究活動の陥穽を克服する試みの一つとして, 教育・研究活動に携わる者の一人として心しておきたいことであった。

Ⅵ 「教職履修カルテ」に基づく指導の事例

 ここで,他大学における「教職実践演習(小学校)」における「教職履修カルテ」の具体 例を紹介しよう。他大学の例となる理由は,A大学教育学部の場合,2016(平成28)年度の 学部開設から3年間を経過して,いよいよ2019(令和元)年度が完成年度となる。したがっ て,現在,教育学部では教職実践演習の授業はまだ開講されていず,具体的事例を分析する ことはできない。そこで,本共同研究者の中で教職実践演習の授業経験がある生野金三の授 業実践例(「教職履修カルテ」の活用例)に基づいて,当該授業のイメージを構築したい。  表7は,生野が行った他大学での教職実践演習でのある学生の科目「特別活動の指導法 (小学校)」における教職履修カルテであり,これを事例として検討する。  この履修カルテでは,項目1として,学生が確認(認識)すべき事項を大きく「教科・教 育課程に関する基礎知識・技能」「教育実践」「課題探求」の三本柱に分けている。そうして この大きな柱(項目1)のそれぞれが細分化された項目2にしたがって,それぞれ学生への

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質問・確認事項が指標として示され,当該科目においては,これらの全てに力点が置かれて いるわけでないので,科目担当者は適宜,授業の力点を◎,〇等で示し,学生はそれぞれの 力点に5段階での自己評価を記入して,さらに「学んだこと・課題など」を文章にして記入 するという様式である。このような履修カルテは,現在では多くの大学でほぼ同一の様式で 行われている。  さて,ここでの事例の学生は,項目1「教科・教育課程に関する基礎知識・技能」につい て,特別活動の教科書や学習指導要領の内容理解と学習指導法の係る基礎理論・知識と科目 担当者が科目の力点とした2箇所共に4と同じ自己評価をしていたが,一方,コメント欄に は「実際の学級活動では,話題が定められていないので,教師がそれを設定することの大切 さ,また教師の力量の大切さを知った。」と詳細に記していた。  そこで教職実践演習担当教員がどのようにこの学生に個別の課題解決に向けた指導をして いくかが問題となる。この学生は,特別活動がいわゆる教科科目とは異なり,それぞれの学 年毎に教育すべき教材(学習材),学習内容を定めているわけでないこと,教科用図書が指 定されていないこと,したがって「話題が定められていない」ことに気づき,その話題を設 定するためには教師個々の力量が重要であると記入している。ということは,ここで学生が 課題として取り組むべきことは個別の話題設定能力の涵養であろう。そのために,「役割演 技(ロールプレーイング)やグループ討議,事例研究,現地調査,模擬授業等」からどのよ うな方法をこの学生に設定させるのがよいか,また学生が選択するか。同様にして,項目2 の「教育実践」では授業構想,表現技術の2箇所に科目担当教員は◎を設定しているが,当 該学生はそのいずれにも3というやや低い自己評価をしていた。学生は率直に発問計画を立 てても「望ましい方向に導く教師の対応の難しさ」を指摘し,「児童の反応に柔軟に対応す るのは難しかった」と記していた。ここでも教職実践演習担当教員がどの方法を用いて,当 該学生を課題解決に向かわせるのか。また,当該学生がどの方法を用いて課題を解決するの か。トライアンギュレーションを視野に置くならば,当然,複数の方法の組み合わせが重要 となろうが,これらについてはⅦ章においてさらに考えを進めたい。  本章では生野の過去の授業実践例に基づいての記述となるが,ここに紹介するカルテは, 過去の実践例の1つをベースとするが,個人情報の保護を目的として,実践した教育機関や 学生名等は全て記述を匿名化した。また,生野の経験した事例を反映させて,記述そのまま でなくより一般的及び多数である事例・表記に改めてある場合があることを了解されたい。 以下,表7に基づいて授業の展開の手法について説明をする。 1.「教職履修カルテ」記入欄を活用した課題の設定  まず,「教職履修カルテ」を活用して(1)課題設定をさせるに当たり,授業担当者は以下

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表7 教職実践演習のための教職履修カルテ(小学校) 授業科目  特別活動の指導法         担当教員  生野 金三       学籍番号 123456   氏名  A        項目1 項目2 指   標 授業の力 点 自己評価 学んだこと・ 課題など 教科 ・教育 課程に関す る基礎知識 ・ 技能 教科の内容 これまで履修した各教科の科目の内容について理解していますか。  特別活動の内容 は,四つの領域か らなり ,それぞれ の目標や内容が細 かく示されている ことを知った 。し かし ,実際の学級 活動では ,話題が 定められていない ので ,教師がそれ を設定することの 大切さ ,また教師 の力量の大切さを 知った(オ) 。 教科書・学習指導要領 教科書や学習指導要領の内容を理解していますか。 ◎ 4 教育課程の構成に関す る基礎理論・知識 教育課程の編成に関する基礎理論・知識を習得していますか。 道徳教育・特別活動 道徳教育・特別活動の指導法や内容に関する基礎理論・知識を習 得していますか。 総合的な学習の時間 「 総合 的 な 学 習 の時 間 」 の 指導 法 や 内容 に 関 す る基 礎 理 論 ・知 識 を習得していますか。 情報機器の活用 情報機器の活用に係る基礎理論・知識を習得していますか。 学習指導法 学習指導法に係る基礎理論・知識を習得していますか。 〇 4 教育実践 教材分析力 教材内容を分析することができますか。  模擬授業を行う にあたっては ,児 童の反応を想定し , 発問計画を考えた 。 想定した答えが児 童から出た時 ,そ れを受け止めつつ , 望ましい方向に導 く教師の対応の難 しさを学んだ 。児 童の反応に柔軟に 対応するのは難し かった(カ) 。 授業構想 教材研究を生かした授業を構想し,児童の反応を想定した指導案 としてまとめることができますか。 ◎ 3 教材開発 教科書にある題材や単元等に応じた教材・資料を開発・作業する ことができますか。 授業展開 児童の反応を生かし,皆で協力しながら授業を展開することがで きますか。 表現技術 板書や発問,的確な話し方など授業を行う上での基本的な表現の 技術を身に付けていますか。 ◎ 3 学級経営力 学級経営案を作成することができますか。 課題探究 課題認識と探究心 自己の課題を認識し,その解決に向けて,学び続ける姿勢を持っ ていますか。 教育時事問題 いじめ,不登校,特別支援教育などの学校教育に関する新たな課 題に関心を持ち,自分なりに意見を持つことができていますか。

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の点に留意して指導を行った。 (1)「教職履修カルテ」の記入についての留意点は①~④に整理して指導した。   学生が「科目履修上のポイント」,「授業の力点」,「自己評価」,「学んだこと・課題 等」を記入〈授業時の後半で,第13回より第15回の間〉させる。授業担当者はカルテを 確認後,押印して返却する。 ① 「科目履修上のポイント」欄   授業担当者は,授業の到達目標や授業内容を踏まえ,受講者である学生に理解させ たく,確認させたい内容等を「科目履修上のポイント」」の欄に記入させた。例えば 「特別活動の指導法(小学校)」の場合は,「①人間関係に関する指導案を作成し,そ れを基に模擬保育を実践することができる。 ②模擬保育の観察記録を基に,教育・ 保育の実際,指導のあり様を振り返ることができる。」等の内容を,板書したり,口 頭で伝えたり,パワーポイントで提示したりして,受講者である学生にしっかり伝え る。 ② 「授業の力点」「自己評価」欄   「科目履修上のポイント」」に記入した内容と最も関わりを有する指標に二重丸(◎) や一重丸(〇)を記入させる。そして,それぞれについて1~5の5段階で自己評価 させる。 ③ 「学んだこと・課題等」の欄   個々の学びの成果と課題等を記入させる。「教職履修カルテ」によっては,その書 き方は,それぞれの指標ごとに個々の学びの成果と課題等を記入させる場合,項目1 の内容を念頭に置いて個々の学びの成果と課題等を記入する場合とその方法は多岐に 亘っている。 ④  担当印の欄   授業担当者が押印する。授業担当者は,それぞれの授業において「教職履修カル テ」を回収し,必要事項が記入されているかを確認した上で,押印する。その際,特 に学んだことや課題等個々人の状況を把握しておく。  押印後は,「教職履修カルテ」を受講者である学生に返却する場合があるが,その際, 2年次の後期及び4年次の後期の「教職実践演習」の授業において,「教職履修カル テ」を活用することを念頭に置いて,それをコピーして大学で管理しておくことが望 まれる。また,受講生である学生には,「教職履修カルテ」を紛失しないようにしっ かり管理しておくことを伝える。 (2)学生一人一人の課題設定の方法は,以下の点が重要であると考えて指導をした。   「教職履修カルテ」に記入した「学んだこと・課題等」を基に,個々の学びの成果や 課題等を整理し,それを基に自己にとっての不足する知識や技能等を明確にする。

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2.課題の焦点化と課題解決の必要性  次に「教職履修カルテ」を事例に,学生一人一人の資質・能力をめぐって自己評価を行っ た内容と,それを踏まえて如何に課題を焦点化し,課題の解決を行ったかについて触れる。 (1)教職課程における自己評価   上記の「教職履修カルテ」を基に受講者である学生Aが資質・能力をめぐってどのよ うに自己評価を行ったか,学生の記述から見てみよう(表8)。 表8 『教職履修カルテ』を基にした課題の焦点化 ( 1 )年次の評価 教職に対する意識       4・③・2・1 前期・後期を振り返って「教科に関する科目」と「教職に関する科目」について自己評価 を行う。 【教科に関する科目】 「教職に関する科目」  「初等教科教育法(国語)」や「特別活動の指導法」等の授業の中での実践を通して,た だ児童達に内容を理解させるのではなく,ねらいに従って内容を指導していくことの大切 さを学んだ。そのためにも,教材研究の段階で教師はその内容をしっかり理解しなくては ならないと思った。  そして,模擬授業で板書をしたとき,まだ習っていない言葉や漢字を使ってしまったこ とがあり,児童の学習状況を認識した上で,対処することの重要性も分かった。また,児 童の反応を見ながら,それを生かし,発問や話し方を変えることで児童の積極性を引き出 すことができ,主体的な授業を展開することができると思った。これらのことは「逐語記 録」によってよりはっきりした。  国語科の授業は,一つの単元を学習するのに数時間がかかるので,一単位時間で終わら ないことが多い。実際の授業においては,導入の段階で前時の学習の振り返り,つまり前 時を復習する場面を組織し,しっかり思い出させた上で,本時の方向性を示し,授業を進 めていくことの大切さを,模擬授業を通して感じた。このように本時の一連の流れが分か る児童は,授業に参加しやすく,積極的に発表したと思えるようになることを,模擬授業 を学習者として体験することによって気付くことができた。このようなことを生かして授 業づくりをしていきたいと思う。 不足している知識や技能  授業づくりから授業実践という一連の流れについて学んだが,学習指導案の作成,発問 計画の作成,板書計画の作成,ワークシートの作成等の授業づくりの力量については,他 の教材や題材等において理解を深めなければならないと思った。それから,展開の段階に おける読み深めの指導や内容の深化の指導等についてももっと理解を深める必要があると 思った。  これについて,授業担当者(生野)は次のように分析をして,指導を試みた。受講者であ る学生は,「不足している知識・技能」(「教職課程における自己評価」の欄)について,「学 習指導案の作成,発問計画の作成,板書計画の作成,ワークシートの作成等の授業づくりの

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力量については,他の教材や題材等に置いて理解を深める必要がある」と指摘している。同 様の指摘は他の学生にも多かった。これらを踏まえて,授業では学習指導案の意義や役割の 確認という課題のもとに授業を組織した。実際の授業では,全ての教科等についての指導は 難しかったので,国語科の教材を扱ったが,ここでその実践報告は省略する。詳細は別稿に 期したい。 3.特別活動における授業設計力-学習指導案の修正を通して-  前述した「教職実践演習」の事例を踏まえ,以下に特別活動(学級活動)の授業づくりに ついて考察を加えることにする。特に,学習指導案の修正を通して,教員に求められる資質 能力,就中,実践的指導力の基礎の育成について考察を加える。  ここでは,まず授業づくりの様相に触れ,次いで「教職履修カルテ」を活用した課題設定 の様相を掲げ,その課題の解決をどのように試みたかの考察を加える。  (1)授業設計力をめぐって  授業者は,常に質の高い授業を志向して授業を設計し,実践するよう心掛ける。その授業 の質は,授業を受ける児童の質(立場)に依存しているともいえるのだけれど,児童の質の 違いに対応した授業がどこまで実現可能かという観点が授業の質を決定するという意味で, 授業の質は授業者の質によるという結論に帰着する。授業設計者が即授業実践者となり得る ことを念頭に置くとき,質の高い授業を展開するには,授業つくりの力量つまり授業設計力 をなるべく高いレベルで体得しておくことがその前提となろう。すなわち授業者の授業設計 力とは,単元や題材の研究,教材の研究,学習指導観,児童観等とその基盤となる力量,そ してそれを踏まえた学習過程の組織,学習指導案の作成,板書計画の作成,発問計画の作成, ワークシートの作成等の一連の授業展開力を構想する力なのである。実践的指導力の基礎の 育成に当たっては,上記の授業設計力(児童観を基盤とした)を受講する学生が意識し,体 得する授業を展開することが最重要である。したがって,授業では以下について留意して指 導を行った。  前述した「教職履修カルテ」のまとめ,「不足している知識や技能」をそれぞれ確認し, それを踏まえて学習指導案の改善という課題のもとに授業を組織した。それは,導入の段階 での目当ての設定のあり様,展開の段階での思考深化のあり様,「主な学習活動」と「教師 の支援」との整合性等と学習指導案の書き方をめぐって,多くの受講者が指摘しているから である。  以下に受講生である学生が個々に修正した「特別活動」の学習指導案の一部(表9)を事 例として掲げ,考察を加える。

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表9 学生Bによる学習指導案(修正前→修正後)の一部 【本時】(避難訓練) (1)ねらい   地震が発生した場合のことを想定し,秩序正しく安全に,且つ迅速に避難する態度を 育てる。そして,安全意識を高める。 (2)実際 教師の支援(修正前) 教師の支援(修正後) 備 考 (説 明) 【導入】 ・宿題にしていたビデ オの感想を発表させる ことで,災害に対する 準備や訓練の重要性を 気づかせる。 ・避難訓練のビデオや写真を みせ,突然起こりうる自然災 害地震)に対してどのよう備 えておくべきか,また学校生 活を送る上でどのように事前 に対策をとるべきかを考えさ せる。そして,避難訓練の重 要性に気づかせる。   「訓練の重要性を気づかせる」と 教師の支援に記していたが,具体的 な手立てが不足していた。実際に生 徒に自然災害(地震)が起きた時の 様子を生徒にみせて,災害に対する 備えを考えさせることによって避難 訓練の重要性に気づかせることが大 切であると思った。発表に対する指 摘を受けて,指導法の工夫が必要で あると思った。 教師の支援(修正前) 教師の支援(修正後) 備 考 (説 明) 【導入】 ・本時の目当てを短 冊にて黒板に提示する ことで目的意識をもた せる。 ・本時の目当てを短冊で提示 し,音読させ,ワークシート に書かせる。そして,本時の 目当てを意識させる。    本時の目当ては「避難訓練の大切 さを知り,その訓練の仕方を体験し よう。」である。導入の最初の段階 のビデオや写真と関連付けて,目当 てを音読させたり,ワークシートに 書かせたりすることによって,避難 訓練対する意識を持つことができ, またその重要性に気づかせることが できると考えた。このように学習指 導においては,手立てを講じること が重要であると思った。  ここに紹介した事例(表9)では「導入段階での指導」に限定されているが,当然,授業 の展開や終末についても同様の指導が行われた。  特別活動や道徳等においては,一単位時間で学習指導が終了する場合が多いので,教科に おける導入の段階での学習への動機付とは多少異なる。特別活動や道徳等の目標が実践的態 度の育成を志向しているため,児童の日常の生活経験を重要視した学習への動機付けが行わ れる。このことを念頭に,Bが組織した導入の場面に目を転じてみると,まず「避難訓練の ビデオや写真をみせ」とあるように生活経験の内容を切り取って提示するようになり,より

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具体的な指導法の提示へと修正され,それを基に学習の目当てを設定(本時の目当てを短冊 で提示)するようになった。これは,既習の知的経験を基盤に新たな課題の設定にとって知 的好奇心を喚起し,学習者の探求行動を誘っていこうとする立場である。その特色は,主体 の内側に想定する動機の発現に重みを置いている。したがって,これは内的動機付けと称す ることができよう。内的動機付けは,環境内の事物やそれについての観念の有意味な関係を 知ろうとすることから生じたり,知的好奇心から生じたりする動機付けである6)  導入の段階での教授行動を見てみると,既習(既有)事項を基に学習に対する必要感を持 たせ,そしてそれを基に「どのようなことを学習するのか」という方向で問題意識を高めよ うとしている。具現すれば,自然災害(地震)が起きた時のようすをビデオや写真によって 提示し,避難訓練の重要性に気付かせようとし,それを踏まえ,短冊によって学習に目当て を提示し,視覚に訴えたり,音読させたり,ワークシートに書かせたりして学習の目当てを 意識づけることになろう。「指導法」という観点をはっきりと意識化して導入段階を見るよ うになったといえよう。 4.学生の意識(児童生徒観,授業観等)の変容の具体的事例  「教職履修カルテ」を基に受講者である学生は個々の課題を明確にし,そしてその課題の 解決を志向しプレゼンテーションのために作成した学習指導案に修正を加えた。先の考察 (「導入段階での指導」及び「展開段階での指導」をめぐって)を基に受講者である学生の意 識が如何に変容したのかについて見てみる。  受講者である学生は,「児童生徒の立場」をより意識して授業を構想している。例えば, 受講者 B は「具体的な手立てが不足していた。実際に生徒に自然災害(地震)が起きた時 の様子を生徒にみせて,災害に対する備えを考えさせることによって」とし,またここでは 詳細を紹介しなかったが,ある学生(C)は「指導法を工夫するとなどがとても重要である と考えた。このようにすることで,生徒は学習に対して興味や関心を持って取り組むであろ うと思った」としていたことからも,そのことは了解されよう。授業を設計する際には,単 元,題材及び教材に対する児童生徒の実態,そして学習に対する一般的な傾向を述べる。具 体的には,児童生徒の学習内容に関する知識,理解等の実態,学習内容に関する関心,意欲, 態度等の傾向,学習内容に関する見方,考え方等の傾向を把握する。児童生徒観は,その教 育の在り方を基本的に方法付けるものであるからである。こうしたことに受講者である学生 が気付くことは極めて重要である。前述した学生 B と学生 C は,その一端に気付いている。 この背景には,これまで「児童生徒の立場」よりそれぞれのプレゼンテーションを聞くとい う体験があったためである。ここからは,児童生徒観に鑑みた指導観の育ちの様相を垣間見 る思いがする。  受講者である学生が授業科目との関わりで,将来教員になる上で,自己にとって何が課題

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であるかを明確にすることは極めて重要であるが,それは容易でない。前述した教員に求め られる資質能力の四者の内容にはそれぞれ多岐にわたる事項が含まれているからである。そ こで,その四者の内容を,項目Ⅰ,項目2,指標等とし,受講者である学生が個々の学習の 状況を指標に従って確認し,チェックし,学んだことや課題等を整理することができるよう にしたのが「教職履修カルテ」である。つまり,「教職履修カルテ」は受講者である学生が 個々の資質能力の全体を明示的に確認するためのものである。ここに「教職履修カルテ」の 重要性が存在する。  児童生徒理解を踏まえた学習指導案の作成,指導観等の授業を構想する力等の授業を設計 する力について見てきた。ここには,教師としての児童生徒観,指導観等の授業観が基盤と なっている。この授業観は,教員に求められる実践的指導力の基礎の一端である。

Ⅶ 器用仕事(ブリコラージュ)と教員養成課程における教職実践演習―まと

めに代えて

 教職実践演習の授業がトライアンギュレーション的に進められていくべきことの背景を紹 介してきたが,一つ問題が残っている。それは,教職実践演習が「役割演技(ロールプレー イング)やグループ討議,事例研究,現地調査,模擬授業等」を取り入れていくとして,そ れを「教員養成部会(第62回)配布資料」中の「資料8-2 教職実践演習の進め方及びカ リキュラムの例」の「授業で取り扱う内容・方法例」に沿った形で進めていくことの教育的 意味である。それというのも,同配布資料8-2の「授業の実施にあたっての準備事項例」 には,「入学の段階からそれぞれの学生の学習内容,理解度等を把握(例えば,「履修する学 生一人一人の「履修カルテ」を作成」とあり,「学生一人一人」という文言によって分かる ように,学生の「履修カルテ」は個々の学修段階に即して作成され,それに基づいて各学生 の学修段階の確認とさらなる学修課題の設定とが行われる段取りであった。そのとき,教職 実践演習が「授業で取り扱う内容・方法例」という「例」に囚われて,「例」を例示でなく 「規定」のごとく捉えて,一律に授業内容と授業方法とを実践した場合,授業の効果が実質 的に担保されない状況をもたらす事態が懸念される。  ところで,先に川田順造の「知の三角測量」を紹介したが,その川田がパリ第五大学留学 中に師事した文化人類学のクロード・レヴィ-ストロースは『野生の思考』(大橋保夫訳, みすず書房,1976年,原著初出1962年)において,近代社会以前の社会におけるブリコラー ジュという野生の思考の在り方を剔出して示した。ここでは,そのブリコラージュを当面す る課題を解くためのヒントとして活用したい  ブリコラージュは器用仕事とも翻訳されるように,何か解決しなければならない問題に出 会った人が,論理的,体系的にその問題に対峙するのでなく,当事者の持つ智慧や技能をそ の場に適う形に器用に工夫してその場ごとの対応をする近代以前の思考のいとなみをいう。

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それは神話の一見野放図な神々への対応(たとえば日本の神話は,大きく高天ヶ原系の神々 と出雲系の神々,それ以外の神々が出てくる。高天ヶ原系の神の中心に天照大神がいるが, その弟が出雲系の素盞鳴尊だとされるように,その場その場での対応(器用仕事)によって, 神話がその時々に都合に合わせて創られていく7)。そのような近代的論理とは異なる部分と 部分との繋ぎ合わせをここではブリコラージュと呼ぶ。この一見野放図に見えるいとなみは, しかし,職人などのワザにおいて,重要な働きをしている。我々は論理的な生き方をその都 度論理的に選択することもあるが,よりさまざまな局面でブリコラージュを通して生きられ ているといってよい。  さて,そのようなブリコラージュのいとなみが具体的,可視的な形となるようにと求めら れている授業が教職実践演習だといえよう。つまり,個々の学生の履修カルテを通して, 個々の学生の学修到達の度合いをいくつかの指標により明確化し,その到達の具合から判断 してどの局面がどのように目標に到達しているかしていないかを判断する。この部分はかな り論理的に進められているようであるが,その後の具体的な指導となると,それがどの技法 を用いるのか,さらにトライアンギュレーションとしてどのように組み合わせるのかは,た とえば実践力の弱い学生は役割演技や模擬授業をする方向に指導する,論理的思考力の弱い 学生は事例研究や現地調査を積み上げる,等の凡その傾向は予測できても,個々の学生の持 ち味を引き出すために,教員は画一的な技法の指示を出して事足れりとはならない。そこに ブリコラージュの妙技を発揮する余地が生じる8)  さらに,教職実践演習の目的を再度確認するけれども,中央教育審議会「今後の教員養 成・免許制度の在り方について(答申)」中の「「教職実践演習(仮称)」の「新設・必修化 ―教員として必要な資質能力の最終的な形成と確認―」では「教員として求められる4つの 事項」として,「1.使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項,2.社会性や対人関係 能力に関する事項,3.幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項,4.教科・保育内容 等の指導力に関する事項」が含まれるとしていた。これは教員として最小限求められる資 質・能力の事項であろうけれども,じつは教員としてのバランスを考慮した事項の列挙であ り,最小限ではあろうけれどもその範囲は全域に及んでいる。  これらを,個々の学生の学修到達度について学生が自覚できるようにするために,まず教 員が個々の学生の状況について適切な判断をし,学生が自主的・主体的に力不足の分野を伸 ばすことができるようにするために,教員が個々の学生に適合する技法について判断をし, しかも適切なトライアンギュレーションを想定しながら,学生がグループ討議のような対話 的学修をも進めるようにするために,教員が全体の授業の進行をブリコラージュとして工夫 する。  このように口にするのは容易だが,当該科目は冒頭に紹介したように最近に設けられた新 しい科目であり,未だ研究の蓄積も乏しく,したがって担当教員による理解も一様でないこ

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とは容易に考えられる。したがって前段に述べたことは,おそらく実際には不可能に近いだ ろう。しかも教員及び学生に無理難題を求めているのが,教職実践演習の現在の状況である と言わざるを得ない。  しかし,それにも係わらず,教員養成課程において,教職実践演習が必修科目として設定 されている以上は,この授業を成立させる必要がある。  そのために必要なことは,特に教員養成を主たる目的とする教育学部の場合には,中央教 育審議会初等中等教育分科会教員養成部会配布資料「教員養成部会(第62回)配布資料」中 の「資料8-2 教職実践演習の進め方及びカリキュラムの例」の「授業の実施にあたって の準備事項例」にある「教職実践演習の担当教員と,その他の教科に関する科目及び教職に 関する科目の教員で教職実践演習の内容について協議」が極めて重要な意義を持ってこよう。 それというのも教員養成を主たる目的とする学部学科にとっての教職実践演習は学生に取っ ては,教員養成課程の最終段階に行われる授業として,個々の学生のいわば卒業に当たって の総括の一つの極だと位置づけられるからである。  教職実践演習における「教員として最小限必要な資質能力の全体について,確実に身に付 けさせるとともに,その資質能力の全体を明示的に確認する」目的は,いわば学生の「教 員」としての資質・能力のバランスの確保に向けた目的設定であった。一方で,教員養成を 主たる目的とする学部学科の最終年度には,たとえばA大学教育学部では研究演習Ⅲ・Ⅳと いう個々の学生の特性に応じてその特性をさらに進展させるべき科目が用意されている。こ れは個々の学生の一つの特性(卒業論文や卒業制作等)の達成を目指す科目であるが,これ も教員養成を主たる目的とする学部学科の趣旨からすると,学生の「教員」としての特長の 確保を目指す,個々の学生の卒業に向けての目的設定の一つの極であろう。この教職実践演 習が目指すバランス力と研究演習が目指す一つの特技力との相互作用を複眼的に見ていくこ とで,教員養成課程の学生の資質・能力を確りと評価するのが,教員養成を主たる目的とす る学部学科の機能であろう。もしそうであるならば,教職実践演習の「授業の実施にあたっ ての準備事項例」における「教職実践演習の担当教員と,その他の教科に関する科目及び教 職に関する科目の教員で教職実践演習の内容について協議」の「協議」とは,まず教職実践 演習担当教員と研究演習担当教員との「協議」を中心として,当該学部学科の教科・教職等 に係る科目の担当教員が協同して,等しく科目「教職実践演習」についての共通理解を行う FD 活動等を活発化していくことが重要であり,しかも教職実践演習が特定の授業法一つで 行われるものでなく,トライアンギュレーション,ブリコラージュ等の発想を,教員養成を 主たる目的とする学部学科の教員がより一層の共有を試みつつ行われることを理解する必要 があろう。

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[注]

1a,1b)中央教育審議会答申及び部会の配布資料は,文部科学省 HP から引用した。 1a 今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)教職実践演習(仮称)について   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1337016.htm 1b 教員養成部会(第62回)配布資料8-2 教職実践演習の進め方及びカリキュラムの例   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/002/siryo/attach/1303555.htm 2)本サーベイは,2016年度関西福祉科学共同研究費による研究「教職実践演習の研究」の 一環として2017年1月に実施した(回収は同年2月)。なお,A大学教育学部教育学科 は2016年度に近畿地方に新設された。 3)A大学の学内ネットに掲載2019年度当該科目シラバスより引用した。 4)佐藤郁哉『フィールドワーク 書を持って街へ出よう』新曜社,1992年,pp.115-120 5)川田順造「文化の三角測量のために」『西の風・南の風―文明論の組みかえのために』 河出書房新社,1992年,pp.7-34 6)東 洋他編『授業改革事典3 授業の実践』第一法規,1982年,pp.35 7)クロード・レヴィ-ストロース著・川田順造訳「因幡の白兎」『月の裏側 日本文化への 視角』中央公論新社,2014年,pp.61-71)。なお川田は,本書について2017年6月に日 本口承文芸学会大会(於・慶応義塾大学)でレヴィ-ストロースの説について私見を交 えつつ講演した(川田順造「アメリカ先住民の口頭伝承から「因幡の白兎」を再考する ―レヴィ-ストロースによる分析」『口承文芸研究』41号,日本口承文芸学会,2018年, pp.20-28)。 8)個別の授業の学修だけでなく,総合的に学修を把握していく必要があるのは,現在,小 学校・中学校・高等学校等で行われている「総合的な学習」に通じる発想であろう。周 知のように,幼稚園では5領域が設定されているが,それらの領域は互いに関係しあい, 全体的・総合的に行われる。幼児教育から始発する個人の教育がその発達段階に応じて, 科目ごとの授業等専門性を帯びていき,最終的に大学等の高等教育教育(本研究ノート では教員養成系の大学学部)にまでつながるのだが,その過程を一元的進化論としてで はなく,教育を全体(体系)と個別との相互往還的の中で進めようとする発想が「総合 的な学習」の底流にはあるのではないか。今後,追尋したい。  本研究ノートの役割分担は以下の通りである。研究全体の企画及び構想は生野金三が担当 した。本研究ノートの執筆は,第Ⅰ章,第Ⅱ章,第Ⅳ章,第Ⅴ章,第Ⅶ章は,高木が中心と なり執筆した。第Ⅲ章は香田が執筆した。第Ⅵ章は生野が執筆した。なお執筆に当り第Ⅰ章, 第Ⅱ章,第Ⅶ章の内容には生野の助言・指導が大きかった。第Ⅲ章後半のサーベイの実施は 香田・湯川・生野がその調査に携わった。湯川・香田はサーベイの分析を担当した。また,

(24)

湯川は第Ⅳ章,第Ⅴ章,第Ⅵ章の内容について補筆修正を行った。

 本研究は2016年度関西福祉科学共同研究費による研究「教職実践演習の研究」(研究代表 者・生野金三)の研究成果の一部である。研究に援助・協力を下さった関係各位に謝意を申 し上げる。

参照

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