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光散乱現象の研究―ほたるの群れの明滅のように―

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Academic year: 2021

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進展する光散乱現象の研究 方向が

光散乱現象の研究

ほたるの群れの明滅のように

岩 井 俊 昭

(北海道大学電子科学研究所) 光が物に当たると必ず散乱がおきるので,われわれのまわりには光の散乱が満ち れている.したがって,散乱現象研究の対象は,虹の七色や空の青色に代表される自 然現象からシングルナノ粒子の計測まで,実に幅が広い.静的な散乱理論の基礎は 20世紀初頭に,動的な散乱理論の基礎は 1960年台初頭にほぼ確立されたため,この 研究 野は古典的とみなされている.しかしながら,場を発生させる対象が変わるご とに新しい研究を形成させながら現在に至っており,広く科学・技術の 野に浸透し ている.まさに,大家 Hulst が言うところの「厄介だけれども興味をそそる研究対 象」である. ここ十数年間は,生体組織や濃厚系における光多重散乱現象の研究が大きく進展 し,光の多重散乱・伝搬の基礎が確立されるとともに光パルスオキシメーター,低コ ヒーレンス光断層影像法(OCT),光トポグラフィー法などを医療と診療の現場に送 り出している.近年,このような完全不規則系からの光散乱現象の研究に対して,不 規則系にわずかに存在する規則性や,逆に安定系にわずかに存在する不安定系が散乱 場の特性を大きく変える現象を扱う,新しい研究の ため, ある.たとえば,不規則系 媒質内に形成されるマイクロレーザー共振に起因するランダムレーザーや,フォトニ ック結晶中の欠陥や格子ゆらぎによる光局在化の研究である.これらの現象研究がカ オス,フラクタル,自己組織化というコンプレックス・システムと関連付けて展開で きないか,不規則 布する粒子が離散・集合して規則系へと変遷する過程や,結晶で ありながら規律性を失ったアモルファス状態など混沌と秩序の狭間にある系からの散 乱現象の研究が新たに展開されるのではないかなど,興味は尽きない. 光散乱の研究 野は多岐にわたっており発表の場も異なる 空を見 おのおのの研究者 が小グループを形成しながら研究を展開している.しかし,同時的に明滅を繰り返す ほたるの群れのように,全体として見たときあたかも同期して明滅を繰り返すように 大きく展開していくことを心から期待したい. 最後に,光散乱の研究に関わるようになってから, 繁に 上げるようになった.黄 砂や大森林火災灰によるオレンジ色の陽光,壮大な三つの太陽,美しいサンピラーな どが,われわれの周りに結構 っと得 見えている.人が気づいていない自然現象をひと り見たときちょ した気 になれる,そんな研究 野でもある.

巻 言

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