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<レフェリー付論文>財務諸表監査における保証水準の決定要因

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<レフェリー付論文>財務諸表監査における保証水準

の決定要因

著者

松尾 慎太郎

雑誌名

商学論究

62

3

ページ

101-121

発行年

2015-03-10

URL

http://hdl.handle.net/10236/12991

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 序

現代会計の主たる役割は、情報提供機能であるとされている。そして、意 思決定有用性アプローチのもと、情報利用者の意思決定に有用であることが、 提供する情報の質として重要視されるようになった。このような流れを受け、 公正価値測定が導入され、公正価値による測定の範囲は拡大している。その 結果、今日の財務諸表は、取得原価と公正価値の混合測定モデルによって作 成されている。このような測定属性の違いは、監査人の関与のあり方にも影 響を及ぼすものである。見積りの要素を含む公正価値に対する検証可能性は 取得原価よりも低いと考えられ、監査人が両者に対して同等の保証水準を保 つことが出来ているのかについては疑わしい。しかしながら、現在の財務諸 表監査においては、多元的な測定値の合計に対して、適正性に関する単一の 保証水準の監査意見を表明するにとどまっており、合理的保証の枠組みでの 関与を行っている。はたして、取得原価と公正価値が混在した財務諸表に対 する監査人の関与のあり方として合理的保証業務が適切なのであろうか。 このような問題意識のもと、本稿では、保証水準概念を明確化し、保証水 準の決定要因に対する公正価値測定の影響を考察することを目的とする。本 稿の意義としては、従来の監査論の研究において挙げられている公正価値測

財務諸表監査における保証水準の決定要因

慎 太 郎

− 101 − レフェリー付論文

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定に対する監査の課題について、保証水準の決定要因に対する影響という視 点から論じた点が挙げられる。本稿の構成としては、Ⅱにおいて監査論の文 献から保証水準概念の生成及び展開について概観し、保証水準の多様化に関 する制度化を監査基準及び保証業務の枠組みから検討する。Ⅲにおいて、先 行研究における保証水準の決定モデルについての議論の整理を行い、保証水 準の決定要因についての検討を行う。Ⅳでは、Ⅲで検討した保証水準の決定 要因に対して、公正価値測定の導入及び公正価値測定の範囲の拡大が、どの ような影響を与えているのかについての考察を行う。

 保証水準概念

1.保証水準概念の生成と展開 保証水準概念の生成と展開について、監査論における文献から検討する。 監査理論を規範的な観点から展開することを試みた『基礎的監査概念』 (A Statement of Basic Auditing Concepts : 以下、ASOBAC とする)では、 「信念にはさまざまな確信の程度があることは一般に認識されている。」 (AAA 1973, p. 25) としており、確信の程度 (degrees of conviction) という 語を用いて、水準の存在を認識している。そして、「理想的には、探求者は、 判断の対象たる命題についてその信憑度を明らかにすることなしに、命題に 対する信念を表すべきではない。」 (AAA 1973, p. 25) としており、監査意見 の表明のあり方について言及している。専門的意見に対して何らかの信憑度 を明示する方向で、職業監査人全体が研究努力を注ぐべきであるという ASOBAC が示した基本的な考え方は、実務では既に認識されていた。しか し、「……を除いては」、「……を条件として」といった意見の格付けの方法 について、ASOBAC は、信憑度の尺度としては粗いものであり、監査報告 書における意見の格付けについて絶えず改善されていくことを促しているが、 「監査意見の中に信憑度を明示するという目標は、ほとんど実現不可能のよ うに思われる」 (AAA 1973, p. 25) としており、保証水準の多様化の実現可 能性に疑問を投げかけている。このような考え方の背景には、ASOBAC が

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監査機能の拡大に一定の制約条件を設けていることが関係している。つまり、 ASOBAC は、監査可能性の条件として、①量的表現可能かつ検証可能な主 張、②情報システムの存在、③確立された規準への合意、④監査人の適格性、 及び⑤報告書における調査結果の要約という 5 つの性質を挙げている。そし て、予測情報を例に挙げ、予測に関する主題が検証可能な主張の演繹を可能 にするかどうかは疑問であり、また、報告書の様式が定まっていないため、 予測情報に対して監査機能を拡張することについては慎重な姿勢を示してい る。 このような監査機能の拡大について消極的な ASOBAC の見解に対して、 批判的な考え方を示したのが Carmichael である。Carmichael は、保証水準 の多様化に関して積極的支持を示しており、情報の性格や実施された業務の 範囲によって、監査人の実践可能な保証水準は影響されるため、すべての情 報に対して、同一の水準の保証を行うことは不可能であるとして、保証水準 概念 (the concept of levels of assurance) を提唱している。この保証水準概 念は、保証の差控えから伝統的な財務諸表監査における意見表明にみられる 最高水準の保証に至る保証形態までを予定しており、この概念を展開するこ とは、利用者に未監査財務諸表に不当な信頼を置かせることなく、より信頼 しうる財務情報の要求を満たす実践的な方法である (Carmichael 1974, pp. 6970) としている。 他方で、保証水準の多様化について消極的な態度を示した実務家の見解と して Hicks が挙げられる。Hicks は、中間財務諸表における監査人の保証機 能に関連して、伝統的な監査の水準以下の保証水準による関与を実施するこ とにより、一般投資家がミスリードされる危険性は著しく高いものになる (Hicks 1976, p. 139) と指摘をしている。 このような Hicks の見解を批判し、保証水準の多様化を積極的に推進す る 見 解 を 示 し た も の と し て 、 「 監 査 人 の 責 任 に 関 す る 委 員 会 (The Commission on Auditors’ Responsibilities : 以下、コーエン委員会とする)報 告書」がある。コーエン委員会報告書は、外部のビジネス環境の変化から、

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より弾力的かつタイムリーな監査人の関与形態が要請され、監査機能もその ような方向に向けて展開されるべきであるとしている。Hicks が指摘した監 査人が与えるさまざまな種類の保証の違いについて利用者が理解することは 困難であるという問題点に対して、コーエン委員会報告書は、「さまざまな 形態の関与によって提供される保証の違いを、利用者が理解し、また、監査 人が説明することは困難である」 (AICPA 1977, p. 66) と現時点での限界を 認めながらも、「しかしながら、簡単な格付けは行うことが出来る。すなわ ち、監査はレビューよりも大きな保証を与え、また、レビューはそれ以外の 形態の未監査情報への関与よりも大きな保証を与える」 (AICPA 1977, p. 66) として、関与形態の違いによって保証水準の違いを説明しようとしている。 そして、「財務情報利用者は保証程度の違いを正しく理解していないのでは ないかという考え方は、彼らの能力を過小評価するものである」 (AICPA 1977, p. 66) として、監査人が監査報告に対する考え方をかえることで、財 務情報利用者がさまざまな種類の保証を知るようになると提案している。 このように、保証水準の概念の生成と展開における議論を概観すると、監 査人の表明する意見に対する確信の程度という意味で保証水準を認識してい ることが分かる。しかしながら、その多様化に対して消極的な見解において は、保証水準の多様化における情報利用者への伝達が問題視されていること から、監査報告のあり方についての議論を踏まえた検討がなされている。一 方、保証水準の多様化に対して積極的な見解においては、情報利用者の情報 ニーズの多様化への対応するために監査機能の拡大が必要とされていること から、監査機能の拡大と関連して監査人の関与の形態についての議論を踏ま えた検討がなされている。 2. 保証水準多様化の制度化 今日では、監査人による様々な関与の形態が認められており、保証水準の 多様化が制度的に行われている。ここでは、前項で概観した議論を踏まえて、 保証水準の多様化に関する制度化の経緯について、監査人の意見表明の形式

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及び関与の形態の観点から、アメリカの監査基準等及び国際的な保証業務の 枠組みを検討する。

監査人によって消極的形式の意見表明が行われたのは、1975年に公表され た米国監査基準書 (Statement on Auditing Standards : 以下、SAS とする)第 10号「中間財務情報の限定されたレビュー」 (AICPA 1975) である。SAS 第 10号において、限定されたレビュー (limited review) の目的は、「監査人が 質問や分析的手続を通じて知り得た重要な会計上の事項に監査人の客観性と 財務報告実務についての知識を適用することで、取締役会の注意を喚起すべ きである事項を取締役会に報告するための基礎を与えること」(AICPA 1975, para. 6)としている。ここから、限定されたレビューの想定利用者は取締役 会であり、監査手続については質問や分析的手続等の限定された手続しか求 められていないことが分かる。また、SAS 第13号「中間財務情報の限定さ れたレビューに関する報告書」 (AICPA 1976) において、「中間財務情報に 添付される監査人の報告書には、監査は行っておらず、意見は表明しない旨 の記述を含んでいなければならない」 (AICPA 1976, para. 4) として、保証 を与えるようないかなる表現も含むべきではなく、いかなる形態の保証も禁 止している。しかし、このような、意見を表明しない旨の記述がなされた報 告書の形式は、利用者の誤解を招きかねないとの危惧もあり、1979年に公表 された SAS 第24号「中間財務情報のレビュー」 (AICPA 1979) では、「一般 に認められた会計原則に準拠するためになされるべき、重要な修正事項があ るかどうかについて監査人が検出しているか否かの記述を含んでいなければ ならない」 (AICPA 1979, para. 17) として、消極的形式での意見表明がなさ れるようになった。 このような、中間財務諸表への意見表明について影響を与えたと考えられ るのが、1978年に AICPA によって公表された会計及びレビュー業務基準書 第 1 号「財務諸表のコンピレーションとレビュー」 (Statements on Standards for Accounting and Review Services No. 1 : 以 下 、 SSARS 第 1 号 と す る ) (AICPA 1978) である。SSARS 第 1 号では、非公開会社の財務諸表のコン

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ピレーション及びレビュー業務を行う監査人に対する指針が示された。この 結果、会計情報に対する監査人の関与のあり方として、監査以外にレビュー とコンピレーションという概念を明確にした。コンピレーションについては、 「経営者の陳述である情報を財務諸表の形式で提示することで、その財務諸 表に対してなんらの保証を表明しようとするものではない」 (AICPA 1978, para. 4) とし、レビューについては、「財務諸表が GAAP あるいはそれ以外 の包括的な会計基準に準拠しているといえるようになるために、当該財務諸 表に重大な修正をする必要はないという限定保証を表明するための合理的な 基 礎 を 提 供 で き る よ う 、 質 問 及 び 分 析 的 手 続 を 実 施 す る こ と で あ る 」 (AICPA 1978, para. 4) と規定した。監査(合理的保証)とレビュー(限定 的保証)とコンピレーション(無保証)という区分の基準に保証水準という 概念が導入され、従来の監査という単一的な関与の形態から多元的保証へと 監査制度の展開がなされた。 最後に、今日の合理的保証業務と限定的保証業務という保証水準に対応し た意見表明の形式の枠組みを形成したのは、国際監査・保証基準審議会 (International Auditing and Assurance Standards Board : 以下、IAASB とする) に よ っ て 、 2003 年 に 公 表 さ れ た 「 保 証 業 務 の 国 際 的 フ レ ー ム ワ ー ク (International Framework for Assurance Engagements : 以下、IFAE とする)」 である。IFAE では、「業務実施者がその実施を容認される 2 種類の保証業 務を明確に区別するために、『合理的保証業務』と『限定的保証業務』とい う用語を使用する。合理的保証業務の目的は、積極的形式で業務実施者の結 論を表明するための基礎として、その業務環境条件において、保証業務リス クを許容可能な低い水準に減少させることである。限定的保証業務の目的は、 消極的形式で業務実施者の結論を表明するための基礎として、その業務環境 条件において、保証業務リスクを、合理的保証業務の場合よりも高いが、許 容可能な低い水準に減少させることである」 (IAASB 2003, para. 11) と規定 している。

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3. 保証水準概念についての整理 これまでの議論から保証水準概念についての整理を行う。Carmichael に よって明示された保証水準概念は、ASOBAC によって示された確信の程度 という概念に端を発しており、命題に対して表明した意見についての監査人 の確信の程度を意味するものとして捉えることができる。石田(1983, 233 頁)では、財務諸表に対する監査意見の保証程度と混同する概念として、財 務諸表の適正性命題それ自体の信頼性があると指摘している。このことから、 財務諸表監査における保証水準を検討すると、財務諸表が財政状態、経営成 績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているという命題に対して 表明した適正性意見についての監査人の確信の程度が保証水準であると言え る。本稿では、財務諸表の適正性に対する監査人の確信の程度を「財務諸表 の適正度」とし、表明した意見(結論)に対する監査人の確信の程度を「保 証水準」とする1)。両者の関係を示すと第1図のようになる。両者を区分す ることの意義としては、無限定適正意見の場合のみならず、限定付意見ある いは不適正意見に対しても保証水準概念を適用することが可能になる点が挙 げられる2) 1) 内藤(2014, 1214頁)では、業務実施者が結論を表明する根拠として獲得した保証 命題の確からしさに対する心証を「確信」とし、開示された財務諸表と監査報告書か ら、情報利用者が財務諸表を信頼して利用できると考える心証を「保証」とし、両者 を区別して用いている。そして、財務諸表全体としての適正表示の状況(監査人が判 断する保証命題の確からしさ)の水準を「適正表示の状況」、監査人の確信(保証命 題に対する心証)の水準を「確信度」、開示された財務諸表と監査報告書から、情報 利用者が財務諸表を信頼して利用できると考える保証の水準を「保証水準」としてい る。 2) 内藤(2014, 1516頁)では、どのような意見表明または意見不表明であっても確信 度(本稿での「保証水準」)が高いため、いずれの場合も財務諸表監査は合理的保証 業務と整理できるとしている。そして、説明のために数値表現を用いて、無限定適正 意見の場合は、適正表示の状況(本稿での「財務諸表の適正度」)が95%であると、 95%以上の確信度をもって監査人は結論を表明しており、不適正意見の場合は、適正 表示の状況が70%以下であると、95%以上の確信度をもって監査人は結論を表明して いるという説明がなされている。

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このように保証水準は、監査人の関与の形態と関連する概念であり、意見 表明の形式が問題となる。現行の保証業務の枠組みで財務諸表に対する監査 人の関与の形態と意見表明の形式を整理すると、積極的形式によって意見表 明を行う合理的保証業務としての財務諸表監査と消極的形式によって意見表 明を行う限定的保証業務としてのレビューが存在することとなる。次節では、 実務家の観点によるもの、カナダ、日本、国際における議論についての整理 から、保証水準の決定要因に対する分析視角を導出する。

 保証水準の決定要因

1. Anderson (1977) モデル Carmichael が提唱した保証水準に対する実務家の理解を知る上で重要な 文献として、Anderson (1977) が挙げられる。実務家による監査論のテキス トである Anderson (1977) においても保証水準の決定要因ついての言及が なされており、財務諸表を構成する項目に対して監査人が形成する個別意見 についての保証水準の決定に関して、以下の 3 つの保証の結合が、その項目 に対する保証水準であるとしている (Anderson 1977, p. 422)。 第 1 図 財務諸表の適正度と保証水準の関係 財務諸表の適正性に 対する監査人の確信 の程度 ↑ 財務諸表の適正度 高 低 高 低 表明した意見(結論) に対する監査人の確 信の程度 ↑ 保証水準 無限定の結論 無限定適正意見 否定的結論 不適正意見 無保証 限定的保証 (レビュー) 合理的保証 (監査)

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① 当該項目の固有の性質より得られる保証 ② 内部統制及び当該項目に影響を与えるシステムに関する監査人の遵守性 手続 (compliance procedures) から得られる保証 ③ 当該項目に対する監査人の実証手続から得られる保証 石田(1983, 236頁)は、Anderson が提示したこれらの保証水準の決定要 因と SAS 第47号「監査を実施する場合における監査上のリスクと重要性」 (AICPA 1983) において示された、固有リスク (IR : Inherent Risk) と統制 リスク (CR : Control Risk) と発見リスク (DR:Detection Risk) の組み合 わせである監査リスク (AR : Audit Risk) の関係について考察し、保証水準 を監査リスクの補数として認識することが出来るとしている。すなわち、関 連する内部統制が存在しないと仮定した場合に、ある勘定残高または財務諸 表項目に重要な虚偽の表示が生じる可能性と定義される固有リスクと①が関 連しており、ある勘定残高または財務諸表項目に発生しうる重要な虚偽の表 示が会社の内部統制によって適時に防止または発見されない可能性と定義さ れる統制リスクと②が関連しており、ある勘定残高または財務諸表項目にお ける重要な虚偽の表示を監査人が発見し損なう可能性であると定義される発 見リスクと③が関連している。このことから、石原(1998, 34頁)では、以 下の式において保証水準を説明することが出来るとしている。 監査リスク=固有リスク×統制リスク×発見リスク …… 保証水準= 1 −監査リスク …… ただし、この保証水準の決定モデルの基礎にある監査リスクの構成要素は、 石原(1998, 8485頁)が指摘しているように、財務諸表の構成要素におけ る経営者の主張を対象とした概念であり、個別意見レベルにおける決定モデ ルであるということに注意しなければならない。石田(1983, 244頁)では、 個別意見と総合意見の関係が複雑であるために、監査人の主観的判断が大き く介入する場合、その総合意見の保証程度は低下するとしている。また、統 計的仮説検定における二種類のリスクの概念に照らしながら、監査リスクと 保証水準の関係について考察を行った林(2013, 108頁)は、 1 −監査リス

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クは検出力に相当するとし、財務諸表に重要な虚偽の表示が存在する場合に 適切に意見を限定する確率を意味すると指摘しており、本稿の第 1 図におい て整理した財務諸表の適正度に関する概念となる。このことから、 1 −監査 リスクという式は、財務諸表の適正度と保証水準の間に関係が存在する可能 性を示唆している。 2. Milburn (1980) モデル 監査人による様々な関与の形式に適用できるように保証水準概念の枠組み を構築することを試み、保証水準の決定要因について具体的な例を示しなが ら検討したという点で有益な示唆に富む文献として、Milburn (1980) が挙 げられる。Milburn (1980) は、監査による保証を「監査努力が、他の特定 化された情報の信頼性を増大させる程度、あるいは、監査努力が当該情報に 含まれる重大な誤謬を減少させる程度であり、すなわち、特定の重要な誤謬 を摘発する信頼性の水準 (degree of confidence) としてみなすことができる」 (Milburn 1980, p. 123)として規定している。この保証水準を決定する要素 として、以下の 4 つを挙げている (Milburn 1980, pp. 127129)。  監査努力 (audit effort)  監査可能性 (auditability) 監査人の能力 (auditor competence)  監査努力の結果 (results of audit effort)

監査努力について、①会計システム及びその統制に関する包括的な質問 に基づくレビューは、財務情報が信頼できるという保証の尺度となる、②会 計システムが計画したとおりに運用されているかどうかを決定するため、遵 守性手続により内部統制のレビューが補足された場合には、若干高い保証水 準が得られる、③会計システムから得られる特定の会計情報に対し、質問に 基づくレビューを追加的に実施した場合には、当該情報に関する保証の水準 はさらに高まる、④監査人が、前期に当該企業の財務諸表を監査していれば、 監査に基づく知識が質問をよい方向に向けさせ、それに対する回答を正しく

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評価できるため、この質問に基づくレビューは、さらに高い保証を与える、 ⑤主要項目に実証手続を実施した場合には、財務情報の信頼性はさらに高ま る、といったように序列化を行い、保証水準との関連を示している。の 監査可能性については、合理的保証を与えるために十分な内部統制を有して いない、あるいは、判断の基礎となる包括的な基準が存在しないといった監 査対象の検証可能性の制約が監査範囲の限定をもたらし、保証水準に影響を 与えるとしている。また、の監査人の能力については、重要な虚偽の表示 の発見可能性は、監査人の能力、経験及び注意や客観性に影響を受けるとし ている。監査努力の結果については、監査の実施による発見事項によって、 当該情報に対する保証水準が影響を受けるとしている。しかし、これら 4 つ の要素が監査の保証水準の決定に対して、どのように関連しているかについ ては言及していない。 このモデルに対して、古賀(1985, 4142頁)は、の監査可能性は、 結果的に監査努力の範囲に著しい影響を与えるものであるため、監査努力 の要素に含めて考え、のの監査人の能力は、通常前提として設定される べき性質のものであることから、保証水準の決定要因は、監査努力と監 査努力の結果に集約されると分析している。 3. 高田(1983)モデル 監査人によって行われている実際に行われている監査の分類および整理か ら、保証水準の多様化について詳細な検討がなされているという点で、保証 水準の決定要因に有益な示唆を与える文献として、高田(1983)が挙げられ る。高田(1983)では、会計制度の改変、企業環境の変化に応じて生ずる監 査上の問題点を整理し、その改善の方向を模索しており、保証水準の多様化 について、中間財務諸表監査や実際に諸外国で行われていたインフレ情報監 査、利益予測情報監査を例に監査手続と要証命題の観点から監査の種類・類 型について第 1 表のように整理している。

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通常の財務諸表監査は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのすべての範囲について監査手続が適 用されるのに対し、その他の監査では、Ⅰを中心として、Ⅱ、Ⅲについては 不可能な場合も存在し、不要ないし例外の領域と考えられている。このよう な検討を踏まえて、高田(1983)では、保証水準について、要証命題の水準 と検証の水準の両者によって決定されるとしている。 要証命題の水準とは、要証命題の監査目的・目標を達成する程度を意味す る。全体としての監査対象のどの部分についてどのような点の適否を判断す るかを明確にするために設定される要証命題が、情報の目的や監査目的・目 標から見てどの程度ないしどの範囲の問題を保証するのかということに依存 している。 検証の水準とは、監査実施の際の確実さの水準を意味する。情報自体の性 質、監査人の適格性・能力、監査の経済性などを考慮し、実際に適用できる 監査手続の範囲によって決められるとしている。そして、これらはまた、監 査目標を達成するために現実にどの程度の監査手続しか適用できないのかの 度合を示すものとしている。 そして、要証命題の水準と検証の水準の両者の間には、相互の牽制作用や 調整作用が働くことも考えられるとしている。その例として、検証の水準に おいて一定の限られた手続しか適用できず、検証の水準が低くなっていくと、 要証命題は制約され、監査目標の一部しか達成できなくなるか、監査目標と 対応しなくなる可能性を指摘している。 第 1 表 監査手続と要証命題 監査の種類・類型 (監査手続) (要証命題) (監査証拠) Ⅰ 突合・質問・ 比較・分析 記録の正当性 主として文書証 拠・状況証拠 Ⅱ 実査・立会・ 確認 資産・負債・ 取引の実在性 実体証拠 Ⅲ 質問・比較・ 分析 合理的経営活 動との関連性 人的・状況証拠 出所:高田(1983, 表 1 )

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4. IAASB (2002) モデル3)

高位水準以外の保証水準の決定と伝達に関して議論がなされ、その後の保 証業務の枠組みにも影響を与えたという点で、保証水準の決定要因について 有力な示唆を与えた報告書である IAASB (2002) では、保証水準の決定モ デルとして、要因相互作用モデル (Interaction of Variables View) と作業量 モデル (Work Effort View) の 2 つを提案している。

要因相互作用モデルとは、保証水準は、主題事項 (Subject matter)、規準 (Criteria)、プロセス (Process)、証拠の質と量 (Quantity and Quality of Evidence) といった要因やこれら相互間の作用に左右されるとする考え方で ある。 作業量モデルとは、保証水準は、第 1 にコストの考慮も含む利用者のニー ズ、第 2 に十分かつ適切な証拠を入手するために実施した作業量(手続の性 質、実施時期及び実施範囲)によって決定されるとする考え方である。 IAASB (2002) は、作業量モデルよりも要因相互作用モデルのほうを支持 する証拠が得られたとして、主題事項が保証水準の決定に影響を与えている ことを認識している4)。このような調査結果の知見を展開して、松本(2012, 82頁)では、次のような式で保証水準の決定モデルを説明している。 保証水準=監査(保証)対象×監査(保証)手続 …… つまり、契約した業務によって目標として達成すべき保証水準の幅が確定 され、業務の結果としての保証水準が、その幅の中に収まるように業務資源 を投入する。そのため、実際に業務を遂行する過程で実施された手続及びそ の結果として入手される証拠の質・量によって保証水準が上下する(松本 2012, 8283頁)と指摘している。そして、監査人が同じ手続を適用したと しても、経営者の主観や見積りが多く含まれているほど、監査人が獲得する 3) 内藤(2003)は、本報告書の議論を詳細に分析し、財務諸表監査における説明を行っ ている。

4) IAASB (2002)のモデルを再分析した Hasan et al. (2005) では、大手監査法人は、主 題事項を重要視しているのに対して、それ以外の監査法人は作業量を重要視している という分析結果を報告している。

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確信度(心証の程度)は相対的に低くなるはずであり、保証対象の属性によっ て保証水準が影響を受ける(松本2012, 83頁)と指摘している。 5. 保証水準決定要因についての整理 上述の 4 つのモデルから、保証水準の決定要因についての整理を行う。松 本(2012)の式に依拠し、保証水準の決定要因を保証対象と保証手続に分類 し、これまでの議論を整理すると第 2 表のようになる。第 2 表から、IAASB (2002) 以前の 3 つのモデルについても保証対象と保証手続という観点が存 在していることが確認できる。 保証対象を具体的に説明するものとして、既存の研究で示された決定要因 について検討すると、Anderson (1977) モデルでは、当該項目の固有の性質 より得られる保証と内部統制及び当該項目に影響を与えるシステムに関する 監査人の遵守性手続から得られる保証が分類され、SAS 第47号との関連か ら、固有リスクと統制リスクによって説明される。Milburn (1980) モデル では、監査可能性という要因が分類され、監査対象の有する検証可能性によっ て説明される。高田(1983)モデルでは、要証命題の水準に影響を及ぼす情 報の目的と検証の水準に影響を及ぼす情報の性質によって説明される。 第 2 表 保証水準決定要因の分類

Anderson (1977) Milburn (1980) 高田(1983) IAASB (2002)

保証対象 固有の性質から 得られる保証 (固有リスク) 監査可能性 情報の目的 情報の性質 主題事項 規準 内部統制に対す る遵守性手続か ら得られる保証 (統制リスク) 保証手続 監査努力 監査人の能力 監査努力の結果 要証命題 監査人の能力 監査の経済性 プロセス 証拠の質と量 実証手続から得 られる保証 (発見リスク)

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IAASB (2002) モデルでは、主題事項と規準が該当する。 こ れ ら の 要 因 間 の 関 係 を 検 討 す る と 次 の よ う に 説 明 で き る 。 Milburn (1980)が示した監査可能性は、IAASB (2002) が示した主題事項と規準によっ て規定される。主題事項と規準は、概念フレームワークによる演繹的アプロー チに基づく基準設定の下では、高田(1983)が示した情報の目的と性質によっ て規定されることとなる。そして、情報の性質は Anderson (1977) が示し た固有リスクに影響を与えるものであり、固有リスクは統制リスクに多分に 影響を与える。以上の整理から、財務諸表監査における保証対象に関する具 体的な分析視角としては、情報の目的及び性質、固有リスクと統制リスクが 挙げられる。 保証手続を具体的に説明するものとして、既存の研究で示された決定要因 について検討すると、Anderson (1977) モデルでは、内部統制及び当該項目 に影響を与えるシステムに関する監査人の遵守性手続から得られる保証と当 該項目に対する監査人の実証手続から得られる保証が該当し、SAS 第47号 との関連から、統制リスクと発見リスクによって説明される。Milburn (1980) モデルでは、監査努力、監査人の能力、監査努力という要因が該当 し、監査を実施して発見されたもの、知り得た結果によって説明される。高 田(1983)モデルでは、監査人が設定した要証命題の水準と検証の水準に影 響を及ぼす監査人の適格性・能力、監査の経済性などを考慮し、実際に適用 できる監査手続の範囲によって説明される。IAASB (2002) モデルでは、プ ロセス及び証拠の質と量が該当する。 こ れ ら の 要 因 間 の 関 係 を 検 討 す る と 次 の よ う に 説 明 で き る 。 Milburn (1980) が示した監査努力と IAASB (2002) が示したプロセスは監査手続の ことを意味しており、また、Milburn (1980) が示した監査努力の結果と IAASB (2002) が示した証拠の質と量は監査証拠のことを意味している。そ して、Anderson (1977) が示した発見リスクを適切な水準に下げるために、 高田(1983)が示した監査の経済性を考慮して、監査人は監査計画を策定す る。監査人の立証プロセスにおいては、監査要点に基づいて高田(1983)が

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示した要証命題を設定し、関連した監査証拠を入手するために監査手続を実 施する。その際の監査手続の実施と監査証拠の入手については、Milburn (1980) と高田(1983)が示した監査人の能力が影響を与える。以上の整理 から、財務諸表監査における保証手続に関する具体的な分析視角としては、 監査要点、監査手続及び監査証拠が挙げられる。

 公正価値測定の影響について

1.保証対象への影響 公正価値測定の保証対象への影響について、情報の目的及び性質ならびに 固有リスクと統制リスクの観点から検討する。 情報の目的及び性質に対する公正価値測定の影響について、拙稿(2013) では、財務情報の質的特性と測定属性の関連について考察を行っている。今 日の財務報告による情報提供は、意思決定に有用な情報の提供を目的として おり、意思決定有用性アプローチの下、公正価値測定は導入され、その測定 範囲を拡大している。そして、財務情報が備えるべき質的特性について、財 務会計基準審議会 (Financial Accounting Standards Board : 以下、FASB とす る)が、国際会計基準審議会 (International Accounting Standards Board : IASB) との共同プロジェクトを通じて公表した概念フレームワーク (FASB 2010) では、信頼性という文言は削除され、検証可能性という特性は補強 的特性に位置づけが低下している。 固有リスクと統制リスクに対する公正価値測定の影響について、吉田 (2003)では、金融商品を対象として、公正価値の特性に着目したリスク・ アプローチについて考察を行っている。デリバティブに代表される金融商品 は、取引当初に現金授受がない(または僅少)等から認識が困難であること や、価値変動が市場リスクや信用リスク等の外的経営環境に左右される等、 本来有している性質から見ても固有リスクは一般的に高く、現在価値に基づ く公正価値の見積りは何らかの仮定に依存せざるを得ないことから、固有リ スクは高い(吉田 2003, 20頁)としている。また、固有リスクが高い金融

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商品に対する内部統制の確立は一般的に困難であり、統制リスクも本質的に 高く、現在価値等の見積価格に関する合理性は、その一連の見積り過程を支 える内部統制がきわめて重要であり、監査人には内部統制の有効性を適正に 評価する能力が求められている(吉田2003, 20頁)としている。 公正価値測定の保証対象に対する影響について整理すると、情報提供の目 的が意思決定に有用な情報の提供へと移り変わり、その下で、財務情報が備 えるべき質的特性としての検証可能性の位置づけは低下した。また、公正価 値測定によって固有リスクと統制リスクは相対的に高いものになっている。 このことから、保証対象の観点における監査人の意見表明に対する確信の程 度は低下していると考えられる。 2.保証手続への影響 公正価値測定の保証手続への影響について、監査要点、監査手続及び監査 証拠の観点から検討する。 公正価値測定の見積りに対する監査手続について、IAASB は2009年に国 際監査基準 (International Standard on Auditing : 以下、ISA とする)540「公 正価値会計の見積りを含む会計上の見積りと開示の監査」を公表した。 ISA540 では、会計上の見積りに対する重要な監査要点として、見積りの合 理性及び開示の適切性を挙げている (IAASB 2009, para. 6)。そして、具体 的な手続としては、経営者が公正価値の測定を行う方法と、それらの基礎と なるデータの理解、経営者が用いた公正価値の測定プロセスの評価、専門家 の利用を含む監査人による独自の見積り、見積りに関連する後発事象及び後 発取引のレビューが求められている。これらの手続から得られる監査証拠の 問題点について、永見(2012, 8789頁)では、①公正価値監査のアプロー チが経営者の測定プロセスを前提としていること、②監査主体の問題、③見 積りの合理性を明確に反証することの出来る監査証拠の立証力の 3 点を挙げ ている。このうち、②については、ファイナンスや経済学に関連した専門知 識を十分に備えていなければ、公正価値測定に対する監査業務が困難となる

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ことを指摘しており、監査人の能力に公正価値測定は影響を及ぼしているこ とが分かる。また、③については、不確実性を伴う将来の予測が組み込まれ た経営者の判断に対して、明確に反証できる証拠を提示することが困難であ ることを指摘している。この問題点は、第1表におけるⅡの種類の監査が実 行できないことが影響している。つまり、将来の予測であるため、取引の実 在性や金額の正確性という監査要点は設定できず、実査・立会・確認といっ た監査手続も実行することが出来ない。 公正価値測定の保証手続への影響について整理すると、公正価値測定には 経営者の将来の予測が組み込まれており、取引が実在していないため、主た る監査要点は見積りの合理性である。このことから、実施可能な監査手続は、 測定プロセスの評価のための質問及び専門家の利用を含む独自の見積りといっ た分析的手続に限定されている。また、監査人の能力に関して、高度な専門 知識が要求される。このことから、保証手続の観点における監査人の意見表 明に対する確信の程度は低下していると考えられる。

 結

本稿は、取得原価と公正価値が混在する今日の財務諸表に対して、監査人 は従来と同程度の保証水準を保つことが出来ているのであろうかという問題 意識のもと、保証水準概念の明確化及び保証水準の決定要因についての考察 を行った。 Ⅱでは、監査論の文献から保証水準概念の生成及び展開について概観し、 保証水準の多様化に関する制度化をアメリカの監査基準等及び国際的な保証 業務の枠組みから検討を行った。その結果、保証水準概念を命題に対し表明 した意見(結論)に対する監査人の確信の程度を意味するものとして概念整 理を行った。 Ⅲでは、先行研究における保証水準の決定モデルについての議論の整理を 行い、保証水準の決定要因についての検討を行った。その結果、保証水準の 決定には、監査人が行った保証手続のみならず、保証対象が有する特性によっ

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ても影響を受けることを認識した。そして、保証水準を決定するための分析 視角として、保証対象の観点からは、主題事項の監査可能性や提供する情報 の目的及び性質が挙げられ、保証手続の観点からは、監査人の能力、監査の 経済性、設定された監査要点、実施した監査手続及び監査手続の実施によっ て得られた証拠の質と量が挙げられることを認識した。 Ⅳでは、保証対象と保証手続の観点から公正価値測定の保証水準の決定要 因に対する影響についての考察を行った。その結果、保証対象の観点では、 情報が備える質的特性としての検証可能性の位置づけは低下しており、また、 公正価値測定によって固有リスクと統制リスクは相対的に高いものになって いることを認識した。保証手続の観点では、監査人の能力として高度な専門 知識が要求されており、また、主たる監査要点が見積りの合理性であり、実 施可能な監査手続が質問及び分析的手続に限定されていることを認識した。 本稿の課題として、財務諸表全体に対する意見の保証水準と公正価値測定 がなされた財務諸表項目に対する保証水準についての関係性が挙げられる。 財務諸表の項目ごとに保証水準が異なった場合に財務諸表全体に対する保証 水準をどのように決定するのかについては今後の検討課題としたい5)。また、 久保田(1972, 253頁)において、将来情報については不確実性があり、検 証可能性にも限界があるため、適正表示についての意見を表明することは困 難であり、「合理的な会計情報を表示している」という意見になるとの指摘 がなされている。公正価値測定が拡大する中で、情報提供の目的と財務諸表 監査の立証命題の関連については今後の検討課題としたい。 最後に今後の展望として、保証水準に関する議論は、その測定の困難さか らあまり進展しておらず、本稿において提示した保証水準の決定要因に基づ いた保証水準を測定するための枠組みの確立が必要であると考えている。 (筆者は関西学院大学大学院商学研究科博士課程後期課程) 5) この点に関して、財務諸表の部分(勘定や開示項目)による保証水準の区別、あるい は、監査の結果として利用者に提供できる保証の水準または監査人が得た保証の水準 の説明といった監査報告書のあり方について言及した文献として、Bell and Griffin (2012)、林(2012)が挙げられる。

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参考文献

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参照

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