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年中行事の口諏要素

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Academic year: 2021

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(1)年中 行 事 の 日 誦要 素. 野 本. 寛. ・フノリ ・タンプ ク・ネズミ ノオンボ (尾)と呼ばれる. に、 なづな七草 唐土の鳥か日本の土地へ 渡ら ぬ先に. 廂藻頬とナズナを俎の上 で叩いて神棚 に供えた。 叩く 時. はじめに 奈良 市長谷 町の永岡正次 ( 家 では 、 大花二年 生まれ) 唱 えながら門口まで年神を迎えに出 る。また、奈良市和. さすがに海 女のムラらしく 、海 藻を中心にして叩く 。こ. 。 春 の七 草を叩く 地方 が多 い中で、ここは、 年生まれ). カキ アカシてホ トホ ト、と唱えた( 橋木 こはや・大正二. t. 大晦日の深夜 、松明をともして‘{福 万 回 福 万 回 と. を今でも次のように行っている。若 水汲みの桶の中に、. 田 町の大北正治 (大正十 三年生まれ) 家 では、若 水汲み. の行 事のことをこの地では「ナナツナナクサ一と呼ぶ 。. ( 1). ナカグ ロ箸の一 端に丸 平餅 二個•みかん ・柑子・トコ ロ. 県磐 田郡水窪 町有木では‘ {居 土の自ア と日 本の鳥の七 草. 同音反復の美しい呼称 である。同じ七草の唄でも、静岡. ナズナで鳩ポッポッポ、と唱 えた。 この地には水田 が全. ‘ { ‘ フクマルさん. 若水を汲む時 ‘{フクマルさんどうそ. 勇( 明治四十. を剌したものを入れる。この箸を井 戸に供え、いよいよ 入っておく れ、と唱 をる。 長谷町の谷脇. つも悩まされていた。 そうした環 境の中で七 草唄が変 貌. く 無く 、農業はすべて畑作だ ったため、山鳩 の害にはい. で「大 師講」という行事を行った。ボタモチを作って、. 静 岡県の旧 志太 ・榛 原郡下では4一 月ニト 三 日に家々. したのであった。. ね餅・暦 •財 布を乗せ、これを持って南を向 いて拝む。 新しい年を 迎えさせてい. 一 年生まれ)家 では、 元旦に、膳にウラジ ロを敷き、重 その時、 {センマイセンマイ. ただ いてありがとうござ います、と唱える。 三重県 鳥羽市国崎では 一月七 日、七草の 日に、 ヒジキ. - 59 -. 1993. 3 4巻3号 文学・芸術・文化.

(2) に白々と大の字が浮かびあがっていた。これは、収穫祭. る。毎年、 同じところに「大」 を重ね書きするので板戸. 明らかにしてみたい。多くの 年中行事 の中から今回は 、. 口誦要素に焦点を当ててわが国の「 口誦民 俗」の一端を. ここでは、右に見てきたような 、年中行事 にかかわる. 「 ことばの生 活」を象 徴するものでもある。. しみにしていたかを物語るものであり、庶民の、豊かな. の一 種なのであるが、この行事をめぐって様々な口誦が. 月 ・小 正月 ・節 分 ・ コト 八日 、を と り あ げ た 。 し か IE. そのスリ コギで玄関の 大戸に「大 」の字を書 いたのであ. 行われ 、 伝 承 され て いた。 藤枝市 花倉の 秋 山政 雄 さん. も、 正月 は、 「言立て 」に限り、逆に、コト 八日では、行. 解く」↓「 その心は し↓ 「早く ミナ ト( 港と皆 戸を懸け. 目を据 をるこ とによって、これまで見逃してきたわが国. 部分もある。しかし、いずれも、 口誦 要素に耳を傾 け、. 事 の本質検討に深く 食いこむなど、叙述の統一 性を欠く. こと だ. 大師 講の ボタ モチ と か けて何 と解く 」↓ 「沖 中 の舟 と 「. (明 治ニト 九年 生 ま れ)は次 のよう な「 ナゾ」 を語 る。. 明治 三 十七 年生 まれ)は 、唐臼ひ き唄 として次の歌詞 (. たものである。. 正月の供え物に使 っ栗 や干 し柿といった祝儀食物の名. 言立 て」 と民 俗教育 正 月の 「 •. こと だ. の民俗 文化 の製に光を当て、深層を明らかにしようとし. る)に着きたい」ーー また、同市谷 稲葉の費合たまさん を伝えている。へ 島田小作さん は刈り上げに扱き上 げ亥 。また別に、同市市場の杉本. 2) (. 二十 二年生 まれ)は大師講のボタモチで 良作さん(明治 一. ノ 子大師もみな一度. 書いた「 大」という字 が凍ると麦の世の中がよ い。麦か 隠 せ 。」 と い う 口 誦 も あ る。 民 家 の建 て 替 えが進 み、. を懸詞的 に用 いて「言 立て」をするといった習慣が広く. 豊作だ、と伝 えて いる 。「大 師 講の御 馳走 はエビ ス 様に 家 々の玄関から 板の大戸が消えた。 そして、 それと呼応. レの日の供えもの・食 物・燃 料・飾 りもの等に ついて幅. 行わ れている。この祝儀言立ての慣行は 、正月というハ. 口誦 民俗 がく り ひ ろげ ら れ て いた の で あ る 。 こ のこ と. ト 」( 言 )が それに合 したものと考 えら れるが、時の流. 広く 行 わ れており 、発生的 には 「モノ 」が先 行し 、「コ. とだ マ ー. う秋の年 中行事のボタモチをめぐって 、こ れほど豊かな. するかのように大師 講のボタモチも消えた。大師 講とい. は、人びとが、晴 れの食物としてのボタモチをいかに楽. - 60 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(3) れの中で互流の動きが生 じた ことは自然のなりゆ きだっ いる。. 例②と同様にカキ ・クリの懸詞的 な言立てが行 われて. いた 茄 子の枯 茎) とグ ミ の生 木を使 った。 その時 、. ④元旦の雑煮の焚 き つけには必 ず茄子ガラ ( 保存 してお. た。 「コト 」から 「モノ 」への動きによって、縁起のよ いものが追加 される場合がなかったわけではない。もと. れ)。 ナ ス と グ ミ が 懸 詞的 に用 い ら れ て い る の で あ. 静岡県 裾 野 市佐 野 •鈴 木俊 一 • 明治 三十 三 年生 ま (. 「借金 ナ ス か ら身 上グ ミ 出 す」 と唱 え な が ら 焚 い た. より、祝儀一―― 口 立ては正月 に限ったものではなく 、様々な 場面に行 われているのであるが、 ここではまず、 正月に ① 「借りるより貸すように」という 願いを こめて正月 に. かかわる祝儀言立ての事 例を紹 介してみよう。. る。. ⑤ 正月 には、一 升 枡に米を入れ、 その真中に栗三 個、 ニ. 」との 願い. つの隅 に干 し柿と、 大 豆数粒 を の せ て 歳 神 棚 に 供 え. は糟 汁を食べた。また、「大 株になるように. 柳 川 ・庄 司 豊 雄 ・ 大 正二 年 生 ま れ)。 こ こで は 「貸. を こめて正月 には蕪を食べた ( 山形県西 村山 郡大 江町. た。 その時 、「マメ でクリ クリ カキ とりに. 六 年 生まれ) 。 言立て の意味 は、マメ ( 健康 )でく り. 静岡県磐 田 郡水窪町向 市場・川 下勘三郎 ・明治三十 (. 」と唱 えた. す」と「糟 」 、 「 株」と「蕪」が懸詞として用いられて いる。なお、 この地では、カノ と呼ばれる焼畑で蕪が 盛んに栽培されていた。. めたものである。. く りと掻 きとるように働 けますように、との願いを こ. ⑥元旦、主人が氏神白羽神社に参拝 し、 それからその年. とり」と称 した。「繰 り良 く 掻 き取 り」 の意 で、 「 家. ②正月 の鏡 餅の脇に栗 と干 し柿を 供 え、「 クリ よく カキ の経済の繰りまわしをよく 、収入を多く 掻 き取るよう. 帰って これを輪切の大 根に挿 し歳神棚に供える。 これ. を 「ト リ ゾメ 」 と 称 し、 三 つの植 物 を 用 い る理 由 を. 薄)を折 って のア キ の方 の山 に赴 き、 樫 • 栗・萱 (. 借 りた ものは返 し、貸しを繰 り カシ クリ カヤ セ」 ( 「. に」という願いを こめたものである ( 新潟県北 魚沼郡 ③正月、鏡 餅の脇に栗 と 串柿とを飾 り、「カキ こん でク. 返せ)の 意だと説 く( 静岡県榛 原郡中川根町尾呂久保. 入広瀬村 大 栃山 ・大 島金 七 •明治四 十三年生まれ)。. 。 ここでも事 頃家 ・清 水牧之助 •明 治四十 年生 まれ ). 岐阜 県上 宝村 田 リ ま わしのよ いよう に」 と称 し た。 (. - 61 -. 1993. 3 4巻3号 文学・芸術・文化.

(4) で古く は その実を食用にした。 栗は山地の重要 な採集. • 土屋猪三雄 ・ 大 正四 年生 ま れ) 。 樫 は生 命 力の強 い木. 奈良市 年中行 事調査報 告 『. m』平成 二 年度 •奈良市教. ナカムツ マジ ク」を示しているという(奈良 市中畑町. まれ)家 では、 正月 、歳神棚に餅• みかん(か つては. 育委 員会 )。 奈良 市和 田 町の大 北 正治 ( 大正十三 年生. ダ イダ イ)・串柿 • 栗• 梱の 実・ト コロを供え 、歳 神. 食物であり、萱 は大切な屋根材である。. ショ 餅の 下 に必ず 里芋を入 れ る。 その 理由 として、 「. ⑦静岡県 引佐郡引佐町では 「 雑煮の 下盛り」と称して、. 棚 を おろ す時 に、 「 代々所に いるよう に」と 言って、. ⑩ 元旦の雑煮は、前年門松の根方 に並べ立てた栗または. ー. な. イアゲル」(背負 い上 げる) 、「親が子 を持 つ」 ⑧ 正月 の注連縄には疑のタレ を垂らすのであるが、注連. 楢の割木と、マメギと呼ばれる大 豆ガラとで煮る。マ. ト コ ロを掘ったところに埋めもどした。. 縄を張る場所によってそのタレ の数を変え、言立てを. ようにとの祈りをこ めたものだという。雑煮には里芋. メ ギを使 うのは、一 年間 「マメ」(健康 )で暮 らせる. どと言い伝 えている。. 垂らし 、「ニ ゴサ ン」(濁さん) と称 し、便所 に張るも. のカシラ・大 根・人参· 餅を入れる。まず当主が里 芋. した。井 戸に張るものには二 本• 五 本・三 本のタレ を のには四 本・五 本・三 本のタレ を つけて、「ヨ ゴサ ン」. 町・火 狭平治・大正七 年生まれ)。. に箸を つけ、 それを刻んで家族 に分けた( 奈良市大 保. 張った(大 阪府河内長野 市天見• 堀切五 十次• 明治 三. ( 汚さ ん ) と 唱 え た 。 神 棚 に は 七 • 五 • 三 の も の を. 正月 以外でも祝儀言立てをした。例えば次のような例. ②ダイダイ. ②トコ ロ ③コ プ ④栗. 固節 分には茄子のカラと 豆ガラで 豆を炒 った。 「マメ で ナ. がある。. 十五 年生まれ)。 コ バンモチ. ⑨正月 、次のものを盛った祝い膳を床の間 に飾った。① °ダイダイとトコ ロで「 代々所が変 らぬこ. スように」という意 である(静岡県田方 郡中伊豆町筏. ー. ⑤ 串柿. 伽茄 子ガラと豆ガラをとっておき、 囲炉裏で燃 して豆を. 場・塩屋吉 平• 明治 三十年生まれ)。. 示し た 。 また、 串 柿は、 一 串 十個 で、 両 端 に二 個 ず. 炒った。「一 年間 マメ でナス ように」という意 味 であ. ヨ ロコ プ」を、栗で「カチグ リ 」を と」を 、コ プで 「. つ、中に六個 がさされて おり、「フ ーフ ・ ニコ ニコ ・. - 62 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(5) る。炒った豆は一旦 神棚にあげ 、主がアキの方を向い. て撒いた(同賀茂郡天城湯ヶ 島町幕 原•浅田 重子・大. ニ ・小 正月 「ナリ 木 ぜ め 」 の演 劇性. ことを祈る行事が広く行わ れている。 それは「ナリ 木ぜ. 屋敷の果 樹を叩いて その年のナリ木の実りの豊かならん. 一月 十四日 または十五 日の朝、柿 •栗 •梨 •梅など、. 枡に大豆を盛り、 それに御 幣を立 てて祈った ( 同磐田. 囮春祈稿にはマメ で暮せるようにとの祈りをこめ、 一 升. め」 と 呼 ば れ る こ と が多 い。 この行 事 は 詞章 ・呪 言 を. 正八 年生まれ)。. 郡水 窪町大野 •水 元定 蔵•明治 二十二 年生まれ)。. ①一月十三 日ミズキの枝に団子をな らすダンゴサシを行. 干の事例を示 そう。. 伴っており、中には文学 性の高いものもある。以下、若. の焼 けるパチパチという音を「ゼ ニカネ ゼニ カネ」. ば正月 の焚き初めにバメ (ウバメ ガシ)の枝を燃 し、葉 と聞きな した(同下田 市須崎・小川福 太郎・明治 三 十. う横槌を縄の先に縛り つけたものを引きずりながら屋. う。家 の男 兄弟は、 十四日 の早朝に、邸叩きなどに使. 回小正月 の団子さしの際 、 エビ ス・大黒に供えるものは. 敷の中の母屋の周 囲を三 回まわ る。一人は十三日 の団. 九年生まれ)。 バメ の枝に 刺 した 。 団 子を さ げ る時 、 バメ の 枝 を 燃. 除けだ. 団子の湯は魔. ヘッチンボー のお通りだ. 子サシの折 の団子の湯を手桶に入れて持 つ。 その時 、. 四十一年生まれ)。. き、兄が舵の背で木を叩きながらヘナルかナン ネーか. と 屋 敷 に 生 え て い る 柿 •梅 •栗 な どの木 の も と に 赴. 長虫来んな. ネ」と唱 えた( 同賀茂郡松崎町池 代・山本吾郎・明治. ハチという音に合わ せて 「ゼニ カネ ゼニ カ し、。ハチ。. 右に見てきた祝儀の言立ては、年改 まり、行事を行う るとともに、 一 種 の民 俗教育とな ってきたのであった。. 木の根にかけた。終 って家 に入ると婆さまが甘酒を沸. ス、と答えた。ナリマスと答えると兄 が桶の団子汁を. と唱 える と 、弟 は それに対 してヘ ナ リ マス ナ リ マ. と大声で叫びながらまわ る。まわ り終える. たびにD誦された。 それは、家 の中で、祈願効 果をあげ. 誦することによって伝 承されたのであった。. 家 にとって重要な年中行事 の構成要素 が、言立てし、 ロ. かして待っ ていてくれた(福 島県南会 津郡田 島町 静川. - 63 -. 1993. 3 4巻3号 文学・芸術・文化.

(6) れ) 。. ⑤一月十五 日早朝、神前に供えた餅を入れた小 豆粥を一. と であ る ( 同兵 太 夫・外村 い ね• 明治 三 十六 年生 ま. てまわ った。 その時、 ヘョコヅチ どののお通りだ 長. 尺ほどのカシ の木の棒の先に つけて屋敷の柿の木や枇. •猪 股俊 夫•昭 和十三年生まれ ) 。. 虫来んな 虫来んな ||'と唱 えた。これが終ると屋敷の. 杷の木を叩 きながら次のように唱えた。 { \柿の木柿の. ②一 月十四 日早朝、横槌に縄を つけて母屋の周 囲を引い. 柿の木・栗の木などを鈍の背で叩きながら{ナル カナ. 木. 低い. ナラ ぬと. ンナイカ、と問い、ヘナルナル、と答えると木に団 子. 来 年プッ切 るぞ 高いとけえナルと鳥が取 るぞ. 中どこ ヘ ブラ プラ た. 千百 俵ナロウと申せ. 汁をかけた(福 島県南会 津郡南郷 町山 口•酒 井末吉 ・. とけえナル と子どもが取 るぞ 三 士 二年生まれ ) 。. 静岡県裾野 市佐野•鈴木俊一•明治 んと ナ レよーーー (. ナル かナラ ぬか. 大正十四 年生まれ) 。 ③一月 十五 日の朝、兄弟で屋敷の柿の木のもとに赴き、 兄がヘナル カナラ ヌ カ、と唱 えて柿の木に少 し傷を つ. ⑥一月十五 日、子供 達が手に手に模造の刀を持ってムラ. ナンナイとプッタ. を回り、家 々の柿の木の下で次のようにした。 まず、. ナリマンショ. けた。 それに対して、弟がヘナリモス ナリモス、と. ヘナーリマンショ. 答 え る と 、兄 は 柿 の 木 の 傷に 小 豆 粥を な す り つけ た ( 静 岡県 藤 枝 市 蔵田• 藤田 賢 一· 明治 三 十五 年生 ま れ)。. と応 じた。なり. とA群 が刀で柿の木を叩く 。すると、B群 の. 木ぜめ を してもらった家々では子供 達に祝儀を与 えた. 子供 がへ 千八 百 八 臥 ナリ申 そう. 切るぞ. ま一人が蛇を持ってサイラ クという柿 の木のもとに至. ( 静岡県賀茂郡松崎町池 代・山 本吾郎·明治四十一年. ④一月十 五 日朝、小 豆粥を煮、 一人がその粥を持ち、い ナラ ぬと蛇. る。舵を持った者が、ヘナル かナラ ぬか. 生 まれ ) 。. をすべての麦畑に一本ず つ挿した。 また、舵で柿の木. ⑦一月十 五 日には餅を掲き、椿の枝に餅切を剌したもの. でたた っ切るぞ 恥をたらすな |ーーと唱えなが ら舵で ナリマス、と応 じて粥を薄の箸でその傷にな すり. を叩きな がら二人で次のように唱 え餅を供えた。 { ‘ナ. 柿の木に傷を つける。すると粥を 持った者が{ \ナリマ ス. つける。「呉を た らす」は 、柿の実 が腐 って落 ち る こ. - 64 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(7) が桂 で、 いま も実 演 する土 地さへ あっ て、嘗 つて は 神 、、、 と 木 の精 の神 聖厳 粛 な抗 争であっ た 事実 を 物 語 っ て ゐ. ナラずば木戸の脇のダイリュ ウド るー. ロウかナル めえ か 千 人がり万 人がりナッともナッと も ( 宮 崎県西都市出. ネに頼んで切っ 倒し申 す。これに対して別の者が、 ヘ. という のが神の詞 であり、 「 ナリ マス ナリ マス 」と い う. て その年の木の実 の豊穣を替約しているこ とになる。事. ③でいうならば、兄が神を演 じ、弟が木の精を演 じ. 。ま こと に鋭 い指 摘で ある。 「 ナル カナラ ヌ カ」. 身•河野 ぎん•明治 四 十五 年生まれ)。. のが木の精の服 従誓約の詞になっ ているのである。事例. 例⑦の 、 「千人がり万 人がり」の「ガリ」は、「カル ウ」. ①. ナリ 木ぜめは、東 北 地方から 九州に至るま での広い範 ⑥⑦はすべて問答形式・会 話形式であるが、⑤だけは、. と 言 う 意 で 、担 ぐ こ と を 意 味 し て い る 。 こ こ で は 、 単. 囲で行わ れていたのである。右の事例の中で、①②③④. •同駿東 郡 長泉 町などにも見られる。これによっ て、ナ. 低いとけえ ナル と. 千 人万 人が担 ぐほど大 量の実を つけるこ とを誓約してい. に、 その年実を つけることを約束しているのではなく 、. - 65 -. 一方的な命 令形式である。この形式は、静岡県御 殿場 市. の、「 高いとけえ ナル と鳥が取 るぞ. け型になっ ているとこ ろにも特色がある。. している。⑥は、東 北 地方の鳥追い行事に似た巡 回門 づ. リ 木 ぜめ の呪 言 には二 つの 型が あ る こ と が わ か る 。 ⑤. 上枝 三 つ栗 の中 つ枝の. は、このように、問答形式・会 話形式を以っ て、神事的. モ ウ」 と叫 ぶ こ とに つい て 述 べ た が 、 年中 行 事 の 中 に. 後述の節 分事例 ⑬に、家の主が来訪 神の資格で「モ ロ. とこ ろで、ナリ 木ぜめ呪 言の主流が問答形式であるこ. な行事を演 劇的に展開 するものがいく つか見られる。こ. キ マジナ. のように述べている。ー| '福 島県相 馬地方では木呪ひ 、. り注 目されるとこ ろである。 行事の中で、神霊の詞とし. のことは、演 劇の発生・始 原の芸能を思わ せるものであ. キリ オド. 仙台 では餅切り、青森 では切脅 しなど と呼んで 、「生る. 生りま す」と服 従の詞を誓ふ人ー_ これを主人と下男 と. て発せられるものは、呪力と威力の強 いものであっ た。. か生 らぬか、生らなきゃ打 切る」と脅 す人と「生 ります. (3 ). とはたしかであろう。ナリ 木ぜめに ついて高崎正秀 は次. ……」とみごとに類似して いて 興味 深い。. しづ え. 古 事記 』応 仁記 の歌謡 、「香 ぐはし花 橘 は 分は、 『. るのである。事例 ⑥で も「千 八百 八臥 」と豊作の誓約を. は鳥居枯 らし 下枝は人取り枯 らし. 子どもが取るぞ 中どこヘブラブラたんとナレよ」の部. 4巻3号. 1993. 3 文学・芸術・文化.

(8) ⑤でもナリ 木に小 豆粥を付着させている。 こうし て 見る. き、木に小 豆粥をな すり つける。先に紹介した事例③④. ける。静 岡市有東木で は柿の木をヌルデの粥掻 き棒で叩. ナリ 木を 斧で叩き、問答をしてから木に栃粥をなすり つ. 山ナラシ」 と呼び、 一月十四 日の朝 これを行う。屋敷の. 綜する。蛇除けからナリ 木ぜめへの展開 もその ―つで あ. 「モチ 」 「 月」 モチイ」 に は実に多くの 行事が集合し、錯. 晦日という ことになる。 一月 十五 日を中心とした 「 小正. いる。 一月十五日 は小 正月であり、十 四 日は小 正月 の大. る形で 「 長もの除け」 即ち 「 蛇除け」 の呪術が行 われて. と ころで 、事例①②において は、 ナリ 木ぜめに先行す. より根強く、実 感的に伝 承されてきたのであった。. と、 ナリ 木ぜ め と 小 豆 粥の か か わ り が深 い こと が わか. ある 。次に示す@⑪が それである。. る。事例①②における蛇除け呪術の呪 言に類似のものが. 初 長野県 下 伊那郡上村 下栗 で はナリ 木ぜめの ことを 「. られる。 ここで注目すべ き は、団子汁や小豆粥が、問答. o. {. ョコヅチ どんの. @一月 十五 日早朝、木製の横槌に縄を つけて家の周 囲を. る。事例①②で は団 子 汁をかけており、⑦ で は餅 が供 え の場において、「 ナリ マスナリ マス」という誓約の後にか. ひ きずりながら次のよう に 唱えた. 外へ出 たらかっ つぶ せ. 御前だ. ( 新潟県北 魚沼郡入広瀬村 大栃山 ・大 島金七 •明治四. モグラモチ や内にか. 肥料を与 えれば実 がよく 生 るという こと は体験的に知ら. けられ、塗ら れている こと である。 もとより、ナリ 木に れているのであるが、誓約後にかけられ、塗ら れる汁や. ⑤ 一 月 十五日 、 麦 畑 へ 出 て 栗 ま た は干し 柿 を 食 べ て か. 十三年生 まれ)。. るという ことになる。 ナリ木ぜめの対象 樹 種は、 これま. ら、子供達が横槌に綱を つけたものを引いて麦畑の中. 粥 は神が木に与 える活力剤であり、 呪力に満ちた液であ であげら れた柿 •栗 •梅 などにとどまる ことなく、愛知. ら 走った。 {ツチンドが来たに. を 走りまわった。 その時 、大声で次のように唱 えな が. 採集時 代の、木の実 の豊穣予祝儀礼だった ことを物語っ. リ 木ぜめという儀礼が、農作物の豊穣予祝に先行する、. @⑮ともにヨコヅチ を引いてモグラ 除けを行うという. 光義 •明治 三十六年生 まれ) 。. モチ) は逃 ぎ ょうよ ( 静岡県磐田郡水窪町 西浦 •小 塩. イグラどん ( モグ ラ. どにおいては栃の木を対 象としている。 この こと は、ナ. 県北 設楽郡富山村 •静 岡県 磐田郡 水窪町・同佐 久間 町な. ている。 それゆ え、木の精 霊と神の問答という形式が、. - 66 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(9) 島県と新潟県の事 例類似は予想されるとこ ろであるが、. つ打 つ。 又、一 人、うぐろもちは御 宿にか、といへば 一. ならうと申ます、と云ひ な がら 菓木を 山 刀斧して少 しづ. 人、横 槌殿の御 見舞だ、と高らかに唱 へて 廻る。かく す. もので、事 例①②の蛇除けと驚く ほど類似している。福 遠く 離れた静岡県に類似の行事 があることには驚かされ. の部分であるが、これは、いわばマ レビト、 即ち来訪神. まず注目すべ きは、「家 来 一人俵と箕を負ひ 」 」 り。. る こ と 家 ご と に お な じ 様 也、 民 間 に は 十 五 日に し 侍. の 風貌であ る。折 口信夫 は、「ま れ びとの意 義」の中 で. 1. つの例は、いずれも、横槌に紐を つけて子供が引きまわ. る。蛇・モグ ラと対 象物は異るものの、右に比較 した 四 るという点、小正月に行われるという点 、対 象物が、地. 次 のよう に 述べている。「蓑笠は、後世 農 人の 常用 品と. によっているこ とが指摘できよう。槌は、物体を破砕す. 術が 発生 伝承されたのであろうか。第一に 「 槌の呪力」. 様に人る手段であったと見るべき痕跡がある。神 武紀戊. 服 装でもある。笠を頂き蓑を純 ふ事 が、人格を離れて神. 専ら考へられて居るが、古 代人にとって は‘ ―つの変相. 5) (. が共通している。一体、なにゆ えに このように異様な 呪. 下にもぐる生 物で、人に 恐怖や 害を与える存在である点. る力を持 つ。蛇やモグ ラに対 して横槌を示すこ とは、槌. ノ 香 具山の埴土を 盗みに 遣るのに、椎根津彦に弊れた衣. 午の年九月 の條に、敵 の邑落を幾 つも通らねば行けぬ天. か つ、蛇やモグ ラを発生 せしめる大地を鎮めるこ とにも. に 蓑笠を 着せ て、老爺に 為 立て 、 弟. の威力によって、威嚇的 に打殺を予告することになり、 なるのである。モグラ は、畑を起こ し、畦に穴をあける. 」 老 姫に 扮せ しめたこ とが 出て 居 る。. の象 徴でもあるのだが、箕は、右の 『 日本書紀』の記 述. 俵と 箕は 豊穣. ナリ 木ぜめとモグラ 除けがセットになっている事 例と. 内容および、折 口の解 説を参考にすれば、変身呪 具とも. 1. 猾に 箕を 被かせ て. オト ウ カ シ. など、農業に害を与えるものである。 の L. 諸 国風 俗問状答 』の「越後 長岡領風俗問 状答 して 『. うことは、この人物が神を演 じ、柿の木の精霊に豊かな. 解せ られるのである。箕を背負う者 が 山 刀斧を持 つとい. 4) (. 中に おもしろい もの があ る。「此 日 ( 一月 十四 日)夕 っ. いま. モグ ラ)をも二 つ注目すべき は、ウグロモ チ (. る実りを 誓約させていることになるのである。. かた木祝とい ふ事侍り 。家 来一人俵と箕を 負ひ手に 山刀 人、. 斧など持ち、 一人邸う つ横槌てふもの付て、屋敷のうち を 廻り、 一人、なら うかなるま いか、と い へば、. - 67 -. 1993. 3 4巻 3 号 文学 ・芸術・文化.

(10) 年 中行事の口誦要素 野本. 横 槌 に綱 を つけて 道 を 引 き まわ す 風 習 か ある。 横 槌 に. 県袋井市豊沢では、友引 の日の葬死には、ッチ ンボ即ち. 槌の呪 力を信 じる呪的行為は他にもあ る。例えば、静岡. ラ を 威嚇するのに大 きな力を発揮し て いるのであ る。横. 人がかりで威嚇してい る点であ る。ここでも横槌はモグ. ンドなどの灰を屋敷に撒く ことを蛇除けの呪 術と す るも. わかる。小 正月 と蛇除 けの 事例 とし て、ド ンド焼き、 ト. 鳥 ・蛇・モグラなどを予祝的 に 追放する日だった ことが. を 考え ると 、小正月 は、農耕や、人間生 活に害を与 える. 類 似するもの であ る。いずれも小 正月に行われて いる点. 溺県・東北地方に多く 分布す る鳥追い行事やカセドリ と. で、この言いたてがモグ ラに対 する威嚇にな っている. は、モグラ が叩かれて内臓が飛び出した様を示すもの. 出 る ワタ が 出 ると 大 声 で 唱 え た。「 ワタ が 出 る」 と. が、 その時、子供達は、へ きたな いきたな い. ワタ が. え る。 す ると、 子 供 達 は 棒 で 庭 や 畑を 叩く の で あ る. 呼ば れるもの があ る。 その最も典型的 なものは、柊の枝. る。節 分呪物の ―つに、ヤキ クサ シ ·ャイ カガ シなどと. 合わ せて 、節 分の本質に ついても若 干言 及することにな. こでは、節 分に誦 唱 さ れる誦詞や呪言 を展望・整理 し、. る。 その全体構造の整 理・分析 は稿を改めるとして、 こ. 節 分行 事に は ま こ とに多 様な 呪術 要 素 が 複 合 し て い. 呪言 の類型I. ( 熊本 県八代 郡泉村 樅木 ). に鰯の頭を刺 し、火 に焙って焦がしたものであ る。 鰯の. tu. 分 I ― ― ― ・貸. あ るのでこ こでは割愛 す る。. (6). では あ るが、 その資料は 厖大であり、別に述べた ことも. とりあげ、鳥追い呪言 •鳥追い唄等に ついて言 及すべき. のが各地に見ら れる。 本来ならば、 ここで鳥追い行 事を. よって友引を す る死霊を抑えた の であ る。. 右の事例とはタイプが 異るが 、次のようなモグラ 除け が行われていた。 © 旧暦一 月十四日 にモグラ打ちと称し、子供から青年ま. ―つ――つの返答をくださいー. と ころ のタカナの苗床はどうでござ ろうか 祝うてよ. でが集まって各戸を めぐり、各門 口で、 { \OOさん の かろうか悪かろうか. ©は、子供達が来訪 神の資格で 家 々を祝福し、害物を. 頭を焼き焦がす臭気と、柊の菓の突刺 性によって 不可視. と唱 をると、 家 人はへ 祝うてくれ 祝うてく れ、と答. 退治 する様を演ず るもの であ る。 この形は、長野県・ 新. - 68 -.

(11) ク ーサイ. の)隣のばあさん はア カギ レ足に 足袋セキ ダ. シ ャラ. 静 岡県藤枝市 忠兵衛•仲 田要 フグラ フー (. がし」の意 である。静岡県榛 原郡本川根 町梅地では、次. の病魔•悪霊 ・厄災を防除しようとするもので、「 焼 き嗅. 口に挿 した。 その時 次のように唱 えた 。 {ヤ イカガシ. ②柳 の箸に、椋•蒜 .鰯の頭を挟ん で焦がし、玄 関の 戸. 作・明治三 十三 年生まれ)。. の猪の毛 •川 苺 ( 強臭植 物)・檜の皮の 三種を 叩いてま. のような、焼 畑の猪除けを 「 ヤ イ カガシ 」と呼ん だ。牡 ぜ合わ せ、 それを分けてス ズ竹 ( 三 \ 四0センチ)に挟. 足袋やセキ ダでシ ャ. ホ ーイ ホイ ヤ. 足に 白足袋は いて シ ャラ クーサイ. の 候 長々の 候 向 いのじいさんばあさん ア カギ レ. イ カガシ の候 向いのばあさん. ど の板 を つける 。 こ れを 焼 畑の 周 囲二 、 三 認 お きに 立 て、 三四日 おきに焦がしてまわ ったのである。こうして. ―一年生まれ)。 +― ― ―. ラ クーサイ. ん で焼き焦がす。雨除けとして竹の先に 八センチ 四方ほ. おくと、猪は焼け焦げた臭気を 婦って焼畑の栓りに近か. 同大久保• 平口きぬ •明治 ホ ーイ ホイ (. づかなく なったという 。節 分の厄災防除呪物と、焼畑の. フー. ③柊の枝に鰯の頭とネギの細根をはさんで焦がし、戸口. フ フラ. 猪 除けとが全く 同じ名称 を以って呼ばれているこ との意. さん は長 いキ セル で シ ャラ クー サ イ. に挿した。 その時 ヘャイ カガシ の候 うらん隣のばあ. 術の基層に、人びとの現実 の場面における対 応経験が横. ン. 味 は重い。 不可視の病魔• 悪霊を防除追放せんとする呪 たわ っているからである。ここで はまず、 そのヤ イ カガ. サイ. 太郎• 明治二 十 年生まれ)。. 同瀬戸新屋• 青 島作 フフラ フーンーと唱 えた (. う らん隣のばあさんは足袋やセキ ダでシ ャラ クー. シ にかかわ る呪 言から話を進 めるこ とにする。. ④鰯の頭・ ネギの根・柊の葉を椛の葉で巻いて柳の箸に. 挟み 、門 口に 挿 し た 。 その 時 次 の よ う に 唱 えた 。 ま. 1•隣の婆さん 型. た、こ の 日、柊を挿した目籠を竿の先に つけて軒端に. フーン. とネギの根を挟ん だものを挿した。戸 口にも柊に鰯の. フフラ. ①竹竿の先に目籠を つけ、 その目籠には柊の枝に鰯の頭. キ ダや足 袋 ょはいてシ ャラ クーサイ. 立てた。ヘヤ イ カガシ の候 おらん隣のばあさん はセ. う ら ん (俺. 頭・ネギの根を挟ん だものを挿 したのであるがその時 次 の よ う に 唱え た。 {ヤ イ カガシ の 候. ― - 69 -. 1993. 3 4巻3号 文学 ・ 芸術 ・ 文化.

(12) ( 同兵太夫・外村 いね•明治三十六年生まれ)。. ヘラ フー ( 同市場. 杉本良 作•明治. イ カガシの候 うらん隣のばあさん は足袋やセ キダ で. ⑤ヤイ カガシを戸口に挿す時に次のように唱 えた。 ヘヤ シ ャラクー サイ. ― ― ― 十年生まれ)。. イ カガシの候 隣の ババサンが屁をへって臭いなあ. 三十六 年生 まれ)。. フンフラフン(同榛原郡相良町菅山・紅林平 八•明治. ⑩ 椋の葉に蒜と魚の頸を包み、椋の枝に挟んだ ものを戸. 隣のバーは赤 いふん どし で白 足. 口に挿した。 その時次のように唱 えた。 ヘヤイ カガシ の 候 ナ メナ メの候. 袋 はいてシ ャラク サイ 、また、目籠に柊・ビ ン カ・椋. ⑥ヤ イ カガシを挿す時次のように唱 えた。 {ヤイ カガシ の候 おら ん隣のじいさんとばあさん は 前歯二本に. 呂久保 •土 屋猪三雄 ・大正四 年生 まれ) 。. ⑪目籠に 鰯の頭•山椒の枝・髪の毛を つけて竿の先に つ. の枝を つけ、竿の先 に つけて立てた。 ( 同中川根 町 尾. けて立てた。 その時 次のように唱えた。 ヘヤ イ カガシ. 間)。 ⑦柳の箸に柊の葉と鰯の頭を挟ん で女の髪の毛を巻き つ. の候おら ん隣の婆 さ んは シ ャラ クー サイ. お 歯 黒 つけてシ ャラ ク ー サイ ( 同 志 太郡 岡 部 町 羽 佐. け て 焦 がし、 戸 口に 挿 し た 。 その 時 次 の よう に 唱 え. フー ( 御前崎町白羽 •高塚佐右衛門 •明治 二十七 年生. フニ ャラ. た。 へお ら ん 隣 の ば あ さ ん は長 い キ セ ル でタ バコ を. 喫ってシ ャラク ー サイ フグラ フー ( 同大井川町藤守・. まれ)。. ⑫椋の葉 と メザシの頭を燻した。 その時次のように唱 え た0 'ヤ ッ カガシ の候i また、橙の枝を 門 ロ・道の. ふ ,”. 加藤正•明治三十二 年生まれ)。 戸口に挿した。 その時次のように唱 えた。 へおらん隣. 次郎•明治 三 十七 年生 まれ)。. 辻· 畑に立てた。(同榛原郡 本 川 根町 桑の 山•森下覚. ⑧柳の箸 に柊•椋・ネギの根・女の髪を挟ん で焦がし、 のばあさん は ヤ キモチ焼いて手を焼いて ヤ イ カガ. に 唱えた 。 {ャイ カ ガシ の 候. 隣の ば あ さ ん. 屁を. バラの茎を箸状にしたものの先に つけながら次のよう. ⑬切り盤の上 で魚の頭と髪の毛をこ がして、 サ ルトリイ. シ の 候、こ れ は長男 の仕事だ とさ れた。 ( 同 焼 津市下. 小田)。 ⑨山椒の箸に髪の毛を巻き つけ、削ったカツオ節 をすり つけて戸口に挿した。 その時次のように唱 えた。 {ヤ. - 70 -. 野本 年中行事の 口誦要素.

(13) へってく さ い しゃらくさい ( 同小 笠郡浜岡町大山・. 阿形 平八 郎 ·明治三 十七年生まれ) 。. ん屁をこ いた てああ臭い 報告』 ) 。. と唱 え、音を立てて戸を. おっかあ ヘッ ツイ で 000の毛を焼い. シ ャラ クサイ. 閉めた ( 同周智郡春野 町花 島・ 『 立 教大学春野 町調査. ⑯節 分に は 肥桶の 縁を 天秤 棒でこ すって 鳴ら し、「 ヤイ. 高田のババアが. ⑭板の上 に煉を の せて 蒜と髪の毛を焦が し、山椒の箸に こ すり つけながらヘ ヤイ カガシの候. と唱 え. シ ャラ クサ イ. カガシの 候」と唱 えた 。熊切では 肥桶の耳を天秤棒で. ああく さい. こすって音を出し、麦 畑のモグラ 追いをした ( 同小板. 屁を へ った た。 武田 信玄が戦 っ た時 、「高田 の馬場の 守が 兵を 退. あ. い た」 と 言 った の がも と に な っ た の だ と 伝 え て いる. 屁をたれてシ ャラ クサイ. と唱 えた。こ の日、隣 の ヤイ カガシ の鰯を. ⑰おら ん隣のばあさ んは. •伊藤和 二郎•明治 四十四 年生まれ)。. まれ)。. あ臭い. と唱. おら ん隣のばあさ んは. アラフーン. バ リバ リ と音 がするので これを 「バリバ リ」. ⑲棚の枝に鰯やサンマの頭を刺して火 に焙る。. 四十 二年生まれ)。. 同磐田 郡豊田 町富里・杉浦庄 司•明治 えた (. 屁をへ ってシ ャラ クサイ. 長 々お見舞申して. のを門口に挿す。 その時、 ヘヤイ カガシ の候. 魚の頭を刺 し、 それに髪を巻いて焦がしたも. ⑱節 分の夜には柳の箸で飯を食べる 。 その箸に. 盛貞蔵•明治 三十四 年生まれ)。. 黙って食べると風邪をひ かな いと伝えた(同平城•藤. ▲節分の目 簡竿. - 71 -. (同小 笠郡大東町上 土方・穂積良作•明治三 十五 年生 ⑮正月 に食べたサケ・マスの頭の 一部を椛の葉に包 んで 椋の枝で作った箸に挟 んで門 口に挿し、 へ隣のばあさ. 9 /. ・ J; • ぃ・ ・ \ . . ヽ ir ". ー静岡県榛原郡中川根町尾名久保一. 1993. 3 4巻3号 文学・芸術・文化.

(14) 隣のオバーのツビ クサイ と唱 と 呼 ぶ。焙る時に、 へ \. カガシを 戸 口に挿す時に次のように唱えた。ヘヤ ッ カ. ツッツッツ 」と唾をかけた。また、ヤ ッ 唱 えながら 「. の 口焼き・雀の 口焼 き・ 兎の 口焼 き・ 狸の 口焼 き、と. うん. 年生まれ) 。. 長々も候 隣のばあさん屁をへった. ⑮鰯の頭を萱に刺 して戸 口に挿した。 その時次のように. 明治二 十 九年生まれ ) 。. 臭 いやれ臭 い(静岡県 田方郡函南町田代•渡辺利雄 ・. ガシも候. えた(同磐田郡佐 久間町今田・ 高 橋高 蔵•明治四 十一. 屁を こいて臭 い臭 い と唱 え. ⑳柊に鰯の 頭を刺 し、ト ベラ を 添えて 戸口に挿 した。 そ の時、 { \ 隣のばあさん た。(同浜名郡 新居 町松山 ・高 橋 やす子・ 大 正十 一 年. 。 生ま れ ). 唱 えた。ヘヤ ッ カガシの候 長々の候 隣のババア の. ツビ 臭 い. ⑪ クロモ ジ・ ヒイラ ギ・シキ ミ・ ニボシの頭 ・髪 の毛を. 立てると鳥が つかな いと伝 えた(静岡県裾野 市須山・. ネズミの 口焼き、と唱 え. た。 焙 り 終 え る と それを 門 口の 羽 目板 の 隙 間 に 挿 し. 焙り つつヘカラスの口焼き. ⑳鰯一匹のま ま 竹串に刺 し、 それに唾をかけながら火 に. 土 屋富 正•昭和 二年生まれ) 。. また、この日、 同様のものを作って畑に. 目籠 に つけ、 さ ら に その 籠 の 中 に 片 方 の ワラジ を吊 隣の ば あ さ んツ ビ 臭. り、籠を竿の先に つけて 門 口に立てた。髪の毛などを 焦 が す時 、ヘヤ イ カガシ の 候. い、と唱 えた(同引佐 郡引佐 町東 黒田・柴田 隆 ·大正 五年生まれ ) 。 \ャイ カガシの候 隣のババア はッ プクーサ、と唱 え ⑫{. も長栄え候 隣のおばあのツ ビ 臭 い、と唱 えた(同御. た。 その時、ヘヤ ッ カガシ も候 長々も候. 臭い. 粟虫ヤ イカジ カ、と唱 え. ⑰ビ ン カ・ 椋を籠に挿して頭にか ぶり、夜、メ ザシ の頭. 殿場市印野 .勝間田多住•明治 四十 一年生まれ ) 。. 隣のお方. れ) 。. た ( 同 静 岡 市 長 熊 • 長 倉 て つ• 明 治 四 十 三 年 生 ま. 帰った。 その時、他家 の門 口でへ 00チンビ ー. ⑳豆を自分の年の数だ け川へ流し、振り向かな いで家 に. を梱の枝に挿して、 へ稗虫. ク ーサ イ、と唱 えて 戸 口に挿 した。(同静 岡市小 河内. ながら焙る。 そして、へ うら ん隣の婆さんは シ ャラ. 臭 い、と唱 えた。(同田方郡 土肥町) 。 ヤ ッ カガシを焦がしたり、豆を炒ったりする時、へ 烏. ⑳萱 に 鰯 の 頭を刺 し、 焦 が し てヤ ッ カガシ を 作 っ た 。. - 72 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(15) ⑳鰯の頭柊を挿 すことは 一統なり。此 日黄昏に鰯の頭を. きた 。 その分 布範囲は、伊豆田方 郡から安倍川・大井川. 型、いわば 、 「 隣 の婆 型」と も いう べ きもの を 紹介し て. さて 、右 に 、節 分 行 事の 中 で 唱 え ら れ る 呪言 の 一 頬. 大豆木に挿して ―つに握り持て、髪毛を少し巻 つけ晶. 静岡県下に及 ひ、か つては愛知県でも行われていたこと. 流 域、さらに天竜川流域から浜名湖周 辺に至るまで広く. •望月繁福 • 明治 三十一年生まれ)。. 水を加へ かけて、拐 豆を 焙烙 の下にてこがす事な り。. がわかる。まことに異様な 口誦 呪言 であり、 品格を欠く. さて後に門 玄関などより初めて厠などまでも、口のあ. 言 辞を含むものも多い。一 見同じもののように見えはす. サウラ ヌ カ イ ン ニヤ. マ. り。 云 ヘヤ イ カガシヤア. サウラア ヌ ウ ナ ガナ ガトウ マア シマセエ フフラフンーー'. ⑭性. ⑧. 屁. 器ー⑲⑪⑫⑬⑮⑳. ー⑨⑬⑭⑮⑰⑱⑳⑳. ①②③④⑤⑥⑦⑧⑩⑪⑰⑳. な る。. な い型である。資料番号によって整理すると次のように. であり、いま ―つは 、臭気の原因とな るものは一 切示さ. く 。 その一 っは 、屁ま たは性器の臭いを言 いたてるもの. るが注意 してみると、 二 つの型に分類できることに気づ. る 所 へ は 皆 さ す 事 な り 。 挿 し な が ら 声高 に 唱 る 事 あ ンダア トナリ ノババア ハ シ ャラ クライ. 鰯頭 一本ごとに此の唱 事一遍 づ つ也 ( 此唱 事甚をかし. 領 風 俗問状答」 )。. き也。其趣意 も故よしも更々 知れ ず)。右ヤ イ カガシ ( 7) 諸国 風 俗問状答 』の 「 三河国吉 田 終て 豆をまく 也( 『. ®臭気要因秘匿型. 第 1表 隣 の婆 さん型節分呪言 分類. 隣 の婆 さん型節分呪言 ]. ー ⑧臭気要因誇示型 口. - 73 -. 1993. 3 4巻3号 文学 ・ 芸術 ・ 文化.

(16) 次の 記述 がある。「 …夜 飯を 食ふ。 必 塩鰯を焼 きて肴 と. 安倍正信の 『 駿 国雑 志』の 駿府村里の「 節分 」の 項に. 呪言全体の中では囃し詞の機能を持っているのである。. 嗅覚擬態が秘匿されていることになる。しかも、こ れは. を嗅ぐ状態の擬態語として懸詞的 な機能を持っており、. どは、い ずれも椰楡・軽蔑を示す語であると同時に臭気. と、秘匿型よりも、誇示型の方が 本来的 で古いものだと. う に、 江 戸時 代の 書 物 に 収 載さ れ て い る こ と か ら す る. なるべ し。」とあ る。こ れは臭 気要 因誇 示型 で、こ のよ. す。按るに、やかかがしは焼鰯の頭 ながながは箸の事. 核糞. 斯唱 て門の 左右に差すを 風俗と. かかがしも 候 ぞ ながながも候 ぞ 隣の 御方の 玉門屎陰. て、蛇は 適切 だとは考えにく い。ま た、「箸 」 も「長 々」. 目的 とした強臭呪物のヤ イ カガシと並列されるものとし. するのであるが、この場合、病魔・悪霊を防除するこ とを. 「なが」 「 な がなが」は 一般的 には 蛇を 意味 変形である。. されている。事例②⑮ ⑳にも「長 々」 が 見え、⑱は その. もに「ながなが」が登場 し、 それが「箸 」であると解 説. 『 駿国雑 志』に は 「ヤガ カガシ」 ( ャイ カガシ) と と. (8 ). り、彼鰯の頭を挟み、唾は きして大 声を発して日く 。や. す。 食 事 の 後 夫 婦 用 る 処 の 杉 の 丸 箸 の 片か た の 先 を 割. 考え がちであるが、事実は逆であろう。 それは、 わが国. と称するには威嚇呪力に乏しい。 悪霊・病魔に対 する威. 長 々」と いう形容を 受けるにふさ わしい 嚇呪物として 「. 隠嗜臭 臆嗜臭. の言 語呪術の伝統の基 本に秘匿による呪力増進 といった 言語呪法があるからである。事例①②などには、 屁・ツ. ものとして、 刀・槍• 長 刀・棒などが考え られるのであ. (9 ). ビ といった 臭気誇 示物はなく 、 その 代り 、「シ ャラ クー. るが、こ れに ついてはさらに検討を加え たい。. 中 で、 ⑳ ⑳ ⑰ に は 特 に 注 意 し な け れ ば な ら な い 。 そ れ. ところで、右に見てきた隣の婆 型の 節分 呪言の事例の. サイ」 と いう形 容詞 が用い ら れている。「しゃ れた ま ね が、この語の裏に、懸詞 として「臭い」「ヤ イ カガシがと. ち、ヤ イ カガシを焙りながら⑳では烏• 雀・兎• 狸など. は、この三例では、隣の 婆型の呪言の他に、 それに先立. を す る」「な ま い き で あ る」 と い っ た 意 味 な の で あ る. い」を秘匿することによって、病魔•悪霊を防除追放す. ネズミの ロ. て も臭い ぞ」と いう意 味を 秘匿して いるの であ る。 「 臭. の 口焼きを 唱 え、⑳ では {カラスの 口焼 き. フフ. る呪力を強めているのである。 フグラ フー(①). 焼 き、 ⑰ で は {稗 虫. 粟虫 ヤ イ カジ カ、 と 唱 え て い. ラ フーン(③) ヘラ フー ( ⑤) フン フラ フン( ⑨)な. - 74 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(17) るという点である。これらは、畑作物や人間 生活に害を リ. もジ. 菜 ッ パ虫 も ジ ーヤ. を威嚇する形になっているのである。これらを 「 口焼 き. 上郡山北 町中川• 井上団次郎• 明治 三 十三年生まれ)。. の 口焼 き ムジ ナの 口焼 き と唱えた( 神奈川県 足柄. ⑬萱 の 串に鰯の頭を刺して唾をかけ、焙りながら 、 {烏. と 唱 兄た(同天城湯ヶ 島町長野 •浅田あい•明治. リ 大 根 虫 もジ ーヤ リ. 与 えるものの 口、あるいは害物それ自体を焼く という状. 三十六年生まれ)。. ーヤ. 態を模擬的 に演 じる体を示し、 それを 言い立てて、害物 型」 と 総称 す る こ と が で きよ う。 して み る と、 ⑳ ⑳ ⑰. ⑭大豆のカラ に鰯の頭を刺 して焙りながら、 {粟の虫の. と三 回唱 えた( 埼 玉. なる。以 下に、 「口焼 き 型」の 事例 を 示そう。 事例 番 号. アプラ 虫の 口を焼く. セッ. ケム. カノ スッ ト( 桑 の 葉 を 喰う. ヘビ の 口焼 きツッツッツ. シの 口焼 きツ ッ ツ ッツ. の 口焼 きツ ッツッツ. のを火 に焙りながら、 それに唾をかけ つつ‘ { ネズミ. ⑯鰯サンマなどの頭と尾をY字型の 又枝の先に刺 したも. 都留郡道志村 白井平・水越美男・明治 三十 八年生まれ)。. トーの 口焼 き ネズミ の 口焼 き と唱えた(山梨県南. ⑮ 大豆のカラ に鰯の頭を刺 して焙りながら、 {雀. 県 秩父郡荒川村 白久・山 口元吉・明治 二十九年生 まれ)。. 口を焼く. は、「 口焼 き 型」 と「隣の婆 型」 を 併用している こと に. は通し番号を用いる。 2・ ロ焼 き型 ⑳ ヒジ ロ( 囲炉 裏)で 柊 .椛を燻して、棚の枝に挿した と唱 えた( 静岡 市藤代・鈴 木幸一• 明治 三 十三. 鰯の頭を火 に焙りながら、 へ稗虫ジ ヤジヤ 粟虫ジ ャ ジヤ 年生まれ)。 と唱えた(同戸持 ・. 秋山藤蔵•明治四十 四年生まれ)。. ⑳ へ稗の虫も粟の虫もジ ーヤジヤ. と唱 えた(山梨県東 山梨郡. 牧丘町西 保中・竹川 篤• 明治 三十一年生まれ)。. 虫)の 口焼きツ ッツッツ. ⑰節 分 の 豆を 炒 る 時 、 火 に 樅 の 葉 を 入 れ、 ま た 、 別. ⑪鰯の頭・ 柊の菓を萱 の箸に刺 して焦がしながら ヘ ヘー た( 静岡県田方 郡伊豆長岡町長瀬 •木下しげ •明治四. ながら、 ヘカラ スセッ トーの 口焼 き 雀 セッ トーの ロ. に、 樅の 葉と メ ザ シの 頭を 箸 に は さ ん だ も の を 焙 り. ビ の 口焼 き マム シの 口焼 き 毒 虫の 口焼 き と唱え. 十年生まれ)。 ⑫鰯の頭を串 に刺 し、唾を かけて 焦がしながら、 へ稲虫. - 75 -. 1 99 3. 3 4巻 3 号 文学・芸術 ・ 文化.

(18) 山梨 県西八 代郡六郷町岩間・有野 幸 焼 き と唱 えた ( 七• 大正十二 年生 れ)。. と 唱 え、 これ を 戸 口に. 何焼く か焼く メ の頭を 萱に はさん で焦がしながら 、{,. 六 日ド シ」と称し 、 この 日、 ゴマ ⑱一月六 日の ことを 「 四十 ニクサの 虫の 口を焼く れも戸口に挿した ( 長野県諏訪市真志野 •藤森 真琴・. 挿した。併 せて、紙に 「カニ」と書 いて萱に挟み、 こ 明治 一 二十二年生まれ)。. 四十八 作何 の虫も 一切 ジリ ジリだ. と唱 えな がら. ⑪椎の葉を 一枚一枚切って、豆を 混ぜて炒りながら、{. ロいう 口はみ な 焼 きま. 風の 口 壁 姦の ロ. だ. 蚤の 口. と唱 をる。半紙に豆と梱を包ん で、息を三 回. かけて体中を撫で、山中へ 捨てる ( 福 井県大 飯郡高浜. し ょう. 町音海・東本勇•昭和 二年生まれ)。. 四十四 品. と唱 える ( 和歌山県西牟 婁. シ」と称し、焦がす時 に、 へ何焼く か焼く. ヤ キ クサ ⑫ 柊 の 枝 に 魚 の 頭を刺 し て 焦 が す。 これを 「. の作り喰う虫の口を焼く. 郡 串本町高富·白井春男 ・ 大正四 年生まれ)。. ⑬柿を刻ん だもの•みかんの皮・ジ ャコを割り箸に挟ん. で 松 葉 とバ ベ ( ウバメ ガ シ) で クス ベな がら 、 へ見. も. 、米の虫も麦の虫 ⑳節 分に、薄を折 って ゴマメ を挟み、 { 火 に焙って これを戸 口に挿した。 併せて 、胡桃の枝を. と唱. えて 戸袋に挿した ( 和歌山県東 牟婁郡本宮 町皆地•田. みな焼く. り ゃ眼焼く. 長野 県上 伊那郡長谷村 奥浦· 小松祐唯•明治三 した (. 畑清乃•明治四 十 二年生まれ) 。. 立ち聞りすりゃ耳焼く. 割って、紙に「 カニ」 と書 いて挟み、 これも戸 口に挿 十六 年生まれ)。. と唱 える ( 奈良 市大保・火 狭平治 ・ 大正七 年生まれ)。. に挿 す。焙る時に、 {蚊の 口もブト の 口も ャリ ャリ. ⑭ 大豆の茎に鰯の顕を刺し、柊を 添えて 門 口や蔵の入 口. て焙りな がら ‘{プトの 口 蚊の 口 蚤の 口 虻の ロ. ⑮大 晦 日、 鰯の頭を萱の 根に刺 して火 に焙りながら、 {. アサ ギ にゴマメ ・椎の葉を挟ん だものに女の髪を巻 い. ⑩棚の葉を 一枚一枚ちぎって囲炉裏で燃し、 その火 で、. 蛭の ロ マ プ シ ( マム シ)の 口 百足の 口 その他. 焼 きぞめをします 山の獣一 切の口を焼きます. と唱 え、. く ちば し. 鹿·. もろもろの悪 い口を焼く. 猪 .狐・兎 .狸の 口を 焼 きま す 山鳥 一切の嘴を焼き. けもの. 福 井県遠敷 郡上 中町三 田・池 上三 平•明 口に挿した (. ま す 窃•四•鶴•烏•雀の嘴を焼きます. と唱 兄‘焙り終えてから 戸. 治 三十七年生まれ)。. - 76 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(19) る が 、 こ れ ら に共 通 す る 点 の第 一は 、 「隣 の婆 型 」 が 、. 「口焼 き 型 」 呪 言 の事 例 と し て⑳ I ⑰ を 示 し た の であ. 中 西 惣 太 郎 •明 治 二十 七 年 生 ま れ ) 。. 後 にす べ て の戸 口 に挿 し た ( 岡 山 県 真 庭 郡 勝 山 町 星山 ・. ⑯ ヘ ナ ム シ ロ焼 こ 猪 や 猿 の奥 焼 こ お んご ろも ち ( 土竜). に対 し て、 こ の型 の 呪 言 は 、 鰯 の頭 な ど を 火 に焙 って焦. ャ イ カ ガ シを 戸 口な ど に挿 し てま わ る 際 に唱 え ら れ る の. 名 明示. 11. ⑰) 菜 っぱ虫 ( 菜虫 ( ⑫)• 麦 の虫 ( ⑫ )• 大根虫 ( ⑳)・ ⑳ )・. ⑯) アプ ラ虫 ( ⑭ ) ・カノ ス ット (. 鸞. 土竜 ⑮@)・ 猿( ⑯)・ 鼠( ⑳ ⑮ ). 兎 ( ⑮⑮⑰ ) ・ 猪( ⑮) ・ 鹿( ⑮). 狸( ⑳⑮ ) ・ ムジ ナ ( ⑬) ( ⑯ )〈狐 ( 〉. 烏 ( ⑳ ⑬⑰ ⑮ )・ 雀( ⑳⑮繁 •鷹 ( ⑮) ・ 鶉( ⑮) 〉. 覗き見 ・盗 み聴き等 の、人 間 の邪悪な行為 ( ⑬). 複( ⑪⑩) ・ 百足 ( ⑩). 蛭( ⑩)・ 蚊( ⑩⑭)・ プト 蛇( ®⑯ ) ・ ( ⑩ ⑭ ).蚤 ( ⑩ @ ).虻 ( ⑩ )・ 風( @ )・ ダ ニ( ⑪). ⑮獣. ⑮) )・ セ ット ー( ⑮ ⑰ ) 〈庶 (. ⑫) 四十 四品 の虫 ( ⑱ )• 四十 八作 の虫 ( ©作物総称 II 四十 ニクサ の虫 ( ⑳) •. 窟. 作物 名明 不II稗 の虫 ( ⑰ ⑳⑳ ) ・粟 の虫 ( ⑰ ⑳⑳ ⑭ ) ・ 稲 の虫米 の虫 ( ⑫. 例 にお け る対 象 物 を 整 理 す る と 次 の通 り であ る 。. し 、 封 じ な け れ ば な ら な い対 象 物 の問 題 であ る 。 収 載 事. は 、 「口 焼 き 」 即 ち 、 口 を 焼 く こ と に よ っ て 害 を 防 止. が す 際 に 唱 え ら れ る と い う 点 で あ る 。 次 に 確 認 す べき. の晶 焼 こ げ ん し 坊 主 の寝 言 には 剃 刀 持 て来 い砥 を 持 て来 い 尻 ヒゲ ま ら ヒゲ 剃 った る ぞ ォ 焼 いた る ぞ ォ (10 ) 焼 いた る ぞ ォ ( 大 阪 府 河 内 長 野 市 滝 畑 · 『民 間 暦 』). 口焼 型呪言 におけ る焼却追放対 象分類. ① 農 作物等 に害 を与 える虫 口. ⑪ 農 作物等 に害を与 え駆 [ 獣. ⑧. ⑰ へ や く や く 金 亀 の虫 口焼 く 猪 猿 の 口焼 く 菜 虫 の rl ( 11 ) 『民 間 暦 』)。 和 歌 山 県有 田郡 ・ 浮 塵 子 の 口焼 く (. 焼く. 第 2表. 口焼型呪言 に おけ る焼却 ・ 追放対 象. 日常生活 にお いて人 に 爬虫類 ⑩ 害 を与 える虫 ( 等 も 含 む). ⑪ そ の他. - 77 -. 1993. 3 4巻3 号 文学 ・ 芸術 ・ 文化.

(20) 年中行事の 口 誦要素 野本. 必 ず麦飯を食べる習慣があった。 この日 、 麦飯を炊かな. 事 例もある。 奈良県吉野郡 天川村坪の内では、節 分には. い場合は麦を三粒 でも入れなければならない とした 。こ. 節 分は追灘行 事の影響を受け、多 様な展開を 示してい 害を与 える諸害物を追放せん とする願望が存在 すること. ん がインドから 麦の 種を持ってくる ときフンド シに入れ. の 日麦を食べる理 由として次の伝承がある。昔、 弘法さ. るが、 その根底に、転節 の時に際 して、人間生活万 般に. はまぎれもな い。右に見た節 分 呪言の中の「 口焼 型」に. て持ってきた。ムギもフンド シを つけているし、弘法さ. 込められた対象物を見る と、いかに焼却・ 追放すべきも のが多 いかがわかる。 こ こで、先 ず注 目す べ きこ とは 、. 野 郡下市町でも節 分に麦を食べる。静岡県周智郡春野町. ん の恩を忘れないために節 分には麦を食べるものだ. にも節 分の 日に 麦飯を食べる習慣 があり、ヤ イ カガ シを. (中谷 よし え •明治 三十 五 年生 ま れ) 。 な お、 奈 良 県 吉. る。ここには、追健 と習合する以前 の、節 分の原質が窺. 畑に挿す例もある。小論の事 例⑮も それに当る。静 岡県. が、この呪言 において は登場していないという ことで あ え る よう な 気 が す る。 対 象 物 を 通 覧 す る 限り に お い て. 「追 健 」 と の か か わ り で 広く 行 き わ た っ て い る 「鬼 」. は、焼却・追放の対象は 万般に 及ぶものの、 その中心は. 榛原 郡 本川根町土 本では、節 分のヤ イ カガ シに椛の葉を. 近く の定畑一枚一枚にも椛の枝を一 本ず つ挿 した。畑の. 使うのであるが、門 口にヤ イカガ シを挿 す と同時に家 の. 農耕にかかわるものだと言 え そうである。 それは、東 北 地方から新潟•長野にかけて 広く 分 布する小正月 の 「 鳥. 虫除けなのであるが、これも節 分と畑作のかかわりの深. 追い行事」 ( 一部 には 「 シシ追い 」もあ る) や、 田遊び 系芸能に含まれている「鳥追い演目」 と共通する、害物. 他、一 覧表の Ill に示 す通り、日 常生活において人に害を. 見 た 通 り 畑 作 に 対 して 害を 与 え る もの な の だが 、 その. 口焼型 呪言における焼却・追放の対 象物の中心は 右に. さを示す事例の 一っだ と言え よう。. 作」の比重が重い よう に思 われるのである。害獣の猪 .. 与 える蛇・百足・虫類などが列挙されており、 果ては、. しか も、「D 焼 型 」の 呪 言を 見 る 限 り に お い て は、「畑. 追放に よる 、新春の豊穣予祝だ と見 る ことがで きよう 。. 分に大豆を 用いることも、 畑作 とのかかわりの深さを思. 覗き ・盗聴 といった、人の邪悪な 行為ま でとりあげ、 こ. 鹿 ・猿等の実 態に ついて は既に報 告したことがある。節 わせるのであるが、他に、節 分と麦 とのかかわりを示す. - 78 -.

(21) ある と ころか ら「シ ョ ット」(頬白)の音 韻変化 で、鳥. の 「カラ スセッ トー」の「セ ッ トー」 は、鳥類の並 列で. れを 封 じよう として い る。事 例⑮の 「雀セ ッ トー」 、⑰. す ことを「ア ラ ク サ」と称 している。. である。三重県志 摩地方では、節 分呪物とその呪物を挿. に通 じている。「爺 .婆 」の「婆 」も隣の婆型に連るもの. い」という意味 であり、隣の婆型における「 OO臭い」. 鬼は外. 鬼 の 眼玉をぶ っ つぶ. 福 は内. ⑱萱 の茎 にコンプとタックリを挟ん で火 で焦がし、 戸 口. を 示 す も の で は あ る が、 セ ッ ト ー(シ ョ ッ ト) と 「窃. 盗」とが懸け詞として使われている こと になり、 その意. 天打 ち地打 ち四方打ち. に挿した。 豆を撒く時、 へ福は内 鬼は外. せ、と 唱 えた ( 山 形県 西村 山郡川町大井沢出身•富樫. 味 では事 例⑬に近い ことになる。. 3•節 分のマレビ ト. 音弥• 明治 三十六年生まれ)。. ⑪ タ ックリ の 頭を 豆 ガラ に 挟ん で 焦 がし 、 戸 口に 挿 し. 節 分呪言には これまで見てき た 二類型の他にさらに多 様な形が行わ れている。以下、 そのいく つかを紹介して. た。 豆 撒 きの時、 へ福 は 内. 鬼の マナコを. ― 島町名入•小 ぶ っ つぶ せ、と 唱 えた(福 島県大沼郡 ―. 家 庭内の と唱えると、. 鬼は 外. ⑱棚の枝に鰯の頭を 刺して焙るのであるが、 この時 へ鰯. 福は内. 他の男 性が、 へごもっとも ごもっとも抑えまし ょう. ⑫ 家 の主が、 へ鬼は外. 柴定雄 ·大 正六 年生まれ)。. みよう。 の 頭や ーく やく 、と 唱 えた ( 大阪府河内長野 市流谷 ・. 二階淳内• 昭和十 八年生まれ)。. 抑 歪まし ょう、と唱 え、掃を使 って鬼を抑 える所作を. ⑱大晦 日および節 分に、柊の枝にタックリ の頭を刺し、. 焙って門 口に挿 す。 その時、ヘ アラクサ ア ラクサ. 年生まれ)。. 演 じる ( 福井県 今立郡池 田 町水海•田 中うめ ・大正二. ⑬節 分の 日、「鬼の 目」と称 して、波打ち際 の小 石を 小. 爺も嗅げ 婆も嗅げ、と唱 えた ( 三重県 鳥羽 市石鏡 ・ ⑱の「 鰯の 頭や ーく やく」は、隣の婆型における「ヤ. 枝とともに門 口に 飾り、イ マ メの枝 で豆を炒る。家の. さな筑に入れてく る。 それをイマ メ(ウ バ メガシ )の. 浜 田みち こ ・大 正一 ―一年生まれ)。. 素が合した 形とも言える。⑲の「ア ラ クサ」 は、「あら臭. イカガシ の候」と、 口焼 型の「 OO焼く 」との二 つの要. - 79 -. 1993. 3 4巻3号 文学・芸術・文化.

(22) 主が、 豆に 鬼 の 目を 混 ぜ て、 屋 根 に む か って 、「福 は. ®隣の婆 型. こに整 理してみると次のようにな る。. 部 に ャイ カガシを焦がす際に唱 える例も. ヤ イカガシ を挿 し立てる時か多 いが、一. 内 」と 三回唱 えながら投げる。この時家 の 雨戸は閉め て あ る。 投 げ 終 え て 家 に 入 る 時、「モ ロモ ウ」 と い. ある 。. あ痛. ®⑪©の節 分呪言の空間 分 布を見ると、®は静岡県に集. もとより今後の調査を待た ねばならな いのであるが、. © 鬼追 い型|— 豆撒きに際して唱 えられる。. 部に豆を炒る際に唱 える例もある。. ® 口焼 き型ー| ャイカガ ` どを焙り焦がす時が多 いが、. う。妻は 「 ドウネ」と称 して雨戸を開 ける。主は、家 の中から外に向かって「鬼は外」と三回唱えながら 豆 と鬼の目を撒く (三重県度会 郡紀勢町錦•坂 口由良 夫 •昭和八 年生 まれ)。 ー臭 さ. ⑭柊の枝に鰯の頭を刺 し、火 に焙ってから戸 口に挿す。 オ. 中しており、伊豆の西 部から 駿東、安倍川・大井川・天. あ痛た. た、と叫んで逃げる様を演じる(京都 府船井郡園部町. 竜川流域、浜名湖周辺と、隣の婆型が静岡県内に広く 分. 豆撒 きの時 、 ヘオ ー臭さ 竹井• 森 田周次郎• 明治四十 二生まれ) 。. 布して いる。これを取り 囲むように伊豆• 神奈川県・山. 型は、福 井県・和歌山県 ・大阪府 • 岡山県な どの広範囲. 梨県 ・長野 県に®の 口焼型が見られ、さらに、 その 口焼. 右の、⑱⑪⑫⑬には、「鬼は外」「福は内」と いった言 透して いるものである。他の呪言や呪術要素 が衰退消滅. 葉が見 え、これは節 分呪言 として最も一般化 し、世に浸. に見られる。®は呪言 によって ャイカガシの臭気を強 調. は、前 述の通り、農耕 や 日常生 活に害を与 えるものを直. しても、こ の呪言 と豆撒きは広く 継承されており、この. 接的に言 いたてて、 それの焼却・ 追放を象徴的 ・威嚇的. し、 それによって、家 に侵入せん とする不可視の病魔 .. 考えられるのであるが、これを、前述の二類 型に対して. に行 うことを意 図したものである。©は「鬼」と いう 観. 悪霊 を 防 除せ ん と する も の で あ る 。 それ に 対 して 、 ⑪. 「鬼追 い型」と規 定 しておこう 。節 分呪言の三類 型は、. 事と古層の節 分要素 が 習合して以後一 般化 されたものと. おのおの 一定行為とともに唱 えられるものであった。 そ. 念形 象の追放を目的 とするものなのであるが、実在を越. 言 菓と豆撒きの人気のほどがわかる。この形は、追 難行. れはおのおの事例報告の中で述べてきたのであるが、こ. - 80 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(23) 具 をる現実 性を 見 つめる時 、® の古層性が自から浮上 し. えた象徴的 形象に対し、⑪で扱われている害獣・害虫の. り、時 の空隙ができたりして、 その空隙に人や家 が病魔. な季節 の変 り 目、 時 の 変 り 目に は 、 季節 霊 が 衰 弱し た. け る 日で あり 、冬から春へ の転節の 日で ある 。このよう. •悪霊に犯されやすいと考えたのである。よって、この. てく ると言えよう。 さて、次に考えてみたいのは、節 分呪言 における演 劇. みをし、行いを謹しん だ のである。. 既に人と家 に付着している 厄災や 邪悪な ものを棄捨す. ような「 トキ 」には、扉を 閉ざ し、音をたてずにモノ 忌. るに、 それを豆に転着させ、放投していたものが、 やが. 性の問題である。事 例⑫では節 分の夜、家 の中で主の呪 事例⑭では、家族が鬼にな って、 その家 で作ったヤ イ カ. て 鬼追い豆に転化 したことに ついては五 来. 言に対して、 男が鬼を 抑える演 技を行っている。 また、 ガ シ の 柊 の 棘 が 「 あ あ 痛 い」 、ヤ イ カ ガ シ の 鰯 の 頭 が. て お り 、 筆 者 も 実 例 を 以 っ て こ れ に 言 及し た こ と が あ. 重氏 が述べ. 「お お 臭 い」 と い っ て 退散 する 様を 演 じて い る の で あ. る。 後述するように、突刺 性の強い植 物・臭気の強 い魚. ( 12 ). る。鬼に化 した者が退散する様を演 じて節 分行事の目的. ( 13 ). を効 果的 に達成しようとしたものである。. •毒性の強 い植 物などを門 口に挿し立てるのも転節 の ト なっているのである。. キ • その間 隙に邪悪なものが侵入することを防ぐ 呪術と. ところで、右にあげ た事 例の中で 最も注目すべきもの は⑬である。ここには、単なる演技にとどまらない、 日. 雨戸を 閉ざ し、 忌み籠りしている の は 本来は家族全員. 本の、古層の信仰原理 が内包されているからである。事. に扮しているのである。さらに言うなら ば悔の彼方から. 例によれ ば、 節分 の 日、この家 では雨戸を閉ざ していた. やってくるマ レビ ト に扮していると言 ってもよかろう。. している。 夫は、 その家 に福 を持ってやってくる来訪神. 病魔•悪霊の侵入の防止を示すものでもな かった。雨戸. なぜな ら ば、主人の 撒く 豆、「福は内」と唱 えて撒く 豆. であるのだ が、ここでは家 刀自 で ある妻 が籠る人を代表. の遮 閉は何 よりも、家 の 「 モノ 忌み」を強 く 示している. 入防止を意 味 するものではなく、一歩進 めて、 不可視の. と見るべきであろう。 そのモノ 忌みの目的 は、節 分のモ. には 、清浄な 波打ち際 から迎えられた小 石 が混ぜられて. ことがわかる。雨戸を閉ざ すということは、単に鬼の侵. ノ忌 みで ある 。節分は、文 字 通り、冬から春 への節 を分. - 81 -. 1993. 3 4巻3号 文学 · 芸術 ・ 文化.

(24) われたものである。来訪神と化 した主は 、わが家 に入る. いるからである。 その小 石は、清ら かな潮、常世波に洗. ·誰ぞこの家の戸 お そぶるに ふなみに我が背をやりてい. 立てめやも(三三八 六). ·に ほどりの葛飾 早稲を窮すとも. そのかなしきを外に. 時、 「モ ロモウ」と叫 ぶ。言うまでもなく 、「 モ ノ申す」. は ふこの戸を(三四六 O). ウネ」( どうぞお入 り下 さい) と来訪神を迎え る。 マレビ. ド という来訪の挨拶である。家 刀自は、 それを受けて 「. 八 重山の マユン ガ ナシ ・ア カ マタ・ ク ロ マタ・ア ンガ マ. 折 口信夫の マレビ ト論形成に強 い影響を与えた沖縄県. あ る が 、 小 論所 収 の 事例 に 限って み ても、節 分呪 物 構. の植 物 ・ 魚 類 等を 厳 正に 分析 する こ と は で きな い の で. 事 例 の 抽 出地 点 に 片 寄 り が あ る た め、節 分呪 物 構 成. 4•節 分の呪物と植 物. などは、すべてムラを単位として展開 される、神人来訪. する 魚 類 の 中心 は 鰯が 圧倒 的 で あ る。 他にサ ン マ 11⑲. 成要 素 の 概 略を 知る こ と は で きる 。 ャイ カガシ を 構 成. トは渚の小 石の混った豆を撒いて家を浄めるのである。. のま つりであり、秋田 のナ マハゲ もまたムラ 単位のま つ. マメ II⑱ ⑳⑩、. りである。と ころが、ここでは マレビ ト型の信仰が個 人. 11 ⑮、メ ザシ II⑫ ⑰ 、 ゴ. ニ ボシ II ⑪、 ジ ャコ. ⑯、サ ケ マス. 多 岐に わ た る が 、 お よ そ次 の よう に 整 理で きる。 第 3. のイエを単位として、夫と妻が神と家 刀自の関係を演 じ ているのである。イエを単位とした マレビト型信仰とし. 表 に よる節 分 に 用い られる植 物 を 概 観する こ と が で き. ( 15). ワシ 系が多 い。植 物は. ては、兵庫 県津名郡北 淡町舟木のヤ マドッサ ン(山 年さ. る の で あ る が 、 例 え ば 、 こ こ に 入 っ て い ない も の で は. 県 ・愛 媛県 な ど では 多 用さ れる。 毒 性の あ る ア シ ビ も. ⑬ と、 イ 11. ん )や、静岡県引佐 郡引佐 町のニュ ーギサ マなどをあげ. タ ラ ノキ があ る 。タ ラ ノキ の 突 刺 性が 重 視さ れ、 高 知. (14 ). という古 風な挨拶言葉、モ ノ忌みの残存など、紀勢町の. ることができる が、来訪神としての行為や「モ ロモウ」. 事例は、 わが国の来訪 神信仰・古 層の節 分の姿を明らか. 奥三 河では節 分呪 物 の 構 成要素 と な る。節 分呪 物 とし. する も の であ り 、 例 えば 、 ト ベラ は 海 岸 部 で 多く 用い. て 用 い ら れ る植 物は、 い ず れ も生 活 環境の植 生 に 連 動. にする上で極めて 重要な事例だ と言えよう 。 夫が戸外に立ち、妻 が雨戸を閉めきった家 に籠 ってい る様は次の東 歌を想起させ、いかにも古風である。. - 82 -. 野本 年中行事の口誦要素.

(25) ®突剌性による 厄災防除. | ® 柊 II① ③ ④ ⑦ ⑧ ⑳ ⑪ ⑳ ⑪ ⑫ ⑭. I| @ 椎 II⑲ ⑳ ⑩ ⑪. ⑥ サ ルトリイバ ラ11⑬. ー ©樅 II⑰ . | @ 山 椒 II⑨ ⑪ ⑭. I. ー ① (タ ラ). ヌ. られ、棚 .樅などは山. 中で用 いられることに. な る。このことに つい. ては既に述べたことが ) 16 ( ある 。. な お、植物ではない. が、小 論でとりあげた. 事例の中の①④⑩⑪⑪. を竿の先に つけて立て. などに、節分に 、目籠. る形 が見ら れる。事例. が抽出 であるため、散. 在と いった印象を受け. は、駿河・ 遠江・ 三河. る の で あ る が、 こ れ. に広く 分布したもので. あり 、コ ト八日との呪. 術流動 の点から も見逃. すことので きな い存 在. で ある 。. - 83 -. l ⑧ 葱 の根 II① ③ ④ ⑧. © ト ベ ラ 11⑳. l ⑤ 蒜 II② ⑩ ⑭. -. ッ ゲ ツ II ⑰. ィ. ®強臭または香気 による厄災防除. ⑭ ク ロ モジ II⑪. II ⑳ ⑮ ⑪ ⑬ ⑳ ッ. © 大 一 豆 ガ ラ II ® ⑭ ⑮ ⑭ ⑭ ビ ン ヵ ^. 第3表 節分呪物の構成植物. 節分呪物 の 構成植物. I. I ⑥ 山 椒 II⑨ ⑪ ⑭. ⑧ 橙 II② ⑧ ⑩ ⑫ ⑮ ⑪ ⑰ ⑳ ⑮ (アシビ). (n) 萱 ,-., 薄. ⑧ 柳 II ② ④ ⑦ ⑧ ⑱. ©毒性による� 厄災防除. ii n1n. 1993. 3. 4巻3号 文学 ・ 芸術 ・ 文化.

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