学歴偏重社会の点描 : 最近の学歴社会に関する調査資料を通じて
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(2) ゴ58. 学歴偏重社会の点描. い しは職業 的地位 の上昇移動 の達 成 は,高 等教育 を受 けたか 否 か とい う高学 歴 の有無 の如何 によ って 決定 され るので はな くて,そ の高等教育 の 内部 にお け る能 力 の程度 によ って,階 層 的地位 の上昇移動 な い し下 降移 動が決定 され る。 これ に対 して,西 欧先進諸 国 では,国 民 の 階級 間 の障 壁 が厚 く,下 層階級 か ら上層階級 へ の上昇移動 は稀有 で あ るといわれ る。 日本 の社会 で は,高 等教育人 口が アメ リカに次 いで 多 く,誰 に とって も大 学進学 の 門戸開放 が な されて い るけれ ども,学 校卒業後 ,職 業労働 に携 わ る 現行 の産業社会 において は,い かな る学歴 段階を経過 したか とい う帰属 的価 2). 値 が, どの位能 力を もって い るか とい う業績 的価値 を優先 して考慮 され る。 つ ま り, この意 味 で は, 日本 の社会構造 は,能 力主義的 アメ リカ社会 と身 分制 的西欧社会 との中間形態を とって お り,こ れ らの社会 と比較すれ ば,学 歴 社会 で あ るとい う こ とがで きよ う。 しか るに, この「学 歴社会」 とい う用語 は,か な り曖味 な概念 で あ る。 そ れ は,人 び とが よ り高 い学歴 を志 向 し,人 び との学歴 が相対 的 に高 い社会 で あ る,と い う意 味 で はな くて ,む しろ一般 的世俗 的表現 を 借 用すれ ば,学 歴 が「物 を言 う」社会 で あ るといえ る。 す なわ ち,い わゆ る一流 有 名大学 を 卒業す る こ とによ って一 流大企業 へ の 就職 が可能 にな り,更 にそ うした 大学 を卒業 した こ とによ って職場 において よ り高 い地位 や収入 が保証 され るとす る風 潮 を意 味す るもの と考 え られ る。 い まか りに,学 歴社会 とは,「 個人 に地位 を配分 し, 個人 を評価す る基準 と して ,当 人 の実力 で はな く,そ の所有す る形 式 , レ ッテル と しての学歴 を も ってす る制度 や慣行」 を もつ 社会 で あ る, と概 念規定を して お こ う。 つ ま り,学 歴 によ って職種 も就業先組織 も,就 職後 の給与水準 も地位 の上. 2)OECD教. 育調査団編著,深 代惇郎訳『 日本 の教育政策』(朝 日選書70),朝 日新. 聞社,昭 和51年 ,248-249頁 。. 3)新 堀通也「高学歴社会の知的風土」 (新 堀通也・潮木守一編著. F高 学歴社会の教 育一社会 はどう変わる,そ して教育 は一』(第 1章 ),第 一法規,昭 和40年 , 4頁 ).
(3) ゴ59. 藤 山 征 秀. 限 も,配 偶者 の選択条件 も,決 定 され るとすれ ば,学 歴 の効用 は絶大 に して 持続 的 で あ る こ とか ら,学 歴獲得 のための精神 的 ・経済 的代償 は,十 分 な報 酬 の見返 りを受 け,学 歴 は何 よ りも大 きな投資効果 を もつ とい うこ とにな る。 現在 の我が国 の現状 は, この学歴社会 へ の有利 な旅 券 を獲得 しよ うと,人 び とは,家 族 の総合戦力を賭 して ,子 女 の受験戦争 に突入 しよ うとす る様 相 を呈 して い るので あ る。 本稿 において は,こ のよ うな 日本 の学歴社会 は,い か な る実態 と認知 の構造 を もって い るのか,そ して また,高 学歴化 が急速 に進行す る今 日的状況 におい て ,学 歴 の もつ 意 味 は どの よ うな変貌 を とげよ うと して い るのかを,最 近 の調 査 資料 を駆使 して,可 能 なか ぎ り統計 的把握 を してみ よ うとす るもので あ る。 と りわ け,本 稿 で は,学 歴 に対 す る人 び との認 知的側面 に重 点 がおかれ る。. Ⅱ. 本 稿 で 利 用 す る学 歴 社 会 に 関 す る調 査 資 料. 本稿 で 使用す る調査 資料 は,学 歴社会 の最近 の情況 と動 向を可能 な限 り的 確 に把握す るため に,昭 和49年 7月 か ら昭和 52年 2月 まで の 2年 6ヵ 月 に及 ぶ 期 間 に調査 された,最 新 の調査資料 を網羅 し収 集 した もので あ る。 したが って ,本 稿 の 目的 は, これ らの調査資料 の 中 か ら,本 稿 で取 り上 げ る当該 問題 が共通 テーマ と して取 り扱 え るよ うな調査集計結果 を抽 出 し,比 較検討す る こ とによ って,学 歴社会 の顕在 的 ・潜在的機能 の一 端 を究 明 しよ うとす る試 みで あ る。 以下 ,最 も調査時期 の早 い資料 か ら順次列挙す る こ とにす る。. l. 学歴評価 に 関す る調査研究 (事 業所調査 ). '. :. ①調査主体. 愛 知県教育委員会 ・愛知教育社会学会. ②調 査時期. 昭和 49年 7月 1日 ∼ 8月 10日. ③調 査対象. 愛 知県 内 に所在す る, 従業員規模 1,000人 以上 の 6事 業所. A社 (自. ,. (小 売業 ),B社 (金 融業 ),C社 (ゴ ム製造業 ),D社 (鉄 鋼業 ),E社. 動車 製造業 ),F社 (機 器製造業 )の 男子従業員 1,754人 で あ る。. ④調査方法. 事業所 内 にお け る対 象 の選 定 は,調 査主体 の希望条件. (「. 職掌.
(4) 学歴偏重社会の点描. 16θ. な らびに学歴 の構成 において な るべ く偏 らな い こ と」)を 付 して事業所 に一 任 して い る。 質 問紙配布 (配 布 記入法 )と 回収 は ともに事業所 に依頼 し,回 答 は回答者 自身 に所定 の封筒 に厳封 させ ,事 業所 で は絶対 開封 していな い 。. ⑤回答数 (回 収率) 1,754人 (100%) ③出. 典. 橋爪貞雄編著『 学歴偏重 とその功罪』. 第一法規株式会社. ,. 昭和51年 5月 31日. 2. 学歴 に関す る企業 の意見調査. ①調査主体. 彿 日本 リクルー トセ ンター. ②調査時期. 昭和50年 9月 8日 ∼10月 4日. ③調査対象 (1)全 上場企業 3,507社 ,(ii)原 則 として資本金5,000千 万円 以上 の非上場企業 1,806社 ④調査方法 各社人事部長宛 の郵送法 による。なお,回 答 は人事部長個人 が記入 しているが,一 応人事部 としての,あ るいは会社 としての見解で ある とみな し,回 答者 自身の属性は無視 されて い る。 ⑤回答数 (回 収率) (1)上 場企業 591社 653社. (36。. ⑥出. 3. (34。. 6%),(ii)非 上場企業. 1%),(iii)全 体 1,244社 (35.5%) 典. 「学歴 に関す る企業 の意見調査」報告書,昭 和50年 12月 13日. 読売新聞社世論調査. ①調査主体. 読売新聞社. ②調査対象 全国有権者 の中か ら層化多段無作為抽出法で選んだ250地 点. ,. 3,000人 を対象 とす る。. ③調査時期. 昭和50年 12月 6, 7日. ④調査方法 面接方式調査 ⑤回答数 (回 収率)2,428人 ③出. 4. (80。. 9%). 所 読売新聞,昭 和51年 1月 14日 朝刊. 教育 に関す る世論調査. ①調査主体. 内閣総理大臣官房広報室. ②調査時期. 昭和51年 8月 20日 ∼29日.
(5) 藤. 山 征. 秀. ゴδゴ. ③調査対象 全国20歳 以上の男女を母集団 とし,層 化二段無作為抽出法 に よ り標本数10,000人 を抽出している。 ④調査方法 調査員による面接聴取 ⑤有効回収数 (回 収率)8,049人 (80.5%) ⑥出. 5. 典 「教育 に関す る世論調査」報告書,昭 和51年 12月. 「家庭 と教育」 に関す る世論調査. ①調査主体. NHK放. ②調査時期. 昭和51年 9月 18日 ∼20日. 送世論調査所. ③調査対象 全国20歳 以上 の 男女の中か ら無作為に抽出した5,400人 で あ る。 ④調査方法 個人面接法 ⑤調査有効数 (率 )4,090人 (75.7%) ③出. 典 「 『 家庭 と教育』 に関する調査 一一 結果 の概要―一」昭和51年. 10月. 6. 学歴社会調査. ①調査主体 (財 )日 本青少年研究所 ②調査時期. 昭和51年 10月 20日 ∼12月 20日. ③調査対象 (i)一 部二部上場会社 1,699社 ,(li)非 上場会社 500社 ④調査方法 各社人事担当者宛 の郵送回答法 ⑤回答数 (回 収率 )516社 (23.4%) ⑥出. 7. 典. 学歴社会調査報告書,昭 和52年 2月. 朝 日新聞世論調査. ①調査主体. 朝 日新聞社. ②調査時期. 昭和52年 2月 8, 9日. ③調査対象 全国の有権者約7,800万 人か ら層化無作為抽出法 (ま ず343の 投果区を選 び, その投票区の選挙人名簿 か ら回答者を抽出)で 回答者 3,000 人を選んでいる。 ④調査方法 学生調査員による直接面接法.
(6) ゴδ2. 学歴偏重社会の点描. ⑤有効回答者 (率 )2,565人 所. ⑥出. Ⅲ. (85。. 5%). 朝 日新聞,昭 和52年 3月 1日 朝刊. 現 在 の 日本 は 学 歴偏 重社 会 か 否 か の価 値 判 断. まずは じめに,現 在 の 日本 の社会構造は,学 歴偏重社会であるか どうか と い う一般的見解 を設問 した四調査か ら考察 したい。. lAl朝 日 新 聞 世 論 調 査. ゛ い まの 日本 の社会 では 、学歴 を重 くみす きてい る と思 い ます か。 そ う思 い ませんか。. 表. 1-1. 学 歴 偏 重 へ の認 識 学 歴偏 重 への認識. 被 調査 者 全 体. 思う助か 11. tAl調 査 では. (表. i饗. :欲か. 計の. (Nl. 1∞. (2,565). 1-1),現 在 の 日本 の社会 において は,「 学歴 を重視 し過. ぎて い る」 と考 え る人 び とが83%に も達 し,「 そ う思 わな い」 人 び とは僅 か. 11%に 過 ぎず ,国 民 の圧 倒的多数 が, 日本 は学歴偏重社会 で あ ると考 えて い るので あ る。 「学 歴偏重 の社会 で あ る」 との見解 が特 に強 い年齢層 を性別 ご とにみれ ば. ,. 女性 の20歳 代後半 か ら30歳 代 にか けて ,と りわけ,30歳 代後半 で は 9割 を超 過 して い る。男性 で は,20歳 代前半 と40歳 代 の比 率 が高 い。 支持 政党別 で は,野 党支持層 ,と りわけ公 明党 ・新 自由 クラブ・民社党 の 支持層 に,学 歴偏重社会 で あ るとす る見方 が強 く 9割 に近 い。 これ とは反対 に,「 学歴偏 重 の 社会 ではない」 とす る見解 は, 男性 の20歳 代後半 か ら30歳 代 まで の若年層 に比 較的強 く見 られ るが,に もかかわ らず. ,. 20歳 代後半 でや っと 2割 弱 に達 す る程度で,逆 の見解 を とる人 び とが 8割 に も及 んで い る。 (B)調. 査 で は (表. 1-2),「 実際 の能 力以上 に学歴 が重視 されて い るかJと.
(7) ゴδ3. 藤 山 征 秀 い う設 間 に対 して, プ ラス評価 が. (「. そ う思 う こ とが多 い」 と「 そ う思 う場. 合 もあ る」 とを合 わせて )86%を 占め,圧 倒的多数 の 国民 が,現 在 の 日本 の 社会 が学歴 偏重社会 で あ ると容認 して い るわ けで ある。 この傾 向は,10年 前 に 同 じくNHK放 送世論調査所 が行 った調査 と比 較 して 更 に強 ま り,前 述 の プ ラス評価が,そ れ ぞれ 1%,. 9%増 加 して い る。. (B)「 家 庭 と教 育 」 に 関 す る 調 査 世間 では、実際 の能力以上 に学歴 とい うものが重 くみ られている と 思 い ますか 。 (リ ス トの 中か ら )あ なたのお感 じに近 い ものをお っし ゃ って下 さい。 ´ 表 1-2学 歴 社 会 の 認 識 学 歴 社 会 の 認 識. 被調査者 全 体. う そ う思 うそ う思 うそ こと力多い J場 合もある 思わない 49。. 9. 35.8. 10.6. (51) (27)(13). 勧 梶建碁 計%lNl 0.2. 3.6. (4). (5). ())は 42年 2月「. 100Ю. (4ρ 90). E本 0女 判 誨 罪課. (NHK腱 世縣詞醒蒙薙割施). 学歴偏重社会 で あ ると認 め る人 び とが,性・年齢・学歴 ・職業 の 相違 の如何 を問わず圧倒 的多数を 占めて い るが,と りわ け,「 そ う思 う こ とが多 い」 と す る学歴 階層 な い し職業 階層 は,高 専 ・短 大卒. (59%)な い し事務職 ・技術. (55%)で あ る。逆 に,「 そ う思 わな い」 とす る実力信仰派 は,中 学卒 (13 %), 自営業者 (15%)で あ る。. 職. さ らに,(C)調 査 によれ ば (表. 1-3),従 業 員数 の多 い大企業 ほ ど学歴偏重. 社会 で あ ると認 め る傾 向が あ り,5,000人 以上 の企業 で81。 3%に 達 して い る。 これ とは逆 に,小 規模企業 ほ ど学歴偏重社会 で あ るとは認 めない傾 向がみ ら れ , 1∼ 99人 ,100∼ 499人 の従業 員規模 の企業 で,そ れぞれ 5.7%,5.9%と 他 を凌 いで多 くな って い る。 に もかかわ らず ,そ れぞれ の74.3%,76.0%は 学歴偏重社会 で あ ると認 めて い るのであ る。 さ らに,表. 1-4に 示 され るよ うに,(D)調 査 の質 問項 目は,学 歴主義を正. 当化 して い る,「 学歴 は実力 の シンボ ル で あ る」とい う論理 に対 す る賛否 の反 応 をみ る こ と,お よび回答者 が 自分 自身 に作用 してい る学歴効果 をいか に合.
(8) 学 歴偏重社会の点. ゴδイ. 11古. (C)学 歴 に 関 す る 企 業 の 意 見 調 査 日本 の社 会は依然 として学歴重視 の風土が根 づ よ く残 っている。 表 1_3 学 歴 重 視 の 認 識 と企 業 規 模. 業 計の 婿 曇 そぅ 思うよ 讐若よる祝ι. lNj. 20.0 'Ы 71 100。 0( 70) 18。 0 1ュ 螢 10000(3田 ) 18.7 1。 6 100。 0 ( あ2) 2。 4 100。 0( 337) lρ∞ ∼ 4ρ 99 76。 0 21。 .二 ¨ …型里‥ __:璽 :二 ___1■ 1,__員 ____型 19__K… …壁≧ 全 体 1_7■ :J 19.2 3.7 100.0(1,127) 1∼ ひ 74.3 100∼ 499 76.0 500∼ 999 79。 8. 7・. l曼. lDl学 歴 評 価 に 関 す る 調 査 研 究 (従 業員調査. ). 上 の学校 や よい学校 を出 ている人に ついて、次 の ような意 見 があ り ます。 あ なたの気持 ちに近 い ものは どれてすか。一つだけ選 んて下 さ い。 (1)実 力が な くて も学歴 が あ るために_ト クをしてい る場合 もある。 (2)な るほ ど実力はあるが、 なにかにつ けて実 力以上 に トク をしてい る場合 が 多 い。 (3)実 力があるのだか ら、 なにかにつ けて トクを して も当 り前 だ 。 f4)実 力 はあるが、月Uに トクをしている とは限 らない。 表 l-4学 歴 主 義 の 合 理 化 と 学 歴 学歴主義 正 当化 へ の是 認 ・非 認. 計%N 前 運贖秘ゑ 縫 琴黎っ 秀管ナ 当り 中 学 校 資 127。 6 d0 17.6 2。 3100。 0(301) =ユ37。 0 8。 0 23.4 2.0 100。 0(725) 3119 高:校 ・駄 5.2 '2■ 3 2.5 100。 0( 44) 諧腱詳 2■ 3 31。 8 学. 歴. 大 ζ ≧. 学 15。 8 29。 ク ト 27.9 2.2. ※. 3. 6.8 :菱 ユ1. 5.7. 31.5. 5) 6.8 100。 0( “ 0 (1,754) 1 100。 2。. I蔓 ■ 中学校 は、旧制小学校、国民学校および青年学校を含む。 Jに 「 塙 校Jに は、旧制中学校を含む。「 高専・短大」にはヽ旧制 高等学校・専 門学校 を含 む。「 そ の他 ・不明Jは 省略 してあ る。.
(9) 藤. 山 征. 秀. ゴδ5. 理 化 してい るかを探 ろ うと した もので あ る。. 「学歴主義正当化に対する是認・否認」を測定するこの質問項目の選択肢 は,(1}か ら(4)へ 順次強い否認から強い是認へ,あ るいは高学歴者に対する非 好意的態度から好意的態度へ と列挙されている。 回答 は,学 歴差 に応 じて 顕著 な差 異を示す。 つ ま り,(llの 回答 を選 択す る のは,中 学卒が最 も多 く (44.9%), 学歴 の上昇 に伴 って低下す る。逆 に学 歴主義 の正 当化を是認 し,高 学歴者 に好 意的 な回答 で あ る14)は ,大 学卒が最 高 の比率. (47.1%)を 示 してい る。. 職種別 の 回答 で は,① 作業職 ,現 場監督職 ,② 事務職 ,販 売 ・サー ヴ ィス 職 ,技 術職 ,係 長 ,③ 課長 ,部 長 ,と い うよ うに① か ら③ へ 順次 に,学 歴 正 当化 に対 して否定的 な態度 を とって い る。 また ,作 業職 ,現 場監督職 が ,「 学 歴 は実力 でない」 「学 歴 の あ る者 は トクを してい る」 と考 え る傾 向が あ り. ,. 管 理 職 が これ とは逆 の見解 に立 と うとす るのは容易 に想像 で きる事実 で あ る。 前者 は, 自己の置かれた 境 遇 に対 す る反応 で あ り,後 者 は,学 歴を 実際 に 獲得 して しま うと学歴 の効 力 はないかの よ うな意識を もつ か らで あろ うと思 われ る。 さ らに年齢階層を,① 24歳 以下 ,② 25歳 ∼ 39歳 ,③ 40歳 以上 ,の 二 つ の年 齢層 にカ テ ゴ リー化 した結果 ,② 25歳 ∼39歳 の年齢層が学歴主 義 正 当化 の論 理 に対 して最 も否定的であ る,と い う。 この調査対 象 の構成 は,① 24歳 以下 は高校 卒 が,③ 40歳 以上 は 中学卒が大 多数 を 占めてい る。 また,職 業 階層 にお いて は,第 ①群 は高校 卒 が,第 ②群 は大学卒 ・高校 卒 が,第 ③群 は大学卒が 中心 を な してい る。 したが って, こ の学歴主義正 当化 へ の態度 は,基 本 的 には年齢 階層 ・職業 階層を通 じて ,学 歴 が 大 きな規定要 因 とな って い るといえ る。 つ ま り,低 学歴 層 は,「 学歴 は実力 の シンボ ル で あ る」 とい う論理 を 否認. 4)橋 爪貞雄「 職場 における学歴意識」(同 編著 F学 歴偏重とその功罪』(第 3章 第一法規,昭 和51年 ,144-146頁 ). ),.
(10) 学歴偏重社会の点描. rδ δ. し,高 学歴層 はそ の論 理 に裏 づ け られ て ,不 当な優遇を受 けて い ると考 え る。 逆 に,高 学歴 層 が,「 学歴 は実力 の シンボル」 と して 自己の処遇 を正 当化 し よ うとす るのは,当 然 の合 理 化感 情 といえ るで あろ う。 したが って,低 学歴 層 は 自己の不遇 を企業 の学歴主義 に転嫁 し,高 学歴層 は 自己の優 遇 を 実力 に 帰 因 させ るとい うパ ター ンが成 立 してい るので あ る。 以上 のlAl∼ lDlの 調査 か ら,学 歴主義 に対 す る見解 の規定要 因 を仮説的 に表 示す ると,表 表. 1-5の よ うにな る。. 1-5学. 歴主 義 に対 す る見 解 の規 定 要 因. 企 業 規 模. の 一 上 一の 以 一. 営業). │. 0中 5. (自. 種. 職者 一. 中学卒 大学卒. 職. 作事 一. 中学卒 高専・. 1. 業硼一 館. 重る. て 偏し. 重 偏 して いな い. 歴. 学. 者 用 雇卒 被大 <短. 対す る見解. 人 ¨ 麟 0 一 蝶 0 , 5. 規定要因 として考え られ る要 因. 学歴主義 に. ここにおいて ,中 学卒 の 自営業者 層が,学 歴主義 に対 して 否定 的態度 を と るとす る仮説 を 実 証す る一 つの 具体 的な事例研究 があ る。. NHK放. 送世論 調査所 で は,大 学 が現在 ほ ど大衆化 して い なか った時期の. 学 卒者 が,今 日か らみ ていかな る意識状況 にあ るのか,一 つの事例を調査 し て い る。 この調査対 象 は,埼 玉 県東松 山市 (人 口約 5万 )の 松 山中学校 を,今 か ら ほぼ20年 前 の 昭和 31年 3月 に卒業 した人 び とで あ る。 昭和 31年 といえ ば, 日本 の高度経 済成 長 の 開始 期 に 当た り,当 時 の高校 進 学率 は,全 国平均約 50%,大 学進学率 は約 10%で あ った。 この時期 の平均的 な進学率 を 占めた 中学校 と して ,こ の松 山中学校 が典 型 的 な調査対象 と して 選 択 された ので あ る。 同期 の卒業 生 350人 余 りの うち,消 息 の判 明 して い る180人 に対 して ,郵 送. 5)こ の事例研究は,NHK教 育テ レビ・昭和52年 2月 17日 午後 8時 15分 より「教養 特集「 学歴社会・大卒の重さ』」と題す る放送の中で報告 された. ..
(11) 藤. 山 征 秀. ゴδ/. 式 ア ンケ ー ト調査 を行 い (回 収率 59%), 彼 らに とって学歴 の もつ意 味 を質 問 した 。 「 一 般論 と してで はな く,あ なた 自身 の現在 の生 活 や仕事 のなかで,学 歴 は有用 だ と思 い ますか,そ れ とも無用 だ と思 い ますか」 とい う質 問 で あ る。 この結果 ,学 歴無用論 55%,学 歴有用論 43%で 学歴無用論 が よ り高 い比率 を示 したので あ る。 学歴別 で は,中 学卒 は無用 論が多 く,高 校 卒以上 の高学 歴者 は,有 用論 が 多 くな る傾 向を もった。 学歴 を有用 とす る理 由は常識 的 な意 見 で あ り,① 就職 ・仕事 のた め,② 昇 進 0収 入 のため,③ 趣 味 0教 養 のため,④ 人 間関係 の面 に役立 つ,が この順 序 で高 い比 率 を示 して い る。 しか るに,学 歴無用 の理 由は,① 腕 次第 ・技能 でやれ る,② 就職 して い る 会社が現 に実力主 義 の方針を とってい るか ら,で あ る。 また,収 入 の面を学歴別 に み ると,年 収 300∼ 400万 円 に全体 の 5割 が 集 中 し,中 学卒業 後 ほぼ20年 経過 した現 在 ,36∼ 37歳 の男子 の収入 に対 して学歴 が余 り効果を及 ぼ して い ない。 この事実 は,こ の時期か ら,所 得水準 の平均 化 の 兆 候 が 現れた全 国的傾 向 と符合 してい る。 この調査 結果 で 注 目され る点 は,lAl∼ (Dlの 調査 と異 な り学歴意識がむ しろ 逆 の傾 向を示 して い る点 で あ る。 この傾 向は,い か な る社会 的 ◆経 済的条件 か ら生 れ て い るのか。第 一 に. ,. この調査対象者 は,高 度経済成 長期 の 開始す る以前 の 昭和 31年 に 中学 を 卒業 し, 自営業 に多 く就業 し, したが って能力主 義 の観念が強 く浸透 して い たた めで あろ う。第 二 に, この調査 で は,一 般 的意 識 を 問 う他 の調査 と異 な り. ,. か な リホ ンネ の 出 る態度 で質 問 したために率 直 な意 見 が表 われた もの と思 わ れ る。 つ ま り,質 問 内容が,学 歴 を社会 一 般 は ど う見 て い るかで はな く, 自 分 の生活 ない し事例 に則 して ど う見 るか,と 尋 ねた点 は注 目されて よい と思 われ る。 この調査 結果 は,ま た,次 の二 つの点 を示唆 してい る。① 自営業者 と俸給 生 活者 とは,そ の労働す る職 場 の 相違 によ り,学 歴 に対 す る見解 が違 うこ と. ,.
(12) ゴδ8. 学歴偏重社会 の点描. ② この時期 にお いて ,既 に学歴信仰 が強 く表 われ てい る こ と,① この意識 に もま して,能 力主 義 (学 歴無用主義 ,腕 一 本論 )が 強 く表 われ ,学 歴主義 へ の反省 が現 出 して い る こ と,で あ る。 しか るに , 現在 の 日本 の社会 に学歴尊重主義 を逸脱 して , 学歴偏 重主 義 の風潮 を惹 き起 こ した要 因 は,昭 和 30年 以降 の高度経 済成 長主義 に他 な らな い。 その理 由 は,第 一 に,こ の時期以降,被 雇用労働者 が 激増 し,昭 和 35年 の 2,370万 か ら昭和48年 には3,595万 に達 す ると同時 に,従 来 ,非 常雇 だ った ブ ルー カ ラー 層 の大半 が,企 業 の 常雇労働者 と してサ ラ リー マ ン化 して い るか 6). らで あ る。 第 二 に,こ の時期 に,人 び とが職 を求 めて 大都市 に集 中 した。人 口70万 以 上 の大都市 へ の人 口集 中率 は,総 人 口の20%以 上 もが,僅 か 10の 大都市 に集 中化 した。 また,10大 都市 の所在 す る 8都 道 府県 へ非農林水産業 の事業所 の. 40%以 上 と従業者 の50%が 集群 した。 第 二 に,ま た,大 都市周 辺 に事業所 を所 有 す る大 企 業 へ 従業員 と資本 金 が 集 中 した。 つ ま り,総 企業数 のO.2%を 占め るに過 ぎな い常雇規模 1,000人 以 上 の企 業 に従業員 の31.3%,総 資本 金 の59。. 0%が 集 中 し,と りわけ全企業 の. 僅 か 0.04%を 占め るに過 ぎな い常雇規模 5,000人 以上 の大企業 に,従 業員 の 7). 17.2%,総 資本 金 の37.2%が 集 中 したので あ る。 マ ックス・ ヴ ェーバ ーによれ ば,こ の よ うな企業 の大規模化 は,官 僚制化 の発 達 を促進す る。 なぜ な ら,大 規模組織 の合 理 的管理 の形態 と して は,近 代 官僚 制 以外 の形態 は発 見 され て いないか らで あ る。 マ ックス・ ヴ ェーバ ー は また,既 に1920年 代 に学歴主 義 へ の移行 に関 して 6) The Japan lnstitute of Labour,ゝ Qα πLα らοπr. ′ ε s, 1974, pp。 グ Sι α. ,. 32-33。. 7)庄 司興吉「 日本社会 の現代化の諸様相」 (同 著「 現代化 と現代社会 の理論」 (VI), 東京大学 出版会,昭 和52年 ,207-209頁 ) ,5 revidierte Auflage,herausgege‐ 8) Max Weber, 7グ r″ sε んψ ππ′ (gθ sθ JZsε んαノ″ ben von Johannes Winckelinann, J. C.Bo MOhr(Paul Siebeck), 1976, SSe 559. -560.(世 良晃志郎訳『 支配の社会学 工』創文社,昭 和35年 ,83-85頁 ).
(13) 藤. 山 征 秀. ゴ69. おお よそ次 の よ うな命題 を提起 して いた 。 家産官僚制か ら近代 官僚制 へ の推移 は,合 理 的 ・専門的 な試験制度 の不断 の発展を もた らす。 この発展 は,と りわけ専 門試験 によ って 獲得 され る教育 免状 の もつ社会的威 信 によ って,更 にはまた,こ の教育免状 の社会的威信 自 体 の経済 的利益 へ の転化 によ って 強力 に助長 され る。 あ らゆ る生活領域 にお け る教育免状創 出の要求 は,官 庁 や事務所 において特権 層 を形成 す る。免状 を取 得 してい る こ とは,名 望家 との通 婚要求資格 を基礎 づ け,あ るいはまた. ,. 労働量 に応 じた報 酬 で はな く,「 身分相応」 の支払 いを求 め, 確実 な昇 進 と 老後 の保証 とを求 め る要 求 ,と りわ け,社 会 的 ・経済的 に有 利 な地位 を,免 状 を取得 して い る候補 生 だけで独 占 しよ うとす る要 求 を支持 して くれ る。整 然 と した教 育課程 と専 門試験 の導入 を求 め る声 は,突 然 の「教育熱」 が高 ま ったか らで はな く,教 育免状 の所持者 に対 して地位 の供給 を限定 し,こ れ ら の地位 を彼 らだけで独 占 しよ うとす る努力 が,そ の原 因 をな して い るので あ る。 しか るに,こ の独 占化 へ の普 遍的手段 は,今 日で は「試験 」 で あ り,そ れ故 に こそ試験 が制 しがた く進 出を続 けてい るのであ る。 この論 旨は,い み じくも現在 の 日本 の社会 に適 合 し,言 い得 て妙 で あ る。 と りわ け, 我 が 国 で は, 明治時代 以降 の近 代 化が,「 上 か らの官僚 制化」 と して押 し進 め られ ,帝 国大学 や 旧制高等学校 が下 層 か ら有能 な人材 を選抜 す る装置 と しての機能 を果 た し,こ れ に対 して ,旧 名望 家層 は,こ の 官僚 制 化 によ る身分的平準 化を 回避 す るため に,一 方 で は,財 産 と余 暇を利用 して 子弟 を このルー トに乗 せ ると同時 に,他 方 で は,娘 を上昇 して くるエ リー ト 官僚 や その候補 生 に嫁 がせ , この身分 的 な危 機状況 に 自 ら適応 す ると同時 に 10). 後者 の身分的同化をはか ったか らで ある。 ともあれ,現 在 の受験競争 の過熱化を引き起 こ したのは,組 織 の普遍的官. 9)MaX Weber,α. .α .0.SS.576-578。 (世 良晃志郎訳 支配の社会学 工』創文社 「 昭和35年 ,135-139頁 ) 10)折 原 浩「 ヴェトナムの野と大学を貫 くもの一現代的抑圧 の構造と人間の<根 源>一 」(同 著「 人間の復権を求めて』7),中 央公論社,昭 和46年 ,112頁 ). ,.
(14) 学歴偏重社会の点描. ゴ/θ. 僚制化 の必然 的帰結 で もあ った とい うこ とがで きる。 現在 ,我 が 国 において,学 校 によ って選抜 され る特権 層 ,つ ま り専門的 ・ 管 理 的職業 の従 事者 は約 8%で あ る。そ うした職業 階層 の養成 機 関で あ る大 学 へ ,国 民 の 同一 人 口年齢 の25∼ 30%が 進学す るに至 って い る。 その よ うな高等教育機 関 の 中 に も学校格差が生 じて い るに もかかわ らず. ,. 国民 の大体 6∼ 7割 までが,学 校制度 によ る特権層 選抜 とい う受験教育 に巻 き込 まれ てい るので あ る。 この よ うな学歴社会 の矛盾 の拡大 と同時 に,異 常 なほ どの受 験 の過 当競争 が現 出す るに至 り,か つ また, 8∼ 10%の 学校制度 によ る特権層 へ の到 達 を 成 就す るために,大 多数 の 国民 が負 け犬意識を もつ結 果 にな って い る。今 や 受 験 が過 度 に大衆化 し,教 育投資 とい うよ りむ しろ教育 投機 とい う様 相 を呈 す るに至 って い るので あ る。. 学歴 社 会 の展 望 に つ い て の価 値 判 断. Ⅳ tAl調. 査 において (表. 2-1),. 現在 の 日本は学歴偏重社会で あ ると考 える. 83%の 人びとは,今 後 この風潮 が どのように変化す るとみて いるのだろうか。 「 ます ます強まる」 とす る増強派が29%,「 変 らない」 とす る現状維持派 が26%,「 だんだん崩れてい く」 とす る崩壊派が25%と ほぼ二等分 されてい. lAl朝 日 新 聞 世 論 調 査 いまの日本ては、学歴を重 くふすぎていると思う83%の 人に〕 〔 学歴 が もの を い う風潮 は、今後 ます ます 強 まる と思 い ますか。 だんだん 崩 れ てい くと思 い ます か。 表・2-1 学 歴 偏 重 の 今 後 の 動 向 学 歴 偏 重 の 見 通 し. 計O N かる ら 弾る牌 変 纏 欲な. 被調査者 全 体. 83(2,1") 11)麻 生. 学閥"へ の抵抗 と追従―』 日本経済新聞社 誠著 F学 歴 と生 きがい― “. 和52年 ,18-19頁. ,. ..
(15) ゴ/ゴ. 藤 山 征 秀. る。 これ らの数値 には,学 歴偏重を考 え直 し,学 歴主義を打破 したい とい う 風潮 が反 映 されて い るのだ とみ な して よいか も知れな い。 職業別 では (表. 2-2):. 商店員 ・サ ー ヴ ィス業 な どの労働者 , 農林 漁業. 者 , 自営 ・商 工 業者 な どの低 い職業 階層 に増 強派が多 く (30∼ 32%), と り わ け,産 業労働者 で は 4割 に近 い (38%)。 層 は崩壊 派 に傾 いて い る (32∼ 33%)。. 一 方 , 事務職 ,管 理 職 , 自由業. この よ うに, 職務 内容 と職 場 にお け. る職 位 によ って ,学 歴社会 へ の将来 の見 通 しは分 岐 して いるので あ る。 l. 2-2. 表. 職. %. 学 歴 偏 重 の 見 通 し. 業. ス. 職 職 者 業者 者 者 者 職. 事 管 産 商な 自 白 農 そ 全. 学 歴 偏 重 の 今 後 の 動 向 と職 業. 体. 強 まる. 崩 れ る. 変 らない. 26 29 24 27. 28 46 23 26 29. 25. 26. ※ 「 そ の他」 ・「 答 えない」 は省略 してある。 この よ うな見解 の 相違 は,女 性 が増 強派 ,男 性 が崩壊 派 とい うよ うに,男 女別 で も格差 がみ られ る。女 性 は,30歳 代後半 か ら40歳 代 とい った小 中高生 の子女 の家庭教育 に専念 して い る母親 の年代 で は,そ の 4割 近 くの人 び とが. ,. 「 風潮 は増強す る」 とみて い るので あ る。 この こ とは,家 庭 の主婦 が,産 業社会 の変動 に鈍 感 にな らざるを得ず ,依 然 と して優 等生→ 有 名大学生→ エ リー ト社員 とい う立身 出世 的 な人生 経歴 の 構 図 を子女 に期待 して い るか らで あ ろ うか。 しか るに,男 性 の30歳 代 で は,逆 に「崩壊 す る」とみ る人 び とが 多 い (35%)。 この年齢層 は,高 度経済成 長期 において ,卒 業 時点 にお け る就職 を学業 の 唯一 の 目的 と考 え,企 業規模 の大小 と今後 の成 長力 によ って就職 先 を選定 し.
(16) ゴ/2. 学歴偏重社会 の点描. た人 び とで あ った 。企業規模 の 巨大 さが安定性 の証拠 で あ り,企 業 の成 長力 は将来 の 自己の収入 と地位 の 向上 を保障す ると考 えて いたか らで あ る。 さ ら にまた,終 身雇用制 と年功序列賃 金 とを支柱 とす る特殊 日本的労働慣行 の も とで, 日本独特 の功利的 な選択 基準 を もった人 び とで もあ ったので あ る。 これ らの年齢層 の人 び とは,経 済不況 期 に さ しかか った現 在 ,獲 得 した学 歴 ゆえ にかつて 抱 いた「 胡蝶 の夢」 が,幻 想 に過 ぎず現 実化 しな くな った こ とを痛 感 して い るのか も知れ な い。 「 変 らな い」 とい う現状維持 の見方 は,女 性 の20歳 代後半 か ら30歳 代 にか けてやや 多 い程度 で 顕著 な特徴 は見 られ ない。 支持政党別 にみ ると,民 社党 ,新 自由 クラブの支持層 で は崩壊派 が 4割 前 後 お り,公 明党支持層 や「支 持政党 な し」 の層 で は増 強派が 4割 に近 い。 lBl調 査 において は. (表. 2-3),. ともか くも過酷 な受験 戦争 の難 関を突破. (Bl読 売 新 聞 世 論 調 査 これからの日本の社会 は,実 力がものをい うようになると思いますか、 それとも学歴がものをい うと思 いますか。 表 2-3 学歴社会の将来 とデモグラフィックな要因 (N=2,428) デモグ ラフ ィック な. 要. 実力. か 学. 歴. か. 学歴. ボ1雫 ふ. 19。. 8. 25。. 6. 18.1 22.9. NA・. DK. 男J. 性 男 女 年. 因. 力. 実. 性 性. 59.5. 48.6. 2.5 3。. 0. 齢. 中 学 校 高 校. 大 全 体. 学. (%). 49.6 :ウ 6:Ul 19.7 21。 9 22。 1 54。“ 5 「 fUl 16.1 17.7 22.8 20。 6 馬Jび 1. 4.7 1。. 5. 1。. 3. 2。. 8.
(17) 藤 山 征 秀. ゴ73. して 獲得 した学歴 が,今 後 の 日本 の社会 で 果 た して 立身 出世 の規定要 因 と し て 機能 し うるのか ど うかを設 問 してい る。 この質 問 に対 す る回答 は,否 定 的 な見解 とな った 。今後 の社会 は「実 力」 主 義 と見 る者 が,半 数以上. (53。. を 言 う」 と考 え る人 び とは22。. 9%)を 占めたのに対 して,「 学歴」 が「物. 8%に 過 ぎない。. この判 断を最 も強力 に押 し出 した 階層が,現 に受 験戦争 を 戦 って きた 20歳 代 で あ り (57.3%), 次 いて 中間管理者層 か ら最高 管 理 者層 へ の 階梯を登 り つ めよ うとす る50歳 代 で あ った (56.6%)と い う事 実 は,学 歴 だけが昇 進 ・ 昇格 の規定要 因 とな らな くな った現実を物語 って い る。 また,高 学歴者層 ほ ど強 くこの判断を抱 き,低 学歴者層 ほ ど「 学歴」 が威力を発揮す るだろ う. ,. と今後 の社会 を把握 してい る。 つ ま り,高 学歴者 の 多 い職業 階層 の人 た ちが. ,. 「 実力」 を重視 し,低 学歴者層 の人 た ちが「 学歴」 を重 視す る傾 向がみ られ る。 また, 自民党支持者 よ り野党 支持者 の方が「 実力」 を重視す る比 率 が高 いのは,将 来 あ るべ き姿 の願望 が込 め られ て い るとみ るべ きで あろ うか。 しか るに,lAl調 査で は,学 歴 はほぼ実力 に等 しい, とす る暗黙 の仮定 を設 定 し,「 学歴」 のみ に限定 して, 学歴社会 の 消長を判 断す る質 問項 目で あ っ たの に対 して,(B)調 査 で は,「 学歴」 と「実力 」 とを 相即 的 ・融合的 な関係 と してで はな く,実 力 ・対 ・学歴 とい う対立 図式 にお け る三 者択一 を被調査 者 に迫 って い るた めに,学 歴崩壊 ・実力重視 とい うタテ マエ が よ り強 く表 わ れ て い るよ うに思 われ る。 この よ うな質 問項 目に対 す る反応 結果 は,(C)調 査 につ いて も同 じく妥 当す る。 (C)調 査 にお いて は. (表. 2-4),. 今後 の 日本 の社会 は, 実力主義 へ 移行 す. るで あ ろ うとい う意見 が,全 体 の64.0%を 占めて い る。 この見解 は, 100人 未満 の小企業 の比 率 が最 も小 さいが (55.7%), 大企業 ほ ど実力主義重視 の 見解 を とる傾 向がみ られ る。 しか しなが ら,5,000人 以上 の大企業 では,「 そ うは思 わない」 とす る意 見 が最 も多 く,学 歴主義 の崩壊 にやや歯止 めの意 向 が込 め られ て い るよ うに思 われ る。.
(18) 学歴偏重社会 の点描. ゴ/イ. (C)学 歴 に 関 す る 企 業 の 意 見 調 査 日本 の社会は今後次第 に学歴社会か ら実 力社会 へ移行 するだろ う。 の増群証之 従 業 員 規 模 表 2-4 実 力 主 義 へ の 移 行― 従 業 員. 規. 模. 実 力主 義 へ の移行 の認識. そ. うは どちらとも そう 思う 伝 由亮ふ 方芽ム ′ 4。. 100ハ ● 499. 500- 999 1,000-4,999. 3. loo.o. N (. 70). 5.6. looo o ( 390) loo.o. 64.9. 29。 5. 64。 0 65.3. 6. 6.3. 31。 8. 3。 0. 29。. 計の. (. 253). looo o (337). 次 に,こ の調査 の調査対象者 で あ る,人 事部長 な い し人事部 の,学 歴 社会 に対 す る企業意見 を 自由回答 方式 で 紹介 してみた い。 (括 弧 内は,順 次 に ,. 業種 ,上 場企業 ・非上場企業 の 区別 ,従 業 員数 の カテ ゴ リー,創 業期 の カテ ゴ リー を表 わ して い る。 ) ・ 「学 歴偏重 は続 く」 (パ ル プ,非 上場 ,100∼ 499人 ,明 治 大 正 ) しい 「 我 が 国 の学歴偏 重主義 は依然 と して続 き,実 力主義 の導入 はまず難. 1。. と思 い ます。い わゆ る 日本 の教育 的土壌 および文化・社会 の根本 か らくつ がえ さな い限 り不可能 に近 い状 態 にあ ります。 そのため に各企業 は大 卒 と高 卒 と の企業 に合致 した バ ラ ンスを追求 しなが ら採用 して い くもの と思 われ ます。」. 2.. 「 官公庁 で 学歴 主義が顕著 」 (機 械 ,上 場 , 1,000∼ 4,999人 , 昭和初. 頭 ∼ 昭和 20年 ) 「 学歴主義 の最 も顕著 な組織 は,官 公庁 で あ ると思 う。民 間企業 は,学 歴 主 義 で は経営 で きな い と こ ろまで にな ってお り,世 間 で 騒 がれ るほ ど学歴 主 義 にはな って いない 。 そ こで ,官 公庁 が学歴主義 を止 め ると, 日本 の社会 も もっと実 力主義 に変 るので はな いか 。」 3。. ∼ 「 学歴主義 止む を得 ぬ」 (電 気 , 上場 , 1,000∼ 4,999人 ,昭 和初頭. 昭和 20年 ) いが,現 で 「有 名大学 偏重主 義 は,好 ま しい こ とで はない のは言 うま もな.
(19) 藤 山 征 秀. ゴ/5. 在 の よ うに,大 学が乱立 されて,学 生 の質 の格差 が厳 然 と して存在す る以上. ,. コ 行 の よ うな状況 が我 が 国 で まか り通 って も止むを得 ぬ。」 4。. 「 名 目だけの能力主 義」 (電 気 ,上 場 ,500∼ 999人 ,昭 和 31∼ 40年 ). 「 学歴主義 は,当 分 の 間,残 るで あろ う。会社 内 にお いて,何 年卒 ,標 準 年 齢 とい うよ うな基準 を用 いて い る限 リー勿論 , 日本 の社会風土 の 中 に根底 が あ る し,今,各 社 で み られ る能力主義 に して も,学 歴主 義 の名称変更 に過 ぎず ,実 体 は能力主 義 に な って い ない。」 5。. 「 現在 の 日本 は学歴主 義で はない」 (精 密 , 上場 , 1,000∼ 4,999人. ,. 昭和初 頭 ∼20年 ) 「 当社 で大学 卒 を従 業員 と して採用す る理 由 は簡単 であ る。企 業運営上. ,. 大学卒で なけれ ば 出来 ない仕事 をや って くれ る人 を求 め るか らに他 な らな い。 高 卒者 が入 社後 の努力で大学 卒 と同等 の能力を身 につ けた場 合 には,全 く同 等 に扱 ってい る。た だそ うい う人 が ,最 近 は極 めて少 な くな ったので ,勢 い大 学卒 の採用が増 え るとい う ことに結果 と して な って きて い る。 ……学歴 を 好 き このんで 買 って い るので はな く,企 業 が期 待す る高 い能力 の持 ち主 が ,残 念 なが ら,現 在 で は大 学卒以外 に見 つ か らな いか ら,大 学卒 を雇用す るので あ る。学歴偏重 とは,大 学卒 な らば高 い地位 につ け,大 学卒 で なけれ ばぅ どん な に優 秀 で も浮 び上 れ ない こ とを い うので あ るが,そ んな事 を して好業績 を 上 げ られ るほ ど,現 代 は呑気 な時 代 で はない。 そ うい う意 味 において ,現 代 の 日本 が,学 歴偏 重 だ とい うのは,的 はずれ で あ ると思 う。」. 6.. 「 大 卒 の ブルー カ ラー化」 (精 密 ,上 場 , 1,000∼ 4,999人 , 昭和 21∼. 30年 ) 「 一 般 的 な傾 向 と しての高学歴化 は,我 われ の企業 に とって 自ず とその捉 え方 が変 って くる。す なわ ち,ホ ヮイ トカ ラー と呼 ばれ ,従 来 ,事 務 ・技術職 と して 働 いて 貰 って い た大学卒業者 に も, これか らは,い わゆ るブルー カ ラ ー と して,よ り現場 に近 い業務 を して貰 わなけれ ばな らな い こ とも考 え られ る。 その よ うな こ ともあ り,企 業 にお け る学歴 観 (学 歴尊 重主義 )は 薄 れ 次第 にかつ確実 に能力主義 の時代 へ 変 って行 くで あろ うと思 われ る。」. ,.
(20) 学歴偏重社会 の点描. ゴ/δ 7。. 「大学 格差 は拡大す る」 (電 気 ,上 場 ,100∼ 499人 ,昭 和 21∼ 30年 ). 「従来 の学歴偏 重社会 は崩れ て行 くと思 うが,完 全能力主 義社会 にな るとは 思 えな い 。大学 問 の学 力格差 が ,今 後 なお一層拡 が って行 くと考 え る。大 卒 採用 に 関 して も,従 来 の よ うな初任給 で はな く,採 用大学別 に格差を つ け る 必要性 も生れ て来 るの で はな いだ ろ うか。」. 8.. 「 銀行 の特色 か ら学歴志 向 に」 (金 融 ,上 場 , 1,000∼ 4,999人 ,明 治. 。大 正 期 ) 「 銀行業 の公共性 ・信頼性 の維持 のためには,勢 い学歴主義 (内 容 の伴 っ た )を 指 向せ ざるを得 な いので な いか と思考す る。」. これ まで ,煩 雑 さも顧 りみず に,(C)調 査 に表 われた「生 の まま」 の企業意 見 を紹介 して きた。 ここで , この企業意見 を基礎 と して ,lAlお よび(Blの 調査 結果 も踏 まえ て ,学 歴社会 の展望 につ いての若千 の 私見 を 陳述 した い 。 現在 の 日本社会 が学歴社会 で あ る こ とは,疑 う余地 のない認 識 で あろ う。 しか し,最 近 ,顕 著 にみ られ るよ うに,高 等教育 へ の進学率 が上昇 し国民 が 高学歴化 すれ ば,学 歴社会 の 内実 は,当 然変化 に直面 せ ざるを得 な い 。 現在 ,高 等教育 へ の進学率 は,同 一人 口年齢 の30%を 超過 し,お よそ二人 に一人 の割合 で 大学 な い し短大 へ 進学す る。 また ,後 期 中等教育 であ る高等 学校教育 を受 け る人 口比率 は93%に 達 し,最 高 の広 島県 で は94。. 5%に も及 ん. で い る。 したが って ,こ の よ うな高学 歴化 の進行 に伴 い,必 然的 に,「 タテ」 の学歴社会 は崩壊 す る兆候 を示す で あろ うと予想 され る。 どうして,崩 壊 化 現象 を示す のか 。 理 由 の第 一 は,高 学歴化 人 口の増大 に伴 い,学 歴 それ 自体 の価値 が低下す るか らで あ る。 換言 すれ ば,学 歴 が 自己の経済価値 な い し業 績価値 を左右す る力の大 きい社会 を学歴社会 で あ るとすれ ば,学 歴 が その よ うな価値 を規制 す る力を低減すれ ば,そ れ だけ学歴社会 は崩壊 す る傾向 を惹起す るで あろ う。 つ ま り,高 等教育 を受 け る人 口の比率 が稀少で あ る時期 な ら,大 学卒 とい う 事 実 だけで もその価値 は高 い けれ ども,大 学卒 が ,漸 次 ,等 比級数 的 に増加 す.
(21) 7. 藤 山 征 秀. “ れ ば,当 然,等 比級 数 的 にその稀少価値 は低 下す るで あろ うか らで あ る。 理 由の第二 は,高 等教育 へ の進学率 の増大 と大学教 育 の大衆化 は,当 然 の こ となが ら,高 い水準 の教 育 内容 な い し教育課程 を維持 しよ うとす る努力 と の 間 に,相 当な隔た りを惹起す るで あろ うとい うこ とであ る。今 日の よ うに 専 門分化 した 科学 の時代 において,高 度 な知 識水準 に耐 え られ る人 口比 率 が. ,. 全人 口の30%以 上 も存在す ると考 え る こ と 自体 幻想 で はあ るまいか。 つ ま り,高 等教育を受 け る比 率 の小 さい段 階 にお いて は,か な り程度 の高 い水準 の教育 内容 ない し教育課程 に対応 で きる大 学生 を,多 数 の人 口の 中か ら選抜 し進学 させ ることが 可能で あ るけれ ども,高 等教育 の大衆化 に伴 い. ,. 高度 の教育 内容 ない し教育課程 の維持 が,逆 に困難 とな る可 能性 を胚胎す る こ とにな る。 したが って ,当 然 ,そ うした隔た りを いか に して埋 め合 わせ るか とい う問 題 が生 起 して くるで あ ろ う。 結論 か ら先 に言 え ば,学 校 が学生 の知的能力 の 選別 機能 を逆 に強化せ ざるを得 ないので はないだ ろ うか。 進学率 の低 い時期 にお いて は,高 等教育 へ の進学 それ 自体 で,高 い教 育 内 容 ない し教育課程 を経過 した 能力保持者 と して判定 された けれ ども,現 在 で は,大 学卒 とい う レッテル だけで は能力 保持者 で あ るとは断定 で きない。 したが って,大 学 において,い か な る知 的訓練 を体験 し耐 えて きたか とい う問題 が重要 とな って くるで あ ろ う。学歴 を経過 しておれ ば,地 位 の保障が 確保 され るとい うので はな くて,そ の学歴段 階 に応 じて い かな る能力 を体得 したかが,重 要 な人的判別 の基準 とな らな くて はな らな いで あろ う。 個人 の能力評価 が正 当 に行 われ る社会 で あ るな らば,何 らの弊害 も生 じな い けれ ども,そ の よ うな社会 に到達 す る過程 において,過 渡 的問題 と して生 起 して くる問題 は,学 校格差 の設定 ,つ ま り,同 じ大学段 階 で あ って も,大 学生 の増加 に伴 い,「 良 い」 大学 ・対 ・ 「 悪 い」大学 ,高 い能力 を保持 した大 学生 ・対 ・余 り高度 で ない大学生 , とい う図式 の下 で ,学 校 差 を設定 して 評 価 した り,あ るいは,学 校名称 や学校段 階 によ って個人 の能力を評価 した り す る,歪 曲 した学歴社会 へ 進展す る可 能性 が現実化 して くるので ある。.
(22) ゴ/8. 一般 に,学 歴社会 といわれ る社会構造 は崩壊 す る傾向 を示す の に対 し,最 近 の入学試験 に み られ る学校格差 問題 や,有 名私 立大学 へ 受 験 生 が殺到す る 入学 過 当競争 だけが深化 して くる「 ヨコ」 の学歴主 義 が派生 して くるので は な いだ ろ うか。 つ ま り,学 歴 それ 自体 が職業 階層 の 決定的 な規定要 因 でな くな るとすれ ば. ,. に 同一 の学歴者 の 内部 にお け る学校差 が生 じて くるで あろ う。個人 の能力差 よ る格 差 な ら障害 はな い けれ ども,個 人 の能力 を基準 と して階層的基準 が判 の 定 され るので はな くて ,同 じ学歴 ,同 じ大学 の 中で ,い か な る大学 卒業 者 いか で あ るか によ って人材 の選別 が行 われ る傾向 が更 に強化 され るので はな. ,. と危惧 され る。 と同時 に,受 験 戦争 に成果 を収 めた有 名大 学卒 の 中 に,既 に情 熱 も喪失. し. ,. で あ りなが ら の 他人 に対す る想像力 も欠如 し,ス クラ ップ化 した頭脳 持 ち主 とる人 間 学歴 ゆえ に高 い職業 階層 に到 達 したため に,厚 顔無恥 な行動様 式を ,. 類型 に遭遇す るの も我 われ の 日常体験 とな って. V. い る こ とを忘 れ て はな るまい 。. 自 己 の 学 歴 に 関 す る満 足 感. ・ しよ を まず,lAl調 査 におけ る, 自己の学歴 に関す る満足 感 不満足感 考察 う (表. 3-1)。. と上級学校 へ 進学 し 旧告1中 学 ・新 制高校卒 以下 の 学歴者 に対 す る,「 もっ とい う肯定 て おけ ばよか った と思 うか」 とい う設間 に対 して,「 そ う思 う」. 6%)が 否定 の 回答 (43。 0%)を 約 10%近 く上 回 って い る。 この質 問 に対す る肯定率 は,性 別 で は,職 業活動 にその生涯 の大部分 を吸. の 回答. (51。. におけ る生産的活動機会 のよ り少 収 され る男性 の方 が (57.5%), 産業社会 で な い女性 (47。 6%)よ りも高 くな ってい るのは当然 あろ う。. 6%), この年齢 層 よ り若齢化 年齢 で は,40歳 代 の肯定率 が最 も高 く (59。 ・ の な い し高 齢 化す るに伴 い減少す る。 また,学 歴 で は,旧 高小 新 中卒 学歴 層 が最 も高 い. (60。. 7%)。. の において,40歳 代 被雇 用者層 の比 率 が相対 的 に高 くな って い る今 日 日本.
(23) 藤. 山 征. ゴ/9. 秀. lAl教 育 に 関 す る 匿 論 調 査 〔 「小卒」 「 1日 高小 0新 中卒」 「 1日 中・新高校卒」 の者 に〕あなたは、 も っ と上級の学校 へ行けばよか ったと思いますか。 表. 3-1. 自己の学歴 に対す る不満 とデ モ グラフィ ックな要 因. デ モ グ ラフ ィ ック な. 要 男 女 20. 齢. 30. 40. 学. 以. 50 60. 代 代代 代上. 年. 性 陛. 男リ. 性. 因. 自己の学歴 に対す る不満. か いな な 思う 思わ R 57。. 5. 37。 4. 47。. 6. 47.0. (N). 100.0. (2,848) (4,117). 5. 100。. 0. 3.6. 100。. 0. (1,219). 100.0. (1,617) (1,658). 5。. 43.8. 152.61. 53.8. 42.1. 4。. 159.61 52。 9. 35。 3 42。 2. 5.1. 100。. 0. 4。. 9. 100。. 0. 0. 46.0. 9。. 0. 100。. 0. 45。. 歴. 5.1. 計 (%). 1. (1,174) (1,297). 旧中・ 新高. 46.0 43.6 10。 4 100。 0 (768) 33.6 5。 7 100。 0 (2,984) 160。 71 100。 0 (3,213) 44.6 「 3161 3。 8. 全. 51.6. 小 1日. 新. 学 校 群著/Jヽ 中 体. 43。. 0. 5。. 3. 100。 0. (6,965). と旧高小 ・新 中卒 の 階層 は,賃 金 格差 ・昇 進昇格 の競合的機会 の点 で,学 歴 偏重 の慣行 を痛 感 して い るか らで あろ う。 したが って′ 自己の学歴 が よ り優 れ て いた な ら,も っと程度 の高 い処遇 が期 待 されただ ろ うに と,勢 い後悔せ ざるを得 ないので あろ う。 20歳 代 の若年層が,「 そ う思 わな い」 とい う否定 の 回答 が 多 い (52.6%) のは,高 校進学率 が90%を 超 えた時期 に当た る この年齢層が,中 間学歴 以上 で あ る こ と,ま た,就 業先 の組織 においての賃金格差 の縮小化 に表 われて い るよ うに,格 差 の実態 が顕在 化 して いない こ とのためで あろ うか。 さ らに,企 業 にお け る従業員 を対象 とす る(B)調 査 にお いて, 自己の学歴 に 対 す る不 満 を調査す るために 被調査者 に設定 された質問 は,「 もっと上 の学 校 へ 進学 してお けば,現 在 よ りま しな給料 ・ ポ ス トの優遇 を受 けていた と思 うか」 とい う設 間 に対 す る認知的態 度 を 問 うてい る。.
(24) 学 歴偏重社会 の点描. ゴ8θ. (B)学 歴評 価 に関 す る調査研 究 (従 業 員調査. 2. 国にもっを上の学校ヽいって おけば、今 よりもう少 しは よい給料 を. も. らえた か もしれ な い。. 表. 3-2. 質 項. 学 歴 に 対 す る 不 満 (給 料 に関 して ) 学 歴 に 対 す る不 満 度. 問 目. 測 が ときどきあま 計の と駐 感隊 こ感じたこ啓│プ を ヽ __笙 無回答. N. とはない. と力ちる と力ちる とはか. 巽18。 5 25。 0 28。 7 25。 8 2.0 100。 0(1,754) 9撃 燿 の不満. 43.5 い ポ ス トに つ けた 12)も っ と上 の学校 へ い ってお けば 、今 よ り少 し高 か もしれ ない。. 表. 3-3. 学 歴 に 対 す る 不 満 (ポ 学 歴 に 対 す る不 満 度. 曇 冒寒 寝 整. 計 ИN ぎ と 無 回 答 愚 墨. ll鑓 f:尋 ら 1ハ LPJ卜t究 い "引 ^ と力ちる と力ちる とはない とはな. 菖 こ墓燿. 14.3. 23.6. 37。. 32.1. 27。 5. 2.6. 10000(1,754). 9. 表 明 され た 回答 の うち,「 た び た び 感 じた こ とが あ る」「 と き どき感 じた こ とが あ る」 と い う項 目を , 自 己 の 学 歴 に対 す る不 満 の 表 明 で あ る とみ なす こ とが で き るで あ ろ う。. 表 3-2,表. 3-3に み られ るよ うに,. 給料 へ の不満 (43.5%),お よび. (37.9%)に 関 して, 自己の学歴 に不満 を示す 回答者 は 全体 の 4割 前後 で あ り,残 りの 6割 前後 は,大 きな不満 を示 して い な い。 ポ ス トに対す る不 満. ,. ここに表 われ た不 満 の意 味 は, 自己の ポ ス トお よび給料 に対す る不 満 を直 接吐露 した ものなのか ,あ るいは,固 定化 した昇進 ・昇格制度 お よび給料制 度 にお け る学歴偏重的 な慣行 に対す る不 満 なのか ,あ るいは また ,そ れ らの 制度 自体 は不動 の もの と して諦念 し,そ れ らの制度 の下 で不 利 な状況 に置 か れた 自 己の低 い学歴 を 嘆 息 した ものなので あ ろ うか。.
(25) ゴ8ゴ. 藤 山 征 秀. 常識的 な判 断 で は,第 二 の類型 の不満 で あ ると想 像 され るが, この調査 に おいて,上 記 の二 つの類型 の不 満 を識別 し判定 す る こ とは不可 能 で あ る。た だ,「 不 満 な し」 とす る回答 の 6割 に対 して,「 不満 あ り」 とす る回答 が 4割 も存在 す る事実 の 中 に こそ,企 業 の 中 にお いて,給 料 ・ ポ ス トに関 して ,学 歴偏 重的 な慣行 が 存在 して い る こ とを示唆す るもの とい え る。 この調査報告書 において は, この他 に, 自己の学歴 に対す る不満 と,学 歴 ・年齢 ・職種 な どのデ モ グ ラ フ ィ ックな要 因 との関連 も分 析 されて い る。 まず ,学 歴 との 関連 で は,低 学歴者 の不満 の比 率 が高 く,学 歴 の上 昇 に伴 い不満 が低下す るとい う特徴 を示 してい る。 と りわけ,中 学卒 の 7割 ,お よ び高校卒 の 6割 が,給 料 に 関 し, 自己の学歴 に対 して 「 たびたび感ず る」 と い う強度 の不満 を示 してい る。 これ とは反対 に,大 学卒 は給料 とポ ス トに対す る不 満 が,僅 か 1割 強 に過 ぎない。 大学 にお いて,実 質的 な学力を体得 したか否 かの如何 にかかわ りな く,最 高学歴 を経 由 した彼 らは,た とい給料 や ポス ト自体 に不 満 が存在す る にせ よ,「 もっとよい学 校 へ 行 っていた ら……」 とい う設 問形式 に対 して. ,. 外面 的 には,不 満 を吐 露す るわ け にいか な いので あろ う。 年齢 との関連 で は,給 料 お よび ポ ス トのいずれ に対す る不 満 も,25∼ 34歳 の青壮年層が低 く,そ れ よ り年 齢 の低 い若年層 はあ る程度 高 く,逆 に 中年層 に な るに従 い,急 激 に不満 の比 率 が上 昇 し,40歳 代 で その極大値 に達 して い る。 青壮年 の不満 が比 較 的低 いの は,こ の年齢層が,職 場 において 類似 の職種 に従事 し,他 の組織成 員 との格差 も深刻 に受 け とめ られ て い な いか らで あろ う。 しか し,中 年層 , と くに40∼ 45歳 の不満 が最大 とな るのは,こ の年齢層 の 大半 が,高 校卒 (旧 中学卒 )で あ るとい う事実 による もの と思 われ る。 職種 との関係 で は,作 業職 の半数以上 が不 満 を示 し,ま た,待 遇 も改 善 さ. 12)橋 爪貞雄「職場 における学歴意識」 (同 編著 第 一法規,昭 和51年 ,148-149頁 ). F学 歴偏重 とその功罪』 (第. 3章 ),.
(26) 学歴偏重社会の点描. ゴ82. れて不満 の少 ない管理者層 の中では,係 長の不満 が高 い。 これは,管 理職層 の中にあって,係 長が一般職層 と余 り格差 のない待遇を受 けている証左であ るとみなす ことができるか も知れ ない。. Ⅵ. 学 歴 と能 力 (実 力 )に 関 す る一 般 的見解. ない し実力を ・ 「学歴」 とは,職 業へ の適格性 資質性 を実証す る水準内容 ・ とは何 ら つ 表現す るものなのか,あ るいは,実 社会 に役立 専門的知識 技術 の関係 のない単 なる威信 (プ レスティー ジ)に 過 ぎない ものなのか。 るに至 った「 学 既 に,業 績価値 と同時 に帰属価値 としての効力 も認 め られ の関連 に 歴」 に対 して新た な問題提起 を投げかけた,学 歴 と能力 (実 力)と ついての意識調査 の結果を検討 してみた い。 つ に対す る まず,lAl調 査は,旧 制中学 ・新制高校卒 以下 の学歴 をも 在職者 を体得 して いるか」 とい う設 「 自己より高学歴者 は, 自己より職務遂行能力 つ に対 して,「 自 間 と,旧 制高専 ・旧制大学 ・新制大学卒 の高学歴をも 在職者 いるか」 とい う設間を行 己より低学歴者 は, 自己より職務遂行能力が劣 って い 歴 と能力 (実 力)と の関連に対す る人び との認知的態度 を探 ろうとし ,. ,学. 4-1,お よび表 4-2)。 この結果,表 4-1に み られ るように,. ている (表. 自己より高 い学歴者 が, 自己より. に 7割 の回 職務能力があるとす る回答は, 僅 か 1割 に過 ぎず (11.4%),逆 答者 は,否 定的な態度 をとっている. (71。. しか るに,大 学卒 の在職者 もまた,表. 5%)。. 4-2に み られ るように,. 自己より. 6%に 過 ぎず,「 そう 低学歴者 の仕事遂行能力 に 疑念 を発する 回答者 は僅か は思わない」 とす る否定的な反応が 8割 に達 し (83.4%), 高学歴者 には仕 。 の 事遂行能力が伴 っていないとみ なす比率が,旧 制中学 新制高校卒以下 学 歴者 より更 に多 くなっている。 この低学歴者 にみ られ る,高 学歴者 の能力合理 化を否認 し非好意的 に見 る 態度 は,学 歴 の上昇 に伴 い増加 し,小 学校卒以外 の各学歴段階 においては ,.
(27) ゴ83. 藤 山 征 秀. lAl教 育 に 関 す る 世 論 調 査 (1)〔「小卒」「 旧高小・新中卒」「 旧中・新高校卒」で「有職者」の 大体において、あなたより学歴の高い人は、あなたとくらべて仕事. が よ くて きると思 い ます か 、そ うは思 い ません か。 表 4-1仕 事 能 力 の評価 と学 歴 (旧 中 ・新高卒 以下 ・有職者 仕 事 能 力 の 評 価. 学. 小. 歴. 学. な も TTよ Σ乱筆 汐. 計%. ). N. 16.5 54。 2 29。 3 100。 0(■ 0` ,11,8 69.9 18.2 100。 0(1,979) 13.3 100.0(1,929) 909 76.8‐ 5 17。 1 100。 0(4,311≧ 4 71。 体 11。 校. 旧高小 ・新 中 旧 中・新 高. _全. (2)大. _. べて ら ヒく 菫斑 、あ 冤 F顧 号 哲 復 9套 え 今 庭2悪 萩 臀 天 筆 、 がだ. ま 夕仕事 がで きない と思 い ますか、そ うは思 いません か。 表. 4-2. 旧中・新高卒以下 の有職者 の仕事能力 への評価 (大 学卒 0有 職者 ). 旧制高専 ・大 学卒 ・新制 大 学 卒 の評価. 仕 事 能 力 の 評 価. か 舞if議僚勧ら 5。. 7. ・ 83。 4. 10.9. 計% 100。. N. o (7r). 7割 以上 を 占めて い る。 この こ とは,低 学歴者 にお ける, 自己依拠主義や学 歴主義 の風潮 へ の対抗 志 向 と同時 に,大 学卒 に対 す る痛 烈 な風刺 ,高 学歴者 に対 す る学歴 コ ンプ レックスの 強 さを物語 るもので はなか ろ うか。 逆 にまた,大 学卒 にみ られ る,謙 譲 の美徳か とも受 け と られ る消極 的態度 は,大 学教育 にお いて 修得 した はず の専門的知識 や技術 が,急 激 に変動す る 現実 の産業社会 に直接 に適用で きな い とす る 自意識 を投影 した もので はない か,と 思 われ る。 いずれ にせ よ,低 学歴 で あ るため に,職 場 にお け る職 務能力 が欠如 して い るとい う観念 は,一 般 的 に希薄 にな る傾向 が あ るよ うに思 われ る。 次 に,(B)調 査 に含 まれ る質 問項 目の 中 に企業 にお ける学歴偏重的な制度 や 慣行 に対 す る態 度 な い し認 知を測定す る設 間が あ る (表. 4-3,お. よび表 4.
(28) 学歴偏重社会 の点描. ゴ8イ ー 4)。. まず ,表. 4-3に み られ るよ うに,「 実力抜擢 で も高学歴有利」. とい う意. 見 に対 して,全 体 の62%が 賛 意 を表 明 して い る。 この肯定 の 回答 の学歴別分 布 は,表. 4-4に 示 され い る。す なわ ち,中 学卒. 学 卒63.9%と. 73。. 1%,高 校卒71。 9%,大. ,学 歴 の上 昇 に伴 いその比 率 は減少す る。. この結果 は,回 答者 が高 学歴者 の 実力 を素直 に受 け入 れ,彼 らの優先 的抜 擢 (登 用 )を 容 認 して い るのだ と考 え る こ とがで きるで あろ うか。否 ,前 述 の調査結果 の大勢 か ら判断 して もそ うで はあ るまい。む しろ,企 業 は,表 面 的 には,実 力本位 的 な人事方針 を標 榜 して い るけれ ども,本 質 的 には,学 歴 偏 重主義が色濃 く流れ て い る点 を指摘 した もの と思 われ る。 次 に,「 上 の学校 を 出て い るか らとい って, 職場 で役 立 つ 知識 や技術 が優 れて い るとはいえな い」 とい う意見 に対 して は,肯 定 的 な回答 が圧倒的で あ る。 つ ま り,学 歴 の実質的効果 を認 めた回答者 は,僅 かで 2割 に満 た な い。. (B)学 歴評価 に関する調査研究 (従業員調査 ) (1)「 会社 が実力本位 て抜燿 を行 って も、結局 それに当 てはまるのは、 上 の学校 を出た人だ」 とい う人がいます。 あなたが見た ところ事実そ うだ と思 い ますか。 て、職場 で役立 つ知識ド 技術が υ)「 上 の学校 を出ているか らとい っヽ す ぐれ ている とはい えない」 とい う人が い ます。 あなた の見た ところ事実 そ うだ と思 い ます か。 表 4-3学 歴 主 義 に 対 す る 認 知 学 歴 主 義 の認 知 項. 実力抜燿 て も高学歴 有利 役立 つ知識・技 術 、 ※.NA・ DKは 省 略 表. 4-4. 62.1 82。. 2. 計の. N. 37.2. 100。. 0 (1,7風. 3. 100。. 0 (1,754). 1■. ). 「 実力抜櫂 で も高学歴有利」 と学歴. 実力抜燿 で も高学歴 有利. そ うで は ないど思う. そ うだ と思う. 学. 中学卒 73.1. 歴. 高 校卒 71。. 9. 大学卒 63。 9. 全体% 62。. 1.
(29) ゴ85. 藤 山 征 秀. この こ とは,基 礎 的 ・専 門的 な ものにせ よ,実 際的 な もの にせ よ,知 識 0技 術 のよ うな職業 的能力 は,殆 ん ど学歴 が保 障 して いない とい う事実 を物語 っ て い る。学歴 の保障す る効 果 は,こ の よ うな専門的知識 よ りも,恐 らくは. ,. 長 い猶 予期間 を伴 う高学歴化 の在学過程 にお け る,多 面的 な社会 的接触 の 中 で 培養 された一般 的能力を意味 して い るので はなか ろ うか。. Ⅶ. 大 学 卒 に 対 す る評 価. 大学卒 とい う学歴 は,企 業 に とって そ もそ もいかな る意味を もつ ので あろ うか。 上場会社お よび非上場会社約 2,200社 の人事担 当者 を対象 と して調査 され た lAl調 査 の結果 によれ ば, 表 5-1,. お よび この表を 簡 略化 して 作成 した. 図 5-1に み られ るよ うに, 第 一 に職務遂行能力 が 圧倒的 に 高 く評価 され (59。. 0%),こ れ に次 いて,豊 か な教養が評価 され てい る. (34。. 5%)。. lAl学 歴 社 会 調 査 (1)大 学卒 とい う学歴 は、実質的 に、つ ぎのに)か らい までのひとつひ とつについて、 どの程度現わしているとお考えですか。. 表. 5-1. 企 業 に と って の大 学 卒 の 意 味 大 学 卒 と い う学 歴 評 価. ア イテ ム・ カテ ゴ リ ー. ″)量 務 遂. 計ON 夕賃ダZ重 重がよ倉佼至 翌. 4 3。 9 算 L■ ■.■ 111136。 l「l豊 かな教養 1)29`..il・ _Oi 53。 9 lo。 5 い 円満 な人格 1。 6 20。 3 6o。 0 8。 3 0社 鈍歓尊敬 1。 0 12.0 59。 5 24.4. 0.2. 0。. 6. 1∞ ら0(516). 0。. 2. 1。 0. 100。. o。. 8. 1。 0. 100。. 1.9. 1.2. 0(516) 0(516) 1∞ 。0(516). これ に反 して ,大 学卒 が余 り表 わ して い な い特質 は,円 満 な人格 (21。 や 社会的尊敬. (13。. 9%). 0%)で あ る こ とが示 されて い る。. 学歴 の もつ 意 味 は,「 円満」 よ り 「 実力」 で あ るとす る この調査結果 は. ,. 大学 卒 の あるが ままの現 実 の状況 を表現 して い るとい うよ り,む しろ最近 の.
(30) 学歴偏重社会の点描. ゴ8δ. ﹁ あ る﹂と ﹁ な い﹂ と の比率. +「 かなりある」 …………― ある(「 大いにある」 ) ‐ ―――‐‐ な い (「 あ ま りな い +「 全 然 な い 」 」). 言 I 図 5-1. ]]. ::. :]. 企業にとっての大学卒 の意味.
(31) 藤. 山 征. ゴ87. 秀. 企業 の雇用意識 の変化 を反 映 してい るよ うに思 われ る。 確 か に,オ イル 0シ ョック以来 の減速成長期 に入 り,年 功序列型 の人 間類 型 の特質 であ る,「 円満 さ」 な い しは 「 謙譲 の美徳」 とい う保守的 ・伝統 的 価値 か ら,純 粋培養化 された視野 の狭 い人 間類型 で はな く,相 当幅広 い能力 を体得 し,企 業 の 中 で 企業 のために,十 分 な職務遂行能力を発揮す る競 合 的 価値 を評価 しよ うとす る願望を表現 してい るので はな いか と思 われ る。 更 にまた,最 近 の青年層 の政治意識 が,反 体制 的 ・破壊 的 エ ネ ル ギ ーを 喪 失 し,社 会的無 関心 と同時 に無気力 とな った結果 ,高 度経済成長 期 に相 当重 視 され た「穏 健 さ」 よ りも,学 力 を は じめ とす る能力 の優 れた人材 ,お よび 能力 開発的志 向 を もつ 創造 力を備 えた人材 を と,就 職戦線 の 需給 関係 が逆転 した現 在 ,求 人側で あ る企業 が,勝 ち戦 さの勢 いに も似 た贅沢 な要求 を提 出 しは じめた,と み な した方 が妥 当で はなか ろ うか。 に もかかわ らず ,こ の調査 結果 は,学 歴尊 重 の 限界 を超 えて,学 歴 を偏重 ない し信仰す る人 び とへ の警鐘 と しての意義 は,十 分 に効果 を もつで あろ う と思 われ る。 このlAl調 査 は,更 に,学 歴 を い わゆ る有名大学卒 ,一 般大学 卒 および高校 卒 の三 つ のカテ ゴ リー に分類 し,そ れぞれ の能力評価 の現状 の比 較 を行 うこ とによ り,最 近 の大学 卒 を大企 業 の人事担 当者 が どのよ うにみ て い るかを浮 き彫 りに して い る。 この 集計結果 は,表. 5-2か. ら表 5-4に 示 され て い る。. この調査結果 によれ ば,第 一 に挙 げ られ る特徴 は,い わゆ る有 名大学卒 の 一般 的評価 と して ,「 知的能力」 が抜群 で あ るとい う点 で あ る。 す なわ ち. ,. 「 頭脳 のよさ」 に 関 して は, 回答 を寄せ た企 業 の83。. 7%が ,「 大 いに もって. い る」,お よび「 か な りもって い る」 とい うプ ラス評価 を してお り (以 下 の 文 中 の括弧 内 の数値 はプ ラス評価 を示す),ま た,「 豊 か な教養」 (53。 1%), お よび これ らの二 つの特質 に基礎 づ け られ る「 総合 的判 断力」 (71。. 0%)も. ,. 有 名大学 卒 の評価 が他 を凌 いで高 い 。 さ らに,一 般大学 卒 を高校 卒 と比 較す れ ば,「 頭脳 の よさ」 に 関 して は,高.
(32) ゴ88. 学歴偏重社会 の点描. 校卒. (5。. 8%)よ り高 いけれ ども,か なり低 い数値を示 している. (11。. 2%)。. また,一 般大学卒は,「 豊かな教養」 (10。 1%),「 総合的判断力」 (17.8%),. (2)い わゆる有名大学卒業者は、一般 的にい って、 どう評価 きれてい ますか。 それぞれについてお答え下 さい。 表 5… 2有 名 大 学 卒 業 者 へ の 評 価 ア イテ ム カテ ゴ リー. 計%N ま 機 犠 瑾菫歿ま宏絞 不明 __有. 名 大 学 卒 業 者 へ の評 価. (a実 務 知 識. 2。. 9. 36。 0. (b}頭 脳 の よさ. 9。. 4. 64。 3. 10。. 3. 60。. 0輸. 富男. (a交 渉 能 力. 2。. い 豊かな教養 (」 忠 誠 心 lLl糟. )責. (ノ. 23.8. 2.3. )バ イタリティ. (ι. 5。. 1。. 1. 19。. 2 0. 任. 2.3. 感. 1。. 4. 9。. 9 9. 16。. 7. 47。. 力あ色 1.6. (J協 調 性. 7. 5 18.4. 29。. 4. 46.9 9。 9 0.4 0。 4 12。 0 23.4. 1。 7. 64.9. 4。 7. 3。. 3.9. 7。 9 0。 2 8 4。 1. 65。 9 38。. 66.7. 17。. 8. 5. 13。. 0. 64。. 1o。 7. 100。 0 (516) loo。. 0 (516). 4。. o. 4。. 5 1oo。 0 (516). 4.1. o.2. 59.1 5。 0 `65.3. 9100。 0(516). 3.9 100。 0(516). loo。. 0 (516). 4。. 5 1oooo (516). 4。. 3 100。 0(516). 4.1. 4.1. 0。 2. 0 (516) 100.0 (516). 100。. (3)で は、一般 の有名校 でない大学卒業者 は どうて し ょうか。 表. 5-3-般. ア イテ ム・ カテ ゴ リ ー. 大 学 卒 業 者 へ の 評 価. 計 客 瑳な7塘 瑾 奮 螢不明 %N 夕がよ倉. lal実 務 知 識 (b)頭 月 図の よさ (ハ. 輸拿男 ・. (a交 渉 能 力 (θ. ティ )′ ■タリ. 0豊 かな教養 誠 心 力 あ lbl僧 色 lgl忠. 責 協. (ハ (ガ. 任 調. 感 性. 一般 大学卒業者 へ の評価. 0.6 12。 8. 68。. 2 14。 1 0。 4. 0。. 2 11.0. 71.5 13。 4. 0。. 2 1Z6. 69。. ■.4 25。 6. 8. 8。 5. 65.5. 3。 3. 0。. 3.9100。 3.9100。. 0(51o 0(51o. 2. 3.7 100。 0 (516). 2. 4.3 1oooo (516) 4.5 1oooo (51o) 4.5 1oooo (516). 4. 58。. 3. ■ 9 0。 2. 5.2 100。 0 (516). 2.9. 34.9. 50。. 6. ■ O o.2. 4。. 1.4. 27.7. 63。. 4. 2.1. 37。 8. 54。. 1 、2.1. 0。. 2 3.1 4 9。 7 6z4 1■ )8. 1。. 9. 4。. 7. 44。 6. 26。. 43。. 3.3. 0。. 5100。 0(516). 4.3 100,0 (516) 3。. 91∞ 。0616).
(33) 藤 山 征 秀. ゴ89. 14)で は、高校卒業者 は どうですか 。. _二. 土 土 _高 校 卒 業 者 へ の 評 価 校 卒 業L二 者 __二へ の 評L里 価 __ ウ ノニ ら =三 …. ま カタちな二 大神鶴ヵ 明 計%N ζ i)重 壼堂 楼裕 不 ^沼 ^‐ てい 餞 二. ア. イ. テ. ム. 性感性. 実 務・知 識 園悩 の よさ 総 合 的 判 断 力 交渉 能力 ′河タリティ 豊かな教 養 忠 誠 心 魅力 ある. 任調. 00 0 0●0回 0 0り. っ. 個 責 協. 上. ヨ. 上. ・. ハス. っ. い ない る まあ な 1投 =資. 六ス. 0。. 4 11.6. 1。. 7. 5。. 0。. 4. 5。 4. 68。. 6 20。 O o。. 2. 5.4 100.0 (516). 0.2. 1。 4. 45。. 7 46.9. 0.2. 3.3. 46。. 1.2 27.5 0.2 1。 0. 44。. 1.4. 49.8 13.8. 0。. 2. 器。 5 11。. 2. 1.4 22.1 0 2■ 9. 1。. 52.5. 28。 7. o。 6. 9 42.4. 1。 7 .0 9.3 0。 2. “ 0 48。. 1. 1.2 1。. 0:. 7 21.9 Q4 58。 1 ■266 0。 4 田・7 Z0 60。. 5。. 5。. 0 1∞ 。0 (516). 21∞ 。0. (516). 4 100.0 (516). 5。. 8 100。 0. 5。. 6 10ooo (516). (516). 5.6 100。 0 5。. (516). 6 1oooo (516). 5.4 100。 0 5.4 100。. 0. (516) (516). お よび「 実務 的知識」 (13.8%)に 関 して も, 高校卒 よ り優 れて い ると 評価 されて い る。 第 二 には,大 学 卒が 「交 渉能力」 にた けて い る点 が 注 目され る。 この「 交 渉能力」 について は,有 名大学卒 (26.1%)と 一 般大学 卒. %)と の 間 に. 1ま. 有 意 味 な差 異 はない けれ ども, 大学卒 と高校卒. の 間 には顕著 な差 異 が み られ る。 この「交 渉能力」 は,高. (3。. (29。. 0. 5%)と. 学歴 による,あ る. 程度 の「 知的能力」 を反 映す るもの と して,大 学 卒 が評価 されて い るもの と 思 われ る。 第 二 に,一 般大学 卒 に「 バ ィ タ リテ ィ」,「協調性」 ,「 魅力 あ る個 性」 の評 価が 高 い点 で あ る。 つ ま り,有 名大学卒や高校 卒 と比 較 して,第 二 で. 触 れた. 「 交 渉能力」 の促進要 因 の一 つ で あ る「 知的能力」 の補完要 因 と して 考 え ら れ うる,「 バ ィタ リテ ィ」 (49。. 3%),「 協調性」 (39.9%),「 魅 力 あ る個性」. (37.8%)の 評価が 高 い。 第四 に,有 名大学 卒 には,「 忠 誠心」 が欠如 してい る点 が指摘 され る つ 。 ま り,有 名大学 卒 に「 忠誠心」 が「 あ る」 とす るプ ラス 評価 をす る企 業 は約.
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