• 検索結果がありません。

[調査研究活動報告] 国立歴史民俗博物館総合展示第1室(先史・古代)の新構築事業 : 2018年度活動報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "[調査研究活動報告] 国立歴史民俗博物館総合展示第1室(先史・古代)の新構築事業 : 2018年度活動報告"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

はじめに

 第 1 展示室(先史・古代)では,開館(第Ⅰ期展示)から 36 年を経て,現在,約 7 年をかけて 展示リニューアルを行っている。第Ⅱ期展示の一つである総合展示第 1 室新構築事業(以下,第 1 室リニューアルと表記)は,開館 30 年目に着手した。これまで,暫定改善については開館 10 年を 経た時点で行っていたものの,全面的なリニューアルは 2013 年 3 月に開室した第 4 展示室(民俗) 以来 2 例目となる。  第 1 室リニューアルは 2002 年に策定した「総合展示リニューアル基本計画」[大学共同利用機関 法人人間文化研究機構国立歴史民俗博物館 2004]に基づいて構想され,2012 年に展示プロジェ クト委員(表 1)で組織するリニューアル委員会が発足して以降,新展示の準備を進めてきた。現 在は,約一月後の 2019 年 3 月 19 日の開室に向け最終段階となる演示を行っている。  ここでは,まず,これまでの年次活動報告[渋谷 2014,渋谷・大塚 2015,渋谷・上 2016,2017,上・ 横田 2018,横田・上 2018]と同様に,展示構成の変遷やリニューアルの概要をまとめ,2018 年度の 活動内容を報告する。更に,これまでのリニューアルの総括を行い,問題が生じた背景も含めリ ニューアルの工程を概観したい。

第 1 室(先史・古代)の新構築事業

Annual Report on NMJH Permanent Exhibition Renovation Project of Gallery 1

Prehistoric and Early Japan

(FY2018)

YOKOTA Ayumi and KAMI Naomi

横田あゆみ・上 奈穂美

2018 年度活動報告

表1 展示プロジェクト委員 館内委員 上野 祥史 本館研究部 准教授 小倉 慈司 本館研究部 准教授 工藤 雄一郎 本館研究部 准教授 鈴木 卓治  本館研究部 准教授 高田 貫太 本館研究部 准教授 西谷 大 本館研究部 教授 仁藤 敦史 本館研究部 教授 林部 均 本館研究部 教授 藤尾 慎一郎 本館研究部 教授 松木 武彦 本館研究部 教授 三上 喜孝  本館研究部 准教授 村木 二郎 本館研究部 准教授 山田 康弘 本館研究部 教授 館外委員 小畑 弘己 熊本大学文学部 教授 亀田 修一 岡山理科大学総合情報学部 教授 川尻 秋生 早稲田大学文学学術院 教授 設楽博己 東京大学文学部・ 大学院人文社会系研究科 教授 瀬口 眞司 公益財団法人滋賀県文化財保護協会 企画調整課 副主幹 谷口 康浩 國學院大學大学院文学研究科 教授 堤 隆 浅間縄文ミュージアム 主任学芸員 菱田 哲郎 京都府立大学文学部 教授 森 公章 東洋大学文学部 教授 吉田 広 愛媛大学ミュージアム 准教授 若狭 徹 明治大学文学部史学地理学科考古学専攻 准教授 若林 邦彦 同志社大学歴史資料館 准教授

(2)

1. 第 1 室リニューアルの展示構成

 展示構成は,第Ⅰ期展示の課題(第 3 章を参照)を踏まえ,生活史,環境史,国際史の 3 つを基調 テーマとして据えて考案・改訂されてきた。各テーマの展示構成および展示平面図を表 2・図 1 に 示す。昨年度以降,配置に変更が生じたのは副室の正倉院と沖ノ島のみで,構成内容そのものに変 更はない。(本稿末にカラー図版掲載) 表2 展示テーマ構成 Ⅰ最終氷期に生きた人々 最終氷期の森 最終氷期の森 列島に到達した最初の人々 現代人的行動ってなに!? 人はいつ列島に渡ってきたのか? 列島最初の人々が残したもの 環状のキャンプに集う 狩猟採集民とその遊動生活 寒冷環境への適応 石器を作る 遊動生活と住居 良質の石材を求めて 大陸との関係 動物の狩猟と食料 旧石器時代の落とし穴 植物質の食料の利用 祈りとアクセサリー 最終氷期の土器と環境激変期の人々 東アジアの土器の出現 土器文化の急速な広がり 定着的な生活の始まり 狩猟具の変化と弓矢の登場 南九州の集落と植物利用 石偶と最古の土偶 れきはくサイエンス・ラボ Ⅱ多様な縄文列島 縄文文化の時代 縄文文化の環境 縄文人登場 縄文文化のはじまり・おわり・ひろがり 定住生活の意義 縄文文化の地域性 民族誌からみた縄文文化 定住生活の進展 計画的な食料の調達 高度な植物利用技術の発達 高度な動物利用技術の発達 計画的な土地利用 交易・交流ネットワークの発達 各地の集落と社会 縄文人の家族と社会 縄文人の一生 縄文時代の家族像 特別な人々の出現 縄文人の「おそれ」・「いのり」・「まつり」災害への対応 縄文人のけが・病気 縄文人の死生観 再生・循環の「いのり」と「まつり」 縄文人の祖霊祭祀 東アジアの中の縄文文化 大陸との接触 Ⅲ水田稲作のはじまり れきはくサイエンス・ラボ 土器の圧痕−レプリカ法 朝鮮半島の農耕社会と日本列島 朝鮮半島の農耕社会化 縄文晩期の西日本 列島各地の初期水稲稲作 金属器出現 列島の鉄器文化 武器と戦い 西と東のまつり 西のまつり 東のまつり 弥生のくらし 弥生のむら 弥生の墓 弥生の自画像 弥生と縄文 Ⅲ 4 つの文化へ 北縁,南縁の水田稲作文化 北の文化,南の文化 弥生文化とはなにか Ⅳ 倭の登場 東夷世界へのまなざし 漢と倭 魏志倭人伝の航海記録 1・2 世紀の東アジア 中国王朝の世界 ―漢― 朝鮮半島の世界 ―楽浪と三韓― 南北市糴の世界 ―壱岐・対馬― 金印かがやく世界 ―北部九州― 東西海廊の世界 ―日本海― しまなみの世界 ―瀬戸内海― 平野ひろがる世界 ―近畿― やまなみの世界 ―東海・中部・関東― 倭王への道 倭王への道 Ⅴ倭の前方後円墳と東アジア 前方後円墳と倭王権 前期の古墳 中期の古墳 後期の古墳 地域社会の景観 王をめぐる風景 集落での生活 時代を変える新たな技術 倭の境界と周縁 倭の北縁と北方世界 倭の南縁と南方世界 朝鮮半島の倭系古墳 境界を越えて―東アジアという世界― アジアの王権 王権の天下観 Ⅵ古代国家と列島世界 自然環境と災害 自然環境 災害 倭国から日本へ 仏教伝来と古墳の終末 飛鳥と難波,藤原京 「日本」建設 律令支配と列島世界 都の明と暗 古代の集落と役所 古代国家の北と南 東アジアのなかの列島世界 中世の胎動 中世の胎動 副1沖ノ島・特集展示 沖ノ島の祭祀と国際交流 小テーマなし 祭祀の変遷 沖ノ島からみた国際交流 先史・古代の国際交流 副 2正倉院文書 役人の世界 写経生の生活 役人の生活 正倉院文書の世界 公文書の世界 写経所文書の世界

(3)

2. 2018 年度の活動概要

 本年度の概要は,2018 年度より本稿の提出時期が年度末以前に早まったことから,2 月までの活 動を報告し,3 月分については活動予定として掲載する。 (1)概略  2018 年度は,前年度に引き続き,展示室内の工事,長期借用資料の搬入,グラフィック・映像 コンテンツ・ネームプレートの制作など,開室に向けて準備を進めた。工事期間は,2016 年の時 点では 2018 年 7 月に完了予定と報告したが[上・横田 2018],製作準備の遅れが生じ,同年 11 月 へ延長した。それに伴い,展示室内の完成状況を確認する検収も 11 月にずれ込んだ。長期借用資 料の搬入は夏頃から始まり冬までかかり,2019 年 1 月下旬以降に展示場で演示を行った。数年に わたる設計確認が必要となったグラフィックや映像コンテンツ,ネームプレートは制作期間が大幅 にずれ込み,一部を除き 2019 年 3 月までに納品予定である。これらの活動と並行して,歴博館内 では開室告知用の広報ポスターやチラシ,展示室リーフレットの制作および記者発表や内覧会資料 の作成準備が進められた。3 月には,演示が完了して展示室内での照明調整,グラフィックやネー ムプレートの最終確認を行い,18 日(月)の内覧会翌日の 19 日(火)に開室する予定である。  翌 2019 年度には,開室後の展示に関する意見調整(資料・グラフィック・映像コンテンツ・ネー ムプレート)や歴博フォーラムの開催,「第 1 展示室(先史・古代)ができるまで」(仮称)の作成 などを予定している。 (2)活動の詳細 以下に,主な作業について詳述する。 【第 1 室リニューアル委員会】 開催日は表 3 参照 全体会議        開催なし 館内委員会議      館内対応,新たな予算措置,開室準備など 【展示工事打ち合わせ】 全体打ち合わせ・テーマ別打ち合わせ   表 3 参照 ・長期借用資料の搬入(国内・外)  国内の長期借用資料は,資料調査や所蔵機関との調整を経て,一部を除き 8 月から借用を開始し た。借用ルートを設定する際に,同じ地域を展示担当者ごとに何度も訪れるのではなく,同じ地域 の資料を一度に借用できるようスケジュールを組むことで経費の削減を図った。国外からは,大韓 民国の資料を 2019 年 2 月に搬入した。借用資料は演示前に開梱し,必要に応じて演示具を製作した。 ・資料以外の展示物制作―グラフィック,ネームプレート,映像コンテンツ  グラフィックは,前年度分の活動報告に記したように, 先行分(2018 年 9 月)・先送り分(同年 11 月) [横田・上 2018]ともに校了し,施工業者が提示した工程よりも半年ほど遅れ,11 月の検収までに

(4)

表3 リニューアルに関する打ち合わせ等開催日 2018 年度 主な工程 展示工事打ち合わせ 関連事項 総合展示 リニューア ル運営会議 第 1 室  リニューア ル委員会 演示・資料調査 グラフィック ネームプレート 映 像 コ ン テンツ 借用 調査・計測 演示 先行分 先送り分 先行分 後行分 2018 4 現場施工 5 6 7 8 9 念校 最終校 10 11 検収 念校 シンポジウム 12 2019 1 修正 納品 2 3 開室 納品? 一部納品? 開催予定 実行済み / 実行中 予定 開催日一覧 展示工事打ち合わせ 演示・資料調査 借用 8月5・6・7・8・9・10・11・16・17・19・20・21・22・23・24・25・26・27・28・29・30・31日、9月1・10日、10月9・12日、11月14・21日、2019年2月6・7・8・9・10・11日 調査・計測 4 月11・18・19・20・27日、5 月 8・9・10・16・17・22・25・29・30日、6 月 8・12日、7 月13日、8 月17・21日、9 月19日、2019 年 2 月1・4・5・13日 演示 4月20日、6月22・29日、7月2・6・10日、11月20日、2019年1月23・24・28・30日、2月1・4・6・7・8・12・13・14・15・18・19・20・21・25・26・27・28日 グラフィック Ⅱ(ジオラマ代替) 4 月 16 日、8 月 16 日、10 月 2 日 Ⅵの一部 4 月 12・24 日 副室 1:沖ノ島 4 月 12・24 日、7 月 24 日、8 月 21 日、9 月 7 日 副室 2:正倉院 4 月 9・24 日、7 月 20 日、8 月 10 日、9 月 7 日 エピローグ 4 月 4・17 日、5 月 9・11・14 日 ネームプレート 10 月 27 日 ※ネームプレートは今年度から工程を二分した。先行分:テーマⅠ・Ⅱ・Ⅲ・沖ノ島・正倉院、後行分:テーマⅣ・Ⅴ・Ⅵ 映像コンテンツ 11 月 7 日、12 月 4 日 展示室検収 11 月 16 日 関連事項 可視化・高度化 国際シンポジウム 11 月 17・18 日    総合展示リニューアル運営会議 5 月 21 日 第1室リニューアル委員会 全体会議 なし 館内委員会議(臨時) 5 月 28 日、7 月 30 日、12 月 26 日

(5)

一部を除き所定の展示コーナーに掲出した。開室までにすべてのグラフィックが出揃うが,すでに 納品されたものの中には修正が必要なものが見つかっており,順次対応する予定である。  ネームプレートは,当初は全テーマを同一工程で扱っていたが,企画展示など他業務への時間配 分の再調整を要したため,工程を二分して制作することが決定した。先行分は 2019 年 1 月に,後 行分は 3 月上旬に納品される。展示場への設置後には,グラフィックと同様に,ネームプレートも 順次修正を加えている。  映像コンテンツは,副室をのぞく 6 つのテーマのガイダンス映像のほか一部のコンテンツを制作 し,当該再生機器を開室時までに設置することになった。それ以外のコンテンツについては,来年 度以降の予算状況により制作する予定である。 ・演示作業  2018 年度前半から,模型や地層剥ぎ取りなどの大型資料の演示に着手した。展示室内の薬剤散 布を経て,2019 年 1 月下旬から本格的な演示作業を開始している。日程は,演示業者の来館日, グラフィックの掲出状況,演示具の納品状況などを考慮して組んだ。2 月末までにほぼすべての資 料の演示が完了し,3 月上旬には照明調整を行う予定である。

3. 第 1 室リニューアルの総括

 2012 年度から活動報告を続けてきた新構築事業は,7 年目を迎えてようやく開室に至る。展示リ ニューアルの一例として記録を残すためにも,展示構成とリニューアル活動の 2 つの視点から,第 1 室新構築の総括を試みる。なお,筆者は 2015 年度から第 1 室準備室に所属しているため,それ 以前の内容は各年度の活動報告に依る。  展示構成に関して,2004 年に策定した「総合展示リニューアル基本計画」の基本理念や基本原 則をはじめとした展示目標,リニューアル委員会が挙げた第Ⅰ期展示の課題を以下に改めて列挙す る[渋谷 2014]。 「総合展示リニューアル基本計画」(2004 年)  基本理念 21 世紀における新たな歴史像の再構築,国際化への接近 基本原則 研究成果の反映,国際化への対応,生涯学習等一般公衆の知的需要への対応 基調テーマと視点 生活史,環境史,国際史          多様性(マイノリティーの視点),現代的視点 展示リニューアル委員会が定めた“主要な目的” ①大学共同利用機関として先端的な歴史研究を推進し,その研究成果を公開する。 ②考古学の進展による歴史観の劇的な変化に対応する。 ③博物館型研究統合の実践を行う。  さらに,共同研究,科学研究費助成事業,企画展示の研究成果を,論文として発表したのちにリ ニューアルに反映させる。

(6)

展示リニューアル委員会が挙げた第Ⅰ期展示の課題 A)民衆史が一貫していない B)モニュメント展示(例:縄文土器,高床倉庫,箸墓古墳,羅城門) C)国際化への対応が不十分 D)日本列島の北(北海道)と南(沖縄)の展示が欠落 E)固定化した展示(最新の研究成果を反映しづらい)  3 月の開室後には歴博内外から寄せられた意見に基づき,第Ⅱ期展示の内容や展示手法を必要に 応じて見直すことも求められる。まずは第Ⅰ期展示の課題を克服し,新展示に向け掲げた目標をど れだけ達成することができたのかが評価基準の一つとなる。検証作業を通じて,研究成果をわかり やすく適切な形で伝えるのに必要な視点や手法を検討し,そのノウハウを歴博や他館でのこれから の展示に活用できるよう蓄積することもまた,この新構築事業が国立博物館のプロジェクトとして 資する成果の一つと捉えられるのではないだろうか。2017 年度の報告[横田・上 2018]にも触れた ように,リニューアル委員以外からの意見を展示に反映させることは当館では前例がないようであ るが,開室後には柔軟な姿勢をもって対応されることを望む。  リニューアル活動のおおまかな流れについては,年表(表 5)を参照されたい。構想に 1 年,設 計に 3 年,施工に 3 年を費やしたことになるが,実際の作業はより複雑な工程を辿ってきた。特に, 施工段階では設計図の再検討を行う必要が生じ,準備不足から工期全体を延長するといった「足踏 み」が長期にわたることになった。ここでは,今後のリニューアル活動への戒めとして,その概要 と背景を簡潔に述べたい。 表 4 テーマ案の変遷 第Ⅰ期展示 第Ⅱ期展示 1983 ∼ 2016 年 「基本計画」(2004 年) 開室時(2019 年∼) 日本文化のあけぼの (1) 列島環境への対応 Ⅰ 最終氷期に生きた人々 Ⅱ 多様な縄文列島 (2) 食料生産とたたかい 稲と倭人 Ⅲ 水田稲作のはじまり (3) 倭国への道 Ⅳ 倭の登場 前方後円墳の時代 Ⅴ 倭の前方後円墳と東アジア (4) ヤマトに吹く異国の風 律令国家(正倉院含む) (5) 日本国家の建設 Ⅵ 古代国家と列島世界 副室 正倉院/沖ノ島 沖ノ島

(7)

表 5 リニューアルの工程 1983 国立歴史民俗博物館 開館(3 月) 第Ⅰ期展示公開 1984 「沖ノ島」公開(3 月) 1988 「日本文化のあけぼの」拡充(3 月) 1994 第Ⅱ期展示 計画策定 1996 暫定改善 暫定改善(1996 年 3 月∼ 1997 年 3 月) 1997 第Ⅰ期 展示 2004 「総合展示リニューアル基本計画」策定 2011 活動準備 2012 設計構想 リニューアル委員決定 大型模型、「複製資料の製作調整に着手 展示構成案の検討 2013 設計 館内での基本設計確定 各種予算の検討を経て、開室時期を 2016 年度・ 2017 年度から 2018 年度に延長 長期借用の調整に着手 展示テーマ案,配置図、資料の検討 2014 プロポーザル 実施設計作成業者決定((株)日展)     リニューアル活動 詳細設計 日展との打ち合わせを重ねる 2015 実施設計図(詳細設計)完成 一部未完成のままの開室を決定 費用の再検討(先送り計画) 2016 閉室(2016 年 5 月 9 日)、資料の撤収 入札 施工業者決定((株)乃村工藝社) 施工に向けた設計内容の確認 乃村工藝社との打ち合わせを重ねる 寄付金募集に着手 2017 展示室工事 大型模型移設,新規壁面設置など 施工 演示準備,展示物製作 グラフィック,映像コンテンツ,ネームプレー トなど 閉室 タイトル変更(「先史・古代」へ) 展示構成の館内縦覧 2018 年 7 月までの予定だった工期を延長 2018 検収 館内作業の遅れにより,グラフィックの納品 をはじめ大幅に作業がずれ込んだ 演示作業 2019 調整  演示 開室 開室(2019 年 3 月 19 日)

(8)

 「足踏み」に触れる前に,今回のリニューアル活動の進め方を整理する。館内体制と設計・施工 業者という表現を用いるが,ご協力を賜ったすべての方を忘れるためではなく,構造をわかりやす く伝えるためにすぎないことをお断りしておく。歴博の館内体制は,リニューアル館内委員と管理 部博物館事業課展示係が担い,第 1 室準備室スタッフがそれを補佐した。設計段階では設計担当の 業者((株)日展)と,施工段階では同様に施工担当の業者((株)乃村工藝社)と作業を進めた。  「足踏み」を発生させた時期は,設計から施工への業者の切替えに当たる。設計・施工を同一業 者に依頼することが許されないため,2015 年に一旦完成を見た詳細設計を,新たに契約を結んだ 施工業者とともに見直す作業に数か月を費やすことになった。見直し作業を経ても設計上の意図を すべて把握するには至らなかったため,施工作業段階に何度も設計確認をする必要が生じ,時には 改訂へ踏み切ることもあった。  また,館内体制における準備・連携不足も「足踏み」の要因となり,当初の工程通りに作業を円 滑に進められなかった。グラフィック,ネームプレート,映像コンテンツ,演示具などの制作に関 する入校や資料情報の提供が大幅に遅れ,工期の延長が発生し,予定外の予算を要することになっ た。  こうした事態は,進捗をはじめリニューアルに関するあらゆる情報が適切に管理・活用されてい ないことに起因する。歴博の過去のリニューアル事業で得たはずの経験や,進行中の第 1 室リニュー アルに関する活動履歴をアーカイブするという行為の欠如が,数年前の決定事項を忘れ不要な検討 を繰り返したり,グラフィックの解説原稿や使用画像を初校段階のものに取り違えたりなどの事象 を起こした。  このような事象への対策として,第 1 室リニューアルでは展示情報を網羅するデータベースを試 作した。展示資料や演示具,解説パネルと映像コンテンツで使用する画像や解説文など,データの 集積と作業履歴を記録しこれらを共有することで,同一の作業を繰り返し行うことがないよう努め た。開室後は,この記録をアーカイブとして整理し,展示物のソフトとしての価値(例えば展示資 料の数や出土地の内訳など)を掘り起こし,データを活用できないか検討していくつもりである。

おわりに

第 1 室リニューアルの最終年度となる今年度は,一昨年度まで先送りとして中断した展示コー ナーも併せすべての展示室の施工を完了し,一部の映像コンテンツを除きほぼ全て完成させ,現在 は,約一月後の開室に向けて資料の演示やネームプレートの設置,解説グラフィックの修正箇所の 取りまとめといった最終段階の準備を進めている。第 4 章でも触れた通り,館内の連携不足に起因 する工期の大幅な遅延が生じたものの,幸いにもデータベースの運用が功を奏し,必要なタイミン グで必要なリストを活用できるよう大幅に改善され,その後の工程がこれ以上大きくずれ込むこと はなかった。このデータベースは,今後,開室に至る記録類として活用する一方で,開室後の資料 の利用頻度などのデータにも応用したい。更に,他部門のリニューアル事業でも最初の段階から運 用するなど,今後のリニューアル事業に必須であると考える。 開室後には館内外からの展示に対する意見が集約され,対応を検討する予定である。対応の詳 細については,今年度分に含まれなかった 3 月分の活動内容も含め,来年度に報告したい。

(9)

また,2016 年 5 月から約 2 年半の閉室の対応として 2 つの国際シンポジウムや先史・古代に関 連する 3 つの企画展示を開催し,新展示の内容を一部公開しリニューアルの周知を行った。開室と 同時に,寄附型のクラウドファンディングにより再び製作可能となった正倉院文書の複製を特集展 示コーナーで公開する予定である。 横田あゆみ (国立歴史民俗博物館・資料整理等補助員) 上 奈穂美 (国立歴史民俗博物館・技術補佐員) (2019 年 2 月 28 日受付,2019 年 5 月 28 日審査終了) 引用文献 渋谷綾子 2014. 国立歴史民俗博物館総合展示第 1 室(原始・古代)の新構築事業―2012 年度活動報告 . 国立歴史民 俗博物館研究報告 186 : 277-293 渋谷綾子・大塚義昭 2015. 国立歴史民俗博物館総合展示第 1 室(原始・古代)の新構築事業―2013 年度活動報告―. 国立歴史民俗博物館研究報告 201: 25-40 渋谷綾子・上奈穂美 2016. 国立歴史民俗博物館総合展示第 1 室(原始・古代)の新構築事業―2014 年度活動報告―. 国立歴史民俗博物館研究報告 201: 25-40 渋谷綾子・上奈穂美 2017. 国立歴史民俗博物館総合展示第 1 室(原始・古代)の新構築事業―2015 年度活動報告―. 国立歴史民俗博物館研究報告 206: 115-125 上奈穂美・横田あゆみ 2018. 国立歴史民俗博物館総合展示第 1 室(原始・古代)の新構築事業―2016 年度活動報告―. 国立歴史民俗博物館研究報告 209: 83-94 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立歴史民俗博物館 2004. 国立歴史民俗博物館総合展示リニューアル基本計 画 . 59 pp. 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立歴史民俗博物館 , 佐倉市

(10)

写真 3 写真 4

(11)

写真 8 写真 9

(12)

写真 13 写真 14

(13)

「 先 送り分 」   制作 を 先送 り に し て いたが 、        2019年3 月 の開室に 間に 合 わせ る こ と が決 ま っ た 全体平面図 2017年12 月 時点 リニ ュー ア ル 後 リニ ュー ア ル 前 エ ピロー グ プロ ロ ー グ Ⅰ 最終氷期に Ⅱ 多様な縄文列島 Ⅴ 倭の前方後 副室1 沖 副室2 正倉院文書 Ⅲ 水田稲作のは Ⅳ 倭の登場 Ⅵ 古代国家 特集展示 日 本文化の あ け ぼの 本文化 けけけけけけ のののののの のののののののののののの ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼぼぼぼ 化化化化化 化化 化化 化化化化化 ののののののののののの 日本 文文文化 化化化化化 のあけ けけけけけけけけけ けけけ けけけけ けけけけけけけけけけけ けけけ ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼ ののののののののののののののののの のののののののののののの 稲と倭 人 稲と倭 律令国家 律令国家 前方後 円 墳の時代 後円墳の時 沖ノ島 沖ノ島 展示 テ ー マ 図 1 展示平面図

参照

関連したドキュメント

本報告書は、日本財団の 2016

海洋技術環境学専攻 教 授 委 員 林  昌奎 生産技術研究所 機械・生体系部門 教 授 委 員 歌田 久司 地震研究所 海半球観測研究センター

会長 各務 茂夫 (東京大学教授 産学協創推進本部イノベーション推進部長) 専務理事 牧原 宙哉(東京大学 法学部 4年). 副会長

11月7日高梁支部役員会「事業報告・支部活動報告、多職種交流事業、広報誌につい

山階鳥類研究所 研究員 山崎 剛史 立教大学 教授 上田 恵介 東京大学総合研究博物館 助教 松原 始 動物研究部脊椎動物研究グループ 研究主幹 篠原

うみ博メイン会場に加え、日本郵船歴史博物館、日本郵船氷川丸、帆船日本丸・横浜みなと博物館、三

人類研究部人類史研究グループ グループ長 篠田 謙一 人類研究部人類史研究グループ 研究主幹 海部 陽介 人類研究部人類史研究グループ 研究員

人類研究部長 篠田 謙一 人類研究部人類史研究グループ グループ長 海部 陽介 人類研究部人類史研究グループ 研究主幹 河野