長尺用木材加工機の設計・試作に関する研究
著者
中島 繁, 田中 秀穂, 友野 春久
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
29
ページ
47-52
別言語のタイトル
Study on designing and manufacturing of a new
type machine on rotary cutting of a long
circular wooden bar
著者
中島 繁, 田中 秀穂, 友野 春久
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
29
ページ
47-52
別言語のタイトル
Study on designing and manufacturing of a new
type machine on rotary cutting of a long
circular wooden bar
長尺用木材加工機の設計・試作に関する研究
中 島 繁 ・ 田 中 秀 穂 ・ 友 野 春 久
(受理昭和62年5月30日)
STUDYONDESIGNINGANDMANUFACTURINGOFANEWTYPEMACHINE ONROTARYCUTTINGOFALONGCIRCULARWOODENBAR SigeruNAKAJIMA,HidehoTANAKAandHaruhisaTOMONO Anewanddifferenttypemachineinthecuttingmechanism,ascomparedwiththeusualtypeinthe past,wasdesignedandmanufacturedfortherotarycuttingofalongcircularwoodenbar・ TheirregularitiesofamachinedSurface,cuttingefficiencyandtheperformanceofthemachinewere examinedadoptingcutterspeed,thenumberofcutterbladesandthefeedingspeedofthetestpieceasthe cuttingfactors・ Itwasfoundthatthecuttingmechanismadoptedinthisnewtypemachinehasahighercutting efficiencyintherotarycuttingalongcircularwoodenbar,anditwasalsofoundthatthesurfacequalties arealsohigherthanthatofamachinedsurfacewiththeusualtypemachineutilizedinthepast. 1 . は じ め に 木材加工においては,金属材料のような塑'性加工が 不可能なため切削加工によって,その用途を拡げ利用 価値を高めている。切削を基礎手段とする木材加工機 のうち,木工旋盤は機械用旋盤と同様,円筒形の工作 物を加工するために利用されている。 土木,建築業界等でよく使用されている測量用ポー ルなどの,いわゆる円筒丸棒は従来,木工旋盤によっ て加工していた。これは旋盤の両端で木材を支持して 行なう取り付け加工であるため,短尺の製品しか加工 できず,加工する木材が長尺になればなるほど,木材 のそりによる変形のために製品精度に難点がある。ま た,木材の取り付け,取りはずしに時間を要し,作業 能率も低い。 近年,一部の測量器製造メーカーにより,長尺角棒 を一回の行程により長尺丸棒の加工を可能にした長尺 用木材加工機が開発された。この機械は,木工旋盤の ように,木材を回転させ(イトに送りと切込みを与え て切削する方法とは異なり,カッタを回転させ送り装 置 に よ り 木 材 に 送 り を 与 え 長 尺 丸 棒 加 工 を 行 な う も の である。 しかし,この長尺用木材加工機に用いられている カッタは,一般には市販されていない特殊なカッタで あるために,製作が困難であり他の工具との互換性も ないという問題点がある。さらに,カッタの摩耗も激 しく,一日に数回の再研磨作業を行なっており生産能 率の低下,また製品の高コスト化の原因となっており 改良の余地がある。 そこで,本報ではこの機械に代わる市販のカッタを 用いた長尺用木材加工機を設計・試作し,カッタの回 転数,木材の送り速度,カッタの刃数を切削要因とし て,製品の表面性状,加工能率を実験的に検討した。 2.実験装置および方法 2 . 1 設 計 ・ 試 作 の 留 意 点 本加工機の設計ならびに試作は,以下に述べること がらに留意しながら行った。 (1)現在,一部の測量器製造メーカーで使用してい る長尺用木材加工機の特長を維持し,さらに性能を向 上 さ せ る 加 工 機 で あ る こ と 。 つ ま り 長 尺 丸 棒 削 り が 可 能であり,加工能率が高く,製品精度が高いこと。図4Externalgear方式 転する2個の平フライスカッタによって丸棒に切削加 工される。このカッタは電動モータからベルトで駆動 され回転数(切削速度)を任意に選ぶことができる。 以上のような構造により,長尺丸棒の加工が可能であ り,切削条件も広範に変化させることができる。 であり,また消費動力が少なく,さらに信頼性が高い こと。 特 に 問 題 と な っ て い る 刃 物 工 具 の カ ッ タ に つ い て は 平フライスカッタ(PlainmillingCutter)が良い結果') を得ているので,本報でもこのカッタ,ならびに機構 を採用した。平フライスカッタは容易に入手可能であ り再研磨も容易に行えるという利点がある。 2 . 3 実 験 条 件 表1に実験条件を示す。カッタが取り付けてある中 心部の回転パイプは300rpm,400rpmの2段階を用い, 送り速度は4段階に変化させ木材の表面'性状を比較し た。カッタを自転ならびに公転させるためのギア機構 表 1 実 験 条 件 2 . 2 長 尺 用 木 材 加 工 機 の 構 造 本研究は前述')の丸棒削り機を参考にして,設計・ 試作を行なった。図1に本加工機の全景,図2にその 概略図を示す。この加工機は入口側(図3)と出口側 醗詞財 輸 藩 , 図 1 長 尺 用 木 材 加 工 機 の 外 観 はExternalgear方式(図4)とInternalgear方式(図 5)の2種類を用いた。Externalgear方式とInter‐ nalgear方式とでは,その回転機構の違いによりカツ 野、 鷺 識 競 溌 一 零 = = 一 妾 ① ①:自動送り装吐 ② : 木 材 ③:フライスカブタ 図 2 概 略 図 図 3 自 動 送 り 装 置 ( 入 口 側 ) 図51nternalgear方式
⋮#I
鐸 疹 ⋮今 蕊鳶難 偶 IlIlI伝パイプの い'転数(rpm) カ ッ タ 切削速度〈m/min) 送 り 速 度 (mm/s) 300 400 160〈Externalgear) 254(上Ztemalgear) 214〈1‘:xternalgear) 339(Tnternalgeal、) 2.8 器.6 8.4 上1.1今
49 図'8 タ切削速度も異なりInternalgear方式の方がカッタ 切削速度は大きい。フライスカッタは表2のように刃 数の違う3枚のカッタを用いた(図6)。木材は測量 表 2 フ ラ イ ス カ ッ タ の 諸 元 200 。権数(rpm) 一一コ△F−:300(軟材) 一一公一一:400(軟材) 〃畠、 :300(硬材) ミーノ 岳:400(硬材) カッタ:12枚刃 160 140 ノ ノ 鞭側帥帥
l ︵白式︶︵柵哩掛挫︶包幻S庖慨 180』
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40 20 Ⅱ 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 送り速度(mm/s) 図 7 送 り 速 度 と 表 面 の 凸 凹 の 関 係 図 6 フ ラ イ ス カ ッ タ 用ポールに一般に使用される南洋材のラワン(lauan) を用いた。このラワン材2)は南方地域に産する,ふた ぱがき科の樹木であり,色調が濃く比較的硬いもの(硬 材)と色調が淡く比較的軟らかいもの(軟材)があり, その機械的性質を表3に示す。 回転数(rpm) 2 中島・田中・友野:長尺用木材加工機の設計・試作に関する研究 ExlernaIgear方式 ノ 20 ノ − 1 4 6 8 1 0 1 2 1 4 送り速度(mm/s) 送 り 速 度 と 表 面 の 凸 凹 の 関 係 表 3 ラ ワ ン 材 の 機 械 的 性 質 ノ MO 160 ノ : 0 】 10 / 〆△ざ
0002皿8
1 ︵E1︶︷柵哩糾雌︶ヨ屯e厘脳 3.実験結果ならびに検討 3.1Externalgear方式による木材の表面性状 図7,図8,図9に木材の送り速度,カッタの刃数 の違いによる木材表面の凸凹の関係を示す。一般的に 木 材 の 切 削 加 工 に お い て は カ ッ タ の 回 転 数 が 高 い ほ ど,カッタの刃数が多いほど,木材の送り速度が遅い ほど表面性状は良くなる傾向にあるが,本実験条件下 でも同一の傾向を示した。これはカッタ,一刃あたり の切込量の大小によって木材表面の凸凹の大小は説明 できる。また,軟材よりも硬材の方が表面の凸凹は小 さい傾向にある。しかし全般的に製品の表面性状は悪 く,図10のように多数のむしれが発生した製品もあっ た。送り速度が遅い条件下では比較的,表面‘性状の良 い 製 品 が 加 工 で き た が 非 能 率 的 で あ り 実 用 的 で は なヅ
硬材 軟桐 比 重 0.59 0.4二 哩縮強きくkq/cni) 400..-427 4z5∼470 曲げ強き(kq/cⅡi) 800∼957 647∼872 、 U謝枚) すくい角 逃げ角 ねじれ角 外織mnj内径(m) 全長(油) A B C ユ2 刀。 8 . ○ 再踊︺ 6 。 6。 6。 r , 戸 口 』 。 25。 1bo 50 50 50 22 80 80 80△
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式の回転数を高めたことになる。 図11,図12に木材の送り速度と木材表面の凸凹の関 係,図13にカッタの刃数の違いと木材表面の凸凹の関 係を示す。いずれの場合でも前項と同様,カッタの回 転数(切削速度)が高いほど,木材の送り速度が遅い ほど,カッタの刃数が多いほど良好な切削面が得られ ている。図14にExternalgear方式による木材表面の 0 1 (硬材) ○ 140 図9 1200帥
0 1 ︵昌迂︶︵綱塵署雑︶ 回転数(rpm) 0 6 コ屯e腫蝋 一句△一一:300(軟材) 一謹置−−:400(軟材) ←:300(硬材) − 画 一 : 4 0 0 ( 硬 材 ) カ ッ タ : 8 枚 刃 Internalgear方式 2 4 6 8 送り速度(mm/s) 図 1 2 送 り 速 度 と 表 面 の 凸 凹 の 関 係 50 000004321
︵E辻︶︵洲磨箸騨︶包幻e但淵 20 H 1 / 10 1 2 6 8 カッタの刃数(枚) カ ッ タ の 刃 数 と 表 面 の 凸 凹 の 関 係 一一一△−−:300(軟材) 一コ幽毎−9400(硬材) 一 C : 3 0 0 ( 硬 材 ) ろ:400(軟材) 50│
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し1審 0 2 4 6 8 送り速度(mm/s) 図 1 1 送 り 速 度 と 表 面 の 凸 凹 の 関 係 10 回転数(rpm) l、 3.21nternalgear方式による木材の表面性状 前項で述べたようにExternalgear方式での問題を 克服するために,カッタを回転させるための機構を Internalgear方式に改良した。 表lの実験条件でもわかるように,Externalgear 図10丸棒の表面'性状 い。このむしれの発生はカッタの回転数(切削速度) が低いことに起因する。カッタの回転数を高くするこ とにより,木材の表面’性状の向上が期待できるがEx‐ ternalgear方式ではギアの回転に伴なう遠心力のた めにギアのかみ合わせが悪くなり,騒音や振動が発生 し,これ以上カッタ回転数を高くすることは本実験条 件下では困難であった。 000
432m
︵ES︵柵曜卦騨︶包屯e厘附一一△
カッタ:12枚刃瀞
一一■一一:Externalgear(肱材) 51 鯉 方式の方が切削速度が高くなった分,木材の表面性状 が格段に向上しているのがわかる。Externalgear方 式での木材表面の凸凹が,軟材,硬材,含めて標準偏 差値が約25浬mから200/4mであったのに対し,Inter-nalgear方式では約5βmから30,αm程度までの範囲 内にあり,極めて良好な切削面を得る事ができた。(図 15)また,測量器製造メーカの製品は切削表面の凸凹 が標準偏差値で約38際mであるのに対し,本方式では, こ れ を 上 回 る 良 質 の 製 品 の 加 工 が 可 能 で あ る 。 加 工 能 率を向上させるには,木材の送り速度を速くして切削 加工を行なうことは当然であるが,本方式では騒音, 振 動 も 少 な く カ ッ タ の 回 転 数 を さ ら に 高 く す る こ と が 可能であり,送り速度を速くして従来の加工機より, 切削能率の向上も期待できる。 送り速度(mm/s) / 一一口一一:ExternaIgear(、I材)/ /