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渦巻銀河M33における表面輝度の動径分布

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Academic year: 2021

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渦巻銀河

M33 における

表面輝度の動径分布

11s1-015

大佐 彩佳

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2 目次 要旨 1 はじめに 1.1 恒星の温度と色 1.2 銀河とは 1.3 渦巻銀河の特徴 1.4 渦巻銀河 M33 2 観測 2.1 使用機材 2.2 観測方法 3 画像解析 3.1 画像処理 3.2 画像の合成と動径分布データの書き出し 4 結果 5 考察 参考文献資料

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3 要旨 本研究では渦巻銀河 M33 における表面輝度の動径分布や色による違いを求めることを 目的とし、明星大学天文台の 40cm リッチー・クレチアン望遠鏡と冷却 CCD カメラを用 いて B,V, R フィルターによる撮像観測を行った。各フィルターのデータを用いてカウ ント値の動径分布を描いたところ、どの色でも中心でカウント値が高く、外側に向かっ て減少していることが判明したが、その減少の度合いには違いが見られた。そこで分布 の広がりを定量化するパラメータとして、カウント値が銀河中心の半分になる半径 R_half を定義した。R_half の値は B、V、R フィルターでそれぞれ 160, 252.5,255 pc であった。このことから、色が青くて新しい星の方が中心に集中した分布をしているこ とが明らかになった。

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4 1 はじめに 1.1 恒星の色と温度 星には様々な色がある。星の色は黒体放射と同じように、表面温度に関係した最大波長 付近の色に見える。黒体放射とはそのもの自体がみずからその温度に応じた強さや波長で 放射している「連続スペクトル」である。なぜ、星の光が黒体放射かというと星は連続ス ペクトルを放射しているからである。黒体放射は、その物体の温度によって放射の分布が 異なる。 絶対温度Tの「熱いもの」の表面からでてくる放射は、その単位時間当たりのエネルギ ー放出率はその表面積に比例するが、(もし等方に放射されていれば)単位面積あたり、λか らλ+Δλの波長の光で B λ、T Δλ=𝐶 ! 2𝜋𝜆! 1 exp (ℎ𝑐 ℎ𝑇𝜆) のエネルギーが放出される(プランクの式)。ここで、c、h、kはそれぞれ光速、プラン ク定数、ボルツマン定数である。 温度Tを変えると、温度を上げるにつれて、強度が最大になる波長λmax が短くなって いる。このλmax は温度Tと λmax×T = 0.3cm・K のように反比例する。これをウイーンの法則(1893)と呼ぶ。温度が高いとエネルギーも高く なり、多くの光を放射している。したがって、高温になると 原子や分子の動きが激しくな ってエネルギーの大きな短波長の光が出る。 星の年齢は星の色の違いから、知ることができる。青、青白、白、黄、オレンジ、赤の 順で新しい星なのである。青白く見える星の大部分は、水素やヘリウムがたくさんあり質 量の大きい(重い)若い星であり、赤い星は水素(エネルギー)が少なくなり、全体が膨 らんで表面温度が下がった古い星である。 1.2 銀河とは 銀河とは恒星や星間物質、ダークマター(暗黒物質)の大集団のことをいう。銀河はそ れぞれ様々な形をしており,規 模や形によって分類され最も 一般的な分類図としてハッブ ル分類が知られている。大きく 分けて、楕円銀河、レンズ状 銀河、渦巻銀河の種類がある。 私たちが住む銀河系は棒渦巻 銀河に分類される。 図1 ハッブル分類の銀河

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5 1.3 渦巻銀河の特徴 様々な銀河の中で本研究の対象である銀河M33 が渦巻銀河である。 渦巻銀河は恒星が円盤状に分布し、その円盤面に渦状腕(かじょうわん)と呼ばれる渦巻状の パターンが見られる。渦巻銀河の構造は円盤部(ディスク)、バルジ、ハローの3 つに大別 される。 バルジは銀河の中心付近の恒星の分布が円盤の厚さ方向にふくらんだ構造で、円盤部と バルジを取り囲むようにハローが球状に広がっている。ディスクには若い恒星が多く含ま れ、星間物質も多く存在する。ハローには古い恒星が多く含まれ、その多くは球状星団と して存在し、銀河中心の周囲を軌道運動している。 図2 渦巻銀河の構造を横から見た図 1.4 渦巻銀河 M33 本研究の観測対象である渦巻銀河M33 はアンドロメダ銀河に次いで銀河系に近い渦巻銀 河である。地球から 840kpc の距離に位置している (Freedman et al. 1991)。直径は 196kpc である

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6 2 観測 2.1 使用機材 リッチー・クレチアン式反射望遠鏡 主鏡を放物面、副鏡を双曲面からわずかに変えた高次元非球面とし、収差を高度に除 去したカセグレン式の反射望遠鏡。普通のカセグレン系に比べて明るく、球面収差もコマ 収差もなく視野が広いが、像面湾曲が大きく焦点面が強い凹面鏡となる。 本研究では大学構内にあるこの型の望遠鏡で観測した。 口径40cm 焦点距離 2800 ㎜ 冷却CCD カメラ 現在、可視光の天体観測では最もよく使われている光検出器である。長年使用されて きた写真乾板に比べて高い感度(量子効率)と出力信号が入射光量に対して高い線形を 有するという特徴を持っているため、より効率的かつ定量的に観測を行うことができる。 カメラに搭載されているフィルターホルダー内に、ジョンソンフィルターが装填されて おり、今回は B,V,R フィルターを使用した。B フィルターは可視光の青色に対応する比較 的短い波長の光を通しやすく、R フィルターは赤色に対する比較的長い波長の光を通しやす く、V フィルターはその中間の波長の光を通す。 特性は以下の図の通りである。 図 3 測光用ジョンソンフィルターの透過率曲線 フィルターメーカーSbig 社 web サイト http://www.sbig-japan.com/UBVRI/ubvri m.htmlから引用

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7 2.2 観測方法 冷却CCD カメラの準備 CCD カメラの配線を繋げてパソコン上にある専用のソフトによって CCD カメラを 制御した。 CCD カメラの温度を外気から-20℃程度まで下げる作業が 30 分~1 時間程度かかっ た。設定した温度まで下がったら、望遠鏡に CCD カメラを取り付けた。CCD カメラ を水平にセットし、望遠鏡の目標天体に M33 を入力して望遠鏡を目標天体に向けた。 冷却CCD カメラのフィルターの種類もこの時に決定した。 観測に入る前にピントを合わせる作業を行った。望遠鏡のピントを合わせたり本体を 動かすためのコントローラがあるので、それを操作してよく見える数値を探した。肉眼 ではフォーカスの良し悪しは判別できないので、フォーカス画像をCtrl drag anddrop すると見ることのできる明るさのカウント値によって判断した。そして、本番の撮像の 露出時間をピント合わせの際に決めた。 観測手順 目標銀河の M33 に望遠鏡を導入し、露出時間、撮像枚数、ダークフレーム、フィルタ ーを設定して自動連続撮影で撮影を行った。 以下に、観測日・観測条件を示す。 月齢 16.6 湿度 39% 今研究では、ドームフラットを採用した。 観測日 フィルター 露出時間 枚数 B 50 30 V 50 30 R 50 30 2014年12月9日

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8 2.3 画像処理 ダークフレーム処理 CCD は冷却することで暗電流によるノイズ(ダークノイズ)は少なくなるが、他にも 読み込みノイズやバイアスといったノイズ要素があるため、これらを除く必要がある。 そのノイズ要素を含めたダークノイズを補正するには、天体を撮像した画像(ライトフ レーム)から、ダークノイズだけの成分を撮像した画像(ダークフレーム)を引く。ダ ークフレームを得るには、CCD 表面に全く光が当たらないようにし、ライトフレーム を撮像したときと同じ露出時間と冷却温度で撮像すればよい。 フラットフィールド処理 均一な光源を撮影した場合でも、写真の端で中央に対する輝度値の減少など、使用し た光学系に起因するムラができる。 したがって、これらの原因で起こる光量ムラ、周辺減光、CCD 各ピクセルの感度の ムラや、CCD 表面に付着したゴミ等の影響を補正するために、均一な光源を撮像した フラットフレーム画像でライトフレーム画像を割る必要がある。 図4 使用した B フィルターのフラットフレーム

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9 2.4 画像の合成と動径分布データの書き出し 画像の合成にはステライメージを使用した。ずれがあったため各フィルター、一枚ず つ合成した。ずれの最大は以下の画像の通りであった。 図5 合成時の最大のずれ 合成した画像は以下の通りである。北が上である。 図6.2 V フィルターの合成画像 図6.1 B フィルターの合成画像

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10 合成した画像から、長軸に沿った表面輝度の動径分布を求めるため画像解析した。解 析にはマカリを使用した。長軸の中心は目視でより光が多く集まっているところの真ん 中に決めた。M33 は長軸が北から反時計回りに 22.5°ずれているため(Paturel et al. 2003)、分度器で計り、線を引いた。そこで得られたテキストデータを Excel に出力し た。 図7 マカリで光度の動径分布を求める 図6.3 R フィルターの合成画像

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11 3 結果 Excel のデータを元にグラフを作成した。グラフ作成時に縦軸であるカウント値から、ス カイ値を引くため、スカイ値を求めた。スカイ値とは星以外の空の明るさを示す。 スカイ値はマカリを使用し、求めた。星のない場所を選び50 ピクセルの円領域を三ヶ所 とり、平均を求めた。 図8 マカリでスカイ値を求める グラフ作成時に横軸の単位をピクセルからpc に治した。その換算係数の求め方は以下の 通りである。

3 つ基準となる星を決め、Aladin Sky Atlas で座標(赤軽・赤緯)を調べた。次にマカリ で同じ星の座標をピクセル単位で調べた。決めた星は以下の三点である。

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12 以上の方法で調べた赤経・赤経とピクセル座標は下記の通りである。 23.28 30.78 798 赤経 赤緯 X Y 右上 23.65 30.77 135 737 右下 23.30 30.50 776 177 右上 23.28 30.78 798 771 次に星と星の距離を天球面上の角度・ピクセル数それぞれで計算して求め、そこから 1 ピクセルが何秒角かを求めたところ、左上-右下、左上-右上、右下-右上、それぞれ 1.78、 1.89、2.02 秒角となった。平均をとり、1 ピクセルは 1.88 秒角となった。 さらに1 秒角を pc になおすため、下記の式を用いた。ここでは R は天体までの距離、d θは1 秒角をラジアンで表したものである。距離は 840kpc と仮定して半径を求めた。 𝑅d𝜃 =840×1000π 3600×180

=

!"#$"%% !"#$%%%

=4.07 (pc)

1 秒角 4.07pcということがわかった。1 秒角を 4.07pc として計算した。 データを元に各フィルターの表面輝度の動径分布のグラフを作成した。青い線の方が北 東側で、赤い線の方が南西側である。縦軸はカウント値で、横軸は銀河中心からの距離で、 単位は pc である。

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13 図10.1 B フィルターの表面輝度の動径分布 図10.2 V フィルターの表面輝度の動径分布 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 0 500 1000 1500 2000 2500 カ ウ ン ト 値 pc

Bフィルター

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14 図10.3 R フィルターの表面輝度の動径分布

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15 5 考察 明るさの動径分布のなだらかさの指標として、カウント値が銀河中心の半分になる半径 R_half を定義した。すると R_half の値は B フィルターで南西側が 217.5pc、北東側が 160pc となった。同様にして、V フィルターでは南西側 202.5pc、北東側 252.5pc、R フィルター では南西側225pc、北東側 255pc という値になった。2 つ値がでたが、北東側の値を信用す る。なぜなら、北東側の縦軸であるカウント値が各フィルターとも 0 に近いからである。 南西側のほうは各フィルターとも 500 前後高く、きちんとスカイ値が引けていない可能性 があるからだ。 R_half の値が小さいほど中心に集中した分布であると言える。すなわち色が青くて若い 星の方が比較的中心に集中していることが判明した。

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16 参考文献資料

Freedman, W. L., Wilson, C. D., & Madore, B. F. "New Cepheid distances to nearby galaxies based on BVRI CCD photometry. II - The local group galaxy M33”, Astrophysical Journal, vol. 372, p.455-470 (1991)

Paturel et al. "HYPERLEDA. I. Identification and designation of galaxies”, Astronomy and Astrophysics, vol.412, p.45-55 (2003)

・シリーズ現代の天文学 銀河(1) 谷口義明・岡村定矩・祖父江義明 編 ・シリーズ現代の天文学 銀河(2) 祖父江義明・有本信雄・家正則 編

図 9 Aladin Sky Atlas(http://aladin.u-strasbg.fr/)

参照

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