• 検索結果がありません。

中国における加工貿易の産業構造高度化と課題

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中国における加工貿易の産業構造高度化と課題"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

KANSAI GAIDAI UNIVERSITY

中国における加工貿易の産業構造高度化と課題

著者

韓 堅放

雑誌名

研究論集

90

ページ

83-102

発行年

2009-09

URL

http://doi.org/10.18956/00006176

(2)

中国におけ る加工貿易 の産業構造高度化 と課題

堅  放

要   旨   改 革 開 放 以 来 、 加 工 貿 易 は 中 国 の経 済 成長 に 外 貨 獲 得 、 雇 用 創 出、 社 会 の安 定 維 持 な どの 面 で 大 い に貢 献 し、 中 国の 対 外 貿 易発 展 の原 動 力 とな って い る。 しか し、 近 年 加工 貿 易 の 問題 点 が 表 面 化 して い る こ とか ら、 中 国 は 加 工 貿 易 の 抑 止 策 を 矢 継 ぎ早 に 打 ち 出 して い る。   本 論 文 で は 、 輸 出還 付 税 率 調 整 と加工 貿 易 禁 止 商 品 目録 拡 充 を 中心 と した 中 国 の 加工 貿 易 抑 止 策 を 考 察 し た うえ、 加 工 貿 易 の 産業 構 造 高 度 化 の 方 向 性 を 検 討 して い る。 中 国 で近 年 進 め られ て い る産 業 構 造 高 度 化 を 目指 す た め の 加工 貿 易 の 中 西 部 へ の 段 階 的 移 転 お よ び 「騰 籠換 鳥 」戦 略 を 取 り上 げ て、 そ れ ぞ れの 限 界 を 分 析 した。 経 済 の グ ロ ーバ ル 化 に 伴 って、 労 働 集 約 型製 品の 加 ⊥ ・ 組 立 工 程 にお け る競 争 が ます ま す激 し くな る中 で 、 中 国 は これ まで の 輸 出価 格 の競 争 か らブ ラ ン ドの 競 争 に 変 え、 研 究 開 発 、 設 計 、 生産 、 販 売 、 サ ー ビス の一 体 化 した産 業 構 造 の 高 度 化 を 進 め な け れ ば な らな い こ とを 提 言 して い る。 キ ー ワ ー ド:加 工 貿 易 、 来 料 加 工 貿 易 、 進 料 加 工 貿 易 、 輸 出 還 付 税 、 産 業 構 造 高 度 化 1.は じ め に   改 革 開放 後 、 中 国 の対 外 貿 易 は急 ピ ッチ で 拡 大 して い る。1978年 の 貿 易 総 額 は206.4億 ドル で あ り、2007年 は2兆1738.3億 ドル とな り、1978年 の105倍 で あ った 。2007年 中 国 は 輸 出額 で は 世 界 第2位 、 輸 入 額 で は 世 界第3位 に 躍 進 し、 名 実 とも貿 易 大 国 に な って い る。 形 態 別 で は 、 加 工 貿 易 比 率 は96年 か ら13年 連 続 して 輸 出額 の50%以 上 を 占め て い る。 加 工 貿 易 は 中 国 の 経 済 成 長 に外 貨 獲 得 、 雇 用 創 出、 社 会 の 安 定 維 持 な どの 面 で 大 い に 貢 献 し、 中 国 の 対 外 貿 易 発 展 の 牽 引 役 とな って い る。   とこ ろが 、 近年 加 工 貿 易 の 問 題 点 が 顕 在 化 して い る。 産 業 分 布 の 不 均衡 性 に よ り労働 集 約 型 製 品 の 過 剰 供 給 が 生 じて お り、 付 加 価値 と技 術 レベ ル の 低 い 労働 集 約 型 製 品 の 大 量 輸 出が 貿 易 摩 擦 を 頻 繁 に引 き起 こ し、 粗 放 型 製 造 業 は 環 境 破 壊 と資 源 浪 費 を 深 刻 化 させ て い るな ど、 加 工 貿 易 の 弊 害 が 目立 って い る。 そ れ ゆ えに 、 中 国 は これ まで の 投 入 量 の 拡 大 に よ る 「粗 放 型 」 成 長 か ら生 産 性 の上 昇 に よ る 「集 約 型 」 成 長 へ 、 「量 」 か ら 「質 」 へ 、 そ して 貿 易 大 国 か ら貿 易 強 国 へ と輸 出指 向型 成 長 戦 略 を 転 換 させ 、 産 業 構 造 高 度 化 を 推 進 し、 持 続 可 能 な 経 済 成 長 お よ び 貿 易 強 国 の 実 現 を 図 ろ う とし た。 貿 易 構 造 を 高 度 化 させ る方 策 として ま ず 着 手 され た の は 、

(3)

韓   堅 放 加 工 貿 易 の 産 業 選 別 で あ る。 そ の た め 、 加 工 貿 易 を 抑 制 す る措 置 が 次 々 と打 ち 出 され て い る。   本 論 文 で は 、 中 国 の 加 工 貿 易 の あ り方 を概 観 した うえ、 加 工 貿 易 の 抑 止 策 を 考 察 し、 今 後 の 産 業 構 造 高 度 化 の 方 向性 を 提 言 す る こ とを 目的 とす る。 そ こで 第2章 で は 、 中 国 加 工 貿 易 の 構 造 的 特 徴 を概 観 した うえ、 存 在 して い る問 題 点 に 触 れ る。 第3章 で は 加 工 貿 易 を め ぐる抑 止 策 を 輸 出増値 税 率 調 整 と拡 充 され た加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 項 目を 中 心 に 考 察 す る。 第4章 で 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 高 度 化 推 進 に つ い て 、 政 府 主 導 の 下 で 実 施 され る加 工 貿 易 の 中 西 部 へ の 移 転 戦 略 と 「騰 籠 換 鳥 」 戦 略 お よび そ れ ぞ れ の 限 界 を 論 じ る。 そ の 上 、 加 工 貿 易 の 付 加 価値 と技 術 水 準 が 低 い 現 状 に鑑 み 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 高 度 化 を 進 め る中 で 長 い 産 業 チ ェ ー ンを 持 つ べ きで あ る と提 言 した い。 第5章 で は 本 論 を ま とめ 、 政 策 上 の 課 題 を 明 らか に した い 。 2.中 国 にお け る加 工 貿 易 の あ り方 と問 題 点 (1)加 工 貿 易 の 発 展 要 因   加 工 貿 易 とは 、 外 国 企 業 が 中 国 企 業 に 原 材 料 、 サ ン プル 、 部 品 を 提 供 し、 加 工 を 委 託 す る形 態 で あ り、 「来 料 加 工 」(委 託 加 工 貿 易)と 「進 料 加 工 」(原 料 輸 入 加 工 貿 易)の 二 種 類 が あ る。 「来 料 加 工 」 とは無 償 で供 与 され た 輸 入 原 料 を 加 工 し輸 出 し、 委 託 企 業 が 中 国企 業 に 加工 賃 金 の み を支 払 う こ とで あ る。 「進 料 加 工 」 とは 、 原 材 料 を購 入 し加工 した 後 、 そ の 製 品 を輸 出 す る こ とで あ る1)。   中 国 で 加 工 貿 易 は1978年 来 料 加 工 の 形 で 始 ま っ たの で あ る。 改 革 開 放 初 期 、 中 国 は 多 くの 発 展 途 上 国 が 工 業 化 初 期 段 階 に 入 る際 に ぶ つ か る問 題 と同様 に 、 資 金 、 資 源 と技 術 の 不 足 で あ っ た 。 中 国 の 指 導 部 は韓 国 、 台 湾 、 シ ン ガ ポ ール 、 香 港 な どア ジ アNIESと 日本 が 外 向型 経 済 を 発 展 させ 、 経 済 全 体 の 高 度 成 長 を 推 し進 め た 経 験 か ら汲 み 取 り、 外 国 の 先 進 技 術 と経 営 管 理 経 験 お よび 資 金 を 吸 収 す るた め に 輸 出指 向の 政 策 を 実 行 し、 そ して 中 国 の 労働 集 約 型 産 業 に お け る比 較 優 位 を発 揮 す るた め に 、 「三 来 一 補 」(来 料 加 工 、 来 件 装 配 、 来 様 加 工 、 補 償 貿 易) 〔原料 提 供 加 工 、 部 品組 立 、 見 本 提 供 製 造 、 補 償 貿 易 〕 を採 り、 大 量 輸 出 を通 して外 貨 を獲 得 す る こ とを決 定 した2)。加 工 貿 易 は そ の 「三 来 」 の こ とで あ り、 「両 頭 在 外」(原 材 料 と製 品 は 国 際 市 場 に依 存 す る)と 「大 進 大 出 」(大 い に 輸 入 して 大 い に輸 出 す る)の 二 大 特 徴 を持 って い る。 「両 頭 在 外 」 に よ り、 原 材 料 供 給 と製 品 販 売 は 国際 市 場 に 任 せ られ 、 そ して経 済特 区 を 設 置 す る こ とで 国 内市 場 へ の 影 響 を な るべ く回 避 させ よ う とした 。 中 国 側 か らす れ ば 優 位 性 に 沿 っ た外 貨 稼 ぎの 方 法 で あ る。   80年 代 後 半 にな る と、 東 ア ジア を 中 心 とした 外 資 企 業 は 国 際 的 な 水 平 分 業 の 発 展 を 進 め る中 で 、 中 国 は よ り外 資 へ の 依 存 度 を 強 め 積 極 的 に 外 資 導 入 を 促 進 し、 主 として 労働 集 約 型 産 業 に 設 立 され た 外 資 企 業(三 資 企 業)に よ り進 料 加 工 貿 易 を 行 い 、 「以 進 養 出」(輸 入 に よ って 輸 出

(4)

を 促 進 す る)の 外 向 き輸 出指 向政 策 を 取 り入 れ 、 政 策 上 で 来 料 加 工 か ら進 料 加 工 へ の 転 換 を 誘 導 した。   輸 出指 向型 成 長 戦 略 を 進 め る ため に 、 輸 出優 遇 税 制 や 優 遇 金 利 、 為 替 レ ー トの過 小 評 価 、 お よび 法 人 税 等 の 減 免 とい った 輸 出産 業 へ の イ ンセ ンテ ィ ブな どが 実 施 され た 。80年 代 後 半 か ら 次 第 にFDI(外 国 直 接 投 資)流 入 が 増 え 始 め 、 工 業 部 門 へ は香 港 と香 港 経 由 で の 台 湾 の 小 規 模 資 本 が 投 資 回 収 の 早 い 労 働 集 約 型 の 加 工 組 立 産 業 へ と投 資 され て きた 。 これ で 三 資 企 業 が 増 加 す る と とも に進 料 加 工 貿 易 が増 大 して きた3)。89年進 料 加工 貿 易 輸 出 入 額 は192.5億 ドル で あ り、 初 め て 来 料 加 工 貿 易 輸 出 入 額 を 上 回 って 加 工 貿 易53.1%を 占 め た 。2004か ら2007年 の3年 間 で 、 来 料 加 工 貿 易 比 重 は22.2%か ら20.8%に 下 が り、 進 料 加 工 貿 易 輸 出入 額 は80%近 く占め て い た 。 現 在 進 料 加 工 貿 易 は 加 工 貿 易 の 中 で 主 要 な 貿 易 形 態 とな って い る。   一 方 、 国 内企 業 は 、① 各 級 地 方 政 府 の 財 政 請 負 と各 省 庁 ・単 位 で の 貿 易 権 の 下 放 と外 貨 留保 権 の 獲 得 、② 国 内の イ ン フ レ対 策 として の 金 融 引 き締 め に よ る資 金 不 足 か らの 外 貨依 存 度 と新 技術 開発 ・技術 向上 へ の依 存 度 の 上 昇 、③ 保税 制 度 な どの外 資 導 入優 遇 政 策 に よ り原 材料 調 達 ・ 生 産 拡 大 ・輸 出ル ー トの 開 拓 な どが 容 易 とな る背 景 の 中 で 、 加 工 貿 易 へ の 参 入 が 急 増 した4)。   さ ら に加 工 貿 易 発 展 の 直 接 的 要 因 と して の 優 遇 措 置 と政 策 に 、 「輸 出 還 付 税 制 度 」 の 改 革 ・ 完 備 が あ る。 各 種 企 業 の 輸 出奨 励 の た め に 、 中 国 で は85年 か ら輸 出商 品 に対 して 増 値 税5)と営 業 税 の 還 付 を 開 始 した 。88年 か らはr徴 税 と還 付 税 の リン ク(徴 税 額 に応 じた還 付 税 額)」 を 遂 行 し、 さ らに94年 の 税 制 改 革 後 に は輸 出商 品 に ゼ ロ税 率政 策 を 実 行 した6)。こ う して、 加 工 貿 易 は 急 速 に発 展 して き た。 (2)加 工 貿 易 の あ り方   78年 以 来 加 工 貿 易 は 目覚 しい 発 展 を 遂 げ 、 中 国 が 工 業 化 を 進 め る過 程 に お い て 大 きな 役 割 を 果 た して き た。 具 体 的 に は 、① 国 際 競 争 力 を もつ 製 造 業 が 形 成 され た 、② 大 量 の 新 製 品 ・新 技 術 を も た らす こ とに よ って 新 しい 産 業 が 作 り上 げ た 、③ 企 業 の 技 術 開 発 力 を 高 め 、 技 術 の 進 歩 を 促 した、④ 加 工 貿 易 の 技 術 と管 理 経 験 の 波 及 効 果 は 国 内企 業 の 技 術 進 歩 と産 業 の 高 度 化 を 促 進 した 、⑤ 大 量 の 工 業 化 生 産 に 適 応 で き る熟 練 労 働 者 を 育 成 し た、⑥ 大 勢 の 国 際 化 競 争 に適 応 で き る技 術 者 と管 理 人 材 を 育 成 した 、⑦ 加 工 貿 易 が 生 み 出 した 巨額 の 貿 易 黒 字 は 先 進 設 備 を 輸 入 す るの に有 利 な 条 件 を 提 供 し、 国 の 工 業 化 過 程 を 加 速 し た(隆 国 強 等 著 、2003)な ど、 中 国 の 学 者 た ち は ま とめ て い る7)。要 す る に、 加工 貿 易 は 中 国 の貿 易 発 展 を 持 続 させ る重 要 な 原 動 力 で あ る。   近 年 、 加 工 貿 易 には 次 の 三 つ の 特 徴 が 見 られ る。 ① 外 資 企 業 が 中 心 的 主 体 とな る構 造   表1か ら分 か る よ うに 、 「外 資 企 業 」(合 弁 企 業 、 独 資 企 業 、 合 作 企 業)の 比 重 が か な り高 く、

(5)

韓   堅 放 加 工 貿 易 発 展 の 原 動 力 とな って い る。80年 代 末 外 資 企 業 は 中 国 の 郷 鎮 企 業 に 取 って 代 わ って 中 心 的 主 体 にな っ た後 、 外 資 企 業 の 加 工 貿 易 輸 出額 と加 工 貿 易 輸 出額 に 外 資 企 業 が 占め る割 合 と とも に上 昇 し続 け て きて い る。97年 外 資 企 業 が 加 工 貿 易 輸 出額 に 占 め る比 重 は64.1%で あ った が 、04年 同比 重 は81.2%に 上 昇 し、8年 間17%増 えた 。 さ らに、 外 資 企 業 の 内部 構 造 を み る と、 合 弁 企 業 と合 作 企 業 に 比 べ 独 資 企 業 の 比 重 が 高 い こ とが 特徴 で あ る8)。中 国 の 貿 易 額 の過 半 分 は 外 資 企 業 に よ って 支 え られ て い るの が 現 状 で あ る。 これ は 、 多 国籍 企 業 に よ る企 業 内国 際 分 業 ネ ッ トワ ー クは 、 中 国 の 貿 易 を 左 右 す る段 階 に 達 して い る こ とを 示 して い る。   そ れ に対 し、2004年 加 工 貿 易 の 中 で 国 営 企 業 比 率 は96年 と比 べ13.36%下 が った 。 一 方 、 私 営 企 業 比 重 は96年 の1.4%か ら04年 の5.18%に 拡 大 した 。2005年 中 国の 輸 出額 上 位200社 の 中 で 、 外 資 企 業 は148社 を 占 め、 国有 企 業 と民 営 企 業 は それ ぞれ39社 と4社 とな った。 表1加 工貿易 におけ る外資企業の比重 年 外 資 企 業 の 加工 貿 易 輸 出額(億 ドル)     加 工 貿 易 輸 出 額 に 外 資 企 業 が 占め る比 重(%)       外資 企 業 が 輸 出 総 額 に 占め る比 重(%) 1997 638.1 64.1 82.1 1998 691.8 66.2 90.2 1999 745.4 67.2 86.8 2000 972.3 70.6 82.9 2001 1066.0 72.3 84.7 2002 1346.0 74.8 79.2 2003 1902.7 78.7 79.2 2004 2663.5 81.2 78.7 (出所:商 務 部 機 電 司 統 計 に よ り作 成) ② 沿 海 地 区 集 中 の 地 域 構 造   加 工 貿 易 は 中 国 で 沿 海 地 域 を 拠 点 に 発 展 し始 め た の で あ る。 主 に 広 東 、 天 津 、 上 海 、 江 蘇 、 山東 、 福 建 、 漸 江 に集 中 して お り、 加 工 貿 易 の90%ぐ らい を 占め て い る。 省 市 別 で 見 る と、 両 加 工 貿 易 形 態 とも に広 東 省 が 圧 倒 的 な 比 率 を 占め て い る。 これ は 、 沿 海 部 が 良 好 な 地 理 的 条 件 や イ ン フ ラ整 備 や 高 い加 工 能 力 に 加 え、80年 代 以 降 の 経 済 特 区 ・経 済 技 術 開 発 区 ・経 済 開 放 区 の 設 定 等 外 資 企 業 に対 す る優 遇 政 策 に よ り海 外 か らの 大 量 の 直 接 投 資 を 惹 きつ け た 結 果 で あ る。 加 工 貿 易 は 中 西 部 で 立 ち 遅 れ た に もか か わ らず 、 近年 急 成 長 して い る。2005年 中 西 部 の 加 工 貿 易 輸 出入 額 は2000年 と比 べ1.6倍 増 の149.5億 ドル に上 り、 年 伸 び率 は23%と な っ た。

(6)

③ 労 働 集 約 的 製 品 と技 術 集 約 的 製 品 が 併 存 して い る製 品 構 造   1991年 以 前 、 加 工 貿 易 は 「進 料 加 工 」 と 「来 料 加 工 」 に よ る労働 集 約 型 産 業 に 集 中 して い た が 、92年 以 降 、 中国 は全 方 位 開放 に踏 み 切 った こ とに よ って 、 多 国籍 企 業 の対 中投 資 の ラ ッシ ュ が 起 き、 労 働 集 約 型 産 業 と技 術 集 約 型 産 業 が 併 存 す る よ うに な った 。 製 品 別 で は 、 加 工 貿 易 輸 出額 にお け る労働 集 約 的製 品 の 比重 は91年 の70-80%か ら2003年 の23%に 下 が った。 軽工 業 品 ・ 紡 績 品 の加 工 貿 易 輸 出額 に 占 め る比 率 は1396、 化 学 工 業 製 品 と鉱 産 物 の 同比 率 は196を 下 回 っ た。 銑 鉄 、 鉄 合 金 、 電 解 ア ル ミ、 皮 革 な どの 製 品 の 加 工 貿 易 輸 出額 は 大 幅 に 下 落 した 。 一 方 、 電 機 製 品 とハ イテ ク製 品 の 割 合 が 連 年 高 ま りつ つ あ る。91年 電機 製 品 の 比 率 は そ れ ほ ど高 くな か っ たが 、2002年 にな る と、 電 機 製 品 とハ イテ ク製 品 の 比 率 は そ れ ぞ れ65%と34%を 占め た 。 2006年 機 電 製 品 とハ イ テ ク製 品 の 加 工 貿 易輸 出額 は それ ぞれ3913.2億 ドル と2458.4億 ドル で あ り、 加 工 貿 易 輸 出 品 に 占 め る 比 率 が76.7%と48.2%と な った 。2005年 同期 と比 べ1.6%と1.4% 増 え、 同種 類 製 品 輸 出額 の 中 で71%と87%を 占め た。   この よ うに、 中 国 の 輸 出構 造 は 一 次 製 品 を 主 とした 輸 出か ら工 業 製 品 を 主 とした 輸 出に 変 わ りつ つ 、 そ して 、 工 業 製 品 の 中 で ハ イテ ク製 品 の 割 合 は 上 昇 して い る。 そ の 大 半 は 加 工 貿 易 に よ る もの で あ っ た。   とこ ろが 、 中 国 の 輸 出製 品 構 造 は 技 術 ・資 本 集 約 型 化 して い る とは い え、 技 術 力 が 高 く求 め られ る製 品 分 野 で は 、 中 国 は 相 変 わ らず 輸 入 国 に な って い る。 中 国 の 対 外 貿 易 は 全 体 か ら 見れ ば 、 依 然 と して 低 付 加 価値 の 製 品 を 輸 出 して 資 本 集 約 型 製 品 を 輸 入 して い る状 況 に あ る。 (3)加 工 貿 易 に 存 在 し て い る 問 題 点   近 年 、 加 工 貿 易 に 関 す る い くつ か の 問 題 点 が 表 面 化 し て い る 。 ま とめ て い う と、 次 の こ とが 挙 げ ら れ る 。 第1に 、 製 造 業 に 集 中 す る 産 業 分 布 の 不 均 衡 性   中 国 の 加 工 貿 易 は 外 資 導 入 に 伴 っ て 発 展 し て ぎ た も の が 多 い こ とで 、 加 工 貿 易 に お け る 産 業 分 布 は 、 外 資 利 用 に お け る 産 業 分 布 とは 正 の 相 関 関 係 に あ る 。2008年 ま で の 対 中 直 接 投 資 上 位 10力 国 で は 、 香 港 、 日本 、 韓 国 、 台 湾 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 米 国 、 ド イ ツ 、 英 領 バ ー ジ ン 諸 島 、 ケ イ マ ン 諸 島 、 サ モ ア とな っ て い る 。 な お 、 英 領 バ ー ジ ン 諸 島 、 サ モ ア 、 ケ イ マ ン 諸 島(英)な ど タ ッ ク ス ヘ イ ブ ン 地 域 か ら の 投 資 の 大 半 は 台 湾 と香 港 企 業 に よ る 迂 回 投 資 と見 ら れ る9)。   表2に 示 さ れ た よ うに 、 産 業 別 で は 、02年 第 一 次 産 業 で 新 規 設 立 件 数 、 対 中 投 資 総 額 に 占 め る 投 資 金 額 の 比 重(契 約 ベ ー ス と実 行 ベ ー ス)は と も に 低 く、 そ れ ぞ れ2.85%、2.04%と1.95 %と な っ た 。 こ れ に 対 して 、 第 二 次 産 業 で は 同 件 数 、 同 比 重 は 、 そ れ ぞ れ73.98%、73.85%と 73.48%と な り、 と も に7割 を 超 え て い た 。 ま た 、 第 二 次 産 業 の 中 で 、 製 造 業 に お け る新 規 設 立 件 数 、 投 資 金 額(契 約 ベ ー ス と実 行 ベ ー ス)は そ れ ぞ れ254930社 、592億 ドル と368億 ドル とな

(7)

韓   堅 放 り 、 そ れ ぞ れ 、98.62%、96.97%と94.96%を 占 め た 。 表2  2002年 対 中 直 接 投 資 の 産 業 構 造 (単位:億 ドル 、%) 産業別 新規設立件数 投 資 金 額 (契約 ベ ース) 比重 投 資 金 額 (実行 ベ ース) 比重 総    額 34,171 827.68 100 527.43 100 第 一 次 産 業 975 16.88 2.04 10.28 1.95 第二次産業 25,279 611.26 73.85 387.56 73.48 第三次産業 7,917 199.55 24.11 129.59 24.57 (出所:中 国 商 務 部 「ri際貿 易 経 済 合 作 研 究 院 『中[対 外 経 済 貿 易 白皮 書 』 中 信 出 版 社,2003年,205頁)   この よ うに、 外 国 資 本 の 大 規 模 な 進 出は 製 造 業 を 中 心 に 中 国 へ の 影 響 を 急 速 に 強 め つ つ あ る。 外 資 企 業 に よ る生 産 は 、 ア パ レル 、 繊 維 、 皮 革 、 家 具 、 靴 とい った 労働 集 約 型 産 業 に お い て 比 較 的 高 い生 産 シ ェ アを 持 って い るだ け で な く、 家 電 や プ ラス チ ック、 金 属 製 品 な どあ る程 度 技 術 集 約 度 の 高 い 産 業 で 極 め て 高 い 地 位 を 占め て お り、 さ らに 電 子 、 通 信 設 備 の よ うな 中 国 経 済 の 将 来 を 大 き く規 定 す る基 幹 産 業 で も、 決 定 的 な 優 位 性 を 持 って い る こ とで あ る。 中 国 の 自動 車 産 業 の 有 力 メ ー カ ーは ほ ぼ す べ て 外 資 企 業 で あ るlo)。   加 工 貿 易 の 不 均 衡 な 産 業 分 布 に よ り、 第 二 次 産 業 に お け る労働 集 約 型 製 品 の過 剰 供 給 が 発 生 し、 そ して 国 内 にお け る多 く同質 の 製 品 と互 い に 代 替 関 係 に あ る ため 、 競 争 力 の な い 多 くの 国 内企 業 が 経 営 不 振 に陥 って い るの で あ るm。 第2に 、 付 加 価値 と産 業 へ の 連 関 効 果 が 低 い こ と   加 工 貿 易 は 本 来 発 展 途 上 国 に とって 工 業 化 を 推 進 す る際 の 有 利 な 戦 略 の 一 つ で あ る。 特 に 、 外 資 利 用 を 通 じて の 加 工 貿 易 は 途 上 国 の 工 業 化 波 及 過 程 に お い て 工 業 発 展 の プ ロセ ス を 短 縮 す る近 道 として 位 置 づ け られ て い る。 そ の 波 及 過 程 は 加 工 貿 易 が 当 初 外 資 を 利 用 しな が ら労働 集 約 財 の 輸 出加 工 を 発 展 させ 、 そ の 成 果 か ら国 内の 中 間 投 入 財 生 産 産 業 とサ ポ ーテ ィ ン グ産 業 で の 国 内企 業 の 育 成 ・発 展 とそ の 発 展 過 程 に お け るス ピ ン ・オ フが 期 待 され るの で あ る。   しか し、 中 国 の 加 工 貿 易 が 競 争 力 を もつ 分 野 は 、 部 品 の 簡 単 な 加 工 や 組 立 とい った 低 付 加 価 値 の 労 働 集 約 型 工 程 に限 られ て い る。 形 態 で は 、OEM(相 手 方 の デ ザ イ ン ・ブ ラ ン ドに よ る 加 工)で あ る。 加 工 工 程 が 少 な く、 国 内の 中 間 投 入 財 生 産 産 業 とサ ポ ーテ ィ ン グ産 業 へ の 連 関 効 果 が 低 く、 付 加 価値 が 高 くな い こ とが 特 徴 で あ る。 中 国 の 大 部 分 の 輸 出品 は 加 工 貿 易 製 品 の

(8)

輸 出で あ るが 、 しか し、 わ ず か な 加工 賃 だ け を 手 に 入 れ 、 うまみ が 非 常 に少 な い。例 え ば、PC マ ウス を 生 産 す る外 資 企 業 が 蘇 州 で 製 造 した マ ウス の 販 売 単 価 は40ド ル で あ る。 この40ド ル の 価 格 構 成 として 、   原 材 料(部 品 代)  40ド ル ×35%=14ド ル   工 場 で の 発 生 費 用(賃 金 ・電 気 代 ・そ の 他 経 常 経 費)  40ド ル ×7.5%=3ド ル   外 資 企 業 の 粗 利     40ド ル ×20%-8ド ル   製 品 出荷 後 の 流 通 過 程 費 用(代 理 店 ・小 売 店)  40ド ル ×37.5%=15ド ル 、 とな って い る12)。   ま た、 加 工 貿 易 輸 出製 品 は ア パ レル 、 紡 績 、機 電 部 品 な どの 川 下 産 業 へ の 低 技 術 集 約 的 製 品 に集 中 して お り、 大 半 の 加 工 貿 易 輸 出製 品 は 付 加 価 値 度(加 工 技 術 水 準)と 技 術 水 準 が 低 く、 産 業 へ の 連 関 効 果 は 非 常 に 低 い 。   ま た 、 近 年 電 子 、IT製 品 の 輸 出額 は 急 増 す る もの の 、 そ の大 部 分 は 外 資 企 業 が 果 た した も の で あ る。 中 国 の ハ イテ ク企 業 の 多 くは 多 国 籍 企 業 の 製 品 に ラベ ル を 貼 り付 け 、 実 際 には 多 国 籍 企 業 の 加 工 ・組 立 工 場 に 過 ぎな い 。 例 えば 、 イ ンテ ル 科 学 技 術(上 海)有 限 会 社 は イ ンテ ル 本 社 に とって 国 際 事 業 を 展 開 す る中 で 規 模 が 最 も大 きい チ ップ工 場 の 一 つ で あ る。 しか しな が ら、 そ こで の 生 産 過 程 を 見 る と、 チ ッ プの 検 査 と包 装 工 程 だ け で あ り、 コア 生 産 技 術 は 本 社 が 握 って い る とい わ れ る。 この 他、 関 志雄 博 士 に よれ ば 、 「メ イ ド ・イ ン ・チ ャ イ ナ」 とい うラ ベ ル が 貼 られ て い るパ ソ コ ンの 付 加 価値 を 部 品 ご とに調 べ る と、CPUは ア メ リカの イ ン テ ル 、 マ ザ ーボ ー ドや デ ィス プ レ ーが 台 湾 製 、 ハ ー ドデ ィス クは ア メ リカ製 とい った よ うに 中 国 で 製 造 され た もの は 一 つ もな い 。 最 終 製 品 の 多 くは 外 国 の ブ ラ ン ドで 先 進 国 市 場 に 輸 出 され て い る。 衣 料 品 とい った ロ ーテ ク分 野 で さ え、 最 も付 加 価値 の 高 い デ ザ イ ンや 意 匠 、 販 売 とい った 分 野 には 中 国 は 関 与 で きず 、 ユ ニ ク ロ製 品 な どに 見 られ る よ うに 、 中 国 は 服 飾 の 縫 製 な どに特 化 し て い る。 ユ ニ ク ロの 各 店 舗 に お い て1000円 で 販 売 され て い る フ リース の うち 、 中 国 で つ け た 付 加 価 値 が100円 程 度 で あ る13,、とい う。   今 日で は 、 中 国 国 内の 中 間 投 入 財 生 産 産 業 とサ ポ ーテ ィ ン グ産 業 の 割 合 は 、 生 産 総 額 の40% を 下 回 って お り、 か な り低 い 水 準 に と どま って い る。 そ して 国 内で 調 達 され た 商 品 の 中 で 一 次 産 品 が49.7%、 労働 集 約 型 中間 製 品 は40.9%、 付 加 価 値 が比 較 的 に 高 い 資 本 ・技 術 集 約 型 中 間 製 品 は た だ13.196だ け を 占め て い る14)。   外 資 企 業 は 中 国 の 豊 富 で 廉 価 な 労 働 力 と資 源 の 比 較 優 位 を 利 用 して 加 工 貿 易 を 行 って い る。 効 率 的 な 資 源 配 分 とい う観 点 か ら望 ま しい が 、 外 資 企 業 は 最 大 限 の 利 潤 を 手 に 入 れ て お り、 そ れ に対 して、 中 国 側 は 安 価 な加 工 賃 と安 い 労 働 者 の 収 入 しか も ら えな か っ た。 「来 料 加 工 」 に お い て 中 国 側 は 輸 出総 額 の7-9%の 収 入 しか 得 られ な い の で あ る。 ま た 、 「進 料 加 工 」 の 場 合、 原 材 料 の 購 入 、 完 成 品 の 販 売 と価 格 の い ず れ も外 資 企 業 が 支 配 して い るた め 、 外 資 企 業 は 移 転 価 格 や 赤 字 申告 等 に よ る租 税 回 避 の 手 法 を 用 い て 、 中 国 に 大 きな 損 失 を もた ら して い る15)。

(9)

韓    堅  放 第3に 、 国 内企 業 の 産 業 競 争 力 が ま だ 弱 く、 コア 技 術 を 持 って い な い こ と。   産 業 競 争 力 は 、 産 業 の 生 産 能 力 、 技 術 水 準 、 技 術 人 員 の 素 質 、 管 理 レベ ル な どを 含 む 。 中 国 の 工 業 部 門 は 計 画 経 済 の 下 で 作 り上 げ られ た もの が ま だ残 って い るか ら、 国 際 競 争 力 が 欠 け て お り、 企 業 の 収 益 力 も弱 い の が 現 状 で あ る。 技 術 革 新 に 関 す る イ ンセ ンテ ィ ブ シス テ ム が 整 っ て い な い た め 、 中 国 企 業 の 技 術 革 新 に 対 す る投 入 が 少 な くな っ て い る 。 営 業 収 益 に 占 め る R&D支 出額 の 割 合 を 見 て み る と、 中 国 上 位500社 は3.8%に しか 過 ぎ な い 。 この 結 果 、 中 国 企 業 の 技 術 革 新 は 非 常 に 制 限 され 、 いま だに コア 技 術 を 持 たず 、 製 品 の 高 度 化 お よび 付 加 価 値 の 増 加 を 妨 げ て い るの で あ る16/。   中 国 はDVDと テ レ ビの 生 産 ・輸 出 の 最 大 国 とな って い る が 、 所 有 して い る コ ア 技 術 は 、 DVDで は57項 目の 中 の9項 目、 テ レ ビで は40項 目の 中 の18項 目だ け を 持 って い る。 コア技 術 を 持 って い な い た め に 、 製 品 価 格 に お け る中 国 が 支 払 った 特 許 料 の 割 合は 、 携 帯 電 話 で20%、 PCで30%、 デ ジ タル工 作 機 械 で40%に 上 る17)。紡 績 品 、 服 装 、 皮 革 品 な どの 国 際市 場 に お け る シ ェア は 一 位 とな って い るに もか か わ らず 、 国 際 競 争 力 分 野 で の 順 位 を 見 る と、 そ れ ぞ れ 第 12位 、30位 と13位 とな る。   中 国 第 三 次 工 業 調 査 に よれ ば 、90年 代 半 ば 、 中 国 の 大 中 型 企 業 の 技 術 水 準 は 国 際 水 準 に5-10年 も遅 れ て い る。 設 備 状 況 か ら見 れ ば 、 す べ て の 生 産 設 備 の 中 で 国 際 水 準 に 満 た した 設 備 が 24.6%に 止 ま り、 技 術 レベ ル が低 い こ とは す で に 産 業 へ の 連 関 効 果 の 向上 に影 響 を及 ぼ して い る18)。ま た 、2003年 国際 で 最 も影 響 力 が あ る100の ブ ラ ン ドの 中 で は 、 中 国 勢 の ハ イ ア ール だ け が 入 選 され た 。 第4に 、 資 源 浪 費 と環 境 破 壊 を 進 め る こ と   先 進 諸 国 とア ジ アNIESは 自 国 の環 境 を保 護 し、 産 業 構 造 を調 整 す る た め に 、 製 紙 、 建 材 、 製 薬 、 紡 績 、 化 学 工 業 な ど環 境 負 荷 が 高 い 産 業 や伝 統 産 業 を 、 中 国 を 含 む 発 展 途 上 国 に 移 転 し て き た た め 、 中 国 の 環 境 汚 染 に拍 車 を か け た。 「外 資 企 業 は利 益 を 国 外 に 移 転 させ 、 バ ラ ンス の 崩 れ た生 態 を 残 して くれ た 」 とい った 現 象 が 起 きて い る。   中 国 は これ ま で 輸 出指 向型 成 長 戦 略 を 採 り、 有 限 の 資 源 を 大 量 に 貿 易 に 振 り向 け 、 製 品 を 輸 出す る とい った 資 源 の 配 分 に よ って 「世 界 の 工 場 」 に な った の で あ る。 大 量 輸 出を 支 え る粗 放 型 製 造 業 は 環 境 破 壊 を 深 刻 化 させ 、 外 需 に よ る経 済 牽 引 を 重 視 し た粗 放 型 経 済 成 長 は 産 業 構 造 の 高 度 化 お よび 国 民 の 福 祉 向上 に支 障 を きた す 要 因 に な って い る。 「大 進 大 出」 と呼 ば れ た 数 量 の 拡 大 に よ る貿 易 方 式 は 環 境 破 壊 と資 源 の 無 駄 遣 い を 対 価 とし た粗 放 型 経 済 成 長 の 貿 易 戦 略 は 経 済 の 持 続 可 能 的 発 展 に 深 刻 な 影 響 を 及 ぼ した 。 第5に 、 貿 易 黒 字 の 国 際 間 移 転 を 高 め る元 凶 で あ る こ と。

(10)

  図1に 示 され た よ うに 、 近 年 中 国 の 貿 易 黒 字 が 拡 大 す る一 方 で あ る。 そ れ に よ って 、 貿 易摩 擦 は 頻 繁 に引 き起 こ し、 しか も貿 易 分 野 か ら投 資 、 金 融 な どの 関 連 分 野 に 蔓 延 して い る。 輸 出 額 にお け る加 工 貿 易 比 率 が50%を 上 回 って お り、 そ の うち 外 資 企 業 の 割 合 は80%ぐ らい を 占め 、 中 国 は 極 め て 低 い 加 工 賃 と廉 価 な 報 酬 しか 得 な か った こ とが す で に 述 べ た 通 りで あ る。2005年 の 輸 出額 の 中 で 外 資 企 業 の 輸 出額 が58%に 上 っ た。 金 額 を み れ ば 、 外 資 企 業 の 貿 易 黒 字 は844 億 ドル とな り、 中 国 の 貿 易 黒 字 総 額 の 中 で8396を 占め た 。 中 国 統 計 局 の ス ポ ー クス マ ン鄭 京 平 は 、 「多 国 籍 企 業 が海 外 で 効 率 的 な 資 源 配 置 を 求 め るた め に 国 際貿 易 を 行 って い る こ と こそ 、 中 国 の 貿 易 黒 字 を 急 増 させ る主 因 だ 」19)と述 べ て い る。 図1.中 国 輸 出 入 額 総 額 と貿 易 収 支 の 推 移 億 ドル(輸 出額  輸入額) 14000 10000 8000 6000 2000 ● 一 一 一 一 一 一 ロ 輸 出額 一 輸 入額 → 一貿 易収支

/

一/ π   一   一   一   一 一/ (   一   一   一 一   / 一 一 詞 〆 一 一       一 __.              ノ ト→ \       「  

-1一

)▼ ▼      〉   一 一 一 一

___ε

εl 

l

億 ドル(貿 易収支)       3000 2500 2000 1000 500 0 む       らむむ 瀞 逆 講 謡 諺 謡 謡 謡 講 諮 謡 謡 謡 譜 諺 講 誇 詩 誇 譜 詩 譜 ぜ 謡 譜 講 謡 謡 講 講 (出所:中 国 商 務 部 統 計 に よ り作 成) 3.加 工 貿 易 の 抑 止 策   中 国 で は 、 来 料 加 工 、 進 料 加 工 、 保 税 工 場 、 外 資 企 業 加 工 貿 易 、保 証 金 台 帳 、保 税 区 域 と輸 出加 工 区 域 な どを 含 む 体 系 的 な 加 工 貿 易 政 策 が 形 成 され た 。 加 工 貿 易 政 策 の核 心 は 、 輸 入 中 間 投 入 財 に対 す る 「保 税 管 理 」 と国 内中 間 投 入 財 の 「輸 出還 付 税 」 を 通 じて 高 い 関 税 な どに よ っ て 生 じた 価 格 の 高 騰 を 抑 え る こ とに あ る。 付 加 価値 と技 術 レベ ル が 低 い 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 を 如 何 に調 整 す るか を め ぐって 、 政 府 は 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 高 度 化 お よび 製 品 の 高 付 加 価 値 化 に よ る抜 本 的 な 取 り組 み が 必 要 と認 識 して い る。 そ の た め に 、06年12月 に 広 範 の 品 目に わ た って 輸 出増 値 税 の 還 付 率 調 整 が 実 施 され 、 加 工 貿 易 禁 止 項 目の 拡 充 な ど加 工 貿 易 の 抑 止 策 が 矢 継 ぎ 早 に 出 され て い る。

(11)

韓   堅 放 (1)輸 出還 付 税 率 調 整   加 工 貿 易 は 一 般 貿 易 と違 って 、 輸 出入 税 の 減 免 を 享 受 で き る。 進 料 加 工 貿 易 を 行 う場 合に は 、 原 料 を 輸 入 す る際 に納 め た増値 税 は 、 製 品 を 加 工 して 輸 出 し た とぎに 還 付 され る。 一 方 、 来 料 加 工 を 行 う場 合 には 、 輸 出 と輸 入 を す る際 に 関 税 と増値 税 を 免 除 で き る。 中 国 の 増値 税 は 付 加 価値 税 で あ り、 日本 の 消 費 税 と仕 組 み は よ く似 て い る。 しか し、 最 終 消 費 者 が 税 金 を 負担 す る とい う付 加 価値 税 の 考 え方 の ほ か に 、 輸 出売 上 高 を 基 準 に して 算 出 され る額 を 企 業 が 負担 す る とい う点 で 、 日本 の 消 費 税 と異 な る20)。   前 述 した よ うに、 中 国 で は 各 種 企 業 の 輸 出奨 励 の た め に 、1985年 か ら輸 出商 品 に 対 して 増値 税 と営 業 税 の 還 付 を開 始 した。88年 か らは 「徴 税 と還 付税 の リン ク(徴 税 額 に応 じた 還付 税 額)」 を 遂 行 し、 さ ら に94年 の 税 制 改 革 後 に は 輸 出商 品 に ゼ ロ税 率 政 策 を 実 行 した 。 そ の 後 輸 出還 付 税 の 不 正 受 領 や 保 税 輸 入 原 材 料 の 横 流 しな どの 各 種 弊 害 ・不 正 行 為 と して 社 会 問 題 化 し始 め た 背 景 には 、 政 府 は95年 か ら2度 還 付 税 率 を 引 き下 げ 、 取 り締 ま りを 強 化 した 。 しか し、97年 か らの ア ジア 通 貨 危 機 の 影 響 を 受 け た ア ジア 市 場 の 需 要 の 低 迷 と対 米 為 替 レ ー トの 相 対 的 上 昇 に よ り輸 出競 争 力 の 低 下 が 懸 念 され た。 生 産 企 業 の 輸 出を 刺 激 し、 一 部 分 の 製 品 の 輸 出競 争 力 を 増 強 す る ため に、97年 か ら 「免 、抵 、退 」(免 除 、補 償 、還 付)の 還 付 税 政 策 が実 施 され た。98 年7月1日 には 通 信 設 備 等7種 類 機 電 製 品 と自転 車 な ど5種 類 軽 工 業 品 が 、99年1月1日 か ら は 、 再 度 機 電 製 品 と一 部 分 の 工 業 製 品 お よび 農 産 品 の 輸 出還 付 税 率 が 高 くされ た21)。   2003年 外 貨 不 足 の 現 象 が 解 消 され 、 巨額 の 外 貨 準 備 高 が 蓄 積 され た こ とで 、 中 国 は 輸 出還 付 税 率 調 整 を 再 び 実 施 した 。 そ れ に もか か わ らず 、 貿 易 黒 字 と外 貨 準 備 高 の 伸 び る勢 い が 一 向 に 劣 らず 、 そ れ に人 民 元 の 切 り上 げ や 、 貿 易 黒 字 の 過 剰 流 動 性 と貿 易 摩 擦 な ど新 た な 問 題 が 生 じ て いた 背 景 には 、 政 府 は06年 と07年 再 び2回 輸 出還 付 税 率 を 大 幅 に 引 き下 げ た 。   2006年9月 、 財 政 部 、 国 家 発 展 改 革 委 員 会 、 商 務 部 、 税 関 総 署 と国 家 税 務 総 署 は 共 同 で 「一 部 分 の 商 品 の 輸 出還 付 税 率 調 整 お よ び 加 工 貿 易禁 止 類 目録 増 補 に 関 す る通 知 」(財 税[2006] 139号)を 公 布 した。 同年9,月15日 か ら一 部 の 「両 高 一 資(高 汚 染 、 高 エ ネル ギ ー消 耗 と資 源 浪 費 型)」 製 品 の 輸 出還 付 税 率 は 廃 止 され 、 繊 維 、 アパ レル 、 鉄 鋼 な ど貿 易摩 擦 を 引 き起 こ し や す い製 品 の輸 出 還 付 税 率 は 引 き下 げ られ 、 ハ イ テ ク製 品 、IT製 品 、 生 物 医 薬 品 な どの輸 出 還 付 税 率 は 引 き上 げ られ る こ とに な った 。   さ ら に、2007年6月 、 財 政 部 と国 家 税 務 総 署 は 「一 部 分 の 商 品 の 輸 出還 付 税 率 を 引 き下 げ る 調 整 に関 す る通 知 」(財 税[2007]190号)を 公 表 した 。 同年7,月1日 か ら絶 滅 に 瀕 す る動 ・植 物 お よび そ の 製 品 、 塩 、 皮 革 な どの 商 品 の 輸 出還 付 税 率 を 取 り消 す と同 時 に 、 税 関 品 目の 中 で 37%に 相 当す る2831項 目に お よぶ 商 品 を 対 象 に、 輸 出還 付 税 率 を5%、9%、11%、13%と17 %に 調 整 し た。 今回 の 調 整 で も、 抑 止 の 対 象 は 資 源 ・エ ネ ル ギ ー大 量 消 費 型 の 製 品 、 環 境 汚 染 が ひ どい 製 品 、 貿 易 摩 擦 多 発 型 の 製 品 で あ る。 特 に 、 輸 出を 伸 ば して い る鉄 鋼 関 連 の 品 目には 、

(12)

重 点 的 な 取 り組 み が 進 め られ て い る。 同時 に 輸 出を 促 進 した い ハ イテ ク製 品 の 還 付 率 は 引 き上 げ られ た。   輸 出還 付 税 率 調 整 に 続 い て 、07年7月23日 新 たな 加 工 貿 易 制 限 項 目が 発 表 され 、 大 きな 波 紋 を 呼 ん で い る。 制 限 項 目 とな った 分 野 の 原 材 料 輸 入 は 、 これ ま で保 証 金 納 付 の 必 要 が な か った 優 良 企 業 で も、 関 税 と増値 税 に 相 当 す る保 証 金 の 現 金 に よ る預 託 が 必 要 とな った 。 これ に よ っ て 、 加 工 貿 易 企 業 の 輸 出 コス トは3096増 に な る22)。ま た 、 新 規 に 制 限 項 目の 加 工 貿 易 を 実 施 す る こ とは 東 部 地 区 の 貿 易 の な い企 業 に は 今 後 許 可 され ず 、 中 西 部 で は 今 後 とも新 規 の 加 工 貿 易 が 許 可 され る こ とにな った23/。今 後 とも大 筋 の 方 針 に 沿 って 、 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 を 調 整 し、 問 題 視 され て い る分 野 の 加 工 貿 易 を 抑 制 す る措 置 が 続 くこ とは 間違 い な い だ ろ う。   2008年8月 一 部 分 の 繊 維 、 ア パ レル の 輸 出還 付 税 率 は11%か ら13%に 、 一 部 分 の 竹 製 品 は11 %に 引 き上 げ られ た 。 同年10月 ま た 、3486項 目に お よぶ 商 品 を 対 象 に 、 輸 出還 付 税 率 を5%、 9%、11%、13%、14%と17%の 六 種 類 に調 整 した。 商 品別 で は 、 繊 維 製 品 、 ア パ レル 、玩 具 は14%、 日用 品 お よび 陶 磁 芸 術 品 は1196、 一 部 分 の プ ラス チ ッ ク製 品 は9%、 一 部 分 の 家 具 は 11%あ る いは13%、 エ イズ 薬 や ミシ ン、 扇 風機 な どは9%-13%に 引 き上 げ られ た 。   この よ うに、 外 貨 不 足 の 現 象 が 解 消 され た 今 日で は 、 中 国 の 貿 易 政 策 は 国 内企 業 が 国 内 と国 外 の 両 市 場 で資 源 の 最 適 な 利 用 を実 現 す る こ とを奨 励 す る の を 目的 と し、 「両 高 一 資 」 製 品 の 輸 出を 抑 制 す る政 策 へ と転 換 し た。 これ に よ り、 開 放 を 、 量 か ら質 へ と転 換 し、 経 済 の 持 続 的 発 展 を 図 ろ う と した。 加 工 貿 易 政 策 の 変 化 に よ って 大 きな 影 響 を 受 け た の は 香 港 と台 湾 の 企 業 で あ る。 とい うの は 、 香 港 と台 湾 の 企 業 は2006年 に6万 社 を 超 え、 主 に 沿 海 地 域 の 広 東 、 福 建 、 江 蘇 三 省 に集 中 して お り、 繊 維 、 ア パ レル 、 軽 工 業 、 プ ラス チ ッ ク、 家 具 な ど労働 集 約 型 製 品 を 製 造 して い る。 これ らの 産 業 は 一 般 に 「両 高 一 資 」 型 製 品 が 多 い か らで あ る。 (2)「 加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 目録 」 の 拡 充   中 国 は 企 業 コス トの 増 加 を もた らす 増値 税 還 付 率 の 引 ぎ下 げ 調 整 を 行 う と同 時 に 、 加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 の 拡 充 に も力 を 入 れ た 。   中 国 は1999年 か ら国 家 産 業 政 策 の 要 求 に 従 って 加 工 貿 易 製 品 の 構 造 を 一 歩 一 歩 改 善 させ 、 加 工 貿 易 を よ りハ イテ ク化 、 高 付 加 価値 化 の 方 向へ と発 展 させ るた め に 、 製 品 別 に 加 工 貿 易 を 禁 止 類 、 制 限 類 、 認 可 類 の 三 つ の 製 品 類 へ と分 類 し た。 禁 止 類 商 品 は 、 加 工 貿 易 を 行 って は な ら な い もの で あ るが 、 制 限 類 商 品 は 、 国 内外 価 格 差 が 大 き く、 か つ 税 関 が 監 督 管 理 しに くい 敏 感 商 品 で あ る。 許 可 類 商 品 は 禁 止 類 、 制 限 類 以 外 の そ の 他 の 商 品 を 指 し、 加 工 貿 易 企 業 が これ ら の 商 品 につ い て 自主 的 に 加 工 貿 易 を 展 開 で き る もの 、 とされ て い る。   2004年 よ り中 国 商 務 部 は 税 関 総 署 、 環 境保 護 総 局 と共 同で 五 回 に わ た って 加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 を 公 告 した 。 さ らに 、2008年4月 「2008年加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 目録 」 を 公 表 し、39項 目の 商

(13)

韓 堅 放 品 を 新 た に 目録 に付 け 加 え、 これ で2008年 版 の 「加 工 貿 易 禁 止 類 商 品 目録 」 に 言 及 され た 禁 止 類 商 品 は、1816項 目に 達 した 。 「来 料 加 工 」 と 「進 料 加 工 」 とい った 形 式 で 対 象 商 品 の輸 出 入 を 禁 止 す る こ とにな った 。 加 工 貿 易 禁 止 方 式 として 、 輸 入 禁 止 、 輸 出禁 止 と輸 出入 禁 止 の 三 種 類 が あ る。 表3に 示 され た よ うに 、 輸 入 禁 止 類 は 原 材 料 か ら管 理 す る もの で あ る。 輸 出禁 止 類 は 完 成 品 か ら管 理 し、 関 連 の 原 料 ・部 品 を 加 工 貿 易 の 方 式 で 輸 入 して は な らな い もの を い う。 輸 出入 禁 止 類 とは 、 当 該 商 品 は 原 料 ・部 品 として の 輸 入 が 許 され な け れ ば 、 完 成 品 として の 輸 出 も許 され な い もの を 指 す24,。 表3  加工貿易禁止方式 と内容 禁止種類 内          容 輸入禁止類 動 物 お よ び そ の製 品 、 西 洋 人 参 、 砂 糖 、 鉱 産 物 、 化工 製 品 、 コル ク 、繊 維 原 料 、卑 金 属 お よび そ の製 品 、 電子 電器 な ど 輸出禁止類 各種 の 硫 黄 や石 英 や 珪 藻 土 な どの 鉱 産 物 、 黄 隣 、 砒 素 、 ナ ト リウ ム、 農 薬 な どの 化 工 製 品 、 ま た 皮 革 毛 皮 、 原 木 と木 材 、 パ ル プ と紙 類 、 カ シ ミヤ 、 石 材 と陶 磁 器 、 プ ラ チ ナ ・パ ラ ジ ウ ム ・ロ ジ ウ ム 、 卑 金 属 お よ び そ の製 品 、 電池 な ど 輸 出入禁止類 動 物 お よ び そ の製 品 、 新 鮮 な、 あ るい は 乾 燥 した キ ダチ ヨモ ギ 、 味 の素 、 ア ル コ ール と飲 料 、 鉱 産 物 、 化 工 製 品 、 原 木 と使 い捨 て 箸 、 石 材 と陶磁 器 、 電池 な ど  これ らの措 置 を 通 じて 、 各 種 の 加 工 貿 易 企 業 が 国 産 原 材 料 お よび 部 品 を 積 極 的 に使 用 す る よ う、 誘 導 し、 商 品 構 成 の 改 善 を 促 進 す るの を 図 ろ う とした 。 4.空 洞 化 な き産 業 構 造 高 度 化 の 推 進 (1)労 働 集 約 型 製 造 業 の 中西 部 へ の段 階 的 移 転   前 述 した よ うに、 中 国 の 加 工 貿 易 は 東 部 の 沿 海 地 域 に 集 中 して 行 わ れ て い る。 しか し、 産 業 の 集 積 に よ って 多 くの 問 題 が 発 生 して い る。① 大 量 の 出稼 ぎ労働 者 が 中 西 部 か ら東 部 に流 れ 込 み 、 社 会 問 題 にな って い る こ と、② 土 地 、 資 源 、 環 境 汚 染 な どの 問 題 が 起 きて い る こ と、③ 沿 海 地 区 の 土 地 、 労 働 力 の コス トが 上 昇 しつ つ 、 そ れ に 人民 元 の 切 り上 げ や 、 加 工 貿 易 政 策 と輸 出還 付 税 率 の 調 整 な どに よ って 、 労 働 集 約 型 製 造 企 業 は 工 場 を 閉 鎖 して ベ トナ ム 、 イ ン ドな ど 東 南 ア ジ アへ の 移 転 を 始 め て い る。   一 方 、 中 国 で は 地 域 格 差 が 広 が って い る。 最 も 目覚 しい 経 済 発 展 を 遂 げ て い る上 海 市 と一 番

(14)

遅 れ て い る貴 州 省 を 例 に 挙 げ る と、88年 に約8倍 だ った 上 海 と貴 州 の1人 当 た り平 均 所 得 の 差 は 十 年 で12倍 以 上 に 拡 大 され た 。2004年 の 一 人 当 た りの 年 間 可 処 分 所 得 を 見 れ ば 、 前 者 は 14,867.5元 に達 して い るの に対 して、 後 者 は6,569.2元 とな り、2.26倍 の 格 差 が あ った。 そ して 、 前 者 の2007年 の1人 当 た りのGDPは 約8500ド ル に達 して い る が 、 後 者 は800ド ル 程 度 に 止 ま り、10対1と い う格 差 で あ る。   この 背 景 には 、 中 国 政 府 は 地 域 格 差 を な くし、 改 革 開 放 の 成 果 を 西 部 に も広 め 均衡 の とれ た 発 展 を 実 現 す る ため に 、 近 年 西 部 大 開 発 を 行 い 、 加 工 貿 易 企 業 の 中 西 部 へ の 移 転 を 進 め て い る。 外 資 企 業 が 西 部 へ の 投 資 を 奨 励 す る政 策 を 打 ち 出 し、 中 西 部 に あ る31の 市 ・区 を 、 東 部 の 加 工 貿 易 の 段 階 的 移 転 を 受 け 入 れ る重 点 地 域 に 指 定 した 。 加 工 貿 易 企 業 が ベ トナ ム な ど諸 国 に 移 転 す る よ り、 内陸 部 に 移 転 さ せ る よ う、 政 策 的 に誘 導 して い る。 商 務 部 産 業 司 は2007年ll月 に 「加 工 貿 易 の 中西 部 へ の段 階 的 移 転 を支 持 す る こ とに関 す る意 見 につ いて 」([2007]428号)を 公 布 した 。 これ に よ り、 政 策 誘 導 と市 場機 能 との 結 合 を 主 張 しな が ら、 環 境保 全 と持 続 可 能 な 成 長 を 強 調 して い る。 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 高 度 化 を 目指 し、 技 術 レベ ル と付 加 価値 が 高 い 製 品 を 製 造 し、 資 源 集 約 型 か ら資 源 節 約 型 へ 、 規 模 拡 張 型 か ら利 益 重 視 型 へ 転 換 し、 中 西 部 は 東 部 の 加 工 貿 易 産 業 お よび 経 済 モ デ ル を 複 製 す るや り方 を 取 りや め 、 加 工 貿 易 の 産 業 高 度 化 を 着 実 に誘 導 す る。 そ の ため に 、 具 体 的 な 方 策 として 、① 東 部 地 区 の プ ラス チ ック、繊 維 、 ア パ レル 、 軽 工 業 な ど労 働 集 約 型 加 工 貿 易 企 業 を 中 西 部 へ 誘 導 す る。② 輸 送 コス トが 比 較 的 に 低 い 加 工 貿 易 企 業 を 中 西 部 へ 誘 導 す る。③ 中 西 部 地 区 で 輸 送 、 倉 庫 、 物 流 な どを 発 展 し、 加 工 貿 易 の 環 境 を 整 え る、 な どを 挙 げ て い る。   とこ ろが 、 加 工 貿 易 の 移 転 は 段 階 的 に 進 め るに して も容 易 な こ とで は な い 。 そ の 理 由 として 、 ① 加 工 貿 易 は 「大 い に輸 入 し大 い に輸 出 す る」 とい う特 徴 を持 って い る。 輸 送 コス トを 考 え   る と、 港 に近 い の が 求 め られ る。 中 国 の 陸 上 輸 送 コス トが 高 く、 チ ッ プの よ うな 物 流 コス ト   が 安 い商 品 を 除 いて コス ト増 を 覚 悟 して 積 極 的 に 内陸 部 に 移 転 す る企 業 は そ う多 くな い よ う   だ。 ② 内陸 部 は=豊富 で 廉 価 な労 働 力 を持 って い るに もか か わ らず 、 ロ ー カル ・コ ンテ ン ツ、 生 産   性 と管 理 水 準 が 低 い 。 ③ 沿 海 地 区 の 地 方 政 府 は外 資 を誘 致 す る 際 に 、 製 造 業 に必 要 な土 地 に対 し補 助 金 を 出 す の が   一 般 的 で あ るか ら、 投 資 者 に とって 、 必 ず し も 内陸 部 で の 土 地 コス トは 沿 海 地 区 よ り低 い と   い うわけ で は な い 。 ④ 加 工 貿 易 は 管 理 ・効 率 性 を も っ と重 視 す る よ うに な るが 、 沿 海 地 区 と比 べ て、 内 陸地 区 は   開 放 が 遅 く、 管 理 水 準 、 通 関 の 簡 素 化 な どは 立 ち 遅 れ て い る。 ⑤ 広 東 省 、 江 蘇 省 な どの 内部 に は 不 均衡 が 生 じて い るの で 、 沿 海 の 地 方 政 府 は加 工 貿 易 型 企   業 の 内陸 部 へ の 移 転 を 引 き留 め 、 省 内へ の 移 転 を 奨 励 して い る25)。

(15)

韓   堅 放   したが って 、 加 工 貿 易 型 企 業 の 中 西 部 へ の 移 転 を 誘 導 す るに は 難 題 が 山積 して い る。 た とえ 移 転 が 果 た され て も、 産 業 構 造 の 高 度 化 を 実 現 した こ とに は つ な が らな い で あ ろ う。 (2)「 騰 籠 換 鳥 」 戦 略   広 東 省 は 中 国 で 改 革 開 放 を 実 施 す るの が も っ とも早 か っ た地 域 で あ り、1980年 代 以 来 多 くの 外 資 企 業 の 進 出 に伴 い 珠 江 デ ル タを 中 心 とす る経 済 圏 な らび に 世 界 の 加 工 基 地 とな って い る。 しか し、 近 年 人民 元 の 切 り上 げ 、 土 地 ・原 材 料 ・賃 金 ・エ ネ ル ギ ーの 急 騰 に よ る生 産 経 営 コス トの上 昇 、 労働 力 ・電 力 の不 足 、世 界経 済 の減 速 に よる輸 出の 激 減 、輸 出還 付 税 率 の 引 ぎ下 げ ・ 廃 止 な ど経 営 環 境 の 悪 化 を 受 け て 、 労 働 集 約 型 産 業 を 中 心 に 多 くの 企 業 が 経 営 不 振 に 陥 って お り、 倒 産 した 。 そ の うえ上 海 を 中 心 とす る長 江 デ ル タの 台 頭 に よ り、 外 資 誘 致 の 競 争 が 激 し さ を 増 して い る。 この よ うな状 況 の下 で 、2005年 か ら広 東 省政 府 は 「騰 籠 換 鳥」(籠 を空 け て お き、 中 の 鳥 を 取 り替 え る)戦 略 を 採 り始 め 、 産 業 高 度 化 に 積 極 的 に 取 り組 み 、 持 続 成 長 を 図 ろ う と した 。 す な わち 、 珠 江 デ ル タを 中 心 とす る先 発 地 域 か ら労働 集 約 型 産 業 を 本 省 の 山 岳 地 帯 と東 西 両 翼 の 後 発 地 域 に 移 転 す る一 方 、 新 しい 産 業 を 迎 え、 産 業 移 転 を 通 じて 産 業 構 造 の 高 度 化 を 加 速 させ る。 これ に よ り、 先 進 地 域 で は 解 放 され た 土 地 や 人 材 とい った 資 源 が よ り付 加 価 値 の 高 い産 業 に再 配 置 で き る よ うに な る一 方 、 後 発 地 域 で は 新 しい 雇 用機 会 が 創 出 され 、 地 域 格 差 の 是 正 と産 業 の 高 度 化 を 同時 に 達 成 で き る とい う 「一 石 二 鳥 」 の 効 果 が 期 待 され る26)。   産 業 移 転 の 形 式 で は 、 転 出側 と転 入 側 の 政 府 は 共 同で 産 業 移 転 工 業 団 地 を 建 設 す る こ とで あ る。 具 体 的 には 、 転 入 側 の 市 政 府 は 本 地 で 工 業 団 地 を 設 置 し、 団 地 内の 用 水 、 電 気 と排 水 、 ゴ ミ処 理 お よび 工 業 団 地 へ の 道 路 な どの イ ン フ ラ建 設 、 ま た 土 地 開 発 に 関 す る手 続 き処 理 を 分担 す る。 これ に対 して 、 珠 江 デ ル タの 都 市 政 府 は 企 画 、 投 資 、 開 発 、 建 設 と外 資 誘 致 な どに役 割 を 果 た し、 民 間 資 金 や 外 資 の 導 入 を 含 む 資 金 調 達 を 通 じて 団 地 内の 開 発 資 金 を 提 供 す る。 両 側 は 事 前 に決 め られ た比 例 で 一 定 の 期 間 内に 利 益 を 分 配 す る2η。   広 東 省 政 府 は 一 方 で は 「産 業 移 転 工 業 団 地 」 の 建 設 を 奨 励 し、 梅 州 、 河 源 、 雲 浮 な ど11の 市 が 広 州 、 深 釧 、 佛 山、 東 莞 、 中 山な ど珠 江 デ ル タの 都 市 と共 同で 建 設 した23の 省 ク ラス の 産 業 移 転 工 業 団 地 の 設 立 が 認 可 され て い る。 これ らの 産 業 移 転 工 業 団 地 に 移 転 した 産 業 は 主 として 機 械 、 繊 維 ・ア パ レル 、 食 品 飲 料 、 建 築 材 料 、 電 子 、 自動 車 、 製 薬 、 家 電 、 家 具 な ど労働 集 約 型 の 加 工 業 で あ る。 他 方 で は 、 周 辺 地 域 へ の ア クセ ス を 改 善 す る ため 、 政 府 は 道 路 や 港 口を は じめ とす る イ ン フ ラ整 備 に も力 を 入 れ て い る。   広 東 省 政 府 は 「騰 籠 」 とい っ た労 働 集 約 型 、 付 加 価値 が 低 い 産 業 を 省 内の 後 発 地 域 へ の 移 転 を 進 め て い る と同 時 に 、 「換 鳥 」 を着 実 に推 し進 め て い る。 珠 江 デ ル タで 資 本 ・技 術集 約 型 産 業 を誘 致 し、 よ り多 い 大 型 の 「鳥」 「強 い 鳥」 が 移 り住 む た め の政 策 を 打 ち 出 して い る。 経 済 の グ ロ ーバ ル 化 につ れ 競 争 が ま す ま す 激 し くな る川 上 と川 下 産 業 の 生 産 基 地 に な る こ とを 目指

(16)

して い る。 これ ま で 「外 資 企 業 」 に よ る輸 出指 向の 労 働 集 約 型 産 業 の 発 展 は 、 珠 江 産 業 デ ル タ を 中 心 とす る広 東 省 に 高 成 長 を もた ら した が 、 産 業 の 高 度 化 を 実 現 す るた め に は 、 労働 集 約 型 産 業 に代 わ る新 しい 産 業 を 選 別 し発 展 しな け れ ば な らな い と見て い る。2008年8,月 に 発 表 され た 「広 東 省 の 現 代 産 業 体 系 の 建 設 を 加 速 させ る こ とに 関 す る決 定 」 で は 、 今 後 の 有 望 な 産 業 と して 、 金 融 、 物 流 、 情 報 を 始 め とす る高 度 な サ ー ビス 産 業 に 加 え、 産 業 用機 械 ・装 置 、 自動 車 、 鉄 鋼 、 石 油 化 学 、 造 船 な ど技 術 集 約 型 、 現 代 化 農 業 が 挙 げ られ て い る28)。ま た 、 広 東 省 政 府 は 、 自主 創 新 ・創 意 工 夫 の 意 欲 が 強 くな い こ とが 、 広 東 省 は 長 期 間 に わ た って 産 業 チ ェ ー ンに お い て 付 加 価 値 が 最 も低 い加 工 ・組 立 工 程 に 固 定 させ られ た 要 因 の 一 つ で あ る と見 て 、2008-2012 年 に毎年10億 人 民 元 を サ ー ビス 業 な らび に 先 進 技 術 を も った 製 造 業 を 核 心 とす るハ イテ ク産 業 の 誘 導 お よび 世 界 の 優 秀 な 頭 脳 の 導 入 に 使 う。 そ の うち 、 世 界 ト ップ レベ ル の 科 学 研 究 人 材 を 導 入 す る場 合 には 、 広 東 省 政 府 は 上 限1億 元 ま での 経 費 を提 供 す る こ とを決 定 した29)。   目下 、 広 東 省 は 産 業 の 集 積 と裾 野 の 拡 大 や 国 内企 業 の 成 長 、 イ ン フ ラの 整 備 、 さ ら に現 地 市 場 の 拡 大 な ど産 業 高 度 化 の た め に 有 利 な 条 件 が す で に 整 えつ つ あ る。 広 東 省 の 躍 進 は 、 サ ー ビ ス 業 に特 化 す る香 港 に 大 きな ビ ジネ ス チ ャ ンス を 与 え る と ともに 、 産 業 の 移 転 の 移 転 を 通 じて 、 汎 珠 江 デ ル タ経 済 圏 を 構 成 す る他 の 地 域 に 活 力 を もた らす だ ろ う。   とこ ろが 、 「騰 籠 換 鳥」 戦 略 を 採 り入 れ て 以来 、 効 果 が それ ほ ど見 られ な い。 主 要 な原 因 と して 、 産 業 移 転 は 多 くの 地 方 政 府 と関 係 企 業 の 既 存 利 益 に 影 響 を 与 え るか らで あ る。 地 方 政 府 も企 業 も付 加 価値 と技 術 水 準 の 低 い 生 産 方 式 に す っか り慣 れ て きて 、 移 転 の 意 欲 が 強 くな い 。 ま た 、 採 算 が 取 れ な い 三 資 企 業 お よび 一 部 の 国 内企 業 は 、 生 産 コス トが も っ と安 い 内陸 部 か 、 も し くは ベ トナ ム な ど周 辺 諸 国 へ 移 転 して い くだ ろ う。 (3)長 い産 業 チ ェー ン を もつ こ と   加 工 貿 易 は 中 国 が 工 業 化 を 進 め る過 程 に お い て 大 きな 役 割 を 果 た して きた 。 現 在 加 工 貿 易 分 野 で 働 い て い る従 業 員 は3千 万 人 を 超 えて お り30)、中 国 の 比 較 優 位 は 依 然 として 大 勢 の 良 好 な 教 育 を 受 け た労 働 力 を もつ こ とに あ る。 逆 に 言 えば 、 持 続 可 能 な 経 済 成 長 を 実 現 させ るに は 、 如 何 に就 業 を 安 定 拡 大 す るか が 重 要 な 課 題 で あ る。 この 意 味 で は 、 加 工 貿 易 は 就 業 を 拡 大 し、 国 内で の 「労 働 力 輸 出」 を 実 現 させ る正 しい 選 択 肢 で あ る。   差 し当 た って 、 中 国 が 進 め て い る空 洞 化 な き産 業 高 度 化 を 目指 す 加 工 貿 易 企 業 の 中 西 部 へ の 移 転 と 「騰 籠 換 鳥 」 戦 略 は 、 中 国 の 国 情 に 合 った 政 策 とい え る。 しか しな が ら、 沿 海 地 域 で の 加 工 貿 易 の 産 業 高 度 化 を 如 何 に 進 め るか を 巡 って 、 私 は バ リュ ーチ ェ ー ン(価 値 連 鎖)に 立 っ て 考 え る必 要 が あ るの で は な い か と思 う。   バ リ ュー チ ェー ンは 、1985年 に ハ ーバ ー ド ・ビ ジ ネ ス ス ク ー ル 教 授 マ イ ケ ル ・Eポ ー タ ー が 著 書r競 争 優 位 の 戦 略 』 の 中 で 企 業 の 競 争 優 位 の 源 泉 を 明 らか に す るた め に 企 業 の 内部 環 境

(17)

韓 堅  放 を 分 析 す る フ レ ーム ワ ー ク として 提 唱 した もの で あ る。 製 品 や サ ー ビス を 顧 客 に 提 供 す る とい う企 業 活 動 を 、 調 達 ・開 発 ・製 造 ・販 売 ・サ ー ビス とい った そ れ ぞ れ の 業 務 が 、 一 連 の 流 れ の 中 で 順 次 、 価値 とコス トを 付 加 ・蓄 積 して い くもの と とら え、 この 連 鎖 的 活 動 に よ って 顧 客 に 向け た 最 終 的 な 「価値 」 が 生 み 出 され る とす る考 え方 で あ る。   台 湾 の エ イサ ー(宏 基 電 脳)社 の ス タ ン ・シ ー(施 振 栄)会 長 が 、 パ ソ コ ンの 各 製 造過 程 で 上 流 のOSやMPUや 下 流 の ア フ タ ー サ ー ビス な どの 付 加 価 値 が 高 く、 中 流 の 組 立 の 利 幅 が も っ とも少 な い こ とで 、 製 造 過 程 の 流 れ に 沿 って そ の 付 加 価値 を 図 示 す る と人 の 笑 った 口元 の よ うに な る こ とか ら、 「ス マ イル カ ー ブ」 と名 付 け た の で あ る。 そ の 後 、 経 済 学 者 は この考 え を 産 業 構 造 お よび 国 際 分 業 の 分 析 に 使 うよ うに な った とい わ れ る。 図2に 示 され る よ うに 、 一 般 には 、 バ リュ ーチ ェ ー ンに お い て 、 上 流 に あ る研 究 開 発 、 新 製 品 の 設 計 とコア とな った 部 品 の 生 産 は 付 加 価値 が 高 く、 下 流 に あ るマ ーケ テ ィ ン グ販 売 とア フ タ ーサ ー ビス は 付 加 価 値 が 比 較 的 に高 いの に対 して 、 加 工 ・組 立 工 程 は コス トが 最 も高 く、 生 産 効 率 と付 加 価値 が も っ とも 低 い 部 分 で あ るか ら、 開 放 的U型 の バ リ ューチ ェー ン に な る。 図2.ス マイ ル カー ブ の 見 取 り図 イ寸加 価 値 ▲       試 作 品開発等 ア フ タ ー サ ー ビス へ 8 高 い

r

部 品生産                           販 売

r

モ ジ ュー ル部 品生 産

/

利 幅 大

糊 立

利 幅 大 業 利幅 小 低 い レ 川 上                                          川下 業 務 プ ロ セ ス   (工程) (出 所:関 志 如 「モ ジ ュ ー ル 化 と 中 口 の 工 業 発 展 」r中 口 経 済 新 論 』2002年8月16目,     (http:〃www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/020816ssqs.htm))   中 国 の 加 工 貿 易 は 輸 出品 に お け る輸 入 の 割 合 が 高 く、 輸 入 され た 部 品 ・バ ー ツを 組 み 立 て て 完 成 品 を 生 産 す る こ とで 、 産 業 チ ェ ー ンが 短 く、 付 加 価値 が 低 く、 産 業 へ の 連 関 効 果 が 薄 い こ とに特 徴 付 け られ て い る。 中 国 は 外 資 企 業 を 頼 るあ ま りに 、 世 界 の 工 場 とい わ れ な が ら も、 未

(18)

だ世 界 で 通 用 す る 自前 の 技 術 も ブ ラ ン ドも持 って い な い 。 そ の 上 、 中 国 企 業 は 資 金 や 人 材 、 経 営 管 理 な どほ とん どす べ て の 面 に わた って 外 国 企 業 に 劣 って い る。 そ の 結 果 、 輸 出競 争 力 を 安 い 労 働 力 に求 め ざ るを 得 ず 、 実 際 、 中 国 の 輸 出に 占め る付 加 価値 の 大 半 は 労働 コス ト とな って い る。 中 国 の 平 均 賃 金 は 未 だ 月100ド ル に満 た さず 、 日本 の30分 の1程 度 で あ る と考 え る と、

rMade  in China」 の製 品 に 含 まれ るrMade  by Chinese」 の付 加 価 値 が 非 常 に低 い こ とが 分

か る31)。   従 来 の 垂 直 的 国 際 分 業 と違 って 、 今 後 の 国 際 分 業 は 生 産 過 程 が 異 な る国 に 分 布 す る よ うに な る。 製 造 工 程 にお け る国 際 分 業 が 行 われ 、 中 間 投 入 財 の 国 境 を 越 え る移 動 が 増 え、 産 業 内貿 易 の 形 態 とな る。 そ れ ゆ えに 、 加 工 貿 易 は 国 際 貿 易 の 主 要 な 形 式 として 国 際 分 業 を 細 分 化 す る。 こ こ数 年 に見 られ る よ うに 、 先 進 諸 国 は 特 化 に 腐 心 して お り、 産 業 内の 各工 程 を 一 定 の 固 ま り に整 理 ・分 割 す るモ ジ ュ ール 化 の 進 展 に よ って 、 付 加 価値 の 低 い 生 産 工 程 の み を 発 展 途 上 国 に 委 託 で き る よ うにな った32,。企 業 全 体 として 最 大 利 潤 を 追 求 す る ため に 上 流 層 と下 流 層 に資 源 を 投 入 し、 生 産 ・組 立 工 程 は 専 門 企 業 に ア ウ トソ ー シ ン グす るの が 急 増 して お り、 製 造 部 門 を もた な い フ ァ ブ レス 企 業 も多 く現 れ た。   ま た、 経 済 の グ ロ ーバ ル 化 に 伴 って 、 労 働 集 約 的 な 製 造 工 程 は 中 国 か ら賃 金 が も っ と安 い ベ トナ ム、 カ ンボ ジ ア な どASEAN諸 国 に移 転 した 結 果 、 中 間 工 程 に お け る 付 加 価 値 が さ らに 低 下 し、 儲 け が 少 な くな る。 中 国 は 激 しい 競 争 の 中 で 収 益 率 を 高 め る ため に 、 ス マ イル カ ー ブ の 両 端 を 強 化 す る形 で 産 業 の 高 度 化 を 図 らな け れ ば な らな い 。 言 い 換 えれ ば 、 新 製 品 を 生 み 出 す 開 発 力 、 顧 客 ニ ーズ へ の 迅 速 な 対 応 力 を 向上 させ な け れ ば な らな い 。 業 務 領 域 として は 、 商 品 開 発 に基 礎 研 究 も加 えた 研 究 開 発 と、 消 費 者 を 対 象 に した 販 売 や サ ー ビス の 提 供 、 す な わ ち 業 務 プ ロセ ス の 両 端 の 重 要 性 が 増 して くる。 加 工 貿 易 産 業 全 体 として の ス マ イル カ ー ブ化 で あ る。 ス マ イル カ ー ブの 両 端 に 人 材 や 資 本 を シ フ トして い くこ とを 通 じて 、 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 を 高 度 化 す る こ とは もち ろん 、 就 業 を 安 定 拡 大 す る こ とに もつ な が る。 具 体 的 に は 、 製 品 の 研 究 開 発 、 設 計 基 準 、 ブ ラ ン ド戦 略 な ど川 上 産 業 を 発 展 す る と同時 に 、 国 際 市 場 、 ア フ タ ーサ ー ビス な ど川 下 産 業 を 開 拓 し、 そ の うえ、 サ ー ビス 貿 易 を 拡 大 しな け れ ば な らな い 。 こ うす れ ば 、 中 国 の 国 際 分 業 にお け るポ ジ シ ョン、 お よび 産 業 チ ェ ー ンの 中 の 低 付 加 価値 工 程 に 固 定 され て い る現 状 を 変 え る こ とが で き るの で あ る。 5.結 び に  概 観 して きた よ うに 、 中 国 の加 工 貿 易 の 発 展 は 、 先 進 諸 国 とア ジ アNIESは 生 産 コ ス トを 削 減 し、 最 大 限 の 利 潤 を 求 め るた め 、 労 働 集 約 型 産 業 を 相 次 い で 中 国 に 移 転 させ た 結 果 で あ る。 と りわ け80年 代 後 半 ア ジ アNIES諸 国 の 労働 集 約 型 産 業 に お け る競 争 優 位 性 が 弱 ま った 背 景

(19)

韓   堅 放 に、 中 国 は タ イ ミン グ よ くこの チ ャ ンス を つ か ん で 、 政 策 と法 的 規 定 上 の 恩 恵 を 与 え、 豊 富 で 廉 価 な 労 働 力 を持 って い る優 位 性 を 活 か してNIESか ら移 転 され た 労 働 集 約 型 産 業 を受 け 継 い で 、 加 工 貿 易 発 展 の 土 台 を 築 き上 げ たの で あ る。   今回 の 加 工 貿 易 に関 す る政 策 的 調 整 は 、 ク ロ ーバ ル 化 した 産 業 の 変 化 に 対 応 す るた め の 産 業 政 策 で あ り、 産 業 構 造 の 高 度 化 と加 工 貿 易 製 品 の 高 付 加 価値 化 の ため で もあ る。 国 内資 源 の 浪 費 、 土 地 の 濫 用 及 び エ ネ ル ギ ー大 量 消 耗 型 の 産 業 を 厳 し く取 り締 ま り、 低 付 加 価値 ・低 技 術 レ ベ ル の 製 品 の 輸 出を 抑 止 し、 輸 出構 造 の 高 度 化 を 促 し、 貿 易 黒 字 を 減 ら し、 加 工 貿 易 の 構 造 高 度 化 を 推 し進 め よ う とい う狙 い で あ る。 そ れ と同時 に 進 め られ て い る空 洞 化 な き産 業 高 度 化 を 目指 す 加 工 貿 易 企 業 の 中 西 部 へ の 段 階 的 移 転 と 「騰 籠 換 鳥 」 戦 略 は 、 中 国 の 国 情 に 合 った 方 策 で あ り、 高 く評 価 した い 。   た だ し、 加 工 貿 易 の 産 業 構 造 高 度 化 を 進 め るに は 、 研 究 開 発 、 設 計 、 生 産 、 販 売 、 サ ー ビス が 一 体 化 した 産 業 構 造 高 度 化 方 策 を 立 て る必 要 が あ る。 す な わ ち 、 長 い 産 業 チ ェ ー ンを 持 つ べ きで あ る。 そ の た め に 、 政 府 は 、① 加 工 貿 易 を 高 い 付 加 価値 と技 術 レベ ル の 産 業 へ 誘 導 し、 産 業 政 策 を 通 じて 川 上 産 業 の 育 成 に 資 金 を 支 援 す る こ と、② 企 業 の 研 究 開 発 、 新 製 品 の 試 作 に支 援 す る こ と、③ 加 工 貿 易 の 原 材 料 と中 間 財 の 国 産 化 を 奨 励 し、 産 業 へ の 連 関 効 果 を 高 め る こ と、 ④ 外 資 企 業 の 投 資 環 境 を 改 善 し、 外 資 企 業 を 誘 導 す る関 係 法 律 を 充 実 させ 、 多 国 籍 企 業 は 付 加 価値 と技 術 レベ ル が も っ と高 い 加 工 工 程 と研 究 開 発機 構 を 中 国 へ の 移 転 を す る よ う誘 導 す る こ と、⑤ 国 内企 業 に よ る加 工 貿 易 は よ り多 く先 進 技 術 を もつ 製 造 業 分 野 に 入 る よ う誘 導 し、 重 点 的 にIT技 術 、 生物 医 薬 、 新 材 料 と環 境 配 慮 型 ハ イ テ ク製 品 を製 造 す る 加工 貿 易 を奨 励 す る こ とな どに重 点 を 置 い て 推 し進 め な け れ ば な らな い 。 この よ うに 、 量 の 拡 大 か ら質(付 加 価 値) の 向上 へ と輸 出指 向型 戦 略 を 転 換 す る こ とに よ って 、 産 業 構 造 の 高 度 化 を 着 実 に 進 め れ ば 、 貿 易 強 国 へ の 夢 を 実 現 す る 日は そ う遠 くな い で あ ろ う と私 は 思 う。 ・ 王 、 、 ! 1)来 料 加工 貿 易 と進 料 加 工 貿 易 の 性 質 上 の違 い に つ い て 、 詳 し くは 小 松 出 「中 国 の 加 工 貿 易 とFDI」   r桜 美 林 大 学 産 業 研 究 所 年 報 』 第18号,2000年,12頁 を 参 照 され た い 。 2)呉 敬 漣 著 ・青 木 昌 彦 監 訳 ・日野 正 子 訳r現 代 中 国 の 経 済 改 革 』NTT出 版,2007年,279-280頁 。 3)戚 自科 「論 外 商 直 接 投 資 的 加 工 貿 易 傾 向 」 小松,前 掲 論 文,29頁 。 4)小 松,前 掲 論 文,29頁 。 5)詳 し くは 、 「3.加 工 貿 易 の 抑止 策 」 を 参 照 され た い 。 6)小 松,前 掲 論 文,29-30頁 。 7)張 生 玲 ・張 麗 平 「我 国 外 貿 体 制 改 革 三 十年 理 論 回 顧 」r国 際 貿 易 』2008年 第7期 、8頁 。

参照

関連したドキュメント

本研究の目的と課題

それ故,その成立条件の提示は積極的であるよりも,むしろ外国貿易の終焉条

マイ クロ切削 システ ムの 高度化 にむ けて... 米山 ・陸:マ イク 口旋削加工

製造業種における Operational Technology(OT)領域の Digital

八幡製鐵㈱ (注 1) 等の鉄鋼業、急増する電力需要を背景に成長した電力業 (注 2)

近年の食品産業の発展に伴い、食品の製造加工技術の多様化、流通の広域化が進む中、乳製品等に

北とぴあは「産業の発展および区民の文化水準の高揚のシンボル」を基本理念 に置き、 「産業振興」、

 福島第一廃炉推進カンパニーのもと,汚 染水対策における最重要課題である高濃度