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情報科学芸術大学院大学紀要 第2巻

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Academic year: 2021

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情報科学芸術大学院大学紀要

Journal of Institute of Advanced Media Arts and Sciences

第 2 巻・2010 年

Vol.2, 2010

情報科学芸術

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情報科学芸術大学院大学紀要

Journal of Institute of Advanced Media Arts and Sciences

2 巻・2010 年

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目次

研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み アートとテクノロジーとしてのセカイカメラ

Sekai Camera As Art and Technology 赤松正行

Masayuki Akamatsu

IT 弱者向け電子メールインターフェイスの提案 Proposal of an E-mail Interface for the IT weak 小林孝浩 竹谷康彦 一柳哲也 栗田佳代

KOBAYASHI Takahiro, TAKEYA Yasuhiko, ICHIRYU Tetsuya, KURITA Kayo

研究ノート

GPS を用いる AR コンテンツに与える位置精度の影響について

Study on an Influence by Positional Precision to AR Contents with Using GPS 関口敦仁

Atsuhito Sekiguchi

イベントでのオンライン参加型情報共有の一手法

A Method for Online Participatory Information Sharing in an Event 山田晃嗣 石田亨

YAMADA Koji, ISHIDA Akira

「羊飼いプロジェクト」 -アート・ドキュメンタリーの可能性 - "Project of Shepherd" - A Possibility of Art Documentary-

前田真二郎 MAEDA Shinjiro

評論

二人でいることの病い〜小津安二郎論断章(2) Illness that Two People are : About “Good Morning” 小林昌廣 KOBAYASHI masahiro 4 5 21 35 41 47 53

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次世代インターフェイスに向けた取り組み

情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻の特集として、「次世代インターフェイスに向けた取り組み」 を企画しました。インターフェイスとは、PC を扱う際のマウスやキーボードを指しますが、より 使いやすい情報提示方法や情報操作装置について述べられた 2 稿をご紹介します。 スマートフォンで動作するセカイカメラは、実用性を持つ AR ツールとして有名です。「アート とテクノロジーとしてのセカイカメラ」では、このような先駆的取り組みに実用性を与えるまで の過程や IAMAS との関わり、その後の展望などについて述べられています。 一方で、IT 技術はともすると操作が難しくなりがちです。「IT 弱者向け電子メールインターフ ェイスの提案」では、従来のハガキのような紙媒体を使用して、電子メールを送受信するしくみ を提案しています。使い慣れたアナログ的な方法を採用することで、これらの問題解決を試みる 研究です。 メディアを創造する学校で生まれた 2 つの事例に触れて頂ければ幸いです。

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010

アートとテクノロジーとしてのセカイカメラ

Sekai Camera As Art and Technology

赤松正行

Masayuki Akamatsu

Abstract Sekai Camera is an application and a service for mobile devices. It is a social networking platform built upon a location-based information system that uses augmented reality (AR) technology and is centered around the current time and user's current location. The "Sekai" in "Sekai Camera" means "World" in Japanese, as Sekai Camera was thought of as a tool for handling people's view of the World. Generally speaking, augmented reality can be thought as technology that ties the real with the virtual and allows

information to be manipulated in real time within the real world. Sekai Camera, by using mobile device-based augmented reality, functions as an easy-to-use information tool tightly coupled with users' daily lives. Sekai Camera aims to efficiently present the vast amount of information available on the network, and function as a wide-ranging social medium that encompasses consumer-generated content (CGC).

Keyword Augmented Reality, Mobile, Social Networking, Location-Based Information, Art, Technology

1. セカイカメラへの序

1.1 IAMAS における先駆的研究 セカイカメラは 2008 年 9 月にサン・フランシスコでプロトタイプの発表を行い、モバイ ルと AR(オーグメンティド・リアリティ、拡張現実感)を融合させる画期的なアイディア と し て 全 世 界 的 な 注 目 を 集 め ま し た 。 多 く の ア イ デ ィ ア が そ う で あ る よ う に 、 そ れ は 或 る 日突然浮かび上がったわけではありません。直接的にも間接的にも、IAMAS ではセカイカ メラに繋がる多くの研究や制作が 10 年以上に渡って行なわれてきました。それはテクノロ ジ ー を 利 用 し な が ら も 、 ア ー ト と し て の 研 究 で あ り 、 作 品 と し て の 制 作 で あ る こ と が 特 徴 です。

まず、モバイル・デバイスに関しては Apple 社の Newton MessagePad(1993 年)や Palm 社の PalmPilot(1996 年)などでの取り組みが、Apple 社の iPhone(2007 年)に繋がってい ます。iPhone では、公式な開発環境が整えられる以前から十数種類のアプリケーションが 開 発 さ れ て お り 、 そ の 可 能 性 が 検 証 さ れ て い ま し た 。 一 例 を 挙 げ る と 最 初 期 に 作 ら れ た 「DecorReality」(2008 年)はカメラのライブ・ビューに薔薇や雪など舞い散らせるもので、 AR や MR(ミクスト・リアリティ、複合現実感)をベースにした作品と言えます。 ま た、AR 技術についても、VR(ヴァーチャル・リアリティ、仮想現実感)技術ととも に 数 多 く の 研 究 制 作 が 行 な わ れ て き ま し た 。 例 え ば 、 ビ デ オ カ メ ラ 付 き の 小 型 コ ン ピ ュ ー タである SONY 社の VAIO C1(1998 年)に対して、同社からの依頼により複数のコンテン ツ を 制 作 し て い ま す 。 こ の 中 に は カ メ ラ の ラ イ ブ ・ ビ ュ ー に イ メ ー ジ を 重 ね 合 わ せ 、 対 象 物の動きに合わせてコントロールする作品「Drrooome」(1999 年)があり、AR を用いた アート表現の先駆けとして考えることができます。

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DecorReality by Masayuki Akamatsu, 2008 Drrooome by Masayuki Akamatsu, 2008 そして、2008 年 4 月からは学内プロジェクトの一環として学生に対して iPhone アプリケ ーション開発講座が始まります。これは国内での iPhone 発売以前であり、世界的にも最も 早 い 時 期 か ら の 取 り 組 み で し た 。 こ の 講 座 は 学 外 か ら の 参 加 を 受 け 入 れ る よ う に な り 、 参 加者からは「FingerPiano」(2008 年、和田純平)などの世界的な大ヒット作が生まれまし た 。 ま た 、 こ の 教 育 プ ロ グ ラ ム は ベ ス ト セ ラ ー と な っ た 「iPhone SDK の 教 科 書 」 ( 2009 年 ) の 礎 と な り 、 後 に 岐 阜 県 が 開 設 し た モ バ イ ル 関 連 施 設 DREAMCORE COLLECTIVE (2009 年)でも活用されています。

iPhone SDK の教 科 書 by Masayuki Akamatsu, 2008 DREAMCORE COLLECTIVE の施 設 風 景

1.2 セカイカメラの構想から実現へ セカイカメラは井口尊仁氏(現在の頓智ドット社 CEO)の VR 的情報環境を主体とする 初期アイディアに対して、赤松正行(IAMAS)が AR 的情報環境を提案し、プロトタイプ を制作したことが今日の発端となりました。この AR 的表現は前述した「DecorReality」や 「Drrooome」などの制作経験に由来しています。実際にも、これらの作品における表現や ノウハウが、そのままセカイカメラのプロタイプに取り入れられています。AR 技術自体は 何 十 年 も の 歴 史 を 持 っ て い ま す が 、 そ れ が 実 用 的 な 可 能 性 と し て 認 知 さ れ る に は 、 ア ー ト としての感性が必要であったと言えます。 ま た 、 プ ロ ト タ イ プ 発 表 の 成 功 を 受 け て 、 頓 智 ド ッ ト 社 で は 正 式 リ リ ー ス に 向 け て 製 品

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 版の開発が行なわれました。この際にプロトタイプに引き続いて製品版でも、IAMAS の在 学 生 が グ ラ フ ィ ッ ク ・ デ ザ イ ン や ユ ー ザ ・ イ ン タ ー フ ェ ー ス ・ デ ザ イ ン な ど の 一 部 を 担 当 しています。これは IAMAS の学生が最先端の製品開発においても通用する高い能力を有し ており、IAMAS における実践的な研究教育が効果を発揮した一例となりました。 開 発 段 階 のセカイカメラの画 面 「空 間 アルゴリズム」での制 作 物 開 発 と は 別 に リ リ ー ス 後 の セ カ イ カ メ ラ に つ い て も 、 ユ ー ザ の 立 場 か ら 活 用 研 究 や 教 育 へ の 活 用 が 試 み ら れ て い ま す 。 例 え ば 、 セ カ イ カ メ ラ を 用 い て 街 に 魅 力 を 与 え る こ と を 目 的としたワークショップ「空間アルゴリズム」(2010 年)は、新入生が最初に取り組む 5 日 間 の 課 題 と し て 考 案 さ れ て い ま す 。 こ の ワ ー ク シ ョ ッ プ は 富 山 、 京 都 、 名 古 屋 で も 展 開 され、さらに岐阜おおがきビエンナーレ 2010 では、学生有志によって新しいワークショッ プ「かいじゅうどうぶつえんをつくろう!」が実施されています。 こ の よ う な 経 緯 で 開 発 さ れ た セ カ イ カ メ ラ に つ い て 、 以 下 の 文 章 で は そ の 概 要 と 動 作 を 解説し、さらに考察と展望を述べています。ただし、この文章は 2010 年 2 月時点でのセカ イカメラのバーション 2.0 を対象として書かれています。これは、セカイカメラは急速に発 展 し て い る た め に 、 い ず れ か の 時 点 に 定 め て 論 述 す る 必 要 が あ る か ら で す 。 従 っ て 、 そ の 後 の セ カ イ カ メ ラ の バ ー ジ ョ ン で は 数 々 の 進 展 が あ る こ と と 、 一 方 で 基 本 と な る 概 念 や 機 能としては不変であることを申し添えておきます。

2. セカイカメラの概要

2.1 セカイカメラはソーシャルAR サービス セ カ イ カ メ ラ は モ バ イ ル ・ デ バ イ ス 用 の ア プ リ ケ ー シ ョ ン お よ び サ ー ビ ス で 、 オ ー グ メ ンティッド・リアリティ(AR、拡張現実)技術を応用したロケーション・ベースのインフ ォ メ ー シ ョ ン ・ シ ス テ ム で あ り 、 現 在 時 間 と 現 在 位 置 を 起 点 と す る リ ア ル タ イ ム 性 の 高 い ソ ー シ ャ ル ・ ネ ッ ト ワ ー キ ン グ ・ シ ス テ ム で す 。 セ カ イ カ メ ラ の 「 セ カ イ 」 と は 日 本 語 で 「the World」を意味する言葉であり、セカイカメラは人々の世界観(a view of the World) を扱う仕掛けとして考案されました。

一 般 に オ ー グ メ ン テ ィ ッ ド ・ リ ア リ テ ィ 技 術 は 、 現 実 に 仮 想 を 結 び つ け 、 情 報 を 現 実 の 世 界 の 中 で リ ア ル タ イ ム に 操 作 す る 技 術 と 考 え ら れ ま す 。 セ カ イ カ メ ラ は モ バ イ ル ・ デ バ イスによるAR を応用して、日常生活に密着した手軽な情報ツールとして動作します。そし

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て、ネットワーク上の膨大な情報を効率よく提供し、CGC (Consumer Generated Content) を 含めた広範囲のソーシャル・メディアとして機能することを狙っています。 2.2 現実空間のインフォメーション・システム ユ ー ザ が セ カ イ カ メ ラ を 起 動 す る と 、 目 の 前 の 光 景 が カ メ ラ を 通 し て ラ イ ブ ・ ビ ュ ー と し て ス ク リ ー ン に 映 し 出 さ れ 、 同 時 に 関 連 す る 情 報 が エ ア ・ タ グ と し て 重 ね 合 わ せ て 表 示 さ れ ま す 。 例 え ば 、 商 店 街 で あ れ ば 、 そ れ ぞ れ の 店 舗 の 名 前 や 取 り 扱 い 商 品 の 写 真 な ど が、 そ の 店 舗 に 重 な っ て 見 え ま す 。 こ れ ら は 実 際 に は イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の サ ー バ が 管 理 す る 情 報です。つまり、セカイカメラはインターネットのフロント・エンドとして機能します。 モバイル・デバイスをかざす ライブ・ビューとエアタグ ラ イ ブ ・ ビ ュ ー に 浮 か ぶ 数 多 く の エ ア ・ タ グ は 、 そ の 場 所 を 特 徴 を 示 す エ ア ・ ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン に な り ま す 。 エ ア ・ タ グ は ア イ コ ン の 形 状 や 色 を 指 定 す る こ と が で き る の で、目で見て楽しいアイ・キャンディになります。

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 エア・ビジュアライゼーション 空 間 装 飾 エ ア ・ タ グ の 数 が 多 過 ぎ る 場 合 で も 、 個 々 の 情 報 を 把 握 す る た め の 工 夫 が さ れ て い ま す 。 こ れ に は 、 条 件 を 設 定 し て 目 的 の 情 報 だ け を 表 示 す る エ ア ・ フ ィ ル タ や 、 エ ア ・ タ グ の 配 置 を 一 時 的 に 変 更 し た り 、 螺 旋 状 に 回 転 さ せ て 表 示 す る エ ア ・ ア レ ン ジ メ ン ト な ど が あ り ます。 エア・フィルタ エア・アレンジメント(スパイラル・ディスプレイ) エ ア ・ タ グ は 誰 で も 自 由 に 作 成 し て 、 そ の 場 に 貼 付 け る こ と が で き ま す 。 ま た 、 主 要 な 建 物 な ど の 地 理 情 報 が ラ ン ド マ ー ク と し て 整 備 さ れ て お り 、 企 業 や 官 公 庁 な ど が 商 業 的 な エア・タグを提供しています。 テキスト・タグの投 稿 画 面 フォト・タグの投 稿 画 面

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こ の よ う に 、 セ カ イ カ メ ラ の 情 報 空 間 は 、 ユ ー ザ に よ る CGC (Consumer Generated Content)と、パブリッシャーによるオフィシャルなコンテンツとが共存することになります。 エア・タグの中身にはテキスト、WEB リンク、フォト、サウンド、ムービーなどがあり ま す 。 あ る エ ア ・ タ グ に は 複 数 の 情 報 を 連 続 的 に 繋 げ て 、 多 面 的 に 情 報 を 構 成 す る こ と が で き ま す 。 既 存 の エ ア ・ タ グ に 他 の ユ ー ザ が 情 報 を 付 加 す る こ と も 可 能 で 、 こ れ は 特 に エ ア・コメントと呼ばれます。 フォト・タグの詳 細 画 面 エア・コメントによるホテル情 報 2.3 日常行動のソーシャル・ネットワーキング セ カ イ カ メ ラ は 現 在 位 置 と 現 在 時 刻 に お い て 現 実 と 情 報 を 繋 ぎ ま す が 、 そ れ だ け に 留 ま らず、情報と人、そして人と人を繋ぐ機能を持っています。 ま ず 、 興 味 を ひ い た エ ア ・ タ グ や ユ ー ザ は 、 エ ア ・ ポ ケ ッ ト に 入 れ る こ と が で き ま す 。 こ れ は 一 種 の ブ ッ ク マ ー ク 機 能 で 、 エ ア ・ ポ ケ ッ ト を 開 け ば 、 保 管 し た エ ア ・ タ グ や ユ ー ザ の 最 新 状 態 が 分 か り ま す 。 エ ア ・ タ グ が 存 在 す る 位 置 を 示 す エ ア ・ マ ッ プ を 表 示 す る こ とも可能です。 エア・ポケット エア・マップ エ ア ・ シ ャ ウ ト を 用 い て 、 近 く に い る 人 に 呼 び か け る こ と が で き ま す 。 こ れ は 特 別 な ア イ コ ン と し て 、 他 の ユ ー ザ に 向 か っ て 飛 ん で 行 く よ う に 見 え ま す 。 ま た 、 自 分 の プ ロ フ ィ ー ル を 公 開 す れ ば 、 エ ア ・ プ ロ フ を 表 示 す る こ と に な り 、 他 の ユ ー ザ か ら 見 れ ば 、 そ の 人

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 の頭上に特別なエア・タグが浮いているように見えます。 エア・シャウト エア・プロフ セ カ イ カ メ ラ で は 、 自 分 自 身 や フ ォ ロ ー し て い る ユ ー ザ の 状 況 を 把 握 で き ま す 。 こ れ は セ カ イ ・ ラ イ フ と い う 一 覧 表 示 画 面 と し て 表 示 さ れ 、 時 系 列 で 活 動 を 表 示 す る ラ イ ム ラ イ ン 、 自 分 へ の 働 き か け が 分 か る リ プ ラ イ 、 自 分 の 行 動 履 歴 で あ る ヒ ス ト リ ー 、 す れ 違 っ た ユーザを把握するフットマーク、そして自分の情報を示すプロフィールがあります。 セカイ・ライフ な お 、 セ カ イ カ メ ラ は 他 の ネ ッ ト ワ ー ク ・ サ ー ビ ス と の 連 動 も 考 慮 さ れ て い ま す 。 例 え ば、エア・ツイートを有効にすれば、投稿したエア・タグは Twitter のタイムラインにも現 れるようになっています。

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エア・ツイート エア・ツイートの詳 細 画 面 2.4 現実と情報と人との連動 以 上 の よ う な 機 能 に よ っ て 、 セ カ イ カ メ ラ は 現 実 と 情 報 を 繋 ぎ 、 そ し て 情 報 と 人 、 人 と 人 と を 繋 ぎ ま す 。 セ カ イ カ メ ラ は モ バ イ ル ・ デ バ イ ス 上 で 動 作 す る の で 、 普 段 の 生 活 の 中 で 気 軽 に 利 用 す る こ と が で き ま す 。 い つ で も ど こ で も 手 軽 に 周 囲 の 情 報 を 得 て 、 多 く の 人 との繋がりの中で行動することを可能にすることがセカイカメラの目標です。

3. セカイカメラの動作

3.1 セカイカメラの動作条件 ユ ー ザ が 使 用 す る セ カ イ カ メ ラ 、 す な わ ち セ カ イ カ メ ラ が 提 供 す る サ ー ビ ス の ク ラ イ ア ン ト で あ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン は 、 タ ッ チ ・ ス ク リ ー ン 、 デ ジ タ ル ・ カ メ ラ 、GPS(*)、電子 コ ン パ ス 、 加 速 度 セ ン サ ー 、 そ し て イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 の 機 能 を 備 え た モ バ イ ル ・ デ バ イ ス 上 で 動 作 し ま す 。 セ カ イ カ メ ラ は 世 界 中 の ど こ で で も 利 用 で き ま す が 、 携 帯 電 話 網 (2G/3G)または Wi-Fi によるインターネット接続を必要とします。 現時点ではセカイカメラは iPhone および Android フォン用のアプリケーションとして提 供されており、オンライン・ストアであるApp Store や Android Market から無償でダウンロ ードし、無料で利用することができます。また、セカイカメラのサーバは、Amazon が運用 するクラウド・サービスであるEC2 を利用して運用しています。 3.2 セカイカメラの動作概要 セ カ イ カ メ ラ の 具 体 的 な 動 作 と し て は 、 ま ず 、 ユ ー ザ が デ バ イ ス を 目 の 前 に か ざ す と 、 そ の 向 こ う の 光 景 が カ メ ラ を 通 し て ス ク リ ー ン 上 に ラ イ ブ ・ ビ ュ ー と し て 表 示 さ れ ま す 。 この時、GPS によって現在位置を判断し、インターネット上のサーバから近距離に位置す る 情 報 を 取 得 し ま す 。 そ し て 、 コ ン パ ス と 加 速 度 セ ン サ ー に よ っ て デ バ イ ス の 向 き を 判 断 し 、 ラ イ ブ ・ ビ ュ ー 上 の 適 切 な 位 置 に エ ア ・ タ グ と 呼 ば れ る 情 報 を 重 ね 合 わ せ て 表 示 し ま す 。 こ の 仕 組 み に よ り 、 現 実 世 界 の 場 所 や 建 物 と 仮 想 的 な 情 報 を 関 連 付 け て 表 示 す る こ と ができます。

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 セカイカメラの動 作 概 念 図 セ カ イ カ メ ラ の ア プ リ ケ ー シ ョ ン は ユ ー ザ の ア カ ウ ン ト だ け を 保 持 し て お り 、 取 り 扱 う 情 報 の 大 半 は イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の サ ー バ に あ り ま す 。 こ れ ら の 情 報 は 相 互 に リ ン ク さ れ て お り 、 外 部 の サ ー バ の 情 報 に も リ ン ク さ れ て い ま す 。 つ ま り 、 セ カ イ カ メ ラ は ク ラ ウ ド ・ サ ー バ 型 の 情 報 サ ー ビ ス で あ り 、 ク ラ イ ア ン ト で あ る セ カ イ カ メ ラ ・ ア プ リ ケ ー シ ョ ン は、 AR 型のブラウザとして考えることができます。 3.3 エア・タグの管理 エ ア ・ タ グ は セ カ イ カ メ ラ の ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 用 い て 、 誰 で も 自 由 に 作 成 す る こ と が で き 、 作 成 し た 位 置 に 結 び つ け ら れ て 管 理 さ れ ま す 。 こ れ は ユ ー ザ に 開 放 さ れ た CGM (Consumer Generated Media)としての情報空間の作成を可能にします。

これとは別に、AMS(Air tag Management System)というエア・タグのオーサリング・シ ステムも用意しています。AMS は WEB アプリケーションとして動作し、地図上で位置を 指定してエア・タグを作成することができます。また、AMS を用いれば、イメージやムー ビ ー な ど の ア ッ プ ロ ー ド や 、 エ ア ・ タ グ の 一 括 編 集 、 そ し て 不 要 な エ ア ・ タ グ の 削 除 な ど が可能になります。

AMS のエア・タグ管 理 画 面

さらに、Open Air API を公開しており、このプロトコルに準拠した通信を行なうことで、 他 の デ ー タ ベ ー ス と の 連 携 を 行 な い 、 エ ア ・ タ グ の 生 成 や 内 容 の 管 理 を 自 動 的 に 行 な う こ とができます。Open Air API は、すでにレストランやホテル、あるいは店舗や商品などの商

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業データベースとセカイカメラを連携するために用いられています。

AMS や Open Air API は特別な契約を結んだユーザだけが使用でき、現時点では一般ユー ザには公開されていません。ただし、近い将来には API を一般ユーザに開放することを予 定しています。なお、AMS や Open Air API で作成したエア・タグはパブリッシャーズ・エ ア・タグとして扱われ、金色の枠を持ったタグ・ビューとして表示されます。 セカイカメラにおけるデータの流 れ

4. セカイカメラの考察

4.1 不可知の可視化と操作 セ カ イ カ メ ラ を 初 め て 使 う 人 は 、 そ の ラ イ ブ ・ ビ ュ ー を 食 い 入 る よ う に 見 つ め ま す 。 多 く の 場 合 、 表 情 が パ ッ と 明 る く な り 、 し ば し ば 驚 嘆 の 声 を あ げ 、 さ ら に 周 囲 の 様 子 を 見 よ う と し ま す 。 こ れ は 、 目 の 前 の 光 景 に エ ア ・ タ グ が 現 れ る の で 、 「 目 に 見 え な い も の を 見 る 」 こ と が で き る か ら に 他 な い り ま せ ん 。 そ れ は 場 所 や 物 事 に 潜 ん で い る 精 霊 が 実 体 化 し たような感覚を与えます。 こ の よ う な 直 観 的 な 驚 き や 喜 び を 大 切 に す る た め に 、 エ ア ・ タ グ は カ ラ フ ル な ア イ コ ン で 表 さ れ 、 そ の 状 態 に 応 じ て ア イ コ ン は 揺 れ た り 、 移 動 し た り と い っ た ア ニ メ ー シ ョ ン 効 果 が 与 え ら れ ま す 。 こ れ は 、 単 純 な 情 報 で あ る エ ア ・ タ グ を 生 き 生 き と し た 存 在 と し て 表 現し、現実の世界にもうひとつの現実の世界が混じり合う効果を狙っています。 ま た 、 エ ア ・ タ グ に 指 で 触 れ て そ の 中 身 を 見 た り 、 エ ア ・ タ グ を 指 で 移 動 す る こ と が で き ま す 。 エ ア ・ タ グ の 集 ま り を 指 差 し て 、 そ れ ら を 整 列 さ せ て 周 回 運 動 さ せ た り 、 周 囲 を 拡 大 し て 細 か な 様 子 を 見 る こ と も で き ま す 。 こ の よ う な 操 作 も ま た 、 現 実 の 物 体 を 直 接 手 で触れる感覚を与えるように考案されています。 セ カ イ カ メ ラ の よ う な オ ー グ メ ン テ ィ ッ ド ・ リ ア リ テ ィ(AR)技術は、現実の世界に仮想 的 な 情 報 を 重 ね 合 わ せ る 技 術 で す が 、 こ こ で は 直 観 的 に 理 解 す る こ と が で き 、 感 覚 的 に 操 作 で き る こ と を 目 指 し て い ま す 。 ラ イ ブ ・ ビ ュ ー が 提 示 す る 現 実 と 情 報 の 世 界 を よ り 魅 力 的にし、人々の行動をかき立てることこそが大きな目的だからです。

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 古 戦 場 (関 ヶ原 )でのエアタグ 観 光 地 (バルセロナ)でのエアタグ 4.2 知識や感情の外在化 ラ イ ブ ・ ビ ュ ー に 浮 か ぶ 数 々 の エ ア ・ タ グ は 、 場 所 や 物 体 に 関 連 付 け ら れ た 情 報 に 他 な り ま せ ん 。 晴 眼 者 で あ れ ば 誰 で も 目 の 前 の 光 景 か ら 何 ら か の 情 報 を 得 た り 、 何 ら か の 感 情 を 持 っ た り し ま す 。 た だ し 、 知 識 や 経 験 に は 限 り が あ る の で 、 大 切 な 事 柄 に 気 が 付 か な い 場 合 も 多 い は ず で す 。 そ こ で 、 セ カ イ カ メ ラ を か ざ す と 、 そ の 場 所 に 与 え ら れ た 情 報 が 浮 かび上がり、その場所を調べたり、楽しんだりすることが可能になります。 さ ら に 、 場 所 や 物 体 に 情 報 を 付 加 す る こ と は 、 そ の 人 が 持 つ 知 識 や 感 情 を 外 在 化 さ せ る こ と に な り ま す 。 こ れ は 従 来 の 手 法 で は 困 難 で あ っ た こ と で す 。 例 え ば 、 そ の 場 所 を 言 葉 や 図 で 説 明 し て も 、 対 象 と の 関 係 は 曖 昧 に な ら ざ る を 得 ま せ ん 。 一 般 的 な カ メ ラ で 撮 影 し た 写 真 は 空 間 全 体 と の 関 連 性 を 失 い 、 撮 影 し た 瞬 間 の 前 後 の 状 況 と も 切 り 離 さ れ て し ま う か ら で す 。 し か し 、 セ カ イ カ メ ラ は 、 こ の よ う な 外 在 化 を 気 軽 に 効 率 よ く 行 な う こ と が で きます。 ち な み に 、 エ ア ・ タ グ は 現 実 の 看 板 や 名 札 に 似 て い ま す 。 も っ と も 、 実 際 の 物 体 の 設 置 は 、 少 な か ら ず 費 用 が か か り 、 景 観 を 損 ね る 恐 れ が あ り ま す 。 セ カ イ カ メ ラ で は 、 そ の よ う な 問 題 が 生 じ な い だ け で な く 、 多 言 語 対 応 を 含 め て 詳 し い 情 報 の 提 供 が 可 能 で あ り 、 内 容の更新も迅速に行なうことができます。 歴 史 的 建 造 物 (高 山 )でのエアタグ 商 店 での商 品 説 明 エアタグ

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4.3 集合的な世界観の創出 セ カ イ カ メ ラ に は 、 主 要 な 建 物 な ど の ラ ン ド マ ー ク と し て の エ ア ・ タ グ や 、 企 業 や 官 公 庁 な ど の パ ブ リ ッ シ ャ ー が 提 供 す る オ フ ィ シ ャ ル な エ ア ・ タ グ が あ り ま す 。 一 方 、 ユ ー ザ で あ れ ば 誰 で も 自 由 に エ ア ・ タ グ を 作 成 し 、 コ メ ン ト を 付 け る こ と が で き ま す 。 そ れ は イ ン フ ォ ー マ ル な 情 報 で す が 、 シ ス テ ム に は 用 意 さ れ て い な い 情 報 を 、CGC (Consumer Generated Content) として構築することを可能にします。実際にも、宝探しのような遊びが 考 案 さ れ た り 、 学 術 的 な 調 査 結 果 を 場 所 に 割 り 当 て る な ど 、 多 種 多 様 な 活 用 が 行 な わ れ て います。 様 々 な ユ ー ザ に よ る 様 々 な エ ア ・ タ グ が 多 層 的 に 積 み 重 な れ ば 、 そ れ は 集 合 的 な 世 界 観 の 創 出 に な り ま す 。 そ れ は ま た 、 人 々 の 間 で の 知 識 や 感 性 の 交 流 へ と 発 展 し ま す 。 そ こ で、 セ カ イ カ メ ラ で は ソ ー シ ャ ル ・ ネ ッ ト ワ ー キ ン グ を 重 視 し 、 エ ア ・ コ メ ン ト 、 エ ア ・ ポ ケ ッ ト 、 エ ア ・ プ ロ フ 、 セ カ イ ラ イ フ な ど の 機 能 を 持 っ て い ま す 。 こ れ は 人 々 の 関 心 を 高 め、 CGM (Consumer Generated Media)としてのセカイカメラの活性化にも繋がります。

こ の よ う な 知 識 や 感 性 の 集 積 と 交 流 は 、 す で に イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で は 広 く 行 な わ れ て お り、例えば、Blog, RSS, SNS, Twitter などの技術やサービスなどを挙げることができます。 ただし、これらは WEB などのスクリーン上の情報として展開されることが前提になってい ま す 。 一 方 、 セ カ イ カ メ ラ は 、 現 実 の 場 所 や 空 間 と 関 連 さ せ て 集 合 的 な コ ン テ ン ツ を 作 り 上 げ る こ と に 特 徴 が あ り ま す 。 従 っ て 、 移 動 や 日 常 生 活 を 含 め た 現 実 の 世 界 の 中 で 使 わ れ る モ バ イ ス ・ デ バ イ ス 用 の サ ー ビ ス と し て 、 セ カ イ カ メ ラ は 大 き な 可 能 性 を 持 つ と 考 え て います。 古 い町 並 み(高 山 )を変 えるエアタグ 新 興 開 発 地 (東 京 )を変 えるエアタグ 4.4 現実と仮想の拮抗 セ カ イ カ メ ラ は 、 現 実 の 世 界 に 仮 想 的 な 情 報 を 重 ね 合 わ せ る の で 、 現 実 と 仮 想 と の 関 係 性 に お い て 興 味 深 い 現 象 が し ば し ば 起 こ っ て い ま す 。 例 え ば 、 オ タ ク 文 化 の 聖 地 で あ る 秋 葉 原 で は 、 セ カ イ カ メ ラ の 公 開 直 後 に 恋 愛 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・ ゲ ー ム の ヒ ロ イ ン の エ ア ・ タ グ が 大 量 に 投 稿 さ れ 、 ラ イ ブ ・ ビ ュ ー を 覆 い 尽 く し ま し た 。 す る と 翌 日 に は 、 そ の エ ア ・ タ グ に 似 せ た 実 際 の 看 板 が 制 作 さ れ て 、 店 舗 の 軒 先 や ビ ル の 屋 上 に 掲 げ ら れ て い ま し た 。 こ れ は 現 実 の 世 界 に 重 ね ら れ た 仮 想 の 事 象 が 、 現 実 の 世 界 に 現 実 の 物 体 と し て 逆 流 し たことになります。(姉ケ崎事件)

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010

セカイカメラでの姉 ケ崎 タグ 現 実 世 界 に登 場 した姉 ケ崎 タグ Photo by AKIBA PC Hotline! http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/ ま た 、 若 者 の 街 で あ る 渋 谷 で は 、 バ レ ン タ イ ン に 合 わ せ て ピ ン ク 色 で ハ ー ト 型 の エ ア ・ タ グ が 数 多 く 投 稿 さ れ ま し た 。 と こ ろ が 、 同 時 期 に 同 じ 場 所 で 、 セ カ イ カ メ ラ を 使 っ た 映 画 の キ ャ ン ペ ー ン と し て 、 黒 い 色 で 恐 怖 感 を 煽 る よ う な 「 怒 」 の エ ア ・ タ グ も 数 多 く 存 在 し て い ま し た 。 現 実 の 街 頭 で は バ レ ン タ イ ン 向 け に フ ァ ン シ ー な 装 飾 で 彩 ら れ い ま し た が、 セ カ イ カ メ ラ で は 、 ハ ー ト ・ マ ー ク と 恐 怖 マ ー ク が 混 在 し 、 勢 力 争 い を し て い る よ う な 不 思議な光景が出現したわけです。(渋谷バレンタイン事件) バレンタインのハートタグ ハートタグに混 在 する「怒 」タグ こ の よ う な 現 象 は 各 地 で 頻 繁 に 起 こ っ て い ま す の で 、 セ カ イ カ メ ラ は 現 実 と 仮 想 と の 境 界 を 曖 昧 に す る 働 き を 持 っ て い る と 考 え る こ と が で き ま す 。 特 に 、 セ カ イ カ メ ラ を 持 た な い 人 や 、 現 地 を 知 ら ず に セ カ イ ラ イ フ を 見 る 人 に は 、 現 実 と 情 報 と の 繋 が り が 把 握 で き ず に困惑することになります。 な お 、 ス パ ム 的 な 悪 意 の あ る 情 報 や 他 者 を 非 難 中 傷 す る 情 報 、 あ る い は 意 図 せ ず 間 違 っ た 情 報 な ど が セ カ イ カ メ ラ に 持 ち 込 ま れ る 危 険 性 も 存 在 し ま す 。 そ こ で 、 セ カ イ カ メ で は、 苦 情 の 連 絡 方 法 を 明 示 し 、 不 適 切 な 情 報 の 削 除 な ど の 対 処 方 法 を ル ー ル 化 し て 運 用 し て い ま す 。 現 時 点 で は 、 そ の よ う な ト ラ ブ ル は ほ と ん ど 報 告 さ れ て い ま せ ん が 、 今 後 も 適 切 に セカイカメラを運用する必要があります。

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5. セカイカメラの展望

5.1 特別から日常への展開 現 時 点 で の セ カ イ カ メ ラ の 用 途 と し て は 、 観 光 地 や 博 物 館 な ど の 特 別 な 場 所 や 、 イ ベ ン ト や プ ロ モ ー シ ョ ン な ど の 特 別 な 機 会 に 多 く 用 い ら れ 、 効 果 的 な 情 報 提 供 手 段 と し て 高 い 評 価 を 得 て い ま す 。 こ れ ら は 、 言 わ ば 非 日 常 的 な 状 況 で の 特 別 な 機 能 と し て セ カ イ カ メ ラ が用いられていることになります。 一 方 、 ホ テ ル や 店 舗 な ど の 情 報 提 供 の た め に も セ カ イ カ メ ラ が 用 い ら れ て い ま す 。 日 本 国 内 で は 全 国 規 模 で エ ア ・ タ グ を 網 羅 的 に 提 供 す る 企 業 が 増 え て 来 て い ま す 。 こ れ は 、 例 え ば 、 思 い が け ず 必 要 が 生 じ て 周 辺 の ホ テ ル や 店 舗 を ラ イ ブ ・ ビ ュ ー で 探 し た り 、 あ て ど な く 商 店 街 を 歩 い て い て 気 に 留 ま っ た エ ア ・ タ グ か ら 商 品 を 見 つ け る よ う な 状 況 に 繋 が り ます。 こ の よ う な 用 途 を さ ら に 拡 大 し て 、 何 気 な い 普 段 の 生 活 の 中 で 多 く の 人 に よ っ て 活 用 さ れ る こ と を 目 指 し て い ま す 。 セ カ イ カ メ ラ は 現 実 の 世 界 で 現 実 の 生 活 と し て 使 わ れ る ツ ー ル と 位 置 付 け ら れ て い る か ら で す 。 こ の た め に は 、 よ り 軽 快 な 動 作 や 効 率 的 な 操 作 を 実 現 す る 必 要 が あ り 、 よ り 魅 力 的 な コ ン テ ン ツ や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 提 供 す る 必 要 が あ り ま す 。 こ の こ と は 当 然 な が ら 、 非 日 常 的 な 状 況 で の セ カ イ カ メ ラ の 価 値 を 高 め る こ と に も 繋 がります。 特 別 な場 面 での使 用 日 常 的 な場 面 での使 用 5.2 位置精度の問題

セカイカメラの現在位置測定には、A-GPS (Assisted GPS)とともに Wi-Fi ルータや携帯電 話 基 地 局 の 信 号 に よ る 位 置 推 定 技 術 も 併 用 し て い ま す 。 こ の 位 置 測 定 は 現 状 で は 必 ず し も 精度が高くはなく、条件の良い場合で 4~5m 程度の誤差があります。従って、大きな建物 な ど 、 お お ま か な 場 所 に 情 報 を 割 り 当 て る こ と は 問 題 あ り ま せ ん が 、 よ り 小 さ な 対 象 物 に 対 し て 正 確 に 情 報 を 結 び つ け る こ と は 困 難 で す 。 ま た 、 現 時 点 で は 高 度 情 報 は 利 用 し て い ないので、建物の何階にいるのかといった判別はできません。 ただし、Wi-Fi ルータの設置位置の調整や詳細な電波測量を行なうことで、ある程度は位 置 精 度 を 改 善 す る こ と が で き 、 補 助 的 な 情 報 を 使 っ て 建 物 内 の フ ロ ア を 識 別 す る こ と も 可 能 で す 。 ま た 、 セ カ イ カ メ ラ で は 、 位 置 精 度 の 問 題 を エ ア ・ タ グ の 表 示 方 法 や 運 用 方 法 に

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 よ っ て 緩 和 す る こ と を 試 み て い ま す 。 例 え ば 、 エ ア ・ タ グ を 緩 や か に 移 動 さ せ る こ と で 、 厳 密 な 位 置 と の 密 着 を 避 け 、 周 囲 を 漂 う な 存 在 と し て 表 示 す る 場 合 が あ り ま す 。 ま た 、 ク イ ズ ・ ラ リ ー な ど で は 曖 昧 な エ ア ・ タ グ を 頼 り に 、 実 際 の 物 を 見 つ け る ゲ ー ム と し て 考 案 することもできます。 し か し 、 こ の よ う な 手 法 は 、 位 置 精 度 の 完 全 な 解 決 で は な い こ と も 事 実 で す 。 そ こ で 、 独自の研究を続けるとともに、次世代 GPS などの高精度な位置推定技術の肺発と普及が望 ま れ る と こ ろ で す 。 位 置 精 度 が 高 ま る と と も に 、 セ カ イ カ メ ラ の 適 用 範 囲 が 広 が り 、 こ れ までは難しかったピンポイントでの情報提供が可能になります。 屋 外 での GPS による現 在 位 置 計 測 屋 内 での Wi-Fi による現 在 位 置 計 測 5.3 場所と物体による情報構成 セ カ イ カ メ ラ に お け る 現 実 世 界 の 把 握 は 位 置 推 定 と し て 行 な っ て お り 、 場 所 に 対 し て 情 報を付加しています。これに対して、近い将来には RFID や画像解析などによる物体認識に 基 づ い て 、 物 体 に 対 し て 情 報 を 割 り 当 て る こ と が 検 討 さ れ て い ま す 。 こ の 場 合 、 ロ ケ ー シ ョン・ベースとオブジェクト・ベースの 2 つの異なる方法は、相互補完的に運用されるこ とになり、どちらか一方だけで完結することはないと思われます。 実 際 の 運 用 と し て も 、 ロ ケ ー シ ョ ン ・ ベ ー ス の 情 報 は 、 場 所 に 固 定 さ れ る の で 時 間 的 な 経 過 に 対 し て 複 数 の 情 報 を 持 た せ る こ と が で き ま す 。 例 え ば 、 長 い 歴 史 を 持 っ た 場 所 に 、 年 代 ご と の 複 数 の 情 報 を 割 り 当 て る こ と が 考 え ら れ ま す 。 こ の よ う な 情 報 を エ ア ・ フ ィ ル タ で 操 作 す れ ば 、 時 間 を 遡 っ て 過 去 の 状 況 を 見 た り 、 時 間 を 進 め て 未 来 の 予 想 を 垣 間 見 る ことができます。 一 方 、 オ ブ ジ ェ ク ト ・ ベ ー ス の 情 報 は 、 そ の 物 体 に 張 り 付 く よ う に 空 間 的 に 移 動 す る こ と に な り ま す 。 そ こ で 、 物 体 の 位 置 を 時 間 経 過 と と も に 記 録 す れ ば 、 物 体 の ト ラ ッ キ ン グ な ど に 応 用 す る こ と が で き ま す 。 既 に 実 現 さ れ て い る エ ア ・ プ ロ フ も オ ブ ジ ェ ク ト ・ ベ ー スの情報であり、ユーザ(実際にはモバイル・デバイス)と共に移動します。 こ の よ う な ロ ケ ー シ ョ ン ・ ベ ー ス の 情 報 と オ ブ ジ ェ ク ト ・ ベ ー ス の 情 報 を 統 合 的 に 扱 え ば、4 次元時空間的な情報構成が可能になります。そして、4 次元時空間の操作は、現在位 置 と 現 在 時 刻 を 起 点 と し て 、 ち ょ う ど タ イ ム ・ マ シ ン や フ ラ イ ン グ ・ カ メ ラ の よ う に 機 能

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することになります。 現 在 位 置 ベースでの情 報 提 供 定 点 観 測 として活 用 されるエアタグ 5.4 静的な世界から動的な世界へ ロ ケ ー シ ョ ン ・ ベ ー ス の 情 報 は 場 所 に 固 定 さ れ 、 オ ブ ジ ェ ク ト ・ ベ ー ス の 情 報 は 物 体 に 固 定 さ れ ま す が 、 自 由 に 移 動 し 自 律 的 に 動 作 す る 情 報 も 考 え る こ と が で き ま す 。 こ の 簡 単 な 実 例 は エ ア ・ シ ャ ウ ト で 、 情 報 は 発 信 者 か ら 周 囲 の ユ ー ザ に 向 か っ て 飛 ぶ よ う に 空 間 的 に 移 動 し ま す 。 ま た 、 特 定 の 条 件 化 で は エ ア ・ タ グ の 移 動 や 拡 大 、 回 転 、 画 像 の 差 し 替 え によって簡単なアニメーション効果を与えることも行なっています。 こ の よ う な 動 作 や 表 現 を 発 展 さ せ て 、 条 件 に 従 っ て 空 間 を 移 動 し た り 、 時 刻 に よ っ て 生 起消滅するエア・タグや、3D モデルによって立体的に表示され、より高度なアニメーショ ン を 行 な う エ ア ・ タ グ な ど を 構 想 し て い ま す 。 こ れ ら は 、 よ り 能 動 的 な サ ー ビ ス や 仮 想 ペ ットのようなエンターテイメントに発展させることができます。 現 時 点 で の セ カ イ カ メ ラ は 比 較 的 静 的 な 世 界 を 扱 っ て い る の に 対 し て 、 今 後 の セ カ イ カ メ ラ は よ り ダ イ ナ ミ ッ ク で イ ン タ ラ ク テ ィ ブ な 世 界 と し て 展 開 さ れ ま す 。 た だ し 、 こ の 場 合 に も 、 ユ ー ザ が 今 こ こ に 存 在 し て い る 現 実 世 界 が 起 点 と な り 、 常 に 現 実 世 界 に お け る 適 切な行動や深い思考を支援するために、セカイカメラが用いられます。 店 舗 情 報 のリアルタイム更 新 バーチャル・ペットとしての展 開

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IT 弱者向け電子メールインターフェイスの提案

Proposal of an E-mail Interface for the IT weak

小林 孝浩*1、竹谷 康彦*2*3 一柳 哲也*3 栗田 佳代*1

KOBAYASHI Takahiro, TAKEYA Yasuhiko, ICHIRYU Tetsuya, KURITA Kayo

Abstract The forms taken by existing analogue tools have strong affordance and are firmly established within our memories. Focusing on the strength of affordance in the design of certain tools and the materials used therein, we attempted to use these as the basis for the weak of an IT device. By doing so we aimed to reduce the cost to the user in remembering how to operate the device and its features. This paper offers an example of a concrete proposal for a system focused on the sending and receiving of emails. We produced a trial device that uses the affordance of mailboxes and postcards to create an email transmission system that imitates the special characteristics of the postal service. The user can send postcards by inserting them into the mailbox-like device, and can receive emails as if they were receiving postcards from the mouth of the device as well.

Keyword e-mail interface, IT weak, mailbox, affordance, user interface

1. はじめに 1.1 背景と目的 従来のアナログな道具は、その形状に固有 な強いアフォーダンスを有し、我々の記憶に 定着している。道具のデザインやそこで使用 される媒体の持つ、こうした強いアフォーダ ンスに着目し、これを IT 機器そのもののデ ザ イ ン や 作 業 手 順 と し て 活 か す こ と を 試 み た。これにより、装置の機能や操作方法を覚 えるためのコスト軽減、苦手意識などといっ た敷居の低下を狙っている。 携 帯 電 話 に お い て さ え も 電 子 メ ー ル が 使 え る 現 代 で あ る が 、 高 齢 者 を は じ め と す る IT 弱者の多くは、その恩恵に浴することが できていない。携帯電話や PC などの装置は IT 弱者にとっては全く新しい概念であり、 そ の 概 念 の 獲 得 に 時 間 を 要 す る た め で あ る と考えられる。 そこで本研究では、具体的タスクとして、 「電子メールの送受信」を対象として研究を 行っている。これまでに、ポスト(郵便受け) の外見形状や機能的割り当てを踏襲し、メッ セージの作成や、やり取りに物理的なハガキ を使用することで、直感的に操作できる電子 メールインターフェイスを提案してきた[1]。 本稿では、提案する装置に関して、ユーザ テストを経た試作の段階を示しつつ、現時点 で理想とする一つの形態を提示する。また、 その過程で得られた、この装置の持つ可能性 や、今後の課題を明確にすることを目的とす る。 *1: 情 報 科 学 芸 術 大 学 院 大 学 (IAMAS) *2: 岐 阜 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 *3:( 株 ) フ ァ ー ス ト

*1: Institute of Advanced Media Arts and Sciences *2: Graduate School of Engineering, Gifu University *3: First Co. Ltd.

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1.2 関連研究 関連の研究としては、高齢者向の特性を考 慮したインターフェイスの研究[2],[3]や、高 齢 者 向 け の 電 子 メ ー ル ソ フ ト ウ エ ア や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 専 用 ハ ー ド ウ エ ア の 研 究 [4]-[6]については多数行われている。これら の多くは「新しいツール」を使いやすく提供 するという視点である。 一方で、fax と電子メールの乗り入れを便 利にするような商品も販売されている。例え ば、送信されたfax の内容を、携帯電話の画 面 サ イ ズ に マ ッ チ し た 添 付 画 像 に 変 換 す る 機能を特徴としたものが存在する。海外では、 手書きで書いた宛先を認識して、fax から電 子メールに送信する機器も販売されている。 これらは、既に使い慣れた装置を使いやすく する、という提案である。 一方で、本研究の提案は、郵便ポストやハ ガ キ が 持 つ 強 い ア フ ォ ー ダ ン ス を 利 用 し シ ステムのデザインを行うこと、そして、これ に よ り 装 置 の 機 能 や 操 作 方 法 を 自 然 に 連 想 させることを目的としており、これによって 得られる利点と、そこで発生する問題点を明 らかにするものである。 2. 提案手法と設計指針 2.1 対象とする操作 電子メールを送受信する操作を対象とし、 PC や携帯電話と乗り入れしつつ、これらの 操作を置き換えるような体系を、提案する概 念の下で設計する。電子メールでの操作は、 送信と受信に加え、送信相手の選択や、アド レス交換(送信相手のアドレス取得、自身の アドレス通知)などのタスクが存在する。こ れらタスクについて、実現するための方針を 立てる。 2.2 想定する使用者 本研究で想定する装置の主な使用者は IT 弱者とした。FAX や携帯メールといった IT 機器を使用しているユーザであっても、提案 す る 装 置 の 良 さ を 感 じ 、 使 用 し た い と 思 う ユーザであれば対象としている。これはいわ ゆる「乗り換え需要」を持つユーザであり、 提 案 す る 装 置 の 潜 在 的 な ユ ー ザ で あ る か ら である。さらに、「IT 機器に慣れていない」 または「PC や携帯電話等の IT 機器に触れさ せるには抵抗のある児童」なども、ユーザ対 象として想定している。 2.3 実機の設計指針 従 来 か ら の 郵 便 ポ ス ト ま た は 郵 便 受 け の 形状、郵便ハガキへのインタラクションをメ タファーとして再利用できる(演出する)よ う設計する。具体的には以下のとおりである。 メッセージの媒体 電子メールのメッセージ媒体として、従来 の「郵便ハガキ」のメタファーを採用するこ ととした。実在して手に取ることができ、慣 れ た 方 法 で メ ッ セ ー ジ の 作 成 が で き る か ら である。郵便ハガキ同様の、厚手の紙を使用 し、これに直接書き込むことでメッセージを 作成する。受信するメッセージは、同様な用 紙に記された形で手元に届くものとする。 送受信装置 電子メールの送受信を行う装置は、郵便ポ スト、ないしは、郵便受けを模したデザイン とする。すなわち、ハガキの送信部(投函口) を持ち、それとわかるようなデザインの演出 を行い、加えて、ハガキを投函するかのよう な操作性を演出する。さらにハガキの受信に 関しては、受信部(受取口)とわかるように 演 出 さ れ た 機 構 を 持 ち 、 送 ら れ て き た メ ッ セージが、ここに届けられたような演出を行 うものとする。 送信相手の選択 送信相手の選択は次のように考える。まず、 メッセージを送ることができるのは、あらか じ め 何 ら か の 方 法 で 登 録 さ れ た 相 手 に 限 定 するものとした。送信相手の特定は、「宛先 シール」により指定する方法と、「あらかじ め宛先が書かれたハガキ(送信用ハガキ)」 を選択する方法を考案した。後に詳しく述べ るが、これらを試作したところ、宛先シール

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 の場合、シール出力装置の実現のために、比 較的大きな容積が必要であることから、「宛 先のみが書かれたハガキ」そのものを使用す る方法を採用し、改良を行う方針とした。以 降、送信用ハガキ方式を中心に説明する。 最初手元には、相手の名前と住所だけが書 かれた送信用ハガキが、あらかじめ何らかの 方法で用意されているものとする。送信用ハ ガ キ は 登 録 さ れ た 相 手 の 数 だ け 存 在 す る こ とになる。これにより使用者は、この送信用 ハ ガ キ を 住 所 録 カ ー ド の よ う に し て 使 用 す ることができ、送りたい相手の選択は、目的 の 送 信 用 ハ ガ キ を 探 し 出 す こ と で 成 し 遂 げ られる。 メッセージの作成と送信 選択した相手の送信用ハガキに、直接記入 することでメッセージを作成する。作成した メッセージは、送受信装置の投函口に投函す ることにより送信される。システムは、投函 さ れ た 相 手 先 を 認 識 し 、 電 子 メ ー ル と し て メッセージを送信する。 また送信と同時に、送信相手へのブランク ハガキが作成され、受取口に出力される。こ れは、次回使用するための送信用ハガキとな る。 アドレス交換 アドレス交換は次のように考える。「電子 メールが開通した」ことを知らせる案内書類 をあらかじめ用意しておき、装置の使用者は、 こ れ を 相 手 に 渡 す こ と で 必 要 な 作 業 を 成 し 遂げる。本提案では案内書類を郵便ハガキの 形態とした。案内ハガキを受け取った相手は、 本装置を持っていれば、これに投函すること でお互いの登録が完了する。PC や携帯電話 の使用者の場合は、書かれている指示に従っ て、自身の登録作業を完了する。 登 録 作 業 が 完 了 し た ら 受 信 装 置 に 通 知 さ れ、その相手に送るためのブランクハガキが 作成される。 その他 郵便ハガキは、両面を使用できることがご く自然である。そこで両面を使用できるバー ジョンを試作した。しかし、入手できる部品 では、大変大きくなってしまったため、片面 バージョンを軸に改良を行うこととした。 メッセージの送受信では、電子メールの代 替インターフェイスとして機能することや、 電 子 メ ー ル と の 乗 り 入 れ を 前 提 と し て い る ため、プロトコルには SMTP/POP を採用す る。 送信相手の登録方法や装置の導入、使用時 のメンテナンスなどについては、別途議論す る。 3. 試作装置 1 号機 基本的な機能を実現する試作機を 2 種類 作製した。この外見を図1 および図 3 に、そ れぞれの諸元を表 1 および表 2 に示す。 これらのシステムは大きく分けて、投函さ れたハガキを読み取るスキャナ、受信時にハ ガキに内容を印刷するプリンタ、これらを制 御しネットワーク接続するための小型 PC、 および、これらを格納する筐体からなる。 筐体容積の都合により、試作1 号機では、 いずれも制御用 PC は外付けとした。 3.1 片面ハガキタイプ 図1 は、ハガキの片面のみを使用する試作 装置である。家庭の郵便受けをイメージして 作成された。投函操作と受信動作の印象を検 証することと、機構が機能することの確認や、 提 案 し た 機 能 が 一 般 的 に 受 け 入 れ ら れ る か の基本的な調査を目的としている。 送信相手の選択方法は、送信ハガキ方式と した。細部のデザインまでは詰められていな いが、暫定的に次のような構造とした。前面 に扉を設け、これを開くと投函口が現れる。 使用者の便利を考え側面には、送信用ハガキ、 案内ハガキ、ペンを保管する機構を備えた。 写真で見える開口部は受取口である。本機を 使用した投函の様子を図 2 に示す。

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図 1 試 作 1 号 機 (片 面 ハガキタイプ)

Fig.1 Prototype Version1 (Single-Side Postcard Type)

表 1 試 作 1 号 機 (片 面 )の諸 元

Table1 Specification of the Prototype Version1 (Single-Side) サイズ W215 / H262 / D300 mm 重量 5.2 kg 材質 MDF 読取時間 約 18 秒 出力時間 約 30 秒 図 2 投 函 の様 子 Fig.2 Mailing a Postcard 3.2 両面ハガキタイプ 図3 は、ハガキの両面を使用するタイプで ある。部品の入手性のため、スキャナとプリ ンタが占める容積が大きくなった。そこで装 置全体を文机の形態とし、机内部に機構を納 めた。机上部の箱が投函口となっており、机 中央部が受取口である。 送信相手の選択は、本機では、宛名シール 式とした。右下に見える小さな引き出しの中 に宛名シールが出力され、ハガキとともに保 管できる。図4 は引き出しを開けた様子、図 5 は本機での投函の様子である。 図 3 試 作 1 号 機 (両 面 ハガキタイプ)

Fig.3 Prototype Version1 (Both-Sides Postcard Type)

表 2 試 作 1 号 機 (両 面 )の諸 元

Table2 Specification of the Prototype Version1 (Both-Sides) サイズ W630 / H540 / D470 mm 重量 19.7 kg 材質 MDF(筐体) アクリル(天板、投函口) 読取時間 約5 秒 出力時間 約45 秒 図 4 宛 名 シール Fig.4 Address Stickers

図 5 投 函 の様 子 Fig.5 Mailing a Postcard

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 投函時の読み取り時間や、受信時の印刷時 間は、表1 および表 2 に示したとおりである。 これらは、内蔵する装置の仕様に直接依存す る。また、実際の投函から受信までには、こ の 間 に メ ー ル 転 送 処 理 や 受 信 処 理 な ど を 行 う 時 間 が 必 要 で あ る 。 ネ ッ ト ワ ー ク 環 境 や メ ー ル ク ラ イ ア ン ト の ポ ー リ ン グ タ イ ミ ン グにもよるが、e-mobile サービス(移動体に よ る 無 線 イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 ) を 使 用 し て 30 秒程度であった。 3.3 システム概要 試作したシステムを e-post と名付けた。 e-post の構成と、制御用 PC が担う処理内容 を図6 に示す。 e-post はごく一般的な PC と周辺機器から 構成されている。e-post の動作には、このシ ステム以外に、登録処理を行うためのウエブ サーバ、および一般的なメールサーバから構 成される。 図 6 システム構 成

Fig.6 Construction of the System

試作した 2 つのシステムは本質的に大き な違いはないが、「ポスト」として使用する には、両面タイプは大きすぎると判断し、片 面タイプを対象にユーザテストを行い、開発 を進めることとした。そのため、以降では主 に片面タイプの試作機について説明する。 メール送信 記入前の送信用ハガキを図7 に示す。電子 メールを送信するには、送信したい相手の送 信用ハガキを探し、これにメッセージ等を記 入し e-post に投函する。送信用ハガキの入手 方法については「登録処理」の節で説明する。 図 7 送 信 用 ハガキ Fig.7 Postcard for Writing

投 函 さ れ た ハ ガ キ は ス キ ャ ナ で 読 み 取 ら れ、相手先情報とメッセージとに分離される。 ス キ ャ ナ が 片 面 対 応 の た め 裏 表 を 正 し く 投 函する必要がある。宛て先情報は QR コード にエンコードされ、切手のようにレイアウト されているため、これをデコードすることに より読み取る。その際 QR コードの位置から、 投函されたハガキの天地方向を決定する。 メ ッ セ ー ジ は ハ ガ キ 下 部 の 枠 内 に 記 載 す るものとしている。この範囲を画像として切 り 出 し 電 子 メ ー ル の 添 付 フ ァ イ ル 形 式 で 送 信する。実際に送信される電子メールが、画 像のみとならないように、e-post からのメー ルであることを示すタイトルや「添付の写真 をご覧ください」という本文を付加する。 投函されたハガキは装置内に保存される。 また同時に、投函した相手の送信用ハガキが 作成され受取口に出力される。これによって、 手 元 に は 常 に ブ ラ ン ク の 送 信 用 ハ ガ キ が 残 ることになる。

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図8 に e-post 使用者から見た送信フローを 示す。

図 8 送 信 フロー

Fig.8 Flow Diagram of Sending メール受信 電子メールを受信すると、システムはまず 登 録 さ れ た 差 し 出 し 人 か ら の メ ッ セ ー ジ で あるか確認する。登録されていなければ印刷 せず、メールそのものを削除する。登録され て い れ ば ハ ガ キ と し て 印 刷 さ れ 受 取 口 に 届 く。図9 に受信ハガキの例を示す。 受信ハガキには、受取人の住所氏名ととも に、差出人の住所氏名が記載されている。切 手の位置には、色を変えたQR コードととも に、消印に似せた記号が印刷される。QR コー ドの色は、送信ハガキが緑色、受信ハガキが 茶色とした。 図 9 受 信 ハガキ Fig.9 Received Postcard

電子メールのメッセージは、ハガキの下半 分の領域に印刷される。これは、e-post から のメッセージ(画像)がそのまま印刷される 大きさである。受信した電子メールにテキス トが含まれている場合は、まずこれが配置さ れる。写真が貼付されていれば、最初の一つ だけが余白に合わせて配置される。 使 用 し た ス キ ャ ナ と プ リ ン タ は カ ラ ー に 対応するが、使用する用紙や添付された画像 によっては、発色や解像度に影響を与える。 今回は染料インクと普通紙を使用した。 ところで、切手の位置の QR コードには ( 受 信 ハ ガ キ で あ る こ と を 示 す 符 号 と と も に)差出人の情報を入れている。これにより、 例えば、返信するためのブランクハガキが見 付からない場合に、この受け取ったハガキを 投函することで、送信用ハガキを生成する、 というように使用できる。ただし、これは「投 函したハガキをどのように管理するか」とい うことと密接に関係しており、現時点では明 快な手順が提案できていないため、一つのア イデアに留まる。 登録処理 e-post を 使 用 開 始 す る た め に は 、 装 置 の ネ ッ ト ワ ー ク へ の 接 続 や メ ー ル 送 受 信 の 設 定と同時に、所有者の情報を登録する必要が ある。これらについては運用方法として後で 検討する。ここでは、新しい相手と電子メー ルをやり取りするための方法を説明する。 ある所有者のe-post に対して、メッセージ を送信するためには、一度このシステムに通 信相手を認識させる必要がある。これを登録 処理と呼ぶ。登録処理を容易に実現する方法 として「案内ハガキ」の考えを採用した。案 内ハガキの一例を図 10 に示す。 e-post に 所 有 者 情 報 が 登 録 さ れ る と 案 内 ハガキが複数作成され、受取口に届く。案内 ハガキには、所有者が e-post を導入したこと を知らせるメッセージが、登録方法と共に記 されている。通信したい相手にこの案内ハガ キ を 手 渡 す こ と で 、e-post 所 有 者 側 の ア ク ションは完了する。

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010

図 10 案 内 ハガキ Fig.10 Invitation Postcard

一方、案内ハガキを受け取った相手は次の ように登録処理を行う。 e-post を所有していれば、案内ハガキを自 身の e-post に投函することで登録が完了す る。片方のユーザが相手を登録すると、両者 のe-post で登録が完了し、それぞれにお互い の送信用ハガキが出力される。 e-post を持っていなければ、PC もしくは 携帯電話を使用して、案内ハガキに書かれた URL に接続し登録作業を行う。URL は QR コードでも印字されているため、これを読み 取ることでURL に接続することもできる。 ウエブでの登録画面を図 11 に示す。 電子メールで必要な情報は、メールアドレ スだけであるが、相手の便利のため、氏名と 住所を入れられる。登録作業をよりセキュア に す る た め に 暗 証 番 号 を 入 力 す る も の と し た。なお、暗証番号は直接本人から聞くこと を想定している。 登 録 処 理 が 完 了 す る と 、 所 有 者 の e-post に は 相 手 の 住 所 氏 名 が 書 か れ た 送 信 用 ハ ガ キが送出される。同時に登録した相手方にも 登録されたことが知らされる。このように登 録 処 理 は 登 録 相 手 の 送 信 用 ハ ガ キ を 手 に 入 れるための作業であるが、この行為によって ス パ ム メ ー ル な ど 希 望 し な い 相 手 か ら の 通 信を防止する機能も果たしている。 図 11 ウエブでの登 録 画 面 Fig.11 Registration on the Web

4. 聞き取り調査と試作機の改良 4.1 聞き取り調査と考察 試作1 号機(片面ハガキタイプ)を用い、 33 名に対してアンケート調査を行ったとこ ろ、22 名から有効な回答が得られた。女性 12 名、男性 10 名。30 代から 70 代。平均年 齢 50 歳であった。 「使用したハガキに対する違和感」につい て、21 件の回答があり 2 名が「違和感あり」 と否定的に答え、他はふつうもしくは肯定的 に答えた。違和感の理由として、「普通裏面 に文書を書くものである」「メッセージ欄が 狭い」との意見があった。ハガキの形態に似 せることそのものに対しては、理解が得られ ていると考えられる。 「ハガキの大きさ」については、21 件の 回答のうち、4 名が「やや小さい」と答え、 他はふつうまたは肯定的に答えた。前記同様 に、記入エリアについての自由記述が含まれ ていた。 総じて判断すると、ハガキという媒体やサ イズについては問題ないものと考えられる。 「ハガキの投函や受け取り」については、 21 件中 2 名が「ややわかりにくい」と回答 し、他はふつうまたは肯定的に答えた。 「ハガキがスムーズに投函できるか」につ いては 22 件中、7 人(32%)が「ややスムー

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ズでない」などと答え、他はふつうもしくは 肯定的に答えた。 「ハガキがスムーズに出てくるか」につい ては20 件中、2 名が「ややスムーズでない」 と答え、他はふつうもしくは肯定的に答えた。 「装置の使いやすさ」については、3 名が 「やや使いにくい」と答え、他はふつうもし くは肯定的に答えた。 総じて判断すると、投函の操作は十分わか りやすいが、投函動作のぎこちなさが目立っ た。また印刷されるのが見えると、じれった いという意見を耳にした。 4.2 試作機の改良 得られた意見のうち、特に次の二つに焦点 を当てた。 1) 投函する感じがしない(読み込み動作 が遅く、スムーズでない) 2) プリンタの動作が見えるため、じれっ たい 1 に つ い て は 投 函 機 構 の 配 置 に 問 題 が あった。投函口から近距離にスキャナが配置 されており、投函完了までに読み取りの時間 が含まれ、投函したはずのハガキが「すっ」 と入っていかないためである。また、機構の 作り込みのため、内部のスキャナにしっかり 挿入されにくい現象も確認された。 2 については、プリンタの出力部が直接、 受取口に接続されており、印刷されている様 子が見えてしまうためであった。これらを踏 まえ2 号機を作成した。 4.3 試作 2 号機 アンケートおよび聞き取り調査を踏まえ、 2 号機を設計した。主要な使い勝手や演出を 改善すべく、2 号機の設計指針を次のとおり とした。 1) ハガキを「すっ」と投函できる演出を する 2) ハガキが「すとん」と届く演出をする 3) 投函口をわかりやすくする 1 については、投函口から読み取り装置ま でを、ハガキサイズ程度とすることで、体験 上の操作性を実現する。また、ガイドを設け て、挿入しやすくする。2 は、プリンタでの 印 刷 が 見 え な い よ う な 機 器 レ イ ア ウ ト と す る。3 については、郵便ポストの投函口を模 することや、全体としてポストのような外見 と な る よ う な デ ザ イ ン と す る こ と で 対 応 す る。 製作した試作 2 号機の動作モデルを図 12 に、諸元を表3 に示す。 図 12 試 作 2 号 機 Fig.12 Prototype Version 2

表 3 試 作 2 号 機 の諸 元

Table 3 Specification of the Prototype Version 2 サイズ W220 / H315 / D335 mm 材質 アルミニウム さらに、装置の外形デザインの一案として、 機 構 サ イ ズ を 考 慮 し た デ ザ イ ン モ ッ ク ア ッ プを作製した。これを図 13 に示す。8 つの 部 品 に 分 割 し 、 そ れ ぞ れ に つ い て ケ ミ カ ル ウッドを切削加工のうえ、塗装した。長時間 使用しても飽きにくくするよう、主張を抑え た配色とした。 2 号機の内部構成を図 14 に示す。プリン タには EPSON 社製 Colorio me E-330 を、ス キ ャ ナ に は メ デ ィ ア ド ラ イ ブ 社 製 名 刺 管 理 ソフト付属のスキャナを使用した。これらは、 1 号機と同じものである。電源アダプタや制 御用 PC、USB ハブ等も、1 号機同様に本体

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[研究ノート:特集 次世代インターフェイスに向けた取り組み] 情報科学芸術大学院大学紀要第 2 巻, 2010 外部にて接続している。本体後背部には、送 受信時のハガキの挙動を整理する仕組み(仕 切り板)と、送信したハガキを保管するエリ ア が 設 け ら れ て い る 。 ま た 、 エ ラ ー や 動 作 メ ッ セ ー ジ の 必 要 性 を 検 討 す る た め に モ ニ タを設けた。 図 13 試 作 2 号 機 のモックアップ

Fig.13 Mockup of the Prototype Version 2

図 14 試 作 2 号 機 の構 成

Fig.14 Construction of Prototype Version 2 4.4 送信 図15 に投函部の様子を、図 16 に投函時の ハガキの挙動を示す。ここで使用したスキャ ナは、下面側で読み取りが行われるため、投 函の際、ハガキを上向きに挿入できるよう、 上下を反転し、投函角度に合わせた角度で取 り付けた。投函されるハガキは、蓋付きの導 入ガイドを介してスキャナ入口に到達する。 スキャナは自動に挿入を感知し、取り込みを 開始する。ハガキが2〜3mm ほど引き込まれ ると投函口の蓋が閉じる設計とした。これに より瞬時に投函が完了した印象を与える。取 り 込 ま れ た ハ ガ キ は 装 置 後 背 部 に 保 管 さ れ る 。 な お 、 投 函 口 は ハ ガ キ の 短 辺 が 余 裕 を もって入る程度の幅である。 投函後の動作は、1 号機と同様である。 図15 投函部の様子

Fig.15 Mouse Part of the Device

図16 投函の様子

Fig.16 Insertion of a Postcard

図 17 受 信 時 の様 子

表 2  試 作 1 号 機 (両 面 )の諸 元
図 8 に e-post 使用者から見た送信フローを 示す。
図 10  案 内 ハガキ  Fig.10 Invitation Postcard
表 3  試 作 2 号 機 の諸 元
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参照

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