理科「化学基礎」学習指導案
印 1 単元 物質の変化 化学反応 酸化と還元 2 指導観 「化学基礎」の目標は、日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め、目 的意識をもって観察、実験などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに、化学の基本 的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な見方や考え方を養うことである。本単元では、酸化と還 元について、観察、実験などを通して、化学反応に関する基本的な概念や法則を理解することをねら いとしている。酸化と還元は、日常生活において数多く見られる反応であり、化学の知識が日常生活 や社会に生かされていることを理解しやすい題材である。本題材の指導内容に関しては、中学校の 「(4) イ 化学変化 (イ) 酸化と還元」で、酸化や還元が酸素の関係する反応であること、酸化と還元 は逆向きの反応であること、酸化と還元は原子の組合せが変わる化学変化であることについて学習 している。しかし、酸化と還元に関しては、酸化では金属がさびること、還元では鉄鉱石から鉄を取 り出して利用していることの学習、構成する原子の数が少ないものの取扱いに留まっており、日常 生活や社会と幅広く関連付けて考察できるまでには至っていない。日常生活や社会と幅広く関連付 け考察するためには、その他の物質についても基本的な概念や法則から説明できるようになる必要 がある。 本学級は、男子 15 名、女子 25 名の計 40 名で構成され、前期課程(中学)終了時に理系を選択し た生徒からなるクラスである。授業中は、教師からの問いかけに対してノートを見直す、返答する等 の姿や、ペア等で話合いや実験をする際に熱心に取り組む姿が見られる。また、「酸・塩基と中和」 の単元へ積極的に取り組んだと振り返った生徒は約 92%と、意欲的に学習に取り組むクラスである。 単元「酸・塩基と中和」実施前後のアンケート結果では、理科が好きまたはどちらかといえば好きと 回答した生徒は約 77%と実施前後で変化はなかった。理科の授業で学習した内容が自然の事物・現 象のしくみや科学技術の原理を理解する際に役立った経験があると回答した生徒は約 67%から約 97%へと大幅に増加した。しかし、自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について自ら進んで 調べたことがない生徒は約 92%と既習内容を理解することは概ねできているが、活用することや更 に新しいものを探究していく態度に課題があることがわかる。その一方で、理科で学習した内容が 自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理を理解する際に役立った経験をしている生徒が大幅に 増加している結果より、既習内容を活用することと日常生活や社会が関連していることを生徒が認 識しており、今後の学習意欲の向上に繋がると考えられる。 本単元の指導に当たっては、観察、実験などを通して、化学反応に関する基本的な概念や法則を理 解すること及びそれらを日常生活や社会と幅広く関連付け考察できるようになることをねらってい る。そのために、自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について、既習内容と関連付けて仮説 を立て実験で検証し、「シンク・ペア・シェア」の手法を取り入れた検証内容を考察する学習活動を 仕組む。本単元を対象とすることで、繰り返し自然の事物・現象や科学技術について検証・考察する 場を設け、既習内容を活用していく機会を増やす。また、「シンク・ペア・シェア」の手法を取り入れ た検証内容を考察する学習を通して、生徒の積極的な授業への関与を促進し、思考力と探究心を高 める。その際、単元のはじめに、演示実験を取り入れながら課題を提示することで、生徒の学習内容 に対する興味・関心を高めるとともに、分担課題を通して責任感をもたせ、学習内容の必要な部分を 意識させる。そして、単元のおわりにペア活動を取り入れ、生徒が知識を統合させることで、学習課 題(自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理)に対する仮説の設定を行うことができるように仕 組む。その後、実験による仮説の検証・考察をさせ、その結果を4人でシェアさせる。また、4人で 他の薬品の組合せを用いて同様の原理が成立するかどうかを検証・考察させることで体系化を図る。3 単元・題材の目標 ・酸化還元反応の定義について理解し、説明できる。 【知識・理解】 ・酸化還元反応について、酸化数を用いて説明できる。 【知識・理解】 ・酸化剤と還元剤について、e-を含むイオン反応式を用いて説明できる。 【知識・理解】 ・酸化還元反応について、イオン反応式(または化学反応式)を用いて説明できる。 【知識・理解】 ・自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について、物質の構成粒子や化学結合、化学反応と関 連付けて調べようとする。 【関心・意欲・態度】 ・関連する化学の基本的な概念や原理・法則やキーワードを選ぶことができる。 【知識・理解】【思考・判断・表現】 ・実験による検証・考察の根拠を基に、自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について図示や 説明ができる。 【思考・判断・表現】 4 単元計画 (1)単元(題材)の配当時間6時間 ・第1次 学習課題を把握する。酸化還元反応の定義について理解する。 ・・・1時間 ・第2次 酸化還元反応と酸化数について理解する。 ・・・1時間 ・第3次 酸化剤・還元剤とイオン反応式について理解する。 ・・・1時間 ・第4次 酸化還元反応とイオン反応式(または化学反応式)について理解する。 ・・・1時間 ・第5次 酸化還元反応について理解する。 ・・・2時間(本時) (ア) 個人で取り組んだ分担課題を伝え合いながら、2人で学習課題に対する仮説を立て、実験に よる証明を通して、酸化還元反応について理解する。 (イ) 4人で学習課題を説明し合い、酸化還元反応を体系化し、理解を深める。 (2)単元の学習展開
5 本時 平成 28 年 11 月2日(水曜日)第1校時・11 月4日(金曜日)第1校時 〇目標 ・自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について、物質の構成粒子や化学結合、化学反応と関 連付けて調べようとする。 【関心・意欲・態度】 ・関連する化学の基本的な概念や原理・法則やキーワードを選ぶことができる。 【知識・理解】【思考・判断・表現】 ・実験による検証・考察の根拠を基に、自然の事物・現象のしくみや科学技術の原理について図示や 説明ができる。 【思考・判断・表現】 〇教材 教科書:化学基礎(東京書籍)、デジタル教材:化学基礎(東京書籍)、学習プリント、パソコ ン、タブレット端末、電子黒板、プロジェクター、試験管、駒込ピペット、スポイト、アスコル ビン酸、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液、希硫酸、過マンガン酸カリウム水溶液、二クロム酸カリ ウム水溶液、過酸化水素水、ヨウ化カリウム水溶液、シュウ酸水溶液、デンプン試液 〇学習の過程 第5次(ア) 平成 28 年 11 月2日(水曜日)第1校時 段階 配時 形態 学習内容・活動 ねらい(〇)と手立て(・) ※留意点 評価規準 評価方法 導 入 ・ 3 分 一 斉 1 本時の目標と流れを把握 〇見通しをもたせる。 ・本時の具体的な目標と流れを提示 する。 ・「シンク・ペア・シェア」の方法と 目的、態度目標を再確認する。 目標:学習課題の理解 流れ:①分担課題を基に、学習課題(ビタミン C 飲料とうがい薬 の反応のしくみ)に対する仮説を立てる。 <ペア A> 分担課題 ビタミンC 飲料 うがい薬 (主成分) アスコルビン酸 ヨウ素 (性質) 還元剤 酸化剤 学習課題 の仮説 酸化還元反応 (ヨウ素の色が消える) ②仮説を証明するための実験計画を立てる。 <ペア B> ③実験し、検証・考察する。 <ペア A> ④①~③をしながら、(⑤用の)説明資料を作成する。 ⑤学習課題を別のペアに説明する。<4人班><クラス> (他の物質の組合せついても考える。) ※第5次(ア)は①~④、第5次(イ)は⑤に取り組む ※ペア A(ビタミンC 飲料担当&うがい薬担当:隣同士でペア) ペア B(ビタミン C 飲料担当&ビタミン C 飲料担当、 もしくはうがい薬担当&うがい薬担当:前後でペア) 「シンク・ペア・シェア」 方法:個人➝2人➝4人➝クラス 目的:知識・思考を統合し高める 態度目標:とにかく話す (質問し、説明する) チームで協力・貢献する (皆の時間を大切にする)
導 入 Ⅱ ・ 10 分 一 斉 (1)分担課題を見直す。 (追記・訂正する場合は朱書) (2)前時までの復習をする。 〇生徒の理解を促す。 ・評価基準を参考に、前時までの復 習に取り組むよう指示する。 ・第1~4次のスライドを提示し、 学習内容を想起させる。 〇生徒の安全を確保する。 ・薬品の注意点を確認する。 展 開 Ⅰ ・ 10 分 ペ ア A ペ ア B 2 学習課題の理解 (1)分担課題(Think シート)を 説明 し合う。 (2)学習課題に対する仮説を立て る(Pair&Think シート)。 (3)実験による仮説の検証方法を 考え、実験計画を立てる(Pair& Think シート)。 〇生徒の理解を促す。 ・実験計画を立てやすいように、 Pair&Think シートを2つ(アス コルビン酸とうがい薬)に分けて 提示する。 関連する化学の 基本的な概念や 原 理 ・ 法 則 や キーワードを選 ぶ こ と が で き る。 還元剤・酸化剤 酸化還元反応 【知識・理解】 【思考・判断・表現】 <学習課題を理解するために> 還元剤 アスコルビン酸 ヨウ素 酸化剤 酸化還元 C6H6O6+ I2 C6H4O6+2H++2I- C6H6O6 C6H4O6+2H++2e- I2+2e- 2I- アスコルビン酸 還元剤 C6H6O6 C6H4O6+2H++2e- 還元剤 過マンガン酸カリウム 二クロム酸カリウム 過マンガン酸カリウム(酸化剤)と反応して、赤紫色が消える。 二クロム酸カリウム(酸化剤)と反応して、赤橙色が緑色に変色する。
展 開 Ⅱ ・ 22 分 (4)実験し、検証・考察結果をまと め、説明の準備をする。 (タブレット端末の活用) ・実験計画が立てやすいように、薬 品の選択肢を7種類とする。 〇生徒の安全を確保する。 ・実験計画を事前に確認する。 ・取り扱う薬品の濃度を予め調整し ておく。 〇見通しをもたせる。 ・次時に発表原稿を書く時間がある が、できるところまで取り組んで おくように指示する。 ※授業プリント No.6を配布 ま と め ・ 5 分 ペ ア B 個 人 3 実験器具・薬品の片付け 4 本時の振り返り(自己評価) 〇薬品に対する理解を深める。 ・廃液の処理方法を説明する。 〇見通しをもたせる。 ・振り返りをさせ、次時の改善に つなげる。 ・Pair&Think シート、タブレット 端末で作成した説明資料を回収 し、途中評価する。➝当日中に返 却する。 過酸化水素(還元剤)と反応して、ヨウ素の色が消える。 過酸化水素 酸化剤 ヨウ素 I2+2e- 2I- アスコルビン酸と反 応させると、ヨウ素 デンプン反応の青紫 色が消える。 シュウ酸 シュウ酸(還元剤)と反応して、ヨウ素の色が消える。 酸化剤
第5次(イ) 平成 28 年 11 月4日(金曜日)第1校時 段階 配時 形態 学習内容・活動 ねらい(〇)と手立て(・) ※留意点 評価規準 評価方法 導 入 ・ 5 分 一 斉 1 本時の目標と流れを把握 〇見通しをもたせる。 ・本時の具体的な目標と流れを提示 する。 展 開 Ⅰ ・ 10 分 展 開 Ⅱ ・ 15 分 ペ ア A 4 人 班 2 学習課題の理解を深める (1)説明の準備をする。 ・実験結果をまとめる。 ・考察し、まとめる。 ・発表原稿の準備をする。 (タブレット端末の活用) (2)学習課題について、実験による 検証・考察の根拠を基に、図や 化学反応式を用いながら説明 し合う。 〇生徒の理解を深める。 ・ 途 中 評 価 、 返 却 さ れ た Pair& Think シート、タブレット端末で 作成した説明資料を参考にし、考 察を深め、よりわかりやすく表現 するよう指示する。 ・ルーブリックを用いた評価基準を 提示する。 〇生徒の理解を深める。 ・説明後、取り入れたい別ペアの考 えを追記するよう指示する。 ※①青ペンを使用するよう指示 〇見通しをもたせる。 ・振り返りをさせ、次時の改善につ なげる。 後で生徒自身が自己評価できるよう、 説明をうけるペアにタブレット端末で 撮影させる。 実 験 に よ る 検 証・考察した根 拠を基に、自然 の事物・現象の しくみや科学技 術の原理につい て図示や説明が できる。 【思考・判断・表現】 目標:学習課題の理解を深める(体系化する) 流れ:①分担課題を基に、学習課題(ビタミン C 飲料とうがい薬の 反応のしくみ)に対する仮説を立てる。 <ペア A> 分担課題 ビタミンC 飲料 うがい薬 (主成分) アスコルビン酸 ヨウ素 (性質) 還元剤 酸化剤 学習課題 の仮説 酸化還元反応 (ヨウ素の色が消える) ②仮説を証明するための実験計画を立てる。 <ペア B> ③実験し、検証・考察する。 <ペア A> ④①~③をしながら、(⑤用の)説明資料を作成する。 ⑤学習課題を別のペアに説明する。<4人班><クラス> (他の物質の組合せついても考える。) ※第5次(ア)は①~④、第5次(イ)は⑤に取り組む ※ペア A(ビタミンC 飲料担当&うがい薬担当:隣同士でペア) ペア B(ビタミン C 飲料担当&ビタミン C 飲料担当、 もしくはうがい薬担当&うがい薬担当:前後でペア)
展 開 Ⅲ ・ 10 分 ク ラ ス (3)学習課題について、他の班の説 明資料を見たり、説明を聞いた りすることで、様々な説明方法 があることを知る。 〇生徒の理解を深める。 ・授業支援システムを用い、電子黒 板に、説明資料を一斉提示する。 (実験・証明方法を共有し、他の 薬品の組み合わせについても 体系化を図る。) ・取り入れたい考えを追記するよう 指示する。 ※②赤ペンを使用するよう指示 <目指す生徒の発表内容とその変化> ビタミンC 飲料の主成分は アスコルビン酸であり、還元 剤として働くこと、うがい薬 の主成分はヨウ素であり、酸 化剤として働くことを調べ た。そこで、アスコルビン酸 とヨウ素は酸化還元反応する であろうと予想した。アスコルビン酸が還元剤、ヨウ素が酸化剤と して働くとどのような現象が観察されるかを、他の酸化剤、還元剤 と反応させる実験計画を立てた。 アスコルビン酸を、有名な 酸化剤である過マンガン酸カ リウムと二クロム酸カリウム と反応するかどうかを確認し た。過マンガン酸カリウムと 反応させたところ、赤紫色が 消え、ほぼ無色になった。二 クロム酸カリウムと反応させたところ、赤橙色が緑色に変化した。 アスコルビン酸が還元剤として働くことがわかる。(追記※①)実 験の際、アスコルビン酸が無色であること、還元剤として働いた後 も無色であることがわかる。(追記※②)過酸化水素と反応させた 方が無色であることがわかりやすい。 ヨウ素を、還元剤である過 酸化水素とシュウ酸と反応す るかどうかを確認した。過酸 化水素と反応させたところ、 反応しなかった。これは酸化 剤の強弱によるものであると 考える。 シュウ酸と反応させたところ、気体が発生し、ヨウ素の色が消え、 無色になった。ヨウ素が酸化剤として働くことがわかる。(追記※ ①)ヨウ素が酸化剤として働くと色が消えることがわかる。 よって、ビタミンC飲料とうがい薬は酸化還元反応している。 (追記※②)アスコルビン酸とヨウ素を反応させたところ、無色に なった。これはそれぞれの実験で確認した色の変化と同じである。
ま と め ・ 10 分 3.本時の振り返り ・振り返り(自己評価)をする。 〇見通しをもたせる。 ・振り返りをさせ、次時の改善、探 究活動につなげる。 ・Share&Think シート、タブレッ ト端末で作成した説明資料を回 収し、評価する。➝当日中に返却 する。