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日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与(第9報) : 石狩当別町材木沢農民の栄養調査

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(1)Title. 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与(第9報) : 石狩当別町材木 沢農民の栄養調査. Author(s). 細井, 敬三. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭,体育編, 19(1): 1-9. Issue Date. 1968-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6516. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第1 9巻 第1号. 北海道教育大学紀要 (第二部C). 昭和43年9月. 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与 第9報 石狩当別町材木沢農民の栄養調査 細. 井. 敬. 三. 北海道教育大学札幌分校生活科学研究室 Keizo Hoso工: Contr ibut ion to the Probl f Nut e lns o i t i r on. of 汎r orking People in Japan. Report 9 A Survey on the Nutr i t ionaI Status o f Fami l i es . of Peasants in Zai ・nokuzawa , lshikari-Tobetsu,. 1he present paper dea1 th a survey on the nutrient s mーain1y wi intakes o l i tivat ing peasantsi f17fami esof the rice-cul n zai±nokuzawa, lshikari-Tobetsu. The survey was carr ied out f rom jul y29to August 3,. 1966 .. The resul ts ob tained are sum marized as fol l ows:1 ) The nutritional f the peasants is general status o ly on a low level and thatl evel get s , even loweri n the case of the poorer ones. As a whole, the peasants’ food is poor in protein, fat l ins l l poorer i tal ciu・n and ・ i vi ・ ・ n , ca , and st tamins A and animalprotein,vi ly icular more part lmounts and . 2) The a i ty o ftheir food are notin accord with the principles of rational qual. t ion and do not comply wi nutri th the features sPeci賃c to the heavy forn work per ed by the peasant d 【 : l ing thefarming seasonin Hokkaido s ur .. 目. 第. 1 章. 次. 緒. 第 2 章. 調. 第 3 章. 調査結果および考察. 第 4 章. 国民栄養調査の基礎資料と しての材木沢農民栄養調査資料にたいする検討. 第 5 章. 総. 括. 文. 献. 査 の 部. 第1 章. 緒. 独占資本およびその政治的代表 等日本の支配階級の農業政 策の重圧のもとで, 北海道の農民の 農業経営, 特に貧農, 下層中農の農業経営は, 全 国の他の農民と同様に, 一年一年困難の度を加. えており, 借金のために離農者が 続出し, 農業だけでは生計が立たず, 兼業農家の比率が増大し ている. 農民の階級分化が進行し, 少数の富農の繁栄とは反対に, 貧農, 下層中農は生活困窮化. が進行しており, 長時間農作業に適 合した栄養を摂取できず, その他衛生上の悪条件のもとで , 健康を破壊されている. こうした苦しい状況のなか で, 農民は土地, 営農, 生活等のために断固 不屈に闘いつづけている..

(3) . 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与. 1965年3月 石狩当別町蕨岱 (わらびたい) の冷害農民の健康栄養調 査, 同年 8月釧路管内白糠 (しらぬか) の冷害 農民の健康栄養調査 にひきつづき, 北海道勤労者医療協会札幌病院, 北海道 大学保健医学研究会, 北海道教育大学札幌分校生活科学研究会は58名で健康栄養調査団を編成 し, 1966年8月米作地帯石狩 当別町材木沢 (ざいもくざわ) の農民を調査 対象として地元の農 民組織 と協同して健康栄養調 査を実施した.. 本栄養調査目的は材木沢農民の摂取栄養状態を明らか にし, 農民の 主体思想 にもと づく農民の 自主的栄養改善のため に協力し, 助言を与え, そして農民の健康を守る運動を寄与するという点 に あ る。. 第2 章 1 , 調. 査. 対. 調. 査. 部. の. 象. ) 仙台麦藩伊達邦 直等161名の踏査開拓に 端を発してひらけた北海 1871 石狩当別は明治4年 ( 2 人口19 k m 道開拓史上著名な土地であり, 面積420 , 農業人口 ,400余, 4 ,300余世帯 (昭和40年) , k 石狩支庁管内東北部 に位置 1 1,000有余 (約1 ,800世帯) を有 し, 石狩川河口から16 mはなれた し, 南は江別市, 西南は石狩川をへだてて札幌市と相対し, 西は石狩町, 北は浜 益村, 東は新十 津川町, 月形町, 新篠津村に接 している. 材木沢は当別町内の西南部当別市街 に隣接 し, 128世帯を有 する米作中 心農村部落であり, 明 治時代入植開拓した農家が多く, 比較的に余裕のある農家が多いといわれる部落である. 大多数 (約90%) が水田稲作農家であり, 専業農家が多いが, 青年の都市へ の流出が増大し, 若い労働 力の不 足と後継者難に苦悩している. ここでも農村の階 級分化現象 がみられる. 当別町の 農家の耕地面積と専業農家は表 1のとおりである. 表1. 当別町農家の経営耕地面積大小別専業別農家数 (1 965年中間農業センサス). 耕. 地. 面. 積. 町. 専. 家. 農. %. 戸. 1 ~2. 139. 2 ~ 3. 265. 3~ 5. 636. 5 ′) 7,5 7 .5 J IO J 10 ト ~. 123. 7 .77 14,80 35 .53. 21 .73. 389. 6,87 2 ,07. 37. 業. 農. 家. 53 186. 繊 細. 96 27. 材木沢 (128世帯) では世帯当り耕地面積は約3町, 年所得50~60万円, 負債数十万 円, 負債 は年々増 加傾向 にあ る. 栄養調査対象とした材 木沢農家17世帯を表 2の基準にしたがって階層別 に区分 した. 表2. 材木 沢 農民 の 階 層 別 区 分 基 準. j 入 壷 トミ モ耕地面積i年 藁 1 備 収. 年. 万円. 貧. 農. ふ 上. 轟 1 。. 3~5末満 5以上. 入. 考. 額 縁懲 ー一鷲 60未満. 6. 100以上.

(4) . .. 細 2 .. 調. 査. 3 ,. 調. 期. 井. 敬. 三. 間. 昭和41年7月2 9日から8月 3 日 ま で の 6 日 間. 査. 方. 法. 道教育大生活研の調査員15名をもって3調査班を編成し, 各班は対象農家 を戸別訪問し 世帯 , 別聞きとり方 法によって摂取栄養状態を調査 した.. 第3 章. 調査結 果および考察. 1 . 食品群別摂取量 材木沢農民1人1日当り食品群別摂取量は表3に示す とおりである。 表3 穀類 い. 砂. ・ そ も の 製品 類 貧. 農. 糖. 447 48 18. 材木沢農民1人1日当り食品群別摂取量 (g) 油 豆 類 果 野 菜 動 物性食品 魚 介 類 肉 牛 そ 卵 緑黄 そ 大 の の 実 脂 そ 他 そ 色 他 豆も の の の 製品 の野 野 製 豆類も 類 類 類 乳 菜 菜 類. 草. 8 55. 2 66. 海. 類. 食. 食る百 品 品動. 総物. 総 量性分 に食 量 対品 すの率. 4 25. O 19 168 25. 昭薯 3 888 10 ,70細 井 4. 中農以上. 489 64 18 14 50. 7 64 22 31. O 18 228 17. 4 1026 11 .40 同. 総. 472 58 18 12 52. 5 65 14 28. O 18 204 20. 4 970 11.03. 平 均. 当別町蕨岱開拓農民470.610,812,7 7,3 全 国. 農 民. 471 58 15. 58,I. 5. 71. 上. 細井昭委 8. 53.7 3 .912 ,5 0 55 152 21 1 .8 859 8.16 61 10 22 33 47 229 70. 日g 1092 11 .54農林省 電. 7 42 8 6 41043 15 73 目 農 家 世 帯 466.644.819,5 9.O64.2 5.276,516.428,O43.262.815 ‐, 厚生省 呪 3 , .. 表3でわかるように, 貧農と中農以上 (富農を含む) とでは食品群別摂取量に格差 があきらか にあり, 中農以上の食品群別摂取量が油脂類, 肉類, 卵類, その他の野菜 (淡色野菜) において ま さ っ て い る.. ) (冷害の翌年調査) に比較 して肉類 表3に示すように, 材木沢農民は当別町蕨岱開拓農民1 , 卵類, 魚介類, いも類, 油脂類等の摂取量においてまさり, 食品群別摂取量において一般にまさ っ て い る.. ) と比較する 材木沢農民1人1日当り食品群別摂取量は農林省調査による全国農民平均摂取量2 と, 由脂類, 肉類, 卵類においてまさり, 豆類, 緑黄色野菜, 果実類においておとり, 牛乳では. 皆無であり, 他の食品群ではほぼ同じ水準である. ) と比較すると, 材木沢農民は牛 昭和40年度国民栄養調査における農家世帯の食品群別摂取量3 乳皆無で問題とならず, 緑黄色野菜, 果実類等で著しく おとり, 大豆とその製品, 魚介類とその 製 品 に お い て お と っ て い る が, 他 の 食 品 群 で は 同 じ 程 度 か や や ま さ っ て い る.. 摂取食品の概況は次のようである. 1 ) 穀類 とその製品 (. 米作地帯であるため, ほとんど全世帯が米食偏重の食生活である. 麦を利用する農家 が若干み. ら れ, う ど ん, 冷 麦, イ ンス タ ン ト ラ ーメ ンな ど の め ん類 の 利 用 が 少 な く な い. も 類 ) い 吃. い も 類 と い えを , じ ゃ が い も で あ り, そ の 他 の い も類 は 調 査 期 間 内 で は利 用 さ れ て い な い 。.

(5) . 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与 3 ) 大豆とその製品 t ) みそ 自家製みそ が大半で, 多くのものは朝昼晩にみそ汁を食 べている. みそはその他に ” も利用され, 農家にとっ て重要食品である. 回 豆腐 大部分の世帯が週1~2回利用する. を9 納豆・油揚げ 大部分の世帯が週2~3回利用する. 動 物 性 食 品 ) 魚介類とその製品 g. 総. 魚介類ではさば, ほっ け, いか, 塩ますな どの利用が多く, 魚肉ソー セージ, かまぼこなどの加工品も利用されている. 魚介類とその製品の摂取量は低い. 回. 貧農 は 肉 類 を ほ と ん ど と ら な い が, 中 農 以 上 は い く ら か と る. 月 に 1 ~ 2 回 カ レー. 肉類. ライ スと して豚肉をとるものがいる. 鯨肉は 一部の農家で利用さ れる が, 摂取量は多くはない. ⑳ 卵類 多くの農家が採卵用成鶏めすを飼養するため に, 卵の摂取量は全 国農民平均よりや や上回るか, あるいは平均なみである. ◎ 牛乳 牛乳は 一般にほとんど利用 されない, 小学校児童は学校でミルク給食をうけている. 5 } 野菜類, 果実類 { 水田が多く, 畑が少ないが, 自家用野菜を栽培するので, 淡色野菜はかなりとっている. 緑黄 色 野 菜 摂 取 量 は 低 い. き ゃ べ つ, き ゅ う り, だい こ ん の 生 食 が み ら れ る,. と ま とは 出は じ め で い. く ら か 食 べ て い る.. 果実類は季節の関係上少ない.. ◎. 油. 脂. 類. 油脂類摂取量は全国農民平均より上回 っている. 貧農と中農以上とのあいだに摂取量の差がか. な り み ら れ る.. 2 . 摂 取 栄 養 量 材木沢農民1人1日当り摂取栄養量および北海道農民等の摂取栄養量 は表4に示すとおりである. 表4 材 木 沢 農民 1 人 1 日 当 り 摂 収 栄 養 量 材木 沢 農民 農. 貧. 蛋. 動. 比. %. 中農以上. 貧農を 材木沢 当別町 北海道. 100 とし. た中農以 上の指数 農. 民. 蕨. 岱. 開拓農民. 農. 民. 2138. 2372. 110 .9. 2296. 2029. 2506. 2245. 70.3. 77.9. 110 .8. 75.5. 55 .2. 12.1. 20.4. 168 .6. 61.37 13 ,76. 8.4 26.2. 215 .4. 12 .4. 3,9 17.2. 16 .7 6 .4. 69,9 18.8. 22 .4 20 ,3. 22 .4. 118.9. 22 .1 32 .O. 26.9. 35 .2. 26.9. 21 .26. 436.O. 426 .6. 401. 303. 282. 480. 401. 物. g. 29.6 397,6. カ ノレ シ ウ ム. mg. 299. 307. 109 .7 102 .6. 269. 338. 125 .6. 310. 309. 1312. 1234. 94.1 106.1. 1263. 3351. 質. 脂. 炭. 水. 化. g. A烏 ロメ琶 備 考. 706. 749. m i g. 1.20 0,66. 1.41 0.81. m ー g. 72. 74. B,. ng l. B2 C. 調査年月 調 査者 年 収 入. 41. 92. 万円 (30(J60) (60以上). 117 .5 122 .7 102 .8. 731 1.31 0 .74 73. 1174. 1426. ( ) .53 0 .53. 1.02 1.02. 68. 91. 1110 0 .93. 9年 昭和4 0年 昭和3 9年 昭和3 2) 2) 7月 1) 細 井 農林省 農林省 30J40.

(6) . 細. 井. 敬. 三. 表4からわかるように, 中農以上の摂取栄養量は貧農の摂取栄養量よりも概して高い 格差の 。 大きいものは動物性蛋白 質であり, 貧農の摂取量を100とすれば 中農以上の摂取量は168 6であ , ,. り, 肉 卵 蛋 白 質 で は215で あ る. 熱 量, 蛋 白 質 脂 質 炭 水 化 物 ビタ ミ ンA B B , , , , , , 2 等の摂取量. において中農以上 は貧農の110~12 2であり, 貧農は中農以上 と比較して約1~2割少なくと て っ いる。 このように摂取栄養量には階層別格差4 ) が明らかにみられる 。 田畑耕作面積, 営農規模, 農業機械の有無品質の差異 雇傭労働力の有無等にもと づいて中農 , 以上と貧農とのあいだにみられる階層差は農業収入の差となっ てあらわれる したが て生活水 っ 。 準の格差をもたらし, 摂取栄養水 準の差となってあらわれる 。. 表4からわか るように, 材木沢農民の摂取 栄養量は当別町蕨 岱開拓農民の摂取栄養量と比較す ると, すべての点でまさっている. 蕨岱開拓農民は昭和39年の大冷害により被害をうけ その年 , の秋から翌 年の夏まで低栄養水 準をさらに低下 した 昭和4 0年7月栄養調査の結果, 蕨岱冷 害農 。 民は生活保護世帯の栄養の飢餓水 準と同じ水準におちこんだ 営農基盤の古い材木沢農民は営 農 。 基盤の浅い蕨岱開拓農民より摂取栄養水準において高いこ とは 著者の調査結果に よ て明らか , っ である. 材木沢農民の摂取栄養量は農林省調査の北海道農民摂取栄養量と比較す ると 熱量 蛋 , , 白 質, 動 物 性 蛋 白 質, 脂 質, カ ル シウ ム ビタ ミ ンB2 C 等 に お い であ るい は まさ り , , , あ るいは. おとっている。 官庁統計との比較は困難であるが 概して大差のない水準と考えて よい , . 貧農, 中農, 富農の階層別摂取栄養量 中農以上を耕地面積と収入により2階層すなわち5町以上年収1 00万円以上の富農, 3~5 町年 収60~100万円未満の中農に区分した。 材木沢農民を貧農 中農 富農の3階層に区分 し 1 , , , 人 1日当り摂取 栄養量を算出し, 世帯別家族構成にもとづい て成人1日当り摂取 栄養量を算出した 。 成人1日当り摂取栄養量 は表5に示すとおりである 。 表5. \\ \ \階 栄. 養. 且 里. 層. Ca 1. g. 動物性蛋白質. g. 脂. 質. g. 炭 水 化 物. g. カ ル シ ウム. mg. B,. m ー g. B2. ・ ・m ー g. 2699 81 .O 18,O. 蛋. 比 摂 取 食 品ー量. % g. 2437 76 .4 16 .8. 72 .3. 富 農 2568. 中 農. 111. 105. 76 .6 13 .O. 112. 106. 138. 129. 37 .2 510. 37 .7 481. 13 -O 36 .4 455. 37 .1 482. 102. 104. 112. 106. 250. 242. 234. 242. 107. 103. 798. 794. 751. 781. 1 ,47 0 ,77 77. 動. 貧 農 を1 00 と し た 指 数. 5町以上 1.7~2 7町 3~5町 , \ 100 万円以上 6 0~10 0万円 60万円未満 \ \\ (平均1 15万円) (平均7 万円 6 ) ( 平均 4 1 万円) \. 質. 白. 貧 農 3悶 丁未満. 別. 旦 里. 蛋. 材木沢農民階層別成人1日当り摂取栄養 量 (成人単位). 22 .2 1078. 1 .42 0 ,75 74 22 -O 1014. 1 .39. 1 -43 0 .75. 0 .74 67. 73. 22 ,2. 22 ‐1. 992. 1025. 106. 106. 106. 102. 104. 101. 115. 110. 109. 102. 表5から明らかなように, 摂取栄養量には階層別 格差があり 富農が最もまさり 中農 貧農 , , , の順であ る. 動物性蛋白 質摂取量において特に格差が顕著であり 貧農を100 とすれを 富農は , ,. 138 で, 中 農 は 129 で あ る 。.

(7) . 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与. 貧農, 中農の摂取 栄養量は長時間 農作業という 重労働による体内物質の大量消費を補えず, 農 民の烈しい新陳 代謝を正常に順調に進行させることができず, 代謝の動的均衡を維 持することが ) に立って農繁期における農作業や農民生 活を考察すれば, 材木 できない. 最適蛋白質基準学説5. 沢農民の蛋 白質摂取量をもってしては, 富農の摂取量をもっ てしても, 体内消費蛋白 質を補うに 00g以上) 必 00Cal にたいしては蛋白質は90g以上 (基準は1 は不足も甚 だしいと考える. 熱量25 上必要であると考える くとも2倍以 要であるし, 動物性蛋白質にいたっては現在摂取量の少な . こうしなければ, 農民の早老を 防ぎ, 健康を維持し, 労働力を十分に回復するための蛋白質所要 量を満足させることはできない。 これは農民の健康を守るうえでの一つのたいせつなことである. 必 須 アミノ 酸. 3 .. 中農以上および貧農の必須アミノ酸摂取量は表6に示すとおりである. 表6 材 木 農. 貧. 1人1日当り必須アミノ酸摂取量 (g) 沢. 失. 農 民. 査 挙. 対. 総 平均 労 務者. アミノ酸基準構成に (%) 対する比率. 日 本 人 平. 均. 貧 農{責 挙 73. 0 70. 0 71. 2 .563. 113. 107. 109. 2 .600. 3 .224. 89. 84. 85. 4 ,80. 4 .128. 4 .659. 135. 127. 130. 2 .99. 2 .94. 2 ,789. 3 ,726. 94. 89. 90. 1 .24. 1 .30. 1 .28. 1 .007. 1 .524. 76. 72. 74. フ ェ ニノレア ラ ニ ン. 2 .63. 2 」78. 2 .73. 2 .312. 2.957. 130. 124. 126. バ. リ. ソ. 3 .25. 3 .43. 3 .34. 3 .162. 3 .694. 107. 102. 102. 蛋. 白. 価. 73. 70. 71. 73. 70. 71. トリ プ ト フ ァ ソ. 0 .74. 0 ,79. 0 ,77. 0 .561. 0 .735. レ オ ニ. ソ. 2 .29. 2 ,40. 2 ,37. 2 .110. イ ン ロ イ シ ソ. 2 .71. 2 ,84. 2 .78. ソ. 4 ,64. 4 .86. ソ. 2 .85. ソ. ス. ロ. イ. シ. リ. ジ. メ チ. オ. ニ. 60. 73. ○. 表6からわかるように, 材木沢農民の必須アミノ酸摂取状態, 特に貧農の摂取状態は低水準で ) と比較して総体的に ややまさるが,F日本人平均よりおとる. 貧 ある. 貧農は札幌の失対労務者6 農 は トリ プ トフ ァ ソ, ロイ シ ソ等 の 摂 取 量 で は 日 本 人 平 均 と 同 じ であ る が, 他 の 6 つ の 必 須 アミ. ノ酸摂取量では日 本人平均よりい ずれも下回る. 中農以上は貧農よりまさ るが, 日本人平均より お と る. 中 農 以 上 は トリ ブ ト フ ァ ソ, ロイ シ ソを の ぞ く 6 つ の 必 須 アミ ノ 酸 の 摂 取 量 に お い て 日. 本人平均より 下回る. 必須アミノ酸摂 取については, 材木沢農民は一般に失対労務者よりもまし であるが, 日本人平 均水準に達しない. 摂 取蛋白質の蛋白価については, 材木沢農民の平均蛋白価は71で, 農村平均71と一致し, 日本 人 平 均73よ り 低 い. 制 限 ア ミ ノ 酸 は トリ プ ト フ ァ ソで あ る.. 第4 章. 国民栄養調査の基礎資料と しての材木沢農民栄 養調査資料にたい する検討. 62名を調査対 石狩当別保健所は昭和39年11月国民栄養調査の 一環 として材木沢農民48世帯, 2 象と して栄養調査を実施した。 国民栄養調 査は対象にたい して階級分析を加えない. したがって 当別保健所の栄養調査は材木 沢農民にたい して階層区分を 行なわず, 調査対象を 農民一般 として 取 扱 っ て い る..

(8) . 細. 井. 三. 敬. 当別保健所が国民栄養調査の一環 として 実施した材木沢農民栄養調査の資料 および調査対象の 田畑耕作面積, 収入等に関する当別町役場の資料にもとづいて, 著者はすでに述べた貧農, 中農. 以上の分類基準に照らして調査対象農民を階層別に区分した。 上述の資料 と基準にもとづいて階層別に区分した中農以上16世帯および 貧農9世帯の田畑と収 入等に つい ての それぞれの平均は表7に示すとおりである。 表7. 当別保健所の調査対象農民の階層別耕地面積および年収入. ヤ , . ~ 「 「- -「h\ \. \-賭 層区分. 耕地面積. \. 年収入. \. 農. 中. 農 農. 収. 上. 農. 貧. 9 世 帯 平 均. 16 世 帯 平 均. 耕 地 面 積 (田 畑) 町 純. 以. 4 ,68. 2 ,29. 入. 千円. 797. 454. 入. 千円. 1264. 613. 業 外 収 獣. 千円. 66. 38. 業. 収. 当別保健所の材木沢農民栄養調査資料にもとづき, 中農以上および貧農の摂 取栄養量を算出し,. これを表8に示す.. 表8. 材木沢農民の階層別1人1日 当り 摂 取 栄 養 量 (当別保健所の材木沢農民栄養調査資料から). 中 農 以. 上. 貧 農. 貧農を 100 中 農 以 上 とした中農 以上の指数 最 高 最 低. 貧. 農. 最 高. 最 低. 2852. 1902. 量. Ca l. 質. g. 82 ,3. 71 .1. 115 .8. 96 ,O. 67.9. 90.O. 54 ,O. 動物性蛋白質. g. 29 ,5. 27 ,O. 109 ,3. 39 ,2. 17,2. 41,O. 8.2. 蛋. 比. %. 35 .84. 37 ,97. 質. g. 36 .8. 31.7. 116 .1. 49 ,O. 27 .5. 45 .6. 20,5. 炭 水 化 物. g. 475. 438. 108 .4. 544. 336. 540. 343. カル シウム. mg. 550. 607. 90 .6. 788. 228. 996. 355. I .U,. 308. 333. 701. 93. 664. 77. カロ チ ン 1 .U,. 494. 234. 1616. 18. 673. 57. A 効 力 1 ,U.. 472. 411. 熱. 蛋. 動. 白. 脂. A. A. 2560. 2347. 109 ,1. 2883. 1945. 114,8. B,. mg. 1 ,04. 0 ,89. 116,9. 1 ,45. 0 ,55. 1,07. 0 ,72. B2. mg. 0 .86. 0 .71. 121,1. 1 .28. 0,58. 0 .94. 0 ,62. C. mg. 86. 87. 98 ,9. 140. 29. 117. 34. 161. 145. 111 ,O. 213. 122. 192. 106. 表8から明 らかなように, 中農以上の摂取栄養量は貧農の摂 取栄養量よりも一般にまさっ てお り, 1日食事の材料費の 点でも中農以上は貧農よりまさっている。 蛋白質, 動物性蛋白質, 脂質, ビ タ ミ ン A, BI , B2 等 に お い て 中 農 以 上 は 貧 農 よ り も ま さ っ て い る. こ の こ と は 中 農 以 上 の 摂 取. (7).

(9) . 日本の勤労人民の栄養の諸問題に対する寄与 栄養水準が貧農よりも高いことを示 している.. 貧農は営農上中農以上より一般に劣っ ており, 農業機械の 点でも中農以上より劣っており, 季 節労務者もなく, したがっ て肉体労働を強く要求される傾向がある. 農作業の過重, 低栄養水準は農民の健康, 特に貧農の健康を破壊する. 国民栄養調査資料に科 学的分析を加えると, 農村の底辺で苦斗している貧農の摂 取栄養水準がいかに低いか, というこ とがあかるみ に出される.. 国民栄養調査資料に階 級分析の科学的光をあてることによっ て, 材木沢農民を少なくとも貧農 と中農以上の2階層に区分 しただけでも, 貧農と中農以上とでは摂 取栄養量 (カルシウムと ビタ ミ ンC を除く) においても, 食物材料費においても, 階層による格差 が明らかに認められる. 国民栄養調査は階級分析の方法を欠くので, 農民の階層別摂 取栄養量を具体的に算出せず, 富 農, 中農, 貧農を包括した農民全体の平均摂取栄養量を算出す る. この場合貧農をぬき出さず, 貧農の栄養の半飢餓水準を暴露せず, これを農民の平均摂取栄養量のなかに包摂し, おおいかく して し ま う。. 第5 章. 総. 括. 1 . 石狩当別町材木沢農民の 栄養調査を1966年7月 29 日 か ら 8月 3 日 ま で の 6 日間, 世帯別 聞きとり方法によっ て実施した. 調査対象17世帯を貧農, 中農, 富農(正確には上層中農を含む) に区分した。 2 . 材木沢農民の食品群別摂 取上注目す べ き点は, 食品の種類の多様性に欠除すること, 動物 性食品 (魚介類, 肉類, 牛乳) が少ないこと, 特に牛乳は皆無であること, 緑黄色野菜, 果実類, みそをのぞいた大豆製品, 油脂類等の摂 取量が少ないこと, これらである. 中農以上は油脂類,. 肉類, 卵類, 淡色野菜等を貧農よりも多く とっ ている. 3 . 農民の摂取栄養量は, 長時間農作業の負担, 烈 しい新陳代謝を最適蛋白質基準学説に立っ て考察すれば, まさに半飢餓水準であり, 摂 取栄養と食生活は次の諸特徴をもっている. 1 ( ) 蛋白質の量的不足と質的欠陥, すなわち低蛋白, 動蛋の半飢餓水準 ( 17g) , 動蛋比の低 値約22%, 摂 取蛋白質の蛋白価71という低値.. 2 ) 各 種 ビ タ ミ ンの 不 足, 特 に ビタ ミ ン A, B2 の 極 端 な 不 足. { 圏 カ ル シウ ム の 極 端 な 不 足.. ) 低蛋白質・低脂肪・高炭水化物食を特徴とする米食偏重の低劣な食生活, 摂 取食品の種 性 類が比較的に少なく, 主として和 風料理で簡単なものであり, 献立の変化性の乏しい食生. 活型, 端的にいえば, 米飯にみそ汁とつけものを主体とする食生活型である. 4 取状態, 特に貧農の摂 取状態は低水準である. 材木沢農民の必須アミノ酸摂 . 貧農は札幌の失対労務者よりややまさるが, 日本人平均よりおとる. 中農以上は貧農よりまさ. る が, 日本人平均よりおとる。 貧農も中農以上も材木沢農民は札幌の失対労務者よりましであるが, 日本人平均に達 しない.. 5 . 摂取栄養量は階層別に格差がみられ, 富農がまさり, 中農, 貧農の順序で低下する. 特に 動物性蛋白質摂 取量におい て, いいかえれば, 高価な肉類, 卵類の摂取量において格差が著しく み ら れ る.. 耕地面積の大小, 農業機械, 雇傭労働力等の有無や大小による営農規模の大きさ, 年収入の多 寡, 営農のための借金の多少等生産関係上での地位と役割および家庭経済状態が各階層農民の摂 取栄養水準を主として左右する.. (8 ).

(10) . 細. 井. ニ. 敬. 6 , 北海道米作農民は寒冷その他気象の悪条件のもとで 広い耕作面 積を比較的短期間の過重労 働で営農しなければならない。 その上借金に苦しみながら, 低い摂取栄養水準のもとで 農繁期 , には労働力の回復ができず, 身体を犠牲にして重い 農作業に長時間従事している 。. 北海道では比較的に余裕のあるといわれる材木沢農民でさえ, これら農民の摂 取栄養水準はき わめて低く, 農作業, 農民生活に適合した栄養をとっていない。 この材木沢農民の低栄養水準は. 50%以上の農夫症の存在 を指摘する健康調査結 果を裏付けて おり, 農夫症発生要因の一つであり , 健康破壊の物質的要因の一つである。 7 . 国民栄養調査の一環 としての当別保健所の材木沢農民栄養調査の資料にもとづいて 階層別 摂取栄養量を算出した. 中農以上は摂 取栄養量 と食物材料費において貧農よりまさる 国民栄養 。 調査は下層農民としての貧農の半飢餓水準の実 態を暴露せ ず, これをおおいかくす役割を果して い る。. 女. 1) 2) 3) 4) 5) 6). 献. 細井敬三: 医学評論, 3 1号,7(1966) , 農林省農林経済局統計調査部:昭和3 9年度農民栄養統計 (1 966) , 厚生省公衆衛生局栄養課: 国民栄養の現状, 昭和4 0年度国民栄養調査成績, 第一出版 (1968) 細井敬三:北海道教育大学紀要 (第二部C) , 13 , 第1号, 1(1962) . 細井敬三: 同誌 (第二部C) 964) , 13 , 第1号, 1(1 . 細井敬三: 同誌 (第二部C) 961) , 12 , 第1号, 40(1 ,. ( 9,).

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参照

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