教員の10年経験者研修・大学専門講座における構成的グループエンカウンターの実施後の評価
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第58巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.58,No.2. 平成20年2月 February,2008. 教員の10年経験者研修・大学専門講座における 構成的グループエンカウンターの実施後の評価 懸田 孝一・野崎 徹* 北海道教育大学旭川枚教育心理学研究室 *深川市立深川小学枚. EvaluationofStructuredGroupEncounter inTrainingforTeacherswithTenYearsofExperience atan AcademicSeminar KAKETAKoichiandNOZAKIToru* DepartmentofEducationalPsychology,AsahikawaCampus,HokkaidoUniversityofEducation,Asahikawa,070−8621. *FukagawaElementarySchool. 概 要 本研究の目的は,教員の10年経験者研修において構成的グループ・エンカウンターを3時間実施し,①学 校現場で実際に構成的グループ・エンカウンターが活用され,それが有効であったかを評価すること,②構 成的グループ・エンカウンター実施による参加者の人間関係・自尊感情向上の効果は参加者のその後の生活 に影響を及ぼし続けるかを検証することである。本研究の対象者は10年経験者研修に参加した教員28名(男 性17名,女性11名)である。構成的グループ・エンカウンター実施から5ケ月後に独自のアンケート及び「人 間関係尺度」,「自尊感情尺度」を用いて得られた結果を分析したところ,構成的グループ・エンカウンター. は有効に活用され,自尊感情の向上に持続性があることが見出され,教員の10年経験者研修に構成的グルー プ・エンカウンターを取り入れることは,有効に活用される可能性があることが示唆された。. 教育公務員特例法の一部改正にともない,2003. している(文部科学省,2002)。生徒指導等に関. 年度から教員(小学校・中学校・高等学校・中等. する研修,適性に応じた得意分野づくり等の選択. 教育学校・盲学校・聾学校および幼稚園)の10年. 研修等で,構成的グループ・エンカウンター. 経験者研修が法定研修として位置づけられた。研. (structuredgroupencounter:SGE)を実施す. 修期間は,長期休業期間中に校外研修を20日間程. る場合が少なくない。10年経験者研修に限らず,. 度と課業期間中における校内研修を20日間程度,. 現在では全国の教育委員会の9割近くが,教員研. 研修内容は,教科指導,生徒指導等に関する研修,. 修のプログラムにSGEを組み入れている(囲分康. 適性に応じた得意分野づくり等の選択研修を想定. 孝・国分久子・片野,2006)。SGEとは「ふれあい」. 175.
(3) 腰田 孝一・野崎. と「自他発見」を目的とした集中的グループ体験. 徹. (野崎・久能・早坂,2003),PTA研究大会での. である(国分康孝・国分久子,2004)。しかし,. 効果(久能・野崎,2004),10年経験者研修での. これまで10年経験者研修においてSGE実施後に受. 効果(懸田・野崎,2006)がある。しかし,10年. 講者が学校現場でSGEを活用したか,それが児童. 経験者研修でのSGEの評価・効果の持続性に関す. 生徒の役に立ったかなどは十分に検証されていな. る研究は見当たらない。そこで,本研究を,10年. い。また,教師の資質・技能に関して「専門的知. 経験者研修での効果(懸田・野崎,2006)の追跡. 識・技能」,「意欲」,「人格的資質」,「使命感」は. 調査に位置づけ,次の目的を設定した。. 経験年数の増加につれてしだいに高い数値を示す. 1.教員の10年経験者研修実施後の評価,すなわ. ようになるのに対して,「子ども理解能力」に関. ち研修後,学校現場でSGEが活用されたか,. しては,経験10年以上になると自信を示す数値が. また,それが有効であったかを検証する。. 低下する傾向にあるという(南本,2004)。柳浦. 2.教員の10年経験者研修において,SGE実施 による効果は参加者のその後の人間関係・自尊. (2004)は,子ども理解の原点として,教師と保. 護者の相互理解に基づく子ども理解の大切さを述. 感情に影響を及ぼし続けるかを検証する。. べている。また,適切な子ども理解のためには,. 相互理解のための教師同士の好ましい人間関係が 方 法. 必要であるとも指摘している。したがって,子ど. も理解を支える一面として人間関係が考えられ. 参加者. る。また,野崎・早坂・久能(2003)がまとめて. Ⅹ年8月12日,A管内の10年経験者研修におい. いるように,自尊感情は対人関係に関する要因と. て北海道教育大学教育学部旭川校が担当した生徒. の関連において,結果要因や調整要因として位置. 指導専門講座のうち,選択講座で「構成的グルー. づけられることも多いが,因果関係上の先行要因. プエンカウンターの考え方と活用法」(3時間). としての役割も重要である(加藤・鷲見,2001). を選択し,SGEを体験した公立小中学校の教諭31. ことなどが指摘されている。そこで,10年経験者. 名のうち,約5カ月後のⅩ+1年1月6日に実施. 研修でのSGE研修を指導法の体験・伝達の場とす. された第2回(実践交流)にも参加した28名を対. るとともに,人間関係・自尊感情を「子ども理解. 象とした。/ト学校教諭19名(男性9名,女性10名),. 能力」を支える一面として押さえ,それらの向上. 中学校教諭9名(男性8名,女性1名)からなる。. の場としても捉えた。SGEは,参加メンバーの行. 年齢構成は,31∼44歳(平均年齢33.79歳,標準. 動変容を目的とする構成された集中的グループ体. 偏差2.57歳)であった。第2回の研修内容は,そ. 験としての「ジュネリックSGE」と,学習者の教. れぞれが学校現場でSGE実践を試み,その実践. 育課題(授業・研修の目標)の達成を目的とした. 内容を交流することを目的としていた。ただし,. 「スペシフィックSGE」の大きく2つに分けられ る(片野,2004a)。また,ベーシック. ・エンカウ. 実践できなかった場合には,今後実践する場合を 想定した指導案を碇出することになっていた。ま. ンター・グループでは,参加の構造的特徴から,. た,本研究の対象となった10年経験者研修以前に. 参加者個人が自ら申し込んで参加する「自発参加. SGE研修の参加,及びSGE実践の経験者は31名. 型」と,参加を義務づけられて参加する「研修型」. 中4名(12.90%)であった。. の2種類に分けられ研究が行われている(中田,. 質問紙. 1999)。これらの分類に従うと,10年経験者研修. 本研究に使用された質問紙は,以下の3つで. でのSGEは,研修型スペシフィックSGEに位置づ. あった。これらの調査は,すべてSGE実施から. けられる。これまでに研修型スペシフィックSGE. 約5カ月後のⅩ+1年1月6日に実施された第2. に関する研究は,初任者研修・校内研修での効果. 回選択講座実施後に実施された。. 176.
(4) 10年経験者研修・大学専門講座における構成的グループエンカウンターの実施後の評価. (Appendix3を参照)。. ①アンケート 質問項目は,1.第1回の研修は その後の実践に役立ったか(4件法),2.SGE を実施したか(実施した場合はエクササイズ名・. 結 果. ねらい・子どもの役に立った(4件法),実施し なかった場合はその理由),3.今回の交流会は. アンケート. 役に立ったか(4件法),4.感想(自由記述). (手SGE研修の有用性 参加者がSGE研修への. からなる(Appendixlを参照)。. 参加に対してどの程度有用性を感じているのかを. ②人間関係尺度 国分康孝・西・村瀬・菅沼・国. Tablelに示した。第1回の評定の平均値は3.75,. 分久子(1987)によって標準化された6項目5件. 第2回の評定の平均値は3.56であった。第1回,. 法の尺度である。人間関係尺度は,6つの項目に. 第2回ともに「とても役に立った」,「少し役に立っ. より,1.自己主張,2.自己理解,3.受容性,. た」と回答した者を合わせた割合は100.00%で. 4.他者理解,5.感受性,6.信頼性を測定す. あった。. る尺度である。この尺度を測度としたSGE研究. (彰SGEの実践 第1回研修後,SGEを実践し. は野崎・久能・早坂(2003),久能・野崎(2004). た参加者の割合をTable2に示した。「実践した」. 等がある(Appendix2を参照)。. と回答した者が78.57%と高い値を示した(z=. ③自尊感情尺度 Rosenberg(1965)によって. 2.83,p<.01)。また,実践したSGEがどの程. 開発された尺度を山本・松井・山成(1982)が邦. 度子どもたちの役に立ったと感じているのかを. 訳した10項目5件法の尺度を用いた。Rosenberg. Table3に示した。評定の平均値は3.27であった。. の自尊感情尺度は,他者に対する自信や優越感を. 「とても役に立った」,「少し役に立った」回答し. 意味するような「とてもよい」と感じることでは. た者を合わせた割合は100.00%であった。実施し. なく,自己受容を意味するような「これでよい」. たエクササイズを,第1回研修で体験したものと. と感じることを測る尺度である(桜井,2000)。. しなかったものという観点で分類した結果を. Rosenbergの自尊感情尺度は,多くの研究で用. Table4に示した。第1回研修で実際に体験した. いられており,曽山(2000),大友(2001)等,. エクササイズを実施した者が27.27%,第1回研. SGE研究においても頻繁に用いられている. 修で体験していないエクササイズを実施した者が. Tablel SGEの有用性の意識 エクササイズ. 4・役に3・に 2・. Mean SD. た. 1.夏の選択講座Ⅱ「SGE の考え方と活用法」は役 19(67.86) に立ったか. 9(32.14). 2蹴流)16(57・14) ま. 12(42・86). 0(0.00). 0(0.00). 3.670.48. 0(0・00). 0(0・00). 3.560.51. <人(%)>. Table2 SGEの実践の有無. 実践した 実践しなかった. 22(78.57) 6(21.43). 177.
(5) 腰田 孝一・野崎 徹. Table3 SGEの有用性の意識(n=22). 項. 4・あてはまる3・あ2・1・はまら Mean SD. 目. 古た 6(27・27). 16(72・73). 0(0・00). 0(0・00). 3.27. 0.46. <人(%)>. Table4 実施したエクササイズ 期. 待. Table5 実践できなかった理由(n=6). 感. ①第1回研修で体験したもの. 人(%). 6(27.27). ②第1回研修で体験していないもの 13(59.09). ③①,②の両方. 由. 理. 人(%). 担任を持っていない. 2(33.33). 学級の実態にそぐわない. 2(33.33). 3(13.64). 1(16.67). 力量不足 実施に対する不安感. 1(16.67). 59.09%,その両方を実施した者が13.64%であっ. が認められる結果,すなわち,事前よりも事後,. た。また,実践できなかった理由の内訳をTable. 及び5カ月後が有意に高い結果になる項目は見出. 5に示した。「担任を持っていない」(33.33%),「学. されなかった。. 級の実態にそぐわない」(33.33%),「力量不足」. 自尊感情尺度. (16.67%),「実施に対する不安感」(16.67%) であった。. 自由記述による参加者の感想は,KJ法(川喜. 自尊感情尺度の合計得点は,野崎ら(2003)の 自尊感情尺度の信頼性の検討結果に従い,第8項 目は除外した。第3,5,9,10項目は,逆転項. 多,1967)の要領でカテゴライズした結果,次の. 目として換算して合計得点を算出した。人間関係. ようなカテゴリーが見出された(Table6)。「研. 尺度と同様に,SGE実施における事前,事後,5カ. 修方法への要望」(21.43%),「リーダーへの感謝」. 月後の比較には,自尊感情尺度の9項目の合計得. (14.29%),「研修内容への要望」(10.71%),「実 践交流の有用感」(10.71%),「今後のSGEの活用」 (10.71%),「SGE体験の有用感」(3.57%)であっ. 点を従属変数とし,SGE実施の時期(pre,pOSt, 5カ月後)を独立変数とした1要因分散分析を 行った(Table8)。その結果,SGE実施の効果. た。. の主効果は有意であった(ダ(2,81)=4.83,♪. 人間関係尺度. <.05)。そこで,Ryan法よる多重比較を行った. SGE実施における事前,事後,5カ月後の比. ところ,SGE実施の効果の持続性が認められる. 較には,人間関係尺度の各項目の得点を従属変数. 結果,すなわち,事前よりも事後,及び5カ月後. とし,SGE実施の時期(pre,pOSt,5カ月後). が有意に高い結果が見出された。. を独立変数とした1要因分散分析を行った (Table7)。その結果,6項目中「自己主張」(F ((2,81)=4.35,♪<.05),「自己理解」(ダ(2,. 81)=8.19,♪<.001),「他者理解」げ(2,81) =13.66,♪<.001),「受容性」(ダ(2,81)=6.糾,. 考 察 本研究の対象となった10年経験者研修・大学専. 門講座「生徒指導専門講座」選択研修で「構成的. ♪<.01)の4項目においてSGE実施の効果の主. グループエンカウンターの考え方と活用法」を受. 効果は有意であった。そこで,Ryan法よる多重. 講した者は,SGEを体験した第1回研修,約5カ. 比較を行ったところ,SGE実施の効果の持続性. 月後のSGE実践交流ともに有用性を感じている. 178.
(6) 10年経験者研修・大学専門講座における構成的グループエンカウンターの実施後の評価. Table6 アンケートに見られる参加者の感想 カテゴリー 研修方法への要望 <6(21.43)>. 内. 容. 大きなグループの発表会で,みなさんそれぞれ自信がない部分もあったと思います。もう少 し小グループなどで好きなことを言い合える雰囲気だとよかったように思います。/全員で 発表すると時間がとられてしまうため,たとえばグループにわかれたディスカッションでも よいと思った。/全員のレポートを聞けてよかった反面,時間がかかった感じがしました。 2つのグループにわかれて(担当講師が2人もいらっしゃったので…)話し合うともっとよ かった感じがしました。/レポートを小グループで行うと,さらに活発な意見交換ができた かな…と思います。/レポート交流は,グループなどで行ってもよかったと思う。ちょっと ながかったです。/グループ討議があれば,もう少し深めることができたと思う。. リーダーヘの感謝 勉強になりました。ありがとうございました。(2)/やはり野崎先生の資料とお話がわかり <4(14.29)> やすく,ためになりました。ありがとうございました。/お忙しい中の準備等,大変だった と思います。ありがとうございました。. 研修内容への要望 冬もエクササイズの体験ができると嬉しかったです。レポート発表もよいが,もう少し時間 <3(10.71)>. を短縮して体験の時間をつくっていただけると,本当に嬉しいです。/夏の講座のように, もっと持ち帰ってすぐ実践できそうなことを学びたかった。/小グループで実践発表をして, 残った時間は,エンカウンタヘの体験の方がよいなあと思いました。. 実践交流の有用感 交流発表で30数通りの実践が報告され,いつでも使えるものとして聞けるので有効だと思う。 <3(10.71)>. /先生方の実践を知ることができて興味深かったです。/レポートは楽しんでできました。. 今後のSGEの活用 今後も勉強し,実態に合わせて取り組んでいきたい。′/担任を持った時や,何か機会があり <3(10.71)>. ましたら,ぜひ使っていきたいと思っています。場面に応じて使っていきたいと思います。 /このエクササイズの特長として,遊びの持つ楽しさが力になっていると思う。この力を自 己理解などにひろげるのではなく,教科などに広げていきたい。. SGEの有用感. やはり本を読むだけでは分からないことが多く,実際に「体験」させてもらえたことがよかっ. <1(3.57)>. た。「百聞は一見にしかず」でした。 <人(%)>. 結果となった。また,実践できなかった場合には,. たエクササイズの分類では,第1回研修で体験し. 今後実践する場合を想定した指導案でもよいとい. ていないエクササイズを実施した者が59.09%と. う条件の下,SGEを実践した者は78.57%と高い. 高い値を示した。これは,体験したエクササイズ. 値を示し,実践した全ての者が子どもたちの役に. をそのまま学級で実践するというよりも,SGE. 立ったと感じている結果となった。「担任を持っ. を書籍などで調べ,. ていない」,「学級の実態にそぐわない」,「力量不. イズを選定した結果であり,そのことが子どもた. 足」,「実施に対する不安感」という理由から. ちの役に立ったと感じさせたと考えられる。本研. SGEを実践しなかった者が21.43%いるが,10年. 究のSGEは研修型スペシフィックSGEに位置づ. 間勤務した教員の判断からということを考慮する. けられた。しかし,個人の適性に応じて選択が可. と,78.57%という実施率は高い値と考えられる。. 能な選択講座であったため参加者の意欲が高く,. アンケートに見られる参加者の感想(Table6). 研修後のSGE実践に結びついたと考えられる。. 学級の実態に応じてエクササ. の「研修内容への要望」の中には第2回研修でも. 人間関係尺度については,SGE実施の効果の. SGE体験を望む意見が見られた。これらは,第1. 持続性は認められなかった。人間関係尺度は「他. 回研修で,参加者がSGE体験を楽しく取り組み,. 人の目をみてよく話しかけていた」(自己主張). 役に立ったと感じた(懸田・野崎,2006)ことが. など,人間関係における行動面について問う項目. 大きく影響していると考えられる。また,実践し. から構成されている。本研究の研修型スペシ. 179.
(7) 腰田 孝一・野崎. Table7 人間関係尺度の変化(n=28) Mean SD Pre. 集団の凝集性を高めるための一般的な流れ(岡田, F 多重比較. 配列したことが考えられる。. 5ケ月後 3.54 0.91. ② ポジティブな観点によるシェアリング. 3.32 0.89. シェアリングとは,参加者がエクササイズで体. しカ自己理解 Post 3.89 0.67. 験したことを分かち合うことであり,感情・思. 5ケ月後 3.39 0.82. (丑感受性. Pre. 3.29 0.88. Post. 3.57 0.781.70n.s.. 考・行動を修正・拡大することが目的である(大. 5ケ月後 3.25 0.87 Pre. ④他者理解 Post 4.32 0.4713.66*** 5ケ月後 3.64 0.77. (包受容性. 友,2004)。エンカウンターの下位目標である自 他理解,すなわち自他の固有性・独自性,かけが. 4.18 0.54. fre. 2004)ではなく,リレーションづくり→自他理解・ 自己受容→信頼体験という流れでエクササイズを. 3.64 1.04. ①自己主張 Post 4.04 0.78. Pre. 徹. えのなさの発見(片野,2004b)を支える要とな るものである。懸田・野崎(2006)における. 2.86 0.88. SGEのシェアリングでは,エクササイズの体験. Post 3.40 0.67. を通して感じた他者のポジティブな面,長所,あ. 5ケ月後 3.00 0.66 Pre. (㊧信頼性. 3.07. Post. るいは,ポジティブな感情を分かち合いの観点と. 0.80. 3.29 0.751.70n.s.. 5ケ月後 2.89 0.86. して参加者に与えた。これは,自尊感情の向上の. ために,欠くことのできない条件のひとつである。. 句<.05,*句<.01,**与<.001. 囲分康孝・囲分久子・片野(2006)は,SGEを, 人間を認知の世界構造のプロセスにあるととらえ. Table8 自尊感情尺度の変化(n=28) 項 目. Mean SD Pre. 合 計. Post. た育てるカウンセリングと押さえ,SGEによる F 多重比較. 成長の意味をone−neSS,We−neSS,I−neSSとし, その成長の方法としてナーシズムの崩壊,ポジ. 28.89 4.86. 30.96 4.75. ティブな自己概念などの13項目を挙げている。そ. 5ケ月後 30.46 4.92. の中のポジティブな自己概念を強調し,自尊感情 写<.05,*写<.01. の向上の焦点付けに成功したと考えられる。この ようなシェアリングの体験が,ポジティブな自己. フィツクSGEは,行動変容を目的としたジュネ. イメージの再構築につながるものと考えられる。. リックSGEとは異なり,実施時間の短さ,参加. これは,理想的には,SGEという文化的孤島の. 者のモチベーションの違いから,深まりが得られ. 中で,他者とのふれあいの中から生まれたポジ. なかったと考えられる。. ティブな自他発見により,自分自身の捉え方,他. 自尊感情尺度については,SGE実施による効. 者の捉え方の意味を現実的なものに作り直し,よ. 果の持続性が認められた。本研究の教員の10年経. り健康的な生活を創造するきっかけとするという. 験者研修において,SGE実施による自尊感情の. 社会構成主義的な視点を思想のよりどころとして. 効果に持続性が確認されたのは,10年経験者研修. いる。したがって,参加者の自尊感情の向上,及. におけるSGEの効果の要因について懸出・野崎. びその効果の持続性を目的としたSGEを実施す. (2006)が述べている次の理由が考えられる。. る場合,ポジティブな観点を与えるシェアリング. ① エクササイズの構成. を行うタイプのスペシフィックSGEを実施する. SGEのプログラムが,久能・野崎(2004)によっ. ことが有効であると考えられる。. て示された原則に則って組み立てられ,リレー ションづくり→ふれあいの促進→自己理解という. 180.
(8) 10年経験者研修・大学専門講座における構成的グループエンカウンターの実施後の評価. 結 び 本研究では,教員の10年経験者研修において,. SGE研修を実施する場合,選択講座という形をと. 関係の開発,自尊感情の回復のひとつのきっかけ になる可能性があるのではないだろうか。. 今後,教員の10年経験者研修において,SGE研 修がより有効に活用されることを願う。. ることにより,次の点で有効に活用される可能性 があることが示唆された。. 謝 辞. ① 研修後,学校現場で有効に活用される。 ② 参加者の自尊感情の向上,及びその効果の 持続性に効果がある。. 教員の10年経験者研修においてSGE研修が有効. 最後に,本研究に関わるSGEの実践に関するご 協力をいただきました諸先生方に,ここに謝意を 表します。. に活用される可能性があることが示唆されたが,. 他の地域でも同様の結果が得られるのだろうか。 引用文献. 北海道の一部の地域では,カウンセリングに対す る抵抗感が強く,認知度が低いという傾向がある。 また,10年経験者研修に対する特有の参加意識が あるように思われる。他の地域で検証することが 今後の課題である。. 人間関係における行動面においては,効果の持 続性が認められなかったが,内的な対人的信頼感 にはその効果や持続性は認められるのだろうか。. 基本的信頼感尺度などを使用した検証が今後の課 題である。. また,国分ら(2006)は,SGEが,即効性のあ る処方箋くらいにしか評価されなくなることを危. 懸田孝一・野崎徹(2006).構成的グループ・エンカウン ターを教員の10年経験者研修・大学講座で実施する意 義.北海道教育大学紀要(教育科学編),57(1),83−95. 片野智治(2004a).ジュネリックとスペシフィック.国 分康孝・国分久子(総編集),構成的グループエンカウ ンター事典.図書文化社,Pp.30−35. 片野智治(2004b).構成的グループエンカウンターの目的. 国分康孝・国分久子(総編集),構成的グループエンカ ウンター事典.図書文化社,Pp.18−19. 加藤乃武英・鷲見克典(2001).対人関係における互恵性 に及ぼす自尊感情の影響:Robson多次元自尊感情尺度 を用いた検討.名古屋工業大学紀要,53,195−206. 川喜田二郎(1967).発想法.中央公論新社. 国分康孝・国分久子(2004).まえがき.国分康孝・国分. 惧している。本研究の在り方が,前述のように評. 久子(総編集),構成的グループエンカウンター事典.. 価されることを著者は危惧するが,「ふれあい体. 図書文化社.. 験をすること自体に意味がある」というSGEの意 味を失わせているわけではなく,むしろ保ちなが ら,教育分析的な意味の強い「自発参加型」と技 術伝達の意味が主である「研修型」との区別を明 確にすることで,「研修型」の新たな価値を見出 すことができるのではないだろうか。また,組織. の問題をパーソナリティとパーソナリティのふれ. 国分康孝・西昭夫・村瀬臭・菅沼憲治・国分久子(1978). 大学生の人間関係開発のプログラムに関する研究(そ. の24)−high1earnerとlowlearnerとのプログラム評 価の比較−.日本相談学会第20回大会発表論文集, 40−41.. 国分康孝・国分久子・片野智治(2006).構成的グループ・ エンカウンターと教育分析.誠信書房. 久能弘道・野崎徹(2004).PTA短期研修型構成的グルー. プ・エンカウンターが人間関係・自尊感情の向上に及. あいでカバーしようとするのはSGEの乱用である. ぼす効果.北海道教育大学紀要(教育科学編),54(2),. とも述べている(国分ら,2006)。「子ども理解能. 51−70.. 力」を支える人間関係・自尊感情は,確かに組織 の問題としての一面もある。しかし,社会的な視. 点と個人的な視点という2つの視点を持ちなが ら,SGEの活用を個人的な視点に働きかけるもの として捉えた時,学校コミュニティにおける人間. 中田重行(1999).研修型エンカウンター・グループにお. けるファシリテーションー逸楽行動への対応を中心と して−.人間性心理学研究,17(1),30−44. 野崎徹・早坂秀別・久能弘道(2003).教職員短期研修型. 構成的グループ・エンカウンターが人間関係・自尊感 情の向上に及ぼす効果.北海道教育大学教育学部附属. 181.
(9) 腰田 孝一・野崎 徹 教育実践総合センター紀要,247−258. 南本長穂(2004).生徒指導に関する研修をどう工夫する. か.教職研修,371,58−61. 文部科学省(2002).教育公務員特例法施行令の一部を改 正する政令等の公布について(通知).文部科学省,2002. 年8月8日,〈http://www.mext.go.jp/a_menu/ shotou/kenshu/009.htm〉(2007年9月7日) 岡田弘(2004).エンカウンターはなぜ学校に広まってい るのか.国分康孝・国分久子(総編集),構成的グルー プエンカウンター事典,図書文化社,Pp.36−39. 大友秀人(2001).コミュニケーション能力を高めるため のトレーニング方法の開発とその効果に関する研究: 構成的グループエンカウンターを用いて.青森明の星 短期大学紀要,27,1−16. 大友秀人(2004).シェアリングの目的.国分康孝・国分 久子(総編集),構成的グループエンカウンター事典.. 図書文化社,Pp.144−145. Rosenberg,M.(1965).Societyandtheadolescentself− image.PrinstonUniv.Press. 桜井茂男(2000).ローゼンバーグの自尊感情尺度日本語 版の検討.筑波大学発達臨床心理学,12,65−71. 曽山和彦(2000).不登校を背景に持つ生徒に対する構成 的グループ・エンカウンターの効果と実施上の留意点. 第1回目本数育カウンセラー協会発表論文集,76−77. 山本真理子・松井豊・山成由紀子(1982).自尊感情尺度 (Self−EsteemScale).堀洋道・山本真理子・松井豊 (編),心理尺度ファイル一人間と社会を測る−.垣内 出版,Pp.67−69. 柳浦邦次(2004).子ども理解の原点.研究所月報,2004 年12月1日,〈http://www.edu.city.yokosuka.kanagawa. jp/geppou/ge200412/soudan12.htm〉(2007年8月31日). (懸田 孝一 旭川校准教授) (野崎 徹 深川市立深川小学校教諭). 182.
(10) 10年経験者研修・大学専門講座における構成的グループエンカウンターの実施後の評価. Appendixl アンケート. 庄)夏休みの10年研・選択講座Ⅱ「構成的グループエンカウンターの考え方と活用法」の講座は,その後の実践に 役に立ちましたか?. (とても役に立った・少し役に立った・あまり役に立たなかった・全く役に立たなかった). ② 2学期に,構成的グループ・エンカウンターを実践しましたか?(した・しなかった). (1)実践した方は,どんなエクササイズをしましたか? ○エクササイズ名(. ). ○主なねらい(自己理解・自己受容・自己主張・他者理解・感受性・信頼体験) ○このエクササイズを選んだ理由( ○子どもたちの役に立ったと思いますか? (とても役に立った・少し役に立った・あまり役に立たなかった・全く役に立たなかった). (2)実践しなかった方のできなかった理由は?(主な理由を1つだけ) 担任をもっていない・有効性を感じない・学級の実態にそぐわない・ 自分の力量不足(知識・経験・技術不足等)・学校内の理解が得られない・実施に対する不安感・ その他(. ). D 今回の選択講座(交流)は,役に立ちましたか? (役立にたった・少し役に立った・あまり役にたたなかった・全く役にたたなかった). ④ その他,お気づきの点・感想などがありましたらご記入ください。. 183.
(11) 腰田 孝一・野崎 徹. Appendix2 人間関係尺度質問項目 5 4 3 2 1. 1.他人の目をみてよく話しかけていた. 人の目がみれず伏目がちであった. 2.状況にあった言動をしていた. 不適切な言動が多かった. 3.自信のある堂々とした態度が多かった. おどおどして不安げであった. 4.人の話に関心を持って聴いていた. 人の話にほとんどあいづちをうたなかった. 5.表情が明るく,ジェスチャーをよく使. 暗く,かたい表情であった. った表現をしていた. 6.対人的距離がせまく人と接していた 人と距離をおいて接していた. Appendix3 自尊感情尺度質問事項. 9.自分は全くだめな人間だと思うことがある。 10.何かにつけて,自分は役に立たない人間だと思う。. 184. 1. 8.もっと自分自身を尊敬できるようになりたい。. あてはまらない. 7.だいたいにおいて,自分に満足している。. 2. 6.自分に対して肯定的である。. あまりあてはまらない. 5.自分には,自慢できることがあまりない。. 3. 4.物事を人並みには,うまくやれる。. どちらともいえない. 3.敗北者だと思うことがよくある。. 4. 5. 2.色々な良い素質をもっている。. だいたいあてはまる. あてはまる. 1.少なくとも人並みには,価値のある人間である。.
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・各企業が実施している活動事例の紹介と共有 発起人 東京電力㈱ 福島復興本社代表 石崎 芳行 事務局
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