• 検索結果がありません。

特集生体の低酸素応答と疾患治療への応用 : 巻頭言

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "特集生体の低酸素応答と疾患治療への応用 : 巻頭言"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

集 生体の低酸素応答と疾患治療への応用

【巻頭言】

(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部病態情報医学講座薬理学分野)

(徳島県医師会生涯教育委員会) 地球上に酸素分子が発生したのは,二十数億年前に発 生したシアノバクテリアの光合成反応にまでさかのぼる。 それに端を発して酸素分子をエネルギー産生の要の物質 として利用するさまざまな生物が出現して現在に至る。 したがって,酸素は生物の進化そのものに密接に関与し ており,生物は酸素を利用するとともに酸素に対するさ まざまな応答システムを備えるように進化してきた。多 細胞生物として構成される生体内では,その局所環境の 酸素分圧は常に変動しており,その分圧変化に対して, 細胞はさまざまな機構により適応する。近年,低酸素に 対する生体適応の異常や破綻が多くの疾患や病態の成立 とその進展に密接に関わることが明らかになってきてお り,生理学的のみならず臨床医学的にも生体低酸素応答 制御機構の本質的理解が要求されている。疾患に伴う低 酸素環境は,虚血性疾患や腫瘍のみならず代謝性疾患や 炎症性疾患を含め各種疾患に観られており,疾患の発動 因子のみならず修飾因子として病態に関与していると考 えられる。低酸素応答性転写因子(Hypoxia Inducible Factor)は,そのような生体内の酸素分圧の低下に伴い 活性化される生体の低酸素ストレスに対する適応性を規 定する分子として発見された。 これまで,さまざまな病態において,現象論的に低酸 素応答の関与とその重要性は示唆されてきたが,最近そ の実態が少しずつ分子レベルで明らかになってきた。今 後は,これらの知見をもとにして,さまざまな疾患に対 する臨床応用を目指してこの分野の研究が展開するもの と考えられる。本特集は,基礎研究および臨床の医療現 場に携わる諸先生方に執筆頂くことにより,この分野の 基礎研究の臨床応用への方法論を模索・議論する場とし て企画された。 本特集は,4部から構成されている。徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部薬理学分野の冨田修平先 生から,生体の低酸素応答の破綻の伴う病態の分子機構 について,動脈硬化や血管新生に観られる血管リモデリ ングを例に動物実験より得られた知見を紹介して頂いた。 次に,徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部ラ イフシステム部門の堀均先生から,低酸素標的薬剤であ る低酸素細胞放射線増感剤およびハイポキシック・サイ トトキシンについて,現在教室で開発中の疾患選択性を 高めたものの次世代医薬品としての可能性を解説頂いた。 更に,徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消 化器・移植外科学分野の宇都宮徹先生から,消化器癌に おける HIF の臨床的意義について,特に,最近注目さ れている癌幹細胞制御における HIF の役割に関する教 室で得られた知見を含めて紹介して頂いた。最後に,東 京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科の南学正臣先生か ら,腎臓病における酸素代謝制御の重要性と,現在教室 で取り組んでいる最先端の技術を用いた新規低酸素治療 ターゲットの探索研究についてわかりやすく解説して頂 いた。 われわれ生体にとって,酸素分子は,「両刃の剣」で あり,エネルギー産生,殺菌作用や各種酵素の活性化作 用を介して生体維持に必須であると同時に,反応性の高 い物質である活性酸素に代表されるように細胞障害性を 備えている。本特集を通して,病態形成における酸素代 謝を制御することの重要性を理解して次世代の治療方針 を考える素材の一つに加えて頂ければ幸いです。 四国医誌 67巻1,2号 1 APRIL25,2011(平23) 1

参照

関連したドキュメント

全国の 研究者情報 各大学の.

2)医用画像診断及び臨床事例担当 松井 修 大学院医学系研究科教授 利波 紀久 大学院医学系研究科教授 分校 久志 医学部附属病院助教授 小島 一彦 医学部教授.

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して

    

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

金沢大学学際科学実験センター アイソトープ総合研究施設 千葉大学大学院医学研究院

東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師、早稲田大学の川上

 当図書室は、専門図書館として数学、応用数学、計算機科学、理論物理学の分野の文