層雲峡陸満附近第四紀層之花粉分析
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(2) . 第7 巻 第1号. 昭和31年7月. 北海道学芸大学紀要 (第二部). 1 ) 層雲峡陸満附近 第四紀暦之花 粉分析( 井. 夫. 休. 口. 北海道学芸大学旭川分校地学研究室. Yasu。 IQぴ( }Hr: PalynologicaI Study on the Quarternery i ty Bed in saunkyる RikumaI ci I l I Vi. ま. 礼. き. が. o )北海道第 三紀鮮新世以降の古気候の変遷を明かにする目的を 以て佐々、 森谷によっ 筆者は前回l て下部洪積世の所産と考えられている野幌大曲川 特に露出する亜炭について分析を試みその樹種構 を 成を明かに し、 特にその中に Zelkowa, Tsuga , Fagus 等 の 南 方 系 の樹 種 の 含 ま れ て い る事 指 摘 した。. 今回は層雲峡国立公園入ロ附近に露出する洪積世新期と考 えられる、 未固結砂孫層中の炭質泥層 の分析を行った。 本層直上には大雪熔結凝灰岩がのっており、 この炭質泥層の分析によって大雪熔 .る目的のもとに行ったものであるが、 結凝灰 岩噴出時の植生を明かにし、 古気候推定の手掛りを得 こ に一応の結果を得たの で報告し諸先生方の御叱正 と御指導を御願いする次第である。 鉱物学 発表に先だち終始御指導を戴き、 且 ‐本論文の校閲をして下さった北海道 大学理学部地質学 生方から 室の諸先 授を始め同教 教室佐々保雄教授に感謝の意を表する。 叉鈴木醇教授、 石川俊夫教 はたえず御指導と御鎚鐘を 戴いている。 併せて感謝の意を表する次第である。 分. 析. 資. 料. 詣大雪山国立公園 分析に用いた資料は上川郡層雲峡=衛言 物 出する河成段立堆積 0om に瓦って露 入口附近より約2 で、 石 狩 川 の 河 底 よ り 約 15m の高位置に表 )る。(第一図). 露頭は下部より先白亜紀の黒色粘板 岩層、 河成段立隣 層、 火山灰質砂層、 浮石層、 大雪終結凝灰 岩 の 順 で あ る。. 以下岩相と砦質について簡 単に述べる。 A 河成段立堆積層 石狩川の層雲峡温泉より下流の両岸に下部の先白亜紀 の黒色粘板岸を不整合に披つて広く分布しており、 層雲 峡陸満附近、 真勲副発電所附近等に模 式的な露出が見ら れ る。 厚 さ は 2\3m 程 度 で湊 )る。. 下部~は 際 層、 上 部 は. l内外の巨諜を 火山灰質砂層よりなる。 下部の牒層はln ÷ 召質は古大雪山を形成していた安山 岩、 柴i捲き 、石 含む が大体草大から人頭大ていどの際が多く、夕 きは主として古期の粘板 岩よりなっている。 分級作用は極めて不良 で 英粗面 岩、 樹齢閃緑岩等で細瞬 1) 1 ) 日本地質学会北海道支部例会講演 (1955 .1 (.
(3) . . 層雲峡陸蔵附近第四紀層之花粉分析 第 一 図. 、/. . . .. × 資 料 採 集 地. . 第 二 図. 真勲剛発電所附近に於ける露頭. 大雪熔結凝灰岩. 浮石スコリア流. →火山灰質砂層 (含有機質泥). }燥層 →古期粘板岩 あるが部分的に或ていどの分級作用 が認められる。 上部の火山灰質砂層は暗緑色を呈し、 層理なく下部の際層堆積時と異なりより緩 い水流下に堆積 したもの 如くである。 この砂層の上部に 3 cm内外の有機質泥をグ m内外の木炭 ミみ且つ所々に経4c 9一 一11.
(4) . 井. 口. 休. 夫. 化木を爽在している。 こ の 砂層 の厚 さ は 30~40cm て い どで ある。 , B 浮 石、 ス コ リ ア 流. 黒岳沢上流及び双雲別川上流一帯に広く分布している。 厚さは資料採集地附近 で約 5m であるが l 内外である。 岩質は白色の浮石碑、 黒色鉱梓状火山隣及び火山灰等 からなって 小函附近では 50cn l U i l及び黒岳 いる。 外観は飛白模様を呈する。 昭和30年8月 本地域一帯を 襲った豪雨によって双雲“ mの厚さを以て被い大被害を与えた。 c 沢上流よりこの浮石流を押し出し沢入口附近の田畑上に約30 叉この浮石流の下部にも小量の木炭化木片を含む。 (第三図) 第 三 図. i 平石、 スコリア流中の木炭化木片. 木炭化木片 . ←汗石及 びスコリア塊. . 木炭化木片 これは浮石流により押し流されその熱によって木炭化せしめられたものであろう。 大きさは直経 8c n て い どで あ り 3 ~4cm 位のものが大部分である。 この大きさは当時の樹木の大きさを示すもの l と考えられる。 C 大雪熔総凝灰岩 層雲峡入ロ附近の露頭では下部の浮石流層の上にのりあげた様な蔭状を呈する。 層雲峡温泉附近では古期の粘板岩層の上に直接のる。 平石流との境界附近は一般に節理なく掌大の浮石膜及び鏡洋状火山隣を含む軟弱な岩質で 下部のデ あり上部に行くにつれ浮石隣及び鉱棒状火山隣は大形と なり時には引延ばされて円盤状を呈するに 至 る。. o ノによっ この河成段立砂隣層の地質地代については明かでないが、 先に鈴木淑夫、 北川芳男両氏l て旭川市北西方の近交合に於て本暦と略同時代と考えられる砂際層中に熔総凝灰岩が爽在している Z系、 隣層、 火山灰質砂層の或は粘土層、 十勝 事を発見した。 即ち近交合に於ては下部より神居古渡 1) 本砂層の花粉分析は目下実施中である。 ( 大雪熔結凝灰岩の噴出時期は、 石川俊夫、 榛正雄8月こより上部決積せと されている。 0- -12.
(5) . 層雲峡陸満附近第四紀層之花粉分析 熔結凝灰岩隣層の順に堆積 している。 尚近交合の粘土層中には題名は明かでないが数種の広葉樹の印痕を有する。 分 析 の 方 法 本試料の如く火山灰質泥質物の場合の分析方法と して ① 特に炭質物の多い場合は CH3COOH4CC十NaC1 (33%) 7. 8 滴 十HCIICC の 混 液 で 処理 して. 後. Acetolythis method を 用 い る 6 ) 。. ② 特に火山灰質の多い場合は HF で処理後に Acetolylhi s ③. h. met od を 用 い る。 1 特 に泥 質物 の 多 い 場 合 は HN03 HC H 1 1 0 2 ( ) の :: 混 液 に--昼 夜 放 置 後 に Acet olythi s , , 2 d h t me o を用 い る。 但 し HF 法は珪耕 さ 放散虫 等が含まれてい てそれにより地層の性質を知る 、. 1 4 〕 様 な 目的 の場 合 に は さ け な け れ ば な ら な い。. 本資料については@③の方法を主として用いた。 析 結 果. 分. 花粉の頻度悪く数十個の資料を分 析してかろうじて樹木花粉 2 1 6個、 草本花粉2 15個を検出した 花粉の種類及び含有百分率は第4図に示した如くである。 第四図. i Ab ix A1nus Betula Quercus es cea , Pi , Pinus , Lar . 1 、. 愈 ・ ギ ア Compos l i Cet i s A cer 等 よ り な り 他 に tae ‐ , Care. 層雲峡陸渦附近第四紀層 炭 質 物 之花 粉 図. 樹木名. Ab i es. 含有%. にコ. P i ea c. ;;;コ l. pi nus. L. ix Lar. o. A1m, s. =. Be l t u a. E 1. 11 0 ・ 19 5 . I. 0 9 . 8 O .. o. Ace r. o. 及び多数の草木類の. Pol len, 1 ,. 2 の Sphagnum の胞子 珪藻等が見られた 、 。 考. 察. I 1 i こ の PO en d agam から当時の森林構成を考察する. に当って、 各種花粉の撒布距離、 生産量、 分布傾向腐敗 傾向等を考慮すると共に、 花粉の堆積環境にも注意が払 われなければならない。 特に本試料の如き流水堆積層の 場合堆積後或る程度の花粉の移動を考えられ、 従って或 種の花粉が一カ所にかたまって沈積される事 も あ り う. Quer cus ロ Ce i l t s. 52 l .. Gramineae の Po l l en. 0 1 0 1 o i o 4 0 じ彰. る。 事実3m 置きに採集した資料につ き分析した結果か ら、 或る場所では殆んど針葉樹の花粉のみ集積し叉或る. 場所では草木類の花粉のみ集中 している場合も見られた。 花粉の算出に当っては平均して含まれて いる資料につき行った。 叉花粉がひどく損傷を受けており、 鑑定に相当難渋 した。 この花粉の損傷は浮石、 スコリア流の 熱の影響であろうと考えられるが、 或は上流で花粉が熱の影 響を受けそれが再堆積したのかも知れ ない。 花粉 の 耐熱 度 は 筆 者 の 観 察 した 処 で は針 葉 樹 で は Pinus 広 葉 樹 で は Betula Quercus , , Type の Pol l en が 大 であ っ た。 Acer Type の花粉はひどく損傷を受けていた. 。. 花粉図に於て樹種の少ないのはこの熱の影響を或るていど考えられる。 一 般 に 花粉 の 生 産 量 は Pinus>Cory lus〉A1nus> Be tula>Carpinus>Abi es>Pi cea>Fagus> l 1 S b 分散は ex< or us<Acer<Salix<Gramineae<Abies<A1nus<Carpinus<. l i Quercus>Ti a ,. inus<Pt Frax erocarya<Quercus<Corylus<Pinus の順 で あ る。 従 っ て 実 際 は Pinus は 花 粉 図. の示す百分率より少く. は逆に多かったと考えられる。 次に草本頭の花粉が極めて多数に見られることは本層堆積時の疎密の程度を示すものであろう 。 以上の事から火山灰質砂層堆積時の本地域一帯は前述の如く花粉は熱の影響を受けた形跡は認めら れるが、 このことは花粉図を根本的に変革する程の影 響を及ぼしたとは考えられない。 叉第3 図に Quercus. -121一.
(6) . 井. ロ. 休. 夫. 如く浮石、 スコリア流下部の木炭化木片の量は極めて少く且つ小さいので 当時は 気候寒冷 の為草本類を主とし、 はいまつ等の潅木を主 材木としこれに A1nus, Betuia, Quercus 等の広葉樹 を交えた疎材を呈していたと思われる。 8 ) Abi es を以て気候指標樹本とする事は多少の疑義 がある事は既に指摘されているが、・ 当時も現 見らる. cea es と 同 じ種 が自 生 して い た と 考 え ら れ、 本 試 料 に 於 て は Pi 在北海道の平地に自生している Abi i r x es の混清比を示 し且現在本道には自生せず、 南樺太、 南千鳥以北にしか自生しない、 La >Abi こ の花粉を含む事は当時は現在より余程寒冷ではいまつは低位置に迄 生育していたと考えられる。. れを既往の分析結果と比較するに 本道の上部洪積世の炭贋物の分析については羽幌段立層中の亜炭 6 ) 羽幌段丘層と本暦との層位関係はぎ Eかでないが山崎次男に について山崎次男の分析結果がある。 ix et e よ りな よると羽幌段丘層は Picea, Abies, Larix, Pinus, Betula, A1nus, Quercus, Sal り Picea, Betula が最も優勢で Abies がこれにつぐ状態を示している。筆者の今回の分析結果と比 較すると本層中にはいまつの花粉が極めて優勢であり、 且つ広葉樹の花粉 が少く、 草本類の花粉が. 非常に多く見られるので、 羽幌段丘層の堆積時より寒冷であったと思われる。. 約. 要. 1 } 分析資料は層雲峡大雪山国立公園入口 附近の上部洪積世の所産と思われる河成段丘砂隣層中 { の有機質泥を用いた。 2 { ) 分析の方法は HF 法及び HNO; 法 の 両 者 を 用 い た。 0%) 5%) Abi es(11 cea(19 2 1%) で大半を占めついで Pi 5 . . て } 分析の結果 Pinus が最も多く ( 3 . .. ix 9%) の 順 で あ っ l i 3%) Lar 1 6%) Ce t 7%) Quercus (2 s( 3 0%) Be tul A1 . a( , , Acer (0 , nus (8 . . たo. 草本類の花粉 が極めて多く見出 ‘された。 この ことは当時草本を主と した植生、 即ち針葉樹、 広葉樹の疎林を交えた河辺草原の植物景観を呈 していたと考えられる。 花粉 図で特に目だった事は はいまっの花粉が優勢で、 はいまつが相当低位置に迄生育 していたと考えられ、 Larix の存在及び Pi es の含有傾向と併せ考える時当時の気候は現在より寒冷であったと恩 、われる。 cea> Abi 報. 献. 女. len [ores t Tr The di )ol ee s agnoses ofthel .287) ,(東北大学選棒報を告 V 8 91 ) 1~2 V ( 生態学研究 木の標徴 6 1 9 3 森林樹 〃 : . , 、 ) .9 36: 樺太原生林に於ける、 えぞまつ、 とどまつ混靖状態の研究 (京大演習林報告 No 山 崎 次 男、 19 No ▲ 4 ) V.17 』 l i 報告 f l ヒ 大学難癖 キ ー ゴ 0 i h l l l . D t e r l i o a e r o t r c , 1 9 4 3 n a a p g o 村 s cc 純 : a 中 g 、 38, 花粉分析法により推定さる }第三紀未以降の北日本の自然地理的変遷 (日 佐々保雄・山崎次男、19 本学術協会報告 V.13~3) 1: 花粉分析法による南樺太及び北海道の森林 並気候の変遷に関する研究 (京大演習林 6) 山 崎 次 男、195. 1) 2) 3) 4) 5). 神 保 忠 男、 1933:. 報 告 No . 21). 51: 花粉分析による炭田堆 積環境の研究 (新生代の研究 No.13) 7) 徳 永 重 元、19 INQA 日本支部連絡紙 V ded t l . 3: 北日本の We u” とその噴出時代 ( ,4 8) 石川俊夫,湊 正雄、195 No .1). 3: 本邦炭における花粉分析 (地球科学 No.9) 5 9) 徳 永 重 元、19 ニュ←ス lo) 鈴木淑男・北川芳男、i955: , 大雪熔結凝灰岩及び十勝熔結凝灰岩について (日本地震学会支部 Nし .26). ”) 1 2) 1 3) 14) 15). 徳 永 重 元、1955: 55: 井 ロ 体 夫、 19 1 〃 9 、 55: 55: 島倉己三郎、19. 石狩炭田美唄地域主要炭層中の花粉胞子化石に就 いて (新生代研究 No,22) 花粉分析 による野幌層中の頭炭の研究 (北学大紀要 V.6 ,1) , No 北海道第四紀の花粉分析と古気候 (北海道第四紀研究会連絡紙 Nし.3) I Microscopy No.4) 堆積岩の花粉分析法 (Coa. l Wodehouse n U. S en grai , A. , R, P.1935: Pol. 2- -12.
(7) . 層雲峡陸満附近第四紀層之花粉分析 i i l l 16) Brdtman, G.1943 : An introduct en ana ont o pol s ys . U. S. A. l ; l 1 17) Faegri & .Versen,1950: Text Rool en ana (of modern po s ys . Demmak . Abstract i di l beds (Probab Pa 1 l l ・ ls ter p tecene) in t esare・ nade 。n the Ri I ・0logi el a e S L 1 くuman sand grave ca y i i Ri i ー saun 1 1 10 l ー la1 park, Hot ey of. ) ed t o Dai 1 ( 。 sehl nat ( ) t く shikar ch deve G ‘ ver whi ・ ya Va . , Japan. For. 1 i l i t [ thod, Among P 1od and 日N0; mase 1ater sn los 1 1 日F me の皿⑦肢s”hat o【pint at on ofn al veretake ・ si s、 ; me . i ix tul th those Pi es l s n shown Fig,4 a ( ) sed wi cea abundant asi , 麿e , , Quercus , Ab , when comp , Lar , A1mt ix whi Ce i i l i d on 【hefactofthe pre t tent nus and Lar ch does not seen at s on i s pa sence as Pi . At , Acer i s l f h l l l i do S h o l t t a l i 1 n n Qu 1t e n a n a s く er e nm 1 ) o so q ar er口ary Bed are s u o enti n Hokl < a e r o e m s I y y pres p . di ed scuss .. - t23一.
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