• 検索結果がありません。

随意運動の発現と制御を担う大脳皮質の回路機構

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "随意運動の発現と制御を担う大脳皮質の回路機構"

Copied!
50
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成 25 年度

学位論文(博士)

随意運動の発現と制御を担う

大脳皮質の回路機構

平成

26 年 1 月 23 日提出

玉川大学大学院脳情報研究科

脳情報専攻

学籍番号

112715004

齊木愛希子

(2)

目次

1. 序論 ... 1 2. 方法 ... 3 2-1. 動物の準備 ... 3 2-2. 行動課題と訓練 ... 4 2-3. 生理学的記録... 5 2-4. 組織観察 ... 5 2-5. データ解析 ... 6 3. 結果 ... 8 3-1. ラットに前肢運動を効率よく行わせる実験システム ... 8 3-1-1. スパウトレバー操作 ... 8 3-1-2. スパウトレバーを用いた短期間でのオペラント学習の成立 ...10 3-1-3. オペラント学習成立個体における Go/No-go 弁別課題の学習 ...15 3-2. CFA 細胞と RFA 細胞の活動の比較 ...18 3-2-1. 記録部位と行動成績 ...18 3-2-2. CFA 細胞と RFA 細胞の基本発火特性 ...20 3-2-3. CFA 細胞と RFA 細胞の機能的活動 ...23 3-2-4. 内部状態の違いによる機能的活動の修飾 ...27 4. 考察 ...35 4-1. ラットに前肢運動を効率よく行わせる実験系の構築 ...35 4-2. CFA 細胞と RFA 細胞の活動の比較 ...35 4-2-1. CFA 細胞と RFA 細胞の活動の類似性 ...36 4-2-2. CFA 細胞と RFA 細胞の活動の相違点 ...36 4-2-3. RFA と高次脳機能 ...37 5. 結論 ...39 6. 引用文献 ...40 7. 謝辞 ...48

(3)

1

1. 序論

随 意 運 動 の 発 現 と 制 御 に は 大 脳 皮 質 の 運 動 野 が 大 き く 関 わ っ て い る 。 霊

長 類 に お い て は 一 次 運 動 野 (M1: primary motor cortex)、補 足 運 動 野 (SMA: supplementary motor area) (二 次 運 動 野 (M2: secondary motor cortex)と も い う ) 、 運 動 前 野 (PM: premotor cortex) 、 帯 状 皮 質 運 動 野 (CMA: cingulate motor area) と 機 能 的 に 異 な る 運 動 野 が 存 在 し (Picard and Strick 2001)、M1 が 運 動 発 現 そ の も の に 最 も 深 く 関 わ っ て い る (Evarts 1968; Georgopoulos et al. 1982)。 SMA と PM は 運 動 の 準 備 や 実 行 、 順 序 や 抑 制 な ど 、 よ り 広 範 に 機 能 分 化 し た 運 動 機 能 を 担 い (Kalaska and Crammond 1995; Kurata and Tanji 1985; Mushiake et al. 1991; Okano and Tanji 1987; Tanji and Kurata 1985)、 CMA は 動 機 に 基 づ く 運 動 の 選 択 な ど に も 関 わ る (Iso mura et al. 2003; Shima et al. 1991; Shima and Tanji 1998)。

げ っ 歯 類 も 随 意 運 動 を 巧 緻 に 行 う こ と が で き る (Iwaniuk and Whishaw 2000)。 げ っ 歯 類 に は 2 か 所 の 異 な る 運 動 野 (一 次 運 動 野 M1、 二 次 運 動 野 M2) が 同 定 さ れ て い る (Paxino s and Watson, 2007)。そ れ ら の 運 動 野 は 皮 質 内 微 小 電 気 刺 激 (ICMS: intracortical microstimulation) に よ っ て 体 部 位 局 在 が 確 認 さ れ (Ebrahimi et al. 1992; Hira et al. 2013a; Liang et al. 1993; Neafsey et al. 1986; Tennant et al. 2011; VandenBerg et al. 2002)、双 方 向 的 な 結 合 が あ る (Hira et al. 2013b; Rouiller et al. 1993; Wang and Kurata 1998)。ま た 脊 髄 へ の 直 接 投 射 も 両 領 野 に 存 在 す る (Miller 1987; Rouiller et al. 1993)。 そ し て 実 際 に 随 意 運 動 を 行 う 際 に 活 動 す る こ と も 確 認 さ れ て い る (Laubach et al. 2000; Hira et al. 2013a; Hyland 1998)。

そ れ で は 、げ っ 歯 類 の M2 は 霊 長 類 の SMA や PM, CMA の よ う に 異 な る 運 動 機 能 を も つ の だ ろ う か 。い く つ か の 研 究 グ ル ー プ は 無 顆 粒 皮 質 の 外 側 部 位 と 内 側 部 位 (AGl: lateral agranular cortex, AGm: medial agranular cortex) を M1, M2 と み な し て い る 。 そ し て 、 AGm に お い て 基 本 的 な 運 動 機 能 (Brasted et al. 2000; Brown et al. 1991; Smith et al., 2010) だ け で な く 、 条 件 反 応 (Passingham et al. 1998) や 一 連 の 動 作 概 念 (Ostlund et al. 2009)、報 酬 に 基 づ く 行 動 選 択 (Sul et al. 2011) な ど の 高 次 の 認 知 ・ 運 動 機 能 を も つ と い う 報 告 が あ る 。 し か し AGl と AGm は 細 胞 構 築 学 的 に 定 義 さ れ た 広 範 な 部 位 で あ り 、 真 の M1,M2 に は 一 致 し な い (Brecht et al. 2004; Neafsey et al. 1986; Tennant et al. 2011; 考 察 も 参 照 )。そ の た め げ っ 歯 類 の M2 が M1 と 比

(4)

2

べ て よ り 分 化 し た 運 動 機 能 を も つ か ど う か は 未 だ に 不 明 で あ る 。

げ っ 歯 類 に お い て 大 脳 皮 質 の 関 与 が 少 な い (脳 幹 の 中 枢 パ タ ー ン 発 生 器 が 駆 動 す る ) リ ッ キ ン グ (舌 運 動) や ウ ィ ス キ ン グ (ひ げ 運 動) を 調 べ た 研 究 は 近 年 多 く 報 告 さ れ て い る が (例: Komiyama et al. 2010; O’Connor et al. 2010a, b)、 大 脳 皮 質 の 関 与 が 大 き い 前 肢 の 巧 緻 運 動 に つ い て 調 べ た 研 究 は 少 な い (Harvey et al. 2001; Heck et al. 2007; Isomura et al. 2009; 総 説 と し て Schwarz et al. 2010)。そ の 理 由 は 、げ っ 歯 類 が 巧緻 運 動 を で き な い か ら で は な く (Iwaniuk and Whishaw 2000; Whishaw 2005; Whishaw and Pellis 1990)、 げ っ 歯 類 の 巧 緻 運 動 を 実 験 的 に コ ン ト ロ ー ル す る こ と の 難 し さ に よ る も の で あ っ た 。 そ こ で 、ま ず 我 々 は 頭 部 固 定 ラ ッ ト に 前 肢 の 巧 緻 運 動 を 必 要 と す る レ バ ー 押 し 課 題 を 効 率 よ く 学 習 さ せ る た め 、報 酬 (水) を 得 る 飲 み 口 (強 化 子) と レ バ ー (オ ペ ラ ン ダ ム) が 一 体 と な っ た 『 ス パ ウ ト レ バ ー 』 装 置 を 開 発 し た 。次 に 、こ の ス パ ウ ト レ バ ー 装 置 を 用 い て 、M1 と M2 の 中 で も ICMS に よ っ て 前 肢 領 域 だ と 確 認 さ れ た 領 域 (CFA: caudal forelimb area, RFA: rostral forelimb area; Rouiller et al. 1993) に 注 目 し て 電 気 生 理 学 的 な 実 験 を 行 い 、両 領 域 の 基 本 発 火 特 性 や 前 肢 の 巧 緻 運 動 を す る 際 の 機 能 的 活 動 を 定 量 的 に 解 析 し た 。さ ら に 、Go/No-go 弁 別 課 題 を 用 い て 、同 じ 前 肢 運 動 で も 異 な る 行 動 条 件 下 で は 両 領 域 の 神 経 活 動 は ど の よ う な 修 飾 を 受 け る の か を 検 討 し た 。

(5)

3

2. 方法

2-1. 動 物 の 準 備

実 験 は す べ て 玉 川 大 学 動 物 実 験 委 員 会 に て 承 認 さ れ た 実 験 計 画 に 基 づ い て 行 っ た 。 【 使 用 し た 動 物 】 ・ 成 Long-Evans ラ ッ ト (150-250g, ♂ ; 動 物 繁 殖 研 究 所)、62 匹 ・ 成 Wistar ラ ッ ト (150-250g, ♂; 日 本 SLC)、10 匹 【 馴 化 】 ラ ッ ト は 昼 夜 逆 転 の 明 暗 サ イ ク ル (明 :21:00-9:00、 暗 : 9:00-21:00) で 個 別 の ケ ー ジ に 飼 育 し た 。 実 験 に 使 用 す る 前 日 ま で に 10 分 ~15 分 、2 回 の ハ ン ド リ ン グ を 施 し た 。 【 頭 部 固 定 具 取 付 け 手 術 】

2.0 % ~ 2.5 % の イ ソ フ ル ラ ン 麻 酔 下 (Univentor 400 anesthesia unit, Univentor) で ラ ッ ト の 頭 蓋 骨 に 頭 部 固 定 具 (特 注 品 , ナ リ シ ゲ ) を 取 り 付 け た 。 頭 部 固 定 具 の 取 付 け に は 固 定 用 ネ ジ (ス テ ン レ ス 製, M1 規 格, 長 さ 2 mm) と 歯 科 用 レ ジ ン (ス ー パ ー ボ ン ド C & B, サ ン メ デ ィ カ ル ; パ ナ ビ ア F2.0, ク ラ レ ;, ユ ニ フ ァ ス ト II, GC) を 用 い た 。手 術 中 は 動 物 用 体 温 保 持 装 置 (BWT-100, バ イ オ リ サ ー チ セ ン タ ー) で ラ ッ ト の 体 温を 37℃ に 保 っ た 。 小 脳 上 に 参 照 電 極 (テ フ ロ ン コ ー ト 銀 線, A-M Systems; φ180 µm) を埋め 込 ん だ 。 ま た 右 前 肢 の 筋 電 図 の 測 定 す る 場 合 、 ラ ッ ト の 右 前 肢 の 上 腕 二 頭 筋 周 辺 に 2 本 の テ フ ロ ン コ ー ト 銀 線 を捩 じ っ た 電 極 を 埋 め 込 ん だ 。 【 給 水 制 限 】 手 術 か ら 回 復 後 (2-3 日 後)、飼 育 ケ ー ジ に お い て 給 水 制 限 を 施 し、餌 は 自 由 摂 取 と し た 。ラ ッ ト は 続 く 行 動 課 題 の ト レ ー ニ ン グ 時 に 報 酬 と し て 十 分 な 量 の 水 を 得 る が 、 体 重 が 自 由 摂 水 時 の 80 %以 下 とな っ た 場 合 は 寒 天 ブ ロ ッ ク (15ml の 水 を 含 む ) を 与 え た 。

(6)

4

2-2. 行 動 課 題 と 訓 練

頭 部 固 定 し た ラ ッ ト に 、 右 前 肢 で ス パ ウ ト レ バ ー を 操 作 す る こ と で 報 酬 (0.1 %サ ッ カ リ ン 水 ) を 得 る 課 題 を 課 し た (図 3-E 参 照 )。 こ の 課 題 は ラ ッ ト に 手 が か り 刺 激 に 応 じ た レ バ ー の 操 作 を 要 求 す る た め 、以 後 こ の 課 題 を 外 発 性 運 動 課 題 と 称 す る (下 記 詳 細)。ラ ッ ト に 複 数 個 体 用 の 課 題 訓 練 装 置 (特 注 品 , 小 原 医 科 産 業) を 用 い て 1 日 2-5 時 間 、3 日 間 の ト レ ー ニ ン グ を 課 し た 。 【 外 発 性 運 動 課 題 】 課 題 開 始 時 に ス パ ウ ト レ バ ー を ラ ッ ト の 口 元 に 位 置 さ せ た 。そ し て ラ ッ ト が ス パ ウ ト レ バ ー を 自 発 的 に 前 に 押 す こ と で 課 題 を 開 始 さ せ た 。レ バ ー を 一 定 期 間 保 持 す る と (保 持 期 間)、0.3 秒 間 の 手 が か り 刺 激 (10kHz の 純 音) が 提 示 さ れ 、手 が か り 刺 激 提 示 後 5 秒 以 内 に レ バ ー を 引 い て 口 元 の 位 置 に 戻 す と 、 マ イ ク ロ ポ ン プ に よ っ て ス パ ウ ト レ バ ー の 先 端 か ら 5 µl もしくは 10 µl の サ ッ カ リ ン 水 が 供 給 さ れ た (レ バ ー 保 持 位 置, 前 方 か ら 0-3 mm, 口 元 の 位 置 , 前 方 か ら 6-9 mm, 図 2-A と 3-E を 参 照) 。 ラ ット は そ の ま ま ス パ ウ ト レ バ ー の 先 端 を 舐 め 、報 酬 を 得 る こ と が で き る 。ラ ッ ト が レ バ ー を 引 い て か ら マ イ ク ロ ポ ン プ が 動 作 す る ま で に は 0.2 秒 か ら 0.8 秒 の 遅 延 を 設 け 、 遅 延 は 0.1 秒 お き の ラ ン ダ ム と し た 。報 酬 後 に は 0.2 秒 か ら 0.8 秒 の 試 行 間 間 隔 を 設 置 し た 。も し ラ ッ ト が 一 定 期 間 レ バ ー を 保 持 す る こ と が で き な け れ ば 、そ の 試 行 で 報 酬 を 得 る こ と は で き ず 、 続 く 0.2 秒 か ら 0.8 秒 の 試 行 間 間 隔 を 経 た 後 で な け れ ば 次 の 試 行 に 進 め な い よ う に し た 。課 題 訓 練 装 置 で は 保 持 期 間 を 0 秒 か ら 最 終 的 に 1 秒 ま で 段 階 的 に 延 ば し た 。 ラ ッ ト が 外 発 性 運 動 課 題 の 学 習 を 完 了 し て か ら 2 日 後 、単 一 個 体 用 の 行 動 課 題 装 置 に 移 動 さ せ 、 こ こ で 保 持 期 間 1 秒 の 外 発 性 運 動 課 題 、 も し く は Go/No-go 弁 別 課 題 を 課 し て 行 動 ・ 生 理 学 的 実 験 を 行 っ た 。 Go/No-go 弁 別 課 題 で は 、 1 秒 の 保 持 期 間 の 後 、Go 信 号 (10kHz 純 音) も し く は No-Go 信 号 (4kHz 純 音 ) を 偽 ラ ン ダ ム で 提 示 さ せ た 。 Go 信 号 が 提 示 さ れ た 場 合 は 、 Go 信 号 開 始 直 後 か ら Go 信 号 終 了 後 0.2 秒 以 内 に 素 早 く レ バ ー を 引 く と 正 解 と な り 、 No-go 信 号 が 提 示 さ れ た 場 合 は No-go 信 号 提 示 後 も 0.5 秒 以 上 レ バ ー を 保 持 し 続 け る と 正 解 と な っ た (図 8-A を 参 照)。Go 試 行 も No-go 試行 も 、 0.2 秒 か ら 0.8 秒 の 遅 延 後 に 報 酬 と し て 5 µl のサッカリン水を与えた。なお、 オ リ ジ ナ ル (テ ス ト) 試 行 で 正 解 す る こ と が で き な か っ た 場 合 、 正 解 す る ま で 試 行 間 間 隔 後 に 同 じ 試 行 が 繰 り 返 さ れ た (訂 正 試行)。

(7)

5

2-3. 生 理 学 的 記 録

行 動 と 電 気 生 理 実 験 を 行 う た め 、そ の 前 日 に イ ソ フ ル ラ ン 麻 酔 下 で 硬 膜 開 窓 手 術 を 施 し た 。 CFA と RFA の 上 部 の 骨 と 硬 膜 に 穴 (約 φ1 mm) を 空 け 、 歯 科 用 シ リ コ ン (松 風) で 記 録 実 験 ま で 覆 っ て お い た 。CFA と RFA の 座 標 は 表 1 の 通 り で あ り 、こ れ ら は 皮 質 内 微 小 電 気 刺 激 (-50~-100 µA, 100Hz で 50 回 ) に よ って 反 対 側 の 右 肢 の 動 き が 惹 起 さ れ る 領 域 で あ る こ と を 確 か め、決 定 し た 。 表 1 CFA と RFA の 座 標

Area Lateral o f bregma (mm) Anterior of bregma (mm)

CFA 2 . 5 ± 1 . 0 1 . 0 ± 1 . 0 RFA 2 . 4 ± 0 . 1 3 . 5 ± 0 . 1

マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 は Isomura et al. (2009) と 同様 に 行 っ た 。2 シ ャ ン ク も し く は 4 シ ャ ン ク に テ ト ロ ー ド 型 配 列 で 電 極 が 配 置 する 16 チ ャ ン ネ ル シ リ コ ン プ ロ ー ブ (a2x2-tet-3mm150-150-121/312, a4x1-tet-3mm150-121/312, NeuroNexus Techno logies) を 使 用 し た 。 シ リ コ ン プ ロ ー ブ は CFA、 RFA と も に 皮 質 の 表 面 か ら 先 端 が 1250 µm の深さとなるように設置した。信号の増幅 に は 多 チ ャ ン ネ ル ア ン プ を 使 用 し た (MEG-6116, 日 本 光 電 , ま た は FA-32, Mult i Channel Systems, ゲ イ ン , 2000 ま た は 1000; バ ン ド パ ス フ ィ ル タ ー 0.5Hz – 10.0kHz)。

右 肢 の 筋 電 図 の 測 定 に は 汎 用 ア ン プ (EX4-400, Dagan; gain, 1000; band-pass filter 0.3Hz – 10.0kHz) を 使 用 し た 。

2-4. 組 織 観 察

記 録 実 験 後 、 ラ ッ ト 腹 腔 内 に ウ レ タ ン (カ ル バ ミ ド 酸 エ チ ル ) を 十 分 量 (2-3 g/kg) 投 与 し て 麻 酔 し 、 開 胸 し て 心 臓 か ら 生 理 食 塩 水 を 灌 流 し た 。 そ の 後 4% ホ ルム ア ル デ ヒ ド / 0.1 M リ ン 酸 バ ッ フ ァ ー (PB) を 灌 流 し て 固 定 し 、 脳 を 取 り 出 し て 4% ホ ル ム ア ル デ ヒ ド / 0.1 M PB 中 で 一 晩 以 上 後 固 定 し た 。 マ イ ク ロ ス ラ イ サ ー (PRO7, 堂 坂 イ ー エ ム) を 用 いて 50 µm 厚の大脳冠状断 切 片 を 切 り 出 し た 後 、Neutral Red で ニ ッ ス ル 染 色 を 行 い 、シ リ コ ン プ ロ ー ブ の 刺 入 痕 を 顕 微 鏡 (BX51, オ リ ン パ ス) で 観 察 し た 。

(8)

6

2-5. デ ー タ 解 析

マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 デ ー タ を 始 め 、行 動 課 題 の イ ベ ン ト や レ バ ー 、筋 電 図 な ど の す べ て の ト レ ー ス デ ー タ は 20kHz で デ ジ タ ル 化 し 、ハ ー ド デ ィ ス ク レ コ ー ダ ー (LX-120, TEAC) に 記 録 し た 。 マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 デ ー タ か ら 自 動 ス パ イ ク ソ ー テ ィ ン グ・ソ フ ト ウ ェ ア EToS (Takekawa et al., 2010, 2012) を 用 い て ス パ イ ク イ ベ ン ト を 単 離 し た 。 そ の 後 、手 動 ク ラ ス タ リ ン グ・ソ フ ト ウ ェ ア Klusters と NeuroScope (Hazan et al., 2006) を 用 い て 、1 細 胞 由 来 の ス パ イ ク ク ラ ス タ ー と な る よ う に ス パ イ ク ク ラ ス タ ー を 結 合 ・ 分 割 ・ 削 除 し た 。 ス パ イ ク 活 動 、 行 動 成 績 、 筋 電 図 は MATLAB (MathWorks) を 用 い て 解 析 し た 。 総 平 均 発 火 頻 度 は 記 録 開 始 か ら 終 了 ま で の 発 火 頻 度 の 平 均 と し 、ス パ イ ク 持 続 時 間 は ス パ イ ク の 開 始 時 点 か ら 最 初 の 陽 性 ピ ー ク ま で の 値 と し た 。ま た ス パ イ ク 間 隔 の 変 動 係 数 は ス パ イ ク 間 隔 の 平 均 を 標 準 偏 差 で 割 っ た 値 と し た 。 CFA と RFA の 課 題 関 連 活 動 は 以 下 の よ う に 定 義 し た 。 な お 、 ス パ イ ク が 記 録 さ れ て い た 間 の 試 行 数 が 40 試 行以 下 の 細 胞 と 、発 火 数 が 50 発 以 下 の 細 胞 は 解 析 対 象 外 と し た 。 【 課 題 関 連 ・ 非 関 連 細 胞 の 定 義 】 レ バ ー 押 し 終 わ り 位 置 を 始 点 と し て -0.5 秒 か ら +1 秒 の 範 囲 の ス パ イ ク 発 生 時 間 に つ い て 、 も し く は レ バ ー 引 き 始 め 位 置 を 始 点 と し て 始 点 -1 秒 か ら +0.5 秒 の 範 囲 の ス パ イ ク 発 生 時 間 に つ い て 、そ の 累 積 度 数 分 布 が 単 調 増 加 す る 関 数 の 累 積 度 数 分 布 と ど の く ら い 異 な る か を コ ル モ ゴ ロ フ ‐ ス ミ ル ノ フ 検 定 (KS test) で 評 価 し た 。 レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 : レ バ ー 押 し 終 わ り 始 点 の ス パ イ ク 発 生 時 間 の KS test の P値 が 10-6以 下 の 細 胞 レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 : レ バ ー 引 き 始 め 始 点 の ス パ イ ク 発 生 時 間 の KS testのP 値 が 10-6以 下 の 細 胞 課 題 非 関 連 細 胞: レ バ ー 押 し /引 き 始 点 の ス パ イ ク 発 生 時 間 の KS testのP値 が 両 方 と も 10-3以 上 の 細 胞 た だ し 、図 3-B に お い て 定 義 上 レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 と レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 の

(9)

7 両 方 に 該 当 す る 場 合 、 よ り KS test の P 値 が 小 さ い 方 の 関 連 細 胞 と し て 表 示 し た 。 課 題 関 連 細 胞 の 中 で 以 下 の 基 準 を 基 に レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 グ ル ー プ (Push 細 胞 グ ル ー プ )、 レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 グ ル ー プ (Pull 細 胞 グ ル ー プ )、 レ バ ー 保 持 関 連 細 胞 グ ル ー プ (Hold 細 胞 グ ル ー プ) の 3 つに 分 類 し た 。さ ら に レ バ ー 引 き 直 前 に 活 動 が 高 ま る 細 胞 に 関 し て は レ バ ー 引 き 準 備 細 胞 (Pre-pull 細 胞 ) と し て分 類 し た 。 Push 細 胞 グ ル ー プ:レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 の 中 で 、活 動 ピ ー ク が レ バ ー 押 し 終 わ り 地 点 の -250 ms か ら+50 ms と な る 細 胞 Pull 細 胞 グ ル ー プ:レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 の 中 で 、活 動 ピ ー ク が レ バ ー 引 き 始 め 地 点 の -50 ms か ら+250 ms と な る 細 胞 Ho ld 細 胞 グ ル ー プ:レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 の 中 で 、活 動 ピ ー ク が レ バ ー 押 し 終 わ り 地 点 の +200 ms か ら+800 ms と な る 細 胞 と 、Pull 関 連 細 胞 の 中 で 、活 動 ピ ー ク が レ バ ー 引 き 始 め 地 点 の -800 ms か ら -200 ms と な る 細 胞 Pre-pull 細 胞 : レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 の 中 で 、 活 動 ピ ー ク が レ バ ー 引 き 始 め 地 点 の -200 ms か ら-50 ms と な る 細 胞 。Hold 細 胞 グ ル ー プと Pull 細 胞 グ ル ー プ の 中 間 型 。

運 動 方 向 の 選 好 指 数 (Direction preference index; DPI) は 次 の よ う に 定 義 し た 。

DPI = (SRPULL – SRPUSH)/(SRPULL + SRPUSH)

SRPUSH : レバー押し終わり地点の-50 msから+250 msの平均発火頻度

(10)

8

3. 結果

3-1. ラ ッ ト に 前 肢 運 動 を 効 率 よ く 行 わ せ る 実 験 シ ス テ ム

3-1-1. ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 図 1 に 従 来 の レ バ ー と ス パ ウ ト レ バ ー の 違 い を 示 す 。 オ ペ ラ ン ト(道 具 的) 条 件 付 け で は 、被 検 体 は 報 酬 (強 化 子:餌 や 水 な ど) を 得 る た め に 道 具 (オ ペ ラ ン ダ ム : レ バ ー な ど ) を 適 切 に 操 作 す る こ と を 学 習 す る が 、 従 来 の レ バ ー を 用 い た と き の 報 酬 は オ ペ ラ ン ダ ム か ら 離 れ た 場 所 で 与 え ら れ て い た 。 そ の た め 被 検 体 は オ ペ ラ ン ダ ム を 強 化 子 と 連 合 す る の に 長 い 間 試 行 錯 誤 を 繰 り 返 さ な け れ ば な ら な か っ た 。そ こ で 、報 酬 を 道 具 そ の も の か ら 与 え て 、 こ の 連 合 過 程 を 短 縮 す る こ と を 期 待 し た 。 そ し て 報 酬 の 飲 み 口 (ス パ ウ ト) と レ バ ー を 一 体 化 し て 、 ラ ッ ト は 報 酬 を 得 る た め に レ バ ー を 操 作 し 、 そ の ま ま レ バ ー を 舐 め る こ と で 報 酬 が 得 ら れ る ス パ ウ ト レ バ ー を 開 発 し た 。 図 1 ス パ ウ ト レ バ ー 従 来 の レ バ ー (左) と ス パ ウ ト レ バ ー (右) の 概 念図 。 レ バ ー (オ ペ ラ ン ダ ム ; 赤) と 報 酬 の ス パ ウ ト (飲 み 口) (強 化 子 ; 青) を 1 つ の ス パ ウ ト レ バ ー に 組 み 合 わ せ た 。

(11)

9 こ の ス パ ウ ト レ バ ー を 頭 部 固 定 状 態 の ラ ッ ト に 用 い た (図 2-A)。 ス パ ウ ト レ バ ー 部 (図 2-B) を 当 研 究 室 で 用 い て い る 脳 定 位 固 定 装 置 (Isomura et al. 2009) と 組 み 合 わ せ 、頭 部 固 定 具 (図 2-C) は 頭 部 固 定 具 保 持 器 (図 2-D) に ス ム ー ズ に ス ラ イ ド し て 入 る よ う に し た 。 こ の ス ム ー ズ な 固 定 に よ っ て 頭 部 固 定 状 態 に お け る ラ ッ ト の 恐 怖 や ス ト レ ス を 減 ら し た 。 ス パ ウ ト レ バ ー 部 は ス パ ウ ト レ バ ー と ア ン グ ル エ ン コ ー ダ ー 、 ス ト ッ パ ー 、 反 発 磁 石 、 そ し て マ イ ク ロ ポ ン プ と シ リ コ ン チ ュ ー ブ か ら な る (図 2-B,E)。 身 体 保 持 器 と ア ー ム レ ス ト (図 2-E) も ま た 、ラ ッ ト が 頭 部 固 定 状 態 で も リ ラ ッ ク ス で き る よ う に 設 置 し た 。 図 2 脳 定 位 固 定 装 置 に 取 り 付 け た ス パ ウ ト レ バ ー A: 頭 部 固 定 ラ ッ ト が ス パ ウ ト レ バ ー を 操 作 す る 概 念 図 。 B: ス パ ウ ト レ バ ー 部 。水 (報 酬 ) は ス パ ウ ト レ バ ー (*) の 先 端 か ら 出 る (挿 入 図 )。 C: 頭 部 固 定 具 (ア ル ミ 製 、 13g, 再 利 用 可 )。 D: 脳 定 位 固 定 装 置 に 取 り 付 け た 頭 部 固 定 具 保 持 器 。 ラ ッ ト の 頭 部 を 定 位 固 定 す る に は 1)頭 部 固 定 具 を 頭 部 固 定 具 保 持 器 に ス ラ イ ド し て 入 れ 、2)ネ ジ 止 め す る だ け で あ る 。 E: ス パ ウ ト レ バ ー 部 と 脳 定 位 固 定 装 置 の 空 間 配 置 。 ス パ ウ ト レ バ ー は ラ ッ ト が 右 前 肢 を 使 っ た 運 動 に よ っ て 、 中 間 点 よ り 前 (押 す) も し く は 後 ろ (引 く ) に 水 平に 動 く 。

(12)

10 3-1-2. ス パ ウ ト レ バ ー を 用 い た 短 期 間 で の オ ペ ラ ン ト 学 習 の 成 立 ラ ッ ト が 単 純 な レ バ ー 操 作 を ど の く ら い 効 率 よ く 学 習 で き る か を 調 べ た 。ラ ッ ト は 実 験 者 の 手 で ハ ン ド リ ン グ を 施 し (図 3-A)、イ ソ フ ル ラ ン 麻 酔 下 で 頭 部 固 定 具 を 定 位 的 に 頭 蓋 骨 へ 取 り 付 け る 手 術 を 行 っ た 。手 術 か ら 回 復 後 (図 3-B)、ラ ッ ト に給 水 制 限 を 施 し 、複 数 個 体 用 の 課 題 訓 練 装 置 を 用 い て 自 動 的 に 課 題 を 訓 練 さ せ た (図 3-C)。こ の 課 題 訓 練 装 置 は コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム で 制 御 し (図 3-D)、複 数 の 頭 部 固 定 ラ ッ ト に つ い て 同 時 か つ そ れ ぞ れ 独 立 し て ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 を 学 習 さ せ た 。ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 は 自 動 で 段 階 的 に 完 成 形 に 近 づ け る よ う に 学 習 さ せ た (下 記 参 照)。な お 、 ラ ッ ト を 実 験 装 置 に 慣 れ さ せ る 予 備 訓 練 や 鎮 静 剤 な ど の 使 用 は 一 切 行 わ な か っ た 。 初 め に 、課 題 訓 練 装 置 で 頭 部 固 定 ラ ッ ト に 外 発 性 運 動 課 題 を 学 習 さ せ た (図 3-E)。 こ の 課 題 で は 、 ラ ッ ト が 試 行 間 間 隔 後 に ス パ ウ ト レ バ ー を 自 発 的 に 右 前 肢 で 押 す こ と で 課 題 が 開 始 す る 。 一 定 時 間 レ バ ー を 保 持 す る と 、 手 が か り 刺 激 音 が 提 示 さ れ る 。提 示 後 す ぐ に ス パ ウ ト レ バ ー を 引 く と 、ラ ッ ト は ス パ ウ ト レ バ ー の 先 端 か ら 出 て く る 報 酬 の サ ッ カ リ ン 水 を 舐 め る こ と が で き る 。つ ま り こ の 課 題 で は 、ラ ッ ト は 報 酬 を 得 る た め に 手 が か り 刺 激 へ の 応 答 と し て 、ス パ ウ ト レ バ ー を 引 く こ と だ け が 要 求 さ れ た 。す な わ ち 、課 題 中 の 運 動 は 、レ バ ー を 掴 む 、押 す 、保 持 す る 、引 く と い う 一 連 の 動 き か ら な る 前 肢 の 巧 緻 運 動 で あ る と い え る 。特 に こ の 課 題 で は 、単 純 な レ バ ー 押 し 課 題 や 到 達 運 動 課 題 と 違 い 、保 持 と い う 動 き が 必 要 と さ れ た 。 そ し て 課 題 訓 練 を よ り 効 率 化 さ せ る た め 、保 持 期 間 (手 が か り 刺 激 が 提 示 さ れ る ま で の 時 間 ) は 3 日 間 に わ た っ て 自 動 で 段 階 的 に 延 長 さ れ る よ う に し た (図 3-F)。

(13)

11 図 3 ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 の 基 本 的 な 訓 練 課 程 A: 手 術 前 に 行 う 実 験 者 へ の 馴 化 。 B: 頭 部 固 定 具 取 付 け 手 術 後 の 回 復 。 C: 複 数 個 体 用 の 課 題 訓 練 装 置 。 頭 部 固 定 状 態 の ラ ッ ト に ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 を 4 匹 同 時 に 、 個 別 に 学 習 さ せ る こと が で き る 。 D: 課 題 訓 練 ス ケ ジ ュ ー ル を 制 御 す る コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム 。 複 数 の 個 体 を 同 時 か つ 独 立 し て 課 題 を 行 わ せ る 。 E: 外 発 性 運 動 課 題 。 頭 部 固 定 ラ ッ ト が 右 前 肢 で ス パ ウ ト レ バ ー を 押 す と 試 行 が 開 始 す る 。一 定 時 間 レ バ ー を 保 持 す る と 手 が か り 刺 激 が 提 示 さ れ 、す ぐ に レ バ ー を 引 い て ス パ ウ ト レ バ ー の 先 端 か ら 出 る サ ッ カ リ ン 水 を 舐 め る こ と で 報 酬 を 得 る 。 F: 外 発 性 運 動 課 題 の オ ペ ラ ン ト 学 習 の た め の 訓 練 ス ケ ジ ュ ー ル 。 レ バ ー 保 持 期 間 (緑) は 自 動 で 段 階 的 に 延 ば さ れ て い き 、3 日 目 ま で に 最 終 的 に 1 秒 と な る 。 報 酬 は 0.2-0.8 秒 の ラ ン ダ ム な 時 間 の 遅 延 後 に 与 え ら れ る 。

(14)

12 課 題 訓 練 の 初 め か ら 、ラ ッ ト は も が く こ と な く 、頭 部 固 定 装 置 に 素 早 く 順 応 し た 。ま た ラ ッ ト は 好 奇 心 か ら ス パ ウ ト レ バ ー を 頻 繁 に 舐 め た り 、右 前 肢 で 押 し た り 引 い た り し た (図 4-A)。ラ ッ ト は 訓 練 1 日 目 の 初 め で は ス パ ウ ト レ バ ー を ぎ こ ち な く 動 か す が 、 訓 練 3 日 目 に は 巧 み に 操 作 す る よ う に な り 、 押 す・保 持・引 く・舐 め る と い う 一 連 の 動 作 を ス ム ー ズ に 行 っ た (図 4-A, B)。 ま た 、ラ ッ ト は ス パ ウ ト レ バ ー を 舐 め よ う と す る た め 、ほ と ん ど レ バ ー を 手 放 さ な か っ た 。も し レ バ ー を 手 放 し た 場 合 は 、レ バ ー 軌 跡 が 減 衰 振 動 を み せ た (図 4-B 挿 入 図)。 各 試 行 の 実 際の Hold 時 間 (レ バ ー 押 し 終 わ り か ら 引 き 始 め ま で の 時 間 ) の 分 布 か ら 、ラ ッ ト が 訓 練 1 日 目 か ら 手 が か り 刺 激 の 反 応 と し て ス パ ウ ト レ バ ー を 引 い て い た (図 4-C, *印)。そ し て 、そ の傾 向 は そ の 後 2 日 の 訓 練 で よ り 顕 著 にな っ た (図 4-C)。 課 題 訓 練 の 解 析 は 計 25 匹 の ラ ッ ト に つ い て 行 っ た 。手 術 中 に 死 亡 し た 1 匹 と 、筋 電 図 を 正 し く 設 置 で き な か っ た た め に 前 肢 の 動 き が 制 限 さ れ た 1 匹 に つ い て は 解 析 に 用 い な か っ た 。 す べ て (25 匹) の ラ ッ ト が 3 日 間 の 訓 練 で 外 発 性 運 動 課 題 を 学 習 し た (図 4-D; 120 分 間 の 正 解 試 行 数 : 571±150 (1 日 目 ), 751±214 (2 日 目 ), 814±202 (3 日 目 ), N=25)。 そ し て 課 題 を し な い 個 体 は 現 れ な か っ た (図 4-D)。 ま た 訓 練 最 終 日 に お け る Hold 時 間 の 分 布 ヒ ス ト グ ラ ム で は 、 手 が か り 刺 激 の 提 示 直 後 に 単 一 の ピ ー ク が み ら れ た (図 4-E; ピ ー ク 位 置 : 手 が か り 刺 激 提 示 か ら 172±63 ms, N=25)。さ ら に 、報 酬 が 得 ら れ な く な る と ラ ッ ト は す ぐ に 課 題 を 遂 行 し な く な る こ と か ら 、ラ ッ ト の 行 動 は オ ペ ラ ン ト 学 習 過 程 に 基 づ い て お り 、反 射 や 習 慣 的 な 反 応 で は な い と い え た 。以 上 の こ と か ら 、頭 部 固 定 ラ ッ ト に 数 週 間 か ら 数 か 月 か け て 手 が か り 刺 激 に よ る 操 作 を 学 習 さ せ て い た 、従 来 の レ バ ー を 用 い た 研 究 (総 説 と し て Schwarz et al. 2010) よ り も 、ス パ ウ ト レ バ ー は 早 く (1-3 日)、 そ し て 効 率 よ く (ほぼ 100 %) 学習 さ せ る こ と が で き た と い え る 。

(15)

13 図 4 ス パ ウ ト レ バ ー 操 作 の 速 や か な 学 習 A: ス パ ウ ト レ バ ー を 前 肢 で 掴 む 頭 部 固 定 ラ ッ ト 。 ス パ ウ ト レ バ ー を 保 持 し (左 )、 そ し て 報 酬 を 舐 め る た め に 自 然 に レ バ ー を 引 く (右 )。 B: ラ ッ ト 訓 練 1 日 目 、2 日 目 、3 日 目 に お け る レ バ ー 軌 跡 。押 す 、保 持 、引 く 、 舐 め る と い う 一 連 の 動 き は 3 日 目ま で に 安 定 し て 繰 り 返 す よ う に な る 。 挿 入 図 : ス パ ウ ト レ バ ー を 引い た と き (左) と 、手放 し た と き (右) の レ バー の 軌 跡 。 C: 訓 練 3 日 間 に お け る 保 持 時 間 (レ バ ー 押 し 終 わ り か ら 引 き 始 め ま で の 時 間 ) の 各 試行 の 分 布 。赤: 正 解 試 行 、灰: 不 正 解 試 行 、緑線: 手 が か り 刺 激 の 提 示 開 始 時 間 。提 示 開 始 時 間 は 図 3-F の ス ケ ジ ュ ー ル に 従 っ て 延 長 さ れ て い

(16)

14 く 。時 間 が 延 長 さ れ る と 、ラ ッ ト は 訓 練 1 日 目 か ら す ぐ に そ れ に 適 応 し て レ バ ー を 引 く よ う に な る (*)。 D: 25 匹 の ラ ッ ト の 訓 練 3 日 間 に お け る 課 題 遂 行 数 の 時 間 経 過 。 灰 : 個 々 の ラ ッ ト の 正 解 試 行 数 の 時 間 経 過 に よ る 累 積 。 赤 : 全 個 体 の 平 均 と 標 準 偏 差 。 E: 訓 練 最 終 日 の 後 半 400 試 行 に お け る レ バ ー 保 持 時 間 の 平 均 ヒ ス ト グ ラ ム 。 赤 : 正 解 試 行 、 灰: 不 正 解 試 行 (N = 25, 平 均 と 標 準 偏 差)。

(17)

15 3-1-3. オ ペ ラ ン ト 学 習 成 立 個 体 に お け る Go/No-go 弁 別 課 題 の 学 習 Go/No-go 弁 別 課 題 は 脳 機 能 に お け る 随 意 運 動 の 意 図 的 な 抑 制 を 初 め 、 知 覚 の 弁 別 や 意 思 決 定 、衝 動 性 な ど を 調 べ る の に 用 い ら れ る 。し か し 従 来 、 頭 部 固 定 ラ ッ ト に 前 肢 の 巧 緻 運 動 で Go/No-go 課題 を 学 習 さ せ る こ と は 非 常 に 難 し い と さ れ て き た 。そ の た め 、我 々 は 予 め 頭 部 固 定 ラ ッ ト に 前 肢 で の 外 発 性 運 動 課 題 (つ ま り Go 応 答) を 学 習 さ せ て お き 、そ の 個 体 が No-go 応 答 を ど の く ら い 学 習 で き る か を 検 討 し た 。

Go/No-go 弁 別 課 題 (図 5-A) に お い て 、Go 試 行 で は 外 発 性 運 動 課 題 と 同 様 に 、高 音 の 手 が か り 刺 激 (10kHz 音 、Go 信 号) 提 示 後、素 早 く レ バ ー を 引 か せ た (図 3-5)。 一 方 、No-go 試 行 で は 低 音 の 手 が か り 刺 激 (4kHz 音 、 No-go 信 号 ) が 提 示 さ れ 、 提 示 か ら 少 な く と も 0.8 秒 間 、 ス パ ウ ト レ バ ー を 保 持 し 続 け さ せ た 。 Go も し く は No-go 試行 を 成 功 す る と 、 両 試 行 で同 じ 量 の 報 酬 が 与 え ら れ た 。 こ の よ う に 同 じ オ ペ ラ ン ト 条 件 で Go と No-go の 行 動 を 比 較 し た 。Go と No-go 試 行 は ラ ン ダ ム に 提 示 さ れ た が (テ ス ト 試 行 ) 、 試 行 を 弁 別 で き ず に 失 敗 し た 場 合 、 成 功 す る ま で 同 じ 試 行 が 繰 り 返 さ れ た (訂正 試 行)。 代 表 的 な 頭 部 固 定 ラ ッ ト の Go/No-go 弁 別 課 題 の 行 動 で は、Go 試行 に お い て は Go 信 号 の 提 示 後 、 そ し て No-go 試 行 に お い て は 報 酬 が 供 給 さ れ る と 、 即 座 に ス パ ウ ト レ バ ー を 引 い て 舐 め た (図 5-B)。 右 前 肢 の 筋 活 動 は Go 試 行 、No-go 試 行 に 関 わ ら ず レ バ ー を 押 す・引 く と き に 常 に 強 く 活 動 す る の に 対 し 、 No-go 信号 提 示 後 の レ バ ー 保 持 延 長 期 間 に お い て 過 剰 に 活 動 す る こ と は な か っ た (図 5-C)。 そ し て 、 観 察 し た 約 半 数 の ラ ッ ト (4/7 匹) が 、 No-go 学 習 を 始 め た 初日 の 計 1-6 時 間 に 訂 正 試 行 を 繰 り 返 す う ち に 正 し い No-go 応 答 を 学 習 し た (図 5-D, E; 180 分 間 に お け る 成 功 数 1,415±468 回 )。Go 信号 か ら レ バ ー を 引 く ま で の 時 間 は 170±22 ms で あ り 、No-go 信 号 か ら レ バ ー を 引 く ま で の 時 間 は 、報 酬 獲 得 ま で に 遅 延 が あ る た め 810 か ら 1960 ms の 幅 が あ っ た (図 5-F)。 こ れ ら の ラ ッ ト は Go 試 行 で は 課題 開 始 か ら 50%以 上 の 正 解 率 を 保 ち (図 5-G, H; テ ス ト 試 行 の み に つ い て 、 前 半 100 試 行 が 76.7±14.8%, N=4, P < 0.04 (t-test); 後 半 100 試 行 が 75.7± 4.6%, P < 0.002)。 一 方 、 No-go 試 行 の 正 解 率 は 、 課 題 開 始 直 後 は チ ャ ン ス レ ベ ル と 同 等 で あ っ た が 、試 行 を 経 る に つ れ 有 意 に 正 解 を 選 択 す る レ ベ ル と な っ た (図 5-G, H; 初回 100 試 行 が 59.7±9.1%, P < 0.1; 最終 100 試 行 が 83.5±13.3%, P < 0.02)。

(18)

16 図 5 Go/No-go 弁 別 課 題 の 学 習 A: Go/No-go 弁 別 課 題 。 予 め Go 課 題 を 学 習 し た ラ ッ ト に 新 規 の 手 掛 か り 刺 激 を 提 示 し 、 No-go 応答 を 学 習 さ せ た 。 Go 試 行 と No-go 試 行 は 偽 ラン ダ ム に 提 示 し た 。 B: Go/No-go 弁 別 課 題 を 行 う ラ ッ ト の 様 子 。 C: 課 題 遂 行 中 の 右 前 肢 の 筋 電 図 活 動 。Go 試 行 で も No-go 試 行 で も 、レ バ ー 押 し も し く は レ バ ー 引 き の 際 に 活 動 が 上 昇 す る 。 D: Go 試 行 (左 ) も し く は No-go 試 行 (右 ) の レ バ ー 保 持 時 間 の 分 布 。赤 : Go の テ ス ト 試 行 、ピ ン ク : Go の 訂 正 試 行 、青: No-go のテ ス ト 試 行 、水 色: No-go の 訂 正 試 行 、 薄 灰 色 : 手 が かり 刺 激 提 示 前 の 不 正 解 試 行 、 濃 灰 色: 手が か り

(19)

17

刺 激 提 示 後 の 不 正 解 試 行 、 緑 ・ オ レ ン ジ : Go 信 号・No-go 信 号 提 示 時 間 。挿 入 図 a-d: 前 半 400 試 行 (a,c) と 後 半 400 試 行 (b,d) の hold 時 間 分 布 (色 は 前 述 の と お り )。No-go 試 行 に お け る 手 が か り 刺 激 提 示 後 の 不 正 解 試 行 (c, 濃 灰 色 ) は 学習 と と も に 減 少 す る (d, *)。 E: 学 習 し た 4 匹 の ラ ッ ト の 課 題 遂 行 の 時 間 経 過 。 灰 色 : 個 別 の ラ ッ ト の Go と No-go を 合 わ せた 累 積 正 解 試 行 数 。 赤 : 平 均 と 標 準 偏 差 。 F: 後 半 400 試 行 に お け る レ バ ー 保 持 時 間 の 平 均 ヒ ス ト グ ラ ム と 標 準 偏 差 (赤 : 正 解 Go 試 行 、 青 : 正 解 No-go 試 行 、 灰 色 : 不 正 解 試 行 。 N = 4、 平 均 と 標 準 偏 差 )。 G: 4 匹 の ラ ッ ト の Go (左 ) ま た は No-go (右 ) 試 行 の 正 解 率 の 推 移 。 灰 色 : 個 々 の ラ ッ ト の 100 試 行 毎 の 正 解 率 (訂 正 試 行 を 含 む)。赤・青: 平 均 と 標 準 偏 差 。 H: 4 匹 の ラ ッ ト の No-go 学 習 の ま と め 。前 半 100 試 行 の 正 解 率 と 後 半 100 試 行 の 正 解 率 を 示 す 。赤・青 は テ ス ト 試 行 の み の 正 解 率 、薄 赤・薄 青 は テ ス ト 試 行 と 訂 正 試 行 を 合 わ せ た 正 解 率 。 *は チ ャ ン ス レ ベ ル よ り 有 意 に 高 い こ と を 示 す 。

(20)

18

3-2. CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 活 動 の 比 較

ス パ ウ ト レ バ ー 装 置 を 用 い て 効 率 的 な 外 発 性 運 動 課 題 の 訓 練 を 行 っ た ラ ッ ト を 用 い て 、 前 肢 運 動 を 行 う 際 の CFA と RFA の 神 経 細 胞 の 発 火 活 動 を 比 較 し た 。ま た Go/No-go 弁 別 課 題 を 行 う 際 の 活 動 に つ い て も 比 較 し た。な お 、 こ こ で は 運 動 発 現 と 神 経 活 動 の 関 連 性 に 注 目 す る た め 、課 題 成 功 率 に 関 わ ら ず レ バ ー を 操 作 し た す べ て の 個 体 に つ い て 解 析 し た (CFA: 31 匹 分, RFA: 26 匹 分 )。 3-2-1. 記 録 部 位 と 行 動 成 績 タ ス ク 遂 行 中 の ラ ッ ト の CFA と RFA の 第 5 層 か ら マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 を 行 っ た 。記 録 後 に ラ ッ ト を 灌 流 固 定 し 、脳 標 本 を ニ ッ ス ル 染 色 す る こ と で 電 極 の 刺 入 部 位 を 確 か め た (図 6-A, 右 上)。初 め に 外 発 性 運 動 課 題 に つ い て 解 析 を 行 っ た 。こ の 課 題 で は 、前 述 の よ う に ラ ッ ト が 右 前 肢 で レ バ ー を 押 し て か ら 1 秒 間 保 持 す る と 手 が か り 刺 激が 提 示 さ れ る 。手 が か り 刺 激 の 後 に レ バ ー を 引 く と 報 酬 と し て レ バ ー の 先 端 か ら 水 滴 が 出 る 。レ バ ー を 引 い た 位 置 が ラ ッ ト の 口 元 と な る た め 、ラ ッ ト は そ の ま ま レ バ ー を 舐 め る こ と で 報 酬 を 得 る 。ま た 、レ バ ー を 1 秒 間 保 持 でき ず 、手 が か り 刺 激 提 示 前 に レ バ ー を 引 く と 不 正 解 と な り 、 報 酬 は 得 ら れ な い (図 6-A)。 ラ ッ ト が レ バ ー を 押 し 引 き し て い る と き の 右 前 肢 の 筋 電 図 を 記 録 し 、右 前 肢 の 動 き を 確 か め た 。ラ ッ ト が レ バ ー を 押 す 、ま た は 引 く と き に 筋 電 図 の 活 動 が 高 ま る こ と か ら 、右 前 肢 の 筋 肉 を 使 っ て レ バ ー を 押 し 引 き し て い る こ と が 明 ら か で あ る (図 6-B)。ラッ ト の 行 動 成 績 に つ い て は、レ バ ー 保 持 時 間 の 全 個 体 の ヒ ス ト グ ラ ム の ピ ー ク の 最 頻 値 は 1.22 秒 (1.14 秒 ~1.95 秒) で あ っ た (図 6-C 下)。な お、実 験 に は 計 37 匹 の ラ ッ ト を 主 に 3 日 間 訓 練 し、そ の う ち 訓 練 中 に 頭 部 固 定 具 が 外 れ た 1 個 体 を 除 く 36 匹 の ラ ッ ト に つ い て 行 動 と 電 気 生 理 学 的 解 析 に 用 い た 。同 じ ラ ッ ト で 複 数 回 行 動 を 記 録 し た た め 、記 録 実 験 数 は 計 63 回 で あ っ た 。

(21)

19

図 6 電 極 刺 入 部 位 と 行 動 成 績

A: 外 発 性 運 動 課 題 と 2 か 所 の 記 録 部 位 。 マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 活 動 は 課 題 遂 行 中 ラ ッ ト の 運 動 野 の CFA (caudal forelimb area) と RFA (rostral forelimb area) か ら 記 録 し た 。 右 上 : ニ ッ スル 染 色 を 行 っ た 脳 切 片 の 電 極 痕 (矢 頭: 大 脳 皮 質 第 5 層)。 B: レ バ ー 軌 跡 と 右 前 肢 の 筋 電 図 活 動 。上 : 数 試 行 の レ バ ー 軌 跡 と 筋 電 図 ト レ ー ス 。 下 : 押 し 終 わ り も し くは 引 き 始 め で 揃 え た 平 均 筋 電 図 活 動 。 C: 行 動 成 績 。 上 : 手 が か り 刺 激 提 示 か ら レ バ ー を 引 く ま で の レ バ ー 保 持 時 間 の 1 個 体 に お け る 代 表 例 。 黒: 正 解 試 行 。 灰: 不 正 解 試 行 。 下: す べ て の ラ ッ ト の レ バ ー 保 持 時 間 の ピ ー ク 分 布 。

(22)

20 3-2-2. CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 基 本 発 火 特 性 課 題 遂 行 中 の ラ ッ ト か ら の マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 に よ っ て 得 ら れ た ユ ニ ッ ト 活 動 (ス パ イ ク) を ス パ イ ク・ソ ー テ ィ ン グ し 、CFA か ら 1350 個 、RFA か ら 919 個 の 細 胞 細 動 を 得 た 。 そ れ ら を さ ら に ス パ イ ク 持 続 時 間 に 基 づ き 、 主 に 興 奮 性 の 錐 体 細 胞 と 考 え ら れ て い る RS 細 胞 と 、 主 に 抑 制 性の 細 胞 と 考 え ら れ て い る FS 細 胞 に 分 類 した (図 7-A; ス パ イ ク 持 続 時 間 0.5 ms 以 下 を FS 細 胞 、そ れ 以 外 を RS 細 胞 と し た )。RS 細 胞 の 総 平 均 発 火 頻 度 は RFA よ り も CFA の ほ う が 若 干 高 か っ た (CFA: 2.1±3.5 Hz (n = 1214), RFA: 1.7±2.6 Hz (n = 861), P < 0.001, t-test)。 FS 細 胞 の 総 平 均 発 火 頻 度 は CFA と RFA で 違 い は な か っ た (CFA: 8.3±12 Hz (n = 136), RFA: 7.0±9.9 Hz (n = 58), P > 0.4, ,

t-test)。 ま た 、 ス パ イ ク 間 隔 の 変 動 係 数 (CV) を CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 比

較 し た (図 7-B)。RS 細 胞 で は RFA 細 胞 よ り も CFA 細 胞 の 方 が 弱 い な が ら も 有 意 に 小 さ か っ た が (P < 0.001, KS test)、 FS 細 胞 で は CFA 細 胞と RFA 細 胞 に 違 い は な か っ た (P > 0.9, KS test)。 さ ら に 、 ACG (auto-correlogram) に み ら れ る 発 火 の 時 間 特 性 を CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 比 較 し た (図 7-C)。0 か ら 100 ms の ACG の 中 央 値 (ACG バ イ ア ス ) の 分 布 を 比 較 し た が 、RS 細 胞 、FS 細 胞 ど ち ら に お い て も CFA 細 胞 と RFA 細 胞 に 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た (RS: P > 0.3, FS: P > 0.07, KS test)。以 上 の こ と か ら 、基 本 発 火 特 性 は CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 大 き な 差 は な い と 考 え ら れ る 。

(23)

21 図 7 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 基 本 発 火 特 性 A: 単 離 ユ ニ ッ ト の RS (regular-spiking) 細 胞 と FS (fast-spiking) 細 胞 へ の 分 類 (CFA: オ レ ン ジ, RFA: 緑 ; RS 細胞: ス パ イ ク 持 続 時 間 > 0.5 ms, 淡 色, FS 細 胞 : ≤ 0.5 ms, 濃色)。上: 個々の細胞の平均発火頻度とスパイク持続時間。 下: スパイク持続時間の二峰性分布。挿入図: 2 つの細胞サブタイプにおける

(24)

22

典 型 的 な ス パ イ ク 波 形 (平均と標準偏差; スケール: 1 ms, 0.1 mV)。スパイ ク 持 続 時 間 を 灰 色 線 で 示 す 。

B: CFA 細胞と RFA 細胞のスパイク間隔の変動係数 (CV: coefficient of variation) 分布ヒストグラム。淡色: RS 細胞, 濃色: FS 細胞。

C: CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の CV 累 積 度 数 分 布 。 RS 細 胞 は CFA よ り も RFA の 方 が 有 意 に 大 き い 値 を 示 す 。

D: CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の ACG (auto-correlogram) 上 の 時 間 特 性 。 ACG の 0 か ら +100 ms の 中 央 値 を ACG バ イ ア ス と 定 義 し た (挿 入 図 の 赤 線)。RS 細 胞 (淡 色 ) と FS 細 胞 (濃 色 ) の ACG バ イ ア ス の 分 布 を 示 す 。

E: CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の ACG バ イ ア ス の 累 積 度 数 分 布 。 RS 細 胞 に お い て も FS 細胞 に お い て も CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 間 で 有 意 な 差 は な か っ た 。

(25)

23 3-2-3. CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 機 能 的 活 動 次 に 、 頭 部 固 定 ラ ッ ト の 課 題 遂 行 中 に お け る 細 胞 活 動 に つ い て CFA 細 胞 、 RFA 細 胞 を 比 較 し た 。 【 時 間 的 経 過 】 CFA、RFA 両 領 域 に お い て 、レ バ ー の 押 し 引 き に 従 っ て 活 動 す る 細 胞 が 多 数 観 察 さ れ た 。例 え ば 、図 8-A に 示 す よ う に レ バ ー を 引 く と き に 活 動 す る 細 胞 は 、 手 が か り 刺 激 の 提 示 前 に レ バ ー を 引 く と き (不 正 解 試 行) に も 活 動 す る こ と か ら 、外 的 刺 激 で は な く 前 肢 の 動 き そ の も の に 関 連 し て 活 動 し て い る こ と を 示 し て い る (図 8-A) 。 そ し て レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 と レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 の 活 動 の 最 も 高 い 時 間 (活 動 ピ ー ク の 時 間) の 分 布 を CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 比 較 し た と こ ろ、FS 細 胞 、RS 細 胞 と も に 時 間的 経 過 の 分 布 に 違 い は な か っ た (レ バ ー 押 し 関 連 RS 細 胞 ; P > 0.8 , レバ ー 引 き 関 連 RS 細 胞 ; P > 0.5, レ バ ー 押 し 関 連 FS 細 胞 ; P > 0.6, レ バ ー 引 き 関 連 FS 細 胞 ; P > 0.4, KS test) (図 8-B, C) 。

(26)

24 図 8 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 機 能 的 活 動 の 時 間 経 過 A: 機 能 的 課 題 関 連 活 動 を 示 す 細 胞 の 例 。 正 解 試 行 (左 ) と 不 正 解 試 行 (右 ) に お け る レ バ ー 引 き 運 動 の 開 始 点 で 揃 え た ス パ イ ク 活 動 。ラ ス タ ー プ ロ ッ ト の 赤 と 黒 の 点 は そ れ ぞ れ 連 続 20 試 行に お け る ス パ イ ク と 手 が か り 刺 激 の 発 生 時 刻 を 示 す 。 手 が か り 刺 激 の 有 無 に 関 わ ら ず 機 能 的 活 動 が み ら れ た 。 B, C: CFA と RFA の RS 細 胞 (B) と FS 細 胞 (C) の 機 能 的 活 動 。そ れ ぞ れ の 横 線 は ガ ウ シ ア ン フ ィ ル タ ー 処 理 し て 正 規 化 し た 1 つ の 細 胞 活 動 を 示 す 。a: レ バ ー 押 し 終 了 時 点 で 揃 え た レ バ ー 押 し 関 連 細 胞 の 活 動 。 b: レ バ ー引 き 開 始 時 点 で 揃 え た レ バ ー 引 き 関 連 細 胞 の 活 動 。 a,b の 課題 関 連 細 胞 は 活 動 の ピ ー ク 時 間 順 で 並 べ た 。c: 課題 非 関 連 細 胞 。Push, Hold, Pull 細 胞 グ ル ー プ の 位 置 を 右 に 示 し た 。

(27)

25 【 方 向 選 好 性 】 RS 細 胞 と FS 細胞 の レ バ ー 押 し 、も し く は レ バ ー 引 き の 際 に 活 動 す る 細 胞 が 、そ れ ぞ れ レ バ ー 引 き 、も し く は レ バ ー 押 し の 際 に ど の よ う に 活 動 し て い る か を 調 べ る こ と で 、細 胞 の 運 動 方 向 の 選 好 性 を 調 べ た 。Push 細 胞 グ ル ー プ の 中 に は 、レ バ ー 引 き の 際 に も 活 動 す る 細 胞 や 、逆 に レ バ ー 引 き の 際 に 活 動 し な い 細 胞 が FS 細 胞 、 RS 細 胞 共 に 存 在 し た 。 ま た 同 様 に 、Pull 細 胞 グ ル ー プ の 中 に は 、レ バ ー 押 し の 際 に 活 動 す る 細 胞 と 、レ バ ー 押 し の 際 に 活 動 し な い 細 胞 が 存 在 し た (図 9-A) 。レ バ ー 押 し も し く は レ バ ー 引 き と い う 運 動 方 向 の 選 好 性 に つ い て 、Pull 細 胞 グ ル ー プ の レ バ ー 押 し ま た は レ バ ー 引 き 時 の 平 均 発 火 頻 度 (Push 活 動 、Pull 活 動 ) を、そ の 細 胞 の レ バ ー 保 持 期 間 の 平 均 発 火 頻 度 (Hold 活 動 ) と 比 較 した 。 CFA と RFA で そ れ ら の 差 に 統 計 的 に 有 意 差 の あ る 細 胞 グ ル ー プ は い ず れ も な か っ た (図 9-B 散 布 図 ) [Push 細 胞 グ ル ー プ ; RS 細 胞 の Push 活 動 と Ho ld 活 動 の 差 の 分 布 : P > 0.07, Pull 活 動 と Hold 活 動 の 差: P > 0.6, n = 51 (CFA), n = 41 (RFA), FS 細 胞 の Push 活 動 と Ho ld 活 動 の 差 : P > 0.6, Pull 活 動 と Ho ld 活 動 の 差 , P > 0.7 , n = 29 (CFA), 9 (RFA) , t test] [Pull 活 動 グ ル ー プ ; RS 細 胞 の Push 活 動 と Ho ld 活 動 の 差 : P > 0.4 , Pull 活 動 と Hold 活 動 の 差 , P > 0.1 , n = 62 (CFA), 88 (RFA), FS 細 胞 の Push 活 動 と Ho ld 活 動 の 差 , P > 0.1 , Pull 活 動 と Hold 活 動 の 差, P > 0.3, n = 18 (CFA), 12 (RFA), t test]。 ま た 、方 向 選 好 指 数 (DPI) に つ い て CFA 細 胞 と RFA 細 胞 を 比 較 し た 。Push 細 胞 グ ル ー プ は RS 細 胞 も FS 細 胞 も CFA と RFA に お け る 違 い は な か っ た が (RS: P > 0.2, FS: P > 0.7, KS test)、 Pull 細 胞 グ ル ー プ で は 、 RS 細 胞 に お い て CFA 細 胞 よ り RFA 細 胞 の 方 が 、 レ バ ー 押 し よ り も レ バ ー 引 き に 強 く 活 動 す る 細 胞 が 若 干 多 か っ た (P < 0.05, KS test)。 一 方 、 FS 細 胞 で は Pull 細 胞 グ ル ー プ に CFA と RFA の 違 いは み ら れ な か っ た (P > 0.4, KS test)。CFA と RFA の 機 能 的 細 胞 グ ル ー プ は 、基 本 的 な 方 向 選 好 性 は ど ち ら も 同 じ で あ る と 考 え ら れ る 。

以 上 の こ と か ら 、 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 機 能 的 活 動 は 基 本 的 に 似 通 っ て お り 、 両 領 域 と も に 運 動 そ の も の を 担 う 領 域 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

(28)

26

図 9 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の Push と Pull 細 胞 グ ル ー プ の 方 向 選 好 性 A: 反 対 方 向 の 前 肢 運 動 (Push 細 胞 グ ル ー プ に レ バ ー 引 き 、 Pull 細 胞 グ ル ー プ に レ バ ー 押 し 、 ま た は そ の 逆 ) を す る 際 の 相 対 的 な 発 火 頻 度 。 左: Push 細 胞 グ ル ー プ 、 右 : Pull 細 胞 グ ル ー プ 、 上: RS 細 胞 、 下: FS 細 胞 。Push 細 胞 グ ル ー プ で は 、 発 火 頻 度 は そ れ ぞ れ の 細 胞 の Push 活 動 で 正 規 化 し 、Pull 活 動 の 大 き さ の 順 で 並 べ た 。Pull 細 胞 グ ル ー プ で は 、発火 頻 度 は Pull 活 動 で 正 規 化 し 、 Push 活 動 の 大 き さ の 順 で 並 べ た 。 B: 両 領 域 に お け る 各 細 胞 サ ブ タ イ プ の Push細 胞 グ ル ー プ も し く は Pull細 胞 グ ル ー プ の 発 火 頻 度 の 変 化 。CFA: オ レ ン ジ 、RFA: 緑 、三 角: RS細 胞 、丸: FS 細 胞 。 各 グ ル ー プ 内 の 左 ・ 中 : 個 々 の 細 胞 の レ バ ー 保 持 期 間 の 平 均 発 火 頻 度 (SRHOLD) に 対 す る レ バ ー 押 し も し く は レ バ ー 引 き 運 動 時 の 平 均 発 火 頻 度 (SRPUSH, SRPULL)。右 : CFA細 胞 と RFA細 胞 の 方 向 選 好 指 数 [DPI: (SRPULL –

(29)

27 3-2-4. 内 部 状 態 の 違 い に よ る 機 能 的 活 動 の 修 飾 CFA と RFA が 共 に 運 動 を 担 う 領 域 で あ る と し て も 、 行 動 条 件 の 違 い に 伴 う 動 物 の 内 部 状 態 の 変 化 (注 意 、 意 欲 な ど) に よ っ て 両 者 の 活 動 に 違 い が 生 じ る 可 能 性 を 、 Go/No-go 弁 別 課 題 を 用 い て 検 討 し た 。Go/No-go 弁 別 課 題 は 方 法 2-2.や 結 果 3-1-3.で 述 べ た よ う に 2 種 類 の 音 を 弁 別 し て レ バ ー を 引 く 、 ま た は 保 持 し 続 け る 課 題 で あ る 。 こ こ で Go 試 行 の 場 合 、 ラ ット は レ バ ー を 引 い て か ら 報 酬 を 得 る (意 図 的 レ バ ー 引 き) の に 対 し 、No-go 試 行 の 場 合 は ポ ン プ 音 に よ っ て 報 酬 を 得 た こ と を 認 識 し て か ら 、レ バ ー の 先 端 を 舐 め る た め に レ バ ー を 引 く こ と に な る (付 随 的 レ バ ー 引 き) (図 10-A)。 ここ で 意 図 的 レ バ ー 引 き と 付 随 的 レ バ ー 引 き の 運 動 そ の も の は 同 じ で あ っ た (図 10-B, Pull 後 250 ms の 時 間 に お け る レ バ ー 軌 跡 の 比 較 : P > 0.3 , paired t test, n = 38) 。図 8-B と 同 様 に 、課 題 関 連 細 胞 の 活 動 の ピ ー ク 値 の 時 間 に よ っ て Ho ld 細 胞 グ ル ー プ と Pull 細 胞 グ ル ー プ を 定 義 し 、Go 試 行 と No-go 試 行 の と き の レ バ ー 保 持 期 間 と レ バ ー 引 き 期 間 の 活 動 を CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 比 較 し た 。 な お 、 FS 細 胞 に つ い て は 解 析 に 用 い る 細 胞 数 が 少 な く 評 価 が 難 し い た め 、 RS 細 胞 の み に つ い て 解 析 し た (CFA の RS 細 胞 : n = 215, RFA の RS 細 胞 : n = 207, CFA の FS 細 胞 : n = 47, RFA の FS 細 胞 : n = 17)。

(30)

28

図 10 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の Hold 活 動 と Pull 活 動 の 異 な る 修 飾

A: Go/No-go 弁 別 課 題 に よ る 意 図 的 レ バ ー 引 き 運 動 と 付 随 的 レ バ ー 引 き 運 動 。 ラ ッ ト は 報 酬 を 得 る た め に 、Go 試 行 で は 強 い 意 図 を も っ て Go 信 号 の 後 、素 早 く レ バ ー を 引 か な れ ば な ら な い (pull; 意 図 的 レ バ ー 引 き)。 一 方 No-go 試 行 で は 、 No-go 信 号の 後 に 続 く 延 長 保 持 期 間 (No-go 信 号 提 示 か ら+1-1.6 秒 間 ) で レ バー を 保 持 し 続 け な け れ ば な ら な い 。そ し て 正 し く No-go 反応 が で き た 場 合 、好 き な 時 に レ バ ー を 引 い て 報 酬 を 舐 め る (Inc. pull; 付 随 的 レ バ ー 引 き )。ど ち ら の 試 行 で も 報 酬 は 等 量 与 え ら れ る が、Go 試 行 の 意 図 的 Pull の 方 が よ り 強 い 注 意 が 必 要 で あ る 。 B: 意 図 的 レ バ ー 引 き と 付 随 的 レ バ ー 引 き の 、 開 始 時 間 で 揃 え た レ バ ー 軌 跡 (平 均 と 標 準 偏 差 )。左 : 1 匹 の 代 表 例 。右 : テ ス ト し た 全 個 体 の 平 均 値 (24 ラ ッ ト か ら の 38 実 験)。 C: Go 試 行 の 意 図 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 機 能 的 活 動 (1 列 目 ) と No-go 信 号 で 揃 え た 活 動 (2 列 目)、そ し て No-go 試 行 の 付 随 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 機 能 的 活 動 (3 列目)。 左 3 列: CFA 細 胞 、 右 3 列: RFA 細 胞 。 上 2 カ ラ ム: 1 列 目 の 最 大 値 で 正 規 化 し 、1 列 目 の 最 大 値 の 時 間 順 で 並 べ た、Go (と No-go) 試 行 で

(31)

29

有 意 な レ バ ー 引 き 関 連 活 動 。下 2 カ ラ ム: 3 列 目 の 最 大 値 で 正 規 化 し、3 列 目 の 最 大 値 の 時 間 順 で 並 べ た 、 No-go 試 行 の み で 有 意 な レ バ ー 引 き 関 連 活 動 。 上 か ら 1・3 カ ラ ム 目: RS 細 胞 、2・4 カラ ム 目: FS 細 胞 。長 方 形 の 囲 い は Hold 活 動 (a, a’, c, c’) と Pull 活動 (b, b’, d, d’) を示す。*: Pre-pull 活動 (図 11-C を 参 照 )。

(32)

30

【 Hold 細 胞 グ ル ー プ の 活 動 】

Ho ld 細 胞 グ ル ー プ に つ い て 、Go 試 行 の Ho ld 活 動 は CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 差 が な い の に 対 し 、No-go 試 行 の Hold 活 動 は CFA 細 胞 よ り も RFA 細 胞 の 活 動 が 低 か っ た (図 10-C, 11-A, 11-B)。No-go 試 行 の Hold 活 動 の 平 均 と 標 準 偏 差 は CFA, RFA が そ れ ぞ れ 99.7±33.2%, 79.8±29.9% (Go 試 行 の Ho ld 活 動 で 相 対 化 し た 値 ) で あ り 、 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 平 均 値 に 有 意 な 差 が あ り (P < 0.005, t-test, n = 43 (CFA), 37 (RFA))、分散 は 同 じ で あ っ た (P > 0.5, f-test)。Go 試 行 の Ho ld 活 動 と No-go 試 行 の Hold 活 動 の 差 も CFA と RFA で 分 布 の 異 な り を み せ た (P < 0.05, t test, n = 43 (CFA), 37 (RFA)) (図 11-B 左 )。そ し て 活 動 の 累 積 度 数 分 布 も CFA と RFA で 異 な っ て い た (P < 0.03, KS test) (図 11-B 右 )。つ ま り 、RFA 細 胞 の Ho ld 細 胞 グ ル ー プ は No-go 信 号 提 示 後 に 活 動 が 下 が る 細 胞 が 多 い と い え る 。 一 方 、Pull 直 前 に 最 も 活 動 が 高 ま る Pre-pull 細 胞 で は 、Hold 期 間 中 は 活 動 が 上 昇 し 続 け 、 意 図 的 、 付 随 的 に 関 わ ら ず レ バ ー を 引 く と 活 動 が 下 が っ た (CFA: n = 16, RFA: n = 7) (図 6-C)。 図 11 RFA の RS 細 胞 の 延 長 保 持 期 間 に お け る Hold 活 動 の 減 弱 A: CFA の RS 細 胞 (オ レ ン ジ ) と RFA の RS 細 胞 (緑 ) の Ho ld 細 胞 グ ル ー プ の 集 団 の 活 動 変 化 (平 均 と 標 準 誤 差)。左: Go 試 行 の 意 図 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 活 動 。 中 : No-go 信 号 で 揃 え た 活 動 。 右: No-go 試 行 の 付 随 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 活 動 。 水 平 の バ ー a と a’は図 10-C で示したレバー保持期 間 の 時 間 窓 。

(33)

31

RFA の RS 細 胞 の Ho ld 活 動 (a) が CFA の RS 細 胞 の 活 動 (a’) よりも低かっ た 。 ま た 、 No-go 信号 の 提 示 で は 変 化 が み ら れ な か っ た 。

B: 左 : 意 図 的 レ バ ー 引 き 前 の Ho ld活 動 (SRG o H O LD, 図 10-Cの a) と 、 付 随 的

レ バ ー 引 き 前 の Hold活 動 (SRN o -g o H O LD, 図 10-Cの a’) の平均発火頻度。オレ

ン ジ : CFAの RS細 胞 、 緑: RFAのRS細 胞 。 白 抜 き シ ン ボ ル はNo-go試 行 で の み 有 意 だ っ た 細 胞 (図 10-Cに お け るc’とc)。右: CFAとRFA細胞の、Go試行の活 動 で 正 規 化 し た No-go試 行 のHold期 間 の 活 動 (a’) の累積度数分布。RFA細胞 の Hold活 動 がCFA細 胞 よ り も 有 意 に 減 弱 し て い る 。

C: CFA 細 胞 (オ レ ン ジ ) と RFA 細 胞 (緑 ) の Pre-pull 細 胞 (図 10-C の *) の 集 団 の 活 動 変 化 (平 均 と 標 準 偏 差)。 左: Go 信 号 も し く は No-go 信 号で 揃 え た 活 動 。 右 : No-go 試 行 の 付 随 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 活 動 。 水 平 バ ー は 意 図 的 レ バ ー 引 き の 範 囲 を 示 す 。こ の 細 胞 集 団 は 意 図 的・付 随 的 に 関 わ ら ず 、徐 々 に 上 が っ て い た 活 動 が レ バ ー 引 き の 直 前 で 突 然 下 が る 。

(34)

32

【 Pull 細 胞 グ ル ー プ の 活 動 】

Pull 細 胞 グ ル ー プ で は 、Go 試 行 の レ バ ー 引 き (意 図 的 レ バ ー 引 き) 期 間 で は CFA 細 胞 と RFA 細胞 で 同 様 の 活 動 を 示 す の に 対 し 、No-go 試 行 の レ バ ー 引 き (付 随 的 レ バ ー 引 き) 期 間 では CFA 細 胞 よ りも RFA 細 胞 の 活 動 の 変 動 性 が 大 き か っ た (図 10-C、12-A、12-B)。 付 随 的レ バ ー 引 き の 活 動 の 平 均 と 標 準 偏 差 は CFA, RFA が そ れ ぞ れ 95.4±23.6%, 95.4±67.7% (意 図 的 レ バ ー 引 き の 活 動 で 相 対 化 し た 値 ) で あ り 、CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 活 動 の 平 均 値 に 差 は な か っ た が (P > 0.9, t-test, n = 60 (CFA), 50 (RFA))、CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で 分 散 が 異 な っ て い た (P < 0.0001, f-test)。 意 図 的 レ バ ー 引 き と 付 随 的 レ バ ー 引 き 活 動 の 差 や 、 Hold 活 動 と 比 べ た Pull 活 動 の 大 き さ に つ い て も 、 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 で は 平 均 値 に 差 は な い が 、 分 散 が 異 な っ て い た 。 [意 図 的 レ バ ー 引 き と 付 随 的 レ バ ー 引 き 活 動 の 差 (図 12-B, 左 ); 平 均: P > 0.4, t test n = 60 (CFA), n = 50 (RFA), 分 散: P < 0.0001, f-test] [Ho ld 活 動 と 比 べ た Pull 活 動 の 大 き さ (図 12-B 中 ); 平 均 : P > 0.4, n = 60 (CFA), n = 50 (RFA), t test, 分 散 : P < 0.0001, f-test] そ し て 活 動 の 累 積 度 数 分 布 は CFA と RFA で 異 な っ て い た (P < 0.04, KS test) (図 12-B 右)。

No-go 試 行 で は レ バ ー 引 き ま で の 時 間 が No-go 信 号 に よ っ て 延 長 さ れ る 。 RFA 細 胞 の 活 動 の 変 動 性 が こ の レ バ ー 引 き ま で の 時 間 経 過 の 影 響 に よ る も の か を 検 討 す る た め 、延 長 保 持 時 間 の 長 さ に よ っ て 付 随 的 レ バ ー 引 き 活 動 の 変 動 性 に 変 化 が み ら れ る か を 確 認 し た (図 12-C)。 延 長 保 持 時 間 の 影 響 で Pull 活 動 の 平 均 値 は 変 動 せ ず (CFA と RFA に よ る 違 い: P > 0.4, 延 長 保 持 時 間 に よ る 違 い : P > 0.5, 2 因 子 ANOVA)、 ば ら つ き (標 準 偏 差) の 変 動 も み ら れ な か っ た こ と か ら (CFA と RFA に よ る 違 い: P < 0.001, 延 長 保 持 時 間 に よ る 違 い : P > 0.5, 2 因 子 ANOVA)、RFA 細 胞 の 活 動 の 変 動 性 は 時 間 経 過 で は な く 、レ バ ー を 引 く 際 の 内 部 状 態 の 違 い に よ り 生 じ る こ と が 示 唆 さ れ た 。さ ら に 、意 図 的 レ バ ー 引 き 活 動 で 正 規 化 し た 付 随 的 レ バ ー 引 き 活 動 の 大 き さ と 、そ の 細 胞 の DPI との 関 係 に つ い て も 検 討 し た 。RFA 細 胞 に お い て Pull 活 動 の 大 き さ と DPI に 正 の 相 関 が み ら れ た が (CFA: r = -0.2 (P > 0.05), RFA: r = -0.5 (P < 0.01)、CFA と RFA で 相 関 係 数 に 差 は み ら れ な か っ た 。 (P > 0.4, 相 関 係 数 の 差 の 検 定, CFA n = 60, RFA n =50) (図 7-D)。

(35)

33

図 12 RFA の RS 細 胞 の

意 図 的 レ バ ー 引 き と 付 随 的 レ バ ー 引 き に お け る 活 動 変 化 の 違 い

A: CFA の RS 細 胞 (オ レ ン ジ ) と RFA の RS 細 胞 (緑 ) の Pull 細 胞 グ ル ー プ の 集 団 の 活 動 変 化 (平 均 と 標 準 誤 差)。左: Go 試 行 の 意 図 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 活 動 。 中 : No-go 信 号 で 揃 え た 活 動 。 右: No-go 試 行 の 付 随 的 レ バ ー 引 き で 揃 え た 活 動 。 水 平 の バ ー b と b’は図 10-C で示した Pull 活動の時間窓。垂直 の エ ラ ー バ ー は CFA-RS 細 胞 (オ レ ン ジ) と RFA-RS 細 胞 (緑) の 標 準 偏 差 を 示 す 。 な お 、 こ こ で も No-go 信 号 の 提 示 で 活 動 の 変 化 は み ら れ な か っ た 。 B: 左 : 意 図 的 レ バ ー 引 き の 活 動 (SRG o P UL L, 図 10-Cの b) と 付 随 的 レ バ ー 引 き の 活 動 (SRN o - go P UL L, 図 10-Cの b’) の平均発火頻度。オレンジ: CFA-RS細 胞 、 緑 : RFA-RS細 胞 。 白 抜 き マ ー カ ー は No-go試 行 で の み 有 意 だ っ た 細 胞 を 示 す (図 10-Cに お け るd’とd)。中: 左図と同じ細胞について、Go試行のHold 活 動 (SRG o H O LD) で 正 規 化 し た Pull活 動 。右 : CFA細 胞 と RFA細 胞 の 、意 図 的

レ バ ー 引 き 活 動 で 正 規 化 し た 付 随 的 レ バ ー 引 き 活 動 (b’) の累 積度 数分 布 。 RFA細 胞 の Pull活 動 が CFA細 胞 よ り も 大 き く 変 動 し て い た 。

(36)

34 示 か ら 報 酬 を 得 る ま で の +1 か ら+1.6 秒) ご と の 変 化 。a, b: そ れ ぞ れ CFA と RFA の 1 つ の 細 胞 の 例 。 D: 上 記 と 同 じ 細 胞 の 方 向 選 好 性 と Pull 活 動 の 関 係 。 以 上 の こ と か ら RFA 細 胞 は CFA 細 胞 と 比 べ 、内 部 状 態 の 違 い に よ り そ の活 動 に 大 き く 修 飾 を 受 け る こ と が 明 ら か と な っ た 。一 方 、CFA、RFA 両 領 域 に お い て No-go 信 号特 異 的 な 活 動 は み ら れ な か っ た こ と か ら (図 6-C)、RFA は CFA と は 機 能 的 に 異 な る 修 飾 を 受 け る こ と が 示 唆 さ れ る も の の 、よ り 高 次 な 機 能 を も つ 領 域 で は な く 、あ く ま で 運 動 そ の も の を 担 う 領 域 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

(37)

35

4. 考察

4-1. ラ ッ ト に 前 肢 運 動 を 効 率 よ く 行 わ せ る 実 験 系 の 構 築

当 研 究 に お い て CFA と RFA の 活 動 を 比 較 す る に あ た り 、 ラ ッ ト に 前 肢 の 巧 緻 運 動 を こ れ ま で よ り も 効 率 よ く 行 わ せ る 実 験 系 を 構 築 し た 。従 来 の 強 化 子 と オ ペ ラ ン ダ ム が 分 離 し て い た 外 発 性 課 題 で は 、数 週 間 か ら 数 か 月 の 訓 練 期 間 を 要 し て い た (Schwarz et al. 2010)。 自 由 行 動 下 の ラ ッ ト に お い て 、 オ ペ ラ ン ダ ム と 強 化 子 の 位 置 が 近 く な る と 、学 習 効 率 が 上 が る こ と が 知 ら れ て い る (Buzsáki et al. 1979)。 そ こ で 、 頭 部 固 定 下 の ラ ッ ト に 強 化 子 と オ ペ ラ ン ダ ム を 一 体 化 し た ス パ ウ ト レ バ ー を 操 作 さ せ 、外 発 性 運 動 課 題 を 行 わ せ る と 、 訓 練 1-3 日目 で レ バ ー を 巧 み に 操 作 す る よ う に な っ た (図 3)。自由 行 動 下 と 異 な り 、頭 部 固 定 下 の ラ ッ ト は 強 化 子 と オ ペ ラ ン ダ ム の 両 方 を 視 覚 的 に 認 識 す る の が 難 し い と 考 え ら れ る た め 、レ バ ー を 引 く と い う 動 作 と 直 後 の 報 酬 を 得 た 舌 の 感 覚 フ ィ ー ド バ ッ ク を 強 く 結 び つ け る こ と が 重 要 で あ る か も し れ な い 。 こ の 実 験 系 で は 、 ラ ッ ト が 外 発 性 運 動 課 題 を 短 期 間 で 覚 え る だ け で な く 、 外 発 性 運 動 課 題 を 学 習 し た 個 体 に つ い て は 、観 察 し た ラ ッ ト の う ち 約 半 数 が 1 日 の う ち に Go/No-go 弁 別 課 題 を 学 習 で き た (図 4)。こ れ は 、よ り 高 次 の 脳 機 能 を 調 べ る う え で 、 マ ル チ ニ ュ ー ロ ン 記 録 実 験 だ け で な く 、 2 光 子 顕 微 鏡 や in vivo ホ ー ル セ ル パ ッ チ ク ラ ン プ 、 傍 細 胞 記 録 な ど 、 最 先 端 の 生 理 学 的 技 術 を 適 用 す る 際 に も 有 用 で あ る 。な ぜ な ら 硬 膜 を 開 窓 し て い な い 脳 内 に 電 極 を 入 れ る 場 合 、硬 膜 の 開 窓 後 数 日 間 で 硬 膜 の 肥 大 や 頭 蓋 骨 の 壊 死 が 起 こ る こ と が あ る が 、数 日 間 で 課 題 を 遂 行 で き れ ば 、そ の よ う な 脳 組 織 周 辺 の 変 性 が 起 こ る 前 の 脳 の 活 動 を 記 録 す る こ と が で き る か ら で あ る 。

4-2. CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 活 動 の 比 較

ス パ ウ ト レ バ ー を 操 作 す る ラ ッ ト の CFA と RFA の 第 5 層 の FS, RS 細 胞 に つ い て 、 そ の 活 動 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の 基 本 発 火 特 性 だ け で な く 、前 肢 運 動 に 関 連 し た 活 動 の 時 間 的 経 過 や 振 幅 、方 向 選 好 性 な ど に つ い て も 両 領 域 に 大 き な 違 い は な か っ た (図 7~9)。 一 方 、 CFA の RS 細 胞 と 比 べ 、RFA の RS 細 胞 は 運 動 す る 際 の 状 況 変 化 に よ り 影 響 を 受 け や す い こ と が 明 ら か と な っ た (図 10~12)。RFA の RS 細 胞 に お け る Hold 活 動 は レ バ ー 保 持 期 間 が 延 長 さ れ る と 減 弱 し 、 Pull 活 動 は 内 部 状 態 (注 意 や 意 欲 )

図 6  電 極 刺 入 部 位 と 行 動 成 績
図 9 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の Push と Pull 細 胞 グ ル ー プ の 方 向 選 好 性 A:  反 対 方 向 の 前 肢 運 動   (Push 細 胞 グ ル ー プ に レ バ ー 引 き 、 Pull 細 胞 グ ル ー プ に レ バ ー 押 し 、 ま た は そ の 逆 )  を す る 際 の 相 対 的 な 発 火 頻 度 。 左 : Push 細 胞 グ ル ー プ 、 右 : Pull 細 胞 グ ル ー プ 、 上 : RS 細 胞 、 下 : FS
図 10 CFA 細 胞 と RFA 細 胞 の Hold 活 動 と Pull 活 動 の 異 な る 修 飾
図 12 RFA の RS 細 胞 の
+2

参照

関連したドキュメント

21-28 In one of these studies, we reported that the mode of self-motion of a camphoric acid boat characteristically changes depending on the concentration of phosphate ion or

 第一の方法は、不安の原因を特定した上で、それを制御しようとするもので

Standard domino tableaux have already been considered by many authors [33], [6], [34], [8], [1], but, to the best of our knowledge, the expression of the

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

ADF5902 は、24GHz 電圧制御発振器(VCO)を内蔵した 24GHz トランスミッタ(Tx )モノリシック・マイクロ波集積回路.

[Mag3] , Painlev´ e-type differential equations for the recurrence coefficients of semi- classical orthogonal polynomials, J. Zaslavsky , Asymptotic expansions of ratios of

自動車や鉄道などの運輸機関は、大都市東京の

[r]