Title
相対位置評価法によるAHPを用いた観光地における住民
満足度と生活重要度に関する研究
Author(s)
大谷, 健太郎
Citation
名桜大学紀要 = THE MEIO UNIVERSITY BULLETIN(14):
125-137
Issue Date
2009-06-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/8234
名桜 人草紀紫14け 6-3()(2()09)
相対位置評価法による
AHP
を用いた観光地における
住民満足度 と生活重要度に関する研究
国際学群 大 谷 健 太郎 要 旨 観光政策 の 目標 を、地域住民 を包含 した国民厚生の向 Lとす る場合、優位性 が高い観 光資源 を多数有 し、観光 を主要産業 とした地域 では、観 光が与 える影響 に特化 した住民意 向のみでは な く地域生活全体か らの住民意 向を評価指標 とす ることが有効である と考 え られ る。住民満足 度は観光満足度 と経済的、社会基盤お よび施設、医療福祉 、教 育、文化 な どに関す る満足度 の 総合指標 と考 え られ る。 そ こで、本研 究では、観 光振興の成果指標 としての生活 に関す る住民満足度 を構成す る分野 別重要度 を把握 し、観光地にお ける地域住民満足度 の重要性 を明 らかにす る。事例研 究 として、 沖縄 県石垣島にお ける住民意 向調査の結果 を利用 し、全体的な生活満足度お よび重要度 とい う 政策評価 の基礎資料 を得 ることを 目的 としてい るO 本稿 は、アンケー ト回答者 の負担軽減 を 目的 とした満足度実数記入お よび相対位置評価法 に よるAHPに よって重要度 と総合満 足度 の算 出を試み 、総合的 な満足度 に観 光 が与 える影響 な ど、今後の研 究に発展 させ る理論の導入部分お よび基礎 的考察 に位 置付 け られ る。Re
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ABSTRACT
ThepurposeofthispaperistomeasuretheresidentsatisfactionandImportance degreeasoutcomeoftourlSm policylmplementatlon.Inordertoachievethepurpose, weconsidertheinitialImportanceOfdefining thelocalresidentsatisfactlOn in the tourism destination,whlChwedoforacasestudyinlshigakiisland.
WeattempttocalculatetheimportancedegreeandtheintegratedsatlSfactionby therelatlVepositionmeasurementapproachinAHP,andconsidertheImpactOf tour
-ism onthelatter.Thispaperformsthetheoreticalbasiswhich wehopetodevelop furtherinournextstudy.
25-1
はじめに
観光 は、主体 である観光者 の期待 に対 して満足 を与 え、観 光者 の消費による域際効果か ら地 域 は経済効果 を得 ることができる。 この ことは、観 光す る側 と受 け入れ る地域側 、すなわちホ ス トとゲス トの関係 が必然的に生 じることを意味 してい る。 観光者 は、観光す ることによって 「楽 しかった」
「感動 した」な どの主観的な満足 を得 るが、 受 け入れ る側の地域 は どの よ うな満足 を得 るのであろ うか。地域は、観光消費による経済効果 や生 きがいづ く り、来訪者増大に よる魅力の再認識 な どの社会効果 を得 ることができるが、結 果的には地域住民の生活満足度 に帰着す るものである。 岡庭 (1969)によると、観光政策の 目標 は①国際観光による国際収支の改善、②国民厚生の 目的、③観 光事業の振興 とい う三本の柱 に分かれ る と述べているが、 3つの 目標 はそれぞれの 矛盾 を有す る と指摘 してい るrl)。 た とえば、国際収支 の改善 では一国の旅行収支の黒字 は他 国の赤字 を意味 し、国民厚生の 目的は、観 光政策の優先が住民の生活 を悪化 させ ることを正 当 化す る可能性 があるこ とな どである。 ここで、 「国民」 のなかに観光者 のみな らず住民が含 ま れ ていなけれ ばな らない。 国民厚生 を向上 させ ることは住民の厚生、すなわち生活満足度 の向 上 を包含 とす るこ とは明 白であ り、その評価基準の軸は住 民意向や意見、意識である。 観光 に対す る住 民意 向は、地域 にお ける観光のあ り方や将来像、観光 による地域住 民生活へ のイ ンパ ク ト、その影響 に対す る意識な どであ り、観 光政策立案 に関す る有益な情報である。 地域 にお ける観光 に対す る評価 は、観 光その ものに対す る評価 と観 光 を包含 した生活全体の評 価 に大別す ることができる。前者 は観光 の影響 に重点 をおいた調査であ り、住民意識か ら地域 にお ける観光の成否 を問い、今後の方 向性や住民生活水準の低 下が生 じないよ うに政策 を講 じ る基礎 資料 とな るもの であ る(2)。 後者 は生活満足度 調査 であ るが、観 光調査 ではな く ・般的 な地域調査 に位 置付 け られ 、 自治体 な どによって調査が行 われている0 観 光政策 の 目標 を、地域住 民を包含 した国民厚生の向上 とす る場合、優位性 が高い観光資源 を多数有 し、観 光 を主要産業 とした地域 では、観光が与 える影響 に特化 した住民意 向ではな く 地域生活全体 か らの住 民意 向を評価 指標 とす るこ とが有効 で ある と考 え られ る…o住 民満足 度 は観 光に関す る満足度 と経済的 、基盤 お よび施設、医療福祉 、教育、文化 な どに関す る満足 度 の総合指標 と考 え られ る`4)。 そ こで、本研究では、観 光振興 の成果指標 としての生活 に関す る住民満足度 を構成す る分野 別重要度 を把握 し、観 光地 にお ける地域住民満足度 の重要性 を明 らかにす るo生活分野別 墓要 度 は、住民満足度 を構成す る ウェイ トであ り、重視す る分野間の相対的な大 きさである。重視 す る分野 における改善度 が高ければ満足度 は相対的に大 き くな り、重点的改善施策の立案に大 き く貢献す る指標 であるQ 事例研 究 と して、沖縄県石垣 島にお ける住 民意 向調査の結果 を利用 し、全体的な生活満足度 お よび重要度 とい う政策評価 の基礎資料 を得 ることを 目的 と している。 「観光」 による住民生 活の向 L (低下) ではな く、 日常的な生活 か ら感 じる満足度お よび重要度 を意識 している。 こ れは、観 光による直接的な影響や生活 の変化 を把握す る方法に対 して、総合的な見地か らのア プ ロー チであ るO観 光 に関す る特 定の影響 を把握 す るこ とも重要 であるが川、本稿 では、ア ンケー ト回答者 の負担軽減 を 目的 と した満足度 実数記入お よび相 対位 置評価 法によるAHP
に - 126-相対位置評価法によるAHPを用いた観光地における 住民満足度 と生活重要度 に関す る研究 よって重要度 と総合満足度の算 出を試み、総合的な満足度 に観 光が与 える影響 な ど、今後の研 究に発展 させ る理論 の導入部分お よび基礎 的考察 に位置付 け られ るものである。 以下では、観 光政策の 目標 を整理 し、観光政策 の評価 に対す る基本的な考 え方 を論 じる。そ の後、石垣島の 事例 を用 いて住民満足度 に関す る分析 を行 う。
2
観光政策の目標 と総合政策
2.1観光政策の 目標 観光政策の 目標 は、究極的には 「社会的厚生の増大」であるが、観 光政策 の内容 は、国 レベ ルか ら地域、市町村 レベル の対象 によって異 なる。 国 レベル では、外貨獲得や文化 向上の 目的 を中心 とした国際観光の発展、地域 レベル では よ り地域経済の発展 に重点が置かれてい る (秦 良 (1998))。地域観 光政策は、観 光 を地域振興の手段 として利用す ることが前提 であ り、観光 による経済効果 を中心 と して環境や交通、地域住 民の生活 の質 (QualityofLife:QOL)の 向 上な どに関す る一連の政策、す なわち観光事業の諸施策 の総体である。 観光政策の内容 は、観光客の誘客、観 光地の開発、観光資源 の保全、観光産業 (企業)の振 興を総合的に推進す るものであ り、誘 客 を中心 とした観光客か らの視点である観光戦略計画 と 地域住民の視点か ら生活の質 向上 を 目的 とした公共政策が含 まれ る。前者 は、観 光マーケテ イ ングの手法であ り、後者 は公共政策学お よび政策科学の手法である。 2.2 総合政策の必要性 政策の段階を大 き く分 ける と、観 光か らの便益 を 享受 し、観光地成 立の前提 となる観光客の誘致か ら 消費を誘導す るシステムづ く りとなるが、その便益 を地域住民が享受 し、生活の質 を向上 させ る総合政 策 に発展 させ る必要がある (図 1)o 図 1における観光資源 は、観光客 を誘致 し消費 を 誘導す る素材 であ り、開発や保全、創 出に よって魅 力を持つ ものであるo経済の循環の段階は、地域 に 投 下された資金 を どの よ うに して地域 の中で循環 さJ
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図1 総合政策 と しての観光政策 せ るのか とい うことが 目的 とな り、 自給率や他産業 との結びつ き、住民の所得 な どの改善が主な内容 となる。 この とき、観 光 による効果 は最終的 に地域住民に帰着す るので、観光政策 は地域 にお ける住民生活 を包含 した総合政策 に高める必 要があ り、観光振興の最終 目的 と認識す ることが重要である。2
.
3
観光政策 に関す る評価 の考え方 ハ ワイにおいては、長期観 光計画 に関す る取 り組みの成果 と観光産業の健全性 の観 点か ら、 地域 にお ける観 光の成果指標 を 「居住者意見」「税収入」「観光消費額」「観光客満足度」 の4 つ としてい る(h)0 4指標 の重要度 は明確 に提示 されていないが、 「成果 の測定」 は図 2の よ う に表 され る0 - 127-戦略計画の成功度 に関す るいずれ かの 指標 の向上を成果 とす るのではな く、総 合的な達成度 か ら捉 えている。総合政策 の観 点か らは図1にお けるフロー と合致 してお り、誘客の観 点か ら観 光の経済的 効果 、地域 にお ける財源 としての持続可 能性 、住 民の生活の質 向上である。 図2 ハ ワイにおける観光の成果指標 出所 :StateofHawail(2005a)、p.10から引用作成。 計画の成果 を複数の基準か ら捉 える場 合、 どの指標 を重視す るのか とい う評価基準の重要度 の把握 が必要である。 図2では、意思決 定者 の ウェイ トが4つの指標 に同一・にかか っている。政策 の事後評価か ら考えれば、評価 主体 である地域 (この場合 は州政府)の ウェイ トを採用す るべ きであるが、その際、企業や地域住 民の意 向を考慮 し、複数 の主体の ウェイ トを参考 とす る方法 も考 え られ る。 しか し、観光政策 の場合、 「量」 に関す る指標 は強い相 関を持 ってい る と考 え られ るので、居住者 の意見お よび 観光客満足度 を同一の水準で扱 うのではな く、居住者 が持つ観光に対す る意向か ら指標 の達成 度 を判断す るべ きである。 また、堀 (2008)において述べ られ てい るよ うに、島喚地域 な どは観光客の滞在 と住民の生 活 が多 く重 な り合 うので、住民満足度 の低 下が観光客に与 える影響 は大 きい。 た とえば、住 民 が医療分野に関 して不安 を持 ち満足度 の低い地域であれ ば、観 光お よび観光客の満足度 にもマ イナスの影響 を与 えることにな る。観 光客の許容量 と経済的効果のバ ランス、日常tト.活におけ る要望 な ど、最終的に観光 を評価す る基準は地域お よび住民が持つべ きであ り、観光に対す る 意 向 と総合的な生活潤足度が評価基準 となるべ きである。 2.4 満足度評価 の方法 ある対象 にお ける満足度 は、アンケー ト調査 に よって満足系の回答比率 を満足度 とす る方法 が一般 的である。 た とえば、地域住 民で あれ ば、個別分野 ご とに 「満足 してい る
」
「大変満足 している」 な どの順序尺度 を利用 し、間隔尺度 とみな した満足系の比率が住民満足度 である。 間隔尺度 であれ ば項 目を得点化 し満足度 とす ることも可能である。 一方 で、生活環境 の 「充足度」 とい う視 点か らは、 0か ら100の実数 を表 明 して もらい、得 点 によって満足度 を評価す ることも考 え られ る。 た とえば、林他 (2004)の研 究では、住民の QOL (Quality ofLife) を評価す るために充足度 と して実数 を把握 し、現状の満足度 として いる`7'。 尺度 による満足度や実数 を表 明 してもら う充足度の考 え方では、回答者 である地域住民の主 観 に依存す ることに加 えて、住 民は 「希望が満 た され るとさらに大 きな希望 を持つ」 ことか ら 「希望 が満 た され る と満 足度 の向上が逓減す る」 とい う トレッ ドミル効果 が働 くことによって 常に低 い満足度 を表 明す る可能性 がある。 しか し、満足度 は、回答者 の主観 を積極的に数値化 し、人 々の直観 を把握す ることが重要であるので、 これ らの性質 に常に注意 を払い認識す るこ とが必要であるO 総合的 な満足度 を評価す るためには、項 目ごとの重要度 (ウェイ ト) を導入す ることが必要 となる。生活にお ける満足度 を評価す る場合 、個別分野の重要度 が顕在化 していない と、すべ -1
2
81
相対位置評価法によるAHPを用いた観光地における 住民満足度と/iI_活重要度に関する研究 て均等な重み を持 ってい ると仮定す ることにな り、現実的な地域住民の評価 とは乗離す ること になる。 また、順序尺度 による項 目ごとの重要度の表 明では、主観 的評価や将来の存在価値 に 期待す るオ プ シ ョンバ リュー な どの問題 に よって過大評価 され る こ とが多 い (有馬 ・川 向
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に よって提案 され た一対比較 に よる相対評価 手法 であ り(h)、評価項 目にお いて何 を重視 しているのかを明 らかにす ることが可能 である。 次では、AHP
の概要 を述べ る とともに、一対比較法の問題点 と改善方法 につ いて概観す る。3 AHP
における相対評価法 と相対位置評価法
3
.
1 AHP
の概要AHP
は階層分析法 と呼ばれ、政策や意思決定 にお ける多 目的性 か ら生 じる 目的間お よび価 値の トレー ドオ フを科学的に意思決定 システムに取 り込む分析手法である。社会全体か ら考 え れば、政策の 目的関数 は多数存在す るが、その 目的関数の優先順位 を人間の主観 的判断を利用 して明 らかにす るものである。AHP
は、購入す る車種選択や就職す る会社選 びな ど個 人的な 意思決定か ら、 「評価 にあたって何 を重視す るのか」 とい う人事評価や政策評価 にお ける評価 項 目の重要度算出まで幅広い分野で適用 されてい る。AHP
の分析手法 を高橋(
2
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)
に従 って、簡潔 に整理 したい。AHP
の基本 的特徴 は、 「一 対比較 に基づいて評価 を行 うこと、その解析法 に主固有ベ ク トル を用 い ること、またその評価 構造 を階層構 造 と して捉 え る点 にあ る」 (高橋(
2
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0
)
、 p.ll) と簡潔 にま とめることができる。 た とえば、政策評 価 の事例 を考えて代替案AIA2A3と評価基準C1
C
2が存 在 していることを仮定 し、その場合の階層構造は図3の よ うに示 され る。 ここで、 CIC2の どち らが重要 か とい うことを一対比較 によって明 らかにす る。 C1を C2よ り 「重視す る」 とし、 評価 の大 き さを2と仮定す る とC12- 2が得 られ 、それぞ れの評価項 目の評価値 を行列 の形 にま とめる と比較行列A が得 られ るo 図3 階層構造 A- ll;2 : ] (1, また、評価基準C
1の もとで代替案 を比較す ると、「
A
lはA
2よ り良い」「
A
lはA
3よ り良い」 「A3はA2よ り良い」 とい う -対比較 の結果 が得 られ た とす る と、 (2)の よ うな比較行列が得 られ る。 1292 2 / l ■ -1 2 1 2 2 2 1 / / l 1 L = 」
(
2
)
AHPは、この よ うな一対比較値 か らなる比較行列Aか ら各対象 の個別評価値 をAの最大固有 値 に対す る固有ベ ク トルの成分 によって評価値 を求め るものであ る。 方法的には、各行の幾何 平均 を求め、各評価 項 目の幾何 平均合計 との比率 によって重要度 (ウェイ ト) を算出す る幾何 平均法 を用 いる。 また、上記 の例 では評価 の大 き さを2と仮 定 したが、一般的には1か ら9ま での整数値お よびその逆数 を用 いて一・対評価 され る.3
.
2
アンケー トにおける相対評価 法の問題点 上記の例 では評価基準が2つ 、代替案が3つであったが、実際の多 目的評価 においては多数 設定す ることが考 え られ る。各評価基準間お よび各評価基準 にお ける代替案の評価 を ・対比較 す る必要があることか ら、項 目が増加す るほ ど被対象者 の負担 は大 きい もの となる。個人的な 意思決定にAHPを利用す る場合 は個人の負担 が増加す るだけで あるが、社会調査 にお ける住 民の意識調査や組織 にお ける人事評価 の場合 は、評価負担の増大は回答率や整合性の低 下せ 生 じさせ る可能性 があるO 評価負担 の増大 は、アンケー トにお けるAHPの実用性 が低 下 してい る要因である。 そ こで、盛 ・鈴木 (1999)は、評価基準を直線上の位置で一対比較を行 う分析手法を提案 し、 アンケー トにおける回答者 の負担軽減 と分析手法の信頼性 を証明 している。3
.
3
相対位置評価法 の概要 と分析手法 回答者 が評価 基準の評価 を行 う手順 と しては、各評価基準を順位付 けた後に各基準にお ける 重 要度 を相 互 に比較 す る こ とで最 終 的 な重 要 度 を決 定 す る こ とが考 え られ る。 盛 ・鈴木 (1999)は、 この よ うな回答者 の意識構造 を想定 し、直線上に評価基準の位置すなわち順位 を 直接記入 させ 、重要度 を算 出す る相対位置評価法 をモデル化 してい る。盛 ・鈴木 (1999)に し たがって、評価 にお ける順位 の位置デー タの扱 い方 を簡潔 にま とめると図4の よ うになるOβ位
(
C2
)
α
位(
C
.
)
1位(
C,
∫
)
図4 位置デ ータによって表 された評価の情報 出所 :盛 ・鈴木 (1999)、p.130か ら引用 作成。ー
130相対位置評価法によるAHPを用いた観光地における 住民満足度と生活重要度に関する研究 順付 α位 の評価基準
C
Tと順位 β位 の評価基準C
f
との位置比較評価値DL
a,Hは、Dt
a
,
p-(
d
;
-d
,
B
)
(
3
)
で表 され るよ うな位置データの差で求めることができる。 また、同順位 の評価基準がある場合、 (3)式は 0になって しま うので、位 置評価値 はすべてに1を加 えた数値 と し、一対比較におけ る 「同 じくらい重要」 を表す 1とい う評価尺度 と同様 の もの とす る。最終的な位 置比較評価値 Pりは (4)式か ら (6)式で計測 され るもの とす る。D.
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5 6 この位 置評価値 をもとに、比較行列にみたてた位置比較行列 を作成 し、幾何平均法 を利用 し たAHPを行 えばよいのである。4
石垣島における事例研究
4
.
1
調査概要 とサ ンプル特性2
0
0
8
年にお ける石垣市住 民意向調査 の 目的は、地域 の問題や観 光開発 に対す る評価 、観 光振 興の方向性 な ど現状 における政策課題 を抽 出 し、今後の石垣 島における望ま しい観 光開発や地 域振興のあ り方 を明示す ることである。石垣島住 民意向調査における設問は、望ま しい産業振 興策か ら生活満足度 、交通な どの9の設問 と広範 にわた る。 表 1に石垣市にお ける調査設計の概要お よび石垣市の基礎指標 を示す。 表 1 調査概要 1対象地域 2明壬の対象 3棟木の抽出方法 4排本数 サ ンプリング誤差 回答 率、信頼 度 5.配布数 日棚 回収率 6調査方法 7調査実施 日 8明壬実施体 9E)収結 果 沖縄 県石垣市 対象地域 の世帯主 層化二段 無作為抽 出法 (字別 人ロウェイ トに よる振分 ) 377票 5% (50%、1_96) 647票 715% (最低 回収 率583%) 調査票に よる個別面接法 および留置法の併用 平成20年9月8日 (月) か ら9月12日 (金 ) 名桜 大学 ・横 浜商科大学生 (約34名) 有効491票 (回収 率759% ) ー 1 3 1 表2 石垣市 における基礎指標 人 口 47,522 世 帯数 20.491 入込み観 光客数 783 観 光収入 527 市 内純生産 889 道路実延長 2.12 - 人あたり所得 217 病院数 55 病 味数 120 刑法犯罪認 知数 151件 数/人 口1万 7 7 6 5 7 7 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 2 2 2 2 2 出所 「統計いLがき」平成19年版より作成。有効回収票491票 は必要サ ンプル数377票 を上回 り、本調査 は統計的に有効 となった。 次に、 回答者 の特性 である性別 、年齢 、職業に関す る属性別比率は図5、 6、 7の よ うになる。 図5 属性 :性別 図6 属性 :年齢 職業 ① 農漁業 ー7.8一 ② 自営業 課 ◎ 一 般会社 員 版 ① 公 朽 昌.団体准① 主婦
員
l28.4,0.i7% l 4_8% 12.0% 43も ⑦その 他0% 20Il2%1L9% 40% 図7 属性 :職業 4.2満足度 と重要度 住 民意 向調査 にお ける問3では、 「あなたは、次の生活 にお ける改善必要分野 につ いて、 ど の よ うに考 えていますか。 「例」 に従 って5つの分野の相対的な重要度 を 目盛 り上に記入 して 下 さい。 また、生活 においてあなたが感 じる満足度 (充足度) を、分野 ごとに0か ら100点の間 で記入 して下 さい。」 とい う生活満足度お よび分野別順位位 置比較 に関す る質問 を設定 した。 実際のア ンケー ト設 問部分 を図6に示す。 生活満足度 は、抽 出 した重要度 を5つの分野 ごとの得点 に掛 けあわせ た合計得点100点満点 を総合満足度 とす る。分野別満 足度 を各分野100点滴 点に基 準化 し、その平均 と総合満足度 が 等 しいよ うに表 してい る。表3に分野別重要度お よび総合満足度 を示す。 石垣 島にお ける住民は、 ウェイ トが0.25である医療福祉分野 を最 も重視 してい ることがわか り、経済的分野 も0.24と同様 に重視 してい ることがわか った。重み係数 は、5つの評価基準が すべ て同 じ評価 を得 た場合 の ウェイト0.2を基準 と して算 出 され る数値 であ る。重み係数 は、 多基準分析や費用便益分析 にお ける重要度や修正係数 と同義であ り、た とえば医療福祉 であれ ば基準か ら考 える と1.3倍 の 「価値 を持つ」 と評価 され ることとなる。 これ らの ウェイ トか ら 石垣市は、医療への不安解 消 と福祉施設充実 に関す る施策 を重点的に取 り組むべ きことが示唆 - 13 2 一相対位 帝評価法によるAHPを用いた観光地における 住民ナ1uj足度と生活重要度に関する研究 され、満 足度の観 点か らは社会基盤整備 を推進す るべき とい う結果が得 られた。 く問い3> (生 活 における改 善 必 要 分 野 と涌 足 虐)一. 次 に生 活 環 頓 とそ の満 足 度 につい て お尋 ね します.あな T=は.決 の生 活 =お ける改 善 必 要 .分 野 l=つ い て、どのように考 えています か.「側」には つて 三つ 0)分 野 0)相 対 的 な 重 要 度 を目 盛 り上 に喜己入 して下 さい.. ま た.生 活 =お いてあ な f=が 感 じる治 定度 (充足 度 ) を 、分 野ことl=Oか ら100点 のFE罰で 喜己入 して 下 さい . (側 :手士会碁 盤分 野 6主点 ) 一_」 堅 、 <Ju JI> LIでも`_ ≡ l T 一一 ●
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l l l <ji野 番 号 > < j)野 o)内 容 >.. lrigj ① 手土会 基 盤 勇野 (交 通 . 上 下 水 道 な ど) _I ;1. 寺土会 碁 盤 分野 ., A -.≡ ② ほ ミ斉的 分 野 (所 乱 雇 用 、 jE兼 な ど) .…
2
. ほ 清 的 分 野 .. 点 一.: ③ 医 療 福 祉 分野 (病 院 数 L 福 +lJ厚 生 施 設 、 老人 旗 詮 な ど) r言3. tE虎 福 祉分野 -, A -.; ㊥ 生 活 環 gEji野 (犯 罪 空 L コミ処 理 、 景 y?な ど) _. ≡4. 生 活 環 境分野 .I ,5..,; 図8 生活満足度 および重要度 に関する設問 (配布版 を一部改編) 表3 分野別重要度 と総合満足度 的 医療福祉 生活環 ウェイト〝 重み係数 〝*満足度 0.15 0.24 0.25 0.18 0.19 1.00 0.8 1.1 1.3 0.9 0.9 1.0 429 59.8 63.4 52.1 53.6 54.4 4.3 属性か らみた満足度 と重要度 石垣市は市南部 に居住地お よび市街地が集 中 し、北部 には農地や 自然が多いO住民意 向や満 足度、重要度は石垣市 における地域 によって住民の意識 は異 なるはずである。表4には石垣市 における大字 を隣接地域で構成 した地域別 (字別)重要度 と満足度 を示す。 地域別重要度 をみ る と、社会基盤 分野 については美崎町 な どの市街地地域 にお いて0.2と比 較的高 く、医療福祉分野については登野城0.33や北部地域0.37が高い数値 を示 している。地域 別満足度 では、社会基盤分野 にお いて登野城31.8や 北部地域28.2と低 く、経済的分野について は石垣70.4、平得 ・真栄里74.1、大浜75.6な ど市街地地域 において高い数値 を示 しているO この よ うに、アンケー トによって簡易的に把握 できる分野別重要度 と総合満足度は、地域 にお ける住民の意向や問題 点を明示 し、重点的施策 の立案 に関す る有益 な基礎 資料 となる。 - 133-表4 地域別重要度 と満足度 辛 .地域 i土会基盤 穫浦的 医療福祉 生 活環境 教育 票数 結合
〝
満足度 〝 満 足度 〝 満足度〝
満足度 肘 満足度 l 豊田城 O.ll 31.80 0.22 54_46 0.33 76.10 D_l8 50.88 0.16 41_39 88 50.9 2 大川 0.18 51.97 0.21 5lB7 0.21 55.95 0.20 51,30 ロ.20 51.88 31 52.6 3石垣 0.14 37.22 0.33 70.41 0.26 53_93 0.13 36_73 0.14 36_98 37 47.1 4新川 0.13 38.42 0.22 54.18 0_23 65_73 0.l9 5l.88 0_23 62.18 87 54.5 美崎町 5篭八島訂町 0_20 62ー68 0,19 50,78 0_17 50_73 0.21 68.83 0.22 73.29 41 61.3 名蔵 6 ;梢海;; 0.14 33.30 0.24 52_47 0.23 4l.53 0.l5 38.25 0.24 60_l2 1日 45.1 7 :;i 0.15 47.41 0.26 74.07 0.23 65_00 0.17 52.20 0.20 60.04 77 59.7 8 六÷丘 017 5018 027 7564 023 6084015 4996 017 5614 3日 58.6 9 害悪 0.14 45.4
0 0.25 63.92 0_24 59.90 0.19 59.12 0.19 5l.O
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36 55.9 桃里 ・o 軍 票野底漂 0_12 28.20 0.19 42_41 0.37 89,28 0_18 52.06 0.14 37_71 10 49_94
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満足度 に観光が与える影響 に関す る試論 観光 に対す る具体的評価 については大谷 ・仲村(
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において分析 してい るが、全体 とし ては 「自然破壊 が進み」、「将来構想 が よ くわか らない」 とい う否定的な結果 となった。 設問の 選択肢 は 「① たい-ん よい状態」
「② 比較的 よい状態」「
③将来構想 が よ くわか らない」 「④ ま だ不十分 だ」
「⑤ 自然環境が破壊 され てい る」「
⑥反対 だ」で構成 され ていて、① と②が観光開 発 に対 して肯定派 とな り、(9と⑥ が否定派 と位 置づ けることが可能であろ う。 そ こで、地域生活 に関す る満足度 に観光開発 に対す る意 向が与 える影響 について、満足度 と 肯定お よび否定 に関す る意見の クロス分析 を試み る (表5)0 表5 住民満足度 と観光開発 に対する意向の関係 満足度 0-19 20-39 40-59 60-79 80-100 観光開発に「肯定」 0.0% 6.2% 14.6% 29.9% 33.3,i 表5か ら、低い生活満足度 を表明 した住民は観 光開発 に対 して否定的であ り、高い満足度 を 示 した住 民は観光開発 に対 して肯定的であることがわか る。 これ は、満足度 と観光に対す る意 向の関係 を示唆 しているもの と考 え られ、満足度 が高い住民は観光開発 に対す る評価 も高い と い う結果 となった。 - 134-相対位置評価法によるAHPを用いた観光地における 住民満足度 と生活重要度に関する研究
5
おわ りに
5.1 石垣 島における住民満足度 と生活重要度 相対位 置評価 法に よるAHPは、ア ンケー ト回答者 の負担軽減お よび満足度 に関す る設 問以 外 の質問内容 とも組み合わせ ることが容易であ り、観光 に対す る意 向 と住民満足度 な どを組み 合わせ る調査 に適 してい ることが確認 され た。石垣 島にお ける世帯の全体平均か らみた住民満 足度 は54.4と決 して高い とはい えない。分野別生活重要度 は、離 島地域 であるこ とや 医療施設 数か ら医療福祉分野が最 も高 くなったが、住民 にお ける重要度 は観光客の重要度 に関係 してい ることを再認識す る必要がある。 また、満足度 も社会基盤分野お よび生活環境分野 において相 対的に低 い結果 となったが、重要度 と同様 に観 光客が持つ不満 と共通 してい る ことが考 え られ る。 住民満足度 と観光に対す る意 向の関係 について も、試論 ではあるが高い満足度 を示 している 世帯は と観 光に対す る 旨定度 も高い とい う結果 が得 られた。 この ことは、観 光 と地域生活の結 び付 きの強 さを表 してい るものであ り、堀 (2008)のい う 「RS-CS」 が成 立す るこ とを意味 している(〕今後は、 よ りミクロ的な視点か らの観 光政策 目標 と評価 に関わ る理論 の構築が必要 である。 5.2 今後 の課題 と展開 ハ ワイにお ける住民意 向調査 では、 「観 光は問題 よ り大 きな便益 をもた らす のか」 とい う質 問形式である。入谷 ・仲村 (2008)において も、観光開発 に対 して 「良い (良い状態)」 「悪い (自然が破壊 されてい るな ど)」 とい う尺度 によって評価 を行 ってい るO この ことは、観 光地 に おいては よ り詳細 な観光イ ンパ ク トに関す る意向 と数量的分析 が必要な ことを示唆 してい る。 観光政策の 目標 である地域住民の満足度 向上 について、社会指標 と満足度の関係 な ど、理論 の さらなる精微化が必要である。 また、観光に対す る意 向が住民満足度 に与 える影響 については、 クロス分析 に加 えて、相 関 係数や数量化I類、IT類、背後 にある要因を明 らかにす る共分散構造分析 な ど分析モデル を構 築 し、 よ り詳細 に検証す る必要がある(⊂日。観 光政策評価 にお ける分析モデル の精微化 を試み、 住民+.活の満足度 向上 を 目的 とした地域 にお ける観 光開発お よび振興の政策立案方法 について の知見 を得 ることが今後の課題 である。 脚注 】〕岡庭 (1969)、pp.158-161を参照されたいoまた、観光政策 目標の確立に関する基礎的な役割を果たし た観光基本法の考え方については池1二(1998)、p.220に簡潔に整推されているoIJ'観光の影響に重点をおいた住民意向調査は多数存在す るが、た とえば、The Hawal■1Tour・lSm Authorlty (2007)、川根他 (2007)、佐々木 (2006)、十 六銀行 営業企 画 部 (2008)などがあげられるo
H堀 (2008)においても同様の見解が示されてお り、居住者満足 (residentssatlSfactlOn:RS)の向上 が顧客満足 (customerssatlSfactlOn:CS)の向上に繋がると述べ られている。また、本稿においては 23において詳しく論述する。
仙 林他 (2004)におけるQOLは、「経済活動機会
」
「生活サービス機会」
「快適性」
「安全 ・安心」
「環境負 - 135-荷低減性 」の5評価 軸で定義 され ている。 LID)石垣 島にお ける 「観 光」 その ものに関す る住民意 向については大谷 ・仲村 (2008)を参照 されたい0 本縞 においては、「観光振興に対す る評価」のみ4.4において取 り しげる。 (lり作民満足度 については2年毎 のJf任者意見調査、地域 における観光産業関連か らの租税収入に関 しては 税収入報告書、観 光消費額お よび観光客満足度 は毎年 の調査か ら明 らかに してい る。 詳 しくは、Stateor Hawall(2005b)、pp.10-12を参照 されたい。 17)林他 (2004)の研 究では、分野 ごとの項 目を構成す る指標 か ら理想債 と最低限度 の許容量を導 き、そ の数値 の範 囲か ら現状値 を表明 してもら う方式 を採用 している。 この ことによって、実数把捉の閃難件 を 克服 してい るO また、10段階評価 と100点満点方式の結果 を比較検証す ることに よって、結果類似性 もか ら明 らかに しているo fH'AHPの分析手法については、木 F編 (2000)に詳 しい。 川'重要度 とその他指標 に関す るクロス分析 では印南 (2000)、住民意向に関す る数量化理論 については藤 居 (2000)、満足度の要因分析 については河本 ・加賀屋 (2008)な どが参考になるであろ うo
引用文献
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として
」『
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」『
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