北関東医学会奨励賞受賞講演
前立腺癌の増殖に関する基礎研究
群馬大学医学部附属病院泌尿器科 小 池 秀 和 われわれは近年, 前立腺癌の増殖に関する基礎研究の
一つとして Survivin に着目してきた. Survivin は, in-hibitor of apoptosis protein (IAP) のひとつで,多くの癌 で過剰発現が認められるのに対し, 正常組織ではほとん ど認められないことから, 新しい抗癌治療のターゲット になりうる.
ま ず 前 立 腺 癌 細 胞 に お い て, Survivinお よ び そ の splice isoforms である Survivin-2α, -2B, - Ex3の発現 を確認した. 次に臨床前立腺組織においては Survivin mRNA は前立腺癌とくに high-grade cancerで有意に過 剰発現し, ホルモン療法後では発現量は有意に少なく なって い た. Survivin-2B/Survivin mRNA 発 現 比 は high-grade cancer で低下傾向であった.
また In vitroおよび in vivoで Survivin遺伝子に対す る siRNA 導入により細胞, 腫瘍増殖が有意に抑制され た. 続いて, 活性型ビタミン D3 (1α, 25(OH) D ) の抗腫 瘍効果と survivin発現の関連につき検討した. ホルモン 依存性前立腺癌細胞では 1α, 25(OH) D により濃度依 存性に細胞増殖が抑制されたが, ホルモン非依存性前立 腺癌細胞では細胞増殖抑制効果は見られなかった. そこ で, ホルモン非依存性前立腺癌細胞に Survivin-siRNA を導入したところ, 1α, 25(OH) D の細胞増殖抑制効果 が認められた. 本研究は前立腺癌細胞および臨床前立腺癌組織におい て Survivinと spliced isoformsの同定, 定量とその評価 を行ったはじめての報告である. また Survivin遺伝子に 対する siRNA 導入を試み, それによる細胞増殖抑制を 確認した. さらに活性型ビタミン D3の抗腫瘍効果に survivin が阻害的に関与していることをはじめて見出し た.