する. 他に, 大腸 ESD 治療困難症例に対するダブルバ ルーン補助下大腸 ESD, Peutz-Jeghers syndromeの腸重 積に対する DBE による重積解除術, 生体肝移植後空腸 胆管吻合部閉鎖に対するダブルバルーン・胆道鏡ランデ ブー法などの症例報告を行う. 19.腹腔鏡下肝切除の試み 富澤 直樹,荒川 和久,安東 立正 小川 哲 ,清水 尚,田中 俊行 榎田 泰明,濱野 郁美,五十嵐隆通 高山 尚,佐川 俊彦,新井 理記 橋爪 真之,大塚 修,森 一世 豊田 満夫,阿部 毅彦,池谷 俊郎 (前橋赤十字病院 消化器病センター 外科) 萩原 ,飯塚 春尚,萩原 直人 小野里康博,石原 弘(しらかわ診療所 群馬消化器内視鏡医療センター) 【はじめに】 消化器病領域のさまざまな手術において腹 腔鏡手術の適応は広がっている. 肝切除も一部の先進的 な施設では導入されているが, いまだに定型化には至っ ていない. 当院では開腹下での切除が容易と えられる 肝病変に対して, 腹腔鏡下肝切除を試みたのでその経験 について報告する. 【対象と方法】 対象は開腹下での 切除が容易と えられる肝病変で外側区や肝辺縁病変が よい適応である. 肝障害度に関しては現在のところ正常 肝か, 軽度障害肝までが適応と えている. 方法は肝の 授動を腹腔鏡下に行い小開腹 から肝切離を行う腹腔鏡 補助下手術と, 肝切離も腹腔鏡下で行う Pure Laparoと いわれる方法がある. 【結 果】 5例に手術を行い, 2 例は HCC,3例は大腸癌の肝転移であった.HCC 症例は 腹腔鏡下補助下で行い,他は Pure Laparoで行ったが,い ざというときの担保に用手下補助 (Handassisted laparp-scopic surgery: HALS)を併用した.2例は同時性肝転移 症例であったため大腸切除に必要な開腹 から HALS を行った. 肝切離に有効なデバイスとしては前凝固とし てマイクロウエーブ,切離,止血には Monopolar Dissect-ing Sealer, 超音波凝固切開装置 (LCS) が有効であった. 合併症は 1例に軽度の胆汁ろうを認めたが, 保存的に治 癒した. 術後の疼痛は軽微で回復が早い印象であった. 【結 語】腹腔鏡下肝切除は, 症例を選べば肝腫瘍に対 する低侵襲手術となる可能性があると思われた.
F>
20.エンテカビル投与により著明に腹水・浮腫が改善し, その後長期間良好な肝機能が維持できたB型非代償性 肝 変の一例 大塚 敏之,畑中 ,麻 興華 (国立病院機構 西群馬病院 消化器科) 萩原 ,長坂 一三 (利根中央病院 内科) 症例は 55歳, 男性. 昭和 63年より B型慢性肝炎で近 医通院中であったが,平成 18年 9 月より腹水・浮腫が出 現し増悪したため利根中央病院に紹介受診となった. B 型非代償性肝 変の診断で, 安静, 塩 制限, アルブミン 製剤・利尿剤投与の入院加療を行い同年 10月軽快退院し た.しかし,腹水・浮腫が再び増悪したため,平成 19 年 2 月よりエンテカビル (ETV)0.5mg/日を開始したが,症状 軽快しないため同年 3月利根中央病院に再入院となっ た. ETV0.5mg/日を継続し入院加療を行ったと こ ろ, ALT と HBV-DNA は低下し, 腹水・浮腫も消失して体 重 は 85kg か ら 63kg ま で 減 少 し た. 肝 機 能 は Child-Pugh 類で grade C (score 10)より grade B (score 7)ま で改善したため同年 8月退院した. その後利根中央病院 に定期外来通院し, 平成 21年 3月からは西群馬病院へ 通院中であるが,現在 ETV投与 2年 10ヵ月が経過し,肝 機能の悪化, 肝発癌および HBV耐性ウィルスの出現は 認めていない. B型非代償性肝 変においても ETV投 与は有用であると えられた. 21.免疫抑制療法からの離脱に成功したB型肝 変生体 肝移植後の1例 小島 明(桐生市医師会 小島内科医院) 大和田 進 (太田福島 合病院 外科) 【緒 言】 臓器移植施行後の症例では拒絶反応防止のた め免疫抑制療法が不可欠であるが, 免疫抑制に伴う感染 症や発癌率の増加等注意すべき問題点も多く, また薬価 の高い免疫抑制剤の 用による医療費の増大も患者にと り大きな負担となっている. 今回我々は生体肝移植施行 6年後に免疫抑制療法からの離脱に成功した症例を経験 したので報告する. 【症 例】 62歳, 女性. 【家族歴】 母, 姉妹 3名 : HBVキャリアー. 【既往歴】 平成 14年 4月 B型肝 変による肝不全のため群馬大学第二外科 (現臓器病態外科) にて, 長男をドナーとした生体肝移植 施行. 【現病歴】 B型肝 変に対する生体肝移植後状 態及び 2型糖尿病にて当院及び太田福島 合病院に外来 通院し, タクロリムス内服による免疫抑制療法を行う一 方, B型肝炎再燃防止のため HBワクチンによる HBs抗 体価の維持を図っていた. 平成 16年 5月よりタクロリ 283ムスの投与量を 2.0mg/dayより 1.0mg/dayに減量後約 5 年が経過しその間拒絶反応も見られなかったことより, 患者本人の強い希望もあり平成 19 年 4月より免疫抑制 療法からの離脱を図ることとした. 【臨床経過】 平成 19 年 4月 26日よりタクロリムスの投与量を 1.0mg/day より 0.8mg/dayに減量後, 肝機能検査の結果を確認しつ つ 4週 間 毎 に 0.2mg/dayず つ 漸 減 し, 6月 27日 よ り 0.4mg/dayに減量した. 7月 14日に肝胆道系酵素の軽度 上昇を認めたためタクロリムスの投与量を一旦 0.6mg/ dayに増量したが, 肝移植後の 胆管狭窄のため 胆管 に留置されていたステントの閉塞による肝機能障害と判 明しタクロリムスを再度 0.4mg/dayに減量, 群馬県立が んセンター消化器内科にて胆管ステントの 換が施行さ れ肝機能は改善した. その後 9 月 18日にタクロリムス を 0.2mg/dayに減量したがその後も胆管ステントの閉 塞があり群馬県立がんセンターに入院したためタクロリ ムスの減量を一時中止し臨床症状が落ち着くのを待ち, 平成 20年 3月 31日になりタクロリムスの減量を再開し 投与量を 0.1mg/dayに減量, 同年 6月 15日でタクロリ ムスの投与を中止した. その後約 1年半経過した現在も 明らかな拒絶反応は見られず, また HBs抗体価を維持す るために投与する HBワクチンの投与間隔もそれまでの 3∼ 4ヶ月に 1回から年 1回程度で済むようになった. 【結 語】 肝移植後の拒絶反応は最も注意すべき有害事 象であり免疫抑制療法は必要不可欠ではあるものの, 移 植後ある程度の期間が経過し免疫抑制剤の投与量が順調 に漸減できた症例では, 慎重に経過を見ながら免疫抑制 療法からの離脱を検討しても良いものと思われる.
22.予防的 balloon-occlude retrograde transvenous obliteration (B-RTO) 後の胃潰瘍の検討 新井 弘隆,五十嵐隆通,田中 秀典 上野 敬 ,榎田 泰明,濱野 郁美 大塚 修,橋爪 真之,新井 理記 森 一世,佐川 俊彦,清水 尚 豊田 満夫,荒川 和久,田中 俊行 富澤 直樹,安東 立正,高山 尚 小川 哲 ,阿部 毅彦(前橋赤十字病院 消化器病センター 外科) 【はじめに】 バルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (BRTO) は孤立性胃静脈瘤の有効な治療とされている. 治療後に おける様々な合併症が報告されているが, 胃潰瘍の報告 は症例報告が散見される程度である. 【目 的】 予防 的 BRTO後に合併した胃潰瘍について検討したので報 告する. 【対 象】 当院にて BRTOを施行した胃静脈 瘤症例 134例中, 予防的に治療した 71例を対象とした. 緊急例や待機例等の出血例は, 胃粘膜に変化をきたす可 能性のある内視鏡的処置を行なうため除外した. 【方 法】 BRTO後に胃潰瘍を形成した群 (潰瘍群)とそれ以 外の群 (非潰瘍群) で比較検討した. また, Portal hyper-tensive gastropathy(PHG) を伴った症例や 化剤の 用 量との関係も検討した. 【結 果】 BRTO後に胃潰瘍 を形成した症例は,71例中 7例 (9.9%)であった.潰瘍群 vs非潰瘍群の背景因子は以下のとおり. 男女比は 6:1 vs 32:32で, 潰瘍群で男性が多かった. 年齢は 51∼78歳 (平 62±11歳)vs 34∼84歳 (平 64±11歳).門脈圧亢 進の原疾患は全例肝 変で, 成因は (アルコール 2例, C 型 4例,その他 1例) vs (アルコール 6例,B型 4例,C 型 47例,その他 7例)であり,Child 類は (A 4例,B 2例, C 1例) vs (A 45例, B 19 例, C 0例) であった. 胃静脈 瘤の存在部位は潰瘍群は全例 Lg-fで, 非潰瘍群は Lg-f 51例,Lg-cf 13例であった,形態は (F2・6例,F3・1例) vs (F1・6例, F2・46例,F3・12例) であった. 用した
化剤 (5% Ethanolamine oleate with imopamidol; EOI) は, 潰瘍群 33±13ml, 非潰瘍群 34±13mlで差はな かった. BRTO 後 に PHG を き た し た 症 例 は 11例 (15.5%) であった. 化剤は PHG (+) 群 44±12ml, PHG (−) 群 32±13mlで統計学的に有意な差をみとめ た (P<0.01). 胃潰瘍と PHG の重複症例は 1例のみで あった. 【 察】 今回の検討では, BRTO後の胃潰瘍 形成に寄与する因子は解明できなかった. 胃潰瘍と PHG の重複した症例が少なく, PHG の有無は 用した 化剤の量に有意差をみとめる一方, 胃潰瘍の有無は無 関係であったことから, BRTO後の胃潰瘍と PHG の成 因 は 別 の 機 序 に よ る も の と え ら れ た. 【結 論】 BRTO後の胃潰瘍形成は予測不能なため, 治療後には内 視鏡検査による胃粘膜障害の観察が必要である. 多量の 化剤を 用した場合は, PHG の出現に注意が必要で ある. 23.進行肝細胞癌に対する 5FU/高濃度アイエーコール 短期肝動注化学療法の有用性 矢田 豊,神田 大輔,木村 有宏 高橋 和宏,家崎 桂吾,吉永 輝夫 (群馬県共済会前橋病院 消化器内科) 久保田 潤 (同 放射線科) 【目 的】 進行肝細胞癌 (HCC) に対する肝動注化学療 法として Low dose 5FU+CDDP (FP) 療法が普及して いるが, 動注による拘束時間や長期入院による進行癌患 者の QOL 低下などに問題がある. 我々は短い動注時間 と短期入院で施工可能な PF 療法レジメン (5FU/高濃度 アイエーコール短期肝動注療法 : 3 daysFPL 療法) を作 成し, 進行 HCC に対する 3 daysFPL 療法の有効性を検 討した. 【方 法】 2007年 10月より 2009 年 10月まで 284 第 28回群馬消化器病研究会