— 9 —
フランスのエコタックスに対する
ブルターニュの反乱
伊 藤 悟
はじめに Ⅰ フランスのエコタックス Ⅱ ブルターニュでの反対デモの拡大 Ⅲ フランス政府等の反応 Ⅳ この反乱からの教訓 結語はじめに
2013年10月下旬に赤い毛糸の帽子(Bonette rouge)集団による 過激なデモ(manifestation)がフランス北西部のブルターニュ地 方で発生し、それはやがてブルターニュの激怒(crise,colère)と か暴動(fronde)とか赤い毛糸帽の反乱(la révolte des bonnets rouges)とさえ呼ばれた。このデモの標的は、2014年1月1日から 実施予定であった3.5トン以上の重量貨物トラックに走行距離に応 じて課税する対距離課金制度であるエコタックス(écotaxe)であ る(1)。フランスではデモが頻繁にあるので、この反対デモも早々に 終息するものとみられたが、大規模な暴動となり、BFMTVなどの ニュース番組で毎日毎時報道され、政府もこれに対応し、エコタッ クスの廃止か延期かの議論が展開された。 フランスにおける環境配慮の政策は、1972年の国連人間環境会議 (スウェーデン、ストックホルム会議)前後から、日本を含め多く の先進国同様、様々な施策として展開されてきた。環境税は、フラ札幌法学 25 巻 2 号(2014)
ンスにおいても、近年の環境政策の代表的なものとして注目されて いた(2)。その中でも、エコタックスは、2007年の環境グルネル会
議(3)後、当時のサルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領(所属政党は
国民運動連合UPM:Union pour un Mouvement Populaire)の政 権下で提案され、立法がなされ、2014年1月からの課税徴収実施の 準備がすすめられていた。フランスの環境政策を大展開させたサル コジ前大統領が主催した環境グルネル会議、これに基づくいわゆる 「グルネル第Ⅰ法(4)」、「グルネル第Ⅱ法(5)」などによる具体的展 開は、現在のフランス環境施策の基礎をなしている。 環境グルネル会議の手法は、大胆であるが環境市民の声を環境施 策に取り込むものとして評価されるものである。また、その具体的 施策実施のための法律であるグルネル法も、フランス環境政策を推 進し、環境国家としてのフランスをアピールするものとして注目さ れた。環境グルネル会議の成果は、多岐にわたるフランス環境施策 として、実現されようとしている。その一つが環境税(fiscalité de l’environnement)としてのエコタックスである。 環境税は、環境問題を直接解決するものではないが、市場メカニ ズムを通して人の経済活動による環境負荷を軽減する手法として注 目され、1972年ストックホルム会議前後に、北欧を中心とする炭素 税などが実施されてきた。環境税、その響きは、環境市民には心地 よいものである。しかし、環境税は、企業や家計の経済活動への負 荷となり、その導入には経済界や経済的弱者層の市民からの反対も 多くあるのも現実である。 本稿は、環境税であるエコタックスの背景と基本的構造を説明す るとともに、今回のフランスのブルターニュ地方で発生し拡大した エコタックスに対する反乱とフランス政府等の反応を検討すること で、この対環境税反乱を教訓として、基本的には今後の環境時代の 税制として期待されている環境税制の導入過程での課題を提示し、 考察するものである。
— 11 —
Ⅰ フランスのエコタックス
(1)フランス環境税制とエコタックス フランスにおける環境政策は、1972年6月5日ストックホルム会議 の前年1971年に環境行政機関を設立し本格的に始動している。これ 以前は、いわゆるエコロジストによる環境保護運動があったが、左 翼的運動として捉えられ、また保守政権が強かったことから、フ ランスは環境保護政策に消極的であったといえる(6)。しかし、その 後、公害問題の拡大と被害の深刻化、またECやOECDなどを中心 としたヨーロッパにおける環境保護の動きもあり、積極的な環境政 策ではないが、国際的なお付き合い程度の環境政策を実施してい った。1992年地球サミット(ブラジル、リオ・デ・ジャネイロで の環境と開発に関する国際連合会議)を経て、地球温暖化枠組条 約の具体的枠組としての京都議定書を中心とする環境保護に関す る国際的動向もあり、またフランス国内ではミッテラン(François Mitterrand)大統領(所属政党は社会党PS:Parti Socialiste)、シ ラク(Jacques Chirac)大統領(所属政党は国民運動連合UPM: Union pour un Mouvement Populaire)と続く政権による環境保護 政策の進展もあり、特にシラク大統領の政権が環境優先政策を進 め、その成果として、憲法改正として2004年環境憲章(la Charte de l’Environnement)が制定された(7)。このようなフランス環境政策の展開において、OECDによる報 告書「OECD諸国における環境税:問題と戦略(Environmentally Related Taxes in OECD Countries: Issues and Strategies)」 が2001年9月に発表され、フランスにおける環境税の検証がなさ れ、税制諮問委員会(Conseil des impôts)による第23次大統領 への報告書「環境と税制」が2005年に公表された。この報告書の 付録Ⅱ(ANNEXE II)「各分野の環境関連税一覧(LISTE DES IMPÔTS ET TAXES LIES A L’ENVIRONNEMENT,CLASSES PAR DOMAINES) 」では、国税、地方税および関税等を合わせ
札幌法学 25 巻 2 号(2014) て44税目が環境関連税としてあげられている(8)。 このようなフランス環境税の状況の中で、サルコジ大統領の政権 において、更なる環境優先政策がとられ、2007年に環境グルネル会 議が開催され、その成果の一つが「エコタックス」の創設であった。 エコタックスは、環境グルネル会議の成果としてのグルネル第Ⅰ 法第1編第3章第1節11条に規定された。グルネル第Ⅰ法は、次のよ うな編(TITRE)にて57条文で構成される(第1条目的、第57条法 施行)。
TITRE IER: LUTTE CONTRE LE CHANGEMENT
CLIMATIQUE (art.2-art.22)
TITRE II: BIODIVERSITE, ECOSYSTEMES ET MILIEUX NATURELS (art.23-art.35)
TITRE III: PREVENTION DES RISQUES POUR L’ENVIRONNEMENT ET LA SANTE, PREVENTION DES DECHETS (art.36-art.47) TITRE IV: ETAT EXEMPLAIRE (art.48)
TITRE V: GOUVERNANCE, INFORMATION ET FORMATION (art.49-art.55)
TITRE VI: DISPOSITIONS PROPRES A L’OUTRE MER (art.56) このうち、第1編気候変動対策、第2編生物多様性、生態系および 自然環境、および第3編環境と健康に対するリスク予防策、廃棄 物予防策が中心的規定群となる。グルネル会議後、その内容を具 体化する議会における法案審議は、翌年2008年10月8日に国民議会 (Assemblée nationale、フランスの下院)で審議スタートし、同 月21日に議決され、元老院(Sénat、フランスの上院)での審議が 翌2009年1月下旬に始まり、いくつかの修正がなされ2月に議決、そ の後、両議院でのキャッチ・ボールがなされ、最終的に2009年7月 23日に審議終了し、8月3日に法律が成立した(9)。 グルネル第Ⅰ法のうちエコタックスに関する部分は、第1編気候
— 13 — 変動対策第3章運送第1節諸目標に関する規定のうち11条Ⅵに、次の ように規定されている(10)。 Ⅵ 大型トラックの環境パフォーマンス、特に燃料消費に関し て改善するためにいくつかの施策が実施されるべきである。こ の視点から、国は、環境を尊重した運転、いわゆる「エコ運 転」を推奨し、運送提供による温室効果ガスの排出を表示する 停止しなくともよい料金所を設置する。 エコタックスというものが2011年から大型トラックに対して 課徴される。これは、首都圏国道網および交通量増加の見込ま れる地方自治体の道路の利用コストとして課徴される。エコタ ックスは、運送インフラ整備計画の財政目的を有する。そのた めに、税収は、毎年度、フランス運送インフラ整備財務機関 (AFITF)に国道網の部分に応じて充てられる。国は、地方 自治体に、その所管に属する道路網の利用のために徴収される 金額に相当する税収を、徴収諸費用を控除し、償還する。この 賦課金は、渋滞のない幹線道と均衡するように交通量増加を配 慮し一定区間での高額負担変更もなされうる。 エコタックスは、運送業者により、貨物流通の受益者に転嫁 される。その一方で、国は、税の実施に伴う運送業者に向か っての諸施策を研究し、かつ企業に対するその影響を考慮す る。例外として、税の調整を規定する。これは、税率表と課 税道路網の定義に関するもので、ヨーロッパ地域と各地域圏 (région)(11)との国土上の距離を考慮して各地域圏に対する過 度の経済的影響を回避するためのものである。 さらに、政府は、議会に、本法律の施行後3月以内に、問題 点とその影響に関する報告書を提出する。この報告書は、一つ は、44トンの大型トラックの流通承認の拡大に関するものであ り、今一つは、高速道路を走行するすべての大型トラックに対 して時速80キロメートルまでとする速度減速に関するものと大 型トラックの幹線道路での追い越し禁止に関するものである。
札幌法学 25 巻 2 号(2014) エコタックスは、大型トラックの運送に対する燃費規制として、 グルネル第Ⅰ法では規定されている。これは、ヨーロッパ大陸の中 心であるフランスにとって、大型トラックによる陸上貨物輸送の要 所ともなるフランスの状況を考慮し、その通行量の増加によるフラ ンスにおける大気汚染などの環境問題の増加が予想され、その改 善、交通渋滞の緩和、また道路消耗の低減を図ることを目的として いる。 この種の税制は、フランス固有のものでなく、ヨーロッパ大陸 共通のものとしてEU(European Union欧州共同体、フランス語で はUnion européenne:UE)を中心として検討されてきたものであ り、すでにフランスを取り巻くドイツ、ベルギー、スイス、オース トリーなどで採用されている。したがって、環境保全を優先する政 策実現のためにも、隣接諸国との調和も考慮すると、フランスがエ コタックスを採用するのは時間の問題であったといえる。特に、 ヨーロッパの中心的諸国にとって、他国への通過国となることも 多く、陸路での貨物輸送の自由化拡大とともに、自動車、特に大 型貨物トラックの排出ガスによる大気汚染、道路の損耗など、これ らの諸国では顕著に現れていた。それゆえ、汚染者負担原則(PPP :Polluter Pays Principle)に基づく貨物トラック運転手等に対する 費用負担として、環境税であるエコタックス、またはこれに類する 課徴金の支払いを求めることは容易に構想され得る施策である。 (2)エコタックスの基本構造
グルネル第Ⅰ法は、エコタックスの創設基本方針を提示したが、 具体的規定は、2009年度財政に関する2008年12月27日法律第1425号 第153条に規定された(12)。これは、関税法典(code des douanes)
の改正に関するものである。つまり、エコタックスは、関税法典 第10編税関にて徴収される諸税(Taxes diverses perçues par la douane)のうち第2章貨物運送車両に関する国税(Taxe nationale sur les véhicules de transport de marchandises、一般的には「大
— 15 —
型トラック・エコタックス(l’écotaxe poids lourds)(13)」とも呼ば
れている)第269条から283条の5までの諸規定により創設される予 定である(14)。当初、2011年12月31日までに施行する予定であった
が、関係法令の調整が遅れ、2012年度修正財政法律第58条(15)によ
り施行日を2013年1月1日とされたが、これも何度となく延期され、 運送担当大臣と予算担当大臣との共同アレテ(arrêté conjoint des ministres chargés des transports et du budget)で施行日が決定 されるという規定(16)から、最終的には憲法院による関連法である 運送法典(code de transport)を改正する「インフラと輸送サー ビスの諸規定に関する法律」の合憲判決(17)後、2013年10月2日の運 送担当大臣と予算担当大臣との共同アレテ(arrêté du 2 octobre 2013)により、2014年1月1日とされていた(18)。 このエコタックスの基本的構造を紹介する。エコタックスは、 関税法第10編第2章に規定され2014年1月1日から施行される予定の 税である(2013年10月29日のエロー首相の延期宣言により、その 施行は無期延期されている)。この章の内容は、2009年度財政法 律153条の規定により規定され、2014年1月1日以降に施行される関 税法典(19)によると、第1節適用範囲(Champ d’application, Art.269,
Art.270, Art.271)、第2節納税義務者(Redevables, Art.272)、 第3節税の成立要件(Fait générateur et exigibilité de la taxe, Art.273)、第4節課税標準、税率および税率表(Assiette,taux et barème,Art.274, Art.275)、第5節税の確定(Liquidation de la taxe, Art.276, Art.277)、第6節税の納付(Paiement de la taxe, Art.278, Art.279, Art.280)、第7節調査、事実確定、罰則および 訴追(Recherche, constatation, sanction et poursuite, Art.281, Art.282, Art.283)、第8節税収の配分(Affectation du produit de la taxe, Art.283 bis, Art.283 quater, Art.283 ter)および第9節雑則 (Dispositions diverses, Art.283 quinquies)となっている。エコタ ックスに関する情報は、エコロジー・持続的発展およびエネルギ ー省(Ministère de l’Écologie,du Développement durable et
札幌法学 25 巻 2 号(2014) de l’Énergie)の作成したパンフレットやサイト上のQ&A(後掲補 足資料参照)などの情報、関税局からの情報など、種々ある(20)。 ここでは、便宜的に関税法典の構成に従い、以下、エコタックスを 説明する。 A適用範囲 道路網を通行する貨物運送車両は、課税の対象とな る(関税法269条)。この道路網とは、基本的には、道路交通法典 L121-1条に定義する高速道路(有料高速道路を除く)、首都圏道路 および国道、並びに地方自治体が所管する道路(高速道路料金所に 隣接する道路など)である(関税法典270条Ⅰ)(21)。すべてのフラ ンス国内の道路でのエコタックス課徴は、当然、技術的問題もあ り、徴税経費が税収を上回る可能性もあり、現実的ではない。課 税対象道路の詳細は、エコロジー・持続的発展およびエネルギー 省の作成した課税対象道路地図(Réseau soumis à l’éco-taxe poids lourds nationale)がある(22)。課税対象の高速道路等は、税額確定 のために税額確定地点を定め区画される(関税法典270条Ⅱ)。 課税対象となる貨物運送車両とは、3.5トン以上の車両で、国や 地方自治体が有する道路整備用車両、農業用特殊車両(農場内での 牛乳集荷用タンク車など)および軍用車両は除かれる(関税法271 条)。 B納税義務者 本税は、貨物運送車用の所有者、運転手もしくは その使用者により連帯して(solidairement)支払われるべきもの である(関税法272条)。 車両がレンタルされている場合、その借 主等も納税義務者となる。なお、運送法典に基づく運送契約におい て、本税の負担額は運送価格に上乗せされ荷主に転嫁される(運送 法典L3222-3条)。 C税の成立要件 関税法典271条に規定する貨物運送車両により 同270条Ⅱに規定する税額確定地点の通過時に、税要件が充足し、 税も成立する(同法典273条)。 D課税標準、税率および税率表 エコタックスは、課税対象とな る車両の走行距離のキロメートル数を課税標準とする(関税法典
— 17 — 274条)。税率表の各欄には、キロメートル単位税率が課税対象車 種ごとに決定され、この車種区分については、車軸数、車両重量 (積載重量、車体重量)、さらに欧州排ガス規制(23)に従った調整 がなされる(関税法典275条1)。基本となるキロメートル単位税率 は、0.025ユーロ/kmから0.20ユーロ/kmであるが、首都圏との距離 などを勘案して、ブルターニュ(Bretagne)地域圏の道路につき 50%軽減、アキテーヌ(Aquitaine)地域圏およびミディ・ピレネ ー(Midi-Pyrénées)地域圏の道路につき30%軽減がなされる(関 税法典275条2,3)。税総額は、走行した課税道路区画の距離とキロ メートル単位税率とにより決定される(関税法典275条5)。 税率表としては、3つの表が提示されている(24)。表1と表2が基礎 となり、表3はそれらを調整した税率表である(カテゴリ1の電気自 動車であれば、8.8×(1-40%)=5.28ct/kmとなる)。税率について は、2013年当初、カテゴリ1が8ct/km 、カテゴリ2が10ct/km 、カ テゴリ3が14ct/kmであったものを2014年実施につき10%割増しし たのが表1の税率であり、また電気自動車に対する軽減率について も、2013年当初、15%軽減であったのを40%軽減まで上昇させてい る。 表1 車両区分とキロメートル単位税率 表2 欧州排ガス規制に従った加減調整 車両区分 カテゴリ1→2車軸車で3.5t以上12t未満 カテゴリ2→2車軸車で12t以上 →すべての3車軸車両等 カテゴリ3→4車軸車両 →全体として4車軸以上のもの カテゴリ1 カテゴリ2 カテゴリ3 5.28 6.66 9.24 7.48 9.43 13.09 8.36 10.45 14.63 8.8 11.1 15.4 9.68 12.21 16.94 10.12 12.76 17.71 10.56 13.32 18.48 電気 自動車 −40% EUROⅥ EUROⅤ+EEV 電気 自動車 EUROⅥ EUROⅤ
+EEV EUROⅤ EUROⅣ EUROⅢ EUROⅡ EUROⅠ+これ以前 −15% EUROⅤ −5% EUROⅣ 0 EUROⅢ +10% EUROⅡ +15% EUROⅠ +これ以前 +20% 8.8 11.1 15.4 Centimes/km 車両区分 カテゴリ1→2車軸車で3.5t以上12t未満 カテゴリ2→2車軸車で12t以上 →すべての3車軸車両等 カテゴリ3→4車軸車両 →全体として4車軸以上のもの カテゴリ1 カテゴリ2 カテゴリ3 5.28 6.66 9.24 7.48 9.43 13.09 8.36 10.45 14.63 8.8 11.1 15.4 9.68 12.21 16.94 10.12 12.76 17.71 10.56 13.32 18.48 電気 自動車 −40% EUROⅥ EUROⅤ+EEV 電気 自動車 EUROⅥ EUROⅤ
+EEV EUROⅤ EUROⅣ EUROⅢ EUROⅡ EUROⅠ+これ以前 −15% EUROⅤ −5% EUROⅣ 0 EUROⅢ +10% EUROⅡ +15% EUROⅠ +これ以前 +20% 8.8 11.1 15.4 Centimes/km
札幌法学 25 巻 2 号(2014) 表3 車両種別等税率表(単位:centimes d’euro/km) E支払税額の確定 エコタックスの施行後、課税対象の貨物運送 トラックは、首都圏のフランス登録車については車載電子装置(衛 生電波を受信し車の位置を知る、いわゆるGPS(Global Positioning system,全地球測位システム)装置を搭載しなければならない、ま た外国登録車についても課税対象道路を走行するときには同装置を 搭載しなければならない(関税法典276条1)。フランスの対距離 課金制度であるエコタックスの特徴は、このGPS装置搭載により、 課税車両が税額確定地点通過を把握できるシステムを採用したこ とである。したがって、エコタックスは、このGPS装置、車両登録 時に申告された情報およびGPS装置に入力されたデータを用いて、 機械的に収集された情報に基づき支払税額が確定される(関税法 典276条2)。このGPS装置を提供するのが、遠隔税課徴システ ム(télépéage)サービスを提供することを委託されている企業、 エコムーヴ(Ecomouv)社である。エコムーヴ社は、エコタック スの納税義務者との契約により、課税車両につき申請を受け、税納 付の委託を受ける。支払税額の金額については、月間の納税義務者 の課税走行に基づき翌月10日までにエコムーヴ社に伝えられる。な お、納税義務者による税額前払い制度もある(関税法典276条4)。 F税の納付 エコムーヴ社との納付委託をしている納税義務者に ついては、エコムーヴ社への各納税義務者名義での税額通知のあっ た月の翌月10日までにエコムーヴ社により納付額の支払がなされる (関税法典278条)。前払い制度を利用している納税義務者につい ては、納税義務者に納付通知があったときに納付があったものとさ 車両区分 カテゴリ1→2車軸車で3.5t以上12t未満 カテゴリ2→2車軸車で12t以上 →すべての3車軸車両等 カテゴリ3→4車軸車両 →全体として4車軸以上のもの カテゴリ1 カテゴリ2 カテゴリ3 5.28 6.66 9.24 7.48 9.43 13.09 8.36 10.45 14.63 8.8 11.1 15.4 9.68 12.21 16.94 10.12 12.76 17.71 10.56 13.32 18.48 電気 自動車 −40% EUROⅥ EUROⅤ+EEV 電気 自動車 EUROⅥ EUROⅤ
+EEV EUROⅤ EUROⅣ EUROⅢ EUROⅡ EUROⅠ+これ以前 −15% EUROⅤ −5% EUROⅣ 0 EUROⅢ +10% EUROⅡ +15% EUROⅠ +これ以前 +20% 8.8 11.1 15.4 Centimes/km
— 19 — れる(関税法典279条)。 G捜査、事実認定、罰則および訴追 エコタックスに関する法令 違反については、関税分野のものとして処理される(関税法典281 条)。 H税収の配分 徴収されたエコタックスの税収全額は、一 旦、フランス運送インフラ整備財務機関(AFITF:Agence de financement des infrastructures de transport de France)に所管 される。そして、国が地方自治体に当該自治体の課税道路に応じて 税を配分する。 I雑則 税の確定、徴収および必要とされる調査のために、個人 情報の機械的取扱装置がいわゆるフランスの個人情報保護法にあた る「情報処理・情報ファイルおよび自由に関する1978 年1月6日法 律第78-17号」に規定される諸方法に従い運用される(関税法典283 条の5)。
Ⅱ ブルターニュでの反対デモの拡大
今回のエコタックスに対する反対運動が単なる反対デモから暴動 ないし革命とまで言われる反乱に発展し、これは一種の「納税者の 反乱」と評価できるものである。反対運動は、デモ発生の10月下旬 から11月中旬まで毎日のテレビニュースで流れ、フランス全土の注 目するものとなった。その状況について、24時間放送のフランス情 報系テレビであるBFMTVで毎回のように放送された。そのインタ ーネット・サイト(http://www.bfmtv.com/)でも、放送順に掲載 された記事が膨大なものとなり、その重大さが誰にでも理解できる ものとなっている。以下、その主要なものを選択し、この納税者の 反乱について伝える。 (1)小さなデモから反乱へ 前サルコジ大統領の政権下で創設されたエコタックスであ札幌法学 25 巻 2 号(2014) る が 、 そ の 実 施 は 、 技 術 的 な 問 題 な ど い く つ か の 機 能 不 全 (dysfonctionnement)を理由に施行延期され、現オランド (François Hollande)大統領(所属政党は社会党PS:Parti Socialiste)の政権下において、前記2013年10月2日のアレテにより 2014年1月1日からとされていた。 この種の対距離課徴金である税に対する運送業者等からの反対は 想定されるところである。今回のブルターニュでの大規模な反対 運動の一歩も、ブルターニュ地域圏の最西端にあるブレストでの 300人程度の小規模な農業関係企業の従業員による2013年10月14日 (月)のデモであった。これを伝える記事では、このデモは農業関 係企業内のフランス労働組合である労働総同盟(CGT)や労働総 同盟・労働者の力(CGT-FO)の働きかけに基づくものであっ た(25)。このようなデモは、フランスでは見慣れたもので、驚くほ どのものではないと見られた。 このデモに呼応して、その後、トラック運転手、サラダ用野菜 生産農家などによる静かなエコタックス反対デモが1週間ほど続い た。静かな反対デモを一変させたのは、2013年10月26日(土)の夕 刻から深夜まで続いたデモであった。このデモは、この後続く暴動 ないし革命とまで言われた反対運動の拡大の口火となるもので、か つ象徴的な「赤い毛糸の帽子(Bonette rouge)」をかぶった1000 人ほどのデモ隊が警官隊とフィニステール(Finistère、県番29) 県のポン・ド・ブュイ(Pont-de-Buis)にあるエコタックスの象徴 である探知レーダーを整備したゲート橋(portique écotaxe)の近 くで衝突し、ケガ人も出した(後に刑事裁判となる)(26)。この納税 者の反乱ともいえる暴動の象徴となった「赤い毛糸の帽子」は、ル イ14世の治世において1675年に起きたブルターニュ人の新税反対運 動を参考としたものであると言われ、アルモール・リュク(Armor Lux)社が在庫を提供したものとされている(27)。また、このデモ は、労働組合が組織したものでなく、「ブルターニュでの雇用のた め(pour l’emploi en Bretagne)」という呼びかけで集合し(28)、エ
— 21 —
コタックス反対デモ行動がとられたことで、いままでのフランスの 統制されたデモ行動と異なる特徴があるとの指摘もされた。それゆ え、2013年10月29日には、エロー(Jean-Marc Ayrault)首相(le Premier ministre)によりエコタックス実施の全国での無期限停止 (Une suspension nationale à durée illimitée)が宣言された(29)に
もかかわらず、統制されないデモ行動は、暴徒として、信じられな い暴挙に及び、エコタックス廃止(suppression)を求めたものと 理解することができる。 そして、この暴挙を代表する行動がGPS装置の探知レーダーの破 壊行動である。最初の放火破壊(または焼討)は、2013年11月2日 (土)午後のモルビアン(Morbihan、県番56)県サン・アルース トル(Saint-Allouestre)で始まった(30)。また、赤い毛糸の帽子を 身に着けた15,000人から30,000人(参加人数は取締側とデモ側での 違い)が参加した大規模なデモも、フィニステール県の県庁所在 地カンペール(Quimper)で発生した(31)。その後、ブルターニュ 各地で、暴徒化したデモ隊により、レーダー装置が破壊焼払われ た。破壊されたレーダーは40以上にもなるとも言われている(32)。 破壊されたレーダーの1基当たりの平均価額が30,000ユーロ(日本 円で、1ユーロ=135円とすると、何と4,000,000円以上、高度電子機 器であるレーダー装置は高額機器でもある)とされ(33)、またゲー ト橋などの整備1組の価額については500,000ユーロから1,000,000ユ ーロ(日本円で1億円以上)ではないかとも言われ、その被害額も 高額となっている(34)。 ニュース番組で毎日のように放送された「赤い毛糸の帽子」の反 乱は、やはり過激すぎであり、各労働組合や農業関係団体、特に ブルターニュ地方の反乱の中心的役割を演じた農業経営者組合フ ィニステール県連合会(FDSEA : Fédération Départementale des Syndicats d’Exploitants Agricoles)の上部組織である農業経営者 組合全国連合会(FNSEA:Fédération nationale des syndicats d’exploitants agricoles)からも批判があり、またレーダー破壊の
札幌法学 25 巻 2 号(2014) 現行犯逮捕などもあり、11月20日以降には鎮静化したようであり、 ニュースでとり上げられることも少なくなった(19日にサッカーの フランス代表がウクライナに勝ちブラジル・ワールドカップ出場を 決めたニュース、さらにパリで発砲事件があり、ニュース番組はこ れらのニュースばかりとなり、エコタックス反乱はかき消された感 じもある)。この時期のエコタックス反乱に関するニュースの最 後のものとしては、11月30日(土)に赤い毛糸帽子集団による統制 された大規模なフィニステール県でのデモ(35)と貨物トラックによ る高速道路などでのノロノロ運転による渋滞誘導行動(opération escargot)が組織的に各地で行われたというものであった(36)。この 反乱の影響か否かは別として、オランド大統領が税制改革の抜本的 見直しをすると発言し、エロー内閣もエコタックスには時間が必要 であるとし、その実施は、この抜本的税制改革まで延期されるとみ られている(37)。すなわち、エコタックスの実施は、早くとも2015 年となるようである。 エコタックス反対運動は、11月中の2週間ほどの短期間の過激な ものであったが、フランスを動かした事件であった。 (2)デモの背景~なぜブルターニュ エコタックス反対の運動行動は、若干の例外もあるが、基本的に は、ブルターニュを中心に発生した。エコタックスの基本構造でも 記述したように、ブルターニュの道路については50%減額措置が講 じられていたので、反対する理由というものが一般的に理解できな いところもある。 「なぜブルターニュ」で反対デモが起きたのか。 まず、ブルターニュ地方は、観光でパリからブルターニュ地方の 入口にあるモン・サン・ミシェル(Mont St. Michel)までバスな どで行くと理解できるであろうが、モン・サン・ミッシェルとパリ との距離が360kmとも言われることから、地理的に相当の距離が首 都圏からあるということである。この地理的要因が一つの理由とし
— 23 — て理解される。この地理的要因だけでも、ブルターニュ地方は、特 に最初のデモ発生地であるフィニステール県は、この理由だけで、 エコタックス実施による一つの経済的制裁を受けるのと同様でもあ るとされる(38)。また、この地方では、農業従事者と農業関係企業 従事者で産業活動人口の30%にもなることも理由とされる(39)。フラ ンスの経済不況もあり、ブルターニュの主要産業である農業関係産 業も不況下に陥っており、失業問題も深刻となっていた。そこに エコタックスの課税によるさらなる経済悪化が想定された。したが って、これら関係者がエコタックス反対運動の中心となったといえ る。 もう一つの理由として、ブルターニャ地方には有料高速道路が殆 んどないことである(40)。エコタックスは、無料の高速道路での3.5t 以上の貨物トラック走行を課税対象としていることから、パリやリ ヨンの近郊の高速道路が殆んど有料であるのに対して、パリからブ ルターニュ地方への国道は、無料で走行できる。このため、50%減 額措置があるとしても、その走行距離を考慮すると、エコタックス 負担に反対する理由があると言える。 したがって、一般的な労働組合主導のデモと異なり、今回の反対 運動は、労働者もいるが、農業産品生産者、農業関係企業の経営者 およびその従業員、その他商工業者なども参加したものとなってい る。過激な行動は、労働組合による統制されたデモでないが故の所 為であるとも言える。最初の過激デモから2週間ほどで、正統派の 労働組合等がこの反対運動に対して批判したのも、異常な反対運動 であったが故であろう。 この納税者の反乱とも言える今回のブルターニュでのエコタック スに対する反乱は、最終的にはその廃止を求めており、環境税制の 導入に関して様々な教訓を私たちに示したものと考えられる。
札幌法学 25 巻 2 号(2014)
Ⅲ フランス政府等の対応
(1)政府対応 先にも記述したように、政府は、2013年10月29日にエロー首相 による発言として、エコタックス実施の無期限延期を提示した。 すなわち、廃止を求めていたエコタックス反対運動に対して、 首相は「実施停止であって、廃止ではないSuspension n’est pas suppression」と発言したに留めたのである(41)。これも、反対行動 がこの後も続いた一つの原因ともいえる。 その一方で、延期宣言の前、エロー首相は、エコタックスと関係 のある大臣らと会見し、またブルターニュ地域圏議会議員らとも 会見している(42)。これにより、政治的調整は整えられたかに見え た。しかし、フランス国会の下院・国民議会でのエコタックスに関 する議論は、2009年にエコタックスを創設した野党・国民運動連合 (UPM)とそれを施行まで導いた与党・社会党(PS)との間での 責任のなすり合いという体をなしていたと見る。 他の政党の反応は、いろいろである(43)。極右政党の国民戦線(FN:Front national)のル・ペン(Marine Le Pen)代表は、 満足のいく決定ではないと表明し、廃止がトラック運送業者、農 民、農産品加工業者には頭上の「ダモクレスの剣(une épée de Damoclès)」(古代ギリシャ史での逸話、絶え間のない危険(un danger constant)を意味する)のごときものと批判した(44)。ヨ
ーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV : Europe Écologie - Les Verts)は、実施停止がブルターニュの反乱に対する何の解決にも ならないし、一般利益に役立つものでなくブルターニュの利益にも ならないとする旨を表明した(45)。 エロー首相の延期宣言には各方面からの反応があり、政治的問題 としても重大なものとなった。その後、先に記したように、税制の 抜本的改革提言が出され、エコタックスの実施は、この税制改革後 とみられている。
— 25 — (2)市民の対応 このブルターニュのエコタックス反乱に対して、政府がエコタッ クスの無期限延期を表明したことに関する市民の反応は、想定され る範囲のものであった。BFMTVの10月末での調査では、賛成回答 33%、まあまあ賛成回答34%、やや反対回答22%、反対回答11%と いうもので、79%もの賛成傾向の回答が得られている(46)。過激な反 対運動を鎮静化するためには、廃止が一番であろうが、政府として の実施延期選択は、妥当なものという市民の反応であろう。ブルタ ーニュを発端に起きたエコタックス反対運動が、結果的に、他の地 方への拡大し全国的反対運動となるには至らなかったことも、この ような市民の反応となるものと想定される。 フランス市民の税に対する不満(Ras-le-bol fiscal)は、常にあ る。特に付加価値税の値上がりと所得税増税に対する不満がこのブ ルターニュの反乱と呼応し、延期宣言以後、小規模な反税デモが続 いた。特に、乗馬に関する付加価値税が7%から20%に税率引上げ されることに対する乗馬関係者の2000名規模のデモがパリ市内で行 われた(47)。 過激な赤い毛糸帽の反乱に賛同しない市民が多数を占めるのは、 想定内のことである(48)。しかし、エコタックスそのものに対する 考えは、賛否いずれにも決しがたいという状況である。 (3)エコムーヴ社の対応 フランスのエコタックス制度において特徴とされる点がGPS機器 装置による税課金である。この課金システムを独占的に委託され ているのがエコムーヴ(ecomouv)社である。エコムーヴ社は、 Autostrade per l’Italia(イタリアの高速道路課金担当企業)が70% 出資、それ以外をThales(フランスの大手電機企業), la SNCF (フランスの国鉄), SFR(フランスの携帯電話オペレーター企 業)およびSteria(フランスIT通信企業)が出資し(49)、これらの企
札幌法学 25 巻 2 号(2014) 同企業は、エコタックスの無期限実施延期のエロー発言により相 当の打撃を受けたともみられるが、制度の廃止ではないことから、 対象となる貨物トラック所有者等とのGPS装置搭載および税納付委 託に関する契約を継続して行うこととなり、また、すでに設置した 税課徴のためのレーダー等の課税確認装置の点検補修、さらに破壊 されたものの再設置なども行わなければならない。これらの経費を どのように工面するかも財政的課題ともなっている。すでにフラン ス政府は相当額の設備投資資金をエコムーヴ社に対して支出してお り、今回の破壊されたレーダー装置などの経費を誰が負担するの か、政府か、損害賠償として破壊者か、将来のエコタックス納税者 か、問題となっている。対距離課徴金システムへの初期投資が相当 額に及ぶことはよく知られており、ドイツなどでも、長期に渡り資 金回収するものとされている。日本の高速道路建設費も通行料金で 回収するというシステム設計である。 なお、年間11.5億ユーロ(日本円で、1ユーロ=135円とすると、 1,552億円以上)の税収が期待されているエコタックスの課徴を一 手に受託しているエコムーヴ社に対する疑念は、いくつか提示され てもいる。特に、税収のうちに占める徴税経費2.5億ユーロは、一 般的な徴税経費率が10%程度であるのに対して、20%を超えている ことに対する不満的疑問が以前から提起されている(50)。今回の反 乱を機に、エコムーヴ社への疑念が再燃しつつある。
Ⅳ この反乱からの教訓
このブルターニュ地方でのエコタックス反対デモは、一地方での 小さな反対デモから次第に大きな反対運動となり、フランス社会に 大きな波紋として広がり、様々な問題を投げかけたといえる。ここ では、環境税に対する反対運動であったブルターニュの赤い毛糸の 帽子集団の革命的運動からの教訓として、環境税に対する社会的課 題としての社会的合意形成の重要性について、環境税に関する経済— 27 — 的負担の妥当性として提言される価格シグナル論について検討す る。 (1)社会的合意形成の重要性 環境税が世界的に認識されて相当の年数が経つが、その導入にお いて常に問題とされるのが「社会的合意」の形成有無である。基本 的な環境政策実現過程における環境税実現の過程は、環境税導入政 策提言があり、それが具体的立法として審議され、環境税法令が施 行され、行政的執行と環境税運用による環境施策の実現となる。こ の過程において、市民による環境税への合意は、民主主義というシ ステムの中で、選挙などの政治過程、立法過程、行政過程におい て、所与のものとして存在するものとされる。 まず、今回の反対運動において注目すべきは、二大政党AとBが 支配する国の場合、A政党政権下で成立したA政党の政策実現を目 的とする法令を、政権交代したB政党政権下で施行しなければなら ないのかが問われた。政権政党として、自党の政策と合致しない法 令とその執行は、議会での廃止案を審議し、廃止決議することによ り、この種の問題は一応解決する。しかし、環境政策のように「良 いもの」として認識されているものは、政権交代があったからとい って、容易に修正や廃止ができるというものでもないであろう。よ い政策としての社会的合意が成立しているものに逆行する政策は、 社会的合意が得にくいものと考えられる。しかしながら、一度成立 した社会的合意により一部地域ないし集団にとって悪い社会的経済 的状況を生じさせるとき、ここに別の社会的問題が発生し、この解 消が新たな政策実現として要請される場合もある。今回のブルター ニュの反乱は、まさにこのケースである。結局、フランス政府は、 廃止ではなく、実施延期という妥協策とも言える方法を採用した。 それゆえ、廃止を求めた反乱集団は、さらに暴徒化し革命的運動に まで拡大した。 環境保全政策は、1970年代から多くのものが実現されてきた。
札幌法学 25 巻 2 号(2014)
それは、美辞麗句の響きもあり、ファッション的感覚で実現され てきたともいえる。たとえば、国際的スローガンとして「地球規 模で考え、足元から行動を(Think globally, act locally)」、 「かけがえのない地球(Only One Earth)」、「持続可能な開 発(Sustainable Development)」など、また環境原則として認識 されている「汚染者負担原則(PPP :Polluter Pays Principle)」や 「予防原則(precautionary principle)」などは、「良いもの」と して誰もに受け入れられ、これらに反対する人は殆んど皆無であろ う。これら原理原則的事項に対する社会的合意は、容易に形成され るものである。しかし、環境税のような環境経済施策の実現に対す る社会的合意は、経済主体で負担を強いられる企業や家計にとっ て、直ちに受け入れられない場合もある。特に、経済的弱者である ものにとって、わずかな金額の環境税であっても、これは厳しい負 担となる。よくある「総論賛成、各論反対」という状況をいかに解 決するかが問題である。オランド大統領は、エコタックスについて 「良い原則に基づくが、時間が必要」と述べた(51)が、この問題は 時間の経過により解決するとも思われない。 エコタックスは、フランス国内問題のみならず、ヨーロッパ大陸 の問題でもある。EUは、地球温暖化対策として採択された気候変 動枠組条約の具体的枠組協定としての京都議定書に対応するために 環境保全の政策統合(EPI :environmental policy integration)の一 環として、1999年に重量貨物トラックの道路走行に対する税課徴金 制度に関する指令(Directive)を発令している(52)。いわゆるロー ド・プライシングとしての税課徴金の課徴は、加盟国にとって義務 ではないが、すでにドイツ、ベルギーなどで採用されている(53)。 一方、スペイン、イタリアなどは未だにこれを採用していない。 フランスのエコタックス問題は、その導入において、国内的には 前政権の環境政策への当時の社会的合意の成果であり、かつ国際的 にはEUという国を超えた社会的合意があったことを考慮しなけれ ばならない。ヨーロッパ共通の政策である重貨物運送トラックの走
— 29 — 行に対する環境政策の一環である経済的取組としてのロード・プラ イシングに対しては、「良いもの」であることの社会的合意がすで にあり、これに関する国内的社会合意をいかに形成していくかが課 題として提示されている。フランスは、前政権においてグルネル会 議を開き環境保全政策につき社会的合意をえて、それに基づく法的 枠組を形成し、現政権下でその施行を待つのみであったが、今回の エコタックス反対運動・反乱は、環境税に対する社会的合意形成の 重要性を再確認するものとなった。フランスは、オランダの二の舞 になるのか(54)、今後とも見守る必要がある。 (2)価格シグナルとしての環境税負荷 環境経済の研究において、環境税などの負担につき、「価格シグ ナル(signal prix)」という用語が使用される。価格シグナルとい う語は、一般的に知られていないかもしれないが、環境政策論では 一般的に使用され注目されている。環境税などの市場メカニズムを 活用した環境保全施策において、環境税などの経済的賦課額が市場 での取引価格に転嫁上乗せされることで、価格インセンティブが環 境保全行動として働くことが期待されるために、環境税などの額が 環境保全行動のための価格シグナルとして企業や家計に示されるべ きであると考えられている。つまり、これは、環境負荷となってい る経済的行動に環境税を課することで、環境税額相当の価格上昇が あれば、需要が減少し、また供給も減少することで、環境負荷行動 も減少するとの理論に基づいている。 環境政策手法において価格シグナルとしての環境税をどのように 設定するかは、様々な角度から検討されなければならない。経済理 論として価格シグナルが適正に環境保全につながるとしても、これ を具体化する政治過程、立法過程においての調整が難しいものと理 解する。 環境税に限らず、環境政策決定は、科学的知見に基づく調査・研 究がなされるべきである。これら調査・研究により、環境税が適正
札幌法学 25 巻 2 号(2014) に環境保全に役立つものであるという結論が出たとしても、簡単に 環境税が導入されないのも事実である。 フランスのエコロジー・持続的発展およびエネルギー省は、エコ タックスが価格シグナル理論に基づくものとする。しかし、現在フ ランスにおける経済不況、失業者の増加、政権への不支持など、エ コタックス導入に関するマイナス要因が多かったこともあり、単に ブルターニュの反乱のみがエコタックスの無期限延期の要因と考え るのは短絡的である。このような状況では、いかに価格シグナルと して適正であるとされたエコタックスであっても、その実施が容易 でないことは、今回のフランス事例から認められる。 経済理論としての価格シグナルである環境税は、一度導入される と、その市場影響などのアウトカムを再び検討し、政治・立法過程 を通じて改善される。これは、導入時に科学的知見として経済学的 手法による費用便益分析等がなされているが、実際の運用における 結果分析が必要となることを意味する。したがって、環境税は、常 に政治的法的判断がなされる。環境税の価格転嫁は、経済活動の一 つであり、これ自体は政治的法的事項ではない。今回のフランスの 事例では、運送法典において税転嫁を認めた。このような立法措置 が必要であるか疑問でもある。租税転嫁が予定されている間接税に 関する日本の税法令(税制改革法を除く税実定法)においても明確 に租税転嫁を規定してはいないのである。したがって、価格シグナ ルとしての環境税の創設・改定は必ず政治的法的評価を受けるが、 それが価格インセンティブを発生させるか否かは市場における価格 設定という経済的評価に基づくものである。フランスのように転嫁 を法令において規定することは、フランス憲法院でも問題になった ように、基本的人権である自由権からも問題が提起されることにも なる。 また、経済理論に基づく価格シグナルである環境税は、税である 以上、厳格な税法定原理(租税法律主義論)に基づき、成文法令に おいて、その税要件を明確に規定されなければならない。税方式で
— 31 — あろうが、課徴金(税外)方式であろが、国家が市民に経済的負担 を強いるには、市民代表である議会での審議を通して、法令に基づ き実施されるべきである。その意味において、価格シグナルは、経 済事象ではなく法的事象として捉えるべきものとなる。
結語
環境税の導入に対する社会的合意形成は難しいものである。今回 のフランスのエコタックスに対するブルターニュの反乱は、それを 再び確認させられるものとなった。環境税の導入に関する社会的合 意形成には、従来の新税導入とは異なる政治・立法手法が必要であ る。つまり、環境税や環境施策の実施には、従来の単に選挙などを 通した議会における多数派支配があることで社会的合意の裏付けで あるとする間接民主主義システムを前提とするものでなく、グルネ ル会議や地球サミットのように、市民参加型の協議を通して、いわ ゆる直接民主主義手法を取り入れた政治・立法手法を用いた社会的 合意形成が要請されるといえる。これは、1994年の日本の環境基本 計画の長期目標の一つとして「参加」があげられていたので、昨日 今日のものでなく、環境保全政策論では当初から想定されていたも のである。しかし、その実施が課題となっていた。 今回のフランスにおけるエコタックス導入は、2013年10月29日の エロー首相の無期延期宣言により、実施失敗に終わった。その導入 に向けて、政府は、市民参加型の社会的合意手法を採用したが、政 権交代、経済不況、失業者の増大、政府不信などの諸要因もあり、 結果は残念なものとなった。しかしながら、フランスを取り囲むヨ ーロッパ地域でのロード・プライシング採用が進んでおり、フラン スでのその実施も必ずなされるものである。フランスが実施しない 限り、そこに隣国等からの重量貨物トラックが何等の経済的負担な くフランスの道路を走行する、いわゆるフリー・ライダー状態が続 き、フランスは、ドイツでの環境税が二重配当効果(課税により環札幌法学 25 巻 2 号(2014) 境保全効果もあがり、かつ税収で社会保障対策もできた)をあげた のに対して、逆ないし負の二重配当のような状況、つまり大気汚染 等との環境保全経費負担と道路保全経費負担を環境税収入なく支出 しなければならない。 一般論として、道路インフラ整備は、行政としても重大な施策で あり、その財政支出も巨額なものとなる。道路インフラ整備は、ま ず道路運送上の需要を満たす道路網の開発とその整備維持が中心と なるものと理解する。しかし、これは、環境時代になり、排ガスに よる大気汚染問題などの公害が指摘され、道路インフラ整備として の道路網の拡充と整備をしつつ、環境保全にも配慮しなければなら ないのが今日的要請であり、そのための税財政構造が求められてい る。その一つが今回のフランスでも採用された対距離課徴金シス テムであるロード・プライシングである。高速道路が有料で、かつ かなり高額負担が強いられている日本では、その導入は厳しいもの と考える。フランスのものは、有料高速道路を除き、一般国道で渋 滞が予想される首都圏域の道路網を課税対象道路としたところに特 徴があるが、その実施には初期投資に相当な資金量を要する。ロー ド・プライシングは、システムとして、PPPからみても、費用便益 からみても、また有効な環境保全施策としても、有用なものと理解 する。ただし、その実施には、行税財政的課題が多すぎる。 最後に、今回のフランスでのエコタックスへの反乱は、1978年ア メリカ合衆国カリフォルニア州での資産税に対するプロポジショ ン13を想い起させ、「納税者の反乱(taxpayer’s revolt)」と思え た。反対運動が過激であった時期、毎日のように、そして時間経過 とともに、新たな反対運動に関するニュースがテレビ報道され、こ のフランスの「納税者の反乱」はフランス全体を震撼させた事件で あった。税制論において、新税、増税は常に課税対象や納税義務者 にとって「悪いもの」であるともいえるが、新しい税制としての環 境税は、基本的に、環境時代に期待される「良いもの」と信じてき た。その信念は揺るいではいないが、今回の反乱は、その導入の困
— 33 — 難性を再確認するものとなった。 なお、本稿は、平成25年度札幌大学研究助成による研究成果の一 部である。 脚注 1 このエコタックスについては、すでに、ジェトロ通商弘報(526a02b4bc3b8) において「トラック走行課税のエコタックス制度を開始へ―2014年1月1 日から3.5トン以上の貨物車が対象―(フランス)」 (http://www.jetro. go.jp/biznews/526a02b4bc3b8)、また国立国会図書館『外国の立法』256-2 (2013年8月:月刊版)短信・海外立法情報課・服部有希「【フランス】重 量貨物車課金制度」(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8262627_ po_02560212.pdf?contentNo=1)と題してそれぞれ紹介されている。なお、 エコタックス(écotaxe)という語から、「環境税」がイメージされる。エ コタックスも広い意味では環境税であるが、フランス語の「taxe」は、税 (impôt)であるというよりは課徴金、料金に近い性質のものである。それ ゆえ、本稿ではécotaxeを原語読み通りの「エコタックス」と訳したが、厳 密には他のエコタックス(日本的に言えば、家電リサイクル料金に相当する écotaxeがある)または広い意味での環境税と区別するために「大型トラッ ク・エコタックス」もしくは「大型トラック走行課徴金」が内容を的確に表現 するともいえる。
2 フランスにおける環境税の代表的研究報告として、Conseil des impôts France, « Fiscalité et environnement »,Vingt-troisième rapport au Président de la République,2005 (http://www.lexisnexis.fr/pdf/DO/rapport. pdf)およびRevue française de finances publiques No114 «Fiscalité et
environnement»,2011。また、走行課徴金については、Séverin Frère, Helga-Jane Scarwell(éds)«Éco-fiscalité et transport durable:entre prime et taxe? », Presses Universitaires du Septentrion,2011.
3 環境グルネル会議とは、前フランス大統領ニコラ・サルコジ主導で開催され、 気候温暖化防止、生物多様性および健康の3つをテーマとし、国、地方自治 体、労働組合、企業および市民団体の代表による多様な分野の専門家が作業分 科会にて環境対策等につき協議したものであり、また一方、サルコジ前大統領 はエコロジー・持続可能開発整備省を創設し、広範囲の環境対策施策を推進す ることとした(在日フランス大使館広報部『フランス・ジャポン・アンフォ』 19号、2007年7月参照)。
4 Loi no2009-967 du 3 août 2009 de programmation relative à la mise en oeuvre
du Grenelle de l’environnement(JORF no0179 du 5 août 2009 page 13031
札幌法学 25 巻 2 号(2014)
法」。なお、本稿でのフランス法令の参照引用は、フランス政府の法令検索サ イトであるレジフランス(http://legifrance.gouv.fr/)からによる。
5 Loi no2010-788 du 12 juillet 2010 portant engagement national pour l’
environnement(JORF no0160 du 13 juillet 2010 page 12905 texte no1).
6 門彬「『環境憲章』制定のためのフランス憲法改正法案」国立国会図書館 『外国の立法』No.222(2004年11月)サイト掲載PDF版2頁記載のフランス における環境問題(歴史的背景)を参照( http://www.ndl.go.jp/jp/data/ publication/legislation2004.html)。
7 Loi constitutionnelle no2005-205 du 1er mars 2005 relative à la Charte de l’
environnement (JORF no0051 du 2 mars 2005 page 3697 texte no 2).
8 注2前掲・税制諮問委員会23次報告書(2005年)135-140頁掲載の環境関連税一 覧は以下の通りである(一部邦語訳、略語凡例は筆者による)。
Taxe sur les nuisances sonores aériennes 航空機騒音税 TGAP Déchets ménagers et assimilés 清掃ごみ等汚染活動 一般税
TGAP - Contribution visant à l'élimination des déchets résultant de la distribution gratuite d'imprimés non sollicités ごみ処理負担汚染 活動一般税
TGAP Déchets industriels et spéciaux産廃等汚染活動一般税 Taxe d'enlèvements des ordures ménagères 家庭ご み収集税
Redevance d'enlèvement des ordures ménagèresごみ処理 手数料
Redevances d'enlèvement des déchets ménagers des terrains de campingキャンプ場ゴミ処 理手数料
Redevance spéciale pour l'enlèvement des déchets industriels et commerciaux 産 業廃棄物収集特別手数料 Organismes gérant les aerodromes 空港管理機関 Etat国 Etat国 Etat国 Collectivités locales (Communes ou EPCI) 地方自治体 (コミューンまたは コミューン間協力 公施設法人) Collectivités locales (Communes)地方 自治体(コミューン) Collectivités locales (Communes ou EPCI) 地方自治体 (コミューンまたは コミューン間協力 公施設法人) Collectivités locales (Communes ou EPCI) 地方自治体 (コミューンまたは コミューン間協力 公施設法人) Bruit 騒音 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物 Déchets 廃棄物
Code des douanes 関税法典 article 266 Code des douanes article 266 Code des douanes article 266
Code des douanes article 266 CGI租税一般法典 articles 1520 à 1526 (communes), articles 1609 bis, quater, quinquies C et 1609 nonies A ter et D (groupements) CGCT地方自治体 一般法典 article L 2333-76 CGCT article L 2333-77 CGCT article L 2333-78 30 213 Non encore applicable 14 4 035 408 (1) 3 (1) 29 (1) 税 目 主 体 分野 参 照 税収(百万€)
— 35 —
TGAP Huiles et préparations lubrifiantes オイル等汚染活動 一般税
Redevances d'eau potable et d'assainissement des collectivitésdd 上下水道料金 Redevance pour occupation ou prélèvement dans le domaine fluvial河川域占有等使用料 Redevance pour prélèvement 取水料金
Redevance pour la détérioration de la qualité de l'eau (dite redevance pollution)水質悪化 課徴金(いわゆる汚染課徴金) Redevances sur la consommation d'eau distribuée dans toutes les communes bénéficiant d'eau potable publique上水道 利用コミューン水道料金 TGAP -Préparation pour lessives 浄化準備汚染活動一 般税
TGAP ‒ Produits antiparasitaires 駆虫製品汚染活動一般税 Redevances piscicoles 養魚料 金
TIPP石油製品内国税 Taxe sur les carburants dans les
Départements d'outre-mer 海 外県燃料税
Taxe intérieure de
consommation sur le gaz naturel (TICGN)天然ガス 消費内国税
Taxe sur les fournitures d'électricité sous faible et moyenne puissance通常電力 供給税 Etat国 Collectivités locales 地方自治体 Etat国 Agences de l'eau河 川流域局 / ODAC中央行政 機関 Agences de l'eau河 川流域局 / ODAC中央行政 機関
Etat (fonds spécial du trésor)国(国庫 特別基金) / ODAC中央行政 機関 Etat国 Etat国
Etat (fonds spécial du trésor)国(国庫 特別基金) Etat国 Collectivités locales 地方自治体 Etat国 Collectivités locales 地方自治体 Déchets 廃棄物 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Eau 水 Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー
Code des douanes article 266 CGCT articles L.2224-6 à 12 Loi n°96-314 du 12 avril 1996, article 55 Loi n°64-1245 du 16 décembre 1964 (modifiée), article 14 Loi n°64-1245 du 16 décembre 1964 (modifiée), article 14 CGCT articles L.2335-9 à 14
Code des douanes article 266 Code des douanes article 266 Loi du 16 octobre 1919 / Décret 95-1205 et décret 99-872 / "taxes piscicoles" article L.436-1 du code de l'environnement Code des douanes article 265 Code des douanes -article 266 quater Code des douanes
article 266 quinquies CGCT articles L.2333-2 à 5 (communes), articles L. 3333-2 à 3 (départements), article L. 5212-24 (syndicats de communes) 20 9 036 (3) 79 (3) 285 (1) 1 355 (1) 91 (1) 62 29 34 24 962 469 168 1 235
札幌法学 25 巻 2 号(2014)
TGAP Biocarburants バイオ 燃料汚染活動一般税 Contribution au fonds d’amortissement des charges
d’électrification発電基金分担金
Contribution au service public de l’électricité電気料金
Taxe sur les ouvrages hydroélectriques concédés水 力発電税
Taxe annuelle des installations nucléaires de base核施設年税 Taxes et redevances dues pour occupation du domaine public par les ouvrages de transport et de distribution d'énergie (Taxe forfaitaire sur les pylônes)エネルギー配送公
有地利用税(料)(電柱定額税)
Taxe sur les remontées mécaniques盛土税
Taxe communale sur les emplacements publicitaires ou les affiches広告コミューン税 Taxe départementale d'espaces naturels sensibles自然地域県 税
TGAP Air ‒ Oxyde de soufre ‒ Acide chlorhydrique, protoxyde d'azote, azote…大気汚染活動 一般税
TGAP Grains minéraux
naturels天然鉱物汚染活動一 般税
Versement pour dépassement du plafond légal de densité法 定上限超過課徴金 Redevance communale et départementale sur les mines 鉱区コミューンおよび県徴収 金 Etat国 Etat (ODAC)国(中 央行政機関) Etat (ODAC)国(中 央行政機関) Etat国 Etat国 Collectivités locales 地方自治体 Collectivités locales (Communes et département)地方 自治体(コミューン および県) Collectivités locales (Communes)地方 自治体(コミューン) Collectivités locales (Département) 地 方自治体(県) Etat国 Etat国 Collectivités locales (Communes et département) 地方 自治体(コミューン および県) Collectivités locales (Communes et département) 地方 自治体(コミューン および県) Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Energie エ ネ ル ギ ー Pollution paysagère 景観 Pollution paysagère 景観 Pollution paysagère 景観 Pollution paysagère 景観 Pollution de l'air 大気汚染 Pression sur les ressources naturelles 天然資源 Pression sur les ressources naturelles 天然資源 Pression sur les ressources naturelles 天然資源
Codes des douanes -article 266 quindecies CGCT article L.2224-31 Loi n°2000-108 du 10 février 2000 modifiée par la loi
n°2003-8 du 3
janvier 2003 CGI article 302 bis ZA
Loi de finances pour 2000 n°99-1172 article 43 CGI article 1519 A CGCT articles L.2333-49 à 53 (communes), articles L 3333-4 à 7 (départements) CGCT articles L.2333-21 à 25 Code de l'urbanisme 都市計画法典 article L142-2 Code des douanes article 266 Code des douanes article 266 CGI, articles 1463, 1519 à 1589, articles 311 à 311D et 317 octies de l'annexe II A compter de 2005 468 (2) 1 219 (1) 91 (1) 345 159 36 27 120 58 29 24 (1) 15
— 37 —
Redevance départementale sur les mines鉱区県徴収金
Surtaxe sur les eaux minérales ミネラル水付加税
TGAP Installations classées特 定危険施設汚染活動一般税 Taxe à l'essieu車軸税 Taxe spéciale sur les véhicules empruntant un pont entre le continent et une île島連絡橋 車両通行特別税
Taxe spéciale sur les véhicules de tourisme des sociétés法人 企業の観光用車両特別税 Taxe sur les certificats d'immatriculation des véhicules (carte grise)車両登録証税(グ
レーカード)
Taxe différentielle sur les véhicules à moteur自動車等級 別税
Droits de voiries, place de stationnement道路清掃税 Taxe due par les concessionnaires d'autoroutes高速道路利用税 Collectivités locales (département) 地 方自治体(県) Collectivités locales (Communes) 地方 自治体(コミューン) Etat (DRIRE)国(産 業、学術研究およ び環境地方局) Etat国 Collectivités locales (Conseil général) 地方自治体(県議会) Administration de sécurité sociale社 会保障行政機関 Collectivités locales (Région) 地方自治 体(地域圏) Collectivités locales (Département) 地 方自治体(県) Collectivités locales (Communes) 地方 自治体(コミューン) Etat国 / EP(ODAC) 公施設法人(中央 行政機関) Pression sur les ressources naturelles 天然資源 Pression sur les ressources naturelles 天然資源 Prévention des risques 災 害 リ ス ク予防 Transports 運送 Transports 運送 Transports 運送 Transports 運送 Transports 運送 Transports 運送 Transports 運送
CGI articles 520A et 1582
Code des douanes article 266 Code des douanes, articles 284 bis à 284 sexies bis Loi du 2 février 1995
CGI article 302bis ZB CGI articles 1599 quindecies à novodecies A CGI articles 1599 C à J, articles 1599 nonies à duodecies CGCT article L 2213-6
CGI article 302bis ZB 15 CGI articles 520A et 1582 12 223 (1) 1 (1) 855 1 458 133 375 (1) 492 注
(1) Données 2003, dernière année disponible (2) Données 2002, dernière année disponible (3) Données 2001, dernière année disponible
★略語について、TGAP: La taxe générale sur les activités polluantes 汚染活動一般税、TIPP : La taxe intérieure sur les produits pétroliers 石油製品内国税、EPCI:établissement public de coopération intercommunaleコミューン間協力公施設法人、CGI:le code général des impôts租税一般法典、CGCT:le code général des colllectivités territoriales地方自治体一般法典、ODAC: Les organismes divers d'administration centrale中央行政機関(地方局)、DRIRE :Direction Régionale de l'Industrie, de la Recherche et de l'Environnement産業、学術研究および環境地方局、EP: Etablissement public公施設法人