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生徒の自己肯定感醸成に向けてのプログラム開発

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Academic year: 2021

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生徒の自己肯定感醸成に向けてのプログラム開発

高度学校教育実践専攻 学校・学級経営コース 原 因 学 1 実習に入るにあたって (J)本校の概要 本校は

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年以上の伝統を誇る県立高等 学校である。生徒の大半は卒業後は四年制大学 への進学を希望しており、その実現に向けた指 導にも力が注がれている。部活動も非常に盛ん で、運動系文化系共に全国大会レベルでの活躍 が期待される部もいくつか存在する。生徒の気 質は非常に穏やかで規範意識が高く、学校内で の問題行動(生徒指導事案)発生は皆無に等し い状況である。 (2)木校の地域内の位置づけ 本校が位置する市内やその近隣地域からの本 校に対する評価は高い。しかし、本校と同様の 期待を寄せられるライバノレ的な学校も多く、高 い志を持つ生徒の確保にしのぎを削っている状 況である。そのために、中学生一日体験入学や オープンスクール(公開授業)など本校の魅力 をアピールする広報活動の充実、進学指導体制 の強化など、さまざまな手だてを行っている。 (3)本校生徒の課題 ①教職員の声より 教職員の多くは本校に対して、落ち着きがあ り働きやすい学校という第一印象を抱く。しか し、一方では「自己主張が弱い(おとなしすぎ る)Jという声が暖かれる場面も少なくない。 実 習 責 任 教 員 阪 根 健 二 実 習 指 導 教 員 佐 古 秀 一 教職員の自には、生徒が大切な勝負所でもう 一歩踏み込めず、持てる力を発揮しきれていな いように映っており、もっと強固な自己主張を 発揮して物事に挑んでほしいとも願っている。 ②学校アセスメントより 本校の教員(各分掌課長、各学年主任ら)、 事務職員(事務長・一般事務員・学校技能員)、 生徒会執行部生徒らを対象に、本校の長所およ び短所についての聞き取り調査を行った。 本校生徒に対して感じる気質については「お となしい」、「素直j、「従順J、「受け身」、「草 食」、「のんびり」等の言葉で形容する意見が 目立った。これらの生徒気質を、もう一つ学校 が活性化しきれていない要因として捉えている 教職員も多い。客観的な調査でも「心配しすぎ たり、引っ込み思案になる」といった生徒像が 浮かび上がる。 学習面でも受け身の姿勢が指摘される。希望 進路の実現に向けた充分な努力を生徒自身が主 体的に行えているかという点に疑問が感じられ ている。 部活動への加入率は高く、多くの部が地区上 位の好結果を納めるなど近隣校と比較しでも活 発であると言える。しかし、ここ一番という場 面で力を出し切れずに自滅してしまうメンタル 面の弱さを指摘する顧問も多い。これら気質を 改善するため、何らかの仕掛けの必要性を感じ る。

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③アンケート結果より 生徒の自信や自己肯定感などに関する意識調 査を目的に、本校をはじめ近隣校生徒に対して アンケート調査を依頼した。結果は、木校生徒 が持つ自信や自己肯定感の度合いは近隣校と比 較すると取り立てて低いとは言い難いものであ った。しかし、学力の地域最上位校の生徒はそ れらが高いという傾向も認められた。また、う っすらとではあるが、本校生徒の控えめな気質 を象徴する回答傾向も見られた。

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実習の課題設定 (])自己肯定感について 自己肯定感という言葉については、

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年3月告示の高等学校学習指導要領総則(第1 款教育課程編成の一般方針)中に表現された「表 現力をはぐくむJ

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言語活動の充実Jなどの言 葉と関連づけて考えた。ひとりの生徒が表現力 や言語力を発揮する際には、内面から発せられ るものを十分に裏付けするだけの自己肯定感の 高さが必要である。 (2)校長の思い 本校の校長は、学習や部活動をはじめ様々な 場面で生徒の自信のなさや自己表現力の弱さを 目の当たりにし、それを本校の課題として認識 していた。校長はそれらを改善すべく、平成 2 2年度学校経営計画書の目標のひとつに、「困 難に打ち勝つ強い心の育成Jを掲げた。 (3)課題設定 校長の思いも受け、生徒の自信のなさや自己 表現力の弱さを克服するための何らかの仕掛け や工夫の必要性を感じ、テーマの方向性を固め た。自分が周囲にとって必要な存在であるとい う自覚こそが自己肯定感であると考える。周囲 にとって必要な存在とは、他者に何らかの貢献 をしてあげている自分、あるいは他者から気に かけてもらえている自分である。その自覚の積 み重ねが自己肯定感の醸成に繋がると考える。

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実習の基本構想 (1)アプレンティスシツプ活動 [他者に何かをしてあげているー他者に気に かけてもらえている]という構図として、対上 級生(下級生)の関係にスポットを当てることに した。部活動での上下関係は、たとえ活動の場 を離れても学校生活のあらゆる場面でついて回 るほど強いものである。ただ、それ以外での上 下関係を探してみると生徒会活動であったり、 文化祭や体育祭での交流であったりと、特別な 団体内や年に数度の学校行事という必然性、連 続性のない場面でしか見あたらない。そこで、 学年の枠を超えた生徒どうしの接触を部活動だ けでなく、もっと日常の場面に増やしてみては と考えた。 本実習では生徒の学年(年齢)の枠を超えて の交流を総称して「アプレンテイスシップ活動」 と呼ぶことにしたが、これは、“徒弟関係"と いう直訳よりももっとソフトな交流をイメージ したものである。ただ、“地位・年齢・能力な どが同等の人"、“同僚"、“仲間"という意味 を持つピア(peer)な関係、ピアサポートとは一 線を引きたい。 (2)本校との連携と主な実習内容 本校の平成 2 3年度学校経営計画書の重点目 標のひとつとして「生徒の自己肯定感の育成」 が掲げられた。その具体的方法として「学年間 交流などを通して責任感や指導力をつけるプロ

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グラムを開発する」という表記もされた。また、 連動して校内研修テーマも「自己肯定感を高め る(自己肯定感を高める指導法について実践的 に研修し、活力ある学校を創る方法を研究す る。)Jと定められた。学校経営計画書の中に はその他、社会性と行動力、礼儀・挨拶、コミ ュニケーション能力といった、自己肯定感を高 めるためのステップにおいて大切なキーワード が見られる。全職員がそれら目標やキーワード を意識した何らかの仕掛けを、ホームルーム、 授業、学校行事、部活動など様々な場面で行う ことになり、アプレンティスシップ活動と並列 した本校全体の取り組みとして観察・記録でき ればと考えた。また、自己肯定感に関する生徒 の意識についての調査も年度内に何度か実施す ることにした。 (3)実習計画 筆者が提案するアプレンティス活動として は、生徒地区会時の座談会 (4月上旬)、 1・ 2年生グ、ループ会 1 (4月下旬)、 1・2年 生 グ、ループ会 II (1 0月下旬から 11月上旬)の 3つである。さらに年度内 3回 (4月上旬、 6 月上旬、 11月中旬)の自己肯定感アンケート の実施を予定した。 4月上旬と 11月中旬の調 査は、中国・四国地区の高等学校にも依頼する ことにした。 4 実習の成果 (I)生徒地区会時の座談会 上級生はやや照れを見せながらも何らかの発 言をしようと懸命に努力していた。実施記録か らも、ほとんどの地区で上級生が会を盛り上げ ようと、 1年生に対して精一杯の声かけをした ことが伝わってきた。年度最初のアプレンティ スシップ活動としては、まずまず実りのあるも のだったと考えられる。 (2) 1・2年生グループ会(1および ll) 事後調査によると、ほとんどの生徒がグルー プ会の実施意義に肯定的な意見であった。会の 内容についても、筆者が想像していた以上に活 発なものとなり、アプレンティスシップ活動の 目的を充分に果たすものとして手応えが感じら れた。ただ、 4月の話題が豊富な時期と比較す ると、

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月後半はどうしても会を開く必要性 が薄れてしまう。グループ会Eについては実施 がもう 1ヶ月早ければ、 1年生が次年度に向け た類型選択に悩む時期に 2年生が情報提供や助 言を与えることができたと考えられ、時期を逸 したことが悔やまれる。また9月上旬に実施で きれば、夏季休業中の話題や 2学期からの高校 生活再スタートという意識づけにも効果的では ないかと感じた。 (3)本校教員の仕掛けの観察記録 生徒会執行部らに対する顧問教諭の指導のほ か、近接小学校におけるボランティア生徒によ る読み聞かせ、書道専攻生徒による書写指導、 音楽専攻生徒によるミニコンサートなど、様々 活動の様子を観察・記録することができた。ど れにおいても生徒の生き生きした表情が見ら れ、アプレンティスシップ活動としても、その 目的を充分に果たすものであると感じた。 (4)自己肯定感アンケート 時期による本校生徒の意識の比較、学校祭で 重要な役職を担った生徒とそうでない生徒との 比較、県外校との比較など、様々な角度から分 析することができた。また、アンケート協力校

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の教員に直接話しを聞くこともでき、分析を行 う上で大きく参考になった。 4月と比較すると 11月にはどの学校におい ても自己肯定感は多少低下する傾向が見られ る。しかし、県外校と比較すると本校生徒の低 下の幅はさほどでもなく、 11月の数値も決し て悪いものではないように思える。本校教職員 の仕掛けたアプレンティスシップ活動もその結 果に寄与しているのではないだろうか。また、 他にもそれが生徒に何らかのプラス作用をもた らしたことは間違いなく、有意な仕掛けであっ たという実感は教職員の中に存在していると思 われる。

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総 括 アプレンテイスシップ活動は小中学校で言う ところの縦割り活動であるが、それは、高等学 校ではあまり強く意識されていない。多くの高 等学校における課題として、教員聞のコミュニ ケーション欠如などに起因する個業化傾向改善 の必要性を耳にすることが多い中、今回、本校 では「生徒の自己肯定感の育成」という校長が 掲げた目標に対して教職員が共通理解の下、思 い思いの生徒活動(アプレンティスシップ活動) を仕掛けた。 アプレンテイスシップ活動実施までの流れは 以下のようになる。

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①下級生の声を拾うことを目的とす る調査の実施。 ②下級生が抱える問題点の整理。 ③②に対して活用可能な本校内の資 源(生徒の技能・知識・経験)の調 査、把握。 P ④実施準備(日程や場所の調整、内 容の精査、ベアリング等)。 D ⑤実施。 C ⑥事後の感想などの調査、分析。 A ⑦生徒の要求・実態に見合う内容へ の改善。 木校近隣には多くの各種学校のほか、病院や 地域コミュニティの場となる建物が存在し、そ れらは大切な教育資源と見ることもできる。そ の場合、表中の「下級生j とした部分は、幼稚 園児、小・中学校生、地域住民などに置き換え られる。アプレンティスシップ活動の場をさら に広げ、本校生徒が持っている技能・知識・経 験を活かすことも可能ではないだろうか。 その他、グ、ループ会の様子からは本校生徒の 新たな側面も見えた。 2年生は、実施前には不 安げな表情をしていても、実際にその場になる とどうにか形にしてみせる能力を持っていると いうことである。また、上級生からの助言や情 報提供を必要としている下級生は案外多いとい う点もわかった。高知県A校では、入学初期の 1年生の教室に上級生の代表が出向き、勉強の 仕方や進路実現に向けた話しをしていると聞い た。進学校である本校が参考にできそうな例の ひとつである。

参照

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