援助要請志向スタイルが援助要請行動に伴う利益・コストに与える影響について

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− 35 − 援助要請志向スタイルが援助要請行動に伴う利益・コストに与える影響について 人間教育専攻 幼年発達支援コース 玉水克明 1 :問題と目的 個人が他者に援助を求める際には、様々な制約 により抑圧されたり、促進されたりすることがあ る。他者に援助を求める行為また、悩みを相談す る と い う 現 象 は 心 理 学 で は 援 助 要 請 行 動 (help-seeking behavior)とされる。人が援助要請 を行う際には、生起過程モデ、ノレという、個人が自 己の問題に気付き、自力では解決できないと判断 し、他者に援助を求める過程を経ている。本研究 では、個人が援助を要請しようとする援助行動に 対して、援助行動に伴う自身のリスク・とコスト、 及び、援助者の不快情動の予測が与える影響につ いての検討を行った。検討の際には3つの援助要 請スタイル引での検討を行い、援助を回避する回 避型、過剰に援助要請をする過剰型、自立的な援 助要請を行う自立型の援助要請行動の特性を明ら かにすることを目的とした。 2に方法 T県内の大学生・大判完生を対象にした質問紙 調査法を行った。質問紙の表紙には、匿名性が保 証されること、回答が任意であり、協力しないこ とによる司司j益は一切ないことを明記している。 また、研究・協力調査の同意については質問紙の 回答の回答で同意をしたこととした。回収された 質問紙は全くの無言己名は除き、有効回答は N=319 (男 97)で、あったO 質問紙の構成は、相談行動に 指導教員 田村隆宏 ついての利益とコストについての質問に対しての 回答を求めた。次に、回答者に日常的に接する人 物の中で最も親しい人物(以下

A

)

を思い浮かべ るように求めfむそして、回答者がAに悩みを相 談するか迷っている場面を用いた、ンナリオを示し た。このシナリオは竹ケ原(2017)が用いたものを 使用し

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むシナリオを読んだあとに、回答者は(a) Aに相談をしようと思うか、 (b) Aは相談にのる と思うか、 (c)相談にのることや断ることのコスト についてAはどう考えているか (d) Aは相談され たら不快感情をどの程度に感じているか、につい ての回答を求めた。 提示したシナリオは,以下の通りである。 「あなたはここ最近、授業のレポートやアルバ イトに追われて、毎日をとても忙しく過ごしてい ます。あなたの疲労はピークに達し、イライラす ることも増えています。そんなとき、友人のふと した発言にカチンと来てしまい、激しい口論にな ってしまいました。その後、あなたはその友人と 疎遠になってしまい、他の友人とも少し距離がで きてしまいました。その後、あなたは何もかもが 上手くいかないような気がして気分が落ち込み、 目郎、なし1日が続いています。あなたはこのことに ついて、 Afこ相談しょうかどうか迷っています。」 3:結果 共分散構造分析の結果から、 3つの援助要請ス タイルの援助行動の特性が明らかとなった。

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− 36 − 援助を回避する人の援助行動の特性 回避型の人は、援助要請に対して強い抱絶を示 し、自身の力で問題を解決する傾向が示された。 そして、援助要請に伴うコストに対する意識につ いては、相手にとってのコストよりも自分にとっ てのコストを爵見していることが示されたコ回避 型の人の自分にとってのコストとは、援助者が自 分の味方ではなくなってしまうとしづ予測に基づ いていることである。このような、認識に基づき 援助を回避しようとする人の援助要請行動につい て述べる。前述の通りに、援助要請結果が悪い物 であるとし1う認識が回避する理由の1つにあげら れるが、回避型の人は回避する際に援助要請行動 に葛藤を抱くことが示唆された。この葛藤は、自 分はとても困っていて、辛い状況の中援助を受け るに相応しい状況であるが、援助者にとっては援 助行動そのものが不快であるという仮説に基づい て援助行動が抑制されるという物であることが示 唆された。つまり、回避型の人は、問題解決を放 棄しているといった事はなく、むしろ、自分の力 で問題を解決することで周囲からの自らの印象を 悪くしないようにしていることから、援助要請が 出来なし、傾向にあることが示された。 援助を過剰に要請する人の援尉子動の特性 過剰型の人は、自分自身では問題解決を図らず、 他者に任せる傾向という自分本位な援助要請の傾 向が示された。この自分本位での援助要請とは、

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跡盟の人が、そもそも援助を断られることが無 いという前提の中で援助要請をすることである。 そのため、援助を受けられない状況に立たされた 時に、

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跡1哩の人は、援助を断った援助者に対し て「悪い人Jとしづ印象を与える傾向が示された。 一方で、過乗!哩の人の自分本位での援助要請は、 援助要請行動を実施する際にある程度の抑制があ ることが示された。この抑制とは、援助者が過剰 型への援助を断ると、

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跡盟の人から悪い印象を 受けることから、援助自体を「めんどくさしリと 感じさせてしまうことを、予測する傾向が示され た。これらのことから、過剰型の人は、自分本位 な援助行動の傾向を持つことからも、自らの過剰 な援助要請行動について、援助者に迷惑をかける かもしれないとし、う予測をすることが示された。 この他者への影響のメタ認知の租支は、

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昌乗!盟の 人が社会適応の範障害に留まるか否かの指標であり、 援助要請行動を抑制する要因であると推察された。 自立的な援助行動を行う人の特性 自立型の人は、援助を拒絶する傾向はなく、し かし、自身の努力の範障で問題解決を図るとしづ、 必要に迫られた際に、援助要請を行うことが傾向 として示された。他者への援助に依存しない理由 は、援助者への不附青動の予測を、他者への配慮、 という形でする傾向にある。他者への配慮という のは、援助要請の際、援助者が援助を「めんどく さいj と思うような援助内容であると援助要請を 曙跨する傾向や、援助を受けようと思った際に、 相手が援助を断ることの不利益を予測することか ら遠慮をしてしまうという傾向である。」このよう な自身へ受ける援助についてだけでなく、援助者 オ鳴してしまう傾向から説明される、援助要請 の蘭塔が援助行動に影響していることが自立型の 特性が示唆された。 本研究の今後の展望 今回の検討では、回避型・過乗JI型・自立型の人 がどのように援助者要請者である自身と、援助要 請者を認識して、援助要請行動を行うのかについ ての検討により、援助要請行動研究の一端を明ら かにできたと考えられる。今後の研究の展望とし て、調査対象を多岐に広げることで今後、今回の 研郷吉果をより一般イヒする必要性がある。

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