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土石流シミュレータを用いた土石流発生時の避難経路の検討 Study on evacuation route from debris flow using debris flow simulation

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Academic year: 2021

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E26

土石流シミュレータを用いた土石流発生時の避難経路の検討

Study on evacuation route from debris flow using debris flow simulator

〇糸数 哲・中谷加奈・山野井一輝・藤田正治

〇Tetsushi ITOKAZU, Kana NAKATANI, Kazuki YAMANOI, Masaharu FUJITA

To prevent losses of human life caused by sediment disaster, the warning and evacuation system have been advanced. To obtain information of the safety evacuation route and shelter from debris flow, we applied debris flow simulator Hyper KANAKO system to a debris flow prone torrent in Kyoto Prefecture. In this study, we set landform data using digital elevation data. We also changed the landform partly to consider the artificial channel depth and building height. We set the supplied hydrograph using assumed rainfall intensity (88.9 mm/h) from Iwai’s method. We set recurrence intervals of the assumed rainfall intensity as 100 years. Sediment volume of debris flow was estimated from assumed slope failure area rate (5%) and depth (1.5 m). The simulation results showed that part of the sediment moved down through the channel and sediment overflowed where channel becomes shallow. The results also showed that the flooding flow concentrated in the passageway under railroad which is narrow and located low.

1.背景と目的 土砂災害の発生による人的被害の防止・軽減を 図るため,警戒避難体制等の強化が進められてい る。その中で,土砂災害発生時の避難所や避難経 路の安全度を事前に把握しておくことは,避難行 動(垂直避難・水平避難)や避難経路を選択する 上での重要事項である。土石流数値シミュレーシ ョンは,土石流の氾濫・堆積過程を確認して,よ り現実的な避難行動の検討を行うために有用なツ ールである。土石流の流下・堆積は,扇状地の勾 配だけでなく流路工や家屋等の構造物にも影響を 受けると考えられることから,避難経路等の安全 度を検討するためには,構造物の影響も考慮した 上で土石流シミュレーションを行う必要がある。 本研究では流路工や家屋等を考慮した上で土石流 シミュレーションを行い,土砂の堆積範囲や浸水 範囲を基に土石流発生時の避難所や避難経路の安 全性の検討を行う。 2.解析対象地および解析方法 京都府内の土石流危険渓流(流域面積:0.13 km2)を対象に解析を行った。解析対象渓流の下 流側は土砂災害警戒区域に設定(指定予定)され ており,警戒区域内には避難所や要配慮者施設等 が存在する。解析対象渓流は流路工に導流されて おり,流路工沿いには家屋等が存在する。本研究 ではHyper KANAKO システム1)を用いて土石流 数値シミュレーションを行い,構造物を考慮した 上での土石流の氾濫範囲等から避難所や避難経路 の安全度の検討を行った。 流路工の断面については,京都府からのデータ をもとに流路工の幅および深さを設定し,家屋の 高さは,家屋の階数から設定した。 計算時の供給ハイドログラフは,京都地方気象 台の雨量データ(1930~2015)から岩井法を用い て算定した1/100 年確率の時間雨量(88.9 mm/h) から作成した。ここでは流出率を70%とし,土石 流の継続時間を300 秒としてハイドログラフを設 定した(図1)。0.01 秒間隔で計算を行い,計算時 間を600 秒とした。砂礫密度を 2,650 kg/m3,流 体相密度を1,180 kg/m3とし,氾濫域のメッシュ サイズは1 m×1 m に設定してシミュレーション を行った。 入力土砂量は,降雨強度と崩壊面積率の関係2) を参考に崩壊面積率を5%とし,平均崩壊深を 1.5 m と仮定して崩壊土砂量を算定した。算定した崩 壊土砂量(6,339 m3)を土石流発生渓流上に堆積 させ,上流からの水の供給によって土石流を発生 させた。土砂の粒径は,対象渓流の河床礫の大き さを考慮して,5 cm とした。

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3.結果 図2 に,計算開始から 600 秒後の土砂の堆積厚 を示す。流路工を考慮した場合,流出土砂の一部 は土石流発生渓流の下流側に氾濫・堆積するが, 一部は湾曲した流路に沿って流下方向が変わり, 流路工の深さが減じる住宅地(図2 中の〇印)で 土砂が流路工から溢れる可能性があるため,当該 地域は流路工からの土砂の氾濫に注意する必要が ある。この結果から,斜面崩壊等によって比較的 大量の土砂が生産された場合には,土石流発生渓 流の下流側に位置しない場所での土砂の堆積に留 意する必要があることが分かった。 次に,計算開始から 600 秒後の痕跡(堆積厚+ 流動深の最大値)を図3 に示す。土砂の堆積範囲 (図 2)に重複しない範囲は浸水範囲を示してい る。この結果から,土石流発生渓流の下流側に氾 濫した流れが道路等に沿って流下し,線路下の通 路(図3 中の〇印)に集中する可能性があること が分かった。流れの集中が予想される通路は幅員 が狭く,流れの水深が大きくなる可能性があるた め,避難経路として通行する際には特に注意が必 要である。 本研究を行うにあたり,京都府砂防課より貴重 なデータの提供を受けた。ここに記して感謝の意 を表します。 参考文献 1)堀内ら(2012):LP データを活用した土石流 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 「 Hyper KANAKO」の開発,砂防学会誌,Vol.64,No.6, p.25-31. 2)松村ら(2015):2014 年 8 月の豪雨による兵 庫県丹波市で発生した土砂災害,砂防学会誌, Vol.68,No.1,p.60-67. 避難所 図2 シミュレーション結果(堆積厚) 避難所 図3 シミュレーション結果(痕跡) 図 1 入力ハイドログラフ 0 5 10 15 20 25 30 35 0 100 200 300 400 500 600 流量( ㎥ /s ) 時間(s)

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