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高効率石炭焚ボイラへの新技術適用とその成果

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Academic year: 2021

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電力・エネルギー(電力・エネルギー分野の最新開発技術)

高効率石炭焚ボイラへの新技術適用とその成果

一束北電力株式会社原町火力発電所第2号機の完成-CompletionoftheAdvancedSteamBoiler

fortheHaramachiThermalPowerStation

No.2Unit

酒井和人菅澤 貢 肋g〟肋β5α鬼α古〟∫由材α5柳ざα紺α 川島靖昭矢野隆則 i七s〟αゑ‖払紺αSゐg椚α7七ゐα乃∂γよi匂邦∂

藁代い

発電所全景 右側が2号機

ウィンドボックスモジュール 三次元CADシステムで,据付け 工事の合理化を検討した。 オープン パス モジュールの ジャッキアップ状況 捗 フロアユニットのつり上げ状況 東北電力株式会社原町火力 発電所第2号機の全景と据 付け工事 世界最高レベルの蒸気温度 6000c/600℃を採用したボイ ラの据付け工事では,最新の ACE(AreaCompositeErection) 工法を適用し,三次元CADシ ステムを駆使した。 地球温暖化対策のため.C02排出量抑制を目的として世界最高レベルの蒸気条件である24.5MPa/600ロc(主蒸気温度)/600℃ (再熟蒸気温度)を採用した,東北電力株式会社原町火力発電所第2号機の1,000MWの石炭火力プラントが,1998年7月に営 業運転を開始した。日立製作所とバブコック日立株式会社は,この最新鋭プラントのボイラ設備およぴタービン・発電機一式 を納入し,その良好な性能を確認した。 このボイラ設備の設計にあたっては,最大限の高効率化を図るというニーズに対し,蒸気条件の高度化に対処するために高 強度材料や熟応力緩和に配慮した構造を採用して高い信頼性を維持したほか,最新の微粉炭燃焼技術を適用して燃焼性能を向 上させ,いっそうの効率改善を実現した。一方,燃焼設備を中心に機器の大容量化・合理化を図り,さらに.同期化,モジュ ール化を最大限取り入れたACE(AreaCompositeErection)工法を採用して,建設コストの低減にも配慮した。 その結果,定格負荷時の発電端プラント効率44.76%を達成するなどの成果を上げることができた。

はじめに

わが国の近年の蒸気条件向上による火力発電プラント

の高効率化には目を見張るものがある。日立製作所とバ

ブコック日立株式会社は,1997年に,電源開発株式会社

松浦火力発電所向けの第2号ボイラを納入し,蒸気条件

24.1MPa/593℃(主蒸気温度)/593℃(再熱蒸気温度)で

信頼性の高い高効率運用が可能なことを確認している1-。

現在,計画あるいは建設中のプラントのほとんどが,こ の蒸気条件600℃クラスの条件を採用するに至っている。

1998年7月に営業運転を開始した東北電力株式会社原

町火力発電所第2号機(以下,原町2号ボイラと言う。)は,

世界最高レベルの蒸気条件24.5MPa/600℃/600℃を適

川した最新鋭の石炭火力プラントであり2),バブコック日

立株式会社がボイラ設備一式を納入した。定格負荷時の 実績発電端プラント効率44.76%を達成したほか,所定の 37

(2)

184日立評論 Vol.81No.2(1999-2) 性能を十分満足する優れた成果を確認することができた。 ここでは,原町2号ボイラに適用した新技術と,その 成果について述べる。

新技術の適用

2.1高蒸気条件の採用

原町2号ボイラの側面図を図1に示す。燃焼性能の向上

を踏まえ,火炉サイズを適正化することにより,高蒸気

温度600℃を採用しても,過熱器,再熱器の伝熟面積が

過度に増加しないように配慮している。

高蒸気条件の採用にあたっては,高強度材を採用して

耐圧部の肉厚増加を抑え,熱応力緩和,管内圧力損失低

減を図る必要がある。このボイラでは,高メタル温度と なるつり下げ過熱器と再熟器伝熱管に高温強度材の火 SUS304JIHTB(18Cr9Ni3CuNbN)と火SUS321JIHTB (18CrlONiTiNb)をそれぞれ採用した.。--一一方,管寄せに はフェライト鋼である火STPA28/火SCMV為(9CrlMoNbV)

を適用した。これらの材料はいずれも,先行機で使用実

績がある信頼性の高い鋼種である。

2.2

高効率燃焼技術

近年,燃焼設備を簡素化するため,バーナの大容量

化が進んでいる。このボイラには,国内最大容量(公称 容量:12.4t/h)の「日立-NR2バーナ+42本を設置した (図2参照)。その燃焼効率の向上と低NOx化を図るため

の微粉粒度の向上を目的として,石炭用としては世界初

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 ̄て7 l J l l+----+-+ r l 図1原町2号ボイラの側面図 高メタル温度域には最新の高強度材を配し,信頼性と経済性に 配慮した設計としている。 38

の大容量MPS300ミル6台(予備1子†を含む。)を導入した

(図3参照)。

設計にあたっては,大容量化達成のための粉砕部構造

の大型化と粉砕荷重の増加に加え,全運用域でのミル

安定運用確保のために,荷重伝達系の剛性アップと粉

砕部の構造改善を図っているl)。 2.3

最新の据付け工法

据付け工法としてACE(Area Composite Erection)

工法を採用し,建設工程の短縮,建設工数の低減,仮設

足場の削減,品質や安全性の向上などを図った。この新

丁法(37ページの図参照)の主な内容とその効果について 以下に述べる。 2.3.1 フロアユニット工法

各階を構成する鉄骨と歩道のフロアを工場でユニット

化し,そのフロアに配置する現場盤やケーブルトレー, ダクト,配管などを,つり上げ前に地上でさらに組み込

んで,自動詞心つり具によって所定の位置につり_Lげ設

定した。ユニット化した床面積が全体の50%を超えて,

現地の管理監督者が作業現場に容易にアクセスできるよ

うになったので,安全管理上大きなメリットが生じた。

2.3.2 ジャッキアップエ法 口末プラント建設株式会社が開発した200tジャッキ装 置(つりロッド自動着脱搬送装置付き)16台を活用し,下 記のモジュールをつり上げた。 (1)オープンパスモジュール 火炉副側壁部を二次再熱器とともに地上30mでモジュ 0 5 2 (ミ「エ邑「×) 蛸撤≠-て 14プラント 265MW ■ Tプラント 250MW ■ ■ ■ ■ ■ 原町2号1,000MW Oプラント(/トナ42本)

≧去詔品ト500ごW

◆ ◆

濫訟■〒志㌫

■ ■ Mプラント 1,000MW ■ Aプラント 350MW 産業用ポイラ Nプラント 600MW 注:■(NRバーナ) ◆(NR2バーナ) 1985 1990 1995 運用開始時期(西暦年) 2000 図2 バーナ容量の変遷 最新の低NOx日立-NR2バーナを大容量化し,燃焼設備の簡素化 を図っている。

(3)

高効率石炭焚ボイラヘの新技術適用とその成果185

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唱臣】

;q @ 包⑳ 勺 亀 囁 図3 MPS300ミルの構造 大容量のMPS300ローラミルを導入し,5台運転で1,000MWの 運用を行うこととした。 ール化し,ジャッキアップしながらモジュール下方に設 置されるバックステーなどの装置を順次取り付けて,最

終的に総重量2,000tを超える大型モジュールとして,

73mまでつり Lげた。 (2)コイルカートリッジ

後部伝熱部に位置する一次過熱器,蒸発器,節炭器を

工場で炉幅方向に9分割してカートリッジに組込んで発

送し,現地で順次接続してつり上げた。 (3)そのほか,ウインドボックス,節炭器ホッパ,一一次 再熱器立上り部にこの工法を適用し,高所作業量低減, つり上げ回数の低減,安全件の向上を図った。 2.3,3 溶接員の現地採用 地方と密着した作業展開という観点から,溶接員を現 地で採用し,コイルの日動溶接の教育訓練後,約1万 8,000か所の溶接を消化した。 2.3.4 工程と安全 工程では,立柱から火入れまでを23か月の短工期で行

い,安全面でも,1994年6月の先行工事着工から完成ま

で,426万時間の無事故,無災害を達成した。

適用新技術の評価

3.1高効率の達成

高蒸気条件採用の成果は,プラント効率の向上という

形で確認することができた。性能テスト結果を図4に示

9 8 4 4 4 3 (苫)櫛深爪†韻 (諾)樹霹工八小0ト 350 500 750 1,000 出 力(M〉〉) 注:-(計画値),■(実績値) 図4 性能テスト結果 1,000MWで発電端プラント効率44.76%を達成し,高蒸気条件 採用の成果を確認した。

す。定格負荷時で発電端プラント効率44.76%(高位発熱

量基準)を達成したほか,全負荷帯にわたって計画を人

きく上回る優れた性能を確認することができた。

また,前述した燃焼性能の向上により,使用する了了炭

の燃料比にんbじて,節炭器出Ilで10∼15%という低空気

過剰率運用を実現しており,灰中未燃分比率の低減も合 わせ,ボイラ効率の改善を図ることができた。 ボイラの特性はほぼ計画どおりの安定した熱吸収特性 であり,高強度材料を採用したつり下げ過熱器・再熱器 のメタル温度分布も良好である。さらに,負荷応答性, 起動停止特性でも計画値を十分満足する結果が得られ,

蒸気温度600℃で信頼惟の高い運転が可能なことが確認

できた。 3.2 燃焼性能評価 3.2.1燃焼性能 今回,試運転時に燃焼試験を実施した仝4炭種で, NOx,未燃分が計画値と保証値を十分満足する良好な結

果を得た。試運転に使用したS炭専焼145MW運転時の

火炎を図5に示す。ボイラ負荷14.5%という極低負荷条

件でもバーナ根元からしっかりと保炎されており,輝度

も高く,人容量日立-NR2バーナとMPS300ミルとの組合

せによる良好な燃焼性能を確認できた。

3.2.2

ミル特性

大容量MPS300ミルでは,安定運転下での高微粉粒度 39

(4)

186日立評論 Vo‡.81No.2(1999-2) 図5145MW時の日立-NR2バーナの火炎 石炭専焼条件で145MWの極低負荷運転が可能なことを確認し. 日立-NR2バーナの優れた保炎性能を実証した。 運転を達成するために大型回転式分級機を搭載し,分級

機回転数の上昇,荷重油圧の増加により,200メッシュ

パス90%以上の高微粉粒度運転が得られた。代表的な微

粉粒度特性を図6に示す。

一方,ミルの安定性能では,200メッシュパス90%以 上の高微粉粒度の運転状態で,これまでのミル容量を約 1.2倍増加させた大容量ミルであるにもかかわらず,先行 機と同等レベルの性能が得られた。ここに,大容量・高 性能MPSミルの設計技術が確立できたと考える。

おわりに

ここでは,東北電力株式会社原町火力発電所第2号機 の高蒸気条件24.5MPa600℃/600℃を採用した1,000MW 石炭焚ボイラについて述べた。 原町2号ボイラでは,発電端プラント効率44.76%を達 成するなど,その優れた性能を確認し,蒸気条件の向上 は火力発電プラントの高効率化に有効な手段であること をあらためて実証することができた。

後続の石炭焚大容量ボイラではいずれも600℃クラス

の蒸気条件を採用しており,今回得られた成果を反映し,

地球温暖化防止に貢献していくものと考える。

終わりに,原町2号ボイラの完成では,東北電力株式

会社の関係各位から多大なご指導とご協力をいただい

た。ここに厚くお礼を申し上げる次第である。

40 0 0 0 0 0 0 9 DO 7 6 (訳)樹封ぺミH∧ヽ′ヽ00N雌望 ◆+▼ 0 20 40 60 80 100 対定格分級機回転数率(%) 注:■(低給炭量域),◆(中給炭量域),*(高給炭量域) 図6 MPS300ミルの微粉粒度特性 回転分級機の採用により、大容量ミルでも200メッシュパス 90%以上の高微粉粒度を達成できることを確認した。 参考文献 1)酒井,外:最新鋭大容量石炭焚ボイラの完成,日立評論, 80,2,205∼210(平10-2) 2)森谷,外:高効率石炭火ノJ発電プラント,口立評論,79, 3,255∼260(平9-3) 執筆者紹介

怒三;慧・ 叩Ⅳ 穐漆 く那二′ W・・ヽ 〆や ≠: . ふ一仙′ 触 酒井和人 1982年パブコツクロ+工株式会祉入社,呉工場火力設計部 所属 現在,事業用ボイラの恭本設計・開発に従事 火力原r力発電技術協会会員 E-mail:[email protected](),jp 菅さ畢 貢 1981年パブコツクロ立株式会社人社,呉+二場占占質保証部 所属 現在,ボイラの試運転指蒋に従事 E-mail:[email protected] 川島靖昭 1961年バブコック日立株式会社人社,呉t場建設部所属 現在,ボイラの据付け⊥事指導に従事 矢野隆則 1990年バブコック日立株式会社人祉,呉工場燃焼装置設 計部所属 現在.ボイラ燃焼装置の設計・開発に従事 E一口】ail:[email protected],jp

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