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農村における血圧調査 : I 埼玉県福岡村における調査

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(1)

(東京女医大四脚26巻第8号頁397−406昭和31年8月)

農村における血L圧調査

1 埼玉県福岡村における調査

東京女子医科大学衛生学教室(主任吉岡博入教授)

助教授

諸 モロ 岡 オカ

タエ 子 コ 山 ロ ナこ か 子 ヤマ グチ コ

安 楽 城

フ キア 吉 ヨシ 和 ワ 田 ダ 田 ダ

(受付 昭和31年6月18日)

元 バジメ 央 ヒロシ 歌 ウタ 1 緒 言 近年循環器系疾患に対する公衆衛生的関心がた かまるとともに,秋田県を始め各地において血圧 の集団検診が行われ1)∼14), また生命保険加入者 あるいは申込者の.由エ圧の統計的観察が多数報・告さ れてV・る15)∼18)。我々は脳卒中死亡率が東北地:方 に次いで高率をしめる関東地方における一血圧の実 態を知り,日本人の平均血圧値および正常血圧値 の範囲を追求すべく本調査を行った。あわせて一 般の人々の一血圧に対する関心をうながし,高血圧 考の早期発見および保健指導等を行った。ます東 京近郊農村の一例として埼玉県入開郡福岡村を選 んだ。福岡村は荒川に注ぐ新河:岸川沿岸にあり, 農村とはいっても1,542世帯のうち純農家は390世 帯に過ぎす,900世帯が俸給生活者でしめられて いる。これは大都市を近くにひかえた農村の特色 を示すものであろう。脳卒中死亡率は人口10万対 168で,埼玉県全体の脳卒中死亡率とほぼ同率であ る。対象は40才以上の男女1,712名であったが, そのうち7割強の1,202名について調査し得た。

H 調査方法

初め各部落ごとに集団検診場を設けて調査を行い, それに洩れたものを引続き個別訪問によって調査し た。血圧の測定とともに問診によって既往症,現症, 食餌,妊娠,家族下等を聴取し,尿蛋白の検査をあわ せて行った。血圧測定は上腕動脈の聴診法により,少 くとも5分以上安静を保たせたのち,右側及び左側に 椅坐位で行った。必ず右側を先に測定し,次に左側に 移るようにした。リバPツチー氏水銀血圧計を用い, 最低」血圧はスワン民第4点をとった○衣服はなるべく ぬがせるようにした。尿蛋自の検査はズルフオサ]」チ ル酸法により行った。調査期間は昭和30年5月中旬か ら約1カ月聞であったが,気温は20QC前後だったの で,これによる影響はないものと考えた。

IH 研究結果

(1)性別年令別血圧分布 調査人員は40才以上の男子511名,女子691名, 計1,202名で,これを5才階級に分けて比較検討 した。 図1によって性別年令別一血圧(右側)の分布状 態をみると,最:高一血圧は高年令となるにつれて高 圧側に移行するが,その傾向は男子よP女子にお いて著しb。男子にあっては最頻値が70才以上で

Taeko MOROOKA, Takako YAMAGUCHI, Hazime ARAKI, Hirosi YOSIDA and Uta WADA (Department of Hygiene, Tokyo Women’s Medical College) : lnvestigations on the bloodpressures of

(2)

30 S20 ェ比10 40∼44オ分 30 S 20 艪撃 入 40∼44オ 。 ノ 、 、 、 」血圧酬鋒→p。。 」5。 200 250 o 血圧 200 250 20 ’ 、 45−49オ 20 ’ 、 C \ 4.5∼49オ Io り o ’ @’ 、、f 、、’ 、’ 、 ’ ’ ’、 20 I 、、 200 Z50 T0∼54オ 020 200 250 T0∼54オ ’ 、 10 , 、 、@ x 、 io ’ 、 f L冒、置 、 、 0 200 250 0 .100 【50

ヨく

200 25D 20 ’ 、 f 、 f 、 v 、 55−59オ .20 , 、’ 、 撃?亀・「 、 55∼59オ 「 、 1 、 10 ’ 亀 @,一」 、 I’ L 10 ’ 、 L_ ’ 、 @ 、 02010 ,\[。。 15。 @ノ’ 、 200 Z50 U0∼64才 02010 100 15D 200 250 U0∼64オ 0 100 150 200 25σ 0 ム 1σσ 150 200 250 ,へ’ 、 ハ 20 65∼69才 20 ’ 、 m\い噂 65一一69オ ’ 、 ,’@ 『 !0 ’ 、 f 、 lo 、、、 , , 一 、 σ A l( 0 20 P一 i 1・

m

図1 年令別血圧度数分・布曲線(百分比) 男 女

A fOO lso 200

’ 、 ワ0オ以上

しノへ/へ

iO。 1き0 250 ノ\ 20r .ti ’Xx lσ / 、.Jへ t N N 7);5ro O 200 70オ以上 250 o 100 150 200 Ioo, 150 200 250 初めて150mmHgを越えるのに対して,女子にあ っては50∼54才で既に150mmHg以上に移ってv・ る。最:低血圧では年令とともに僅:かに高圧側に移 行するが,男女闇に特異な点は認められない。 (2)性別年令別平均血圧 表1は左右の性別年令別平均血圧であるが,こ こでは右側の値について検討する(左右差につb てはあとで述べる)。 表1 福岡村年令別平均血圧(右及び左) 最 高血 圧

\ 性別

鰯ビ\1入剃

才一一一 4−0

45

50

55

60

65

男 右

mmHg

131.75士1.77 142. 88 ±2. 62 142. 25 ±2. 44 1E 6. 21 ±3. 51 156. 60 ±3. 68 162. 35±3. 98 175. 49 ±4. 46 左 tNx 44

rv 49

rv 54

N 59

nu 64 N 69

70才以上

120 104 81 66 50 49 41

mmHg

131. 11±1. 34 139. 52 ±2. 49 142. 28 ±2. 50 153. 79 ±3. 63 154.40土3.79 159.69士3.87 174. 74±4. 83 女 瓦 数 遍 199 141 107 80 58 61 45

mm宜9

126.92±1.67 141. 60 ±2. 57 156. 78 ±2. 41 161. 12 ±2. 95 174.66土4.22 177.30士4.83 186. 16 ±3. 98 左

mmHg

125. 30 ± 1. 51 139. 68 ±2. 26 145.65土3.22 155.38士3.08 177.03土4.14 172.87土3.92 184.74土4.28 一 898 一一

(3)

隣;譜

40 tv 44 45 tv 49 50 rv 54 55 tv 59 60 ・v 64 65 iv 69

70才以上

人数

右 左 女

人数

右 左 120 104 81 1 66 50 i 49 [ 41

mmHg

82.33士1.30 88, 65±1. 69 87.00士1.64 89.85土1.67 89.00土1.82 87. 24 ±2. 85 92. 89 ±2. 30

mmHg

81.50士1.14 199 85.38土1.45 141 86.85±1.67 i 107 88.94士1.74 80 88. 40±2. 24 1 58 86.73士2.39 61 93.11±2.15 1 45 73.64珊慧§1 84。01土1.36 90. 05±1. 66 87. 75 ±1. 65 93.62土2.20 93. 69 ±2. 06 96. 84 ±3. 30

mmHg

74.37士1.07 84. 15±1. 34 88. 83 ±1. 61 86. 13 ±1. 37 92. 24±2. 44 89.26土1.72 94.21土2.90 最高血圧は40∼44才では女子よりも男子が高v・ が(平均値の差が標準誤差の1.99倍),50∼54才に なると女子の平均値はその差が標準誤差の3.7倍 で明らかに男子の平均値を凌駕している。その後 55∼59才では男女平均値間に有意の差はないが, 60∼64才,65∼69才では明らかに女子が高v・。70 a]mH? 200 血 圧 190 i80 170 160 [50 140 130 i20 iLO ioo 90 80 70

値60

rj O 40 o

図1 年令馴平均血圧

=濡曙睡馨生禰申込都95・一1952)

=二=嬰瞬田軸柵県鑑榊口訣卵51)

曹一一一』一 ×一ス!/’♪’ s/民一s! . ,,ム’ / 一一_ムー ナ ロロムロロ

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最低血㌧/ニジ

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男} ・証縮臨狛立(脇)

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最高血圧 /,/

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20 [30 40

年 令

50 60 70オ

(4)

才以上では平均値の差が標準誤差の1.8倍である。 全体を通じて最高血圧の平均値は殊に女子におい て高めであるが,40才前後では男子の平均値が高 く,50才を過ぎると女子の平均値は急激に上昇し て,その後の高年令においてはほとんど女子が男 子より高い値をしめで io tsと言える。 最低血圧は40∼44才では1女子よりも男子の平均 値が明らかに高く,45ん49才で有意の差をもつ七 男子が高い(平均値の葦が標準誤差の2.2倍)。そ れ以後の高年令になると概して:女子の:方が高い が,男女平均値の聞に有意の差は認められなかつ 旋(ただし65∼69才の平均値の差が標準誤差の1.8 倍)。男子の最低血圧は45∼49才から65∼69才ま で平均値の上昇はほとんど認められす,女子では 同年令階級におV・て僅かに上昇を示しているが, 有意の差をもつて男子の平均値を凌駕するまでに は至っていない。最高血圧に対して最低血圧は全 体的に低めであると言える。 性別年令別平均血圧(右側)(表1)を鈴木によ る生命保険申込者の統計18)(1950∼1952),および 福田による秋田県館合村の集団検診による報告6ノ (1951年5月)と比較すると(図■),鈴木の統計 よlpは最:高血圧,最低血圧とも著しく高い値を示 している。図によって最高血圧および最低血圧に ついて福田の報告と比較すると,最:高血圧の曲線 はあまり著明な相異を示してV・す,むしろ女子の 高令者では福岡村の方が高いかに思われるのに対 して,最:低1血圧の曲線は交叉することなく全年令 にわたって福田の結果より低い位置を走ってVO る。 (3)1血圧の左右差 血圧の左右差を比べるには,厳密な意味では柴 表H 福岡村血圧左右異同分布

最高血圧 最低血圧

例剃%例釧%

田19)20)のように左右両側を同時に測定すべきであ ろうが,本調査におV・ては実施上困難なために右 側を先に行った。表1において性別年令別に左右 両側の平均血圧を比較すると,男子の最高血圧で は40∼44才,50∼54才を除いたすべての年令階級 において,右側の平均値が有意の差を以て左側の 平均値よりも高く,最低血圧では4g∼44,45∼49 才,55ん59才,’70才才以上の年令階級におV・て, 右側の平均値が有意の差を以て左側り平均値よb 高い。女子にあっては最高血圧,最低血圧とも各 年令層において右側の平均値が有意の差を以て左 側の平均値よりも高かった。 右側の高V・もの,左右面高のもの,左側の高い ものの分布を最:高血圧および最低血圧についてみ うと表■のようになる。最高血圧,最低血圧とも 右高のものが高率であるが,ことに最高血圧では 男女とも半数以上をしめてv・る。左右交互に測定 した場合の一血圧は,精神的にも肉体的にも不安定 な状態にあるから,先に測定した:方の側が高い値 を示しがちであると老えられる。しかし柴田]9)の 両側同時測定法によって行った報告では,最:高血 圧,右高のもの男51.O%,女50.0%,左高のもの 男31.1%,女30.4%,最低!血圧,右高のもの男 39.6%,女30.4%,左高のもの男41.q%,女46.7 %となっていて,最高血圧の右高,甲高の率は本 調査と似た分布を示している。このような点から みると本調査における左右異同の分布が,右側を 先に測ったためのみによるとは考えられなV・。 次に最高血圧および最低血圧につhて,それぞ ’x x.

匿高

;、暑名論

284睡・i・・副・…

・・21…い5・1 ・…

左劃・・5…22・・1・462&6

1右高 女 …

69酬等

3sl l so.sl 2sg 1’ 41,.s 1291 18.7i 183i 26.5

1左高

2111 30.5i 2191 31.7 表皿 血圧の左右差の大小と高血圧の比率 A 左右差10ミリ以上あるもの B 左右差9ミリ以下及び左右等しいもの

欄血圧献灯立撃血圧者(%)差の判定

品韻Ai 126;59幽

Bl 3851 133 (34.5) 2. 42 i 1

fe! g3r 36(38・7)i’ o.2si

最低血圧 1 B 1 41s i 1s6 (3z 3) i 女

「騙雌

最低血圧 Aい4・…88(・2・・)1

Bi ssil 22i ge.i)1

4. 96

Al io41

sl (4g. o) 1

Bi sss1

256・・副 O. 99 i

(5)

れの左右差の大小と高血圧との問の関係をしらべ た(表皿)つただし最:高血圧,最:低血圧とも左右差 が10mmHg以.Lあるものと,高血圧として最:高 一血圧15GmmHg以上のもの(後述)との関係を追 及した。そこで実際には男女の最高血圧および最 低血圧につV、て,左右差がそれぞれ10mmHg以 上のものと,9mmHg以下のものとの高血圧出現 率を比較した。木村2)は低血圧および高一血圧病者 に最高血圧の左右差の著しV・者が多く認められた と報告してV・る。本調査においても最高血圧では 男女とも左右差が著明なものに:有意の差を以て高 血圧の多いことが認められたが,最低血圧におい ては有意の差は認められ,なかった。 (4)高血圧および低血圧の出現率 血圧値何mmHg以上を高血圧とするか,ある いは最高血圧値のみを以て高血圧を定めるか,:最 高血圧値および最:低血圧値を以て高一血圧を定める かなど論議の多いところであるが1/!7)21、25),本調 査におv・ては最高血圧150mmHg(以下150と略 記)以上のものと,最高血圧150mmHg以上およ び最低血圧90mmHg(以下150∼90と略記)以上 のものと二つの湯島につV・て高血圧の出現率をし らべた。表IVは右側の血圧値における高血圧の出 現率であるが,左側の血圧値からの出現率は一般 iK. ! x × 1年令別 表IV 福岡村高血圧の出現率 A 最高血圧150mmHg以上を高血圧とし,た場合 B 最高血圧150mmHg以上,最低血圧90mmHg以上を高血圧とした場合 性 別 男 女 1

\画数…

A

B

一一X6 (7. 5) (25. 0) (24. 7) (39. 4) (32. 0) (46. 9) (51.2)

例数

A

B

才 40 tv 44 婆5 ∼ 49 50 一v 54 55 tv 59 60 tv 64 65 tw 69 70才以上 120 104 81 66 50 49 41 % 15 (12.5) 9 32 (30.8) 1 26

25(3α9)120

35 (53.0) 26 24 (48.0) 1 16 28’(57.1) 23 31 (75.6) 21 199 141 107 80 58 61 45 % 26 (13.1) 39 (27.7) 55 (51.4) 48 (60.0) 4?. (72.4) 46 (75.4) 42 (93.3) e% i? (.II・li 1 (19.9) i 28 41 (38.3) 32 (40. 0) 32 (55.2) i 26 (42.6) 1 2s (ss.6) 1 にこれよP僅かに低い(表台)。 150以上を高血圧とした場合の出現率は極めて 高率で,男子では55∼59才,女子では50∼54才で 50%以上に達している。その後高年令となるにつ れて男子ではさほどの増加を示さす,70才以上で 漸く75%を越えるのに対して,女子では年令階級 を増すごとに増加して70才以上では90%を越えて いる。また40∼44才では男女とも低率でほぼ同率 であり,45∼49才になると両者ともほぼ2倍の増 力riを示すが,50∼54才では男子はなお殆んど45∼ 49才と同率なのに対して女子では45∼49才の2倍 近くの増加を示してV・る。更年期前後から女子に おける高血圧者の増加は,男子に比し著しいもの がある。 150∼90以上を高血圧とした場合についてみる と,前者に比して著しく低率となる。男子では40 ∼44才がら45∼49才で3倍以上の増加を示してV・ るほが顕著な上昇を示さす,70才以上で初めて50 %を越えている。女子にあっては40∼44才,45∼ 49オおよび50∼54才でそれぞれほぼ2倍の増加を 示してV・るが,その後の年令階級では著しい上昇 を示さす,60∼64才で55%を越えている。先に福 田の秋田県館合村における調査との比較で,女子 の最高血圧の平均値は高年令では福岡村の方が高 bように思われた。しかし福田の49才以下は150 ∼95以上,50才以上は160∼100以上を高1血圧とし た場合の出現率に比べると,女子50才前後でぼ縞 合村の:方が2倍近くも高率であり(46∼55オ,53 %),40才前後ではほぼ3倍の高率を示している (36∼45才,31%)。これは福岡村における最高1血 圧の平均値が二合村における値に比して著しい相 異を示さないのにかかわらす,最低血圧の平均値 は男女とも明らかに福岡村が低い値を示している ことからも推測される。Hinesは最低血圧の高い ものほど後年高血圧になりやすいことを報告して いるが,本調査の結果におV・ても脳卒中死亡率最

(6)

高をしめる秋田県の代表的な一農村である置合村 における高血圧の出現状況との比較から,壮年層 における最低血圧の上昇が高血圧の発生および予 後に深い関係をもつことが考えられる。 低血圧を最高1血圧99mmHg以下のものとする と,その出現率は表Vの如くなる。男女とも極め て低率であるが,高一血圧の出現と同様に男子より も女子の方が高率である。 ㈲ 調査項目別による高一血圧出現の比率 問診による調査項目別に高一血圧出現率の差を検 定した(表VD。ただし高血圧として右側最高.血圧 150mmHg以上のものを選び,男女合計した数で 表V 福岡村低血圧の出現率 \性別及低 \、血圧率 年令別\\ 40 tv 44 45 iv 49 50 tv 54 55 rv 59 60 rv 64 65 xv 69 70才以上 男 被検者数:低血圧者露 I W 120 104 81 66 50 49 ,i 1 3 (2. 5) o o 1 (1. 5) o o o 女 被検者数隊血圧者% L一一m.rmY 199 141 107 80 58 61 45 12 (6.0) 4 (2.8) 1 (O.9) 1 (1.3) o o o 検定を行った。 表VI各項目による高血圧者の比率の差 項 目

「墾劃髄庄煮(%嵯の判定

既 往 症 現 症

主 食

心臓患三

体 食

腎臓疾患就

自覚症状属

官 満 者 普 通

白 米 みみ

混 食

11∼3日に1回

肉 あまり食べず

魚 1tV 3 目 昏こ 1回

あまり食べず

海 藻

1・V3日に1回

あまり食べず

嗜 酒 好 品 煙 草 の む の ま な い の む の ま な い 労 妊

仇隠

しr ”T−1 .墾1・ の 業 他 rs 1 24 (so. o) 1154 1 486 (42.1) 49 1153 561 641 19 (38.8) 491 (42.6) 254 (45.3) 256 (39.9) 135 1067 106 1096 79 (58.5) 431 (40.4) 44 (41.5) 466 (42.5) 1. 07 O. 53 1. 87 199 1003 727 475 3. 79 e. 20 66 (33.2) 444 (44.3) 2. 54 272 (37.4) 238 (50.1) 367 835 343 (4L 1)167 (45.5) 259 252 99 (38.2)92 (36.5) 377 134 133 (35.3)ss (43.3) 324 878 ∼ 3 回 回 以 上 104 219 131 (40.4) 379 (43.2) 37 (35.6) 180 (55.7) 4. 36 1. 42 O. 40 1. 62 家 族 歴

卒轍に嚢ε

287915

心鰍闘・就

881114 .尿

早馬購・就

23 1179

蛋白階匪

38 1164 O. 86 3. 49 140 (48.8) 370 (40.4) 2. 47 31 (35.2) 479 (43.0) 1. 47 10 (56.5) 500 (42.4) 26 (68.4) 486 (41.6) 1. 35 3. 49 一 402 ・一

(7)

ます既往症として心臓疾患にかかったことのあ るものは,ないものより高血圧の率が高いように みえるが,その間の差は有意ではなかった。腎臓 疾患の既往あるものは,なV・ものより却って高血 圧の率が低いようにみえるが,この出合も有意の 差はなかった。 現症としては肩凝,頭重,頭痛,眩直心を問診 したが,ここではそれらの自覚症を一つでももっ ているものと,全くもっていないものとの高血圧 出現率を比較した。両者間に明らかな有意の差は なかったが,自覚症をもつたものに高血圧者が多 い傾向のあることが認められた。 体格では検者の主観によって肥満者と普通の体 格のものとに分けたが,両者聞に明らかに有意の 差が認められた。即ち肥満者には普通の体格のも のに比べて高.血圧者が多く見出された。 主食は白米のみを食べるものと混食として米 麦,パン,麺類を食べるものとに分けたが,両者 聞の高血圧出現率はほぼ同率で有意の差はなかっ た。肉,魚,海藻類についてば,それぞれ1∼3 日に玉酉食べるものを一群とし,週1回とか月1 ∼2画食べるものと殆んど食べないものを一群と して,両者間の高血圧出現率を比較した。肉類の 摂取については,あまり食べないものの高血圧の 率がよく食べるものより高率であって,両者闇に 有意の差を認めた。すなわち肉類をあまり食べて いないものに高血圧者が多く見出されるのである が,全体を通じて1,202名の被検者中肉類を殆ん ど食べていないものが503名の多きに上っている。 次に魚類の摂取についてみると,肉類の面面と同 様にあまり食べていないものの高血圧の率が,比 較的よく食べているものよりも高率である。両者 間には明らかに有意の差が認められた。すべての 被検者中魚類を殆んど食べていないものは125名 で,1∼3日に1回食べるものが727名をかぞえて いる。魚類をあまり食べなV・ものに高血圧者の明 らかに多いことと,先にみた肉類における同様の 事実とは,過重な労働に伴う動物性蛋白の乏しい 食餌が,本邦農村における高血圧発生の重要な一 因となっていることを示すものであろう。海藻類 においてはむしろ比較的よく食べてV・るものに高 血圧の出現率が高いようにみえるが,有意の差は なかった。 嗜好品のうち酒をのむものは,女子におV・ては 691名のうち19名に過ぎなV・のでこれを除き,男 子のみにつV・て検定した。男子では多少にかかわ らすのむものは被検者511忌中259名で殆んど半数 をしめる。高血圧者のうちでものむものとのまな いものとの率はあまり異らす,その間に有意の差 はなかった。煙草につV・ては女子ののむものが86 名あったが,ここでは男子のみについて検定し た。男子では多少にかかわらすのむものが被検者 中377名で70%以上をしめている。高血圧の出i現 率はのまないものの:方が高いようにみえるが,両 者間に有意の差は認められなかった。酒および煙 草につV、ての報告は種k’であるが1)24,25),本調査 においては両者とも高血圧との関係は見出されな かった。 労働については農業に従事するものとその他の 職業のものとの高血圧出現率を比較したが,有意 の差は認められなかった。 次は妊娠回数と高血圧との関係をみた。40才台 ではまだ妊娠の可能性があるので50才以上のもの を対象とし,妊娠3回以下のものと4回以上のも のとの高血圧出現率を比較した。50才以上の被検 者323名のうち妊娠3回以下のもの59名,4∼6回 のもの137名,7回以上のもの132名をかぞえてい る。妊娠3回以下のものより4回以上のものの高 .血圧出現率がはるかに高率であって,両者聞には 明らかに有意の差が認められた。すなわち妊娠回 数の多いものに高血圧者が多く見出された。この ように頻回の妊娠が高血圧の発生をうながすとい う意味からも,母性保護の問題は老えられなけれ ばならない。 家族歴ではます脳卒中について,両親あるいは 片親に脳卒中に罹患中または死亡例のあるものと ないものとの間の高血圧出現率を比較した。親に 脳卒中のあるものは被検者1,202名のうち287名で 24%をしめている。高血圧の率は親に脳卒中のあ るものの方がないものより高率であり,両者間に は有意の差が認められた。高血圧あるいは脳卒中 の発生が遺伝することは,多数の報告より見出され るが215)26),本調査におV・ても親に脳卒中のある ものに高血圧者が多く見出された。心臓疾患につ V・ても同様に親に罹患中あるいは死亡例のあるも のとないものとの聞の高血圧出現率を比較した。 親に心臓疾患のないものがあるものより却って高 率にみえるが,その闇に有意の差はなかった。腎

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臓疾患についても同様に親にあるものとないもの との間の高血圧出現率を比較した。親に腎臓疾患 あるものはないものより高率であるが,両者間に 有意の差はなかった○ 尿蛋白陽性のものは被検者1,202山中38名に見 出されたが,検査をうけるまで知らなかったもの が相当数認められた。陽性のものと陰性のものと の高血圧出現率は,陽性のものが高率であり両者 間に明らかな有意の差が認められた。 なおこれら諸項目の詳細については後に報告す る。 IV 考 察 最高血圧は一般に比較的高い値を示しており, 特に女子におV・て著しい。平均血圧値は40才台で は女子よりも男子が高V・が,50才以後の高年令層 では女子の平均値は男子よりも高い傾向を示して いる。最:低一血圧は40才台では女子よりも男子が高 いが,50才以後の高年令層では男女間に明らかな 相異は認められない。血圧の男女差については報 告によって種k’であるが!)4)6)14)∼18),本調査にお いては50才前後からの女子最高.血圧の上昇は男子 に比し著しbものがあった。更年期以後における 女性機能の低下が,血圧の上昇に何らかの影響を 及ぼしているものと考えられる。 高Ml圧の出現を最高血圧値のみによってみた揚 々に比し,最:低血圧値を含めた揚合の出現率はは るかに低率となり,これを福田の報告と比較する ことにより,高血圧の発生および予後に最低血圧 が重要な意義をもつものと考えられた。 血圧の左右差については,種々の条件により変 動することが考えられるので明らかにはなし得な いが,右側の値が左側に比して高b傾向を有する のではなV・かと思われた。最高血圧の左右差が著 しいものに高血圧者の多いことを認めた。 肉類,魚類をあまり食べていないものに高血圧 者が多いことから,本那農村の食生活におV・ては 動物性蛋白の摂取が必要であり比較的入手し易V・ 魚類をより多く食べるよう指導すべぎであろう。 妊娠回数の多いものに高血圧の出現が多かっ た。農村の婦人には男子と同様の労働が課され, それに轟轟,妊娠,育児等の過重な負担が加わる ことになる。それゆえ本邦農村婦人を高血圧から まもるという意味からも,頻回の妊娠を避けるた めに妊娠調節の知識の普及が望まれる。 V 総 .括 昭和30年5月中旬から約1カ月間,埼玉県福岡 村におV・で血圧の集団検診を行った。椅旧位で上 腕動脈の聴診法により,右から先に左右両側に測 定を行った。対象は40才以上の男女としたが,該 当者の7割強の1,202名について調査し得た。そ の結果を批判すれば次の如くである。 1)性別年令別血圧分布は,最高血圧では年令 の増加とともに高圧側への移行は男子より女子に 著しく,最:頻値が150mmHg以上になるのは男子 では70才以上,女子では50∼54才である。最低血 圧では男女間に著明な差はなV・。 2)性別年令別平均血圧は,最:高一血圧において は40∼44才では女子よりも男子・が高いが,50∼54 才になると女子の平均値は明らかに男子を凌駕し て,その後の高年雨漏における女子の平均値は男 子より高V・傾向を示している。最低血圧において は40ッ49才では女子よりも男子が高いが,その後 の高年令層では最:高血圧のように女子の平均値が 男子より高V・とは言えない。 性別年令別霜均一血圧を鈴木の統計と比べると, 最高血圧,最:低血圧とも本調査の方が明らかに高 い値を示してV・る。疑団の報告との比較では,最 高血圧は著しい相異を示していないのに対して, 最低血圧は本調査の方が明らかに低い値を示して VOる。 3)血圧の左右差についてみると,男湯におい ては最:高i血圧,最:低血圧とも右側の平均値が左側 よりも高い傾向にあることが認められ,女子にお いては最高血圧,最低血圧とも全年令階級におい て右側の平均値が明らかに左側の値より高かっ た。男女の最高一血圧および最:低血圧について,右 側の高いもの,左右素話のもの,左側の高いもの の分布をみると,すべての揚合に右高のものが高 率である。本調査を柴田の左右同時測定による右 高,日高の分布と比較するに,最高血圧ではほぼ 同じような率を示している。男女の最高血圧,最 低血圧につV・て,それぞれ左右差が10mmH:9以 上あるものと9mmHg以下のものについて高血圧 の出現率を比較した。最高血圧にあっては男女と も左右差の多V・ものに高血圧者が多かったが,最 低一血圧においては両者間に有意の差はなかった。 4)最:高血圧150mmHg以上のものと,最高血

圧150mmHg以上,最低血圧90mmHg以上のも

一 404 一

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のを高血圧とした二つの場合について,高血圧出 現率をみた。前者では極めて高率で男女とも50才 台で50%に達している。その後高年令となるにつ れて女子の高血圧出現率は著しく増加するが,男 子はさほどの増加を示さない。150∼90以上を高 血圧とした二合の高1血圧出現率は前者に比しはる かに低率となって,最:高血圧の平均値が館合村よ り高いようにみえた女子高年層における高血圧の 出現も,50才前後では館合村の約半数に過ぎな /O。低血圧を最:高血圧99mmHg以下とすると, その出現率は男女とも極めて低率であるが,男子 よりも女子が僅かに高率を示している。 5)問診による調査項目別に高血圧出現率の差 を検定した。既往症,現症,食餌,嗜好品,労 働,妊娠,家族歴,尿蛋白等の調査項目のうち, 高一血圧との関係に有意の差をみたものは次のもの である。肩凝,頭重,眩量等の自覚症をもつてい るものに高一血圧者の多い傾向のあることが認めら れた。普通の体格のものに比べて肥満者に高血圧 のものが多く見出された。食餌については肉類を あまり食べていなV・ものに高血圧者の多V・ことが 認められた。魚類の摂取につv・ても同様であっ た。妊娠回数の多V・ものに高血圧者が多く見出さ れた。家族歴では親に脳卒中のあるものに高血圧 者が多がつた。尿蛋白陽性のものに高塩三者の多 V・ことを認めた。 おわりに,吉岡一入教授のご指導とご校閲を深く感 謝いたします。 文 献 1)岡田豊美:広島県比婆郡西城町に於ける高和者 血圧の統計的観察,広島医学,3,721∼723(昭 30) 2)木村 武:岩手県下農山漁村の血圧調査(1),岩 手医学雑誌,5,155∼162(昭29) 3)河野真:炭鉱従業員の血圧,医学研究,25, 2546iv2556 (HB28) 4)高橋英次:東北の一農村部落に於ける血圧の夏 冬の比較,医学と生物学,36,64∼67(昭30) 5)田圃恒男:正常人血圧の統計的研究ω,最大」血 圧の分布型と其年令に依る移動 医学と生物学,29, 263∼265(目召28) 6)謡田篤郎:秋田県農村の高血圧調査(1),平鹿郡 農村(口合村)高血圧情況,秋田県医師会雑誌, 3, 19∼27 (日召26) 7)溝型篤郎1秋田県農村の高血圧調査②,冬期に 於ける」血漿Vitamin C濃度,秋田県医師会雑誌, 4, 98∼100 (正距27) 8)荘司栄徳:秋田県農村の高血圧調査⑧,冬期貯 蔵野菜Vitamin C含量及びVitamin C摂取量, 秋田県医師会雑誌,4,101∼103(昭27) 9)木村 勉:秋田県農村の高血圧調査㈲,農村食 塩摂取量の実測,秋田県医師会雑誌,4,104∼107 (昭27) 10)編田篤郎:秋田県農村の高血圧調査⑤,高」血圧 者の循環血漿量,秋田県医師会雑誌,4,184∼186 (昭27) 11)謳田篤鄭:秋田県農村の高血圧調査(6),PSP 県下試験,秋田県医師会雑誌,4,187∼190(昭 27) ユ2)謡田篤鄭:秋田県農村高血圧に託て.千葉医学 会誌,29,490∼502(昭29) 13)叛原克哉:特定農村に見られた高血圧者の遺伝 関係及びその食生活の実態,秋田県医師会雑誌, 4, 14∼19 (日召27) 14)日比貞子:最近における日本人の血圧値につい て,綜合医学,5,238∼240(昭23) 15)一色二野:血圧の統計的観察,保険医学雑誌, 58 (1), ltv58 (R’”n14) 16)鈴木 馨:戦後における生命保険申込者の体格 並びに血圧測定値の動向について,保険医学雑誌, 52 (3), 1・一42 (H’”i29) 17)金井 繁=日本入血圧に関する統計的研究,保 険医学雑誌,53(2),1∼31,(3),1∼13(昭30) 18)渡辺 定:日本入の年令別血圧の分布(戦前と 戦後),綜合臨床,3,1447∼1454(昭29) 19)柴田 勝:早坂式両側血圧同時測定法に依る左 右上搏血圧の比較研究,正常血圧に就て(附血圧 と蝿叩囲との闘係),日本内科学雑誌,23,995∼ 1009 (巨召10) 20)柴田 勝=両側血圧同時測定法に依ろ左右上納 血圧の比較研究②,高血圧者及び低血圧者,保険 医学雑誌,35(4),400∼418(昭11) 21)谷島辰男:統計からみた正常」血圧の範囲,医学 のあゆみ,18,349∼359(昭29) 22)渡辺 定;高血圧の予後統計,高血圧(医学シ ンポジウム第5輯),診断と治療社,31・S’47(昭29) 23) Hines, EA: Range of Normat Blood Pres−

sure and Subsequent Development of Hyper−

tension. J.A.M.A. 115,’ 271rv273 (1940)

24)吉岡 誠:酒類常用者と血圧,保険医学雑誌,

(10)

25)申沢房吉:高血圧病と環境条件,高血圧(医学 シンポジウム第5輯),診断と治療社,82∼91(昭 29) 26)宮尾定信:遺伝,高血圧(医学シンポジウム第 5輯),診断と治療社,67∼81(昭29) 一 406 一

参照

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