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小児神経疾患における 99mTc-HMPAO SPECT の有用性について

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原 著

〔熱線蒋78第職、糊〕

小児神経疾患における99mTc一:HMPAO SPECTの有用性について

東京女子医科大学 小児科学教室(主任:福山幸夫教授)         ヤマ   ォカ    ミツ   コ         山 岡  光 子 (受付 平成5年11月20日) 99msc・HMPAO SPECT in Pediatric Patients with Neurological Disorders         Mitsuko YAMAOKA Department of Pediatrics(Director:Prof. Yukio FUKUYAMA)        Tokyo Women’s Medical College    In 125 pediatric patients with suspected brain diseases, EEG, CT and MRI findings were compared with those obtained with single photon emission computed tomography(SPECT)of the brain using Tc−99m−d,1−hexamethyl・propylen amine oxime(99mTc・HMPAO), to determine the useful− ness of SPECT as an adjunct to EEG, CT and MRI in this age group.    The incidences of abnormal findings in the 125 patients were 53.6,75.2,60.6 and 51.4%using .99msc・HMPAO SPECT, EEG, CT and MRI reSpeCtively. In lOCalizatiOn・related epilepsy and CerebrO− vascular diseases, the incidence of abnormality was higher with 99mTc−HMPAO SPECT than with either CT or MRI. There was a tendency for mean age to be higher and mean IQ or DQ lower in patients with more extensive abnormality in comparison to those who had normal or only focally abDormal SPECT findings. Nevertheless, some patients showed focal hypofusion in the frontal or occipital area without siginificant mental retardation. Epileptic foci detected by EEG corresponded to defects found using 99mTc−HMPAO SPECT in 34.8%of the symptomatic localization・related epileptic patients. Pathological lesions detected by CT or MRI corresponded with SPECT findings in 48.1%of patients. Furthermore, the incidence of abnormal findings on SPECT was 30%in patients in whom CT or MRI was normal. Epileptic foci detected by EEG did not correspond well with the area of focal hyperfusion found on SPECT. Focal hyperfusion may sometimes occur even in the interictal period or poStiCtal periOd in ChildhOOd seizUre diSOrderS. In COncluSiOn,99mTc・HMPAO SPECT revealed abnormal findings at a moderate incidence in neuropediatric patients. Correlations with EEG, CT and MRI findings as well as assessment of clinical signs, including the investigation of epileptic foci, are essential for adequate interpretation of brain functions.        緒  言  近年急速に進歩したMRI, CT, SPECT, PET などによる画像診断法が神経疾患の臨床に与えた 影響は,測り知れないほど重大である.  SPECTは,病巣局所の把握, crossed cerebe1− 1ar diaschisis(CCD)を含めた遠隔効果の有無の 判定,あるいは知能指数,言語能力,記憶力,巧 緻:性,認知能力などの神経心理学的評価との相関 など広く活用されつつある1)∼3).さらに比較的短 時間に,経済的に,また侵襲なく施行可能な点も 特に小児にとっては利点としてあげられる.てん かんに対するSPECTの研究は,特に部分てんか んを対象として多くなされ,てんかん焦点決定に 大きく貢献しつつある2)4)∼8).  発達途上にある小児,特に乳児の神経病変は, 構造的病変より機能的画像的病変が先行して顕在 化する特性がある.また小児ではてんかんに精神 遅滞や脳性麻痺などの重複障害が合併しやすく,

(2)

臨床症状からは焦点局在診断が困難な場合があ る.SPECTは神経病変の早期把握,臨床経過の推 測により有用であると言われている9).  小児科領域でのN−isopropyl−p一〔1231〕iodoam− phetamine(1231−IMP)を用いたSPECT検査の有 用性に関する報告は散見されるが,成人例に比べ れば少ない.特に99mTC−hexamethyl−propylene amine oxime(99mTC−HMPAO)を利用した小児 の報告はIivanainenら10)の60例およびUvebrant ら11)の79例の報告のほか,本邦では金澤ら12))の2 例並びに八木ら13)の1例などの報告のみで,100例 を越える多数の小児例を対象とした報告はまだな い.  今回著者は,小児神経疾患例(75%はてんかん

例)の99mTc−HMPAOによるSPECTにて脳局所

血流分布を判定し,頭部CT, MRI並びに脳波所 見と比較検討し,若干の知見を得たので報告する.        対象および方法  1.対象  1990年1月1日目ら1992年9月30日の期間に当 科に入院あるいは外来受診し,SPECT検査を受 けた小児期発症の神経疾患患者125例を対象とし た.性別は男60例,女65例,SPECT検査時年齢は 5ヵ月から41歳7ヵ月に亘り,平均11.5歳(1SD= 8.6歳),15歳未満は89例であった.対象症例は表 1のごとく疾患別に7群に分類した.その内,て んかん症例は,国際抗てんかん連盟(ILAE)の[て

んかんおよびてんかん症候群の国際分類

(1989)]14)に準じて分類した.  SPECT検査は,125例全例に延べ139回施行し た.同検査は発作間欠時{但しけいれん発作(部 分けいれんから二次性全般化けいれん)2日前に 施行された1例を含む},あるいは非発作性疾患で はその定常状態にある時期に,また5例(1例は 全身性強直性けいれん,4例は部分けいれん群発) では発作後1日以内に施行した.これらてんかん

発作当日のSPECT画像を本稿では便宜的に発

作後SPECT像と呼ぶ.  2.方法

 SPECT装置は,データ処理装置(島津製

SCINTIPAC 2400)を付けた廻転型シンチカメラ (シーメンス・デジトラック),あるいは三角カメ ラ(東芝製GCA・9300−AHG)を用いた.データ収 集は,廻転型シンチカメラでは64×64マトリック スで,各10度毎に60秒収集で360度収集を,三角カ メラでは128×128マトリックスで15分間連続収集 を行った.SPECT検査は患者を臥位安静閉眼状 態,または年少児ではmonosodium・trichlorethyl phosphateにより睡眠状態とし,99mTc−HMPAO 15MBq/kgを静脈内に投与後,横断,冠状断,矢 状断の3断層像を作成した.SPECT所見の評価 は,図1のごとく関心領域(regions of interest) を中心に,血流状態を視覚的に判定し,3断層像 について,2スライス以上の範囲で,小脳や対側 大脳半球と比較して明らかに異常集積を示すもの のみを異常と判定した.このSPECT所見の評価 にあたっては,先ず複数の放射線診断医が患者の 臨床データ等を知らない状態で行い,著者自身の LF

p構ニー。

Pl

。,癩幽蝋画D

UFl上部前頭葉

PA=頭頂葉 LF=下部前頭葉

T=側頭葉

0=後頭葉

C=尾状核

P=被殼

TH二視床

LTl下部側頭葉

CE=ノ」・月明 PI:下垂体 PO=橋

D=歯状二

一1 99mTc−HMPAO SPECT横断断層像における関  心領域(19歳,男性正常例)

(3)

表1 研究対象の疾患別分類 群 疾  患  分  類 対象例数i小計)  年齢(歳)imean士SD) 】一 てんかんおよびてんかんを合併する複合脳障害 (94) 1a全般てんかん (28) 8.1±7.4 1a1:特発性 5 1a2:症候性 17 1a3:潜因性 6 1b局在関連性てんかん (54) 15.1±9.5 1a1:特発性 2 1a2:症候性 47 1a3:潜因性 5 1cその他 (12) 7.2±5.4 乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI) 6 徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん 1 (CSWS) 熱性けいれん(複合型) 2 全般性か焦点性を決定でぎないてんかん 2 Landau・Kleffner症候群(LKS) 1 2 てんかんを含まない脳障害 (7) 1LO±3.6     − 脳炎後遺症 1 精神遅滞 3 精神遅滞並びに自閉症 2 脳膿瘍 1 3 代謝・変性疾患 (6) 7.1±4.7 ミトコンドリアサイトパチー 3 多発性硬化症 1 Rett症候群 1 その他 1 4 脳血管疾患 (6) 13.7±7.7 陳旧臣脳梗塞 1 小脳梗塞 1 ウィリス動脈輪閉塞症 3 可逆性虚血性脳障害 1 5 先天異常 (2) 1,7±0,5 Sotos症候群 1 Angelman症候群 1’ 6 神経皮膚症候群 (6) 11.4±5.8 Sturge−Weber症候群(SWS) 2 神経線維腫症 2 結節性硬化症 2 7 その他 (4) 9.3±4。7 心因反応 3 脊髄疾患 1 計 125 11.5±8.6 判定も加え,それぞれの意見が一致した場合を異 常所見ありとした.得られた所見は正常,局所性 低血流像(大脳半球の偏側あるいは両側一葉,脳 室周囲,基底核などの局所異常例),半球性低血流 像,多発性両側性低血流像,びまん性低血流像, 局所性高血流像並びにCCDに分類した.  脳波所見は調査対象例全員に施行された.電極 の位置は,1歳未満を除き全例国際式10−20法によ り,単極誘導,双極誘導により,可能な限り安静 覚醒時および睡眠時の両条件下で記録した.しか

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し幼少例や精神遅滞例では睡眠時記録のみに止ま ることが多かった.脳波検査は経過中全例におい て反復施行されているが,本研究ではSPECT検 査施行時に最も近い脳波所見のみを対象とした. 脳波所見の正常,異常の判定には,年齢および記 録条件を充分考慮し,全般性,局在性の異常波の 有無,特に発作時脳波所見に関しては発作波の起 始部位に特に注目して判定した.  CT検査は94例に, MRI検査は108例に施行さ れた.  CT上脳実質内に高あるいは低吸収域を認めた 場合,またMRI上脳実質内に高あるいは低信号 強度域を認めた場合を限局性病変ありと判断し た.CT, MRIにて脳実質の半球性あるいは左右対 称性萎縮を認めた場合並びに両側脳室の軽度非対 称性は非限局性病変と判定した.  なお,SPECT, CT, MRI施行例の中で限局性 病変を含めたすべての異常所見が見出された例の 占める割合を,本稿では簡便のために以下は異常 率と略記する.  全調査対象例の内111例に,87■TKビネ一式, WPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence), WISGR(Wechsler Intelligence Scale for Children−revised).知能検査,あるいは 津守・稲毛式発達検査法を施行した.発達指数 (DQ)または知能指数(IQ)が70未満を各々精神 運動発達遅滞または精神遅滞,70∼85を精神運動 発達または精神発達正常と遅滞の境界領域,86以 上を同正常と判定した.  なお,平均値の差の検定には,スチューゲント のt検定ないしウェルチのt検定を用いた.          結  果  1.全対象例におけるSPECT, EEG, CT, MRI 各検査の異常率  表2のごとく全対象例における各種検査の異常 率は,EEG 75.2%, CT 60.6%, SPECT 53.6%, 表2 SPECT, EEG, CT, MRIの異常率 各疾患群における異常率 全例 1群 2群 3群 4群 5群 6君羊 7群 n125 n94 n7 n6 n6 n2 n6 n4 SPECT検査例数 125例 94 7 6 6 2 6 4 SPECT有所見例 67例 49 4 3 6 0 4 1 (%) (53.6) (52.1) (57.1) (50.0) (100) (0.0) (66.7) (25.0) EEG検査双数 125 94 7 6 6 2 6 4 EEG有所見例 94 80 3 1 4 1 4 1 (%) (75.2) (85.1) (42,9) (16,7) (66.7) (50.0) (66.7) (25.0) CT検査再誕 94 69 6 4 6 2 4 2 CT有所見例 57 40 4 3 5 2 3 0 (%) (60.6) (58.0) (66.7) (75.0) (833) (100.0) (75.0) (0.0) MRI検査例数 107 80 6 6 6 1 5 3 MRI有所見例 55 39 3 4 5 0 4 0 (%) (51.4) (48,8) (50,0) (66.7) (83.3) (0.0) (80,0) (0.0) てんかん群(1群)の亜群の異常率 1群の亜群n 1a1i5) 1a2 i17) 1a3一(6) 計1a i28) 1b1 i2) 1b2. i47) 1b3 i5) 計1b i54) 1c i12) SPECT有所月数n @       (%)   1

i20.0%)   9i52.9%)  1i16,7)  11i39.3%)  0i0.0%)  33i70.2%)   2

i40.0%)  35i64.8%)   3 i25.0%)

EEG有所戸数n

@       (%)  4i80.0)  14i88.2)  6i100.0)

 25

i89.2)  2i100.0)  43i91.5)  3i60.0)

 48 i88.9)  7i58.3) CT検査施行例/有所見数n @       (%) 0/4 i0.0) 10/14 i71.4) 4/6 i66.7) 14/24 i58.3)零  1/1 i100.0) 20/32 i62.5) 1/4 i25.0) 22/37(59.5)寧 4/8 i50.0) MRI検査施行例/有所見数n @       (%) 0/4 i0.0) 0/14 i64.3) 2/4 i50.0) 11/22 i50.0)紳 0/1 i0,0) 25/42 i59.5) 1/4 i25.0) 26/47 i55.3)榊 2/11 i18,2) 同一症例に,複数回SPECT検査が施行されたのは8例,延べ22回.その内3例は異常SPECT像を呈した時期の前後のSPECT 像が正常所見であった.この3例は異常SPECT所見を呈した症例として扱った. 零:NS,林:NS,

(5)

MRI 51.4%の順に高率であった.  2.各疾患別に見たSPECT, CT, EEG, MRI の異常率  てんかん群(1群)では,脳波の異常率は85.1% と最高で,次いでCT, SPECTの順であった.て んかんの神叩における各種検査の異常率をみる と,SPECTは症候性局在関連性てんかん(1b2) で70.2%,症候性全般てんかん(1ab)で52.9%と 高値であった.CT, MRIの異常率は,局在関連て んかん(!b)が全般てんかん(1a)に比し高かっ たが,統計学的有意差はなかった.代謝・変性疾

患(3群)ではCTの,脳血管疾患(4群)では

SPECTの,神経皮膚症候群(6群)ではMRIの

異常率がそれぞれ高かった.

 3.SPECT所見の検討(表3)

 1)SPECTで得られた異常所見概要  SPECTでは,正常所見は125例(延べ139回151 所見)中61例(48.8%)で得られた.これらの検 査はいずれも発作間欠時,または非発作性疾患の 場合は夫々の定常状態に行おれたものであった. 他の64例(51.2%)に何らかの異常所見が認めら れた。その内訳は,表3に示すごとく,局所性低 血流像が最も多く42例(33.6%),その他半球性心 血流像,多発性両側性低血流像,全般性心血流像 並びに局所性高血流像,CCDなどであった.表4 に示すごとく局所性低血流部位は左大脳半球で20 例,右大脳半球で16例,両側性で6例に認められ た.その局在をさらに詳細にみると左大脳半球で は前頭・側頭を中心に頭部前半部に集中し,右大 脳半球では頭頂・後頭などの頭部後半部の異常が 多かった.てんかん症例に限ると,左大脳半球・ 右大脳半球,両側性は順に16,9,6計31例であっ た.  局所性高血流を呈した15命中10例は右半球に異 常所見が見られた.

 2)SPECT所見と年齢との関係

 表3の各SPECT所見の種類と年齢には相関

はなかったが,びまん性低血流像を呈した例の平 均年齢は17.9±5.7歳と高い傾向にあった.平均年 齢は局所性高血流像を呈した12例では14.3±7.6 歳,CCDを呈した10症例では13.5±8.3歳(最年少 5ヵ月)であった.

 3)SPECT所見とDQまたはIQとの関係(表

3)  SPECTの低血流領域が広い症例では,どのIQ またはDQも局所性低血流を呈する症例のそれよ りも有意に低下していた,IQまたはDQの平均は 局所性高血流を呈した例で,多発性両側性あるい はびまん性低血流像を呈した例の平均に比し有意 に高かった.

 4)脳波とSPECTとの対応

 脳波とSPECTとの結果より,対象はA群:

SPECT, EEGとも正常例18例, B群:SPECT異 常,EEG正常例13例, C群:SPECT正常, EEG 表3 各疾患群のSPECT所見1 検査時期 疾 患 群 年齢 DQまたはIQ 1 II 1 2 3 4 5 6 7  (歳) 高?≠氏}SD

SPECT所見 1a1 1a2 1a3 1b1 1b2 1b3 1c mean±SD

a:正常 61 一 4 8 5 2 16 4 9 3 3 『 2 2 3 61 9.5±7.8 69.5±27.5 b:局所性低血流像 42 一 1 7 1 一 19 1 2 1 1 4 ㎜ 4 1 42 13.0±9.1 74.7±29.0@     コ榊 獅 。:半球性低血流像 12 一 一 一   『 10 一 『 1 1 『 一 一 『 12 13,6±8.0 50.8±13.2 ]榊  ・ d:多発性両側性低血流像 7 一 一 1 一 『 3 }   ㎜ 1 1 一 1 一 7 11.1±9.0 25.8±15.5 一*   艸 e;びまん田島血流像 4   一 一   『 一 一 一 2   1 一 1 『 4 17.9±5,7 33’0±17’1

dコ]

f:局所性高血流像 10 5 一 1 一   7 3 1 一 一 1 一 2 一 15 14,3±7.6 64.3±26.6 9:CCD 9 1 一 一 1 } 7 一 一 一 2 } 一 一 『 10 13.5±8.3 63,3±27.9 計 145 6 5 17 7 2 62 8 12 7 8 7 2 10 4 151 一部の例は複数のSPECT所見を持つので,合計数は調査対象数と一致しない. CCD:crossed cerebellar diaschisis,一:は該当症例がないことを示す,1:発作間欠期, II l発作後, *:pく0.05, *峯:pく0.01.

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表4 局所性血流異常の分布 (1)左大脳半球(1群)  (2)右大脳半球(1群) (3)左右大脳半球(1群) 局所性低血流像 F 3 (2) 4 (3) 1 (1) FT 2 (2) 0 (0) 0 (0) FTP 4 (2) 1 (1) 0 (0)

T

8 (7) 1 (1) 0 (0)

PT

3 (3) 0 (0) 0 (0)

PTO

0 (0) 3 (0) 0 (0) P 0 (0) 1 (1) 0 (0)

TO

0 (0) 1 (0) 0 (0) 0 0 (0) 3 (2) 1 (1)

PV

0 (0) 0・ (0) 0 (0) Ce 0 (0) 2 (1) 0 (0) 計 20 (16) 16 (9) 6 (6) 局所性高血流像 F 3 (3) 2 (2) 0 (0)

T

0 (0) 2 (2) 0 (0)

PT

0 (0) 3 (3) 0 (0)

PTO

0 (0) 1 (1) 0 (0) Ba 0 (0) 1 (1) 0 (0) Ce 0 (0) 1 (0) 2 (2) 計 3 (3) 10 (8) 2 (2) F:前頭葉,T:側頭葉, P:頭頂葉,0:後頭葉, Ce:小脳, PV:脳室周囲, Ba:基底核, 表5 対象例を脳波とSPECTの所見に基づいて分  類した4群の平均年齢および平均DQまたはIQ 例数 年齢(歳)mean±SD DQまたはIQmean±SD A群 a群 b群 c群 18 P3 S0 T4 、1::;::1}        串10.6±8.113.4±9.6 iili≡i江602±28.9 計 125 11.5±8.6 64.9±28.9 串:p〈0.05, 綿:p<0.01. 異常例40例,D群:SPECT, EEGと. 煦ル常例54例 に分類された.これら4群の平均年齢,IQまたは DQ平均値は表5のごとくであった.平均年齢は A群でB群,D群に比し有意に低く, IQまたは DQはA群でC群, D群に比し有意に高かった.

 (1)脳波異常例における脳波所見とSPECT

所見との対応(表6a, b)  両者の所見を対応し,SPECT所見と脳波所見 の局所性病変が大脳皮質の少なくとも一葉で一致 している場合を部位的一致と判定した。  ①脳波上限局性異常波を呈した75例における SPECT所見は,正常27例,異常48例であった.そ の内22例(45.8%)ではSPECTと脳波の異常部 位が一致し,他の26例(54.2%)では不一致であっ た.表6bに疾患群別部位的一致率を示した.脳波 上局所性異常波を有する症例の中で,脳波所見と

SPECT所見とが部位的に一致する症例の割合

(一致率と簡略する)は,局在関連てんかん(1b群) では34.8%,全般てんかんでは23.1%であった.  ②脳波上びまん性異常波のみを呈した16例中,

5例(31.3%)6所見でSPECT上低血流像を呈

した.その内訳は表6aに示すごとく局所性3例

(1例にCCDを伴う),半球性およびびまん性

各々1例であった.

 ③左半球性徐波を示した1例では,SPECT上

左前頭葉域の低血流とCCDを認めた.  (2)SPECT異常,脳波正常例(B群)の検討(表 7)

(7)

表6a 脳演異常例(92例)における脳波所見とSPECT所見との対応 脳 波 異 常 例 数 SPECT所見 ①限局性異常波 75例 SPECT 正常例数: 27(36.0%) SPECT 異常例数: 48(64.0%) {脳波所見と部位的不一致例 26(54.2%) 脳波所見と部位的一致例 22(45.8%) ②びまん性異常波のみ 16 症例 SPECT所見(内容) 疾患群(疾患名) SPECT 正常口数: 11(68.8%) 1. b(両側0) 1a1(JME) SPECT 異常例数: 5(31.3%) 2. b(PV) 1a2(脳奇形) 3. b(IT),9 1a3(West) 4. e 4 (ウィリス) 5。 d(両側FP) 6 (TS) ③左半球性徐波 1 b(IF),9 1b2 計 92 b:局所性低血流像,d 多発性両側性低血流像, e:びまん性低血流像, g:CCD,1:左,0:後 頭葉,T:側頭葉, P:頭頂葉, PV:脳室周囲, F:前頭葉, JME:若年性ミオクロニーてんかん, West:West症候群,ウィリス:ウィリス動脈輪閉塞症, TS:結節性硬化症. 表6b 各疾患群の脳波上焦点を有する例とSPECT  所見との部位的相関 群(n) 脳波上焦点を有する @  症例数  脳波上焦点と rPECT所見との @部位一致例 一致率 1a(28) 13例 3例 23.1% lb(54) 46 16 34.8 1c(12) 8 0 0.0 2 (7) 2 1 50.0 3 (6) 0 0 一 4 (6) 3 1 33.1 5 (2) 0 0 一 6 (6) 3 1 33.3 7 (4) 0 0 一 計(125) 75 22 29.3

 この群のSPECT異常所見はいずれも低血流

像を呈し,局所性7例,半球性,びまん性両側性, 小脳各2例であった.さらに局所性血流異常例に ついてみると,その異常領域は前頭葉が2例で, 側頭葉,前頭頭頂側頭葉,中心部,後頭葉部並び に小脳がそれぞれ1例であった.てんかんであり.

ながら脳波が正常の4症・例のSPECTをみると

前頭葉,前頭頭頂葉,側頭葉,.後頭葉領域の局所 性血流異常が認められた.これらのうち側頭葉領 域の血流異常の1例を除いて3例とも知能障害は 見られなかった.これらの症例は発作頻度は少な く,抗痙攣剤の投与は1剤あるいは2剤でフェニ .トイン(PHT)や・ミルビタール剤(PB).は使われ 表7 B群(脳波正常,SPECT異常)症例の内訳 疾   患 例 数 SPECT所見 てんかん 4(1b:3, 1c:1) 局所性低血流像 精神遅滞, 自閉症 2 びまん性両側性低血流像 ミトコンドリアサイトパチー 1 半球性低血流像 その他 小脳疾患 2 小脳低血流像 脊髄疾患 1 局所性低血流像 ウィリス動脈輪閉塞症 1 局所性低血流像 多発性硬化症 1 半球性低血流像+CCD 脳膿瘍 1 局所性低血流像 計 13 CCD:crossed cerebellar diaschisis.

(8)

R

図2 局在関連てんかん例における発作間欠期  SPECT横断断層像  左前頭葉の大脳縦裂よりに高血流域が見られる(矢  印).CT, MRI,脳波検査は正常であった,

ていなかった.この3例中1例のSPECTを図2

に示した.この例では知能障害は認めず脳波,CT, MRIに異常なく,発作問欠期のSPECTにて左前 頭葉内側皮質に高血流像を呈した.また前大脳動 脈造影欠落があるウィリス動脈輪閉塞症例(TIA 型)で左前頭葉領域に血流低下域を認めた.脳波 検査では過呼吸賦活はなされていないが,ほぼ正 常所見であり,IQは119であった.  (3)SPECT正常で,脳波異常を呈した症例(C 群)中,CT, MRIにて限局性病変を呈した症例の 検討  C命中CT, MRIにて限局性病変を有する症例 は5例であった.これらの内訳は左側頭葉のクモ 膜嚢胞2例,左前頭葉萎縮1例,左前頭葉二信号 強度域1例,基底核石灰沈着1例であり,クモ膜 嚢胞1例を除いて各々病変に対応する脳波異常を 呈していた.  4.CT, MRI所見とSPECT並びに脳波所見と の対応  表8aに示すごとくCT, MRI正常例は50例で, その内SPECT異常例は15例(30。0%),脳波異常 例は33例(66.0%)であった.CT, MRIの限局性

病変を呈した54例中SPECTで異常所見を認め

た例は43例(79.6地区,脳波異常例は42例(77.8%)

であった.限局性病変部位が,CT, MRIと

SPECT上で大脳半球の一あるいは二葉の範囲並 びに小脳,脳室周囲において一致したのは54例中 26例(48,1%)であった.CT, MRIの非限局性病

変を呈した20例中SPECT異常例は9例

(45.0%),脳波異常例は17例(85.0%)であった.  表8bに示すごとくCT, MRIが正常な50例並 びに非限局性病変を有する20例中てんかん症例は 前者が40例,後者が17例であった.この中で SPECT異常を呈したのは,前者では一ないし二 表8a CT, MRIの限局性病変とSPECT並びに脳波所見 CT, MRI n SPECT異常例 EEG異常例 正常 タ局性病変有 限局性病変有 「施行 50 T4 Q0 P 15例(30,0%) S3 (79,6) X (45.0) O (0.0) 33例(66.0%) S2 (77,8) P7 (85.0) O (0.0) 計 125 67 (53.6) 94 (75.2) 表8b CT, MRI所見が正常並びに非限局性病変を有する症例の各疾患群におけるSPECTの有所見率

群(n) CT, MRI正常例(A) SPECT異常例(B) BIA(%) CT/MRI非限局性

a変を有する例(a) SPECT異常例(b) b/a

1a(28) 11例 2例 18.2% 8例 2 25.0% 1b(54) 21  40 8  11 38.1 7  17 5 8 71.4 1c(12) 8 1 12.5 2 1 50.0 2 (7) 3 1 33.3 1 0 0.0 3 (6) 2 1 50.0 0 一 一 4 (6) 1 1 100.0 0 5 (2) 1 0 0.0 1 0 0.0 6 (6) 0 0 一 1 1 100.0 7 (4) 3 1 33.3 0 0 0.0 計 50 15 30.0 20 9 45.0

(9)

葉の局所性低血流像が6,多発性両側性低血流像 が3,半球性低血流像が1,計11例,後者では一 ないしは二葉の局所性低血流像が6,半球性低血 流像が1,大脳基底核異常が1で,計8例であっ た.CT, MRIが正常な全般てんかんでは2/11例 (18.2%),局在関連てんかんでは8/21(38,1%) でSPECT異常を認めた.

 5.てんかん例のSPECT所見の検討

 てんかん群(1群)94例中,SPECTにて局所性 低血流像を呈したものの合計は31例(33.0%)で あったが,全般性低血流像を呈した例は1例も認 められなかった.  1)全般てんかん(1a)例のSPECT所見の検討  SPECTでは11例に異常所見が得られた.すべ て局所性異常であるが,その部位は右基底核1例, 脳室周囲3例,右小脳1例と,皮質領域では前頭 葉3例,後頭葉2例,側頭葉1例であった.全般 てんかん28例中,CT, MRIで限局性病変を呈する のは9例であり,部分てんかんを共有するのは4 例であった.CT, MRIで限局性病変を呈するもの または部分てんかんを共有するものを除くと16例 となり,その中でSPECT異常を呈したものは, 両側後頭葉低血流像を呈した若年性ミオクロニー てんかん(JME),右側頭葉低血流並びにCCDを 呈した潜因性West症候群,並びに右基底核高血 流を呈した潜因性全般てんかん例の計3例であっ た.逆にSPECTでも異常所見が見られなかった 残りの13例の内訳は,JME,小児欠神てんかん, 症候性全般てんかん各3例,潜因性全般てんかん

2例,症候性West症候群1例やミオクロニー失

立てんかん(Doose症候群)1例であった.  SPECT以外の画像診断法(CT, MRI)で限局

性病変を示す例は9例あり,その内7例は

SPECTで限局性病変を示した. SPECTで限局

性病変を捕えられなかった2例は,前記C群のク モ膜嚢胞を伴った潜因性全般てんかん,MRIで左 前頭葉に限局性萎縮を伴った症候性全般てんかん 例であった.West症候群は当対象内には3例(症

候性2例,雨曇性1例)見られ,1例のSPECTは

正常であったが,残りの症候性1例は右前頭葉の, 潜因性1例は左側頭葉の血流低下像が見られた. この内右前頭葉に所見が見られた症例はCT上も 同部位に硬膜下山貯留が見られたが,他の2例に はCT, MRIにて有意な異常を認めなかった.  2)局在関連性てんかん(1b)のSPECT所見の 検討  SPECT正常例は19例(352%),異常例は35例 (64.8%)であった.そのSPECT異常所見の内訳 は,局所性低血流像22例,半球性低血流像5例, 多発性低血流像3例,局所性高血流像8例(右海 馬付近に6例),CCD 6例であった.

 知能発達が正常または境界の例に限定して

SPECT所見をみると, DQまたはIQが86以上は 13例で,内訳は正常4例,異常9例(前頭葉領域 の異常6例,側頭葉2例,頭頂葉1例)であった.

DQまたはIQが70から85までは11例で,内訳は

SPECT正常7例, SPECT 4例(前頭葉,頭頂葉, 側頭葉にかけての異常2台目頭頂葉,側頭葉にか けての異常2例)であった.  局在関連てんかん(1b)では, CT, MRI正常21 例中8例(38.1%)と,CT, MRIの非限局性病変

を有する7例中5例(71.4%)にSPECT異常が

見られた.  また乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)6

例とLandau−Kleffner症候群(LKS)1例の

SPECT所見はいずれも正常であった.  6.局所性高血流像を呈した症例の検討  局所性高血流所見を呈した15所見(13例)中て んかんは12所見(10例),脳血管疾患は1例,神経 皮膚症候群は2例であった.部位が脳波焦点と一 致したものは13所見中6例(46.1%)で,このう

ち4例は発作後SPECTであった.残りの2例は

Sturge−Weber症候群(SWS)並びに徐波睡眠時 に持続性棘徐波を示すてんかん(CSWS)の症例 であった.図3はRIND(reversible ischemic neurological de且cient)を呈したSWS例で,その 第3病日のSPECT所見では右頭頂葉・側頭葉・ 後頭葉領域の局所性高血流像を呈した.これは同 時期の脳波異常領域並びに従来より認められてい た右後頭葉の血管腫よりも広範囲であった.その

2日後に痙攣発作が見られた.発作間欠時の

SPECT所見では右頭頂葉・後頭葉の血流低下像

(10)

\ b

鍵晒

     \ C d    図3 Sturge−Weber症候群の1例 a,b:RINDを呈した急性期(第3幾日)のSPECT横 断並びに冠状断層像  右頭頂葉・側頭葉・後頭葉(黒矢印)にかけて高血  流域を認めた,この2日後にけいれん発作が観察さ  れた. c,d:発作間欠期のSPECT横断並びに冠状断層像  右頭頂葉・後頭葉(黒矢印)の血流低下像.血流異  常総が狭小した. e,f:急性期の頭部CT横断像  医欝頂部葉・後頭葉にかけて不規則な石灰化像を認  める.また同部位並びに右脈絡叢の増強効果が見ら  れた(白矢印). g,h:発作間欠期のGd・DPTAによる頭部MRI像  右頭頂葉から側頭葉,後頭葉にかけて比較的広範囲  の脳軟膜の陰影増強を認めた(白矢印). を呈した15).

 てんかん群の発作後SPECTは5例とも局所

性高血流像を呈し,5例中全般てんかん1例を除

く4例は局在関連てんかんでSPECTと脳波所

見が部位的にほぼ一致していた.その1例のRas− musen症候群では,左前頭葉および対側小脳半球 の高血流像を呈した.てんかん群で発作間欠期に

高血流を呈したのは5例で,その内,上記の

CSWS例以外は脳波焦点と一致しなかった.          考  察

 99mTc−HMPAOまたは1231−IMPを用いた

SPECT検査は, PETほど定量的な解析は不可能 であるが,三次元山山所脳循環代謝測定法と解釈 されている.中でも近年新しく開発されたggmTc− HMPAOは,初回循環で投与量の約5%が血液脳 関門(BBB)を通過し,しかも脳組織からの洗い

出しが遅いため,その分布は局所脳1血液量

(regional cerebral blood flow:rCBF)に比例す

る,即ち99mTc−HMPAOの特徴はBBBを通過す

ることと豪富織内で安定することである.  今回の研究対象における各検査の異常率を見る と,調査対象例全体のSPECT異常率は脳波, CT に次いでいた.SPECT所見としては,正常,局所 性低血流像を中心に数所見が得られた.  まずてんかんを中心に考察する.成人の複雑部

分発作では約50∼60%にSPECT異常が見られ

ている16).Iivanainenら10)は小児てんかん22例(全

般てんかん並びに部分てんかん)の63%に

SPECT異常を見出した.本研究ではSPECTの

異常率は1群のてんかん群で52.1%,症候性局在 関連性てんかんで70.2%,症候性全般てんかんで は53%であり,局在関連てんかんでSPECTは脳 波検査に次ぐ異常率を有することが判明した.ま た地引ら5)によると部分てんかんにおいて発作間 欠期における局所の低集積像の再現性は72.2%と 高く,これらの事実はSPECTのてんかん焦点の 診断における有用性を支持する大きな根拠であ る.しかし一般的には,てんかんの焦点決定には 発作間欠期より発作時SPECTのほうが,成功率 が高いと言われている9).発作時の局所高血流像 に関しては,Verhoeffら17)は93%に,またRowe ら18)は83%に認め,また発作直後では75∼93%19) と高率に見られるが,発作終了5分後にはこの所 見は消失するという報告もある.SPECT所見と 脳波上のてんかん焦点とり部位的一致が39%と報

(11)

恥したRoweら’8)は,発作間欠期のSPECT所見 の信愚性を疑問視している.さらに彼らは,側頭 葉てんかんの発作時の局所血行動態を詳細に検 索20)し,発作時には患側側頭葉の高血流像並びに 周辺の低血流像を呈し,発作直後には患側側頭葉 のほぼ全域が低血流像となり,これが継続すると 述べている.すなわち焦点決定には発作時あるい はできるだけ早い発作直後(発作後5分以内)の

頭島上脳波とSPECT検査が必要であると述べ

ている.本研究では得られた発作後SPECTが5 例と少なく,けいれん発作直後のSPECT検査症 例を増やすことができれば,焦点決定にさらに有 用と思われる.局所高集積像は従来より発作時あ るいは発作直後に見られてんかんの焦点とみなさ れきわめて重要視されている.しかし症例によっ ては発作間欠期にも比較的頻繁に起こり,sub− clinical seizure activityを反映しているように考

えられた.SWSではRINDに相当する局所脳循

環の障害を呈することがしばしば経験される.対 象例中1例が非発作時に局所性高血流像を呈し, けいれん準備状態であった可能性が示唆された. なぜ局所高集積像を呈するのかは不明であるが, 局所の灰白質の異常21),発作により増加した微小 脳循環が細胞外陽イオンに影響を及ぼす可能性や 局所の嫌気性解糖の充所22)との考察もなされてい る.本研究では局所性高血流の所見はてんかんを 中心に右半球優位(右前頭葉並びに右頭頂側頭葉) に10例認められ,局所性低血流を呈した例に比し 平均知能は高値であった.著者の調べた範囲では 同様の報告はなく,さらに症例を増して検討する 必要がある.  本研究のてんかん例では局所性低血流像を75% に認め,全般性低血流像は1例もなかった.この ことはてんかんの本質が局所脳病巣性疾患である ことを示唆する.てんかん例の中に多発性の局所 低血流所見を有する数症例があったが,これは Jibikiら23)のmirror fociセこ類似し,二次性てんか ん焦点の存在を表している可能性がある.  Duncanら24)は部分てんかんに関する研究で局 所性低血流像は左優位に認められたと報告してい るが,本研究でもてんかん例でSPECTにて雨冠 脳半球,特に前半部優位に局所性低血流像を呈し, 近似の傾向を認めた.  Diaschisis現象は脳組織の局所的障害のため に,その病巣と機能的に連結する遠隔部位の機能 および電気活動の低下を来す状態をさし,別名 Monakow理論とも呼ばれる.本研究では125血中

9例にCCDを認めた.この現象は皮質橋小脳路

を介した遠隔効果と考えられている.本所見の小 児例での検討は少ない.過去に7歳以上の小児の CCD例の報告が数例あるが,この現象の発現に は,関与する伝導路の成熟が必要であろうとの示 唆がされている25>.当研究の9例のCCD例の平 均年齢は13.5±8.3歳と小児としては比較的高

かったが,5ヵ月のWest症候群例にCCDが見

られた事実は特筆に値する.また他の1例(Ras− mussen症候群)では,発作時SPECTで左前頭葉 とともに右小脳半球の高血流域が見られた.これ はcrossed cerebellar hyperfusionと表現される. Marksら26)も同様の所見を1例記載しており,前 頭葉てんかんに特徴的な所見で,前頭葉からの対 側小脳への過度の投射であろうと考察27}してい る.  SPECT所見と脳波上のてんかん焦点との部位 的相関をみた研究では,その局在診断一致率は, 小児では成人例に比べるとやや低く,小児真性て んかんで30%,小児症候性てんかんで25%28),小児 部分てんかんで49.1%29),約82%30),小児特発性て んかんで42%31)であった.成人例での一致率は, 62%4),75%5),82%6),76%7),68%8)などと報告さ れており,特にStefanらの報告8)では部分的一致 を含めるとほぼ全例に近い成績であった.  てんかん焦点の同定に当たって脳波とSPECT の不一致,特にIateralityの不一致が時にみられ る理由について,地引ら5)は難治性の側頭葉てん かんの患者の多くが海馬や扁桃核にてんかん焦点 をもち,これらの焦点部位のてんかん波が大脳皮 質や反対側の側頭葉に伝搬し,脳波が偽のてんか ん焦点や二次性のてんかん焦点を反映し易くなっ ているためと説明している.さらにSPECTはて んかん波の伝播部位をも反映するので,てんかん

焦点の診断においてSPECT応用の際にはこの

(12)

ことを十分考慮すべきであるとしている.

 本研究ではSPECT所見と脳波上のてんかん

焦点との部位的一致はlb群では34.8%と低値で あった.Jibikiら32}は1回の脳波検査による焦点 とSPECT所見を対応するより,両検査を反復し て対応をみるほうが高率に相関すると報告し,頭

言上脳波とSPECT検査の双方の再現性を重視

している.道廣ら33)は小児部分てんかんにおいて, 発達途上の小児においては機能性焦点が多く,疾 患の経過や中枢神経系の成熟に伴い器質性焦点に 固定化してゆく可能性を示唆した.  また本研究では,びまん性脳波異常を呈した例

でSPECT上局所性異常を5例で認めた.また半

球性非限局性脳波異常例でも,SPECT上異常所 見は前頭葉に限局して見られた.他の検査で得ら れなかった限局性病変を検出でぎたことは, SPECT検査の利点と言える.  また脳波正常なてんかん3例で,前頭葉あるい は後頭葉領域の局所性血流異常を呈したが,これ ら全例に精神遅滞が見られなかった点は特筆に値 する.前頭葉あるいは後頭葉領域の局所性血流異 常例の症例は少なく,さらに今後も検討を要する.  CT, MRIとSPECTとの相関では,局在関連て んかんにおいてはCT, MRI正常例の38.1%に,

またCT, MRI上汁限局性病変を有する例の

71.4%にSPECT異常を認めた.同様な研究で

は,Ryvlinら34)は部分てんかんの20%に,清水35) は部分発作の85%,全般発作の75%に,道廣ら29)は

小児例の87%にSPECTの異常所見を認めてい

る.従ってCT, MRI上限局性病変を認めない症 例に対しても,機能異常の検索にSPECTを施行 する価値がある.     .一

 特発性全般てんかんのSPECT所見に関する

報告は著者の調べた範囲では少ないが,Duncan24) によると,成人例で発作間欠期には正常像であっ たという.発作時には前頭葉優位に広範な血流の 増加あるいは低下を来す所見が報告されている が,これは人間では前頭葉のてんかん発作性の刺 激は,全般てんかんへ移行しやすいという特徴か らも類推しやすいという9>.またChuganiら36)は, 小児科領域の潜因性または症候性全般てんかんで あるLennox−Gastaut症候群(LGS)では, PET により局所性病変から広範な病変まで4種の所見 が見出され,手術適応や予後の検討に参考になる と報告した.LGSで最も多く見られた所見は,両 側彌漫性低代謝像で,これは重度脳障害並びに予 後不良を意味するとしている.小児では道廣ら33} が全般発作で76.9%に限局性血流低下域を認めて いる.本研究では特発性全般てんかんのSPECT 異常が20%を呈し,3例の発作間欠期に前頭葉領 域に異常所見が見られたこと,また4例(14%) ではSPECTのみが異常所見を呈した.これらの 事実は,SPECTを用いることによ’り従来全般て んかんとみなされていた症例が,局在関連性てん かんと判明する可能性が示唆され,さらに検討が 必要と思われる.West症候群の中にもこのよう な局所性の脳機能障害を示す亜群がある可能性が あり,これらは外科適応になるかもしれないと言

及されている16),本研究でもWest症候群で

SPECT上局所性病変を有する症例が見られた.

 部分てんかんでは従来より発作出欠期の

SPECT検査では局所性低集積像が,また発作時 には局所性高血流像がみられ24),特に発作閾欠期 の低集積像は50∼73%37)に得られることが報告さ れている.Adamsら38)は小児部分てんかんの病理

所見として,腫瘍(1例は,術前SPECT検査で

局所性高血流を呈した),皮質変性(神経細胞遊走 障害を含む),mesial temporal sclerosis, SWS, 海綿状血管腫,Rasmussen型慢性脳炎,嚢胞,グ

リオーシスなどを報告し,99mTc−HMPAO

SPECTは,脳波でてんかん焦点を決めかねてい る場合や,頭蓋内電極を設置せずに電気生理的発 作を記録する場合,さらにCT, MRIが正常な症 例の局在決定の際に有用であると強調した.側頭 葉てんかんで比較的頻度の高いmesial temporal sclerosisいおゆるgliotic scarの有無は万人の注 目するところであるが,Roweら39)は,発作直後の SPECT所見でmesial temporal regionの高血流 とその周囲皮質の低血流を認めた。またmesial temporal sclerosisはCTでは感受性は低く,T2 強調MRI画像ではhigh−signal intensityとして 撮像される.さらに脳波やPET, SP亘CTではよ

(13)

り広範な異常領域として表出すると報告されてい る9).  Vlesら40)は,小児部分てんかんでCT異常を 45%に認めたが,本研究では1b群では59.5%と比 較的高かった.  局在関連性てんかんでは前頭葉あるいは後頭葉

領域にSPECTあるいは脳波で病変を有する症

例では,側頭葉領域に比べて脳障害が軽い傾向に あるように思われた.抗けいれん剤の関与などさ らに検討が必要である.

 Marksら26)は前頭葉てんかん例のSPECT所

見を検討し,発作時の患側前頭葉の高血流域が, 側頭葉てんかんの発作時の高血流域に比べ狭く, 限局されていることを記載した.この理由として, 対象例が単純部分発作で,複雑部分発作よりも電 気的広がりが限られている点,側頭葉の複雑部分 発作よりも前頭葉のそれのほうが発作持続時間は より短い点,一部の前頭葉てんかんは前頭葉以外 に波及しにくいという点40)を挙げている.  特異なてんかん症候群のSPECT所見は,検討 例が極めて少なく,今後さらに検索を要する.小 西ら41)はbenign epilepsy of childhood with. centro−temporal spikes(BECCT)などの予後良

好なてんかんではSPECTでの異常所見率が低

く,West症候群等の予後不良のそれでは異常率

が高いと報告している.本研究ではSMEIが6

例,LKSが1例で正常SPECT所見を, CSWSの

1例に局所性高血流像を認めたが,症例数が少な く今後の検討を要する.  SPECT所見に影響を与える因子に関しては, Duncanら24)はてんかん例で検討.し,検査年齢,発 症年齢はSPECT所見には影響せず,てんかん歴 が脳代謝に関与すると述べた.しかしJibikiら32) は,てんかん歴や発作頻度とSPECT所見の有無 とは対応しなかったという.負けいれん剤ではカ ル・ミマゼピンは脳代謝に変化を与えず,PBや PHTが低下させるという.その他の因子として は,光刺激による局所脳血流の並進(subictal sta・ tus),開閉眼などの検査条件による変化,刺激の強 さにより基底核,視床や対側小脳などにも代謝充 進部位が拡大されること等の報告がある35).  一方道廣ら42)は,小児部分てんかんの治療反応 例で局所脳血流低下域の縮小を認め,SPECT検 査の反復施行によって局所脳血流の変化の有無を 観察することが治療効果の判定に有用と記載し た.さらに脳波所見の改善が先行しやすく,脳波

所見改善後もSPECT検査で局所脳血流に異常

が残存している場合は,その後も注意深い経過観 察を要すると注意を喚起している.Haraら31)は 小児てんかんの発作抑制上,局所脳血流低下域の

存在はマイナス因子であるとしている.また

Brorsonら43)の194例のノ」・児てんかんの長期的観 察による報告のように,精神遅滞などの神経的障 害が最:大の因子であるとも記載している.成人の けいれん性疾患例では,神経心理の成績と脳の低 代謝とは良く相関し,いわゆるquality of lifeの 評価に有用との記載もある9).  本研究では広範な血流障害を伴う症例ほど,平 均年齢は高く,知能指数は低下していた.原ら3> は,SPECT上異常集積を認める例に知能発達遅 滞を高率に認めた.局所低血流による脳の部分的 機能低下が,発達途上である小児の脳に何らかの 影響を与え,加齢に伴い退行を引き起こしている と推測している.  一方脳波およびCT, MRIで限局性病変を認め

ながら,SPECTでは局所性異常を見出し得な

かった極小さな石灰化例ではSPECT装置の空

間分解能の限界により判読不可能であったと思わ れるが,クモ膜嚢胞や前頭葉病変例でSPECT所 見が陰性であった理由は不明であり,今後の検討 を要する.CT, MRIの限局性病変を有する症例の

48.1%でそれらの所見とSPECT所見はほぼ一

致したが,左右どちらかの大脳半球で一致しやす いという明らかな差はなかった.  最後に脳血管疾患(4群)では,当研究対象で

は100%のSPECT異常率であった.脳血管障害

急性期でCT上検出不可能な病変もSPECTで

は検出可能であることから,脳血管疾患が疑われ たらSPECTを施行する価値は大きいとの報告44) があるが,本研究のデータもそれに一致した.          結  語

 1)各種小児神経疾患125例につきggmTc一

(14)

HMPAOによるSPECT検査を施行し,頭部

CT, MRI,脳波所見と比較検討した.

 2)SPECTで何らかの異常所見を呈した症例

の割合は,全対象の53.6%(67/125)であり,脳 血管疾患で100%(6/6)であった.てんかんでは 局在関連性てんかんで64.8%(35/54),全般てん かん39.3%(11/28)であり,局所性低血流像が主 体であった.

 3)SPECT所見で広範な低血流像を呈する症

例ほど年齢は高く,DQないしIQは低い傾向に

あった.

 4)SPECT所見と脳波上のてんかん焦点との

部位的一致率は,局在関連性てんかんでは34.8% (16/46)であった.  5)びまん性脳波異常例の31.2%(5/16)に SPECT上局所性異常が見出された.

 6)CT, MRI上限局性病変を呈した症例の

48.1%(26/54)において,SPECT所見の局在は ほぼ一致した,  7)CT, MRI正常例の30.0%(15/50)に SPECT異常が認められた.  8)局所性高血流像を呈した13例中,脳波焦点と 一致したのは6例(46.1%)であったが,その内, 発作後撮像され同所見を呈した5例では4例が脳 波焦点と一致した.てんかんでは,発作間欠期に 高血流像を呈する症例があった.  本稿を終えるに当たり,終始御親切な御指導,御校 閲を賜りました恩師福山教授に深謝致します.あわせ てSPECT検査に関し,御指導,御援助賜りました放 射線科日下部きよ子教授,本研究に際し御指導,御校 閲を賜りました大澤真木子助教授に心より感謝申し 上げまず=  また大分医科大学小児科泉達郎助教授には多岐に わたり御援助下さいましたことを心より感謝致しま す.  貴重な御助言を頂きました群馬大学教育学部障害 児教育講座原美智子教授,資料を提供してくださった 聖母病院小児科部長研屋 豊先生,また御協力くださ いました小児科学教室の諸先生方に厚く御礼申し上 げます.          文  献 1)Dierckx RA, Vandevivere J, Dom L et al:   Single photon emission computed tomography   using Perfusin tracers in se量zure disorder&   Epilepsy Res 12:131−139,19992 2)Gmnwald F, Durwen HF, Bockisch A et al:   Technetium−99m HMPAO brain SPECT in   medically intractab】e temporal lobe epilepsy:   Apostoperative evaluation. J Nucl Med 32:   388−394, 1991 3)原正史,下村修,古淵昭博ほか:1231・IMP   SPECTによる小児特発性てんかん患者の検討.   核医学 27:1239−1245,1990 4)小野志磨夫,福永仁夫,大塚信明ほか:てんかん   患者におけるN・isopropyl・p・[1231]・   iodoamphetamineによるSingle Photon Emis・   sion Computed Tomography(SPECT).核医学   24:1641−1651, 1987 5)地引網亀,山脚成良:画像診断(2)てんかんと   SPECT.「てんかん学の進歩」(秋元波留夫,山内   俊夫編)pp181−197,岩崎学術出版,東京(1991) 6)Jabbari B, Nostmnd DV, Gunderson CH et   a1:EEG and neuroimaging localizati6n in   partial epilepsy. Electroencephalograph Clin   Neurophys三〇179:108−113,1991 7)Markand ON, Shen W, Park HM et al:   Single photon imaging computed tomography   (SPECT)for localization of epileptogenic focus   in patients with intractable complex partial   seizures.」伽Surgical Treatment of Ep孟1epsy   (Epilepsy Research Supp1.5)(Theodore WH,   ed)pp121−126, Elsevier, Amsterdam(1992) 8)Stefan H, Kuhnen C, Biersack HJ et al:   Initial experiehce with.99m Tc−hexamethyl−   propylene amine oxime(HM・PAO)single   photon emission colnputed tomography   (SPECT)in patients with focal epilepsy. Epi・   lepsy Res 1:134−138,1987 9)Devous MD, Lemy RF, Homan RW:Single   photon emission tomography in epilepsy.   Semin Nucl Med 20:325−341,1990 10)liva血ainen M, Launes J, Pihko H et al:   Single・photon emission computed tomography   of brain perfusion analysis of 60 paediatric   cases. Dev Med Child Neurol 32:63−68,1990 11)Uvebrant P, Bjure J, Hedstmm A et al:   Brain single photon emission computed tomo−  graphy (SPECT) in neuropediatrics, Neuト   opediatrics 22:3−9, 1991 12)金澤 治,奥野武彦,三河春樹:小児のてんかん   性疾患に対する9舳Tc・HMPAOを用いた脳血流   SPECT.脳と発達 23:601−605,1991

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参照

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