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海洋魚における無機化学成分の研究-Ⅷ 「ごまさば」,「ぶり」,「まあじ」および「まだい」におけるアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の分布と相対量

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Academic year: 2021

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全文

(1)

海洋魚における無機化学成分の研究一皿

 「ごまさば」,「ぶり」,「まあじ」および「まだい」に

 おけるアルカリ金属元素およびアルカジ土類金属元素の

 分布と相対量

Studies

on

the

       of

   西      襄

 (文理学部化学教室)

Inorganic

Chemical

Constituents

Marine

Fishes 一 皿

On

the Distribution and the Relative Quantities of Alkaline

Elements

and Alkaline −earth Elements

in Pneun!atophorus

tapeinocephalus,

Chrysophrys

major,

Serio】aquinqueradiata

and Trachurus

trachurus.

     By

Noboru IMANISHI

  「かつお」および「まつかさうお」については既報(1)の通りであるが,本報は「ごまさば」,

「ぶり」,「まあじ」および「まだい」における,

Na,

K. CaおよびMgの分布並びにその相対

蛍について報告する.

      1.試料およぴ処理法

 試料魚(生魚)「小あじ」は個人より求めたものであるか,他はいずれも高知市内の市場で入手

した.「ごまさば」は6月と12月の2季(1959∼60年)に求め,前者を春魚,後者を秋魚として区別

して取扱った.また卵雄の判別できる場合は分けて供試した.魚体は体長33∼35

cm,

体重(生)

平均4S0g.漁獲地は土佐湾である.「ぶり」は骨,頭,肉,内臓等を部分的に求めたもので,魚

休全重量,体長等は不明であるか普通の成魚であった.

(1960年2月入手),漁獲地は土佐湾東部.

 「まあじ」は小魚の方は体長約16

cm,体重(生)約37

g で60尾を求めて,骨,頭部,肉,内

臓および内臓を除く全体等の部分に分け,それぞれの部分を合して供試した.漁獲地は浦戸湾であ

る.大魚は体長平均26

cm, 体重(生)平均123g

(10尾分平均),体色は「小あじ」と異って黒色

を帯びる.(「小あじ」は淡黄白色).漁獲地は確かでないが恐らく日本海であろう.「たい」は体

長約60 cm,

巾約20 cm の大魚であった.漁極地は不詳.頭,肉(一部分),骨,表皮等について

分析した.

 処理法は既報(1)の通りであるので省略する.

       2.分  析  法

 既報(1)に同じ

       3.結果および考察

 Ca,

Mg,

NaおよびKの4元素について,その酸化物としてのグラム数を灰分1g当りについ

(2)

 152        高知大学学術研究報告 第9巻  自然科学 I 第12号

て求め,各魚における含量順位が判るように図的表示をした.(第1表より第4表までを参照).な

お表中( )内の数字は酸化物のグラム数を,〔 〕内の数字は元素としてのグラム原子数を示し

た.(灰分1g当りの)

 Caが一般に硬質部分すなわち骨,頭,「ひれ」,「えら」等に多いことは各魚極に共通する.これ

らの部分に次いで多く合まれるのは眼球である.骨のうち最もCaに富むのは「たい」である.

 肉においてはCaは一般に少ないが,「あじ」の肉に特にCaが多いことは注目せられる.その

含量は酸化物として灰分の16∼22%に達する.最もCaに乏しいのは「ぶり」の腹部の肉で約2%,

 「さば」,「たい」はその中間に位して5∼7%である.

 内臓部分については,「秋さば」の胃に最も多く約11俗に達するが,「大あじ」,「ぶり」の胃に

は少なく僅かに1∼2%である.また肝臓および心臓には一般に少ない.

  「ごまさば」の春秋におけるカルシウム分の変化をみると,春魚にカルシウム分の増加する部分

が多い.例えば幽門垂では約2.6倍,心臓および精巣においては約2倍に増加する.これに反して

春魚にカルシウム分の減少を示す部分は肝臓で秋魚の約%となる.

  「春さば」の精巣および卵巣におけるカルシウム分はほとんど差がなく僅かに精巣に多い.同じ

く「春さば」の雌雄によるカルシウム分の音量差を示す部分に幽門垂と肉とかある.いずれの場合

も雄魚に多く前者において約3倍,後者において約2倍量を示す.

 Mgについて,Mgが特に胃,幽門垂に多く含まれることは特徴と見られる.但し「大あじ」の

胃において異常に少ないことは例外である.     プ ‘`

 魚種については「ごまさば」において一般にMgに富む部分が多い.

 肉においては各魚種を通じて略同じ含量を示す(3∼5%酸化物として).骨については「大あじ」

と「小あじ」,「春さば」と「秋さば」とにおいて合量を異にする.

  「さば」の春秋におけるMgの含量の変化をみると,春魚に増加を示す部分に心臓と骨とがあ

 る,すなわち心臓においては約2倍,骨においては約丁倍量に達する.これに反して春魚に滅少

を示す部分に肝臓と精巣とがある,いずれも半減する.

 Kについて,最も豊富な部分は肉で次に内臓諸器官があり,このうちでは心臓に最も多く肝臓,

胃腸の順に少なくなる.−方骨,頭,「えら」,表皮(ううこ),「ひれ」司のいわゆる硬質部分には

少ない.       尚

 骨については,「小あじ」,「まだい」の骨に比較的多く含まれ,「ぶり」の骨に最も少ない.また

 「小あじ」の骨が「大あじ」の骨に比してKに富むことは成長度と関係があるかも知れない.

 胃と幽門垂は近接器官であってKの含量もほとんど一致する.但し「大あじ」において著しい差

を示しておることは例外である.       ‘

 肝臓および心臓はこれら魚類においては略近似した含量を示す.

  「さば」の精巣におけるKの含量は春秋において差を示し春魚において秋魚の約欠」となる.また

 「春さば」において卵巣は精巣よりもKに富む.

  「ぶり」の胆・においては,その肉におけると同程度にKが多いことは注目せられる.

 Naについては,骨,頭,「ひれ」等の硬質部分に少ないことはKの場合と同様であるが,肉の

部分においても少ないことは,Kが肉に多いことと対比して注目すべきことである.Kの場合に示

した「大あじ」と「小あじ」の骨における合量差は,Naの場合はほとんど見られない.

 内臓諸器官のうち心臓に最も多く含まれることは各魚種に共通な事柄である.

 眼球については,「ぶり」,「たい」の場合ほとんど同量のNaが含まれるが,「春さば」の眼球に

は著しく多い.また「春さば」の精巣と卵巣とにおいてはほとんど同量のNaが含まれる.

 MgとKの相対量を第1図に示す.縦軸にMgを,横軸にKをとりそれぞれをグラム当量単位

で目盛った.この図に見られるように,骨,頭,「えらE等の硬質部分,内臓諸器官および肉の部

(3)

       高知大学学術研究報告 第9巻  自然科学 I 第12号      153

分はそれぞれ領域を異にする.この事は「かつを」の場合(既報)(.)と非常によく一致する.すな

わち骨類領域は原点附近に位置し,胃,幽門垂,肝臓等を抱括する内臓領域はK軸の5×10-3グ

ラム当量目盛に立てた垂線を長軸とした長だ円形を示し,肉は同じくK軸の6×10二3グラム当量目

盛の点より当量線(対角線)に平行に引いた線を長軸とした長だ円形の領域に存在する.

 この領域より甚だしく逸脱するものは,何か特別の原因を有するものであると考えられる.すな

わち「大あじ」の肉はこの例に属する.また「ごまさば」の精巣が内臓領域を逸脱しており,しか

も春秋においてその位置を異にすることはし他の内臓諸器官と異なる因子を含むことを示す.

      Fig.

1.

The relative quantities of Mg

and K in each part of marine fishes

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-

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      Py-

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gall-bladder

  「大あじ」の肉が内臓領域に入り込んだことは,内臓と同じになったと云うことを示すと考える

より骨類領域に近接したと考えると,骨の特徴であるカルシウム分にとむことを意味する.すなわ

ち「大あじ」の肉は比較的カルシウム分に富むのではないかと考えられる.実際このことは第1表

で見られる通り他魚種の肉よりCaにとむことにより裏付けられる.

 次にNaとKの相対量を第2図に示す.従軸にNaを横軸にKをとり,グラム当量数を目盛っ

た.この図においても骨類領域,内臓領域および肉領域が判然と区別せられる.

 骨類領域は原点附近にあって骨類にはNa,

Kともに少ないことを示し,肉にはKが最も多く含

まれナトリウムは骨類と略同程度であることを示しておる.内臓諸器官においてはNaとKとが略

等量含まれるが概してナトリウム分にとむ部分が多い.特に心臓,血液に多いことは海水との関連

があるやに思われる.

(4)

154

     高知大学学術研究報告 第9巻  自然科学 1 第12号

       一一

Fig. 2.

The

relativequantities of Na and K in each part of marine fishes

8 6

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Sp 一一 spleen

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pancreas

Ga

gall-bladder

 これらの相対図は分析結果よりの未知試料の推定,分析結果の正否の判定刻に役立つものである.

 以上の考察は今までに得られた結果を基として得たもので,すべての場合に地用できるか否かは

今後の研究結果にまたなければならない.     `’   ブ

 本研究に当って御指導を賜った京都大学名誉教授石橋邪義博士並びに魚類について御教示を願っ

た本学教授蒲原稔治博士に深謝する.

       文

今西 駆,.1960 : 日海防16

(I) 19―23

(昭和35年9月30日受理)

(5)

( p e r   1   g   o f

   Table 1

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distribution  of calcium

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Fig. 2. The relativequantities of Na and K in each part of marine fishes

参照

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