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第IV報 南方諸海域及び東支那海における海水の放射能検索について

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Academic year: 2021

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第IV報 南方諸海域及び東支那海における海水の放

射能検索について

著者

金森 政治, 盛田 友弌, 田ノ上 豊隆, 黒木 敏郎

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

5

ページ

178-183

別言語のタイトル

IV. On the inspection of radioactivity of

sea-water in the several southern sea fronts

and the Eastern China Sea

(2)

178

鹿児島大学水産学部放射能研究委員会報告

第 1 v 報 南 方 諸 海 域 及 び 東 支 那 海 に お け る

海水の放射能検索について

金 森 政 治 ・ 盛 田 友 二 t ・ 田 ノ 上 豊 隆 ・ 黒 木 敏 郎 1V.OnthelnspectionofRadioactivityofSea-waterin theSeveralSouthernSeaFrontsandthe EasternChinaSea MasaziKANAMoRI,TomokazuMoRITA, ToyotakaTANouEandToshir6KuRoKI 1 . 緒 言 1954年3月から5月にかけて,マーシャル群島のビキー環礁近海において,アメリカは数 次にわたって水爆実験を実施した.その結果が我が国の漁業に与えた被害は極めて大きく,其 後海水及び魚類などの放射能による汚染が重要な問題となって,各方面で種々なる調査研究が 進められている.1956年度においてもアメリカはマーシャル群島のエニウェトック環礁で核 爆発の実験を予告。しており,イギリスはオーストラリヤ北西海岸のモンテベロ諸島で核兵器の 実験を予告している. 故にこれに関連する各海域で,1955年6月から1956年6月の間に,本学部漁業実習船かご しま丸(628屯,640馬力),敬天丸(265屯,500馬力)及び鹿児島水産試験場の試験船照南 丸(98.8屯,300馬力)がマグロ漁場の調査並に海洋観測を実施した際に,夫々の海域の海水を 採り,その海水について放射能の検索をなし,その影響に関し予備的な調査をなしたのである. その結果を取纏めてこ入に報告する. なお放射能の検索海域は西部太平洋,東部印度洋,東支那海等の各海域であり,海水の採集位 置はFig.1.a,bに示すようである. 叉海水資料.は鉄.バリウム法(1)によって処理し,放射能の測定をなした.叉そのCountの計 測には科研製32進型計数器(マイカー厚承2.9mg/cm2)を用いたのである. 2 . 西 部 太 平 洋

本学部のかごしま丸は1955年7月26日∼同年8月1日の間,日米加共同海洋観測を実施し

たが,その際にFig.1.aに示すような位置で採集した海水について,放射能の検索をなし,そ の結果をTable1.aに示した. この調査においては,Table1.aに示されるようにCountの値が他の検索結果より幾分大き くなっているが,この程度の表値では海水が人工放射能で汚染されているとは考えられない た壁st.Ⅸの200m層の海水のCountが6士2となっており,他の計測結果より多少大きく なっているようであるが,この1点だけでは放射能の検出を断定することは出来ない若し放

(3)

金 森 政 治 。 盛 田 友 弐 ・ 田 ノ 上 豊 隆 ・ 黒 木 敏 郎 : 南 方 諸 海 域 及 び 東 支 那 海 に お け る 海 水 の 放 射 能 検 索 に つ い て 段 3.。

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(4)

Remarks:ByinquiryofKagosimaMaru*Distance:1cm,**Depthofsea b,Onthesea−waterintheEasternSeaFrontofTaiwan 180 − 0 3 〃 ’ 0 士 1 Table1.Resultsofinspectiononradioactivityoftheseawater inthewesternPaciiicOcean a・Onthesea−waterintheEasternSeaFrontNanseisyot5 Remarks:ByinquiryofKeitenMaru*Distanceg3cm,**Depthofsea c・Onthesea−waterintheEasternSeaFrontofPhilippinelslands。

N″″〃ク〃″″〃″〃〃

405070301447004153225520

口一一一一一一一一一一一一 1831ワD5442604

2111122

− 3 8 〃 ’ 1 士 1

二撹'二鵠'一荊一制_鵠'二諾

−18ダ’−1士2 −1士210士21-1士110士211土1 CoUnt Conectingstation LatitudelLongitude S t ・ N o . ’ D a t e 126 124 123 124 125 − 4 0 〃 ’ 1 士 1 O m l 2 5 ∼ 5 0 m l l O O ∼ 2 0 0 m

①②③④⑤⑥

Remarks号ByinquiryofSy5nanMaru:kCountofsurfacewater,Distanceg3cm (1) (Ⅱ) (Ⅲ) (Ⅳ) (V) (Ⅵ) (Ⅶ) (Ⅷ) (Ⅸ) (X) (X) (弧) −3士1

2131121224

士士士士士士士士士士

2131503424

1112141421

士士士士士士士士士士

5310521425

E″″″″″″″〃″

4068600000

1030400000

2334454210

qUnonono、。QJnono、。QJ 1111111111− 〃

N″〃″″ググ5″〃

81002022603000502100

0086332100

3noワ︼ワ且︵凶ワヨワ“ワ且O“ワロ '55Au9.1 〃July、31 〃 〃 〃 3 0 〃 グ 〃 2 9 〃 2 8 〃 〃 〃 2 7 〃 2 6

IⅡⅢⅣVⅥⅦⅧⅨX

'56May 〃 ダ 〃 〃 〃 〃 〃 〃 June 〃 〃

234567890123222222223111

500m −1士1 1士1 0士1 −1士1 −1士1

E〃〃〃〃〃〃〃〃〃″〃

400506500660113002301351

○一一一一一一一一一一一一 222336343667︲ 、。QUnO、。、。Q︺no、。noQ︺Q︺qJ

111111111111

0士2 −4士2 0士2 6士2 4士4 Date

112111211121

+一︲工士士士士士士士士士士

011011111111

−30〃’−1十1 '56May9 〃 1 0 〃 1 1 〃 1 2 〃 1 3 〃 1 4 24-36'N 23−12〃 22−54グ 22−36〃 23−18〃 24−38〃 125。ー54'El0士1 St・No. Conectingstation Latitude LongitUde Count* St、No.’Date ln Count* Collectingstation LatitudelLongitude 鹿 見 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 111 25ml50mllOOm200ml300ml400ml

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1

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(5)

Remarks:ByinquiryofKagoshimaMaru*Distancez1cm**CelebesSea b・Onthesea−waterintheEastemlndianOcean 181 (vii) 核爆発実験が予告されている期間であったが,採水時にはまだこの実験が行われていなかった ので,今回は実験直前の予備調査となった.故にこの調査においてはTablel.bのように全く 放射能は検出されなかった.なお垂直的にも水深500mまでは各層ともほとんど同様な結果 であり,放射能は検出されず,即ち深海における放射能も全く認められなかったのである. 吹に鹿児島水産試験場の照南丸が1956年5月22日から6月13日の間,フィリッピン東方 海域のFig.1.aのような位置で採集した海水について放射能を調べたが,その検索結果を Table1°Cに示した.この場合は5月21日,エニウェトック環礁において核爆発実験が行わ れた直後の調査であるので,ある程度の放射能が検出されるものと期待していたのであるが, Table1.cにみられるように放射能は全く検出されなかったのである.しかしてこのことにつ いてはマーシャル群島近海の汚染海水が時間的に考えて当時まだ採水位置まで来流していなか ったものと考えられる.或は又今回の核爆発は空中の比較的上層部で行われているために余り 赤道流の海水を放射能で汚染しなかったものとも考えられるのである.これらの点については なお今後の調査で究明する余地があると思われる. 3.モルッカ海,東部印度洋 かごしま丸が1955年7月上旬に,モルッカ海方面でマグ江漁場の調査をなした際,Fig.1.a に示す位置で採った同海域の海水について放射能の検索をなした.その結果はTable2.aの ようである.このTableで翠られるように,この程度のCountではモルッカ海漁場の水深200m 層までの海水はやはり放射能で汚染されているとは考えられないのである. ResultsofinsPectiononradioactivityofthesea-water theMolukscheSeaandtheEasternlndianOcean intheMolukscheSea TabIe2, in a・Onthesea−water ダ 〃 ’ 1 3 − 2 9 〃 ’ 1 0 3 − 1 4 〃 0士1 (vi) グ 3 0 1 1 2 − 2 8 ダ ’ 1 0 3 − 0 9 〃 −1士3 (v) グ 2 9 1 1 0 − 2 7 〃 ’ 1 0 2 − 5 9 〃 ’ − 1 士 1 −1士2 Count* 25∼50mllOO∼200m Collectingstation S t 、 N o . ’ D a t e (iv) 0 m LatitudelLongifude (iii) (ii) 〃 2 8 1 7 − 2 7 . γ ’ 1 0 3 − 1 6 〃 ’ − 1 士 1 (i)’’56Jan.2715.−27'S’102.-57'E 0士1 211 士士士 253 534 ︲工士士 112 211 士士士 611 120.-22'E 125−57〃 126−26〃 2.-28'N 1−2a5S 1 − 1 8 N '55June24 〃Julyl 〃 2 L i i iii Remarks:ByinquiryofKeitenMaru*Distance二3cm,*:I:Depthofsea Count* 〃 〃 ’ 1 4 − 3 0 〃 ’ 1 0 3 − 0 0 〃 ’ 0 士 1 gstation 金森政治。磯田友弐・田ノ上豊隆。黒木敏郎: 南方諸海域及び束支那海における海水の放射能検索について Collectin 〃 〃 ’ 8 − 3 3 〃 ’ 1 0 3 − 1 4 〃 ’ − 1 土 1 1 0 ± 1 −1士2 S t ・ N o . ’ D a t e Latitude lLongitudelOm拝l100ml300ml600m

(6)

E″″〃″〃″〃

4650694784505402

214

口’’一一一一一一

0098534633222222

1︽1111111 鹿 児 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号

23134334

士士士士士士士士

13123111

叉敬天丸は1956年1月下旬に,東部印度洋においてマグロ漁場の調査及び赤道海流の横断 海洋観測を実施したのであるが,当時オーストラリヤ北西海岸のモンテペロ諸島でイギリスに よる核兵器の実験が予告されていたので,今回の調査においても海水の放射能の検索を試承た のである.この時の採水はFig.1.bに示すような横断観測線の位置で行われ,水深600mま での海水を極めて抽出的に採集したのである.この海水の放射能検索結果はTable2bに示す ようであり,放射能は全く検出されていないのである.即ちこの調査結果により,一応東部印 度洋における赤道海流域の海水も当時はまだ放射能によって汚染されていないことが推定さ れるのである. 4 . 束 支 那 海 東支那海には黒潮が北流しており,その源泉は北赤道海流であると考えられている叉1954 年3月のピキー環礁における水爆実験の影響による放射能汚染魚が,この黒潮流域において漁 獲されたマグロ類,カジキ類等の魚類にも相当多く検出されている.故にこれらの点より考え て,本年度のエニウェトック環礁における核爆発実験も東支那海の黒潮流域にある程度影響す るのでなかろうかと考慮されたので,まずその予備的な調査として,本年2月に照南丸が海洋観 測の際に,叉5月に敬天丸が漁場調査の帰途,夫々Fig.1.aに示す位置で採った海水について 放射能の検索をなしたのである.その検索結果はTable3.a,bに示すようである. Table3.Resultsofinspectiononradioactivityofthesea−water intheEasternChinaSea a・Onthesea-watercollectedinFebruaryl956. '56Feb、20 〃 〃 〃 2 1 〃 2 7 〃 2 4 〃 2 6 〃 〃 〃 2 7 N

8〃″″″″″〃

15820922

500313の。3 Q O09765ワ87

33222222

(1) (2) (3) (4) (5) (6) '56May 〃 〃 〃 〃 〃 Count* Long. CollectingStation St、No. Date Count* Lat. Lat. Long. RemarkgByinquiryofSy6nanMaru.*Distance:1cm b・OntheSea−watercollectedinMayl956. Date Remark:ByinquiryofKeitenMaru. *Distance:3cm 222121 士士士士士十 111110 130ー14'E 129−30〃 128−09〃 127−23〃 126−45〃 127−01〃 31-03'N 30−46〃 30−05〃 29−41〃 29−26〃 26−48〃

12345678

Ⅳ〃超″″8 182 St・No. Collectingstation

(7)

金森政治・盛田友弐・田ノ上豊隆。黒木敏郎: 南方諸海域及び東支那海における海水の放射能検索について 183 これらの表値によれば,いずれの調査においても放射能は全く検出されず,東支那海の黒潮流域 には,当時放射能の汚染海水が来流していなかったものと考えられる. 5 . 結 び 今回の放射能検索は1955年6月から1956年6月にわたる約1ヶ年の間に東支那海,台湾 東方海域,西南諸島東方海域,フィリッピン諸島東方海域,モルッカ海,東部印度洋の諸海域にお ける海水の放射能による汚染について調査したのであるが,いずれの海域においても,表値にみ られるように,この程度のCountでは海水が放射能によって汚染されているとはほとんど認 められないのである. 叉今回のフィリッピン諸島東方海域の調査においては,エニウェトック環礁の核爆発実験直 後,約20日間以内では,まだ同海域の海水は放射能により汚染されていないようであり,この 点については汚染海水の来流が同海域に及ばなかったことや,あるいは上層爆発のため海水の 汚染が少なかったことなどが考えられる.そのいずれであるかは今後の調査研究によらねばな らないであろう. 終りに臨翠,この放射能検索の資料を熱心に採集して御協力下さった,かごしま丸,敬天丸の

植田,源河両船長及び両船乗組員一同,並びに鹿児島水産試験場の照南丸の調査員各位に対し

て,深甚なる敬意と謝卿意を表する次第である.

本調査研究は文部省綜合研究費の補助をうけて「放射性物質と水産生物に関する研究」の一

環としてなされたものである. R 6 s u m e〃 Inthispaperwedealtwiththeresultsobtainedfromtheinspectionaboutthe cont同minationofsea-waterbyradioactivityduringthetermfromJunel955to Junel956overthesea-rangesincludingtheEasternChinaSea,theWesternPacific

Ocean(theEasternSeaofNanseiSyot5;TaiwanandPhilippinelslands);the

MolukscheSea,andtheEasternlndianOcean、 Consideringfromtheseresults,wemaybeallowedtodescribethatnoconside‐ rable‘℃ontaminationbyradioactivity,,wastobeseeninanyofthesesea−ranges, Andastotheatomicexplosionperformedintheneighbourhoodof‘The Eniwetoklslands,,itmaybea伍rmedthat,atleast,withinthelapseof20days immediatelyaftertheexplosion,nocontaminationistobedetectedoverthesea front(2.-51ノー24.-07'N,132.-10'∼136.-56'E)lyingalongtheEestofthePhilippine lslands. 女: 献 (1)三宅泰雄:放射能の汚染と処理,1956. (2)盛田友弐,商藤要,源河朝之:赤道海域及びコラル海における放射能の検索について,鹿大水産 学部紀要,4巻,1955. (3)害藤要,鮫島宗雄二放射能汚染魚に関する研究,鹿大水産学部紀要,4巻,1955.

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