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学校保健危機管理

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Academic year: 2021

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J. Natl. Inst. Public Health, 53(2) : 2004

<巻頭言>

学校保健危機管理

加藤則子

国立保健医療科学院生涯保健部

School Health and Risk Management

Noriko K

ATO

Department of Health Promotion and Research, National Institute of Public Health

現在のわが国の安全を巡る状況をみると,学校,家庭,そして地域社会において,様々な事故災害や凶悪な犯罪の多発など が深刻化しており,生命や安全を軽視するという憂慮すべき風潮が社会全体に蔓延しているように感じられる.学校での凶悪 事件の再発防止を含めた児童生徒等の安全・安心な生活を守ることが,学校における重要な課題となっている. このためには,児童生徒が事件・事故や災害発生の状況や要因についてよく理解し,日常生活の中にある危険に気づいて, 的確な判断のもとにこれに対応したり,事件・事故や災害が起こった際にも自分の身を守り,的確な行動がとれるような資質 や能力を身につけ,さらに,進んで他の人々や集団の安全に役立つ態度を養うことが大切である.学校での事故防止のための 安全教育もその一環である. 社会全体として,自分の身を守り,自他の生命や人格を尊重し,経済や効率でなく生命や安全・安心を最優先するというよ うな「安全文化」を創造していくことが必要であり,その一環として,家庭や地域社会と密接に連携した学校での幅広い安全 教育や安全管理を進めていくことが求められている. 子どもの指導の場面も断片的なものではなく,学校はもとより,児童遊園や児童館など各種の児童福祉施設・児童委員・母 親クラブ等を包括した地域全体のリスク管理のネットワークに基づいた対応策を提言して行く必要がある.また学校給食も, 食中毒等の発生によって危機をもたらす原因となりうるので,その対応事例も含めてこの特集で取り上げてある. 最近の青少年の問題行動の深刻化や,青少年を巻き込んだ犯罪の多発などの背景を家庭や地域の教育力の低下の問題に求め る考え方が広く認められるようになっている.このため,家庭,地域,学校が一体となり,心豊かでたくましい子どもを社会 全体で育もうと,全国の学校等を活用し,放課後や休日に地域の大人の協力を得て,子どもたちの「活動拠点」を確保し,ス ポーツや文化活動など多彩な活動が展開されるよう取組む「子どもの居場所づくり新プラン」が文部科学省から提案され,注 目を浴びている.これも子どものための環境作りの一環として位置づけることが出来る. さらに,学校における危機管理の方策としての「非暴力的危機介入法」をこの特集で紹介したい.これは,CPI(Crisis Prevention Institute. Inc)危機予防研究所で開発され,1980 年以来,アメリカやカナダ,イギリス,アイルランド,ニュー ジーランドをはじめとする先進国のヒューマンサービス(学校,病院,社会福祉施設,警察,更生施設など)に携わる人々に 提供されている.これまでに,450 万人以上の人々がこのトレーニングを受講し,確たる自信を身につけ,あらゆる危機的状 況を効果的に打開している.日本でも,学校等で,暴力を未然に防止したり,安全にけんかを仲裁できるトレーニングとして 活用されて行くことが望まれている. 学校は,児童生徒が多くの時間を過ごす場所である.変わり行く社会情勢の中で,学校における危機管理対策は,なお一層 重要視されてゆかなければならない.

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