Japan Advanced Institute of Science and Technology
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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 政策立案及び公的研究開発のための社会問題抽出手法 の検討 : (その1) 諸外国先進事例における社会問題抽 出手法 Author(s) 治部, 眞里; 川原, 武裕; 石黒, 傑; 柿崎, 平; 南條, 有紀; 山崎, 香織; 田中, 浩史; 増山, 綾香; 佐久田, 昌治 Citation 年次学術大会講演要旨集, 25: 37-40 Issue Date 2010-10-09Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/9239
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1C01
政策立案及び公的研究開発のための社会問題抽出手法の検討
(その1)諸外国先進事例における社会問題抽出手法
○治部眞里 川原武裕 石黒傑(独立行政法人科学技術振興機構社会技術開発研究センター) 柿崎平 南條有紀 山崎香織 田中浩史 増山綾香(株式会社日本総合研究所総合研究部門) 佐久田昌治(日本大学大学院知的財産研究科)1.調査の目的と背景
「公共政策の立案」「公的研究開発の課題設定」にあたって、そもそもいかなる課題を取り上げるべ きか、は社会にとって重要な課題である。とりわけ、科学技術政策の分野では、「科学技術の国民に対 するアカウンタビリティ」を重視する観点から、新しい取り組みが必要とされる。通常、わが国では「重 要な政策決定」や「重要な政策文書」にあたっては、最終版の内容に関して「パブリックコメント」を 募集することが行われているが、国民の理解を得るためには、「そもそも何を課題として取り上げるべ きか」という早期の段階で、国民の意思を反映させつメカニズムが求められる。 独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センターでは、資金配分制度の枠組みとして各々 の具体的な問題を対象とした「研究開発領域」を設定し、研究開発を推進する「社会技術研究開発事業」 を実施している。この事業の実施にあたり、我が国において顕在化している(あるいは、今後顕在化し うる)社会問題の中から、解決優先度の高い問題を抽出する必要がある。2008 年に初めて「俯瞰的視点 からの領域探索調査」の試みを行った(参考文献1.)。これに引き続き、諸外国の事例において、「社 会問題抽出」のための様々な試みを分析した。これをもとに、「わが国における社会問題抽出・重要度 評価」を試行した。本報その1.では、「諸外国先進事例における社会問題抽出手法」を報告する。2.諸外国先進事例にみる社会問題(ソーシャルイシュー)抽出手法
本章では、諸外国で展開された将来予測プログラムの先進事例を概観するとともに、その中で導入さ れた社会問題の抽出手法・社会的ニーズを取り入れる工夫に着目し、本調査における社会問題抽出の効 果的な進め方への示唆を得ることを目的とした。特に、政策に対するアカウンタビリティを強く求めら れる EU 諸国では、そもそも何を政策の対象として取り上げるかに関して、国民の理解を得るための様々 な工夫がなされている。 「将来の技術予測」を国レベルで実施する試みは、わが国の科学技術予測の取り組みが早いと言える が、EU 諸国では、対象とする社会問題の設定を取り入れることに相当の力を割いている。対象とした国 および社会問題抽出プログラムは以下のとおりである。 図表 1 本調査で対象とした国及びプログラム 対象国 プログラム名称 実施期間 予測対象時期 1 英国 Foresight 2002 年~現在※ 10 年後以降 2 ドイツ Futur 1 2000 年末~2002 年 2020 年頃 3 フィンランド Finnsight 2015 2005 年~2006 年 2015 年頃 4 スウェーデン 第1 回 Technology Foresight 1999~2000 年 15~20 年後 第2 回 Technology Foresight 2004~2005 年 15~20 年後 5 フランス Key Technology 2000 1993~1994 年 2000~2005 年 Key Technology 2005 1999~2000 年 2005~2010 年 2.1 英国・Foresight の流れ 1994 年にスタートした Foresight プログラムについて、第 3 回 Foresight プログラム(2002 年~現 在)の流れを以下に示す。 研究者のブレインストーミング、一般国民の意見等をもとにトピックリストを作成、Foresight プロ ジェクトを選定する。引き続いてリスク分析・シナリオ分析等を実施して、プロジェクトの将来構想を 深化し、必要となる具体的なアクションを特定する。図表 2 Foresight プログラムの流れ 、 社会問題抽出のための手法、工夫の特徴としては、①一般国民を含め、広く意見を募集(Forsight に とって、必須の条件)、②重要なステイクホルダーすべてからの同意を獲得、③経済、社会、環境のう ち、一つ以上に対して重大な影響をあたる可能性があることを条件に抽出している、などが挙げられる。 2.2 ドイツ・Futur Futur 0(1999 年)では、議論の大半をインターネットを通じて行ったが、そのような“バーチャル・ ワーキング・グループ”は十分機能しなかった。この反省から、Futur1(2000 年末~)では“フェイ ス・トゥ・フェイス”のコミュニケーションを重視し、大部分のプロセスで参加者が顔を合わせて議論 できるように設計された。“将来の真実を見つける”だけでなく、連邦教育研究省(BMBF)と社会と の“将来についてのコミュニケーション”を促進し、社会の科学技術に対する理解を深めることを目的 とした。 社会問題抽出のための工夫としては、①連鎖指名制により広範に大人数の参加者をまきこん で進める(合計1500 名、技術系と人文社会系が半分ずつ)、②需要志向、すなわち「研究者からの発想」 ではなく、「将来社会の必要性から研究開発の課題設定」、③将来とは2020 年頃を想定。 研究者のブレインストーミングにより、 トピックリストを作成。 ブレインストーミング 第一次候補: 12のトピックリスト ウェブ等に公開、一般国民の意見を反映 第二次候補: 2つのトピック追加、 14のトピックリスト 最終選定 Foresight プロジェクト候補: サイバースペースにおける信頼性と犯罪の防止 電磁スペクトラムの探究 実施主体 政府科学省(GOS) Foresight チーム アウトプット トピック群の抽出 学術界・公的機関・産業界等 へのヒアリング ウェブ・新聞・諸外国予測 などの文献調査 (出所)英国・Foresight インターネットサイト(http://www.foresight.gov.jp)、
Luke Georghiou, PREST, University of Manchester, “Evaluating Foresight and Lessons for its Future Impact”
メンバーの選定 研究者 トピックの絞込み Foresight プロジェクト選定の7つの基準 (2)Foresight プロジェクトの 将来構想の分析 フェーズ1 フェーズ2 フェーズ3 ドライバーの特定・シナリオ分析・計画の立案 インパクト分析 対応策の構築 一連のアクションプラン (1)Foresight プロジェクトの選定 各ステイクホルダーにより実行 研究者のブレインストーミングにより、 トピックリストを作成。 ブレインストーミング 第一次候補: 12のトピックリスト ウェブ等に公開、一般国民の意見を反映 第二次候補: 2つのトピック追加、 14のトピックリスト 最終選定 Foresight プロジェクト候補: サイバースペースにおける信頼性と犯罪の防止 電磁スペクトラムの探究 実施主体 政府科学省(GOS) Foresight チーム アウトプット トピック群の抽出 学術界・公的機関・産業界等 へのヒアリング ウェブ・新聞・諸外国予測 などの文献調査 (出所)英国・Foresight インターネットサイト(http://www.foresight.gov.jp)、
Luke Georghiou, PREST, University of Manchester, “Evaluating Foresight and Lessons for its Future Impact”
メンバーの選定 研究者 トピックの絞込み Foresight プロジェクト選定の7つの基準 (2)Foresight プロジェクトの 将来構想の分析 フェーズ1 フェーズ2 フェーズ3 ドライバーの特定・シナリオ分析・計画の立案 インパクト分析 対応策の構築 一連のアクションプラン (1)Foresight プロジェクトの選定 各ステイクホルダーにより実行
2.3 その他の諸国の事例 (1)フィンランド・Finnsight2015 の流れ 2005 年、フィンランドは他国に若干遅れて将来分析“Finnsight2015”をスタートした。当時、諸外 国ではすでに複数の予測プログラムが実施されており、それらを参考にしながらプログラムが策定され た。長期的な基礎研究を支援するフィンランド・アカデミーと技術庁(Tekes)の共催で、将来リソー スを集中すべき分野を特定することを目的としている。 実施主体:フィンランド・アカデミー、技術庁(Tekes)(二つの組織による共催)。 メンバーの選出:実施主体が共同でトップクラスの専門家120 名を選定。 トピックの絞込み:パネルディスカッション、ウェブ上の討論 アウトプット:①学習と学習の機会、②理解・人的交流、③サービスとサービス革新、④福祉と健康、 ⑤環境とエネルギー、⑥インフラとセキュリティ、⑦生物学の専門知識・技術と生物学 社会、⑧情報通信、⑨素材、⑩世界経済 社会問題抽出のための手法、工夫としては、①社会全般に影響する要因を把握する、②議長やメンバー には専門知識に加え、社会一般に広い理解を有する人材を選定、③ウェブ上で一般国民に広く意見を求 めるプロセスを重視。 図表 3 ドイツ Futur1 の流れ(1/2) 約2,000項目の トピック トピック群の抽出 21のテーマごとにカンファレンス開催。 21テーマの再定義、概要の作成。 内部サークルから約300名参加。 最終メンバー 実施主体 連邦教育研究省(BMBF) 委託 コンソーシアムの形成 (4つの公的機関・シンクタンク等に委託) メンバーの選定 原初メンバー: 152名 コンソーシアムが指名。 「連鎖指名制」の採用: 原初メンバーが各自4,5名を推薦。 任命基準に従ってメンバーを選出。 第1次メンバー 原初・第1次メンバーが各自4,5名を推薦。基 準に従って選出。これを繰り返す。 最終メンバー:1,462名を選出。 内部サークル:約900名(顔を合わせて議論) 外部サークル:約600名(ネットにより参加) ワークショップワークショップワークショップ ワークショップ 領域が同じメンバー20名弱からなるワークショップに よる1日の集中討議。内部サークルから400名参加。 ・2020年の未来はどうなるか? ・各自の領域で将来どのような問題が生ずるか? 63の素クラスター 21の動向テーマ コンソーシアム による クラスター化 ワークショップワークショップワークショップ カンファレンス 再定義された21の動向テーマ トピックの絞込み 約2,000項目の トピック トピック群の抽出 21のテーマごとにカンファレンス開催。 21テーマの再定義、概要の作成。 内部サークルから約300名参加。 最終メンバー 実施主体 連邦教育研究省(BMBF) 委託 コンソーシアムの形成 (4つの公的機関・シンクタンク等に委託) メンバーの選定 原初メンバー: 152名 コンソーシアムが指名。 「連鎖指名制」の採用: 原初メンバーが各自4,5名を推薦。 任命基準に従ってメンバーを選出。 第1次メンバー 原初・第1次メンバーが各自4,5名を推薦。基 準に従って選出。これを繰り返す。 最終メンバー:1,462名を選出。 内部サークル:約900名(顔を合わせて議論) 外部サークル:約600名(ネットにより参加) ワークショップワークショップワークショップ ワークショップ 領域が同じメンバー20名弱からなるワークショップに よる1日の集中討議。内部サークルから400名参加。 ・2020年の未来はどうなるか? ・各自の領域で将来どのような問題が生ずるか? 63の素クラスター 21の動向テーマ コンソーシアム による クラスター化 ワークショップワークショップワークショップ カンファレンス 再定義された21の動向テーマ トピックの絞込み
図表 3 ドイツ Futur1 の流れ(2/2)
(2) スウェーデン・(Swedish Technology Foresight)
実施主体がアカデミー、技術庁、財団、産業界といった科学技術に関わる様々なステイクホルダー。 エリクソン社を始め多数の企業やアカデミー等が独自の予測をスタート。また政府が技術予測を政策立 案に盛り込むために、新たに「イノベーション・システム庁(VINNOVA)」が設立。 社会問題抽出のための手法、工夫としては、①「ステアリングコミッティ」を設置し、需要側の幅広 い観点からパネルを設置。③報告書作成のプロセスはウェブ上に公開、誰でもコメントを記載できる。 (3) フランス・(Key-technology 2005)の流れ 経済・産業・財政省のミッションにより、産業界の短期的なマーケット主導型の観点から調査が行わ れ、研究者・起業家等も巻き込み、将来キーとなる技術の特定を目的とした。 3 わが国の「政策立案」、「公的研究開発の課題設定」 わが国のシステムに反映すべき事項としては、①課題設定の段階で、できる限り幅広い意見収集を行 う、②ウェブを活用した国民の意見の反映を最初の段階、または中途の段階で積極的に行う、③政策へ の反映のメカニズムを意識的に追究する、などが挙げられる。 ―以上― 先導ビジョン(Lead Vision) (続く) 1 . オンライン投票(680名)。 2 . VID/VDI-ITによる技術評価。 3 . BMBFのワークショップ。 4 . イノベーション会議による意見表明 5 .コンソーシアムとBMBF担当部署とのワー クショップ 第1回テーマ選択 12のテーマを選出 BMBF大臣による最終決定 ワークショップワークショップワークショップ グループ コンソーシアムが参加者を指名。 12のテーマごとにグループを形成。 1. 未来ワークショップの開催。 2. オンラインワークショップの開催。 3. セッション(全2回)の開催。 BMBF大臣による最終決定 1. オンライン投票(332名)。 2. プロジェクト・トレーガーと BMBFの専 門家によるテーマ序列化。 3. イノベーション会議での議論。 1. 学習の場としてのドイツ、学習する社会における競争要因 2. 効率的、自律的、安全なインターネット社会における生活 3. 医療2020 4. 知識を取り扱うための組織化したモデル 5. 明日の社会のための知的生産物とシステム 6. 思考機能の解明 アウトプット (再掲)再定義された21の動向テーマ 第2回テーマ選択 トピックの絞込み(続き) 先導ビジョン(Lead Vision) (続く) 1 . オンライン投票(680名)。 2 . VID/VDI-ITによる技術評価。 3 . BMBFのワークショップ。 4 . イノベーション会議による意見表明 5 .コンソーシアムとBMBF担当部署とのワー クショップ 第1回テーマ選択 12のテーマを選出 BMBF大臣による最終決定 ワークショップワークショップワークショップ グループ コンソーシアムが参加者を指名。 12のテーマごとにグループを形成。 1. 未来ワークショップの開催。 2. オンラインワークショップの開催。 3. セッション(全2回)の開催。 BMBF大臣による最終決定 1. オンライン投票(332名)。 2. プロジェクト・トレーガーと BMBFの専 門家によるテーマ序列化。 3. イノベーション会議での議論。 1. 学習の場としてのドイツ、学習する社会における競争要因 2. 効率的、自律的、安全なインターネット社会における生活 3. 医療2020 4. 知識を取り扱うための組織化したモデル 5. 明日の社会のための知的生産物とシステム 6. 思考機能の解明 アウトプット (再掲)再定義された21の動向テーマ 第2回テーマ選択 トピックの絞込み(続き)