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幼児におけるダンス動作の体得に関わる要因の探索

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Academic year: 2021

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Ⅰ.研究目的

文部科学省は、より多様な身体活動を経験さ せ、生涯にわたって身体活動に親しむ態度を養 うことを目的として、学校教育において身体表 現活動(ダンス)を積極的に実施させることを 推奨している。平成 20 年に改訂された中学校 学習指導要領では、保健体育の指導内容におい て、武道・ダンスを含めたすべての領域が男女 ともに平成 24 年から完全必修化されることと なった。学校教育におけるダンスは、「創作ダ ンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムの ダンス」で構成され、イメージをとらえた表現 や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニ ケーションを豊かにし、仲間とともに感じを込 めて踊る楽しさや喜びを味わうことのできる課 題達成型の身体活動として位置づけられている [1]。ダンスの体験は、自己表現能力や創造性 を高め、生涯にわたり身体活動に親しむ態度や 他者とのコミュニケーション能力を養い、結果 として子どもの豊かな人間性を育むことにつな がると期待される。 上述した学習指導要領の改訂に伴い、今後 は幼稚園・保育園・小学校の教育課程において も、そのことを念頭に置いたダンス教育の展開 が必要と考えられる。現在の未就学児の教育過 程においては、心身の健全な発育・発達を促し、 小学校期以後の身体表現活動にスムーズに接続 するための取り組みの 1 つとして、幼児の発達 段階に配慮して考案されたリズムダンスに親し む機会が設けられている。リズムダンスは、通 常の運動遊びとは異なり、音楽リズムに合わせ て多様な動きを他者と協調して行うものである ため、幼児が一連のダンス動作を体得するのに は、それ相応の時間と集中力が必要と考えられ る。しかしながら、幼児のダンス動作の体得に いかなる因子が影響するのかについて具体的に 検討した報告はない。春日 [2] によれば、幼児 期からすでに身体活動の好き嫌い、外遊びある いは室内遊びの嗜好、さらには体力や心理的成 熟度にも性差があることが報告されている。そ れに加えて「男らしさ」、「女らしさ」を求める 文化的背景や、「どのような子に育って欲しい か」という保護者の期待も男女で異なっている という。このようなことから、ダンス教育を展 開するにあたり、幼児期からダンスへの意欲や 技能にも性差があることが容易に予想される。 将来的に中学校でダンスが男女必修化されるこ とを考えると、その初歩的段階である幼児期に おいて、ダンス体得に性差が存在するのか否か を検討する必要がある。もし、この段階で性差 が認められるならば、それを考慮した身体表現 活動の実践・展開が必要となる。しかしながら、 現時点では、ダンスを初めて経験する幼児期に おいて上記課題を客観的指標を用いて検討した 報告はない。さらに、本研究で焦点をあてたリ ズムダンスに限らず、心身の発達が著しい幼児 の身体的パフォーマンスには、月齢に加え、課

幼児におけるダンス動作の体得に関わる要因の探索

長 野 真 弓・栫 ちか子

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題への興味・関心や集中力、日常の生活習慣、 園外での活動さらには保護者の意識の影響が予 想されるが、幼児を対象として何らかの課題に 対するパフォーマンスへのこれら背景的因子の 影響を検討した報告は少ない。したがって、こ れらの因子を総合的に考慮して本研究課題を検 討することで、教育現場における身体表現活動 の実践に有用な情報が得られるものと期待され る。さらに、教育的配慮から、単にダンスの体 得度を評価するだけでなく、一連の活動を通し ていかに最初よりも体得度が伸びたかという視 点も重要であると考え、練習初期からのダンス 評価得点の伸びと上記因子との関連性について も検討を重ねた。 上記の課題を踏まえ、本研究では、幼稚園児 におけるリズムダンスの体得に関与する因子を 探索することを目的とした。

Ⅱ.方法

1.対象 調査対象は、京都府城陽市にある私立幼稚園 に通う年中園児(4 ∼ 5 歳) 5 8名 (男児 2 6名 、 女児 32 名)とその保護者であった。 2. 調査・測定時期と実施されたリズムダンス の概要 本調査は、運動会プログラムの 1 つであるリ ズムダンスの練習期間にあたる平成 22 年 9 月 上旬から下旬の約 3 週間のうちに実施された。 本プログラムにおけるリズムダンスは、文部科 学省の分類でいう「現代的なリズムのダンス」 に該当するもので、年中クラスの担当教諭が園 児の発達段階に配慮して作成し、体得までに 2 週間程度の練習を要する難度の振付(上肢・下 肢動作の組み合わせ、バランス運動、片足ジャ ンプ、ツイストジャンプおよびウォーキングに よる自由な移動を含む)から構成された約 3 分 のプログラムであった。 3.調査項目 以下の項目を解析に用いた。 1) 園児の基本的特性、園外で習慣化してい る活動(習い事)および保護者の意識    ダンス練習開始の 1 週間前に保護者への 質問紙調査を実施し、園児の通園手段、起 床・就寝時間、食欲の有無、運動の好き嫌い、 園外で習慣化している活動(習い事)の内 容、子どもの身体活動への保護者の意識に ついて回答を得た。解析に必要な園児の性 別・生年月日と身長・体重(調査と同時期 に測定したもの)については、園から提供 を受けた。 2) 初めてダンスの振付を与えられた時の様 子ならびにダンス体得度の評価    後日開催される運動会に向けた 9 月中旬 から下旬の 2 週間にダンスの練習が実施さ れた。その中から、園児が初めてダンスの 振付を与えられた日(練習初日)、練習開 始から連休をはさんだ 1 週目(1W)、およ び 2 週目(2W)の 3 日間の練習のビデオ 映像(各 30 分程度)を評価の対象とした。 調査実施者がこれらの映像を観察し、意欲 の指標として練習初日における「振付を見 た時の反応」と「先生の話を聞く時の様子」 の 2 項目、ダンス体得度の指標として練習 1 週目と 2 週目における「リズム感」「振 付の覚え具合」の 2 項目についてそれぞれ 3 段階の評価基準(表 1)を設け、クラス 担当教諭を含む 2 名の教員がビデオ観察に より評価した。各項目における 2 名の教員 の平均値をもって評価得点とした。さらに、 練習 1 週目から 2 週目の得点の増加量を求 め、ダンス体得度の伸びの指標とした。

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4.解析方法 数値は全て平均値±標準偏差で示した。性・ 生活習慣の状況で区分された 2 群の連続変量の 特性ならびに割合の比較には t 検定とカイ二乗 検定を、1W と 2W のダンス評価値の変化の検 討には対応のある t 検定を用いた。さらに、ダ ンス評価値と他の連続変数との関連性の検討は スピアマンの相関分析を、ダンス体得度の指標 に影響する因子の探索は重回帰分析を用いて 行った。5%未満の危険率をもって有意とした。 5. 本研究における倫理的配慮ならびに個人情 報の取り扱いについて 調査にあたり保護者に研究の主旨と内容を説 明した上で、保護者の承認が得られた児童に対 してのみ調査を実施した。解析に必要な身長・ 体重・生年月日のデータについても、保護者の 同意を得て園から提供を受けた。

Ⅲ.結果

1.園児の基本的特性 上記 3 回の練習日のいずれかに欠席していた 児童 10 名を解析対象外としたため、最終的な 解析対象児童数は 48 名(男児 20 名、女児 28 名) となった。園児全体の基本的特性と男女別の特 性を表 2 に示した。 ダンス評価への影響が予想される年齢(月齢) は、男児の方が若干高い傾向にあったが有意差 には至らなかった。さらに、音楽教室あるいは 舞踊・ダンス教室に通う園児の割合は、男子で いずれも 0%、女子でそれぞれ 4 名(15%)な らびに 3 名(12%)であったが、統計的な有意 差には至らなかった。その他の背景的項目でも 有意差は認められなかったが、唯一、3 日間の ダンス評価総得点において、女児が男児よりも 有意に高い得点が認められた。 2.ダンス評価項目の性差の検討 図 1 に、ダンス評価の各項目を比較した結果 を示した。練習初日において、初めて振付を見 た時の反応には男児と女児間で有意差が認めら れなかったものの、教諭の話を聞く時の集中度 では、女児の方が男児よりも有意に高い得点を 示した。 2W のリズム感と振付の覚え具合の得点は、 男児・女児ともに 1W から有意に増加していた (男児のリズム感:1W 1.6 ± 0.4 vs. 2W 1.9 ± 0.5, p<0.001, 男児の振付の覚え具合:1W 1.5 ± 0.4 vs. 2W 2.3 ± 0.6, p<0.001;女児のリズム感: ホ౯᪥

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᭱ึ䛾཯ᛂ ⦎⩦㻝䞉㻞㐌┠ 表 1 ダンス練習における評価項目と評価基準一覧

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1W 1.8 ± 0.4 vs. 2W 2.8 ± 0.3, p<0.001, 女児の 振付の覚え具合:1W 1.7 ± 0.4 vs. 2W 2.8 ± 0.3, p<0.001)。男児・女児間で評価項目の得点を比 較したところ、リズム感ならびに振付の覚え具 合ともに、両評価日において有意に女児の得点 が男児よりも高かった(図 2)。さらに、各評 価項目の 1W から 2W までの得点の増加量を男 児・女児間で比較したところ、男児よりも女児 ᖺ㱋䠄ṓ䠅 㻠㻚㻤㼼㻜㻚㻟 㻠㻚㻥㼼㻜㻚㻟 㻠㻚㻤㼼㻜㻚㻟 㼚㻚㼟㻚 ㌟㛗㻔㼏㼙㻕 㻝㻜㻢㻚㻜㼼㻟㻚㻠 㻝㻜㻣㻚㻜㼼㻟㻚㻣 㻝㻜㻡㻚㻟㼼㻞㻚㻥 㼚㻚㼟㻚 య㔜㻔㼗㼓㻕 㻝㻢㻚㻤㼼㻝㻚㻡 㻝㻣㻚㻝㼼㻝㻚㻤 㻝㻢㻚㻣㼼㻝㻚㻟 㼚㻚㼟㻚 ᚐṌ㏻ᅬ䛾๭ྜ䠄䠂䠅 㻤㻚㻟 㻡㻚㻜 㻝㻜㻚㻣 㼚㻚㼟㻚 ㉳ᗋ᫬้䠄᫬䠅 㻣㻚㻞㼼㻜㻚㻢 㻣㻚㻜㼼㻜㻚㻣 㻣㻚㻠㼼㻜㻚㻡 㼚㻚㼟㻚 ᑵᐷ᫬้䠄᫬䠅 㻞㻝㻚㻝㼼㻜㻚㻣 㻞㻝㻚㻝㼼㻜㻚㻡 㻞㻝㻚㻝㼼㻜㻚㻤 㼚㻚㼟㻚 ╧╀᫬㛫䠄᫬㛫䠅 㻝㻜㻚㻝㼼㻝㻚㻝 㻥㻚㻣㼼㻝㻚㻞 㻝㻜㻚㻟㼼㻜㻚㻥 㼚㻚㼟㻚 㣗ḧ䛒䜚䛾๭ྜ䠄䠂䠅 㻣㻜㻚㻤 㻢㻡㻚㻜 㻣㻡㻚㻜 㼚㻚㼟㻚 㐠ືዲ䛝䛾๭ྜ䠄䠂䠅 㻥㻡㻚㻤 㻥㻡㻚㻜 㻥㻢㻚㻠 㼚㻚㼟㻚 䝔䝺䝡ど⫈᫬㛫㻔᫬㛫㻕 㻞㻚㻞㼼㻝㻚㻝 㻞㻚㻝㼼㻝㻚㻡 㻞㻚㻞㼼㻜㻚㻤 㼚㻚㼟㻚 ඲㌟㐠ື㐟䜃᫬㛫㻔᫬㛫㻕 㻝㻚㻝㼼㻜㻚㻥 㻝㻚㻟㼼㻝㻚㻞 㻜㻚㻥㼼㻜㻚㻢 㼚㻚㼟㻚 ᡭ㐟䜃᫬㛫㻔᫬㛫㻕 㻝㻚㻣㼼㻜㻚㻥 㻝㻚㻥㼼㻜㻚㻥 㻝㻚㻢㼼㻜㻚㻥 㼚㻚㼟㻚 㡢ᴦᩍᐊ䛻㏻䛳䛶䛔䜛䠄䠂䠅 㻥㻚㻝 㻜㻚㻜 㻝㻡㻚㻠 㼚㻚㼟㻚 䝇䝫䞊䝒ᩍᐊ䛻㏻䛳䛶䛔䜛䠄䠂䠅 㻟㻠㻚㻤 㻠㻣㻚㻠 㻞㻡㻚㻥 㼚㻚㼟㻚 ⯙㋀䞉䝎䞁䝇ᩍᐊ䛻㏻䛳䛶䛔䜛䠄䠂䠅 㻢㻚㻤 㻜㻚㻜 㻝㻝㻚㻡 㼚㻚㼟㻚 ಖㆤ⪅䛜㐠ືዲ䛝䛷䛒䜛䠄䠂䠅 㻤㻟㻚㻟 㻥㻜㻚㻜 㻣㻤㻚㻢 㼚㻚㼟㻚 ಖㆤ⪅䛜㐠ື䜈䛾ാ䛝䛛䛡䜢䛧䛶䛔䜛䠄䠂䠅 㻢㻠㻚㻢 㻣㻡㻚㻜 㻡㻣㻚㻝 㼚㻚㼟㻚 䝎䞁䝇䠏᪥㛫䛾⥲ᚓⅬ䠄Ⅼ䠅 㻝㻝㻚㻥㼼㻞㻚㻡 㻝㻝㻚㻜㼼㻞㻚㻣 㻝㻞㻚㻢㼼㻞㻚㻝 㻜㻚㻜㻟 ⾲㻞䚷ᅬඣ඲య䛺䜙䜃䛻ᛶู䛾ᇶᮏ≉ᛶ ඲యᖹᆒ್ 䛒䜛䛔䛿䠂 ⏨ඣ 䠄㼚㻩㻞㻜䠅 ዪඣ 㻔㼚㻩㻞㻤㻕 ⏨ඣ㻌㼢㼟 ዪඣ ᖹᆒ್㼼ᶆ‽೫ᕪ 表 2 園児全体ならびに性別の基本特性 ᣺௜䜢ぢ䛯᫬䛾཯ᛂ 㻜 㻜㻚㻡 㻝 㻝㻚㻡 㻞 㻞㻚㻡 㻟 ⏨ඣ ዪඣ 㻔Ⅼ䠅 ヰ䜢⪺䛟᫬䛾ᵝᏊ 㻜 㻜㻚㻡 㻝 㻝㻚㻡 㻞 㻞㻚㻡 㻟 ⏨ඣ ዪඣ 㻔Ⅼ䠅

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図 1 ダンス練習初日における反応の性別比較

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の得点の増加量の方が有意に大きかった(図 3, 男児・女児それぞれのリズム感の増加量 : 0.4 ± 0.4 vs. 0.8 ± 0.4, p=0.02, 振付の覚え具合の 増加量 : 0.8 ± 0.4 vs. 1.1 ± 0.4, p=0.009)。 3.ダンス評価項目に関連する背景的因子の検討 1) ダンス評価項目と背景的因子(連続変量) との相関分析    表 3 に、各調査項目(連続変量)とダン スの評価得点との相関分析の結果を示した。    2 回のダンス評価におけるリズム感と振 付の覚え具合のうち、いずれかと有意な正 相関関係にあったのは、月齢・睡眠時間・ 園外での運動遊び時間・ダンス練習初日に 振付を見たときの反応・教諭の話への集中 度であった。さらに、練習期間中のリズム 感の得点の増加量と月齢、教諭の話への集 中度との間に有意な正の相関関係が認めら れた。一方、テレビ視聴時間ならびに園外 での手遊び時間については、練習初日の様 子やダンス評価得点との間に有意な相関関 係は認められなかった。 2) ダンス評価項目と背景的因子(カテゴリー 変量)との関連性の検討    質問紙で調査した背景的因子のうち、保 護者から見た園児の普段の食欲で分けた 2 群(「どちらかといえばよく食べる」と「ど ちらかといえば食が細い」)でダンス評価 得点との関連性を検討したところ、よく食 べる群の方が、食が細い群よりもリズム感 䝸䝈䝮ឤ 㻜 㻜㻚㻡 㻝 㻝㻚㻡 㻞 㻞㻚㻡 㻟 ⏨ඣ ዪඣ 㻔Ⅼ䠅

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図 2 ダンス評価得点の性別比較 図 3 1W から2W のダンス評価得点増加量の性別比較

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および振付の覚え具合の両方において有意 に高い得点を示した(よく食べる群 vs. 食 が細い群;リズム感 2.4 ± 0.6 vs. 2.0 ± 0.5, p=0.028, 振付の覚え具合 2.7 ± 0.4 vs. 2.4 ± 0.6, p=0.042)。しかしながら、ダンス評 価得点の増加量には、食欲の有無で有意差 は認められなかった。    一方、通園手段(徒歩かバス・自転車で の送迎)保護者から見た園児の運動嗜好(運 動好きかどうか)、スポーツ教室への参加 の有無、子どもの身体活動への保護者の意 識(園児の身体活動を促す働きかけをして いるかどうか)で区分した 2 群間のダンス 評価得点には有意差は認められなかった。 なお、音楽教室への参加の有無については、 該当児童が 4 名しかおらず統計的パワーに 欠けるため、解析から除外した。 4. ダンス評価得点の増加量(ダンス体得度の 伸び)に及ぼす因子の総合的検討 上記の結果を踏まえ、ダンス技能に関連す る因子として、月齢・性・睡眠時間・食欲の有 無・運動遊び時間・振付を見たときの反応・教 諭の話への集中度の 7 項目を抽出し、リズム感  ᭶㱋 ╧╀᫬㛫 㸦᫬㛫㸧 ࢸࣞࣅど⫈ ᫬㛫 ᅬእ䛷䛾㐠 ື㐟䜃᫬㛫 ᅬእ䛷䛾ᡭ 㐟䜃᫬㛫 ᣺௜䜢ぢ䛯 ᫬䛾཯ᛂ ᩍㅍ䛾ヰ䜈 䛾㞟୰ᗘ ╧╀᫬㛫  ࢸࣞࣅど⫈᫬㛫   ᅬእ䛷䛾㐠ື㐟䜃᫬㛫   

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の増加量ならびに振付の増加量それぞれを従属 変数、抽出した 7 項目の因子を独立変数とした 重回帰分析を行った(表 4)。結果として、リ ズム感の得点増加量に対しては月齢と教諭の話 への集中度が、さらに振付の覚え具合の得点増 加量へは、性が有意な影響を及ぼしていた。

Ⅳ.考察

本調査は、幼児におけるリズムダンスの体得 に影響を及ぼす因子を、性・生活習慣・園外で の活動・保護者の意識といった様々な特性を含 めて検討することで、身体表現活動の実践に有 用な情報を得るために実施された。 最初に、ダンス評価得点に影響を及ぼす因子 を抽出するための解析を行った。表 2 に示した 結果から、男児・女児両群の基本特性に際立っ て異なる点は認められなかった。しかしながら、 ダンス練習における評価得点には明らかな性差 が認められた。練習初日で女児の方がより集中 して教諭の話を聞いていたことに加え、練習開 始から 1 週目、2 週目ともにリズム感ならびに 振付の覚え具合が男児より優れていた。春日 [2] も、集中力・責任感・我慢強さ・世話好きなど、 女児の心理的成熟が男児よりも明らかに早いこ とを報告しており、本研究の結果と一致する。 ダンス技能は、両群ともに練習開始から 2 週 間経過した時点で有意に向上しており、概ね練 習の成果は現れているといえる。しかしながら、 2 週間の練習期間内でのリズム感ならびに振付 の覚え具合の得点の伸びは女児が男児を有意に 上回っており、特定の時点でのダンス体得度の みならず、縦断的視点からみたダンス体得度の 伸びにも明らかな性差が認められた。 性以外でも、ダンス体得への影響が示唆され る因子が抽出された。生活習慣関連因子におい ては、睡眠時間、食欲ならびに園外での運動遊 び時間がダンス評価得点と関連していた。幼児 ᭶㱋 㻜㻚㻠㻞㻤 㻜㻚㻜㻜㻡 ᛶู 㻜㻚㻞㻟㻡 㻜㻚㻝㻞㻜 ╧╀᫬㛫 㻙㻜㻚㻜㻝㻟 㻜㻚㻥㻞㻤 㣗ḧ䛾᭷↓ 㻙㻜㻚㻝㻜㻝 㻜㻚㻠㻠㻜 㐠ື㐟䜃᫬㛫 㻜㻚㻝㻟㻡 㻜㻚㻟㻝㻜 ᣺௜䜢ぢ䛯᫬䛾཯ᛂ 㻙㻜㻚㻞㻤㻠 㻜㻚㻜㻡㻥 ᩍㅍ䛾ヰ䜈䛾㞟୰ᗘ 㻜㻚㻟㻥㻟 㻜㻚㻜㻜㻣 ᭶㱋 㻜㻚㻞㻝㻢 㻜㻚㻝㻢㻟 ᛶู 㻜㻚㻟㻡㻠 㻜㻚㻜㻞㻤 ╧╀᫬㛫 㻙㻜㻚㻜㻤㻤 㻜㻚㻡㻢㻝 㣗ḧ䛾᭷↓ 㻙㻜㻚㻝㻢㻞 㻜㻚㻞㻠㻞 㐠ື㐟䜃᫬㛫 㻜㻚㻞㻠㻤 㻜㻚㻜㻤㻜 ᣺௜䜢ぢ䛯᫬䛾཯ᛂ 㻙㻜㻚㻞㻢㻜 㻜㻚㻜㻥㻣 ᩍㅍ䛾ヰ䜈䛾㞟୰ᗘ 㻜㻚㻞㻝㻥 㻜㻚㻝㻟㻣 ⾲䠐䚷䚷䝎䞁䝇ホ౯ᚓⅬ䛾ቑຍ㔞䛻ᙳ㡪䜢ཬ䜌䛩ᅉᏊ䠄㔜ᅇᖐศᯒ䠅 ᚑᒓኚᩘ ⊂❧ኚᩘ ᶆ‽໬ ಀᩘ䠄䃑䠅 㼜 㻾㻞 㻲 䝸䝈䝮ឤቑຍ㔞 㻜㻚㻟㻥㻞 㻟㻚㻡㻥㻟 ᣺௜䛾ぬ䛘ලྜ ቑຍ㔞 㻜㻚㻟㻟㻟 㻞㻚㻣㻣㻢 表 4 ダンス評価得点の増加量に影響を及ぼす因子(重回帰分析)

(8)

を対象とした報告は未だ少ないが、小学生にお いて、様々な活動に生活習慣が関与していると いう報告は多く [3-6]、本研究の結果もそれを 支持するものである。さらに、練習初日におけ る振付を見た時の反応と教諭の話への集中度と いう、園児自身の意欲に関わる指標がダンス体 得の指標に関連していた。 次に、これらの因子を全て含めた重回帰分析 により、いかなる因子がダンス体得の伸びを規 定するのか検討を重ねた。その結果、月齢が高 いこと、教諭の話への集中度が高いこと、さら に女児であることがダンス体得の伸びを規定す ることが明らかになった。 以上の成績をより具体的に考察すると、年中 園児という、ダンスを経験する上で極めて早い 時期であっても、すでにダンスへの意欲や体得 度、さらにはその伸びにも明らかな性差が存在 するということになる。筆者の私見ではあるが、 ダンス練習を観察した際にも、男児の動きには いわゆる「照れ」が認められ、性別によるダン スへの嗜好の違いがうかがえた。以上を考え合 わせると、将来のダンス教育の男女必修化を見 据え、男児がより自然に身体表現活動になじめ る動機づけや、周囲の働きかけ、さらには教育 内容の展開に何らかの工夫や配慮が必要である といえる。現に、身体表現活動の現場において、 男女合同でのダンス授業に不安を訴える声もあ り、早急な対応が望まれる。 ところで、実際の保育現場では、身体を使っ て他者に何かを伝えようとしたり、おままごと や「・・・ごっこ」に見られるように、自分以 外の「何か」になって楽しんでいたりする場面 がしばしば見られる。このように、幼児期の表 現は、どのような形であれ身体を介して行われ ることが多く [7]、H. ワロンの訳本 [8] の中でも、 「運動が心的生活のすべてをあらわす」と述べ られ、子どもの精神発達過程における運動の重 要性が強調されている。このような幼児の自然 な表現活動は、筆者が保育現場で観察した限り 形は異なるにせよ男女の別は見られなかった。 あくまで推測の域を出ないが、本研究の対象と なった身体表現活動は、予め決められた音楽リ ズムと振付のみで構成されていたため、これに 様々な効果音やリズムに合わせて園児が自由に 自身を表現するパートを加える試みも、性に関 わりなく幼児がより身体表現活動に親しむ上で 必要かもしれない。 性別に加え、月齢もダンス体得の伸びにかな り強く影響するという結果が得られたが、1 学 年ごとに集団で教育を行うシステム上、この影 響は如何ともしがたい。しかしながら、この時 期の身体活動における出来・不出来から生じる 有能感や無力感、および周囲の評価は、子ども の自己効力感や「運動好き・積極性・活動性」、 「運動嫌い・劣等感・消極性」といった行動特 性の形成にも影響する [9] といわれ、月齢の低 い園児が劣等感を覚えることのないような課題 設定や配慮も必要であろう。これについても、 与えられた動きだけで構成された身体表現活動 であった場合、「できる」・「できない」=「上 手」・「下手」という構図になるため、上述した ような園児自身から発する自由な動きや、自分 以外の「何か」になりきって動く活動内容など があれば、月齢による動きの習熟度の差が解消 できるのではないかと考える。 月齢・性をはじめとする他の要因に関わら ず、練習初日に教諭の話を集中して聞いていた 園児ほど、ダンス動作が身につきやすいことも 明らかになった。近年、文部科学省が公表した 都道府県別体力・学力テストの総合得点に相関 が認められたことを契機に、体力と学力の関連 性が教育関係者の注目を集め、体力と学力の双 方を高める取り組みが進められつつある。この 現象について、主観的・客観的体力が高い、つ

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まり運動能力に自身がある子どもは自己効力感 が高く、これが学習への意欲につながっている のではないかという説がある [10]。未就学児で は学力評価をすることは困難であるが、本研究 における幼児のダンス体得度を、学力と同様に 子どものパフォーマンスの表現型の 1 つとみな せば、教諭の話への集中度という課題への意欲 に関連する指標がダンス評価得点とその伸びに 関連していたことは、大変興味深い知見である。 これに類似して、幼児の体操教室における活動 意欲が運動能力テストの得点と高い相関関係を 示したという報告もあるが [11]、この研究では 運動能力テストに関与する背景的因子は調べら れていない。このようなことから、生活習慣や 園外での活動、さらには保護者の意識まで含め て検討した本研究においても、子どもの意欲と ダンス習得との関連を示唆する結果が得られた ことは、「意欲を伸ばす」教育の実践を推奨す るエビデンスの 1 つとなろう。 最後に、本研究の成績から、身体的パフォー マンスの尺度として体力や運動能力を調べた 先行研究 [12-17] と同様に、幼児のパフォーマ ンスの 1 つとしてのダンス技能には、食欲、睡 眠および運動遊びといった基本的な生活習慣が 関与していることも示唆された。幼児において は、これら一連の背景因子が相互に関与するこ とで、課題への意欲、ひいてはパフォーマンス が形成されていることを念頭に置き、好ましい 生活習慣や運動習慣の定着を促す取り組みも今 後一層必要と考えられる。

Ⅴ.研究の限界と今後の課題

本研究の限界は、本研究の主旨に適する標準 化された幼児向けの心理尺度がなく、ビデオ映 像から判断したダンスへの園児の興味・関心・ 集中力を質的に評価せざるを得なかったところ にある。さらに、本研究ではダンス以外の活動 における集中力を評価していないため、練習初 日における集中力が女児で高かったことが、ダ ンスそれ自体に興味・関心が高いからなのか、 あるいは全ての活動における女児の特性なのか を判別することはできなかった。 調査対象となった幼稚園では、園児の居住地 ごとに徒歩による通園あるいはバスによる時間 差の送迎が行われているため、登園・降園時間 が園児によって異なり、登園時間が早い園児ほ ど自由な遊び時間が多いという状況であった。 そのため、園内での遊び時間の違いがダンスの 体得度に影響する可能性も否定できない。今後 は、外発的動機づけによる課題のみならず、遊 び時間における自発的な身体活動量を客観的に 測定し、ダンスを始め様々なパフォーマンスと の関連性を検討する必要がある。加えて、生活 習慣や運動習慣の変化に伴う様々なパフォーマ ンスの変化を縦断的な視点で検討する試みも今 後の重要な課題といえよう。 謝辞 本研究を実施するにあたり、多大なるご協力 をいただきました幼稚園の職員ご一同様ならび に保護者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。 文献 1)文部科学省 : 新学習指導要領,第 2 章,各教科  第 7 節,保健体育,2010. http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/ youryou/chu/hotai.htm 2)春日晃章 : 幼児期にみられる男女差.体育の科学, 60(7),473-478,2010. 3)小橋川久光,小林 稔,高倉 実,宮城政也 : 日常 生活行動尺度と生活関連要因との関係.琉球大 学教育学部紀要,61,25-31,2002. 伊藤秀志 : 遊びの相手や内容が幼児の体力・運動 能力に及ぼす影響について∼子どもの体力・運

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動能力の変化、発育・発達の特性等からの考察∼. SRI,92,51-32,2008. 4)高井瑞穂,大谷一記 : 児童生徒の体力・運動能力 と生活実態に関する研究.神奈川県体育センター 調査研究報告書,1-16.2004. http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/40/4317/ sidoukenkyubu/kenkyusitu/kenkyu/h16-1.pdf 5)文部科学省 : 平成 20 年度全国体力・運動能力、 運動習慣等調査結果について【概要版】.41-43, 2008. http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/01/__ icsFiles/afieldfile/2009/01/21/1217980_2.pdf 6)山田小百合,相澤 徹 : 小学生の生活習慣と運動 能力との関連についての検討.体力科学,57(3), 394,2008. 7)名須川知子 : 幼児前期の身体から派生する表現 活動に関する研究.兵庫教育大学研究紀要,17, 115-122,1997. 8)浜田寿美男(H. ワロン「子どもの精神発達にお ける運動の重要性」1956 を訳編)『身体・自我・ 社会』,ミネルヴァ書房,p.138,1984. 9)財団法人日本体育協会 編 : 発育発達期の心理的 特徴,公認スポーツ指導者養成テキスト,第 7 章 , 128-130,2009. 10)谷口勇一,田中賢治,西本一雄 : 子ども期におけ る「体力」と「学力」の関連性.大分大学教育 福祉科学部研究紀要,32(1),129-137,2010. 11)真田マキ子 : 幼児の体操教室における活動意欲と 運動能力に関する研究.筑波大学体育専門学群 運動学 体操方法論研究室 平成 13 年度修士論文, 2001. http://gym.tsukubauniv.jp/archives/category/ ronbun 12)小林 稔,小橋川久光,大城浩二 : 幼児のライフ スタイルが運動能力に及ぼす影響.琉球大学教 育学部教育実践総合センター紀要,10,25-32, 2003. 13)伊藤秀志 : 遊びの相手や内容が幼児の体力・運動 能力に及ぼす影響について∼子どもの体力・運 動能力の変化、発育・発達の特性等からの考察∼. SRI,92,51-32,2008. 14)関 豪,辻とみ子,関 巌 : 幼稚園児における体力 と生活習慣ならびに食育との関連性.名古屋文 理大学紀要,8,75-86,2008. 15)関 豪,辻とみ子 : 幼稚園児における体力と母親 の生活習慣ならびに食育との関連性 . 名古屋文理 大学紀要,9,109-119,2009. 16)渡辺 渚 : 幼児の運動能力に影響を与える要因 : 母親への子どもの生活環境に関する調査を通し て . 金沢大学人間社会学域学校教育学類附属幼稚 園研究紀要,55,113-117,2009. 17)宮嶋郁恵,土井由紀子,井上勝子,青木理子, 小森有子 : 幼児の生活習慣と運動能力の関係― 遊びを中心に―.福岡女子短期大学紀要,73, 37-44,2010.

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Abstract

A Trial to Explore the Factors Involved in Performance

of Rhythmic Dance among Preschool Children

Mayumi NAGANO and Chikako KAKOI

No study has so far investigated the factors involved in performance of rhythmic dance as one of activities for physical expression in the curriculum for preschool children. The present study attempted to explore the factors involved in performance of rhythmic dance focusing on sex difference, motivation and other background factors in preschool children in the middle grade ( n=48, 20 boys and 28 girls; aged 4-5 years).

The following evaluations were based on video images which were taken during 2 weeks of practice for the dance; an interest to the dance movement, a level of concentration to an explanation from teachers, each level of rhythmic sense and dance skill on first and second weeks after starting the practice. The detailed information regarding the background factors such as lifestyle, physical play time at home, after-school lessons, and encouragement for physical activity to the children were derived from a questionnaire completed by the children s parents.

The score for the level of concentration, level of rhythmic sense and dance skill on both weeks were significantly higher for the girls than for the boys. Furthermore, a significantly larger increment from first week to second week was observed for the score of dance performance for the girls than for the boys. Age in months, sleeping time, physical play time at home, interest in the dance movement, the level of concentration, and appetite were positively associated with the indices of dance performance. The proficiency of dance performance was significantly and positively defined by age in months, sex (female) and level of concentration after a multiple linear regression analysis.

It was concluded that an apparent sex difference was found in regard to dance performance and motivation, and thus an effective way to motivate the boys in the curriculum concerning activity for physical expression was needed. Further, educator should take care to prevent the younger children from feeling inferior in the dance activity. Finally, it should be emphasized that a favorable lifestyle and physical activity are needed to bring out the preschool children s potential.

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